ここは、クトゥルフ神話TRPGのオンラインセッションに関する各種情報がまとめられているWikiです。

1:はじめに

これは「クトゥルフ神話TRPG」に対応したシナリオである。
推奨プレイ人数は4人程度。どどんとふを用いてのテキストセッションで4時間程度を目安としている。
舞台設定は現代の日本、どこかの地方都市。デフォルトでは南蛇井(なんじゃい)市とするが、都市の名前はKPの自由にしてよい。
このシナリオはNPCである友利結が、探索者に依頼を持ちかける場面から始まることになる。(依頼内容については後述)
探索者の職業は何でもよいが、一人は私立探偵がいると導入がスムーズにできるだろう。
また、PLには大きなSANチェックが何度かあるシナリオであることを事前に伝える方がよい。KPの裁量でPC作成時、POWの能力値を2d6+6でロールさせてもよい。

推奨技能:《回避》《聞き耳》《目星》
準推奨技能:《オカルト》《精神分析》《生物学》《説得》《投擲》《図書館》《歴史》

2:あらすじ

現代日本。とある地方都市「南蛇井市」。
探偵事務所を営む探索者のもとに、1人の女性が訪ねてくる。
彼女の依頼は、15年前に行方不明となった母親を探して欲しいというものだ。
最近、南蛇井市の外れでその母親が目撃されたと言うのだが……。

3:シナリオの背景

今回の出来事は、三郷洞窟に棲むクトーニアンの人間釣りが原因である。
人間釣りを楽しんでいるにクトーニアンは、《人間をおびき寄せる》の呪文を使い、三郷洞窟の近くに来た人間を自身のもとへ誘導し捕食している。
ほとんどのクトーニアンは地球の核近くに棲んでいるが、このシナリオに出てくるクトーニアンは変わり者の放浪者なのである。

15年前、友利の母親は、三郷洞窟の近くの道端で「見事にカットされた大きなダイヤモンド」が浮かんでいるのを見た。
当時の友利家の家計は、友利の父親が会社をリストラされたこともあり、大変苦しい状況にあった。
家庭内の雰囲気も悪く、心身ともに疲れ切っていた友利の母親は、不審に思いながらもそのダイヤモンドを追っていってしまった。
このダイヤモンドは三郷洞窟に棲むクトーニアンが見せた幻影であり、彼女はクトーニアンの思惑通り三郷洞窟に誘い込まれ、そのまま捕食されてしまう。

それから少しの年月が経過し、もはやダイヤモンドでは懐疑心の強くなった現代人を騙せないと悟ったクトーニアンは新たな方法を考えつく。
それは、容姿の美しい人間の幻影を見せることで、下心を持った人間を誘き出そうというものだ。
捕食された当時、まだ若く美しかった友利の母親が、その幻影として選ばれることになる。
成果は順調とはいえないが、それでも以前よりは人間が捕食できるようになったのであった。

4:導入

探索者は、NPCの友利結(ともりゆい)から奇妙な話を持ちかけられることで、この事件に関わることになる。
探索者の中に私立探偵がいるのならば、仕事の依頼をしに友利が訪ねてくる場面からこのシナリオは始まる。
その際の報酬は成功報酬で30万円。人探しの依頼料としては比較的高い部類に当たる。
そうでない場合は、探索者と友利を友人関係とし、探索者に相談に来るなど臨機応変に対応すること。
以下の会話例や描写は前者の探索者の中に私立探偵がいるパターンのものである。
それ以外の友利との関係によっては、探索者が事前に知っていてもおかしくない情報もある。そこはKPの裁量で伝えてしまってもよい。

友利結は白い肌の美しい女性である。大人びた容姿をしており、落ち着いた様子が印象的だ。
友利は、「人捜しの依頼なんですが、15年前、突然いなくなった私の母親を探して欲しいんです」と、依頼の話を切り出す。
「当時は警察の人にもよく探してもらったんですが、まるで見つからなくて……」
「なのに、先日、南蛇井市の外れにある洞窟の近くで私の母らしき人物が目撃されたんです」
「目撃したのは私の友人です。私、その話を聞いていても立ってもいられなくなって……」
また、探索者が友利の以来を引き受けると、彼女は丁寧にお礼を言い、調査には自分も同行させて欲しいと願い出る。
その際、母を見つけたとして、その人物が本人かどうかを一番確かに判別できるのは自分であるなどと言えば、説得力もあるだろう。

以下に、友利への質問によって探索者が得られる情報を記載する。
母親について
友利に母親について尋ねた場合、以下のことが分かる。
・名前は、友利憂(ともりうい)。行方不明になった当時の年齢は25歳。とても綺麗な女性だった。
・母はすでに失踪宣告を受け、法律上は8年前に死んだことになっている。そのため、警察に捜索を手伝ってもらうことは難しい。
母親について話した後、彼女は手持ちバッグから1枚の写真を取り出す。
写真には、若い男女と1人の少女が仲良さげに写っている。その若い女性は、目の前の友利の面影があり、とても美しい容姿をしている。
友利は、母が失踪する1年前に撮った家族の写真だと説明する。
友利の家族について
当時の家族のことについて聞かれると、友利は少し嫌な顔をし、目を背ける。
《信用》《説得》のいずれかに成功すると、以下のことが分かる。
・母が失踪する少し前、父は勤めていた会社からリストラされた。元々お金に余裕があったわけではなかったため、家計はとても苦しくなった。
・それからは家庭内の雰囲気も悪く、両親が喧嘩することも珍しくはなかった。
・父は母が行方不明になってから体調を崩し、母の失踪から3年後に病死した。その後、友利は親戚に引き取られた。
洞窟について
友利に洞窟について尋ねた場合、以下のことが分かる。
・雑木林に囲まれた山の中にあり、三郷洞窟(みごうどうくつ)と呼ばれている。周囲には民家らしい民家はなく、人気もない。
・母を目撃をした話という友人の話を聞き、自分でも三郷洞窟の近くまで行ってみたが、その時は誰にも会うことはなかった。
目撃者について
友利に目撃した友人について尋ねた場合、以下のことが分かる。
・目撃者の名前は、小松聖(こまつひじり)。友利の昔からの友人で信頼の置ける人物。
・趣味のジョギングの途中、偶然友利の母を目撃したらしい。小松は母とも面識があったので、その人物が友利の母だと気付いたそうだ。
・だが、その友利の母にどこか違和感を覚え不気味に思ったので、その日は少し声をかけただけでそのまま道を引き返した。
小松は駆け出しの漫画家であり、普段は自宅にいることが多い。探索者が小松との接触を望めば、友利は小松に連絡をして面会させてくれる。

5:事前調査

探索者が三郷洞窟へ行く前に情報を集めようとすれば、以下のことが分かる。
友利の依頼を受ける前であっても、探索者が情報を集めようとするならば、KPは該当の情報を開示すること。
市の出来事、事件について
《知識1/2》《図書館》のいずれかに成功すると、以下のことが分かる。ただし、警察関係者やジャーナリストなどは《知識》をそのままの数値でロールできる。
・昔から南蛇井市では、度々行方不明事件が起きている。数年前までその件数は減少傾向にあったが、最近また増加しつつあるらしい。
・行方不明者の中には、三郷洞窟の方向へ向かう姿を目撃されている者もいる。また、そのほとんどが、ある日突然いなくなった者たちである。
☆クリティカルの場合、追加で以下のことが分かる。
・ここ最近では、三郷洞窟の方向へ向かったジャーナリストの男性が行方不明になっていることが分かる。

《知識》に成功すると、以下のことが分かる。
・三郷洞窟は、現在立ち入り禁止となっている。だが、付近には雑木林があるのみで人も滅多に近づかないため、それも形だけの処置である。
・車で通れるような道は途中までしかなく、そこからは狭い獣道を歩いていく必要がある。

《歴史》に成功すると、以下のことが分かる。
・400年ほど昔に、突然この洞窟ができたという話を知っている。当時は、今以上に三郷洞窟の周囲には人が住んでおらず、偶然通りかかった村人が発見したらしい。
・100年ほど昔から、三郷洞窟の付近では、綺麗な宝石が見つかるという伝説がある。しかし、あくまで伝説なので、実際にその宝石を持ち帰ったものはいないらしい。
☆クリティカルの場合、追加で以下のことが分かる。
・三郷洞窟ができた当時、何人かの村人がその洞窟に向かったきり、戻ってこなかったという。
小松聖との会話
小松の家は、探索者が三郷洞窟に行くその道中にある。小松は仕事柄、自宅にいることが多い。
小松は明るい性格だが、あまり思慮深くはない。そのため、先日会った友利の母にどこか違和感を覚えたものの、それが一体何なのかまでは気づいていない。
小松から聞ける話は以下の通りである。
・その女性が友利の母であることは簡単に分かった。会ったのはもう随分昔のことだが、とても綺麗な人だったので今でもその顔は覚えている。
・友利の母は、小松のことは覚えていない様子で、話しかけても返事はなかった。その代わり、ずっと優しげに微笑んでいた。

また、探索者が頼めば、小松は先日会った友利の母の似顔絵を絵にしてくれる。
その似顔絵の人物は、確かに友利が見せてくれた写真に写っていた女性と同一の人物である。だが、不思議なことに15年前の写真の彼女とあまりに似すぎている。
このことから、小松の会った友利の母は、15年前から見た目があまり変わっていないのではないかと分かる。
そのことを小松に指摘すると、彼女も違和感の正体はそれだと気づくが、違和感がそれだけではなかったとも答える。
もう一つの違和感について
探索者がそのもう一つの違和感について言及した場合、そのことを尋ねた探索者は《幸運》を振る。
成功すれば、運良く小松はそのもう一つの違和感についても思いだす。
その違和感とは、不思議なことに小松の見た友利の母は、影がなかったように見えたということだ。

6:洞窟への獣道

情報を調べ終わったところで、探索者たちは三郷洞窟へ向かうことになるだろう。
探索者がその道中で、懐中電灯など持ち物を購入したい場合、その場にそぐわないアイテム以外の購入を許可してよい。
車の通れる舗装された道は途中までしかないため、そこから先、探索者は徒歩で進む必要がある。
ちなみに、小松が友利の母を見た場所はここである。この情報は、小松との会話で開示してもよい。

人気のなくなった市の外れ。
静かな雑木林が深くまで生い茂っている。ここから先は徒歩で進む必要があるだろう。
探索者がが周囲に目をやると、ふと、目の端で人影を捉える。
その人影はすらっとしたスリムなスタイルをしている。白い肌の美しい女性だ。
その女性と探索者の距離は、おおよそ20mあるが、その距離からでも妙に惹かれる色香を放っている。
胸元が大きく開き、スカートからは健康的な脚が覗く。扇情的な服装をしている。
女性は探索者に目をやり、優しげに微笑むと、雑木林にある獣道へと姿を消した。
友利は女性を見て少し呆然としている様子だったが、すぐに女性の後を追い獣道へと入っていく。

友利から写真を見せてもらった探索者は、先ほどの女性が友利の母であることに気がつく。
だが、その女性の容姿は、友利が見せてくれた写真に写っていた女性と同一のものである。まるで当時から年月が経過していないかのような違和感を感じる。
《目星》に成功すると、不思議なことにその女性の足下には影がないことを目撃する。目星成功者は、0/1の正気度喪失。
この情報は、探索者がその女性の影を確認すると宣言した場合、技能ロールなしで開示してよい。

女性が姿を消した獣道は、道幅は狭いものの、一本道となっており道を見失うことはない。
女性を追う探索者と友利だが、何故か、誰も先を行くその女性に追いつくことはできない。
まるで探索者たちが追う速度と同じ速度で女性も移動しているかのように感じる。
女性は時折振り返り、流し目で探索者たちを見やる。すらりとのびた線の美しい脚で、まるで妖精が踊るように軽やかに獣道を駆ける。
そのまま女性を追いかけると、気づけば探索者たちは開けた場所にいた。
そこには、人1人が入れるくらいの小さく口を開けた三郷洞窟の入口がある。
女性はもう一度だけ探索者の方に振り返り、スカートを翻しながら三郷洞窟の中へと入っていく。
女性について(KP向け情報)
この女性は、三郷洞窟に棲むクトーニアンが《人間をおびき寄せる》の呪文を使い、探索者に見せている幻影である。
《人間をおびき寄せる》については、基本ルールブックP276を参照。

7:三郷洞窟

三郷洞窟の中は暗く、なにか光源がなければ安心して進めないだろう。
入口こそ探索者たちがちょうど入れる程度の高さであったが、進むにつれ徐々に内部の天井は高く、幅は広くなっていく。
また、洞窟は緩やかであるが傾斜の下り坂となっているようだ。
先に入っていった女性は、まるで蜃気楼だったかのようにいなくなってしまっており、探索者たちはそのまま見失ってしまう。
友利は1人でも洞窟内部へどんどん進んでいこうとする。
そのまま少し進むと、道が2つ(左、右)に分かれている。
洞窟についての情報
《地質学》に成功すると、この洞窟が人口洞窟なのではないかと思う。人口洞窟とは、その名の通り自然現象ではなく人の手によって掘られた洞窟のことである。
また、水を含んだ層が含まれていないことが分かる。
《生物学》に成功すると、洞窟の入口付近の痕跡から、野生動物が洞窟に出入りしている様子はないと分かる。

8:分かれ道A

左の道

左の道を進むと、そこは行き止まりとなっている。
落石注意と書かれたボロボロの立て看板が奥に倒れているのみである。
看板の裏を見ると、『なんじゃいオカルト研究会'99』と落書きがある。
《オカルト》《知識1/2》のいずれかに成功すると、この市にあるマイナーなオカルト系サークルの名称で、メンバーの何人かが15年ほど前に行方不明になったことを知っている。

右の道

右の道を進むと、道端に紙切れが1枚落ちていることが分かる。
また、そのまま進むと、さらに道が2つ(左、右)に分かれている。
紙切れ
もしもこの先、道に迷ったときの目印としてこれを残しておく。
生憎、他にちょうどいいモノを持ち合わせていなくてね。
しかし、あの綺麗な女性は一体なんだったのか……。
そそられる容姿と服装をしたとても美しい女性だった。

9:分かれ道B

左の道

左の道を進むと、道端に片方だけのスニーカーと紙切れが落ちている。
また、そのまま進むと、さらに道が3つ(左、中央、右)に分かれている。
スニーカー
男女兼用のスニーカーであると分かる。デザインは最近のものである。
また、スニーカーのサイズに注目すると、男性が履いていた可能性が高いと分かる。
紙切れ
あの女性を追ってきたのはいいものの、一体こんな洞窟に何があるのやら。
本来ならジャーナリストの血が騒ぐのかもしれないが、いい加減帰りたくなってきた。
あの女性は本当にこの洞窟の中に入っていったのか……。
確かに入っていくのは見えたが、洞窟内でどうも彼女の痕跡を掴めない。
俺は、夢か幻でも見ていたんじゃないだろうな……。

右の道

右の道を進むと、そこは行き止まりとなっている。
何もないと思い引き返そうとすると、頭上で何か軋む音がする。ここで右の道に進んだ全員が《幸運》を行なう。
失敗した場合、洞窟の天井が崩れ、そのロールに失敗した探索者の頭上に岩石が落ちてくる。
「8:分かれ道A」で落石注意の看板を見つけていた場合、《回避*2》を行うことができる。
見つけていなければまず《聞き耳》を行う。これに成功すれば即座に落石の音に気づくことができ、《回避》を行うことができる。
《回避》に失敗、または《聞き耳》に失敗すれば、その探索者は落石が当たり1d6のダメージを受けることになる。

10:分かれ道C

分かれ道Cで分かる情報
《聞き耳》に成功すると、左の道から咳をしているような喉声が聞こえる。成功者は、続いて《アイデア》を行う。
☆クリティカルの場合、追加で以下のことが分かる。
・その咳をしているような喉声は、かすかに中央の道からも聞こえてくる。もしかすると、左の道と中央の道は繋がっているのかもしれないと考える。
《アイデア》に成功すると、人の声にしてはどこか独特で、動物か何かの唸り声のようにも聞こえると感じる。
《生物学》に成功すると、それはあなたが知っているどの生物の鳴き声とも一致しないことが分かる。
一体ここには何がいるというのだろうか。生物学成功者は、0/1の正気度喪失。

左の道

左の道を進んで行くと、闇の中から何かが飛び出す。
光を当てると、それの姿が明らかになる。
長い後ろ脚、一対の黄色い目、小さい馬ほどの大きさだ。
光を嫌ってか、それを向けるあなたを鋭くその黄色い目で睨みつける。
あなたはそのおぞましくも嫌らしい獣の姿に胸が悪くなった。
その怪物の顔は、妙に人間に似ているのである。
そして、咳をしているような、独特の喉声でそれは唸る。
ガストを目撃した探索者は、0/1d8の正気度喪失。

ここから戦闘処理に入るが、探索者が逃走を選択する場合、ガストは「右の道」まで探索者を追う。しかし、それ以上探索者を追うことはしない。(理由は「16:その他後付けの設定等」を参照)
ガストを倒した場合のみ、この道の奥、その右側に横穴があり、どこかへ繋がっていることが分かる。
《アイデア1/2》《ナビゲート》のいずれかに成功すると、先ほどの分かれ道のうち、中央の道に繋がっているのではないかと考える。

中央の道

中央の道を進むと、そこは行き止まりとなっている。
所々に腐った肉片のこびりついた、辛うじて人の姿を保った死体がある。
篭った空間には、その遺体から発せられる鼻をつく嫌な臭いが漂っている。
この悲惨な死体を目撃した探索者は、1/1d4+1の正気度喪失。
また、この道の奥、その左側に横穴があり、どこかへ繋がっていることが分かる。
横穴を進んだ場合、探索者は先ほどの分かれ道のうち、左の道に到着する。そして、そこでガストと遭遇することになる。
死体、その周辺について
《医学》に成功すると、この死体は何か野生動物にでも食い散らかされたようだと判断できる。
また、この死体は骨格から男性のものであり、腐敗状況から最近のものではないかと分かる。
《目星》に成功すると、遺体の近くに紙切れとペンを見つける。何も書かれていないが、その紙切れが道中にあった紙切れと同様のものだと分かる。
また、死体の近くの岩陰からスニーカーが片方だけ見つかる。確認すれば、前の道で見つけたスニーカーの対のものであると分かる。
横穴について
《アイデア1/2》《ナビゲート》に成功すると、先ほどの分かれ道のうち、左の道に繋がっているのではないかと考える。
《聞き耳》に成功すると、横穴の先から咳をしているような喉声が聞こえる。成功者は、続いて《アイデア》を行う。
《アイデア》に成功すると、人の声にしてはどこか独特で、動物か何かの唸り声のようにも聞こえると感じる。
《生物学》に成功すると、それはあなたが知っているどの生物の鳴き声とも一致しないことが分かる。
一体ここには何がいるというのだろうか。生物学成功者は、0/1の正気度喪失。
死体の人物について(KP向け情報)
この死体は、洞窟内に紙切れを残したジャーナリストの男性である。

右の道

右の道を進むと、友利の母親の人影が見える。先ほどと変わらぬ様子で、まるで誘うように探索者を見て微笑む。
そして、彼女はさらに道の奥へと進んで行ってしまう。獣道で追った際と同様に、探索者たちが彼女に追いつくことはできない。
また、彼女を追うその道中で、紙切れが1枚落ちていることが分かる。

このまま彼女を追うのを危険と判断し入口へと戻る場合、友利はそれに反対する。1人でも進んでいこうとする。
彼女にとって、納得は何よりも優先されるべきことであるためだ。友利は、あの母親の姿の人物の正体を確かめるまで帰ろうとはしない。
《言いくるめ》《説得》のいずれかに成功すれば、彼女はしぶしぶという感じではあるが、今回はこれ以上進むことを諦める。
しかし、そのまま生還できれば彼女は後日1人で洞窟の奥へ母親を探しに行く。
そんな彼女がどのような運命を辿るのかは、火を見るよりも明らかであろう。
紙切れ
〈それはひどく乱雑な文字だ〉
あの化け物はなんだ。
これは罠だったんだ。俺を誘き寄せるための罠だったんだ。
間一髪逃げることができたが、俺はどうすればいい。
入口には別の化け物がいて、とても外に逃げられそうにはない。
あのヘビ頭の怪物は一体いつの間に現れたんだ。
もう、ここで、誰かの助けを待つしかないのか……。
どうか、今までのは全て幻で……夢であってくれ…………。
紙切れについて(KP向け情報)
この紙切れに書いてあるヘビ頭の怪物とは、イグのことである。
ただし、このイグはクトーニアンが《人間をおびき寄せる》を用いて見せた幻影である。
この紙切れの情報は、後の項で探索者が生還するためのヒントとなる。

11:クトーニアンとの接触

女性を追って行くと、そこは行き止まりとなっている。
しかし、そこには、先ほどまで探索者たちが追いかけていた彼女の姿はない。
まるで、幻だったかのように消えてしまったのだ。
探索者たちが不思議そうに顔を見合わせていると、突然地鳴りが起きる。

大きな地鳴りと共に、洞窟の奥の壁が崩れた。
ぽっかりと口を開いた横穴から、何かが流れ出してきた。
ぐねぐねと無秩序に蠢く肉塊。
それが押し合い、絡み合い、まさぐるようにして流れ込んでくる。
そして、灰色がかかった黒い色の汁気の多い長く伸びた袋のような体が、洞窟中に溢れ出す。
穴の奥には、それでもまだネバネバしたもので覆われているイモ虫のような胴体が見えることなく続いている。
クトーニアンを目撃した探索者は、1d3/1d20の正気度喪失。

探索者たちがすぐに逃走する場合、クトーニアンはまだ完全に洞窟に現れていないので、無条件で逃走に成功できる。
しかし、この場に留まるのならば戦闘処理に入ることになる。
探索者がこの場逃走した場合、クトーニアンは探索者を追い始める。
KPは、後方からゆっくりとだがクトーニアンが迫ってきていることを伝えること。

12:外を目指す

探索者がゆっくりと迫り来るクトーニアンから逃走を図る場合、それは途中まで上手くいく。
だが、洞窟に入って最初の分岐路を抜けた先、もう少しで入り口に到着するというところで、探索者たちの行く手を阻むかのようにそれはいる。

それは、裸体の巨人だ。
体は白熱しており、異質なことにその生物には頭がなかった。
その代わり、両の手の平に濡れた赤い口が開いている。
確かな悪意に満ちているそれは、あなたたちの前に立ち塞がる。
イゴーロナクを目撃した探索者は、1/1d10+1の正気度喪失。

探索者にはすぐには戦闘処理に入らないが、前方からはイゴーロナクが、後方からはクトーニアンが迫っていることを伝える。
イゴーロナクの正体
このイゴーロナクは、探索者たちを逃がさまいと、クトーニアンが《人間をおびき寄せる》の呪文で見せている幻影である。
道中にある紙切れや、描写の幻や蜃気楼という表現、洞窟の入り口よりも大きい怪物がどこからか急に現れたことなどから、これが幻影であると推測できる。
そのため、イゴーロナクの方へ探索者が進めば、イゴーロナクは邪魔をする素振りこそすれど、そのまま通り抜けることができる。
また、このことは以下の技能を用いることで幻影であることが推測、確認することができる。
《目星》に成功すると、目の前の怪物には影がないことが分かる。
《投擲》に成功すると、投擲物は怪物をすり抜け、そのまま怪物の後ろに落下する。ロール時、洞窟の幅やイゴーロナクのSIZから+20の修正を与える。
KPは、PLの提案次第では、これ以外の方法でイゴーロナクが幻影であることを仄めかす情報を与えてもよい。
脇を通り抜ける
探索者がイゴーロナクの脇を通り抜けたいと提案をする場合、以下のことを伝える。
・イゴーロナクは両手を広げて、自身の脇から探索者たちを逃がさないようにしている。
・イゴーロナクの《DEX》との抵抗ロールに成功すれば、イゴーロナクに触れることなく脇を通り抜けれるだろう。
勿論、この抵抗ロールに失敗しても、その探索者はイゴーロナクの幻影を通り抜けて入り口へ向かうことができる。
このことからも、探索者が目の前のイゴーロナクに実体がないことが分かるだろう。

13:結末

「脱出」(条件:洞窟の入り口から脱出する)

探索者たちは夢中で駆ける。
振り向かず、ただ出口のみを見据え、必死に走った。
やがて、外の光が探索者たちを出迎える。ここにまで来れば、洞窟の中にいたそれは、もう追ってくることはなかった。
それから少しの時間が過ぎた。
今回の事件が関係あるかどうかは不明だが、三郷洞窟は厳重に立ち入り禁止となった。
白衣や黒服の怪しい格好の人々が洞窟へ集まっていたそうだが、その真相は闇の彼方である。
それでも分かることは、彼女の母親の幻影が現れることはなくなり、この市から新たに行方不明者が出ることもなくなったということだ。
探索者は、それぞれの日常へと戻って行くことになる。

「全滅」(条件:全員が洞窟内から出ない、全員がどこかの通路に隠れてやり過ごそうとする)

洞窟内にいる探索者たちはふいに、違和感を感じる。
だが、その違和感を感じたときにはもう、身体は平衡感覚を失っていた。
激しい揺れの中、大きな地鳴りが耳を劈く。
そして、頭部に鋭い衝撃を感じ、探索者たちはそのまま意識を手放す。
遠くから這いよるってくる何かの気配を感じながら……。
目を覚ますと、まず頭部にズキリと痛みが走る。どうやら、何かに強く頭を打ち付けられたようだ。
灯りはなく、辺りは一面の暗闇である。
闇に耳をすますと、何かを啜るような怪しく不快な音と、それに合わせて鈍い唸り声が何度も響くのを感じる。
あなたは不安から周囲に安否を確かめるため声をかける。
皆が返事をする中、友利の返事がだけが聞こえない。何かを啜るような音は、聞こえなくなっていく。
そして、少しの間を空け、誰かが悲鳴を上げる。
最初こそこの世の終わりを告げるような恐ろしい悲鳴であったが、それは徐々に小さくなっていき、再び何かを啜る音が闇を支配するようになる。
安否を確かめるため、再び皆に声をかける。友利に加え、更に1人の返事がしない。
そこであなたたちは気づく。自分達は何かに、順番に、殺されているのだと。
それも、あの悲鳴から察するに生易しい死ではない。皆が死ぬまで終わることもないだろう。
そんな絶望の中、最後にあなたが思うこととは何だろうか。
真実も、探索者たちも、闇の中へ消えて行く。誰にも見つかることなく、消えて行く……。
探索者ロスト。

「死亡」(条件:洞窟内から出ない、どこかの通路に隠れてやり過ごそうとする)

地鳴りと共に、それはあなたへと近づく。
灰色の肉塊が蠢き、押し寄せてくる。
恐怖で体は動かず、あなたはそこに立ち尽くすしかない。
迫り来る恐怖の中、あなたが最後に想うことは何だろうか。
いくつもの触手で捉えられ、そのうちの1つが深々と胴体へ突き刺される。
あなたの身体から、激しい痛みと共に血肉が吸われ続ける。
そして、悲鳴が枯れる頃。その苦痛も遠のいてゆき、あなたの意識は闇に飲まれた。
探索者ロスト。

14:クリアの報酬

生還する:1d10の正気度回復
全員生還:1d4の正気度回復
友利結が生還する:1d4の正気度回復

15:NPC、神話生物について

友利 結(ともり ゆい)、依頼人
STR:8  DEX:14  INT:12 アイデア:60
CON:10  APP:17  POW:13  幸 運:65
SIZ:12 SAN:65 EDU:14 知 識:70
H P:11  M P:13  回避:28  ダメージボーナス:0
[技能]
回避:60% 聞き耳:50% 芸術(家事):60%
経理:40% 値切り:40% 目星:50%
[プロフィール]
今回の依頼人。22歳。
白い肌の美しい女性。本人は気づいていないが頑固な面でもある。
友人の小松から15年前に失踪した母の話を聞き、探索者に捜索の依頼を持ちかけることになる。
友利 憂(ともり うい)、依頼人の母
友利結の母親。享年25歳。
15年前、クトーニアンに捕食されることで死亡する。
美しい容姿であったため、《人間をおびき寄せる》の呪文の幻影としてその姿が使われることとなる。
小松 聖(こまつ ひじり)、依頼人の友人
友利結の友人。22歳。
駆け出しの漫画家で、仕事柄自宅にいることが多い。
趣味のジョギングの途中、三郷洞窟の近くで偶然友利の母を目撃し、その話を友利にした。
漫画家ということもあって絵が上手で、探索者が頼めば目撃した友利の母の似顔絵を書いてくれる。
ジャーナリストの男性、哀れな犠牲者
三郷洞窟内のメモを残した人物。享年33歳。
女好きがたたって、見事クトーニアンの罠には嵌ってしまう。
最後は、餌としてガストに喰われてしまう。
ガスト、不健康な厄介もの
STR:24  DEX:12  INT:4
CON:16  POW:8  SIZ:26
H P:21  M P:8  ダメージボーナス:+2d6
[武器]
噛みつき:40% 1d10のダメージ
キック:25% 1d6+dbのダメージ
※1Rに《噛みつき》と《キック》を1回ずつ行える。
[装甲]
3ポイントの皮膚
[正気度喪失]
0/1d8
[特殊設定]
クトーニアンのテレパシー支配によって、三郷洞窟に縛りつけられている。
洞窟に来た人間を、クトーニアンの待つ洞窟の奥へ追い込む役割を担っている。
たまに餌としてクトーニアンから人間を与えられている。
クトーニアン、触手を持つ地底に凄むもの
STR:52  DEX:8  INT:18
CON:40  POW:18  SIZ:52
H P:46  M P:18  ダメージボーナス:+5d6
[武器]
触手:75% 3d6+吸血のダメージ(吸血:1Rごとに1d6のCON減少)
押しつぶし:80% 6d6+dbのダメージ
[装甲]
5ポイントの皮および筋肉。
負傷した場合、1Rに5ポイントずつのHPを再生させるが、HPが0になれば死ぬ。
[呪文]
《人間をおびき寄せる》《イグ/イゴーロナクに関する呪文》
[正気度喪失]
1d3/1d20
[特殊設定]
テレパシー支配によって様々な生物を支配することができる特殊個体。
それによって、三郷洞窟に住むガストを無理やり奉仕させている。
しかし、そのテレパシー支配は本来効果のあるはずの人間には何故か効かない。
また、《人間をおびき寄せる》を使って人間釣りを楽しんでいる変わり者でもある。
その呪文では、様々な幻影を見せることができるが、幻影に影がないという欠点もある。
イゴーロナク、グレート・オールド・ワン
STR:25  DEX:14  INT:30
CON:125  POW:28  SIZ:25
H P:75  M P:28  ダメージボーナス:なし
[武器]
タッチ:100% 各Rで1INTと1POWを喪失
むさぼり食う:100% 治癒不能の1d4のダメージ
[装甲]
なし
[正気度喪失]
1/1d10+1
[特殊設定]
クトーニアンが作り出した幻影であるため、影はなく、実体もない。
探索者を洞窟から出さぬように威嚇はするが、こちらから接触することはしない。

16:その他設定等

三郷洞窟はクトーニアンが400年前に掘ったもの。しかし、当時は周囲に人がおらず、そこに棲み着くことはなかった。名称には特に意味はない。
それから数百年後、三郷洞窟の存在を思い出したクトーニアンは、再び洞窟へ戻ってくる。
そこには以前とは違い、少し離れた地域にそこそこ人が近くに住んでいた。以降、三郷洞窟へ棲み着くようになる。
また、クトーニアンのいない間に、三郷洞窟にはガストが住み着いていた。クトーニアンは自身の下僕とするため、ガストをテレパシー支配で無理やり洞窟に縛り付ける。
ガストもクトーニアンには勝てないので手は出さない。たまにクトーニアンに餌に釣られた人間を餌としてもらっている。

ジャーナリストの男性はクトーニアンから逃げられたが、入り口のイグ(幻影)に恐怖し、結局は洞窟内に留まってしまう。
そして、最後はガストに殺され、食べられてしまった。
ガストには先日餌(ジャーナリストの男性)を与えたばかりなので、クトーニアンは、今回は自身で探索者を捕らえようと躍起になっている。
ガストが探索者を「右の道」に追い込もうとするのは、このためである。

17:最後に

製作者の暗黒の田中です。
このシナリオのwiki内での使用、改変、あらゆる媒体でのリプレイの公開は、自由にしてもらってかまいません。
ただし、公開する際は、シナリオ元(作者:暗黒の田中)の記載をお願いします。
また、シナリオを回す際に不明な点がありましたら、こちらのシナリオページのコメント欄か、TwitterID:tanakankokuに問い合わせて下さい。
説明不足な点も多いシナリオですが、楽しんで回していただければ嬉しく思います。

このページへのコメント

オンセでお借りします

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Posted by konakona 2016年09月18日(日) 15:10:16 返信

4/23に、ニコニコ生放送にてお借りします。お昼頃からです

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Posted by 影法師 2016年04月22日(金) 23:13:41 返信

オンセでお借りします

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Posted by 雪風 2016年03月12日(土) 21:09:26 返信

オンセでシナリオお借りします!

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Posted by コオロギ 2016年03月04日(金) 19:25:01 返信

オンセでお借りしました。6人でやったのですが最後の神格との遭遇で絶望していた6人でしたが、最後の最後でなんとか切り抜けてくれました!
個人的なあれですが1d12を振ってその出目の回数分+5回分の技能までがタイムリミットといった風にしているとKPもハラハラとして楽しかったです!ありがとうございました!

1
Posted by チル 2016年03月04日(金) 17:06:32 返信

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