クトゥルフ神話TRPGやろうずWiki

依然として、闇はそのままである。
音楽は惑星全体に影響した。
かの歌によって邪悪な存在が星や地球の中から蘇ったことを知る者がいるのだろうか？
そして、粗暴な野獣が今まさに自らの復活を祝い、文明社会に向かってゆらゆらと歩みを進めているのだろうか？
時代は世紀末。
このまま人類は21世紀へと進むことができるのか・・・
21世紀には脅威は残っているのか・・・

確定された未来を知る者は誰もいない。
だが、予測（シュミレーション）は覆ることもある。・・・あの菌類たちが全てを予測できなかったように・・・

True End ...

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　と、ここまで"あの事件"が起きた時 ―私は"あの事件"は今もまだ形を変え、続いていることを確信している― 町にいた4人のことについて荒唐無稽にも思えるような話を語ってきた。
今語った話は、彼らが私に語ってくれたこととそれについて私がさらに調査したことを加えたもので、限りなく事件の真実に近いものであることに疑いは無い。
実際の所、私は彼らも最終的には私と同じように結びつけた―あるいは結び付けかけた―出来事についての方が正しく語れるだろう。
むしろ、こちらの出来事によって彼らにたどり着いたのだ。

　そろそろ私のことについても語ろう。数年前まで私は貨物船ヨランダ・グレイ号で調理員として働いていた。
サンフランシスコを出港したニューワールド・インダストリー社の子会社であるフルクトゥー
―ラテン語で果実を意味するfructuという意味だが、今考えると恐ろしい結びつきがあるように思えてならない。私は悪魔に導かれていたのだろうか！おお主よ、我らを助けたまえ！―
商船会社の貨物船ヨランダ・グレイ号は、パナマで荷を積み替えた後ニュージーランドを経由しパースに向かうため、南太平洋を横断していた。
だが、6月21日に嵐に襲われ―なぜ船は嵐を回避できなかったのか！―操舵室が破壊され南緯44度33分西経124度11分近くの海上で遭難した。
そして機関部が浸水し操舵室が失われた船は、多くの人の知るように南太平洋を嵐の中彷徨うこととなった。
その後、私を含め生き残ったわずか12人の船員は非常食料を2隻の救命艇に移し船を捨てる決断をした―浸水が止まらなかったからだ―。
救命艇で沈みゆくヨランダ・グレイ号から離れようとしていた時、船内で後頭部を強く打ち意識がもうろうとしていた私の意識が最後にとらえたのは、沈みゆく船の貨物室から悪魔的な巨大な触手がうねり出し、
嵐の中を雷鳴と共に一瞬だけ姿を見せた黒々とした島の方へと消えていく姿と自分の悲鳴だった。
その2週間後私たちはチリの沿岸警備隊によって救出された。
だが、私の脳裏はまるで印画紙に焼き付けたように、あの時の光景がはっきりと残っていた。

　その後私は会社から出た僅かな見舞金と退職金で、アメリカの南部の町に家を買い、船乗りを辞めそこに住むことを決めた。
それはあの時の光景が頭から離れず広大な海に潜んでいるだろうおぞましい生物に恐怖したせいでもあったし、私の運命を決定的に変えたこの出来事の真実を調べるためでもあった。
そして、様々なことを調べ、知るうちに私の身に起こったあの出来事と本質的に似ている事件が同時期に世界各地で起き始めたという真実の欠片に私はたどり着いたのだ。
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　まず最初に私が知ったのは、1920年代後半から30年代前半に書かれたであろう"サーストン"という人物の手記の存在だった。
ニューヨークのあるオカルトマニアが持っていたこの手記の写しは私にとって非常に興味深いもので、イースター島近海に眠るルルイエという古代都市とその都市に眠る太古の生物クトゥルーとそれを崇める人々の存在について書かれていた。
私が見たあの島は失われたルルイエだったのか・・・
これを見た直後は奇妙な偶然だと考えたが、私が遭難した日周辺のニューオーリンズとチリの新聞を調べてみたところ悪夢のような一致が見られたのだ。

　チリの新聞によれば、あの日の翌日チリの山岳地帯で煙が上がり奇妙に思った地元警察が調査した結果、悍ましい儀式の跡と僅かに息のあるいたたまれない姿となった犠牲者を発見したという事件が起きていた。
犠牲者は「ふんぐるい　ぶぐるうなふ　くとぅるう」と正気を失いながらも最後の言葉を警官に伝えたという。

　これを知った私は、世界に広がる邪教と封じられた神の存在をはっきりと理解し、あまりの事実に歯の震えが止まらなくなった。
こうして恐怖に震えながらも、他にもクトゥルー教団があの日活動をしていないか世界中の新聞を調べた私は、いくつかの新聞記事に載った事件とその証人たちに会い、クトゥルーから始まった事実の糸から他の事実を見出し真実を織りなすに至ったのだ。
エチオピアでの地震、ナイロビでのカルト教団、ハンガリーでの崩落事件、ネブラスカでの地震、南極での調査隊の事故・・・それぞれの現場で証言を聞いた私は、最終的にネブラスカでのあの事件の関係者・・・そして、あのテープにたどり着いた・・・
あぁ・・・あの音色が耳を離れない・・・あの音楽が・・・・！
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　"あの事件"―ネブラスカの小さな町とその周囲で起きた事件―は、公にはツイスター（竜巻）が原因で起きた自然災害として報じられていた。
軍が事件が起きた後、町の周囲を封鎖し速やかに情報統制を敷いたからだというのは、"あの事件"について調べているマニアの間での共通認識だ。
―このような対応がなされたからこそ、様々な議論が交わされているのだが―

私が探し出した証人―中西部で起きた殺人事件を調べに来た4人のうちの1人だ―に、話を聞くことができた。
最初はあの事件について語るのを嫌がっていたが、私の調べてきたことを話すと他言無用だと前置きをして、その重い口を開いてくれた。
言葉を選びながらであったが、その内容は次のようなものであるらしい。
―時折、球体・・・菌類・・・とどこかを見ながら呟いていたが、彼らは何を見たのだろうか・・・―

　彼らは、自らの友人が犯した殺人事件の裁判について、情状酌量を求めるためその町を訪れたのだという。
彼らが町を訪れた時には既に、おかしな現象が起きていたらしい。
例えば、嵐と地震だ―これは、当時の気象台のデータとしても記録されており、異常なことは専門知識を持つものには明らからしい―。
他にも動物たちが異常な行動を示すなど、事件の起こる前兆のようなものは確かにあったらしい。
そして、彼らの言によれば彼らの友人が犯した殺人事件も事件の前兆なのだそうだ。
さらに彼らが調べたことによると、その町の近くに合った天文台で宇宙からの怪しげな電波を受信したことによってこれらの事件が引き起こされたのだと言うのだ。

　宇宙からの電波など信じられなかったが、私が他に調べた―体験した―ことも信じられないようなことだったため、これはいくらかの真実を含んでいるに違いないと私は確信した。
そして私にとって重要だったのは、世界中で同時期に起きていた自然災害もこの天文台の電波の影響だということだ。
結局、彼（彼女）は、どのようにしてその情報を得たのかについては固く口を閉ざしていた―話すことを・・・あるいは見張られているのを恐れるかのような様子だった―が、
それは私の体験した内容を事細かに人に伝えては、私の正気が疑われるだろうということから来る恐れ―あるいはあの時のことを思い出すことを恐れる―と同一のことだろうと納得した。
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　そのテープはとある研究者から、苦労して手に入れたもので、"あの事件"の起きた天文台から送られてきたものらしい。
これを聞いたとき、その奇怪に轟く重低音の和音と深海でクジラが鳴いているようにも聞こえる音声に、ひどく心を揺さぶられ私はこれの虜となった。
それまで、私の運命を狂わせたあの遭難事故の原因を調べるため世界中を巡り、様々なことを知るにつれて荒んでいた私の心がこの時潤されたのだ。
そして、残りわずかとなった私の財産と引き換えにこのテープを手に入れた私は、家に閉じこもりこれを聞いて安寧と怠惰とも呼べる世界に身を置いた。
このテープを聞いていると、私はその音色と共に深海に広がる美しい古代遺跡の中を泳ぐ夢をたびたび見るようになった。
その夢には故郷とも呼べる穏やかさがあったため、私はこの夢を見ることが好きになっていった。

　そんな生活を初めて2ヶ月・・・いや、半年は経った頃か・・・・ある時から私の周囲で奇妙なことが起き始めた。
最初は鏡だった。家じゅうの鏡が割れ、部屋が荒らされるという出来事が起きた。
失うものなどなく、ただこの甘美な音色のみを求める生活には必要のないものばかりだったので、私は気にはしなかった。
その後も、家の周囲に住みついていた野犬やカラスが狂暴化するなど、益々奇妙なことが続くようになった。

　だが次に起きたのは、ひどく恐ろしいことで私の身を脅かす類の出来事であった。
それは、家の中で不気味な生き物のカゲを見たり、毛が寝室に落ちていた―動物であろうか―というモノであったため、
私は家の一室に閉じこもり、外から不気味な毛を落とす生き物が入って来ないよう窓に内側から板を打ち付け、音楽がもたらす安らぎと夢の中へと逃げ込んだ。
また、この後明かりがあるとき、そのカゲが見えることに気づいた私は家じゅうの明かりを取り払うことにした。
それでも、その不気味な生き物は私を追い続けているようで、毎朝魚のすえた臭いが部屋に立ちこめるようになった。
そして家がどこかから揺らされるようになってから、私は明らかな身の危険を感じ今までの出来事をこの手記を書くことにした。
―彼らの身に起きたという出来事も同じモノなのか、彼らを今も怯えさせているモノが私を狙っているのか―

　そして、数時間前のことだ。夜中、急にドアを叩く音がし、奇妙な外套をまとった縁の広い帽子を被った男が私の家を訪れた。
その男と話してみると、震えたような声で私の持つ音楽を渡せと言って来た。―私の今の状況について何か知っているようなこともほのめかしていた―
やはり、そうなのだ。彼が、私の周りをこそこそとする元凶なのだ。
そう考えた私は、彼を追い返そうとした。だが、締め出す直前、彼は紙にくるまれた手鏡を渡してきた。
彼は「真実はそこの中にある」と言い、そのまま去って行った。

　（ここで、手記は一旦途切れており、数ページがやぶられた跡がある）

　そうか、全てが分かった。
テープは壊して暖炉の中で燃やした。
だが、私には全てが遅すぎた。―最初から運命づけられていたのかもしれない―
私は変わりすぎているし、もう帰る所はここではない。
これを読んだ者へ、今の私はやがて死ぬ。
そして生まれ変わった私を私だと分かるものはもういないだろう。―鏡を置いて行ったあの外套の男なら分かるかもしれないが。―
もし君の周りで不自然な現象―異常気象、動物の異常行動、人の異常行為―が起きたら、音楽が聞こえないか・・・天文台が近くにないか注意して欲しい。
もしあったのなら、天文台と電波、異常現象の関連性を考えてみてくれ。
君が気づけなかった時に、私は破滅と共に戻るだろう。
私は行く。
海の底のあの遺跡の世界へ・・・

1998年11月フロリダで起きた失踪事件の証拠品Ａ

例の事件から一カ月後。私はシカゴの療養所で過ごしている。
事件が解決したというのに、今でもテキサスの光景のような広い場所や、満月やボールといった丸い物に恐怖を抱いてしまうのだ。
気をつければ、特に日常生活に支障はない。しかし、唯一困ったことといえば、レッドソックスの応援ができないことだ。
近況はさておき、事件以降、私の生活で変わった点がほかにもある。
今回の体験を元に、ちょっとした自著伝——もちろん、事の真相に触れない程度の内容で、かつ有る程度の誇張を交えたものだが——を出版した所、
それがけんか別れしたきりであったプロデューサーと再会、和解するきっかけとなったのだ。
さらに今度、この体験を元にしたヒューマンドラマに出演することが決まった。
撮影はもう少し先になるが、今後の生活に明るい兆しが見えてきたことには間違いない。

———外の風景を見ていると、時折、何かが木陰に隠れた、そんな刹那の瞬間を目撃してしまったかのような気になることがある。
せっかくの夢のような幸せな気分も、これを見ると、すぐに現実に引きもどされる感覚に陥ってしまう。
……なぜだか最近、誰かに見られている気がしてならない。
まさか、あの時の怪物が、執拗に生き延びた私をつけ狙っているとでも言うのであろうか。
確かに約束したはずなのだ。口封じはしないと……ああ、また誰かが、どこかから私を見ている……

もう8年も前になるが一度振り返ろうと思う。
あの後スタンはやはり裁判で有罪にはなったが、情状酌量の余地があったとして刑期は短くなったらしい。
残念なことではあるが、あの事件から生きて帰れたという事が奇跡的なことであったと思い、納得することにした。
あれから僕は時々にあの冒涜的な事件の後遺症なのか、何事もない日常の中でふと一歩踏み外したところにあのような悪夢が待ち受けているのではないかという不安に襲われることもあった・・・。
それでも、今こうして日常に帰ってこれている。
これからはあのような事件に巻き込まれることはないと思いたい。

そういえば、父親のことは完全に納得できたわけではないが不仲というほどではなくなった。
妻と結婚した後も、そのまま同居している。
父も妻も仲は悪くないので、上手く言っている家庭なのだろう。
ただ、困るのが父のガンシューティングの趣味だ。
銃を撃つことにハマってしまい、そのままインストラクターにもなってしまった。
たまにやたらと銃を撃つことを進めてくるが、僕は銃が好きではない。
・・・これから生まれる娘に変なことを教えないで欲しいが、どうにも不安だ。
将来は銃社会から離れるために、日本に引っ越すことも考えている。
妻や父にはまだ相談していないが、これから話してみよう。

妻が呼んでる、ここまでにしよう。
これから生まれるわが子に幸の多く有る事を願う。
元気に生まれてくれ「Cherie」。

あれからしばらくたって、カウンセリングを受けながら私は徐々に元の生活へと戻っていった。
車の整備工場は相変わらずぼちぼちの商売をやっている。
親父もまた相変わらずで私が満身創痍で帰ってきたのを見て
たった一言「遅い、仕事が溜まってるぞ」としか言わなかった。
帰ってきた、その実感がなによりもうれしかった。

最近よくあの光景が浮かぶ…
この世のものとは思えない、この世の終わりのような光景
人が人を殺し、炎、暴力、死、雷…
そして、あの若者が歌ってた奇妙な音楽。
人には、立ち入ってはいけない領域がある。
神の領域に近づけば近づくほど、狂気に呑まれていく、そういうものなのかもしれない。

今はまだ忘れることはできない、だが少しづつ私は私の日常に帰っていけると信じている…
「…おう親父！７番の車仕上げといたぞ！」
END

一月間は広い場所や球体の恐怖を感じていたが、薬で治った
そしてまた今日も弁護の仕事がまっている
相手が何でも金次第　ようこそ、ワード弁護士事務所へ
ＥＮＤ