ここは、クトゥルフ神話TRPGのオンラインセッションに関する各種情報がまとめられているWikiです。

はじめに

クラシック+IaIaシナリオです。
基本死にはしませんがSAN値をガンガン削りたいので継続探索者はお勧めしません。
普通の探索シナリオですが、そこかしこに爆発物を置いているのは作者のお遊びなので消しても支障はきたしません。
三大技能と少しの戦闘技能、対人技能、ナビゲートがあるといいでしょう。医学、鍵開けがあると少しいいかも。趣味を出していいなら化学、電気修理、投擲です。

あらすじ

とある片田舎の辺鄙な屋敷で起きたとされる神隠し事件。怪異の仕業であるとまことしやかに語られるこの事件に関わることとなったあなたたちは屋敷へ訪れることになります。
出迎えた双子の女主人に事件解決を請われ、あなた達は事件の原因を探ることになります。

シナリオの流れ プロローグ

PC達はそれぞれ地方新聞の隅にある記事やニュースを見て、とある片田舎で連続神隠し事件が起きていることを知ります。
『A県Y村に訪れた観光客が度々行方不明になっている。
村の名士がかつて住んでいた屋敷に訪れた者は皆その後の行方がしれないという。
Y村に住まう怪異の仕業なのか地元警察はなぜか事件に関わろうとしない。事件は迷宮入りと化してもおかしくないだろう』
これがニュースの大体の内容です。
興味か誰かに頼まれたか、知り合いなのか、金を恵んでもらうのか、理由は様々ですが一同は事件の起きている屋敷に集います。
屋敷到着前、村で少し聞き込みができます。
村の人たちは大体、この頃訪れる客にうんざりしています。
村人たちにも事件について嗅ぎ回り痛くもない腹を散々探られたからです。
若者達はそのため屋敷に好印象をもっていませんが、老人達は戦後患者を多く受け入れてくれた病院の子孫として、良い印象をもっています。
むしろ疑うなんて罰あたりだ、とも言うかもしれません。

調査の依頼?

病院を改装しただけあって無機質な内装である屋敷にやってきたPC達は屋敷の女主人透に歓待されます。
徹は村の人から作物をもらいすぎて処分に困っているので、夕飯でも御馳走したいといってきます。
透に心理学をふると、なにか他にPC達に頼みたいことがあるが、頼みづらそうにしていることがわかります。
スペシャル以上で目が異様に冷ややかで敵意はないがなにかを狙っていることもわかります。
またこの会話の時点で明がPC達の交通手段をシャットアウトさせています。忍び歩きと隠れるで隠密するといいでしょう。
田舎ということもあり到着した時点ですでに夕方にさしかかっています。
PC達はその申し出を受けざるをえません。徒歩で帰る?歩いているうちに暗くなるので、透が迎えにいってあげましょう。
PC達が申し出を承諾すると、玄関から入ってきた明に客室へと通されます。
明は言いづらそうに、連続神隠しについての調査をPC達に依頼してきます。
・名士の出であるから警察や権力者は二人に手を出したがらない
・変な客に嗅ぎまわられてうんざりしている
・物騒で怖い
すべて本音ではありますが、実際はPC達を屋敷に滞在させる口実でもあります。
この依頼を受けても受けなくても、PC達はすでに屋敷に滞在せざるを得ない状況になっているでしょう。

調査開始

この時点で調査できる部分は徒歩でいける範囲の村、森の中、屋敷内のみです。
またこの時、夜になったら絶対に森の中に入らないよう双子が忠告してきます。
ロストする可能性が非常に高くなるのでKPからも止めておいてください。
一通り探索し終えるか、日記と魔導書を読み始めるか、だれてきたら夜になります。
最悪森の中を探索し終えていれば後は夜パートに探索できます。
夜になると全員が夕食に呼ばれます。SANチェックを増やしたいならここで燻製肉のスープでも出してあげてください。
のちにそれが人肉であると判明した時、(1/1d4+1)のSANチェックです。
一時それぞれの会話を楽しむことになるでしょう。

部屋や森の構図については双子が大体本当のことを教えてくれます。
ただし治療室が真新しい件と避難はしご、二つの祭壇については適当に嘘をついてください。
姑獲鳥の像と日記については言いにくそうにしますが内容は知っています。
姑獲鳥の住処についてはなにも知りません。

新月の夜

あるPCは本を読み始め、残りのPCはそろそろ夜だからと双子に部屋で休むよう言われるでしょう。外を見ると今日は月もでていません。
この時明は部屋で休むPCによく眠れるようハーブティーを淹れてくれます。
そのうちの一杯に眠り薬が入っています。シークレットダイスで犠牲者を選んでください。
犠牲者以外は探索を続行できますが、犠牲者は眠くなったのか誘われるように客室のベッドで眠ってしまいます。
透は犠牲者PCを殺すため二階でそれとなく待機しています。この時点で双子はPC達に疑われているでしょうからどんな理由でも構わないでしょう。
PC達が眠っている頃…もしくは二か所ほど探索した頃、犠牲者の部屋の窓をコンコンと叩く音がします、犠牲者はそれで起きても眠っていても構いません。
起きて窓を確認した場合、鋭い牙を生やした女の顔がPCの目に入ります。よくみると口周りは血で塗れており、手足には人間のものの代わりに鳥の羽根と足が生えています。
この姿をみたPCは(1/1d8)のSANチェック。ただし展示室で姑獲鳥の像を見た場合は慣れのためSANチェックはないです。
姑獲鳥はPCの姿を確認するとより一層、窓を蹴破らん勢いで叫び襲いかかろうとします。眠っている場合でも同様です。
この叫び声は二階にいれば判定なし、一階にいれば<聞き耳>成功で聞こえるでしょう。地下は…スペシャルならもしかしたら。

叫び声を聞いた他のPCは犠牲者PCを助けに行っても構いません。読書中でも気付いたのなら合流してもいいでしょう。
ですがその前に透が客室に突如乱入してきます。先に入りたければ二階にいるPCのみDEX対抗してください。犠牲者PCもDEXが高ければ行動できます。
姑獲鳥は相変わらず叫び声をあげており、その忌まわしい姿に向かって透がショットガンによる射撃を行います。この時遥はPCに玉が当たらない位置に移動します。
窓に命中すると姑獲鳥はひるみ退散していきます。
その後、遅れて展望室にいる明による銃声が聞こえてきます。遥は犠牲者PCの安全を確認した後、この姑獲鳥を供物として捧げに行きます。
狭い室内で12ゲージ・ショットガンをぶっ放すとはという恐ろしい。元々PCは犠牲になる予定でしたから、仕方ない。

誰もハーブティーを飲まなかった?その場合は窓の近くか外にいるPCのもとに姑獲鳥が乱入してきます。後の流れは同じです。
ハーブティーに<聞き耳>をおこなってもハーブの匂いで薬については分からないでしょう。

夜も更けた頃

ひと騒動から少し時間が経過したのち、森の入口近辺が見える位置にいるPCに<聞き耳>判定を行ってもらってください。
成功者には外から足音が聞こえます。森の入口近辺を確認すると、双子がなにか大型の鳥のようなものをもって森の中へ入っていく様子を目撃します。
森に入ろうとしたPCには双子の忠告を思い出させて入るのを止めておきましょう。
それでも入ったPCは仔山羊さんが直々に脅かすとよい。触肢の細い部分なら手加減してダメージ与えられると思います。
双子の姿を目撃してからしばらくして、森がざわめく音を地上階にいるPCは聞くでしょう。
その後すぐ地面を無理やり引き裂くような仔山羊の唸り声が全てのPCの耳に届きます。
眠っていたPCもさすがの大音量に目を覚ますでしょう。
PC達は窓や森の外からその様子を見に行って構いません。
PC達は木々であろう部分がが踊りくねり他の木々をなぎ倒していく様子を目撃します。
森の獣たちは無残な悲鳴を上げながら外へ散っていくも、木々にぶつかり次々と動かなくなります。
うねる木々は段々と血を帯び、そのしぶきは屋敷の窓へ散弾のようにまき散らされます。
もしかしたら先程壊された窓から獣の死体や血の塊が飛び込んでくるかもしれません。
ホウホウという奇妙な音をたてて大地を揺らす奇怪な森の姿を目撃したPCは(1d3/1d10)のSANチェックです。

その後双子は儀式で朝までPC達の前に姿を現しません。好きに行動するといいでしょう。

二日目朝

読書に興じてるPCは読み終えた頃でしょうか。双子が平時と変わらぬ様子でPC達を朝食に招きます。
この時厨房に立ち寄ると新鮮な鶏肉や獣肉が並べられています。
双子を<聞き耳>で調べるとかすかに血のにおいがします。<心理学>をふると少し晴れやかな顔をしていることがわかります。
朝食の時に調査の状況を双子が聞いてくると思いますので、そこで今後の指針をまとめてもいいでしょう。
事件を解決するには
・怪鳥姑獲鳥が発生する元となっている石を破壊する。
・千匹の黒い仔山羊を退去させる。または姑獲鳥を退治したことを報告すれば双子が退去してくれる。
この二点が肝となります。
姑獲鳥は直接POW・CON対抗をして0まで減らすか、姑獲鳥の像を運びこみMPと相手のPOW対抗で勝てばPOWが減り退散できるようにしてください。
像がある場合、呪文をかけたPCには敵は攻撃できません。
実体があるため直接攻撃も可能ですが、倒してもまた別の個体を乗っ取り復活させてください。
その後石を破壊すれば大丈夫です。
千匹の黒い仔山羊は、次の新月の晩に双子に退散させましょう。
実質姑獲鳥の退散だけで大丈夫です。
双子はPC達を疑うでしょうが、証拠の破片などをみせれば大丈夫です。

解決すればエンディングです。
二人は人殺しの罪を告白し、恩をくれた村人に気付かれないよう警察へ出頭します。
出頭前に屋敷のすべてと祭壇は破壊され、村人たちはなにも知らないまま双子の消息を心配しつつも村の平和を喜ぶでしょう。
曾々祖父より前から続く呪いと想いを引き継いだ彼女達は、またそれを次代へと想いだけ伝えていくことを誓います。
この後日談のことを、PC達は知ってもいいし、知らなくてもかまいません。

調査できる場所

屋敷外


人通りがほぼない閑村。
村の若者にとって屋敷の者はあまり親しみがなく近寄ったことはほとんどない。ただ双子が美人なので興味はある。
老人にとって、屋敷の者は昔非常に世話になったため恩を忘れてはならない、ひどいことを言ってはいけない方であると言う。
バスは夕方には走っておらず、徒歩では駅までたどりつくのは至難の業であり、<ナビゲート>を持っていても最終電車には間に合わない。
また車やバイク等は明がタイヤをパンクさせている。


目的地がないままふらふら歩く場合、ランダムでたどり着く先を決めるといいだろう。
展望室で確認するかか双子にルートを教えてもらった場合、《ナビゲート》で目的地に移動できる。
《目星》か《追跡》ならば、ルートがわからずともどこかには辿り着くだろう。

森(屋敷付近)
屋敷への道がうっすらわかる程度の範囲。長時間滞在していると黒い仔山羊の冷ややかな気配を無意識のうちに感じ取るだろう。
夜に双子が近くにいない状態でここに入ると黒い仔山羊の攻撃される。
その前に仔山羊の気配に危険を感じ撤退しなければ、木々に擬態した仔山羊から不意打ちを食らうだろう。

森(祭壇)
<ナビゲート>か<幸運>か<追跡>でたどり着けるようにしてください。仔山羊の影響でこの世ならざる材質へと変化した奇妙な形の石の祭壇がある。
祭壇とその周りは明らかに他の部分と異なる色と臭いを漂わせており敏感な者にはそれが幾重にも大量の血をしたたらせた結果だとわかる。
祭壇を見ただけで(0/1d3)、血だとわかったPC、または日記で仔山羊について知っているPCはアイデアロールに成功した場合(1/1d3)のSANチェック。
夜には双子がここで、人から発せられたものとは思えない奇妙な音節の呪文を唱えながら血まみれで祈りをささげ、狩られたばかりの獣や人間をシュブ=ニグラスへと捧げている。
このシーンを見たPCは仔山羊を発見するためSANチェック(1d3/1d10)。
また双子に存在を気付かれシュブ=ニグラスへ祈りを捧げるか生贄になるよう脅迫される。
承諾するとSANチェック(0/1d6)、拒否すると仔山羊と双子達との戦闘。

森(管理小屋)
屋敷からすぐ見えるところにある小さな小屋。
ショットガン、鉈、非常食、スコップなどがある。<目星><幸運>でダイナマイトを発見できる。
これがあれば山の一角くらい簡単に爆破できそうだぜ!
また燻製釜があり、中にはいぶされた肉がつられています。
《医学》《生物学》で、それが人肉であることが判明し、(0/1d3)のSANチェック。

森(姑獲鳥の住処)
森の中でも少しひらけた場所。<ナビゲート>か<幸運>か<追跡>でたどり着けるようにしてください。
<聞き耳>で血のにおいとなにか別のにおい(羊水 要:<医学>)がすることがわかる。
<目星>でそこになにかが埋まっているとわかるだろう。
埋まっているのはその昔子を殺された遊女の怨念がこもった石である。壊そうとすれば姑獲鳥と化した生霊がそれを妨害しようと現れてくるだろう。

屋敷内
2F
客室
簡素なつくりの六人部屋。病室を改装したもの。それ以外に特筆することはなし。
夜にここか窓のある部屋にいると森が動くのが見れる。(仔山羊)SANチェック1d3/1d10
犠牲者PCは左の客室に寝かせるといいかもしれない。

展望室
山と村の全景を見渡せる物見台のような場所。
夜にここか窓のある部屋にいると森が動くのが見れる。(仔山羊)SANチェック1d3/1d10
わきには望遠鏡が入っている箱があり、《目星》+10補正で外を観察できる。
ここで《目星》をすると北西の拓けた土地(姑獲鳥の住処)、祭壇、管理小屋までのルートをある程度把握でき、《ナビゲート》が可能になる。

1F
エントランス
屋敷とよぶには簡素なつくりである。それ以外に特筆することはなし。絵画や骨とう品なども見当たらない。窓がある。
夜にここか窓のある部屋にいると森が動くのが見れる。(仔山羊)SANチェック1d3/1d10

食堂
特筆することはなし。窓がある。
夜にここか窓のある部屋にいると森が動くのが見れる。(仔山羊)SANチェック1d3/1d10

双子の寝室
とくになし。本とかポエムとか下着とか免許証ならあるかもしれない。
夜にここか窓のある部屋にいると森が動くのが見れる。(仔山羊)SANチェック1d3/1d10

厨房
鳥や獣の肉が吊るされて食用保存されている。裏の森でとれたものらしい。
他にも地元の農家からもらったという野菜がたくさんある。地元の人から信頼されていることがわかる。

B1F

書庫
曾祖父、父、兄の日記(0/1d3)、魔導書がある。これらを解読するには半日はかかるだろう。
必要な情報だけを抜き取って流し読みするならば《図書館》に成功する必要がある。成功した場合2時間で解読できる。

日記
『1951年 ×月×日
連綿と続いてきたこの忌まわしき呪いと今日別れを告げる。
生贄となった患者には本当に申し訳ない事をした。
村の者はなにも知らず私のことを村の名士だとよんでいる。
だが私は踏みとどまるわけにはいかないのだ。
全ては息子のため、そして孫、ひ孫と続くだろう子孫のため。
お前たちを守るためなら鬼となろう』
『1981年 ×月×日
父から家督を受け継ぐにあたり、父がかつて行い私達の生活を形作っていたおぞましい真相を教えられた。
私がいま生きているのはあの身の毛もよだつ形容もできない怪物どものおかげだったのだ。
吐き気がする。
しかし私はこのことに感謝しなければならない。
そして息子達にもいつかこの真実を告げなければならない。
私はいまから―――――(ここだけ黒く塗りつぶされている)を崇拝する邪教の輩となる。
どうかこの因縁が私の代で終わる事を切に願う。』
『2009年 ×月×日
父の言っていたことは本当だった。俺も見てしまった。いまも脳裏に焼き付いて離れない。
だが、一つ疑問に思う事がある。
曾祖父はあのおぞましい怪物を使って妖鳥を退けたというが…ならば俺の前に現れたあの怪鳥はなんだ?
『百物語評判』にはあんな怪鳥のことは記されていなかった。
なにかがおかしい。…念の為妹たちにも気をつけるよう言っておこう。』
『2013年 ×月××日
俺に出来ることはすべてやった。申し訳ないがあとはすべて妹達にに託そうと思う。
もう毎晩のようにあいつが窓をたたいてくる。怪異は実体を得たのだ。
おそらく曾祖父の召喚した化け物のせいだ。その姿をはっきりと見てしまった。
これは幻覚や幻聴なんかじゃない。本当にあれは存在して、そうだだから俺はあの像を作った残された羽根でそのままの化け物 の姿を見てくれ守ってくれ助けてくれもう頼りはない誰か助けてくれお願いだから二人を助けて俺が守りたか(字が滅茶苦茶に記されて解読できない)』

魔術書
『相続者への写本』
《黒い仔山羊の召喚/従属》       
消費MPは任意だが1ポイントにつき10%成功率が上がる。1d3のSAN消費。
SIZ8の獣の生贄が必要。新月の夜、戸外の森の中で行う。
《敵の拘束》              
呪文の使い手に対して物理、魔術的攻撃が7日間加えられなくなる。
対象をかたどった人形に対して好きなだけMPを投入し、対象のPOWと対抗させる。
例えば相手が生霊や亡霊のようなPOWとINTしか持たない存在の場合
対抗に失敗すれば相手は1d6-1ポイント失うだろう。
ただし使い手が対象に攻撃を加えた場合、呪文は壊れる。(オリジナル要素あり)
MPを封じ込めるには約一時間程の詠唱儀式が必要。正気度喪失はない。
《動物に命令する》           
MP1ポイントの消費のみで特定の動物に命令できる。(オリジナル要素あり)


助産室
遊女の堕胎部屋。手術室の奥にある。
上から丸いわっかを作ったひもが垂れ下がっている。
《歴史》で、昔出産のとき妊婦がこれをつかんでふんばっていたため設置されているのだろう、ということがわかる。
<目星>で一枚の畳の縁にわずかに切れ込みがあるのを発見できる。畳表と畳床の間に、一枚の紙が仕舞われている。
内容は以下の通り。
「父の儀式は誤っていた。あのおぞましき怪物に頼るべきではなかったのだ。
いや、頼るほかなかった私達がすでに間違っていたのだろう。
あれは地母神の従僕であるという。神は姑獲鳥にまでもその恩恵を与えたのだ。
受肉というのだろうか。ただの呪いと片付けられるべきであったものが肉を得た。
祭壇の奥、とある拓けた地で休んでいた私は突如として恐ろしい形相の女に襲われた。
血に染まった着物に鳥の足。皮膚には羽のようなものが生え、爪は鍵針のように曲がり尖っていた。
地を歩くには足がおぼつかなかったのか、幸いにしてその場から逃れることができた。
しかしあれは「進化している途中」のように思えた。
あれにもし翼が生えれば私はけして逃れることなどできなかっただろう。
このことは誰にも話すべきではない。だが、家族を守る術だけはなんとしても会得しよう。
私の代で終わればそれでいい。だがもしも―――
考えてはならない。このような手記も情けない懊悩も、私だけでいい」

小さな木棚を調べると小冊子があり、姑獲鳥に関する昔の記録が見れる。(0/1d3)
『産の上にて身まかりたりし女、其の執心、此のものとなれり。其のかたち、腰より下は血にそみて、其の声、をばれう、をばれうと鳴くと申しならはせり。――――『百物語評判』より
このような絵空事が真に存在するとは思えない。しかしこの本を読み私は背筋が凍った。
私の前に姿を現し子をさらったそれとこの本に描かれている化け物は完全に一致していた。
私の家は江戸の頃より店に置いておけない遊女を隔離し治療することを生業としてきた。
子を孕んだ遊女も同様であったが子はすべて殺し、また遊女もその影響で多くのものが死んだ。
姑獲鳥は子を残して死んだ妊婦の妄執であり他人の子を連れさらうという。
屋敷で生まれた長子は我が家の者のみならず使用人から患者に至るまで死産した。
姑獲鳥はこの屋敷そのものに憑いているのだ。なんとかしなくてはならない。』

展示室
書庫の奥にある。
何体もの鳥のはく製が飾られているなか、はく製の中に布をかぶせた姑獲鳥の像があり、布をめくって中身を確認したPCは(0/1d3)のSANチェック。
球体人形を改造した代物で、口には本物の牙が埋め込まれ血染めの産着を咥えている。
手足は人間のものの代わりに本物の姑獲鳥の羽根と鳥の足が嵌めこまれており、足もまた赤黒い染みができている。
双子に聞くと、兄が作ったものだと教えてくれる。これを予め見たPCは夜の姑獲鳥襲撃の際SANチェックを免れることができる。
MPは込められていないのでPCが儀式を行う必要がある。

手術室
医療につかっていたであろう痕跡。<目星><医学><薬学>ロールで、器具は錆びておらずいまにも使用できそうだということ、薬品もまだ使えることがわかる。
日記とこの情報を入手するとアイデアロールで患者を生贄にしたこと、そして今でもここで人を殺して生贄に捧げていること、自分たちが呼ばれたのは生贄にするためではないかと想像する。
(0/1d3)のSANチェック。
冷蔵庫には人間の血液が保存されている。
ただしそうだとわかるには《医学》《生物学》が必要だ。
これらは採取してから数日は経っているが、新しい血液と古い血液が混ざり正確な日にちは把握できない。

地図

屋敷外の簡易地図

屋敷内部

事件背景

かつてこの屋敷は遊女たちが病を患ったり妊娠した時に人目を遠ざけるため作ったものであった。
屋敷では中絶や治療をしていたため、娼妓取締規則発令以降は病院を経営するようになる。
そのため江戸から現代にかけて中絶された子やその際に亡くなった女、病で死んだ女の霊が屋敷に吹き溜まり、屋敷自体に害をなすようになった。
屋敷(病院)で生まれた子は屋敷の長、使用人、患者に関わらず必ず長子が死ぬのである。
このことを透と明の曾々祖父は姑獲鳥の仕業であると記している。
実際には生霊であったのだが、姿かたちは姑獲鳥であったのだ。姑獲鳥は妊婦の形をしている。
呪いにより病院の評判は悪くなり昭和に入る頃には廃業、普通の家となる。
しかし屋敷の長子が死ぬのに変わりはなく、透と明の曾祖父は大戦前にイギリスの知人から取り寄せた魔導書によって生霊を撃退しようとした。
曾祖父は大戦後一時的に病院を復活させ、傷痍軍人や貧困で弱った人達を集め介抱した。
そして患者達を黒い子山羊の生贄として森の奥にある祭壇にその血をささげたのだ。(明記しなくてよいが人間はSIZ8以上のものである)
曾祖父は何匹かの黒い仔山羊とシュブ=ニグラスを崇拝する代わりに普段は森にまぎれて動かないこと、夜には姑獲鳥(生霊)をシュブ=ニグラスへの供物として捧げることを条件に従属させた。
それ以来生霊によって子供を殺されなくなったが、シュブ=ニグラスの影響で生霊姑獲鳥は鳥という実体を得、怪鳥姑獲鳥となりはじめた。
儀式は曾祖父の子から孫、ひ孫へと受け継がれていったが、現代になって新たな問題が発生する。
実体を得た姑獲鳥は知性をつけ、仔山羊から隠れ住むようになったのだ。
そしてとうとう透と明の兄(長子)が姑獲鳥に襲撃される。
兄は周年により一回だけ姑獲鳥を捕まえ剥製にし、束縛の魔術を試みようとした。
しかし肝心のMPを注ぐ儀式の前に、兄は殺されてしまう。
事前に兄から姑獲鳥について聞いていた二人は子孫を守るため姑獲鳥を独自で退治しようと試みるようになった。
ただし彼女達は魔術書を解読しても剥製に注ぐだけのMPを持ち合わせていなかった。
またシュブ=ニグラスへの供物がなくなることで黒い仔山羊との契約が履行されず襲ってくるのではないかと恐れた二人は、仔山羊の数を一匹に減らし屋敷近くに配備しなおした。
はじめのうちは獣を生贄にしていたが、姑獲鳥に殺されたのか乱獲しすぎたのかその数もまた減り、ついに人間に手をだすようになった。
手術室にて保管してある血液がそれである。
彼女達の神経はとうに擦り切れていた。
外部の人間を泊まらせては事件解決を請い、その反面隙があればその者達を殺すという矛盾した行動は、彼女たちの葛藤故である。

NPC

中条透(ちゅうじょう とおる) (性別♀) 職業屋敷の主人(2010狂信者) 年齢27
STR:9  DEX:17  INT:13 アイデア:45
CON:17  APP:16  POW:6 幸 運:30
SIZ:12 SAN:30 EDU:15 知 識:75
H P:15 M P:6 回避:34  ダメージボーナス:+1d4
――――――――――――――――――――――――――
[技能](職業技能点:300 個人技能点:130)
[職業技能]
<隠す>:25(15+10)% <隠れる>:20(10+10)% <心理学>:75(5+70)%
<説得>:80(15+65)% <図書館>:40(25+15)% <英語>:31(1+30)%
[職業選択技能]
<ショットガン>:90(30+30+30)% <化学>:66(1+65)%
[個人技能]
<忍び歩き>:70(10+60)% <運転>:50(20+30)% <天文学>:41(1+40)% 
――――――――――――――――――――――――――
[持ち物]
12ゲージ・ショットガン(セミオート)
12ゲージ
マスターキー
[プロフィール]
双子の妹とともに屋敷に暮らす女主人。二つ上の兄がいたが姑獲鳥に殺されてしまう。
子孫を守るため姑獲鳥を退治するまでは子をもうけないと誓っている。
ここ最近の神隠しの犯人であり、訪ね人を滞在させては殺し、シュブ=ニグラスへの供物としている。
ショットガンは対人用でもあるが姑獲鳥用の近接武器でもある。
化学、運転技能で訪ね人を行動不能にさせようとしてくる。
ショットガン技能が高じてハンティングが趣味となっている。

中条明(ちゅうじょう あかり)(性別♀) 職業屋敷の主人(2010狂信者) 年齢27
STR:9  DEX:17  INT:13 アイデア:45
CON:17  APP:16  POW:6 幸 運:30
SIZ:12 SAN:30 EDU:15 知 識:75
H P:15 M P:6 回避:34  ダメージボーナス:+1d4
――――――――――――――――――――――――――
[技能](職業技能点:300 個人技能点:130)
[職業技能]
<隠す>:30(15+15)% <隠れる>:70(10+60)% <心理学>:30(5+25)%
<説得>:30(15+15)% <図書館>:70(25+45)% <英語>:51(1+50)%
[職業選択技能]
<ライフル>:90(25+40+25)% <薬学>:51(1+50)%
[個人技能]
<忍び歩き>:40(10+30)% <こぶし/パンチ>:90(50+40)% <医学>:61(1+60)% 
―――――――――――――――――――――――
[持ち物]
・武器
豊和 M1500
7.62mm*63
スタンガン
マスターキー
[プロフィール]
双子の姉とともに屋敷に暮らす女主人。二つ上の兄がいたが姑獲鳥に殺されてしまう。
子孫を守るため姑獲鳥を退治するまでは子をもうけないと誓っている。
ここ最近の神隠しの犯人であり、訪ね人を滞在させては殺し、シュブ=ニグラスへの供物としている。
ライフルは姑獲鳥用の狙撃武器でもある。
薬学、医学技能、スタンガンで訪ね人を行動不能にさせようとしてくる。
薬学、医学技能が高じて他人の世話が得意になった。
ライフルに免許必要だろ?10年以上ショットガン撃ってなくちゃいけないだろ?そんなことはロマンですべて解決だ(殴

怪鳥姑獲鳥(生霊亜種コンドルベース)
ベースは生霊だが周囲の鳥類に取り憑くことで一時的に実体を得るようになった。
そのため実体を倒してもまた別の個体に取り憑くことで再生ができる。
完全に消滅させるには実体を倒した後すぐ生霊を倒せばいい。
STR:3d6+12  DEX:2d6+6  INT:4d6 
CON:3d6    APP:-  POW:15前後 
SIZ:3d6+6  HP:13〜14 移動:5 飛行12  ダメージボーナス:+1d6
武器 噛みつき 45%  ダメージ1d8
    かぎ爪   45%  ダメージ1d6+db
装甲 2ポイントの羽毛
POWやDEXについては各自調整お願いします…。

千匹の黒い仔山羊
STR:4d6+30  DEX:3d6+6  INT:4d6 
CON:3d6+6  APP:-  POW:5d6 
SIZ:4d6+30  HP:30〜31 移動:8  ダメージボーナス:+4d6
武器 触肢80% ダメージdb+STRの吸収(1Rごとに1d3)
    踏みつけ40% 2d6+db
装甲 ショットガン以外の火器は1ポイント、ショットガンは与えうるダメージの最小値。貫通で2ポイント。
    近接武器の場合普通にダメージ。
4本の触肢でそれぞれ1Rごとに4回攻撃をしてくる。

このページへのコメント

身内卓でシナリオ使用させていただきました。
とても楽しく遊ばせていただいたのでこちらのシナリオを元に動画を作ろうと思っています。
もし問題あればご返信ください。
素敵なシナリオありがとうございました!

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Posted by Y 2016年02月21日(日) 03:28:43 返信

ごめんなさい! まちがえました!

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Posted by kura 2015年01月24日(土) 17:22:34 返信

身内でこちらのシナリオを使わせていただき楽しく遊ばせていただきました。ありがとうございます
リプレイ動画を作っています。不都合がございましたらすぐに対処いたします。
事後報告になってしまい申し訳ありません

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Posted by kura 2015年01月24日(土) 17:20:38 返信

オフセでお借りしましたー。

お色気アリの茶番たっぷりで
お送りしましたが、
襲撃シーンが怖かったそうで、
とても喜んでもらえました。

後日談で、中条透と恋人になったPCが、
獄中の彼女と《動物に命令する》を使って
伝書鳩で文通すると宣言したときには、
このシナリオをできて
本当によかったと思いました。

大変素晴らしいシナリオを
ありがとうございました!

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Posted by しろぷく 2014年11月23日(日) 02:43:24 返信

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