クトゥルフ神話TRPGやろうずWiki - 「透明人間」
今さらながら情報の補填をしておきました 2014/6/6
何か連絡があればこちらのページのコメントか、ツイッターまでご連絡ください 2015/8/17

1:はじめに

このシナリオ自体は非常に簡単な物にで、新規探索者1人専用のシナリオになっています。
シナリオは大きく分けると前半と後半に分かれますが、実際は独立した事案です。
前半の事件の結果から藁をも掴む気持ちで助けを求めるのですが、掴んだものはもっとヒドイものでした。

舞台や場所は自由に設定してもらって構わないのですが、人間関係や自身の職業を創造していきます。

2:あらすじ

季節は夏、暑い時期で全く風も吹かない真夜中です。
自宅で一人過ごしていると窓がガタガタと音を立てます。
風?と思ってみますが他の窓はそんな音を立てていないので、なんだろうかと調べてみます。
窓を開けてみて調べようとしたところで音は止みました。
が、突然体を押さえつけられます。
何も見えない、だけども何か、「何か」がそこにいるという事だけ
それだけは探索者の頭にはハッキリとわかるのでした。

知るという事は毒でもある。なぜなら知らなかった時にはもう戻れないのだから。
探索者は透明人間がいるという事を認知したために透明人間のの影に怯えます。
風で揺れる窓・・・ピチャピチャと水がはねる音・・・
探索者はもう透明人間の脅威から逃れ、平穏に暮らせるはずでした。

音に対するパラノイアで藁をも掴む気持ちで頼ったとある人物。
どうにかなるかもしれないと話され、向かった先は廃墟の教会。
中に入ると人が倒れています。
声をかけるとあの透明人間の触感が首筋をかすめます。
出入り口は全て、見えない何かによって封鎖されているのでした。

地下室への通路を見つけた探索者は地下室へと向かいます。
そこには「天国への扉」と書かれた扉。
入るとその中心には仄かな明かりと「天国への書」と書かれた本。
部屋の中をよく探すと「地獄への道」を見つけることができます。
地獄への道を進むと空が見える部屋へと繋がります。
中心には「地獄への乗車券」とメモされた一瓶の薬があります。
もし、飲んだとすれば探索者は無事に外へ出られることでしょう。
見えなかった透明人間の肉塊の階段を登り外へと。
そして、この名伏し難き冒涜的なモノがいるこの地獄へと帰れることでしょう。

3:導入

探索者は平凡な人間でした。
ある夜にガタガタと揺れる窓を不審に思い調べると透明人間に襲われます。
怖いと思い、窓を開けないなどで次の日まで過ごすなどはできるでしょうが、
透明人間は窓からの侵入に失敗した場合、次の日の家から外出する時などに襲ってきます。
風が無いのに一つの窓だけが音を出している事に異常(泥棒などか?)を感じSANチェック0/1d2

※ここで警察官の知り合いNPCを探索者は持っている事にすると導入がスムーズになります。
 探索者に警察を呼ばせ、警察官2人を呼び、その2人の前で襲撃をしましょう。
〜友人NPC〜
真尾 広志(マオ ヒロシ)♂ 職業警察官 年齢 探索者に合わせる
STR:13  DEX:9  INT:11 アイデア:55
CON:16  APP:15  POW:12  幸 運:60
SIZ:12 SAN:60 EDU:15 知 識:75
H P:14  M P:12  回避:18  ダメージボーナス:+1d4
探索者と後述の警察官を繋げるためのNPC
どんな風に探索者と仲が良いはその都度決めましょう

しかし、この透明人間は異常に弱いのでここで探索者がロストすることは絶対にありません
探索者のSTR-5なのでよほどの事が無い限り筋力対抗ロールは勝利できるはず。
できなかった場合は幸運ロールなどで救済措置を。
そして組み付きを解除された後、透明人間は部屋の何かにぶつかってしまいます。
ぶつかった先を調べてみると、目には何も映らないが
確かに人間のような形をした何か動かないでそこにいる事がわかります。


〜透明人間〜
名前無し
STR:探索者-5  DEX:5  INT:4 アイデア:20
CON:4  APP:6  POW:4  幸 運:20
SIZ:8 SAN:0 
H P:6  M P:4  回避:10  ダメージボーナス:-1D6〜0
――――――――――――――――――――――――――
[技能]
組み付き80%
――――――――――――――――――――――――――
[持ち物]
一切無し(服も)
[プロフィール]
透明であるという点以外は完全に脅威は無い。
知能も低く、武器などを用意して攻撃をしかけてこようとする事も無い。
体は小柄で体力も無く力もとてもひ弱、そしてなぜか体は汗まみれなのかヌルヌルしている。
何も喋らないし、隙があれば暴れてこちらを襲ってこようとする。
何も食べたり飲んだりしようとしないので3日後には衰弱死します。
特定の人物以外は襲おうとしない。
調べるとわかる特徴
無理やり何かを口にさせてみるとしばらくして消えるのだが(十二指腸の辺り)
直後に透明人間の体からの拒否反応なのか猛烈な嘔吐(透明)を繰り返し衰弱のスピードが速くなります。
髪などは生えてなく、顔では男女どちらかであるか判断がつかず、下半身を調べる事によって男性か女性かわかる(この時、探索者と同性にしておく)
血液型など、薬品が反応をするので調べられるが大した情報ではなく、そういったものも全て探索者に準じる
意思疎通などを図ろうとしても、そういったものには全く反応が見られない
なぜ、このような状態になったかは現在の科学では一切わからない。

4:冷静になってみて

目の前にいるが目には見えない何か、これをどうするかをプレイヤーは考えるかと思います。

※警察官を呼んでいる場合、警察署に連れて行きましょう。
 そして警察官にこの透明人間事件を追っている人物を出し、情報を与えていきます。
〜特別捜査官〜 
東 大智(アズマ ダイチ)性別♂ 職業:警察官 年齢 真央の2つ3つ年上
STR:15 DEX:12  INT:13 アイデア:65
CON:13 APP:11  POW:13  幸 運:65
SIZ:15 SAN:53/74 EDU:13 知 識:65
H P:13  M P:11  回避:75  ダメージボーナス:+1d4
長年透明人間による事件を追い続けている警察官。
下記に出てくるNPC、三野とは知り合いで献身的に彼女を助けてきた。
しかり、とある事をきっかけに三野から拒絶されてしまい、困惑している。
『透明人間の生まれた場所』へ行き、そこで東大智は透明人間に洗脳されたと三野は妄信している。
透明人間の特徴については熟知しており、ここに書いてあることは全て知っている。
基本的に探索者に献身的であり、非常に頼りがいのある警察官である。

科学的に調べる場合は透明人間の項を参照に。
科学的な権威、もしくは人体実験に必要な要素を持ってない探索者の場合は人間関係にそういった人間を作りましょう。
医者の友人知人親戚、科学者の友人知人親戚、マフィアの友人知人親戚など
献身的に介護や友好をはかろうと試みる場合は全て失敗に終わり、逆に透明人間の死亡を早める

また、時間経過によるブラフのダイスを振り、透明人間がいるのではないかと思わせる描写をすること。
これはPLに透明人間がいる事を錯覚させ、PCと同じように音に対するパラノイアにかかってもらう事が目的である。
クモの巣が首筋にかかった(透明人間は首を絞めてくる)、外の足音が気になる(こちらへ向かっては来ない)
窓が突然ガタガタと鳴り出す(風である)といった具合に。

このダイスは日常を取り戻していくRPをしていった場合は少なくしていくのが良い。
逆に、透明人間が襲いかかれる状況(ドアを開ける、窓を開ける、など場所の移動があるたびに)は透明人間を意識して振ると良い。
透明人間の事は日常に戻るうちに忘れていくだろう。恐怖を忘れる事ができるのは救いである。
探索者が調べる事をやめる宣言をした場合はこのシナリオは探索者にとっての大成功である。
突然窓がガタンと音を立てた場合に透明人間が来た時の恐怖を思い出し、常人より少し強い恐怖を覚えるだろうが、
シナリオは終了だ。

5:透明人間をもっと広い観点で調べる

透明人間は一人ではなく、同じように他の人間にも危害を加えてるのではないか?
そう考えた場合、探索者は調べ方にもよるが眉唾な情報ばかりを手にいれる。
例えば透明人間になれた場合、どうなるかと言った夢物語やそう言ったものを材料にした創作物など発見する事になる。
しかし、詳しく調べていった場合、透明人間に襲われた(少し気がおかしい文章で書かれている)
何不自由なく、これから幸せに暮らしていくはずだったカップルの男性が何かと揉み合うようにして死んでいった話(自殺とされている)
と言った、透明人間に関わりのない人間からすればフィクションのような出来事がまとめられてる物に出会う。
これはインターネットでも良いし、図書館でのオカルト雑誌を見つけて読めたことにしても良い。
ただ、そこから繋がる人物は次の人物一人だけである。

名前:三野 茂美 職業:狂信者 性別、年齢:KPに任せる 
STR:10  DEX:11  INT:16 アイデア:80
CON:9  APP:18(※)  POW:16  幸 運:80
SIZ:12 SAN:20 EDU:21 知 識:99
H P:11  M P:16  回避:22
※上級者やCoCに詳しい者には18と提示すると良い。それ以外は14以上の数値を適当に当てはめる。

この人物は今までに何度も透明人間に襲われている。
家を訪ねると家の周りには粉がまかれ、家中にはラバークッションが敷かれ変な凹みがあれば透明人間がいるとわかるようになっている。
善意で行動し、探索者を助けるため、あるいは自分も透明人間からの脅威から逃れるため、廃墟の教会へと誘う。

セッションの空気によるが、誘う人物であればどんな人物でも良いだろう。

6:新しい情報を入手する

与えてくれる情報は下記の通りといったところである。
・透明人間は遥か昔から人間を襲っていること
・不自然な自殺は全て透明人間がやったこと
・この世は今、透明人間に狙われており、このままでは人間は全て殺されてしまうだろう
・透明人間と縁がある場所がこの近くにある。※名前は『透明人間の生まれる場所』と言われる廃墟らしい
 その場所を調べれば透明人間をどうにかするための方法があるだろうと見当はついている事(ただし、仮定)
・昔にその場所へ行った時、友人が透明人間に攫われ、行方不明、しかも周りの人間はその人物のことを覚えていない。
 ただし、その人物はニャルで元々戸籍も何も無い人物であって、PLを困惑させるための材料である。
NPCは同行を申し込むが、PCはそれを受け入れても良いし拒否しても構わない。
一人で行ってもかまわないし、むしろ行かなくても良い。
平穏な日常に戻るための最後のチャンスであった事は後で気が付くことになるが。

※ここで警察官、東 大智に連絡を取る探索者がいるかもしれない。
東も以前に三野の話してくれた透明人間の生まれる場所というのには行ってきたことがある。、
その時は東には何も見つけられなかったのだ。それはニャルが扉を隠していたせいだったのだが。
そういうわけで東は探索者にそこに行っても何もないと伝えてくるが、それでも探索者は向かおうとするだろう。
言いくるめたり説得をすれば東も同行をしてくれる。

7:透明人間の縁がある場所

その場所は彼女の家から車で1時間くらいの距離だろうか。
人気のあまりない、森の中などにポツンとある平屋建てのそこそこ大きな建物である。
教会のような建物で、中は朽ちてるが大きな窓があり、日中でなら目星などに影響はない程度に明るい
教会の奥にはドアを1つある。
中に入ると一人の人間が倒れている。
近づくと入ってきた場所が閉まり、開かなくなってしまう。
窓や壁の一部を破壊して入ってきた場合、そこには人間のような触感の見えない物で埋め尽くされていて突破ができない。

NPC
名前:内亜 などで良い。教会に入った時点で探索者は閉じ込められているのだから。
性別:PCが好みのタイプに合わせてあげると良い。
STR:12  DEX:18  INT:86 
CON:19  APP:18  POW:100  
SIZ:11 SAN:0 
H P:15  M P:100  回避:36  ダメージボーナス:0

これより先はニャルと同行をする事になるが、ニャル自身は探索者の行動の妨害は行わないが魔法によって行動を誘導していく。
シークレットダイスでファンブルが出ない限りは魔法は成功し、ファンブルが出た場合はニャルが呪文をいつの間にか口ずさんでいた事にしておく。

8:接触後

ドアや窓は開かず、窓を割ったとしてもガラスは割れるが肉壁があるかのように一部のガラス片が空中に浮かんでいる。
ここではシークレットダイスを振る、もしくはニャルと対抗ロールを行い(POW対抗)自動失敗をしてもらう。
だんだんと探索者の触覚には人間ほどの柔らかく、しかしヌルリとした物に触られるようになる。
大量の透明人間に囲まれている・・・!?と錯覚をさせる。
実際のところはニャルが魔法で外部に繋がる場所に透明の人間の肉塊で塞いでおり、
探索者の触覚に魔法をかけ透明人間に触られてるように誤解させる。聞き耳ロールを任意で行い成功すると音がしない。
手立てが奥のドアしかない?!と探索者を誘導する。
余談だが、塞いでるそれは掘削をすれば外へと出られる。

9:地下室

奥のドアを開けると四方の壁には窓もなく地下室への階段のみ見つかる。
地下室までへの道に特に危険は無いが、探索者の触覚にはたくさんの人間のような物に圧迫されている感じを受け続ける。
ニャルは探索者の後ろについていきたがる。
地下室へ入るとニャルが不適な笑みを浮かべながらドアを閉めてしまう。
「君たちが信じる地獄と天国が本当は逆だったらどうしようね?」
地下室は薄暗い岩部屋である。
中心には魔方陣が描かれており、ほのかな灯りと「天国への書」と書かれている本を見つける。
「クトゥルフ神話技能」に成功すると門の魔方陣であることが理解できる。
目星や聞き耳、幸運などを考えられる技能を使い成功すると岩部屋のある箇所に
「地獄への道」と書かれてる物を見つける。
適当に岩で隠されていたその先はキレイに六角形の部屋に続いていた。
そして部屋の中心には「地獄への乗車券」と書かれた薬が置かれていた。

10:天国への書

この本には「支配」に似た呪文がかけられている。
ページをめくると幸せなビジョンが脳に送られてきて、ページをめくりたくて仕方なくなる。
目を逸らそうとすると読みたいという衝動にかられ、それぞれのページで対抗ロールが行われる。
「この本は救いのための本だ。私はあの日、あの方に出会ってからこの救いのために心血を注いできた。
 そこにだけ全ての人への救いがあるとわかったからだ。」1ページ目
「この世界で我々は我々の常識に収まる中で生活をしてきた。」
「しかし、私は理解してしまった。我々は、この世界はある夢の中で生きているだけなのだと・・・。」2.3ページ目
「私は人類を昇華し、そしてその夢の外で生きるべき事が人類が残っていける唯一の手段だと理解した。」
「今、君に授けよう。君を助け、君を天国へ届け、そして人類を救うための道を。」4.5ページ目
「いあいあアザトース%&##%@#*〜〜〜〜〜!!!!!???!?!?!」6ページ目以降
ページを開くごとに天国のようなイメージとアザトースの幻影を見る。
そして、次のページをめくりたくて仕方ない衝動にかられる。
もし、読むのを中断したくなった場合はPOW16と対抗ロールを行う。
失敗した場合は次のページをめくってしまう。
6ページ目を開くと「門の創造、アザトースへの送致」の呪文が発動する。
この呪文が発動すると探索者はアザトースの元へ送られる。
しかし、アザトースは探索者に何の関心も持たないため、何かを仕掛けてくる事は一切ない。
だが、探索者はこの絶望的な空間から抜け出すことはできない。
そして、その空間は人間が耐えられる空間ではないので体の皮膚が焼かれたようにただれ、体液が絶えず噴き出ていった。
ピクリとでも体を動かせばそれは熱せられた鉄を当てられたかのように痛み、
ひとつ呼吸をすれば熱が喉を焼き、肺に針が入ったかのような激痛が走る。
この外なる神がいる場所は想像の範疇を超えた場所なのか。それなのに死ぬことができなかった。
アザトースが目覚めるのを見た気がする。
それは宇宙の終焉の時だった。
アザトースが眠る時。
それは宇宙の誕生の時だった。

時間経過(宇宙の生死回数)を1d6で決める。1=500億年とし、1D100で1が連続1万回出るまでの時間とする。
(確率を数値に直すと1*10^20000

何も考えることができないほど時間が過ぎた時、探索者だったモノは夢を見る。
探索者が決めた自宅の特徴的な物やこだわりだった物を描写する。
窓を叩いてみた。
そこに出てきた物を見て探索者だったモノは気が付いたのだろうか。

オナジクルシミヲサセテハイケナイ。
シナリオ終了

11:地獄への道の薬

ガラスのビンに詰められている。色は青に見えたり、緑に見えたりする。
時々、星のような煌きを一瞬見せることもあれば吸い込まれそうななど黒い闇を見せることもある。
触れたりしても特に何も毒なども無く、経口で摂取した場合に効果が現れる。
一口、舌の上に含む程度の量で薬の効果を説明をする。
[最大MPを超えて現在MPを+5(時間経過によって最大MPまで戻ろうとする)、見えなかった物が30分見えるようになる]

何も無いように見えるこの部屋なのだが、実は天井へ向かっての階段がある。何かしらでロールすれば見つけられるかもしれないし、
次のような冒涜的な光景を見ずに外へ出られるかもしれない。
めちゃくちゃな格好をしてまるで葦と葦を結ばれたかのように透明人間で作られた階段が。
透明だった人がヌルヌルしているのは焼きただれた真っ赤な肌から出てくる体液だったのだ。

もし、薬の効果が続いたまま外へ出られたら教会の外をふさいでいたのはそういった肉壁だった事に気が付くかもしれない。
そして、ニャルの姿もみえるかもしれない。冒涜的な笑顔を浮かべて。
シナリオ終了

12:補足説明

Q.あの本は何なのか?
A.昔にアザトースを崇拝する魔女が作った本。アザトースとの接触、招来/退散、アザトースまでへの門の創造と言った呪文が書かれている。

メタ的な話をすると、このTRPGのセッション自体がアザトースの見ている夢ということになる。
透明人間はアザトースの夢に干渉してきて、PCがアザトースの空間へ来ないようにと行動を開始したのが事の始まりである。
このセッションで夢を見ているのは誰か?つまりプレイヤーがアザトースという事になる。
世界への、そして世界からのメッセンジャーとしてKPはニャルラトホテプの役割を果たしていくのだ。

以下、実際のプレイでのあらすじ

第1回目

第2回目