ここは、クトゥルフ神話TRPGのオンラインセッションに関する各種情報がまとめられているWikiです。

1 概要

謎の部屋系クローズドシナリオです。現代日本を舞台にしていますが、基本ルールブックだけで遊べます。
ダイスを振る箇所は少なく、リアルアイディアとRPが重要なシナリオとなります。

プレイ時間は1時間前後(オフセ、ボイセ)を想定しています。
推奨人数:2人。1人プレイの場合はNPCを登場させてください。3人以上はギミックの都合上、おすすめしません。
推奨技能:目星、薬学または化学
純推奨技能:聞き耳、拳銃、回避

戦闘技能は必要ありませんが、ロストの可能性を減らしたければ回避くらいには振ってもよいでしょう。
SANチェックポイントは少なめ、神話的・オカルト的な恐怖演出も薄めです。



展開によってはPvPが発生する可能性があります。
KPは、各PLが探索で得た情報はできるだけハンドアウトで渡したり、場合によっては視点分けを行ったりすることでぜひ疑心暗鬼に陥るよう誘導してください。

2 あらすじ

眠れぬ夜を過ごす二人の探索者。
彼らは唐突に、壁も床も天井も、全てが赤い部屋に連れてこられる。
壁の一つにはカウンターが埋め込まれ、その向かいの壁には部屋のルールを示す文言があった。

「信じ合うも一興。騙し合うも一興」
「めいっぱい楽しませてくださいね」

3 導入

探索者たちはそれぞれの一日を終え、床に入る。
しかしどうにも眼が冴えて、なかなか寝付けないでいた。
どうしたものかと探索者たちが寝返りをうった時、急に視界が赤く染まるだろう。
それは目まいや幻覚によるものではない。単純に、一瞬のうちに壁も床も天井も全てがまるで血のような緋色に染まった部屋で探索者は横になっていた。突然の現象に驚いた探索者は0/1のSANチェック

二人の探索者は2メートルほどの距離を開けて横になっている。それぞれ就寝の際に身に着けていた衣服のままで、もし探索者がベッドや布団に寝具以外のものを持ち込んでいれば、それが周囲に転がっている。(通信機器は、電源は入るが圏外になっている)

4 部屋

部屋の床はおおよそ10メートル四方の正方形になっている。天井は5メートルほど。壁と天井はコンクリートの上に雑に赤いペンキを塗りたくったようで、ところどころ凸凹とした塗り跡がある。床は毛足の短い絨毯になっている。照明は見当たらず、天井全体が淡い光を放って部屋を明るく保っているような印象を受ける。
(以下、部屋を囲む四つの壁を便宜上、前、後ろ、右、左の壁と表記する)

☆部屋全体に《目星》→部屋の左後方の隅に成人男性が一抱えにできるほどの大きさの段ボール箱が置いてある。また、床には白い半円のラインがうっすらと絨毯の上に引かれており、直線の部分は右壁の中央に接している。半円の半径はおよそ1メートルと推測できる。

前の壁

壁の中央に黒い液晶が埋め込まれていて、そこにはデジタルの数字二桁が表示されている。
(目覚めた時点で29であり、1分経過ごとに1ずつ減る。残り1分を切ると59から1秒に1ずつ減っていく。0になると1分後に29に戻る)

後ろの壁

壁一面に、白いペンキで文章が書かれている。

【遊び方】
・カウントが0になると、とっても怖い化け物が現れます。
・化け物は1分で消えます。
・化け物は強いけれど、がんばれば死なないかもしれません。
・カウントが0になった時に正しいことをしていれば、一人は助かります。
・信じ合うも一興。騙し合うも一興。
・めいっぱい楽しませてくださいね。

左の壁

幅、奥行きともに1.5メートルほどの窪みがあり、ちょうど人が一人おさまりそうなスペースになっている。中は部屋と同じ材質と思われる赤いペンキで塗られた壁と絨毯になっている。

右の壁

一面ただの壁であり、特に気になるところはない。
☆壁を叩いてその音を《聞き耳》で確かめると、この壁だけ他と違い音が反響する。

段ボール箱

封はされておらず、上面にマジックで雑に『忘れ物入れ』と書かれている
開けると、スタンガン、スマートホン2台、クマのぬいぐるみ、霧吹き、そして拳銃が入っている。
全ての中身を取り出すと箱の底面が見え、そこには『まあ、取りに来られる人はいないだろうけど』と書かれている。

・スタンガン
まだ充電は残っており、使用できる。基本ルルブP70のテイザー(接触)参照。

・スマートホン2台
同じ機種でカバーは青とピンクの色違い。充電は切れている。
《目星》→カバーの上から同じプリクラが貼られており、若い男女のツーショットが映っている。

・クマのぬいぐるみ
子供が両手で抱けるほどの大きさのぬいぐるみ。
《目星》→首のリボンのところに二つ折りになった紙が挟まっている。紙を開くと「汚れがひどかったためクリーニング済」と書かれている。

・霧吹き
無色透明の液体が入っている。
《薬学》または《化学》→ルミノール溶液であると判明し、さらに血痕に吹きかけると発光する性質があると知っている。ただしその光は微かであるため、ある程度暗くしないと確認することはできない。
この中身を床に吹きかけて影を作ると複数の箇所が青紫色に発光する。つまり、床には多数の血痕が付着しているということに気付いた探索者は自分たちの末路を想像し、0/1d3のSANチェック
壁に吹きかけた場合は、天井全体が発光しているせいか上手く影を作ることができず光っているかどうかは分からない。
(後述のシャッター内や通路内では暗いため壁でも使用できる)

・拳銃
手に取れば、素人でも本物だと分かるような重みを感じられる。
《知識》の半分または《拳銃》→38口径リボルバーであり警察でよく用いられているものであると分かる。問題なく使用できるが残り装弾数は2に減っている。基本ルルブP70参照。

5 ギミック説明

忌まわしき狩人について

カウントが0になった時点で部屋に残っている者がいれば、後ろの壁の文章の通り悍ましい化け物と対峙することになる。

(描写例)それは唐突に、ほんの僅かな瞬きの間に、探索者の前に姿を現した。巨大な黒蛇、あるいはイモムシのような体に、歪な形の頭。そしてゴム製の黒い翼が生えていた。それは絶え間なく不気味に蠢き、全容を目に捕えることは非常に困難であった。
このような異形の姿を目撃した探索者は、0/1d10のSANチェック

[能力値]
STR:20 CON:10 SIZ:20  INT:16 POW:20 DEX:12
H P:15  M P:20  回避:24  ダメージボーナス:1d6
装甲:9ポイントの皮膚、弾丸は貫通できない。
武器:噛みつき(65%) 1d6+db
   尾(90%) 《組みつき》効果

詳しい攻撃効果等はルルブP169参照。
部屋に収まりきるように小型化し、それに伴い能力値も若干低めに設定している。

探索者が後述のシャッター内に隠れている間はまるで探索者に気付いていないように振る舞うが、一瞬でもシャッターが開けば即座にその存在を捉える。STR対抗に失敗すると窪みから引きずり出され、次のターンから戦闘になる。
部屋に現れてから1分(おおよそ5ラウンド)経過すると、現れた時と同様に忽然と部屋から姿を消す。探索者が忌まわしき狩人に勝利した場合でも、その死骸は消えてなくなるだろう。そして30分後に再び現れる。たとえ一度倒していようと必ず復活し、ダメージも全て回復している。

シャッターについて

半円のラインの中に重量センサーが仕込まれており、中に立てば左の壁にある窪んだスペースの前にシャッターが下りる。
シャッターは壁と同様に赤いペンキで塗られており、その上から白いペンキで「安全地帯」と書かれている。
この重量センサーとシャッターに関するルールは以下の通り。

・シャッターが下りているのは半円の中に人がいる間のみ。半円の外へ出れば一秒も経たずシャッターは上がってしまう。半円から体の一部でもはみ出していると反応しない。
・半円の中に人間以外のものを置いても重さが足りず反応しない。
・とても頑丈であり、いかなる攻撃手段をもってしてもかすり傷一つつかない。忌まわしき狩人の攻撃であっても同様。(そもそも、忌まわしき狩人はこのシャッターには触れようともしない)
・下りているシャッターを上げるには容易に可能だが、上がっていくシャッターを抑えておく行為は全体重を掛けたとしても不可能。上がる瞬間に探索者がシャッターに掴まっていた場合は、天井付近まで引き上げられた後に落下し、1d3+1のHP減少

シャッターを下ろすと中は真っ暗になるため、壁にも霧吹きを使用することが可能になる。使用すれば、床と同様にいくつか血痕が浮かび上がる。
勘がよい探索者なら、ここもまた絶対的な安全地帯ではないという考えに至るだろう。

そして、探索者が半円の中にいる状態でカウントが0になる瞬間を迎えると、右の壁の一部がぐるりと回転し、半円の中にいた者は部屋に隣接する通路に出ることができる。

通路について

通路の中は自分の手元も見えないほどの闇になっている。
部屋がある側の壁を背にした状態で左や前に進めばすぐに別の壁に当たる。右に進めば、しばらく歩いたのちに淡く発光する扉に辿り着ける。以降はエンディング参照。

通路にいる状態でも半円から外へ出れば、当然シャッターは上がり、中に隠れていた者は忌まわしき狩人と対面することになる。
カウントが0になってから1分後、29に戻る瞬間に探索者が半円の中にいれば、壁は再び回転し部屋の中に戻ることができる。もしその機会を逃せば、次に戻るチャンスは30分後となる。(もちろん、必ずしも戻る必要はないが)

また、部屋側の壁に霧吹きを使えば、以下の文章が青紫色に光り浮かび上がる。

しっぱいした
わたしがここをうごかなければ
あのこはたすかったかもしれないのに
わるいおかあさんで ごめんなさい
ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい

震えるような筆跡で書かれたその文字に、そして「おかあさん」という単語に、ここで過去に起きた悲劇を想像してしまった探索者は0/1d3のSANチェック

脱出方法について

まとめれば、もう一人の探索者をシャッターの中に匿うために半円の中に立っていれば、カウントが0になった際に通路に脱出できるというもの。
二人で脱出したければそのまま動かずに待機し、部屋の中に戻って30分後に再び二人で半円の中に立ち脱出すればいい。

その場で1分待つという判断は一見難しいようだが、半円の外へ出ればシャッターが上がってしまうということに気づければ動こうとは思わないはずである。壁に血で残された文章を見ることができれば、それも大きなヒントとなる。探索者が不用意に動こうとした際には、温情として一度《アイデア》を振らせてもよい。

後ろの壁の文章の「正しいことをしていれば、一人は助かります」は、「シャッターを正しく使用すれば一人だけが化け物から身を守れる」という意味でなく「相手を助けようとする正しい行いをした一人(つまり半円に立つ人物)は確実に脱出できる」という意味である。

6 エンディング

通路の突き当りにある扉を開けると、どこからともなく男の声が聞こえてくる。

「これだけ疲れれば、きっとよく眠れるだろう?」
「どうぞ、いい夢を……ははっ、悪夢を見せた後に言うセリフではないか」

すると探索者は急激な眠気に襲われ、いつの間にか眠っていた場所で朝を迎えることとなる。
妙な夢に気分は悪くなっているかもしれないが、たっぷりと眠れたかのように体調自体は良好である。(ダメージを受けていれば全て回復している)
あれは現実に起きたことなのか、あるいは寝付けぬ自分が見た悪夢なのか、探索者は判断がつかないことだろう。
ただし、もし一人を置き去りにして脱出したならば、その日の朝のニュースにて、自室にてまるで獣に襲われたような変死を遂げた人物に関する報道を聞くことになるかもしれない。

SAN報酬

二人で脱出した場合…1d6
一人だけが脱出した場合…1d3

7 シナリオ背景

黒幕は言わずと知れたニャルラトテップ。眠れぬ夜を過ごす人間二人を赤い部屋へ招待し、その様子を観察していた。

一組目はストーカーとその被害者。被害者の女性は枕元にスタンガンを置き怯えながら横になり、ストーカーはそんな彼女の吐息を部屋に仕掛けた盗聴器で聴いていた。女性は突然知らない部屋に来たことよりもストーカーが同じ部屋にいることに怯え、スタンガンを彼に向ける。しかしストーカーはあっさりとそれを取り上げ、そのまま彼女に暴行を始めた。暴行が終わった後でストーカーはようやく後ろの壁の文章に気付くが、すでにカウントは残り僅かであり、何もできないまま二人とも忌まわしき狩人に殺された。忘れ物はスタンガン。

二組目は鑑識官と刑事。とある殺人事件の捜査中であった。冷静に部屋内を探索し、シャッターのギミックにも早々に気付く。しかし二人は今まで何度も捜査を共にしており信頼関係が厚く、どちらかを犠牲にするという選択肢はなかった。化け物を殺して二人でここから脱出することを決意し、カウントが0になるのを待つ。しかし、弾丸が通らない忌まわしき狩人には敵わなかった。忘れ物はルミノール溶液の入った霧吹きと拳銃。

三組目は遠距離カップル。就寝前に通話をしているところだった。二人は思わぬ逢瀬に感動したが、後ろの壁の文章を見つけ恐怖に駆られる。シャッターのギミックを見つけどちらが部屋に残るか口論になった後、彼氏は隠し持っていた拳銃で彼女を脅して無理やり半円の中に立たせた。そのままカウントが0になり通路に出ることのできた彼女は、彼氏のことを顧みず一目散に脱出した。彼氏はシャッターが開いたことにより忌まわしき狩人に蹂躙された。忘れ物は二台のスマートホン。

四組目は母と娘。昼寝をしすぎて眠れない娘を寝かしつけているところだった。怯える娘をなだめながら母親は部屋を探索する。シャッターのギミックに気づき、迷うことなくクマのぬいぐるみと共に娘をシャッターの中に隠れさせる。しかしカウントが0になり通路に出た瞬間、母親は動揺し半円の中から足を踏み外してしまう。そして、忌まわしき狩人に襲われる娘の悲鳴を壁越しに聞くことになった。母親は血が滲むまで壁を叩き、ここに自分たちを閉じ込めた「誰か」に懇願し続けるも叶えられることはなく、ついに娘の声は途絶える。母親は絶望し、同じことが繰り返されないよう壁に血で自身の後悔を刻んだ後、脱出しようとせずに通路の中で緩やかに餓死した。忘れ物はクマのぬいぐるみ。

そして、探索者たちが五組目の挑戦者となる。
もし探索者たちが二人とも脱出できれば、ニャルラトテップはこの遊びに飽きて部屋を壊し、新たな玩具を捜し始めるだろう。
どちらか一人でも死んでしまったならば、彼はまた新たな挑戦者をこの部屋に誘い込む。

8 補足

・このシナリオは予告なく加筆・修正する場合があります。基本的には誤字脱字の修正や細かい描写の変更等で大幅な改変をする予定はありませんが、ご了承ください。セッションの際には必ずしも最新のものを使用する必要はありません。
・シナリオの使用、改変、リプレイ動画等、ご自由にどうぞ。報告も必要ありません。クレジットだけしていただけると幸いです。
・ご意見、ご感想等あればコメント欄まで。

(2017/3/19)一部文章の修正・追加、エンディング描写の変更
(2017/3/20)ピクシブにて背景・マップ画像を配布開始→配布場所

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