ここは、クトゥルフ神話TRPGのオンラインセッションに関する各種情報がまとめられているWikiです。

1.はじめに

 これは「クトゥルフ神話TRPG」に対応したシナリオです。
舞台は1920年代後半のアメリカ・マサチューセッツ州のインスマス。
季節は真冬。これはシナリオが特殊なため、時代・舞台の変更ができません。PLは3〜4人が最適と思われます。
穢れた町インスマスの毒をしゃぶりつくすシナリオを目指して書きました。
KPはサプリ「インスマスからの脱出」が必須となります。
必須技能は<応急手当><医学><聞き耳><言いくるめ>が無いとシナリオ進行が詰むことがあり得ます。

2.シナリオの概要

 アメリカ政府はインスマスが地元の教団「ダゴン秘密教団」が町ぐるみの組織的な犯罪に加担しているという証拠を掴んだ。
政府はこれが国家的危機レベルのケースだと判断し、財務省の役人と海兵隊の特殊部隊でインスマスを強襲し、町の住人達を一網打尽にするという襲撃計画(インスマス襲撃)を立てた。
一方その頃、政府がそんな作戦を立てているとは露ほども知らないアーカムにあるとある出版社の探索者達は、インスマスを調べるためにその街を訪れていた。

(「インスマスを観光する」という理由では、町の闇を知り得ない可能性が高い。
探索者達が町の秘密を知ってしまい、明日にでも教団の暗殺者がやってくる。
しかし、暗殺者が働く直前に政府のインスマス襲撃が始まり、探索者達は危機一髪で助かる。というのが最善のシチュエーション。
そのために、町を調べるためのもっともらしい理由をKPは探索者達に与えるべき。
本テキストでは、探索者達が記者であるということでシナリオを書く。)

2日にわたる調査で探索者達は町の秘密を知ってしまう。
そして「ダゴン秘密教団」の神官達も邪魔な探索者達を抹殺しようと事を進める。
探索者達に危機が迫る2日目の夜に財務省の役人と海兵隊が町を襲撃してくる。
探索者達はインスマスを無事に脱出しなくてはならない。
 なお、海兵隊は「町にいる人間を例外なく確保」という命令を与えられており、作戦の参加者とそれ以外を区別するために「サムソン」という合言葉を前もって決めている。
探索者達はインスマスの住人ではないが、合言葉を知らない。
さらに町から出る道路は全て海兵隊が封鎖しているため、強行突破は不可能だ。
このことにKPは十分注意してシナリオを進めること。

時系列
 1日目の午前中に探索者達とビル・フォーブス(後述)がインスマス入り。
午後に探索者達は町の取材を行い、レイモンドは町の闇を調べる。
 2日目の午後にレイモンドは誘拐され、殺される。
同時刻、探索者達は引き続き、町の取材。そして町の真実を知る。
2日目の夜に教団の暗殺者が探索者達を黙らせようとするが、同時刻に政府のインスマス襲撃が開始される。

X.シナリオ本編

1.アーカム出発

 時は1920年代後半、2月頃。
探索者達はアメリカ、マサチューセッツ州アーカムにある出版社に勤める記者達だ。
今回、探索者達は編集長からインスマスに関する本を出版するため、取材をしてきてほしいと頼まれる。
調査予定期間は3日間だ。3日分の滞在費なども支給してもらえる。
探索者達は事前知識としてインスマスについて、以下のことを知っている。
・古びた漁村で、住人はとても少ない。その町に住む人々には遺伝性の皮膚病が蔓延している。
・あの町に好き好んで行く人はごく少数。
・あの町の住人はよそ者と親しくしようとしない。
・(<知識>に成功すれば、アーカムの伝承の中に、インスマスの住人は魚のような顔をしているものがおり、そんな人間のことを「インスマス面」呼んでいる。ということを知っている)

 探索者達がアーカムからインスマスに行く手段は主に2つある。
出版社や探索者達の車を使うか、アーカムからの「サージェントのバス・サービス」を利用するかだ。
アーカム発インスマス行きは午前8時に出発する。
アーカムのダイアー・ストリート705、フリートウッド食堂の傍にあるバス停を出発し、30分程かけてインスマスに到着する。運賃は40セント。
 バスに乗る人は極めて少ない。また、運転手の「ジョー・サージェント」は人間と深きものの混血種であるため、いわゆる「インスマス面」の兆候が見られる。
 バスで行く場合、アーカムから乗車する人物は探索者達の他に男性がいる。
探索者が彼に話しかけるなら彼は「レイモンド・ダグラス」といい、ボストンの歴史作家を名乗る。
彼は各地を巡りながら、その土地の歴史を調べて本を出版していると言う。
しかし、彼の正体は「ビル・フォーブス」といい、BOI(現在のFBI連邦捜査局)の捜査官だ。
彼はインスマス襲撃の前の潜入捜査官として身分を偽りインスマスに潜入する。
彼の宿は後述する「ギルマン・ハウス・ホテル」だ。彼は政府のインスマス襲撃が始まる前に殺され、沼に打ち捨てられる。
(このビル・フォーブスの件は公式とは設定が異なっていることをご容赦下さい。サプリではビルはインスマス襲撃時には既に白骨化しています。)

2.インスマス到着とギルマン・ハウス・ホテル

 「サージェントのバス・サービス」はインスマスの「ニュー・タウン・スクエア」にある停留所に止まる。
レイモンドはバスから降りると、探索者達に別れを告げ、どこかに行ってしまう。
探索者達の追跡は撒かれてしまう。探索者達はひとまず、宿を探すだろう。
インスマスにあるホテルはフェデラル・ストリート702の「ギルマン・ハウス・ホテル」だけだ。
ホテルのオーナーは「ジョージ・ハビット」。彼は完全な人間だが、「ダゴン秘密教団」の忠実な手先だ。
ホテルのクロークは「チャールズ・ギルマン」で明らかに混血種の兆候が見られる。
彼はロクに仕事をしないが、チップをチラつかせれば、荷物を部屋まで運んでくれる。
探索者達にあてがわれるのはホテルの3階、南西の部屋だ。これは探索者達の脱出を最大限、困難にするためだ。
部屋に着くまでに周囲を見渡し、<アイデア>に成功すると、ホテルには非常階段がなく、州の安全基準に違反していることが分かる。
さらに部屋のドアはほとんど開いており、宿泊者もとんどいない。
部屋に着くと、驚くことに部屋には鍵が掛けられないことに気づく。これも宿泊者を拉致しやすくするためだ。

3.調査

 宿に荷物を置いた探索者達は町に繰り出し、調査を開始することになる。
どこに行き、何をするのも自由だが、KPはインスマスの住人が探索者達とは話をしたがらないことを留意するべきである。
目立つ行動をすれば、町を仕切る「ダゴン秘密教団」の神官達に目をつけられる。
この調査で探索者達はできる限りのインスマスの闇を知ろうとするだろう。KPは徐々に情報を与えるべきだ。
 このイベントの目的は2つある。1つはインスマスの闇を調べること。もう1つは街の構造を知ることだ。
街の構造を知ることによって、2日目夜の行動(後述)が楽になることだろう。
ここではインスマスの主な施設(公的な・目立つ)とそこで何ができるかを大雑把に説明する。
当然、行った場所で戦闘になることもあるし、SANチェックも行う。
戦闘になると、翌日からの調査は絶望的になることにも注意するべきだ。

A,集会所

 フォール・ストリート403にある。開館時間は月曜から金曜の午前9時から午後5時だが、予定外に閉まっていることがかなり多い。中には10%の確率で役職に就く誰かがいる。
誰もいないなら、<隠れる><忍び歩き>に成功し、<図書館>の半分に成功すれば、短い時間だけ、資料を覗き見できる。
事務員は「ユースティス・エリオット」。彼女は完全な人間だが、「ダゴン秘密教団」に忠実で、詮索好きな探索者達を嫌う。
探索者達は基本的な資料を見せてもらうことにさえ苦労することになる。
<法律>に成功すれば、追加の資料を出してもらえるが、資料が渡されるのは翌日のことになる。
そして彼女は無礼な探索者達のことを教団に報告する。
ここに勤めているのは、町の行政委員「セバスチャン・マーシュ」「F,マレー・ギルマン」「ジョナス・ウェイト」、租税査定管「ノア・エリオット」、出納長「イーサン・ヘイル」、法務官「アーサー・ピアス」だ。

B,ダゴン秘密教団本部

 フェデラル・ストリート506にある。教団の中に入ることは不可能だ。
忍びこむならそれは探索者達の惨たらしい死を迎えることと直結する。
教団本部前をウロウロするだけで、神官達に報告されるのだ。

C,インスマス・クーリア新聞社オフィス

 ドック・ストリート501にある。1846年の暴動以来封鎖されている。
重要な情報が手に入るが、この建物に入るところを見られた探索者達は教団の注意を強く引くことになる。
中は炎や煙によって著しく損壊したものが数多くある。
地下室のごみ山の中で<目星>に成功すると、インスマス・クーリアの編集者であった「ジョン・ローレンス」という人物と「オーベッド・マーシュ」という人物が明確に敵対していたことを示す新聞を発見する。
さらに<目星>に成功すると、ローレンスの家はマーチン・ストリート1003であることを掘り起こす。
 マーチン・ストリート1003に行くと、ドアに板が打ち付けられた小さな2階建ての建物を発見する。
中に入り<幸運><目星>に成功すると、階段の踊り場の床に、螺子で固定された秘密の羽目板を見つける。
中には1833年の創刊から1846年の終刊までの完全なインスマス・クーリアが製本されたものを発見する。
これには配達されなかった唯一の最終巻まで綴じられている。
最終巻は「オーベッド・マーシュ」という人物とその信奉者達が殺人・誘拐・放火といった罪により、検挙されると書かれている。
これはインスマスの闇を知る上で非常に重要な鍵となる。

D,マーシュ邸

 ワシントン・ストリート404にある。
インスマスで最も豪華で大きい屋敷で美しく手入れされた庭のある3階建ての邸宅だ。
裏には2台の車が入るガレージがある。車は2台とも大型で新しいセダン。
2台とも後部座席に乗る人を隠せるようにカーテンが取り付けられている。
無断で入るなら(断りを入れても勿論拒否されるが)執事の「ノーベル・ヘイスティングス」にボコボコにされた上で、警察に突き出され、ショゴスの餌になるだろう。

E,マーシュ精錬会社

 マヌーゼット川北岸にある。
6人ほどが働いているが、例外なく混血種だ。
彼らは探索者達に何を聞かれても一切何も答えない。
夜には警備員の「ロバート・バラント」が巡回しており、忍び込むのが見つかれば、電話で応援を呼び、躊躇なく発砲する。

 ここでは主要な施設しか書かなかったが、個人的な家はまだまだあるし、情報はむしろ個人の家で聞けるものの方が、インスマスの真実を伝える。
公共施設は教団の手先しかいないので、真実は何も知ることができない。どこに行くかは探索者次第で、描写はKPに一任します。

4.宿に戻って

 探索者達が一日目の調査を終えて、ギルマン・ハウス・ホテルに戻ると、ロビーではレイモンドがチェックインしている。
彼が探索者達を知っているなら、気付くと、笑顔を向けて話しかけてくる。
知らないなら、この場面で探索者達に接触させるのが良い。レイモンドが泊まる部屋は探索者達の部屋の隣だ。
 

5.レイモンドの来訪

 探索者達が部屋で過ごしていると、レイモンドが探索者達の部屋を訪れる。
彼は探索者達がなぜこの町を訪れたかを知りたがっている。
彼は探索者達が僅かでも自分を不審に思っていると判断したら、会話の方向を変え、探索者達の疑惑を躱す。
彼は決して自分の身分を明かすことなく、終始一貫して、偽った身分を話す。
探索者達が彼の嘘を見抜くのはかなり難しいだろう。
会話の中で彼は、インスマスを明後日出発し、次はニューベリィポートに向かう予定だということを話す。
この予定は嘘で、政府の襲撃時に財務省の捜査官と合流する予定だったが、彼は翌日の午後にはいなくなる。
彼は教団に誘拐され、殺されるのだ。
 レイモンドが部屋に戻ると、探索者達は自由行動となる。
探索者達が夜間に調査をしたいというかも知れない。
KPはその意思を尊重するべきだが、夜間に町をうろついて、教団と町の住人が黙っているはずもないことを気に留めておくこと。
夜になるとホテルの玄関は施錠されてしまうため、正面からの外出は不可能になる。
探索者達は東側にある窓から隣の建物の屋根に飛び降りて脱出することが可能だ。
隣の建物の屋根は2階の高さにあるので、飛び降りる場合は<跳躍>を使って判定する。
成功すれば着地できるが、失敗した場合、KPは失敗した探索者が屋根から落下したことにしてもよい。
落下すれば当然、それなりの音がするだろう。
隣の建物は無人なので屋根に着地できれば、天窓を開けて中に入ることができる。
階段を使って下りていけば、外に出ることができる。KPは外から部屋に戻る手段をPLにしっかりと提案させる必要がある。
 ここから先の探索は 3.調査 と同じイベントとして扱う。
ただし、夜間は行動が見つかりにくい半面、相手の行動も分かりにくい。

6.インスマス二日目・レイモンドの秘密

 探索者達はギルマン・ハウス・ホテルで朝を迎える。朝は季節も相まって身を切るような寒さだ。
 隣の部屋に泊まっているレイモンドは既に外出したようで、ノックしても返事はない。
ただ、部屋の構造の問題により、部屋には鍵が掛からないため、中を覗くことは可能だ。中に入ると、スーツケースが一つ置いてある。
 スーツケースには鍵が掛けられているが、<鍵開け>に成功すれば開けることができる。
中には38口径拳銃{エンフィールド・リボルバー}のケースと1インチ口径の信号拳銃が2挺、信号弾が5発、12ゲージ弾の空箱がいくつか入っている。
他には「レイモンドのメモ」(下記参照)、ギルマン・ハウス・ホテルの領収書(レイモンド・ダグラス名義)、「ビル・フォーブス」名義の運転免許証が入っている。あとは雑多な衣類だけだ。
 レイモンドのメモは今夜の襲撃の暗示、領収書は所属しているBOIの存在を匂わせ、免許証は「レイモンド・ダグラス」は偽名だということを示す。

「レイモンドのメモ」の内容
  • ダゴン秘密教団本部:フェデラル・ストリート506  アンソニー・コーソウ大尉
  • マーシュ邸:ワシントン・ストリート404 ジョー・メインズ少佐
  • マーシュ精錬会社:マヌーゼット川北岸 エドガー・J・フーバー氏
  • 地下トンネル及び倉庫:キンスマス北部 エリック・ダヴド中尉
  • 沿岸警備:インスマス湾 スティーヴン・ハースト中佐
  • イハ=ンスレイ:イハ=ンスレイ ロバート・ハロウ中佐

このイベントを無理に発生させる必要はないが、価値ある情報は得られる。

7.調査

 6.インスマス二日目、レイモンドの秘密 で探索者達が「レイモンドのメモ」を読んでいた場合、そのいずれかに行こうとするだろう。
この調査中に探索者達は教団の監視を受ける。監視者は町中にいるため、振りきるのは難しい。
この執拗な監視を振り切るには<隠れる><忍び歩き>の両方に成功することが必要になる。
成功すれば、一時的に監視を受けずに行動することが可能になるが、再び監視に見つかるのにそれほど時間はかからない。
また探索者達は<目星><アイデア>のどちらかに成功することによって監視に気づくことができる。
この調査で探索者達は昨日の調査で分かったことよりも多くの真実を知ることになる。
この動きに気付いた教団は夜に暗殺者をギルマン・ハウス・ホテルに向かわせることを決定する。

8.不穏

 7.調査 の中で午後3時ごろ(目安でよい)に町の中を歩いていた探索者達は<聞き耳>を半分の数値で行う。
成功すると、遠くから「ダァァァァ・・・・ン」という微かな低い音を聞きつける。
ここで<アイデア><ショットガン>に成功すると、その音がショットガンの発砲音だと分かる。
インスマスは入り組んだ作りになっているため、どこからの音かはわからない。
 これは「ビル・フォーブス」が教団の暗殺者達に襲われ、抵抗した時の銃声だ。
彼は自分が狙われていることに気づき、ホテルを昼にチェックアウトし、隠れながらインスマスを脱出しようとしていたが、監視に見つかり抵抗かなわず殺され、町の北西にある「グレート・インスマス塩沼」に遺棄されることになる。
彼はインスマス北西部の北住宅地区で襲われ、攫われた。
探索者達がこのイベントの後に北住宅地区で行動することがあったなら、<幸運>の半分を行う。これに成功した場合、さらに<目星>を振らせる。
成功者は地面に残った、消すための努力が為されたわずかな血痕と、道を舗装している石畳の間に挟まった12ゲージ弾の空薬莢を見つける。
 もし、該当時刻に探索者達が北住宅地区にいる場合、このイベントは町の他の場所で発生する。KPはその場所を自由に変更してよい。
作者が北住宅地区を襲撃地点に選んだのは死体を遺棄しやすい沼地が近いという理由です。

9.レイモンドの不在

 日が暮れかかった頃、探索者達は調査を終えて、ギルマン・ハウス・ホテルに戻ってくることになるだろう。
フロントにいる「ジョージ・ハビット」は既に教団から探索者達の暗殺予定の連絡を受けている。
探索者達は自分たちの部屋に行くまでにレイモンドの部屋の前を通り過ぎることになるが、驚いたことに部屋のドアは開いている。
スーツケースもなくなっている。
フロントでハビットにレイモンドのことを聞くとわずかに含み笑いをして「彼は昼にはチェックアウトした」と答える。
これは真実のため<心理学>で探っても意味がない。なお、彼は教団によるレイモンド殺害のことを知っている。
 レイモンドの借りていた部屋を調べ<目星>に成功すると、ベッドサイドのテーブルにある卓上メモの一番上のページが破り取られていることに気づく。
破られた紙はどこを探しても無いが、筆圧のせいで下の紙にも跡が残っている。
内容は<アイデア>の半分に成功すれば読むことができる。
内容は短く「逃げろ、怪しまれるな」とだけ書かれている。
 この警告文はビルが昼に戻ってきたときに書き、破って探索者達の部屋に投げ込んでおいたものだ。
しかし、メモはクロークの「チャールズ・ギルマン」に見つかり、捨てられてしまった。
 このメモを読んだ探索者達は町を脱出しようとするかも知れないが、KPは既に日が落ちていることなどを告げ、夜間の行動は危険だと遠まわしに警告するべきだ。それでも脱出しようとするなら、ハビットが既にホテルの玄関を施錠してしまっていることにしてよい。

10.夜

 眠りについた探索者達は<幸運><聞き耳>の高い方を振る。
成功者は何かがわずかに軋むような音を聞いて目が覚める。
目が覚めてそれほどしないうちに探索者達は部屋の外で何かが忍び歩きをしている音を聞く。
そしてドアのノブが静かに回り、教団の暗殺者達が部屋に侵入してくる!!
暗殺者の数は合計して1D10+5体の深きものと混血種だが、一度に部屋に入って来るのは3体までだ。
深きものはかぎ爪を構え、混血種はナイフや棍棒を持っている。
この異形の集団を目撃した探索者は1D2/1D8のSANチェックを行う。
 ここからは戦闘になる。相手は武装した教団の暗殺者。教団の暗殺者はランダムに探索者達を攻撃する。
探索者達は武道家でもない限り、勝つことは不可能だ。また、武道家でも相手が多いため、勝つことは難しいだろう。
KPはこのことをPLに警告しなくてはならない。
 2R目の開始時に探索者達全員に<目星><アイデア>を振らせる。
成功者は窓の外に隣の建物の屋根が見えることに気づく。ここからの脱出が可能だ。
2R目に入る前でも探索者達が窓から脱出できることに気づけば、KPはそれを許可してもよい。
 窓から脱出した時に<跳躍>に成功すれば落下ダメージはなしでよい。
そして屋根に着地すると同時に「ダダダダダダ・・・・」と割と大きめのフルオート銃の銃声が聞こえる。
ホテルの窓から身を乗り出して探索者達を見ていた暗殺者達にも銃声は聞こえたようで、騒ぎ出した。
やがて暗殺者達は騒ぎながら、探索者達の視界から消えていく。

11.インスマス襲撃

探索者達が建物の中を降り、家の前のエリオット・ストリートに出るとまだ銃声は続いており、叫び声も聞こえてくる。
それは道に降りたことでよりはっきりと聞こえ、北東の方角から聞こえてくる。
これはマーシュ精錬所で混血種と財務省の捜査官が戦闘を開始した音だ。
 KPは描写に気を使い、探索者達をマーシュ精錬所方面へ向かわせて欲しい。
また、探索者達がどうしても他の方向へ向かうと主張する場合、探索者達は最良の結末に至るために必要な情報を得る機会を喪失する可能性がある。

12.戦闘と暗雲

 探索者達が街の北東方面に近づくと、銃声はさらに大きくなる。
やがて銃声の発生源が東側、探索者達の進行方向右側に見える。
そこではスーツを着た役人と思しき男達と、昨日と今日で町の取材中に見かけた男達、つまり「インスマス面」の男達が銃撃戦を繰り広げている。
その銃撃戦は激しく、まるで戦場のようであり、探索者達がおびえるには十分な迫力がある。
この鬼気迫る戦闘を目撃した探索者は1/1D6のSANチェックを行う。
 やがて銃撃戦はスーツの男達の勝利で終わる。
そして男達は黙って精錬所の中に入ろうとするがその時、若いスーツの男が混血種の一人に息があることに気づき、他の男に報告する。
混血種は戦う意思を見せず、助けを求めるような仕草をする。
だが、上司と見られるスーツの男は混血種に近づくと、躊躇なく拳銃の引き金を引く。
これを見た若い男は「いいんですか?町の人間は例外なく捕縛という命令だったはずですが。」と上司に尋ねる。
上司はその質問に対し、「全員を生け捕りにしてたらキリがないだろ。いくらかは殺しといたほうが効率的だ。こんな化け物じみたやつと行動なんてまっぴら御免だからな。」と答える。
それを聞いて部下が「でも町の住人には普通の人間もいるのでしょう?」と尋ねる。
上司はそれに「捕まえて、生きていたら合言葉で確認すればいいだけだろ。知らんやつなら作戦に関係ない。つまり殺しても問題はねぇよ」と言うと、唾を吐き捨てて建物の中に入っていく。部下も上司に続いた。
 この描写は極めて重要な部分なのでKPはそのことを十分に留意すること。
この描写から探索者は「スーツの男達は例外なく捕縛あるいは発砲してくる」つまり、「男達に助けを求めることはできない」という情報を得る。
さらに「合言葉を知らないやつなら殺してもいい」ということも聞ける。つまり「合言葉を知らない探索者達も彼らの標的になる」ということだ。
もし探索者達がマーシュ精錬所以外に向かった場合、「ダゴン秘密教団本部」「マーシュ邸」でも同様のイベントを発生させることができる。
万が一、探索者達がその全てを回避し、町から脱出しようとして海兵隊の検問に引っかかるようであれば、合言葉を知らない探索者達は問答無用で拘束され、襲撃が終わった後にインスマス面を持つ怪物じみた住人達とトラックに詰め込まれて連行されることになる(バッドエンド)。
なお、海兵隊は主要道路だけでなく、沼などにも警戒網を敷いている。
同様に海からボートなどで脱出を試みても、海には海兵隊の3隻の沿岸警備隊の艦船がそれを阻む。湾の中でうろうろしていれば、海中から飛び出したかぎ爪のある手が探索者達を海に引きずり込むだろう。
要するに逃げ場は無い
 そしてこの場面でできることはまだある。それは武器と死体の着ていた服の回収だ。
混血種や財務省捜査官が持っていた拳銃やショットガンを鹵獲できる。以下が鹵獲できる武器だ。
  • 45口径オートマチック×2 ダメージ:1D10+2
  • 12ゲージショットガン×1 ダメージ:4D6/2D6/1D6
  • トムソン・マシンガン×1 ダメージ:1D10+2
また近くに停まっているセダンのトランクにはショットガン一丁と4つの消防斧、様々な弾薬が積まれている。
 マーシュ精錬所でなら財務省職員のスーツ、ダゴン秘密教団本部でなら海兵隊の制服、マーシュ邸でならそのどちらでも死体から得られる。

なおここから先、町を行動することになる。そのため、1ブロックごとに40%の確率で深きものもしくは混血種1D3体と遭遇する。
探索者達は敵を倒してもいいし、逃げてもいい。
探索者達の装備は不十分だろうし、不用意に発砲すればそれは敵か海兵隊を呼び寄せてしまうだろう。
逃げる場合、DEX最大値を持つ敵とDEX対抗ロールに成功することが必要になる。
このイベントを連発するとシナリオのリズムが悪くなるので、KPの判断により、この遭遇は削除しても構わない。

13.脱出

 12.戦闘と暗雲 で得た情報から探索者達は隠れながらも、最速で町の外に脱出しようとするだろう。
もちろん、そのまま脱出できるほどこのシナリオはヌルくない。
探索者達が町から脱出するために道路を進むと海兵隊が検問を実施しているのが見える。この検問の教皇突破は不可能だ。
幾重にもバリケードが張られ、武装した海兵隊員とその背後でエンジンのかかっているトラックが見える。
見つかれば海兵隊員は探索者達を拘束あるいは射殺するために行動し、捕まれば問答無用で縛り上げられ、運搬用トラックの荷台に投げ込まれ、インスマスの魚臭い住人達と連行されることになる。
沼を突破しようとするならば、検問は実施されていない。ただし、海兵隊のスナイパーが沼を狙っている。
探索者達が沼を進んでいると、探索者達の接近に気付いたサギ(鳥)がバサバサと飛び立つ。
次の瞬間、銃声が響くと同時にサギは吹き飛んでいく。これを見た探索者は沼からの脱出を諦めるだろう。
<隠れる>を宣言して強行突破しようとするなら歩いてきた海兵隊員に発見させても構わない。
 沼に入った場合、探索者の中で精神の一番高い者が精神×4の<幸運>を行う。
失敗した探索者は何かに躓いて転ぶ。探索者が躓いたのは蒼白な顔を血に染めた「レイモンド・ダグラス」の死体だ。
この凄惨な死体を見た探索者はSANチェックを行う。ロールプレイにもよるが最低でも1/1D4
彼と仲良くなっていたなら1D2/1D8まで上昇する。
 なお、彼はコートの内側にあるショルダーホルスターの中に38口径拳銃{エンフィールド・リボルバー}を装備しており、ポケットの中には大型のナイフを鞘に入れて持っている。(ショットガンは襲撃者に没収されている。)

14.街の中の出来事

 このパートでは探索者達が街の中を移動中に近づくと、何かしらのイベントが発生する場所を記載しておく。

A.マーシュ邸

 ここに近づくと建物の中で懐中電灯と思われる灯りがいくつか動いているのが見える。
しばらく経つと、ゴボゴボとくぐもった声の悲鳴が聞こえ、その直後にこの世のものとは思えない恐ろしい絶叫が響き渡る。
この絶叫を初めて聞いた探索者は1/1D6のSANチェックを行う。
数秒後、建物二階のが砕けて中からガスのような粘液のような黒いものが噴き出してくる。
それは凄まじい嘆き声をあげながら空へ昇り、夜の闇へ消えていく。
これを目撃した探索者は<アイデア>を行う。
成功すると、あのガスのような何かはこの世の常識の枠から外れたところにいる存在だと思いつく。
このことを思いついてしまった探索者は1D6/2D10のSANチェックを行う。(加減しました)
 これはマーシュ邸を襲撃していた海兵隊の中で民間のアドバイザーとして作戦に参加していた「ラヴァナ・ナジャール」博士がニャルラトテップの化身「嘆きもだえるもの」の正体を現したときに発した声だ。
この神はダゴン秘密教団に所属する「エスター・マーシュ」を捕獲する目的でこの作戦に紛れ込んでいた。
マーシュ邸で首尾よくエスターを捕えたナジャール博士は自分の正体を現し、壁を砕いて空へ消えていってしまう。

B.マーシュ精錬所

 ここに近づくと、探索者達は自分の足元が震え、その振動はマーシュ精錬所で発生している振動が伝わっているものだとわかる。
このままここで時間を過ごすなら、建物の中から捜査官達が飛び出してくる。
彼らに見つかると探索者達は拘束される可能性があるので逃げるべきだ。
ただし、建物の東側に逃げると壁を突き破ってショゴスが噴き出してくる。
ショゴスは狂乱しているため、探索者に攻撃を加える確率は30%程度だ。
KPは探索者があまり苦労していないと感じたならば、探索者達を襲っても構わない。
勿論、ショゴス目撃により1D6/1D20のSANチェックが発生する。

C.港(海に面していればどこでもよい)

 探索者達が港を移動していると、沖には船が3隻とクジラのような影(<アイデア>成功で潜水艦だと気がつく)が並走しているのが見える。
しかし、影はすぐに潜ってしまい見えなくなる。
そして何かの悲鳴が聞こえると同時に船の船首付近でマシンガンの銃口が光り、しばらくの間、連射されるマシンガンの音が聞こえる。
ここでさらに海を見ていると、海の中から何かが浮かんできたのが見える。
先ほどのクジラかと思ったが、別のものだ。
それはそれには忌まわしい幽霊船の帆を思わせるようなボロボロの羽が付いており、大きさは近くを航行している船と同じくらいだ。
そして同時に海風に乗って吐きそうなほどの悪臭が漂ってくる。
この不気味な何かを目撃した探索者は1/1D6のSANチェックを行う。
この後、まだこの場に留まるようであれば、その浮かんできた怪物が息を吹き返し、その幽霊船の帆をはばたかせ、探索者達の上空を通過して飛び去る様を目撃する。この常識では測れない怪物を目撃した探索者は1D6/1D20のSANチェックを行う。
 これはイハ=ンスレイから浮上してきた「クトゥルフの星の落とし子」だ。この生物はもしかしたら海兵隊の船からマシンガンの掃射を受け、息を吹き返すことはないかもしれない。
 また、この地域周辺には「肉食甲殻類」と呼ばれる奇妙な小型クリーチャーが生息している。
彼らは一点に留まる探索者に忍び寄り、かみ付くだろう。この生物の奇襲を受けた場合、1/1D3のSANチェックを行う。

D.下水道

 まずあり得ないと思うが、探索者達がマンホールを開けて、下水道を行動すると宣言した場合のことを書いておく。
まず大前提として下水道に一切の光源は無い。下水道を移動しようとするなら、灯り無しでは自殺行為以外の何物でもない。
 明りを持っている探索者は下水道を移動することが可能だ。
下水道は街の北部で「密輸業者のトンネル」と呼ばれるトンネルと接続しており、そこには深きものはもちろん、ショゴスも徘徊し、時間によっては「エリック・ダヴド」中尉に率いられた海兵隊もいる。
ショゴスや深きものは明りを必要としないため、探索者達の持つ明りに気がつけば即座に、何らかのアクションを起こすだろう。

15.ダゴン秘密教団本部前

 このパートで探索者達は脱出に必要な情報を入手するので、KPは描写に気を遣うこと。
 探索者達が街の中を移動していると、後ろから幌の付いたトラックが追い抜いてくる。
そのトラックは探索者達の50Mほど先で止まり、そこにいた何人かがトラックの荷台に乗りこんでゆく。
人が乗り込むとトラックは発車し、走り去ってゆく。
トラックはできるだけ静かに移動しようとするため、それほどスピードは出ない。
 このトラックはダゴン秘密教団本部前にいる海兵隊員に突っ込むつもりだ。
荷台に乗ったのは5人の混血種でその内数人はインスマスで最も優れた狙撃手だ。全員がライフルで武装している。
 道にはトラックが残したオイルが点々と残っているため、容易に後を追うことができる。
後を追うと教団本部の近くまで来たところで自動車が急加速する音、怒号が聞こえる。
ここで<聞き耳>に成功すれば、その喧噪の中で何かがぶつかったような鈍いドンッという音を聞く。
 教団本部前を覗くと、先ほど見たトラックが停車しており、そばで海兵隊員が数名倒れている。
まだ立っている海兵隊員たちはトラックに銃撃を浴びせながら後退し、教団本部の陰に引っ込む。
これを見た混血種達は銃撃を止め、トラックに乗ってその場を去る。そしてその場には海兵隊員の死体のみが残される。
しかし、この倒れている海兵隊員の内、一人はまだ生きている。
「デニス・パーカー」という名の二等兵が虫の息ながらもまだ生きている。
彼に<医学>または<応急手当>に成功すれば、彼の絶命を一時的ながら遅らせることができる。
また、怪我が大きいため、どちらの技能も二回まで試みることができる。
(技能の成否に限らず彼は死ぬが、二回とも成功すれば何か聞ける情報が増えるかもしれない。)
(どちらとも失敗しても合言葉を聞き出す時間はある)
 探索者達は彼に<言いくるめ>をする、もしくは素晴らしいロールプレイで彼から合言葉を聞き出せる。
この<言いくるめ>は海兵隊か財務省のスーツを着ていれば成功率に+15%してもかまわない。
合言葉は「サムソン」だ。
(例:襲撃作戦の関係者のフリをして探索者が彼に合言葉を確認する。など)

 探索者達が首尾よく合言葉を入手すると、デニス・パーカー二等兵は息絶える。
探索者達はそれ以上その場に留まってもいいことはない。
 さて、その場を離れて歩き出した直後にKPは<聞き耳>を全員に振らせる。
成功した探索者は足元にあるマンホールからゴボゴボという粘液が泡立つような音を聞きつける。
しかし地下からということもあってよく聞こえない。
ただし、<聞き耳>でクリティカルした探索者は「てけてけ・てけり。てけり・り」という何かの鳴き声をはっきりと聞きとる。
この謎の鳴き声を聞いてしまった探索者は1/1D4のSANチェックを行う。
聞こえた謎の音(鳴き声)は徐々に遠ざかっていき、やがて聞こえなくなる。
 このマンホールの真下を通過しているのは教団が使役しているショゴスだ。
このショゴスはインスマス北部地下の「密輸業者の地下トンネル」に向かって進行中である。

16.脱出

 街の外周部で実施されている検問に探索者達は向かうだろう。
デニス・パーカー二等兵から合言葉を聞き出している探索者達は検問で無事に通過できる。
もちろん、そのシーンはロールプレイに力を入れて欲しい。
ロールプレイがいい加減な探索者達には海兵隊員が不信感を抱くこともあるだろう。

 この検問の最中、海兵隊と会話している最中に探索者全員に<聞き耳>を振らせる。
成功した探索者はバサッバサッという低い羽音を聞きつける。
音は上から聞こえてくるようだ。上を見上げると、そこには悪夢のような光景があった。
探索者達の真上を悠々と南へ飛んでゆく巨大な影がある。
それは蝙蝠のような薄い羽根で飛んでいるが、明らかにそれは蝙蝠ではない。
頭部は丸く巨大でその大きさは探索者達が茫然と立っている道の脇にある一軒家ほどもある。
胴体は太りすぎた人間のようにだらしなく弛んでおり、手にはかぎ爪のようなものも見える。
その影は硬直する探索者や海兵隊員には一切の興味を示さず、海の方向へ飛び去ってしまう。
このおぞましい「クトゥルフの星の落とし子」を目撃した探索者は1D6/1D20を行う。
(14.街の中の出来事 のCパートでクトゥルフの星の落とし子が飛び去るのを目撃した場合、このイベントは発生しない。)

 また街の北東部、沿岸付近の検問を通過しようとした場合、海兵隊と会話している途中で<聞き耳>を探索者全員に振らせる。
成功した探索者は地下から銃声と何かの鳴き声(てけり・り)を聞きつける。
数秒後、探索者達の足元の地面に亀裂が入る。
これで逃げない探索者はいないと思うが、逃げなかった場合、地下から噴き出してきたショゴスに地面ごと空に打ち上げられ、落下ダメージ1D6を受ける(<跳躍>で減殺可能)。
 これは検問の行われていた場所の地下にある「密輸業者の地下トンネル」で海兵隊と交戦していたショゴスの一体が地面を突き破って噴き出してきた。
<幸運><回避>の両方に失敗した探索者は降り注ぐ石などが体に当たり、1D4のダメージを受ける。
ショゴスを見慣れていない探索者は1D6/1D20のSANチェックを行う。
ショゴスは暴れ狂い手近にあるものを片っ端から破壊する。
海兵隊員もライフルで応戦するが、その戦線は長く持たないだろう。
探索者達も戦闘に参加する場合、トラックに積んである爆薬や火炎放射機を使えば、撃退できる可能性もある。
勝利に貢献した探索者達は海兵隊員から大いに感謝されるだろう。
そして襲撃が終わった後、海兵隊の責任者から公式に感謝され、非公式だが海兵隊の上層部とコネクションを作ることができる。
戦闘に参加しない場合、探索者達は混乱に乗じて海兵隊の自動車を盗んで逃げて良い。
海兵隊員は応戦に必死なので見咎められることはまずないだろう。

17.エンディング

 無事に検問を通過できれば、そのままエンディングになる。
探索者達はあの悪夢のような街から無事に脱出することができたのだ。
後日、探索者達は出版社に呼び出され、編集長にインスマスに関する出版企画は白紙に戻す、と告げられる。
理由を聞いても編集長はのらりくらりと誤魔化し、決して理由を明かさない。
そして最後に、インスマスに行っていたことは誰にも話すな、と真剣な表情で警告する。
後で、出版社に勤めている受付事務員などに話を聞くと、BOI(現在のFBI連邦捜査局)の身分証を持ったスーツの男が来て、編集長に面会を求めていたことを知る。
 これは探索者達がギルマン・ハウス・ホテルを脱出した際に残してきた荷物からBOIが探索者達の勤める出版社を突き止めたことによるものだ。その日から数週間に渡り、探索者達の自宅の前に不審な男が立っていたり、電話を掛ければ静電気のノイズが混じることがあるだろう。
 後日、海兵隊と財務省捜査官がインスマスを襲撃したことが新聞で報道される。しかし、大きな記事にはならず、その後もさらなる発展はなかった。
 探索者達が偶然巻き込まれたあの事件は彼らの想像が及ばないほどの大事件だったのだ。それを理解すると同時にそれほどの一件から無事に生還できたことを探索者達は心から安堵するだろう。
 この一件の話を口の軽い知人に話してしまった場合、そう遠くない日に探索者の家の前に黒塗りの車が止まり、スーツ姿の男達が話を聞きにくるだろう。

18.報酬

インスマスから無事に脱出できた +2D6の正気度
インスマスで深きものを撃退した 1匹につき+1D6の正気度(2匹まで)
インスマスで混血種を撃退した 1匹につき+1D4の正気度(2匹まで)
検問所でショゴスを撃退した +1D20の正気度&+3D6の<信用>&海兵隊上層部とのコネクション
全員で生還 +1D10の正気度
死亡した探索者がいる 1人につき−1D6の正気度

19.最後に

 サプリ「インスマスからの脱出」を読んで、この町の毒を味わい尽くしてもらいたい!!と思って書きました。いい加減な箇所の多いシナリオですが、楽しんでいただけたら幸いです。
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このページへのコメント

マジっすか。作者ながらこのシナリオを回せる人は少数だろうと思っていたのですが、まさか挑戦者がいたとは。
動画化、投稿自由にやっていただいて構いません。
楽しんで頂けたなら本当に嬉しいです。

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Posted by Vector 2015年12月26日(土) 21:19:17 返信

初めまして、こちらのシナリオをKPとして回させて頂きました雲雀(ひばり)と申します。
キーパリングが難しいとのことでしたが、インスマスに囲まれ追われる恐怖を味わいつつ、NPCとの対話などRPが重視され、求められるシナリオは、私にとって新鮮味があり楽しむ事ができました。

PLや見学者、KPの私を含めた全員が楽しめたセッションとなり、記念に動画として残したいという話になりました。しかし、PLの行動やRPに合わせ改変を入れたため、随分形が変わってしまったのですが動画化させて頂いても大丈夫でしょうか?

また、動画化が出来た際には【ニコニコ動画】への投稿を考えているのですが、問題はありませんでしょうか?

お忙しい中、手が空いた時にでもご検討頂けたら幸いです。それでは長々と失礼致しました。

雲雀

1
Posted by 雲雀 2015年12月18日(金) 05:20:54 返信

作者です。批評をお願いします!!

タイトルがイマイチしっくりこないんですよね〜m(_ _)m

1
Posted by Vector 2014年08月16日(土) 02:16:59 返信

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