アクアラインの事件から数日を迎えた。
あの事件が起こる前と同じ何もない穏やかな日常。新聞には大きく取り上げられることもなく、
私があそこで見た大勢の人の死や、魚のような化け物に、光る生き物・・・
あれらが、現実に起こっていたものなのか確信を持てないでいた。
しかし、ニャルラトテップと名乗っていた彼女からもらった「ネクロノミコン」という本
その存在が、その事件が現実であったと告げていた。
帰りの電車で暇つぶしとしてあの本を読んだとき、内容のあまりの恐ろしさに笑いが止まらなくなってしまった。
電車内に本を置いて逃げてしまおうかと思ったけれど、
その内容を世に広めるのもまた恐ろしく、結局手放せずにいる。
古き神や外なる神、旧支配者というおぞましい存在、そして魔術・・・
あの本に記された世界の裏側とでも言うべき知識により、
アクアラインの事件の裏側に今までの常識では考えられない陰謀によるものだと嫌でも理解させられた。
この知識によって、私は裏側の事件について気付けてしまうのだろう。
そして気付いてしまえば巻き込まれざるを得ない。何もせずに巻き込まれて死ぬのなんて絶対に嫌だから・・・
願わくば、少しでもこの平穏が長く続きますようn
「あ、佐代くん。お土産の光るお煎餅美味しかったよ」
「あの・・・先生? 私はあれを調べてほしいって言いませんでしたっけ?」
先生には人体に本当に害がないのか調べてもらうつもりが、お土産として食べられてしまったらしい。
・・・きっと問題ないから食べたんだよね・・・多分・・・
食べると言えば、あの事件で一緒になった3人とニャルさん、そして私の5人で鍋パーティをする夢を見た。
たしか、ダゴンって深海魚?のお肉を使ったツミレや海老、タコを加えた海鮮鍋。
お酒は蜂蜜のお酒で、お摘みにシャンタ鳥とか言う鳥のから揚げだったかな?
皆で騒いだり、宇宙旅行をした楽しい夢・・・
・・・料理を始めてみようかな。
流石に宇宙旅行の部分は無理だけど、あの料理が作れるようになったらみんなを呼んで正夢にしてみようと思う。
一番連絡をつけにくそうなニャルさんも、あの本に書いてあった呪文を使えば来てくれるかもしれない・・・
黒幕みたいな空気だったけど、悪い人(?)じゃなさそうだったし彼女も誘えばきっと楽しくなるだろう。
そうと決まれば練習だ!
・・・あの夢に出てきた材料の名前・・・何処かで見た気がするんだけどどこだっただろう? to be continued?
茶番枠
今日は魚屋さんでいい魚が手に入った。でも1人で食べるのはなんとも味気ない・・・
そうだニャルちゃんを呼ぼう!
「私からもおいしい魚プレゼントですよっ!」
ニャルちゃんから魚?のお肉をもらった。ダゴンというらしいけど、深海魚だったのかな?
気が付くとニャルちゃんの姿は消えていた。夕飯を一緒に食べたかったのに残念。
でも気のせいだろうか、前と雰囲気が少し違ったような・・・?
魚は足が速い早めに食べないといけないし・・・と自分に言い訳し、あの事故で出会ったみんなに鍋パーティのお誘いを送った。
どうせ珍しいものを使うのだから、この間の光るタコも入れてみよう。熱を加えれば大丈夫だよね?
約束の時間が近付くとみんなが来てくれました。
空蝉さんは何故か天井から現れたけど、きっと忍者の作法のようなものなのでしょう。
「何で人をこんな簡単に呼びつけるかな」
接触の呪文を使うとニャルちゃんもなんだかんだ言いつつ来てくれました。
何故かダゴンのお肉に反対みたいだったけど・・・勿体ないので投入です。異論なんて聞きません。
貰ったシャンタクの鶏肉?を使った鶏のから揚げは蜂蜜酒に合う会心の出来だったのではないでしょうか!
遠山さんはニャルちゃんから呪文を教わっていたり、日駈さんと空蝉さん、そして私の3人で
クトゥルヒを使って遊んだりしているうちに
「宇宙旅行へ出発!」
っと吹っ切れたニャルちゃんによって、なんと宇宙旅行に行くことに!
どこを見ても星が綺麗で感動のあまりふるえてしまいました・・・
風景を楽しんだあとには、ネクロノミコンの朗読会をしたり、飲み比べをしてたりと大騒ぎをして・・・
気が付くと自室のベッドの中。
あわててスマホの時計を確認すると翌日の朝・・・夢だったのかと残念に思いつつ周りを見回すと、
枕元にはとても綺麗な銀髪の髪が一房。
「きっとニャルちゃんの髪の毛なんだろうなぁ」と確信しつつ、一本をお守りに入れて
残りはゴムでまとめて小物入れにしまう。
あの事件でひどい目にあったとは思うけれど、それ以上に素晴らしい出会いがあった。
気の良くて優しい仲間たち、悪役ぶっているけれど反応の可愛い神様・・・
事件の中で得られたこの縁を私はこれからも大切にしていきたいと思う。
「さぁ今日も頑張るぞー!」