星空に望む終焉シナリオページ
始めに
このシナリオは、主題として『探索者が見逃さざるを得ない必要悪』と『探索者の正義とは何か』を掲げた作品となっています。
探索者には、神格の招来を肯定する選択肢も用意されています。
このシナリオに於いて、HappyENDと呼べるものは存在しません。
幸せな結末がないという意味ではなく、KPとPL個人によって、EDの受け取り方が違ってくると思われるからです。
KPはこのシナリオを回す際、自身にとってはED_A〜ED_Dの内のいずれがHappyENDに該当するのか、答えを用意しておくと良いでしょう。
探索者はNPCと協力し、自分たちで結末を選び取らなければなりません。
難易度
★★★☆☆
推奨技能
推奨度 | 技能名 |
★★★ | 目星、聞き耳、図書館、隠密系技能 |
★★☆ | 交渉系技能、心理学、追跡orナビゲート、回避、芸術(音楽系) |
★☆☆ | 戦闘技能、操縦(船系統) |
多種多様な技能が必要になってくる。
プレイ時間
テキストで約20時間ほど。
あらすじ
それは夏が過ぎ、秋の風が吹き始める9月始めのこと。
HO1は商店街の福引で、一等である青見島観光ツアーのチケットを入手する。
ツアーの参加には、他に3名まで知人を招待することができる旨が書かれていた。
ツアーの日付は10月の終わりとなっており、HO1は友人たちとツアーに参加することを決めた。
そして、あなたたちは一隻のフェリーに乗って海を渡り、青見島に足を踏み入れるだろう。
狂気と静寂に満ちた、絶海の孤島へと・・・
青見島について
青海島は、距離的に言えば硫黄島の近辺に位置する小さな島である。
この島は古くは無人島であったが、太平洋戦争中の1945年2月19日に始まった硫黄島の戦いで日本軍が壊滅した際、生き延びた一部の日本軍と従軍慰安婦がこの島に流れ着いた。
これにより、青見島に生活する者達による独自の文化が育まれ始めた。
しかしこの島は古来よりシャッガイからの昆虫の棲家となっており、島の人間は長い時間をかけてシャッガイからの昆虫の奴隷にされてしまっている。
KP用概要
シャッガイからの昆虫は、この島に人間が流れ着いた時から彼らを利用して、今は亡きシャッガイ星での栄華を取り戻すことを画策した。
しかし人間も少なく環境も整わない内から出来ることは少なかったため、その後数十年に渡り彼等は介入を最小限に、自らを信仰するように意識をすり替える程度に抑えてきた。
21世紀に入る頃には島の存在が外にも知られ始めたため、シャッガイからの昆虫たちは時が来た事を察し行動を開始する。
まず、儀式のために必要な魔導書「MASSA DI REQUIEM PER SHUGGAY」を探し出し、呪文を完成させるための管弦楽団を組織した。
魔術には魔力が必要であり、島外から訪れた人間を使おうことを画策。
人間を集めるためにツアーを企画し、村を訪れた人間を次々と儀式により殺害した。
そんな中、美玖たち九重一家が島に移住してくる。
シャッガイからの昆虫は美玖の両親に寄生するも、直後の支配力が弱かった間に美玖に寄生しようとしたシャッガイからの昆虫を猟銃で撃ってしまう。
撃たれたシャッガイからの昆虫はそれにより重症を負うことになるが美久の身体に侵入。しかし傷を癒すことができずに寄生したまま死亡する。
両親は島の支配者とも言えるシャッガイからの昆虫を殺した罪により、旅行者と同様に儀式の生贄にされてしまうことになる。
美玖は両親の説得によりシャッガイからの昆虫に恭順の意を示したことで死を免れるが、その心には両親を殺されたことへの憎悪が残ることになった。
美玖はその後、シャッガイからの昆虫に支配された村に服従したように見せかけて、この島に存在する怪物、島民を抹殺する方法を探し、クトゥグアの招来に行き着くことになる。
それと並行して彼女は猟銃の扱いを独学で覚えた。
彼女が初めて殺人を犯したのは探索者が島を訪れる4年ほど前のこと。
当時ツアーに参加していた田代陽太(23)を、容姿を武器に山中へと誘いだした。
美玖は彼が隙を見せたタイミングを見計らい、用意していた猟銃を使用して田代を殺害した。
美玖は以後自身が行おうとしている闇討ちの犯人として、彼をスケープゴートとするため犯行に及んだ。
ツアー客は田代の失踪直後にわかに騒ぎ立てたが、その晩には彼を除いたツアー客全員が儀式により殺害されたため、当時のことは村人の間ではすぐに忘れ去られることとなった。
美玖が村人を闇討ちしたのはその約一ヶ月後のことであり、月が雲に陰った夜のことだった。
NPC
九重 美玖(ここのえ みく)
九重 美玖 (♀) 職業:島民 年齢:25
STR:11 DEX:15 INT:16 アイデア:80
CON:10 APP:15 POW:16 幸 運:80
SIZ:12 SAN:38(67) EDU:15 知 識:75
H P:11 M P:16 回避:30 DB:0
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[技能]
ショットガン:50% 回避:50% 機械修理:60%
隠れる:70% 忍び歩き:70% 隠す:70%
目星:65% 芸術(家事):70%
クトゥルフ神話技能:32% 制作(銃器):20%
その他KPが望む技能
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[持ち物]
・武器
Remington Model 870
元データ | 12ゲージショットガン(ポンプ) |
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基本命中率 | 30% | ダメージ | 4D6/2D6/1D6 |
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1Rの攻撃回数 | 1回 | 装弾数 | 2発(※) |
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耐久力 | 10 | 故障ナンバー | 00 |
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備考※ 日本の銃刀法により、装弾数を2発に制限するための改造が施されている。
彼女自身の手により、ソードオフ(銃身を切り詰めたモノ)に改造が施してある。
・防具
黒を基調とした暗めの服装。
・所持品
ショットガンを入れた細身のドラムバッグをいつも持ち歩いている。
・不定の狂気
殺人癖 島民に対してのみ。
強迫観念 島を滅ぼすための手段の模索
[プロフィール]
このシナリオのメインNPC。
悲惨な過去を持ち、シャッガイからの昆虫に復讐するために探索者と手を組む。
生前、父が猟銃の扱いを心得ていた。
父の死後猟銃は彼女の手に渡り、シャッガイからの昆虫(が寄生した島民)を撃ち殺すためにしばらくの間練習を重ねてきた。
ふとした瞬間に年相応の表情を見せるが、普段は島民の前では作り笑顔、その他の場所では暗い表情をしていることが多い。
展望岩が好きで、何かがあると展望岩を訪れる。
不定の狂気として、島民が一人でいるところを見ると殺したくて仕方がなくなる。
本人は殺人を楽しむような異常性は持っていないが、殺人を否定する姿勢はない。
両親の死後はずっと孤独だったため、心の奥底では寂しさをずっと抱えている。
立花 瑞穂(たちばな みずほ)
立花 瑞穂(性別♂or♀) 職業:女将 年齢:33
STR:15 DEX:13 INT:17
CON:14 APP:13 POW:14
SIZ:13 EDU:20
H P:14 M P:POW 回避:26 DB:+1D4
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[技能]
薙刀:70% 回避:70% 心理学:50%
その他KPが必要だと思うもの
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[持ち物]
・武器
薙刀 1D8+DB 耐久力15
・防具
着物
[プロフィール]
青見島唯一の旅館「二枝」の女将。
他の島民とは少し違った視点を持っており、美玖のことを若干ながらいぶかしんでいる。
シナリオの最後に彼女と戦うことになるだろう。
事前情報
探索者が望むのであれば、シナリオ開始時に【図書館】【コンピュータ】などによる情報収集により、以下の情報を得ることができる。
【図書館】技能で判定した場合、青見島に関する資料は乏しく、最低限の地理的な情報(1〜3)しか入手することができない。
- 1,青見島は行政の上では東京都青見島村に属している。
- 2,小さな孤島であり、島には未だ活動を続ける活火山がある。
- 3,青見島は世界的にも希少な二重カルデラの島であり、洋上からでは内部の様子はあまり把握できない。
カルデラについて
カルデラとは、火山活動によってできた窪地地形のこと。
- 4,インターネット上に青見島のホームページがある。
- 5,島の名産品は、温泉を利用して栽培している葡萄やトマトなどの農産物や、海から取れる海産物が主である。
- 6,人口は300人に満たないために生活行動範囲は狭く、島のほとんどは自然のままとなっている。
- 7,ホームページ内のどこを探しても自治体のリーダーとなる村長や役員の名前が載っていない。
- 8,青見島のホームページを除くと、青見島に関するページは地理的なものばかりで、生活などに触れているページは見当たらない。
- 9,幾つかのブログ等で「青見島へ行くと言っていた友人がその後音信不通になった」という旨のブン面を発見することができる。
導入
探索者は午前10時頃にフェリーに搭乗し、午後2時頃に青見島に到着する。
シナリオは島に到着する辺りからスタートするため、描写は飛ばして島に上陸したところからでも構わない。
- 1,船は小型のフェリーであり、最大搭乗人数は100人程度。ツアー参加者は、探索者を含め28人。
- 2,昼時を挟んでの航行となるため、船内で弁当が出る。
- 3,船の職員は本土に住んではいるものの、元は島の人間でありシャッガイからの昆虫に寄生されている。
港(導入時)
- 1,港は木で作られた桟橋がいくつも突き出た形をしており、それぞれの桟橋の先には小型船舶が合計で20隻ほど停泊している。
- 2,全時代的な粗いコンクリートでできた舗装された場所へ出ると、そこには二階建ての管理棟と思われる建物が鎮座している。
- 3,この建物もコンクリート造りだが、建物はよく見ると所々ひび割れており、長い年月を経ていることが伺える。
- 4,管理棟には大きなプレハブ造りの建物が並んでおり、開かれた門から中の様子が見える。
- 5,中ではくたびれた作業服を着た男性たちが働いており、周囲に並ぶ金属部品などから船の整備施設であろうということがわかる。
- 6,港の先は緩やかな上り坂になっており、村の様子を伺い知ることはできない。
女将との邂逅(イベント)
探索者を含めたツアー客一行が桟橋に降りると、そこでは一人の着物を着た女性が立っている。
- 女性の所作は、長い間着物を着続けてきた者の精錬された動きであることがわかる。
- 彼女はツアー客一行に頭を下げると、自身が青見島唯一の旅館「二枝」の女将であり、名前が立花瑞穂であることを明かす。
- ツアー客一行にはまず旅館で荷物を置いてもらい、その後数人の島民が務めるガイドで島の中を案内する予定であること。
女将は探索者をはじめとするツアー客の来訪を心から歓迎しているが、これは儀式の生贄となる者達がやってきたことに対してである。
彼女はツアー客一行に説明を終えると、自分についてくるように言って坂を上り始める。
坂の上からの展望
坂を上りきるとその先は今度は下り坂になっており、眼下には小さな村を見つけることができる。
- 遠目からでも村の小ささは一目でわかり、出歩いている島民の数も疎らである。
- ほとんどの民家も平屋であり、瓦葺きの屋根がほとんどだが、その中にはまだできて余り経っていないであろう外観の建物もいくつか存在する。
- 特に目立つのは大きなドーム状の建物であり、何らかの劇場か何かのようにも見える。
- 村の先へ視線を向けると第二カルデラが見える。
女将はツアー客に、眼下の村が青見島村であることを伝えるとそのまま下り坂を降りていく。
探索者はドーム状の建物、青見島文化ホールに興味を持つかもしれない。
その場合、後で村を案内する際に提示する情報を一部開示してしまっても構わないだろう。
一日目(日中)
旅館
旅館は二階建ての建物で、入口の軒下につけられた看板には「二枝」と書かれている。
一行が旅館に到着すると、旅館の前には着物や割烹着を着た者達が6人並んでおり、ツアー客一行を待っている。
女将は彼らが旅館の従業員であることを伝え、一行を旅館に招き入れる。
部屋割はあらかじめ決まっており、探索者たちは二階一番奥の部屋になっている。
探索者たちが部屋に入る際、「この後青見島の案内を行うので、荷物を置いたら集まってほしい」と女将から伝えられる。
- 部屋は畳張りの和室であり、広さは12畳程度とあまり広くはない。
- 部屋は掃除が行き届いており、花瓶に生けてある花も新しいものであることがわかる。
- 障子と窓を開けると、外ののどかな風景を見ることができる。
村の案内(イベント)
探索者が玄関に戻ると、女将は探索者のグループは自分が案内をすることを伝えて、以下の場所を説明しながら回っていく。
ここで説明した場所が以後の主な探索箇所になるだろう。
青見商店
島唯一の大型商店。
平屋だが天井が高く、周囲よりも先に若干目立つ。
ここに一行が立ち寄ると、女将は以下の様に説明する。
- 青見島は小さく、人口も少ないため個人経営の店を開くのではなく、大型商店という形であらゆる物品を販売していること。
- 島で採れたものが多いが、本土から運ばれてきたものも売られていること。
農場
野菜などが栽培されている農場。
かなりの面積があり、比較的簡単に栽培できる植物が多い。
- この農場では様々な野菜や果物を育てているが、少量なためこれらを本土に出荷することはなく、青見島内でのみ流通している。
- 本土に出荷しているのは主に海産物である。
青見島文化ホール
青見島の中央に鎮座している最も大きなドーム状の建物。
- この建物は村の発展を願い建てられたものであること。
- 管弦楽団が結成され、このホールで練習を重ねている。
- 数日後に祭りがあるので日々練習をしているが、練習風景は基本的に非公開になっている。
- 役所で許可を得れば中に入って見学することも出来る。
- 最近は、近々行われるお祭りのために、練習にも気合が入っているようだ。
役所
2階建ての小さな役所。
- 役所は2階にあるが、一階は小規模な歴史館兼図書館になっている。
- 島の歴史に興味があるのなら寄ってみるのも良いかもしれない。
殺人鬼の噂
探索者たちは女将に連れられ観光を続ける間に村人の会話から、最近村を脅かしている連続殺人事件についての情報を得ることができる。
村人の世間話(イベント)
探索者たちは、聞き耳に成功することで道端で会話する2人の男の会話を聞き取ることができる。
「昨日もまた一人やられた。3件隣の横谷のオヤジだ」
「横谷が!?くそっ・・・これで12人目か・・・」
「ああ。盛岡が言うには、夜道で独りのところを襲われたんじゃないかって・・・」
「いつもと同じ手口か・・・やってくれるな」
「これ以上暴れられるわけにもいかないが・・・どこに隠れ潜んでる?そもそも、誰だ?」
「それはきっと一年前に・・・」
2人の男はここまで話すと、探索者たちが聞いていることに気づいて口をつぐみ、その場から去ってしまう。
この件に関して女将に問いかけた場合のらりくらりと話を逸らされてしまうが、探索者の追及がしつこいようであれば知っていることを話してしまっても良い。
殺人鬼の情報について
ここで語られているのは、殺人鬼である美玖のことである。
彼らは殺人鬼の正体は知らないが、夜中に一人で行動している人間が狙われていることや、殺害の手口が全て同一であることは知っている。
また、この殺人鬼の犯人は村人の間で「1年前に儀式の生贄になることなく姿を消したツアー客の男」であると考えられている。
これは、シャッガイからの昆虫によって意識の統一された彼らの中に裏切者がいるはずはないという先入観が働いているため。
初邂逅(イベント)
さらに観光を続けていると、道端から飛び出してきた女性(美玖)が探索者の一人にぶつかり、二人はその場に倒れこむことになる。
その際に探索者の荷物は路上に広がってしまう。
- 飛び出してきた女性は、「ごめんなさい!」と謝って、探索者が荷物を拾うのを手伝う。
- 荷物を拾い終わると、彼女はそのまま急いでいるからと足早に去って行ってしまう。
探索者は武道,MA(技能を所持している人がいなければアイデアでも構わない)を振り、成功することで彼女は明らかに荷物を狙ってぶつかってきた様だと感じる。
また、上記の「殺人鬼の噂」にて目星に成功していた場合、この女性が先ほど探索者たちを観察していた女性であることがわかる。
探索者の荷物
もしも探索者が窃盗を疑って自分の荷物を確認した場合、そこからは何も盗まれたりはしていない。
しかし、代わりに折りたたまれた一枚の見慣れない紙が入っていることに気づく。
その紙には以下の様に書かれている。
折りたたまれた紙
この村は危険
酒には睡眠薬が仕込まれている
死にたくなければ、飲んではいけない
夜間に気をつけて
これは、美玖からの警告である。
美玖は周りの住人に気づかれないよう、探索者にこのことを伝えるために事故を装い荷物を拾うのを手伝った。
一日目(夜)
女将はすべての案内を終えると、探索者を連れ旅館に帰ってくる。
食事の準備まで少し時間があるため、それまでは旅館でゆっくりしていてほしいと去っていく。
探索[旅館]
女将が去ってから食事までに、探索者は一人につき1回までダイスロールを使用する行動を行うことができる。
外に出る場合は夕食に間に合わなくなる可能性もあるので、旅館内でできることに限定するべきだろう。
もちろん、探索者が行動を放棄、またはRPのみに費やしたいというのであればそれでもかまわない。
玄関周辺
目星に成功することで、ソファにおいてある町内新聞を見つけることができる。
町内新聞の大見出しには「12人目の被害者!」という文字が躍っている。
町内新聞
本日、横谷典弘さん(41歳)が何者かにより殺害された。
事件は盛岡氏が勤務する交番の北にある農場付近で起こった。
既に亡くなっている11人と同様に、頭部を猟銃と思われる散弾で後ろから撃たれており、これが死因と思われる。
盛岡氏によると、事件が起こったのはまだ日も登らない早朝4時頃。
農場の方角から破裂音の様な銃声が聞こえ、氏が急行した時には既に横谷さんは事切れていたとのこと。
の少し前に横谷さんは交番の近くを通っているところを盛岡氏が確認しており、氏は横谷さんに「見知らぬ人間には気を付けるように」と声をかけていたとの事。
葬儀は明日の午後より行われる予定だ。
なお、探索者達が何某かの理由により殺人鬼の噂を聞くことが出来ていなかった場合は、この旅館の従業員が話しているところに遭遇させると良い。
また、旅館全体に言えることだが、この旅館には非常に窓が多数つけられている。
夜間、正しくは島民の襲撃時には予め女将の手によって全ての窓が開け放たれており、シャッガイからの昆虫が入りやすいようにしている。
探索者の部屋
美玖との初邂逅により、探索者たちは僅かに部屋を警戒する素振りを見せるかもしれない。
その場合、部屋に入った際に目星を振らせてもよい。
成功した場合、よく見ると部屋の柱周辺に擦り傷などの争った形跡があることが分かる。(探索者の行動は消費しない)
- ほとんどの痕跡は消されてしまっており見つけることは出来ない。
- 唯一畳を剥がした床には複数の血痕が残されている。
一箇所を調べた時点で部屋の扉がノックされ、女将が食事の準備ができたことを伝えに来る。
この際、女将は部屋に入る許可を求めるが、探索者が余程おかしな対応をしない限りは、不審に思って強引に部屋に入ってくるようなことはない。
宴会(イベント)
女将に連れられて1階に降りると、既に大広間には宴会の席が設けられており、先に降りていた他のツアー客達12人が料理に舌堤を打っている。
- 席は4つのテーブルに分かれており、他の席は既に埋まっている。
- 空いているテーブルは1つだけであり、その席が探索者達自身の席だと分かる。
- テーブルには既に料理が並んでいる。
- 並んでいるのは、伊勢海老、アワビ、サザエの活け造りや、カレイの煮付け、雑魚の天ぷらなど、島村らしい海の幸をふんだんに使った豪勢な席となっている。
- 酒類も豊富に用意されており、未成年向けでは果汁100%ドリンクなども置かれている。
この部屋での描写では、あえて全ツアー客分の食事が用意されていないことを示している。
これは島内案内の際に捕らえられた者達の分がないことになるが、探索者が気づかなければ頃合を見計らってアイデアを振らせても良いだろう。
なお、その件について女将に問いかけた場合彼女は「食事の時間はずらしている」という旨の言い訳をする。もちろん嘘。
殺人鬼について聞く場合(イベント)
もしも女将に対して、新聞記事や噂などの殺人鬼に関することを質問した場合は以下の様に答える。
- 1年ほど前に最初の犠牲者が出て、それ以来夜間に一人で外を出歩いた者が殺されている。
- 最初の犠牲者が出る一月前に、探索者の様にツアーに参加した男性が行方不明になっていた。
- 村の内部犯ではないので、目下村の中ではその男性が犯人であろうと噂されている。
- 探索者たちも、殺人鬼に襲われる危険性があるため、夜間は部屋から出ることはないように。
女将はこの際、「村の内部犯はありえない」と強調して話す。
これは、シャッガイからの昆虫たちの意思で統率されている人間たちに、同じ村人を襲うという考え方は絶対に起きないということを人間の目線で話すためである。
もしもこの点を探索者に追及された場合、女将は「この村の住人は強い絆で結ばれているためだ」と語り、それ以上の追及は許さない。
女将の話
探索者からのアクションがなかったり、追求を躱すための話題として女将は展望岩についての話題を出す。
- 第二カルデラの中腹には、展望岩と呼ばれる場所がある。
- この岩は街から続く山道を登っていき、途中の分岐路を左に進むことで行くことができる。
- 展望岩は巨大な1枚岩で崖から突き出すように聳えている。
- 展望岩から眺める景色は素晴らしく、展望岩と呼ばれる由来にもなっている。
温泉
温泉のイベントは、探索者が向かうようなら追加しても良いし、なくてもシナリオの進行に差し障りはない。
もしも温泉のイベントを発生させたいのであれば女将に温泉について言及させると良いだろう。
探索者たちの食事が終わると、女将がやってきて以下のように話す。
- 良ければ一階奥にある、当旅館自慢の温泉を利用してみてほしい。
- 活火山があるこの島には天然温泉が流れており、当旅館ではその温泉を源泉のまま利用している。
- 当旅館では温泉のみの利用も可能であり、村の住人もよく利用してくれている。
- 当旅館では、温泉へのお酒の持ち込みが許可されているので、良ければ合わせて利用してほしい。
温泉は旅館の奥にあり、露天風呂になっている。
時間にもよるが、探索者が温泉に入る際には男女どちらの脱衣所にも何組かの荷物が置いてあり、すでに温泉に入っている人が数人いる可能性がある。
温泉に於けるイベントは、主に女湯の方にある。
男性陣はやや置いてけぼりになってしまう可能性もあるので、イベントを追加したり、いっそ混浴にするのもいいかもしれない。
露天風呂[男性]
探索者たちが温泉に入りしばらくすると、2人のガタイの良い男性が熱燗と御猪口を手に入ってくる。
彼らは村の住人であり、探索者たちに目を付けるとそばにやってきてお酒を勧めてくる。
- 彼らは探索者に対してしきりに「呑んでぐっすり寝て、今日の疲れを癒すと良い」と語る。
- 探索者がなぜその様に言うのかと聞く場合は、「本格的な観光になる明日に疲れが残ってしまったらこの村の良さを伝えられない」と返す。
- 探索者がお酒に口を付けるのであれば、彼らは気を良くして口が軽くなるため、探索者が何か情報を引き出すチャンスを得ることができるかもしれない。
- もしも断り続けるようであれば、しばらくすると彼らは気分を損ねて足早に温泉を去って行ってしまう。
露天風呂[女性]
探索者たちが温泉の扉を開けると、露天風呂には女性がひとりだけ浸かっている。
彼女は昼間謎のメッセージを残した女性(美玖)であり、彼女は探索者に気づくと周囲に視線を投げかけてから探索者を手招きする。
探索者が彼女に促され、そばへやってきた場合彼女は探索者に対して以下の様に述べる。
- 自分からのメッセージを見てくれたか?
- 自身はこの村の住人のひとりで、九重美玖という名前であること。
- 今夜、あなたたちの身に危険が迫るから、夜間は眠ってはいけないということ。
探索者はこの言葉に対して、もしくはメモの内容について質問をしてくるだろう。
それに対して美玖は以下のように話す。
- この村は異常である。
- 例えば、この島の人間が結託して余所者を殺すためにツアーを企画したと言ったら信じるか?
探索者は当然信じるに足る根拠がないため、美玖は大広間にいたツアー客が少なかったことなどを指摘する。
- この旅館には、大広間は一つしかない。なぜ夕食を食べていた人間が少なかったのか。
- この島の住人たちは、頭に巣食った蟲に飼われている。
美玖はさらに何かを話そうと口を開いたところで脱衣所の扉が開き、中年の女性2人が温泉に入ってくる。
それを美玖は険しい表情で一瞬目を向け、探索者からわずかに距離を取り、しばらくすると何も言わずに露天風呂を出ようとする。
中年女性2人はそれを見て「夜は物騒だからひとりで歩き回ってはダメ」と美玖に小言を言い、美玖はそれをそれとなく受け流して露天風呂を出ていく。
一日目(深夜)
探索者が部屋に戻ってしばらくすると島民による襲撃が起こる。
このシナリオはここから始まるといってもよく、ここでできるだけ緊迫感を演出したい。
酒を飲んだ場合
酒を飲んだ探索者は、夜間にはPOT25とCONで対抗しなければならない。
判定に失敗した場合は、その探索者は眠りに落ちてしまい、翌日まで目覚める事ができない。
襲撃と脱出(イベント)
夜間、聞き耳に成功した場合、以下の情報を得ることができる。
- 1階から大勢の足音が聞こえてくる。SPC時はその人数が30人ほどであることがわかる。
- 聞き耳に成功していれば、その集団から「予定通り、全員捕まえる。儀式場に連れていけ。そこからはいつもどおり」といった声が聞こえる。
- しばらくすると、「ここが最後の部屋だ」と探索者の部屋の扉の前で声が聞こえる。
探索者たちがこれに対して何らかのアクションを起こそうとしたら、全員にもう一度聞き耳を降らせる。
成功者は窓の方からカツッ、カツッという何かがぶつかっているような音を聞き取ることができる。
探索者が窓の方へ行くと、旅館の庭から小石を投げている美玖の姿を見つけることができる。
彼女は厳しい表情で探索者たちに対して「こっちへ来い!」と手招きやジェスチャーで伝え、探索者たちに窓から飛び降りるよう要求する。
探索者が飛び降りて脱出する場合、跳躍に成功しない限り1D6のダメージを受ける。
もしも探索者がカーテンをロープ替わりに使用するなどというアイデアを出した場合、美玖はそれを止める必要がある。
これは、探索者たちが島民の襲撃があった時点では外にいた、と島民に対して美玖が言い訳をするために、できるだけ旅館に不自然な点を残したくないというのが主な理由である。
探索者が部屋から脱出した場合、美玖は探索者のところまで駆け寄ってきて「ついてきて。早く!」と急かしながらその場を離れる。
夜間の村は旅館での騒動などないかのように静まり返っており、街灯も少ないためかなり暗くなっている。
美玖の家までの距離はそう遠くないため、道中で島民に遭遇することはないだろう。
美玖は自宅へ向かう最中は周囲への警戒を続けており、探索者に話しかけられても「それは安全な場所まで移動したら」と言うだけに留める。
また、探索者が旅館から出て去る際に、聞き耳に成功することで、遠くから虫のような大きな羽音がいくつも聞こえてくることがわかる。
美玖の家
しばらく歩くと、周囲の家々の中でも一際新しい二階建ての建物が見えてくる。
表札には九重と書かれている。
美玖は慣れた様子で鍵を取り出して扉を開け、探索者を中に招き入れる。
- 家の中は一階が4部屋、二階に3部屋がある一般的な家になっている。
- 入った時点では玄関には靴が1足も置かれていないことがわかる。
探索者たちが家に入ると、一階の居間に通される。
美玖は居間から繋がっているキッチンへ足を運ぶと、人数分のお茶を淹れて戻ってくる。
美玖は改めて探索者に向き直ると以下のように話す。(露天風呂でも話したことは以下から割愛してしまっても良い)
- ここは私の家なので、一先ず安心してほしいこと。
- 旅館での騒ぎには気づいたと思うが、この村の人間は異常だ。
- 彼らは外部から来る人間を捕えては「儀式」と称して殺害している。
- そもそもツアー自体が儀式の生贄を集めるための村ぐるみの罠であること。
- 彼らは何らかの怪物をこの地に呼び出そうとしている。
- 私は彼らの計画を阻止したいので、力を貸してほしい。
探索者が美玖の申し出を承諾した場合、彼女は以下のように続ける。
- この村の住人は皆、異形の蟲に寄生されている。
- 奴らは人間の脳に寄生して自我を奪い、操っている。
- 奴らはテレパシーのような、目に見えない何かで交信しているらしい。
- そのため常に思想、行動原理、情報を共有している様だ。
- 私は元々この村で産まれた人間ではないが、一度奴らに寄生された。
- けれど、ある日を境にピタリとその影響が消え、今日に至るまで操られた感覚はない。私自身が把握した限りでは。
- それによって、今でも正気を保っていられるがテレパシーを受け取ることもできなくなり、奴らの計画を独力で調べなければならなくなった。
- 島民の前では今でも規制された影響があるようにふるまっているが、派手に動けが疑われてしまうかもしれない。
- だからこそ、観光客という立場で無遠慮に周囲を調べられる協力者が必要だった。
美玖は話が一段落すると、もう休むように言う。
- 二階の左側は私の部屋になっており、右の部屋は両親の部屋になっている。
- 休む際には両親の部屋を使ってほしい。
- 寝具の予備は一応冬物があるので、それでよければ用意する。
美玖の目的について
探索者は、以上の話を聞いて「それでは根本的な解決にはならない」
という風に言ってくるかも知れない。
美玖の真の目的はクトゥグアを召喚して島を焼き払うことなため、彼女の視点からは解決する方法が見えていることになる。
美玖はクトゥグアの招請を秘匿した状態で探索者と協力しなければならないため、このような質問があった場合は「先の事はこれから考える」などと多少強引に話題を切ってしまって良い。
この件に対して探索者が心理学を要求するのであれば、美玖が何かを隠していることがすぐに分かるだろう。
さくじょ
二日目(朝)
朝の騒動(イベント)
探索者が目を覚ますと、玄関で誰かが言い争っていることがわかる。
- 窓から外を見る場合、2〜30人ほどの男達が玄関周りに集まっており、彼等の前には美玖が立ちはだかっていることがわかる。
- 男達は殺気立っており、ひとりひとりが農具などで武装している。
お互いが声を荒らげているため、探索者達は聞き耳を判定しなくともその様子を聞き取ることができる。
- 男達は探索者が美玖の家にいることに気付き、美玖に対して引き渡すように要求している。
- これに対して美玖は、探索者とは昨日意気投合したため、一晩家に泊めただけだと主張する。
- また、探索者は旅館で起こったことには気づいていないが、何かがあったことには勘づいているため警戒している。
- この人数で襲いかかれば捕らえることは出来るかもしれないが、私は彼らを同胞として迎えたいと思っている。
- 彼らのことは、私に任せてほしい。
と主張する。
男達はこれに渋々了承して去っていく。
彼らが退いたのを見た美玖は小さく安堵し、家に戻る。
朝食の席で(イベント)
美玖の日常的な場面はシナリオ上ではほとんど用意されていないため、美玖はPL,PCの目から見てダークな印象を受けるヒロインとなるだろう。
しかし美玖も元は控えめながらよく笑顔を見せる可憐な女性であり、数少ない日常的な場面で如何にその部分を表現できるかが美玖が魅力的に映るか否かの分かれ目になる…はず。
探索者が1階に降りると、疲れた様子の美玖が椅子に座っている。
- 美玖は探索者が降りてきたことに気付くと、「今朝食を用意する」と、キッチンで手早く朝食を作る。
- 並べられた朝食はスクランブルエッグやベーコンを中心とした洋風の献立であり、パンとご飯を選べる。
- 美玖は食事を始めるとひどく嬉しそうな様子を見せる。
この件について問い掛けると、美玖は「誰かと食べる朝食は久しぶりだから」とはにかんで答える。
- 美玖は夜間に探索者と顔を合わせなかった場合、両親が2年ほど前にこの村で亡くなったことのみを話す。
- 美玖は夜間に探索者と顔を合わせた場合は、両親が生け贄にされたことを思い出して険しい表情を見せるが、すぐに「食事中に話すことじゃない」とおどけて複雑そうな笑顔を見せる。
会話が一段落すると、美玖は探索者に向き直り今朝の件について話し始める。
- 島民が、探索者がこの家にいることに気づいていること。
- 私は、探索者は襲撃より前にこの家に来ており襲撃自体については知らないが警戒心を持っていると話した。
- 探索者を同胞に加えるため、暫くは自由にさせる様に言い含めたこと。
- これからあちこちを調べる中で、あまり派手に動いたり怪しく見える動きをすると島民に警戒されてしまう可能性があるから注意してほしい。
2日目(日中)
探索者は、ここから本格的に探索フェイズへ入ることになる。
探索が可能な場所は多岐に渡り、美玖を含めた探索者が全員で同じ場所を探索する場合は、時間の関係で全ての場所を調べることは難しいだろう。
二手、もしくはそれ以上に分かれる場合美玖がいないグループは周囲の警戒心を引きやすくなるが、洩れることなく全ての場所を探索できる可能性がある。
仮に日中に探索出来なかった場所を夜間に探索しようとする場合、シャッガイからの昆虫と戦闘になる可能性がある。
探索者は、全員で情報が隠れている場所を決め打つか、分散してローラーするかを選ぶ必要があるだろう。
探索時
- 探索者による説得系ロールの成功率は美玖がいる場合は補正はないが、美玖がいない場合は-20%になる。
- 基本的に、一箇所を調べるのにかかる時間は2時間ほどとし、移動の時間は含めないこととする。
- 午前9時から探索開始と考えて、午前中に1箇所、午後に3箇所まで探索することができるだろう。
- 日が落ちるのは大体18時を過ぎた頃。
- ただし、展望岩や儀式場など、後からでなければ探索できない場所もあるので時間配分は臨機応変にする必要がある。
島民の襲撃について
島民、またはシャッガイからの昆虫は、基本的によほどのことがない限りは探索者を襲撃しない。
ただし、以下の条件を1つでも満たしてしまった場合はしばらくすると襲撃を受ける可能性がある。
- 探索者が単独で行動する。
- 夜間に外出する。
- 島民のいずれかを攻撃し、即座に倒せずにテレパシーを使われる。
- 儀式場や神社など、侵入してはならない場所に侵入しているところを見つかる。
- 美玖と決別する。
青海商店
前日に商店へ来た時と変わらず沢山の商品が並んでおり、総人口の少ない青見島にしては人口密度が高い。
商店
ポスターには渦のようなものから這い出てくる蟲の様な絵が描かれており、その下には「降臨祭〇月〇日午後4時から」という文面が書かれている。
また、右下に小さく作者のサインが入っており、「mizuho」となっている。
このポスターについて島民に聞く場合、彼らは以下の様に語る。
- そこに描かれているのは島民の同胞
- 同胞は降臨祭によりこの島にやってきて、永く離れ離れになっていた両者は再び繁栄の道を歩き出す。
ただし、この際この同胞について島民が詳しく話すことはなく、追求がしつこい様子であれば「同胞でなければこれ以上は話せない」と口を閉ざす。
- 聞き耳に成功する事で、住民達の会話を聞き取ることができる。
住民達は、探索者が独りになる様なら近くの住人で協力して捕らえてしまおうと相談している。
旅館(探索)
旅館に置かれている情報は一部を除き変わらない。
探索者が旅館に戻る場合、旅館の玄関付近には女将がいて、探索者を見つけるとにこやかに微笑む。
彼女は高い心理学技能を持ち、探索者が彼女に探りを入れようとすると警戒心が上がりやすい。
女将との会話(イベント)
- 女将は探索者に近づくと、まず昨日は何時頃に旅館を出たのか、どこにいたのかを質問してくる。
- 探索者は誤魔化すだろう。その場合は心理学などを使いながら適当なところで話を切り、美玖の方へ疑惑の目を向けるだろう。
- 探索者が他のツアー客について話を聞いてきたら、彼女は「そういえば今日は姿を見ていません」と発言して躱そうとする。
- ポスターを描いたのは彼女であり、探索者がポスターについて聞いた場合は素直に自分であることを認める。
- ポスターの絵について問い掛けると、あれはこの村の者たちの同胞だ、と答える。
- 「降臨祭」の場所を聞いたり、自分たちが参加出来るかなど聞く場合「あなたたち(探索者)が本当のことを話せば教えても良い」と返す。
旅館内
旅館内を探索する場合は、自分たちの荷物を回収したりする程度しかできないだろう。
それでも何かを探す場合は、新聞などを用意してもよい。
ただし、探索者の部屋以外には鍵がかかっているため鍵開けをするか、強引に扉を破る、鍵を探すなどする必要があるだろう。
- 鍵は旅館の管理室に置かれているが、盗みに入らない限り入手は難しいだろう。
役所
小さな2階建ての建物で、一階は歴史館兼図書館に、二階は役所になっている。
- 二階の役所では受付の者に話しかけると、受付は「もしや、楽団の練習見学をお望みでしょうか?」と問い掛ける。
- 探索者の対応にもよるが、「こちらで連絡しておくので、裏口からお入りください」と続ける。(ホールへの誘導)
- 一階の歴史館はこじんまりとしたもので、蔵書数も少ない。
1回の図書館技能で必要な資料は全て集めることができるだろう。
- 図書館技能に成功する事で「冒涜的稀覯本大全」と、「青見島の歴史」の2冊を発見することが出来る。
冒涜的稀覯本大全
著者:Petoh talrayn
訳:八坂 ニャル子
世界中に「ある」とされる冒涜的な稀覯本に関して、著者の注釈を交えながら解説されている。
- アイデアに成功する事で、1箇所だけ開き癖がついているページがあることに気づく。
- アイデアにSPCで成功した場合、もう何箇所か、上記程ではないが開き癖がついているページがあることに気づく。
通常成功時
MASSA DI REQUIEM PER SHUGGAY
1768年にイタリアのベンベント・チエティ・ボルディゲラが著したこの書物は、シャッガイからの昆虫について描かれたミサ曲の楽譜集である。
この楽曲は3部に分かれており、それぞれ「シャッガイにおけるシャンの帝国と信仰」「シャッガイ消失後の移民の旅」「17世紀頃に地球へ到達と、亡きシャッガイの別の住人の旅」が実に冒涜的に描かれている。
著者であるベンベントはシャッガイからの昆虫に寄生されており、シャッガイからの昆虫を通じてこの作品を書き上げた。
ベンベントはこの作品を書き上げた事で異端として1771年に処刑された。
人類は彼のような混沌をもたらす至宝をなぜ排してしまうのだろうか。
MASSA DI REQUIEM PER SHUGGAYは禁書に指定され、そのほとんどが焚書にされたがその内の数部は難を逃れフランスやアメリカ、スペインで確認されているという噂もある。
この魔導書に込められた魔術の素晴らしさは、全編を通して演奏することで実証される。
しかし、各部に分けた演奏であってもその素晴らしさが衰えることはないだろう。
SPC時は下記の情報が追加で入手できるが、このページだけを公開するとメタ推理をされてしまう可能性があるので、更に数冊の魔導書の情報を用意してまとめて出してしまうと良いだろう。
SPC時
上記に加えて
二つの太陽
全身が炎で包まれたある神格を呼び出すための魔導書。
原文は地球外の言語で書かれた石板のため人間には読む事が出来なかった。
しかし1940年、ドイツの狂信者が紐解いてしまったためにいくつかの言語に翻訳されたものが存在している。
確認されているもので最も有名なのは、バチカンの禁書目録聖省に保管されているイタリア語に翻訳されたものだろう。
他にも枢軸諸国に同様に翻訳されたものが渡っているという話がある。
青見島の歴史
この島は古くは無人島だったが、1945年2月19日に始まった硫黄島の戦いで壊滅した日本軍の一部と従軍慰安婦がこの島に流れ着いたことにより独自の文化が生まれた。
島に住む者たちは初めの頃は旧日本軍の階級に囚われた上下関係があったものの、ある時を境に旧弊な考え方を捨てて一致団結した体制を作り上げる。
いつしか島には独自の信仰が生まれるようになり、その信仰心は島の奥地に建てられた神社に集約されることとなった。
2000年をまたぐ頃には本土との交流も増え始め、本土の品物を島に普及するための定期船も用意された。
2014年からは毎年青見島ツアーが企画され、本土から観光客を招いて島の活性化を目指している。
青見島文化ホール
青見島の中で最も新しく、最も大きなドーム状の建物。
中には大きな客席を備えた大ホールがあり、楽団はそこで練習を行っている。
青見島文化ホールには二つの出入口があり、正規の出入口は閉められており入ることができない。
裏口には警備員がいるが、探索者が役所で見学の許可を得た場合には快く入れてくれるだろう。
文化ホール裏口と通路
文化ホールの裏口は、正規の出入口から見て左に外周を回っていくことで見つかる。
- 正面入口で目星を振ることで入口の横に「関係者用出入口」と書かれ、左側を指す矢印を見つけることが出来る。
- 上記の目星に成功して探索者が左側に視線を向けるのであれば、裏口をすぐに発見させてしまって良い。
関係者用出入口に向かうと、自動スライド式の扉の横に警備員詰所がある。
- 探索者が、役所に寄らずに文化ホールを訪れていた場合は、「許可がなければお通しできません」と突っぱねてしまう。
- 探索者が役所で許可を得ている場合、警備員はその旨を確認次第探索者を快く入れてくれる。
また、その際に以下のように話す。
- 通路を進んでいくと控え室があり、その先に行くと、正面に「ホール 下手」と書かれた両開きの扉がある。
- この時間は練習中のはずなので、こちらの扉は開けないように。
- その扉の右側の階段を登ることで二階席に繋がっている。
- 見学の場合はそちらを利用するように。
先へ進むと左側に通路が続いており、簡易な地図が張られている。
- 地図は警備員が言った通り一本道の左右に4つの控え室があり、それとは別にお手洗いが表示されている。その先にはホールの下手と、その手前に右側に続く階段がある。
控え室
ホールへ向かう通路には左右に2つずつ、4つの控え室が用意されている。
それぞれに第1〜第4控え室と札が立てかけられている。
第1控え室
鍵は閉められておらず、出入りは自由になっている。
- 左側は端まで机になっており、正面の壁は鏡張りになっている。
- 机の上にはいくつかの書類、小物などが乱雑に置かれている。
- 右側には楽器ケースと思われる、複数の光沢のあるケースが置かれている。
目星技能に成功することで、机の上から赤い手製の冊子と新聞を発見する事ができる。
探索者が控え室を調べようとしない場合、赤い冊子はホールの二階席でも入手できる。
赤い手製の冊子
- 冊子には表題は何も書かれていない。
- ページを捲ると、中には五線譜と音符が踊る楽譜になっている。
芸術(音楽系)の判定に成功することで、以下の情報を追加で得ることができる。
- 楽譜は20種類ほどの楽器で構成されたフルオーケストラ編成のクラシックの様だと分かる。
- 楽譜自体も分厚く、テンポなどから考えても60分を超える楽曲であろうということがわかる。
- この楽譜を4時間かけて解読することで以下の魔術を習得することができる。
呪文
古き盟友の退散
古き盟友の退散は、基本ルルブP263の神格の退散に倣い、以下の様になる。
呪文を詠唱時、6MPを消費する。
この時点での成功率は5%である。
さらに追加で任意の値のMPを消費することで1MPにつき成功率を5%上昇させることができる。
詠唱は開始した次のラウンド終了時に完了し、即座に古き盟友を退散させることができる。
魔術の習得をする場合は1/1D6のSANcが発生する。
この楽譜は、後の原本でも同様の特徴があるが解読したものは編曲された後の詠唱となり、これは退散の魔術となる。
逆に、演奏をする場合は解読する必要がなく、編曲されていない原曲は招来となる。
そのため、解読を行う探索者たちが古き盟友の招来を習得することはできない。
探索者が、村人は退散の魔術を行おうとしていたのか?と疑問に思う様ならば、音楽系の芸術技能による判定を行わせ、解読(という名の編曲)によって内容が変わっているのではないかと気づかせても良いだろう。
町内新聞2
前日の横谷典弘さん(41歳)が何者かにより殺害された事件を受けて、町内会は本日より自警団を結成した。
町内では、4年ほど前に失踪したツアー客である田代陽太氏(当時23歳)が現在も山中に隠れ住んでおり、夜間になると山を降りてきて犯行に及んでいるだろうとの見方が強くなっている。
自警団は村の中でも運動神経に優れた男性を中心に構成されており、山中を捜索するとのこと。
すでに今朝方から捜索は開始されている模様だ。
他の控え室
鍵がかかっており、通常の手段では入ることができない。
もしも探索者が鍵開けや、もしくはその他の強引な手段によって部屋の中に侵入しようとした場合、KPはその行動を妨害する必要はない。
ただし、探索者が部屋に入って少し経った頃に、奏者のひとりが控え室に戻ってくる。
奏者は部屋の鍵を持っており、鍵を閉めたのも本人であるため探索者に何をしているのかと詰問するだろう。
第2,第4控え室には、新たな情報になるものは何も置かれていない。
探索者たちがここに至るまでに何某かの資料を逃していた場合はこの場所に配置しても構わない。
大ホール2階席
大ホールの下手に向かう扉の右側には上に続く階段がある。
その階段を上っていくとその左側に「大ホール2階席」と書かれた扉がある。
- 探索者が扉の向こう側へ聞き耳を行う場合、微かに数多の楽器が奏でる旋律を聞き取ることができる。
- SP以上の場合その旋律がどこか背筋を冷たくするような「何か」を伴っているように感じる。
扉を開けると、探索者たちは2階席の一番右側に出る。
2階席には探索者の他にも5人の見学者がおり、それぞれ2人組の女性と3人組の男性に別れて座っている。
探索者がこの人物たちに興味を示す場合、更に以下の情報を開示しても良い。
- 2人組の女性は特に何を話すでもなく、舞台を見つめている。
- 3人組の男性は手に赤い冊子を持っており、こちらも舞台上に真剣な視線を向けている。
狂気を誘う旋律(イベント)
舞台上には、様々な楽器を持った男女が30人ほど並んでおり演奏を続けている。
- 音楽の専門家でなくても、その演奏がかなり熟練したものであることがわかるほどに乱れがなく、美しい旋律に仕上がっている。
- 芸術(音楽系)技能に成功することで、演奏されている曲が赤い冊子の楽譜であるということがわかる。
探索者が大ホールに入ってしばらくしたら、全員にアイデアを振らせる。
- 成功者は、その美しい旋律を聞いていると、徐々に背筋が寒くなるような感覚に陥る。
- 更に幾ばくかの時間が経つと、成功者の背中には脂汗がびっしりと浮かび、視界がぼやけ始め、それによりSANcが発生する。
- SANcで失敗した者がいる場合、その人物にだけ秘話を用いて以下の情報を伝える。
神格の幻影(イベント)
- ぼやけた視界の中舞台上に視線を向けると、オーケストラの背後の空間に亀裂のようなものができているように見える。
- しばらく見ているとある瞬間を境に亀裂の向こうから、巨大なサソリのような鉤爪が一対突き出してくる。
- 鉤爪は亀裂の両側にその鋭利な先端を掛けると、徐々に力が加えられているのがわかる。
- その向こう側には不気味な玉虫色に輝くキチン質の甲殻が見えている。
しばらくすると鳴り響いていた旋律が止み、それと同時に幻覚を見ていた探索者も正気に戻る。
男性の会話(イベント)
一度旋律が止むと、舞台上の奏者たちはざわめきながら立ち上がり、舞台を降りて控え室に戻っていく。
それを見て探索者も席を立つのなら、探索者に聞き耳を振らせる。
判定に成功した者は、同じく2階席にいた3人組の男性が以下のように話すのを聞き取ることが出来る。
「それで、明日の楽器の運搬に関してはどうする?」
「ああ。それに関しては明日の12時に、交番前に集合して全員で運ぶ手筈になってる」
「例の殺人鬼は警戒しなくていいのか?」
「大丈夫だろう。自警団も捜索に出ているし、こちらの人数から考えてもわざわざ襲ってはこないだろう」
「それもそうか…山登りは面倒だなぁ…」
「降臨祭のためだ。我慢しろ」
話が終わると男達は二階席から去っていく。
農場
農場はビニールハウスで仕切られており、その中ではトマトやナスなど様々な野菜が実っている。
見たところ、周辺には人影はなく穏やかな空気が漂っている。
また、農場のそばには交番があるため、殺人鬼についての情報が幾つか入手できる。
農場では探索を始めて少し経つと、目星に成功することで近くの森の木に一匹のシャッガイからの昆虫が止まっている場面を目撃する。
シャッガイからの昆虫は、発見されたことに気づくとその場を飛び立ち、すぐにいなくなってしまう。
交番
交番には、序盤に島民たちが会話している際に名前の出された盛岡氏が勤務している。
彼に、殺人鬼について聞く場合は夜間の状況を話してくれる。
- 横谷が交番のそばを通ったのは午前2時頃。
- 日付が変わる頃まで降っていた雨が畑に悪影響を与えていないか不安に思って様子を見に来たという。
- 銃声がして急いで駆けつけたときには周囲に犯人と思われる影はなく、横谷はうつ伏せで地面に倒れていた。
殺人現場
探索者が村を探索する上で、前日の殺人事件に関しての調査をしようとするかも知れない。
その場合は、殺人現場にやってくる可能性もあるだろう。
殺人現場の血痕は事件当時のまま残されており、探索者はその血痕に近づくことで調査することが可能である。
医学や目星に成功することで、以下の情報を得ることができる。
- 道や血痕の状況から、被害者は抵抗もしないまま撃たれてその場にうつ伏せに倒れたようだとわかる。
- 周囲の靴跡を詳しく調べると、いくつもある足跡の中には微かに血痕のついた小さめの靴跡があり、それは村の方へと続いている事がわかる。
この靴跡は美玖のものであり、彼女の自宅の靴箱を調べれば微かに血痕のついたスニーカーを発見することができる。
山中(儀式場)
儀式場へは森の中を一応山道が通っているものの舗装されておらず、向かうにはそれなりの時間と体力が必要である。
KPはシナリオ内の時間調整を兼ねて、移動時間を調整すると良いだろう。
自警団との遭遇
山道を歩いていくと、前方から猟銃を担いだ男性が一人で歩いてくる。
この男性は、殺人鬼を探すための自警団のひとりであり、後方にもうひとり別の自警団が隠れている。
彼を囮として、襲う者がいないか警戒している。
男性は探索者を見かけると、特に警戒することもなく「こんな所までどうした?」と気さくに話しかけてくる。
探索者が怪しく見えるようなことするようなら警戒させてもいいだろう。
- 男性は、自分はこの辺りに殺人鬼がいないか捜索していると話す。
- また、美玖は両親と比べて利口なコに育ってよかったね、などと彼女の両親を侮辱するような発言を残す。
- 少しの時間話をしたら、彼は早々に立ち去って道の先へ去っていく。
男性がその場を去ると美玖は、やることがあるからと探索者に先に行くように言う。
- 美玖の表情には緊迫感が漂っており、その双眸には濁った妖しい色が見える。
- 夜間、彼女が人を殺した場面に遭遇した探索者がいる場合、アイデアに成功することで彼女の纏う雰囲気がその時と同一のものであると感じる。
- 心理学に成功することで、彼女の発する緊迫感の正体は殺意だろうと感じる。
- 精神分析に成功することで、彼女が今現在発狂状態にあるということに気付くことが出来る。
この時美玖は、殺害対象が独りで行動していること、及びシャッガイからの昆虫と自分の目的の成就が近いことにより精神的な枷が外れやすくなっていたが、両親を侮辱されたことがトリガーと鳴って発狂状態に陥っている。
探索者が美玖を止めない場合、彼女は独りで去っていった男性の後を追い、隙を見てショットガンによる殺害を狙うだろう。
美玖を止めるためには、説得と精神分析の両方に成功する必要がある。
美玖が男性を殺害した場合、彼が持っていたショットガンを手に入れることが可能。
性能は美玖が所持しているものと同一である。
儀式場
山道を進んだ先には拓けた土地があり、そこには1軒の古びた小屋が建っている。
小屋は木製で、周囲にはしめ縄が張られている。
見張りと小屋に入る方法
小屋の入り口には見張りと思しき男性が2人立っている。
この2名を排除、または交渉に成功するか、気付かれずに潜入しなければ儀式場を探索することは出来ない。
物理的、間接的な排除手段。
隠れる、忍び歩きにより接近してからの攻撃などの物理的排除手段を取る場合、美玖はその方針に賛同しショットガンによる排除を狙う。
離れた場所で音を起てて誘導するなどの間接的な手段を取る場合、2名のうちのどちらかしか動くことは無い。
交渉系技能による平和的な解決手段
3つの選択肢の中では最も難易度が高い。
儀式場はこの島の暗部であり、観光客が誤って入ることのない場所に存在している。
その場所に探索者がやってくれば警戒されることは間違いなく、中を観ようとするなら尚更である。
美玖はこの方針には難色を示す。
また彼等と交渉をする場合、交渉に美玖が同行しているのなら、彼女が狂気に駆られて彼等を撃ち殺そうとする可能性もあるだろう。
見張りの2人を回避して小屋に侵入することも可能。
ただしその場合は、隠れる、忍び歩きといった隠密系技能が必要になるだろう。
探索者が見張り2名の注意を引き付けるなどする場合は省略や補正をかけるのもいいだろう。
小屋には2つ窓が取り付けられており、鍵開け、もしくは物理的な手段によって中入ることができる。
また、天井の一部が腐っているため屋根を登って一部を破壊するなども可能だろう。
その際、騒音を立てる様ならば見張りが気づく可能性もあるため、探索者に警告をしておくべきだろう。
小屋内部(地上階)
小屋の中は暗く見えにくいが、12畳ほどの広さがあり部屋の各所に光源と思われるろうそくが吊られている。
小屋の奥には小さな祭壇があり、形容し難いオブジェが置かれている。
- 床は木製であり、中心付近を探索者が通ると音が変わる。
- 音が変わった辺りを調べるのであれば、床板の下に空間があるようだと気づく。
- 床板を外すと、地下へと続く石造りの階段がある
- 探索者がオブジェを確認した場合、近づく前にそのオブジェから異様な気配が漂っていることを伝えても良い。
祀られているオブジェ
この石で作られたオブジェはアザトースの姿を模したものであり、その形状はKPに一任される。
アザトースの化身の内のいずれかでも良いだろう。
- オカルトに成功することで、このオブジェが外なる神を模している事がわかる。
- CoC神話技能に成功することで、このオブジェがアザトースを模している事がわかる。
- オブジェに対しての技能判定に成功した探索者は、一律で1D3のCoC神話技能を得る。
ここでオブジェを出す理由として、探索者に「昆虫の崇拝する神格がアザトースであること」を強調し、島の降臨祭での目的がアザトースの招来であるというミスリードを生み出す可能性を与えたいがため。
必要がなければバォト・ズーグア・モグに変更してわかりやすくしてもいいだろう。
地下室
地下への階段は一切光源がなく、降りるためには何かしらの方法で光源を確保する必要がある。
階段は一本道だがそれなりの長さがあり、地表から5m程深くまで続いている。
最深部には木製の両開きの扉があり、旧式の簡素な鍵が掛けられている。
この鍵は、鍵開けの場合は+20で判定ができる。
また、攻撃によって容易に破壊することが可能である。
地下室の中は強烈な血臭や腐敗臭が漂っている。
例によって光源がなければ探索は難しいが、地下室には照明が設置されているため探索者に発見させると良い。
部屋は中心に真っ赤に染まった木製の台があり、壁には沢山の拷問具が飾られている。
左側には鉄格子が嵌められた牢屋がある。
部屋の奥には小さな台座があり、その上には一冊の黒い本が置かれている。
- 拷問具に目星をすることで一つ一つが所々血で汚れており、使われていた痕跡があることがわかる。
- 牢屋に近づくと、石で仕切られた3部屋に分かれていることがわかる。
- 右の部屋または中心の部屋に目星をすると、床に小物が落ちていることに気づく。さらにアイデアに成功することで、その小物が他のツアー客のものであったことに気づく。
- 左の牢屋に目星をする、または部屋の中に入ると、左の牢屋の床には直径3mほどの穴が空いていることに気付く。
- 穴を覗き込むと、穴の中はおびただしい血で染まっており、底には折り重なった死体の山が見える。
- 木製の台に目星をすることで木製の台が水平ではなく、わずかに傾いておりその表面には液体を流すためと思われる溝が掘られている事がわかる。
- 溝は台の端で途切れており、そこには2cmほどの穴が開いている。
- 穴の真下を調べると、30cm四方ほどの立方状の引き出しがあることがわかる。
- 引き出しの中は満杯の血と肉片が詰まっており、その中に手を入れることで魔水晶を見つけることができる。
- 部屋の奥の台座に置かれているのはMASSA DI REQUIEM PER SHUGGAYの原本である。
黒い装丁の厚い冊子
- 表題は「MASSA DI REQUIEM PER SHUGGAY」となっている。
- ページを捲ると、中には五線譜と音符が踊る楽譜になっている。
芸術(音楽系)の判定に成功することで、以下の情報を追加で得ることができる。
- 楽譜は20種類程度の楽器で構成されたフルオーケストラ編成のクラシックの様だと分かる。
- 楽譜自体も分厚く、テンポなどから考えても200分を超える楽曲であろうということがわかる。
- この楽譜を8時間かけて解読することで以下の魔術を習得することができる。
呪文
白痴なる混沌の退散
この神格の退散は、基本ルルブP263の神格の退散に倣い、以下の様になる。
呪文を詠唱時、20MPを消費する。
この時点での成功率は5%である。
さらに追加で任意の値のMPを消費することで1MPにつき成功率を5%上昇させることができる。
詠唱は開始した次のラウンド終了時に完了し、即座に白痴なる混沌を退散させることができる。
台座に置かれた石
魔水晶
この石は、これまで儀式によって犠牲となった人間達の魂の結晶体であり、MPを100点分内包している。
美玖の要求(イベント)
探索者が無事に魔水晶を入手した場合に発生する。
美玖は探索者に、魔水晶を自分に渡すように要求する。
美玖にとって魔水晶の確保は最優先事項であり、探索者が拒否する様ならば火器を用いた物理的な手段を行使することも厭わない。
- 探索者が、魔水晶を要求する理由を聞いてくる場合、「その石には私の両親の魂が篭っているから私が持つべき」と主張する。
- 上記に対して心理学を行う場合は、それが建前であることがわかる。
- 探索者が要求に応じない場合は戦闘ラウンドに突入し、魔水晶を持つ探索者にショットガンによる攻撃を行う。
- 美玖は探索者に気絶、または殺害されるまで抵抗をやめることはない。
- 美玖は戦闘に入る場合、攻撃することを迷ったり、魔水晶を渡せばこれ以上はなにもしない。と繰り返すかもしれない。
美玖の部屋
基本的には夜間に探索することを想定されている場所だが、何らかの理由で探索者が美玖と別行動を取ることになった場合など、探索するチャンスがある。
開示される情報は夜間の探索時と同様なため、ここでは省略。
なお、昼間の時点で調べに入った場合、美玖の日記に以下の文面はまだ記載されていない。
記載されていない部分
今日、ようやく必要な物が揃った。
ようやく、全ての準備が終わった。
明日が、私と、この島の命日になるだろう。
まずは、ヤツらの降臨祭をぶち壊そう。
魔水晶が、フォーマルハウトが、私に希望の力を与えてくれる。
ああ…せめて、彼等だけでも無事に帰さなければ。
明日は、星が綺麗だと良いな…
2日目 夜
探索者がある程度の探索を終えると、やがて日が沈む。
美玖は翌日に探索者が脱出する方法を提示する。
- 儀式には大勢の人間が集まるはずで、その間であれば島中の警戒が緩んでいるはずである。
- 儀式の妨害が終わったら、港へ向かい船を奪取するのが良いだろう。
探索者が操船のための技能を所持していないことも多いだろう。
そのような場合は美玖から操船の方法を教え、アイデア判定を行う。失敗で1D10,成功で10の操縦(操船)を得ることができる。
探索者、もしくは美玖が儀式場で魔水晶を入手している場合は美玖は以下のように話す。
- 夜になると蟲たちが本格的に行動を始めるので非常に危険である。
- 調べたいことがあるのならば止めはしないが、やめた方がいいだろう。
- 明日も儀式までに多少の猶予時間はあるため、至急調べる必要があるのでなければ無理はしない方がいい。
魔水晶を入手していない場合
魔水晶を入手していない場合、美玖は夜間に一人で取りに行こうとする。
探索者が同行する場合、見張りの2人はいなくなるが代わりにシャッガイからの昆虫と戦闘になる可能性がある。
夜間の探索
探索者が美玖の忠告を聞いた上で探索を行う場合、以下のようになる。
- 探索者が移動する度にシャッガイからの昆虫1D3体と遭遇する可能性がある。
- 現れたシャッガイからの昆虫を一匹でも殺害し、かつ全滅させることができずに逃してしまった場合翌朝には村中の敵として認識されてしまうため、その後の探索は極めて難しくなるだろう。
- シャッガイからの昆虫が現れる可能性は初期で40%であり、1箇所を探索する毎に10%増加する。
- 夜間は役所やホールなどは閉まっているため、探索するには鍵開けを行うなどする必要があるだろう。
美玖の目的(イベント)
夜間、探索者が寝た後にこのイベントは発生する。
探索者をランダムに1名、もしくは美玖と絡む機会の多かった探索者を1名を選び目を覚まさせる。
目を覚ました探索者は聞き耳を行うことで、正面の部屋にいる美玖の独り言を聞き取ることができる。
この際、夜間であり周囲は静寂に包まれているため+補正をあげてもよい。可能な限り成功させよう。
- 必要な物はすべて揃った。
- 明日には、私の望みが全て叶う。
- だからお父さん、お母さん、私に力を貸してほしい。
- 少し外の空気を浴びないと…
と言ってバッグを持って外に出ていく。
この際、探索者が美玖の部屋の方を見ると部屋の扉が僅かに開いており、その隙間から美玖が大きめの本を真剣な目で見つめながら独り言をつぶやいている事がわかる。
美玖はこの本を机の上に置いたままにして部屋から出ていくため、探索者はこの期間のみ、この本を調べることが出来る。
このイベントについて
基本的に探索者は、このタイミングでなければ美玖の真の目的を知る術を持たない。
他に考えうるタイミングとしては、港に着いてから別れる美玖を尾行する。
もしくは目的を隠蔽することが彼女の命の危機に繋がる場合しかないだろう。
そのため、このイベントに於いての裁定は甘めにしてしまっても構わない。
聞き耳に失敗しそうなら、判定無しで聞こえることにするのも一つの手だろう。
美玖の部屋
美玖の部屋を探索する場合、KPは秘話を用いて実際に部屋を探索している人物にのみ情報を開示する形を取りたい。
具体的には日記と本の2つと、美玖との会話に関してである。
探索を行った探索者自身が、他の探索者と情報を共有するか否か、そして美玖に協力するか阻止するかの選択を任せたいという思惑があるからである。
美玖の部屋は黒を基調とした部屋で、あまり女性らしさのないどこか寂しさの募る空気が漂っている。
クローゼットやベッド、勉強机の上にはノートPCなどがそろっており、部屋の中は整頓が行き届いている。
しかし、部屋の端には火器のパーツと思われるものが置かれたスペースがあり、また現在は開けられているが40cm四方程度の小型金庫が机のそばに置かれていたりと、一般家庭にはとても置かれていないようなものもある。
- ベッドの下には美玖の手製と思われる松明が1本置かれている。
- クローゼットの中に入っている服は地味で暗めな柄ばかりである。
- 勉強机に目星、または図書館で判定した場合1冊の日記が見つかる。
- ノートPCはコンピュータ技能によってパスワードを突破することが出来るが、大した情報はない。探索漏れのあった情報を補足する程度。
- 部屋の中心には、美玖が先程まで読んでいた本が置かれている。
美玖の日記
今日、私の両親が殺された。
彼等に従うふりをした私は、地下深くまで連れられて。
私の目の前で、私の大切な人が「解体」されたのだ。
私は泣きそうで、吐きそうで。
でも、表情は一切動かさないように努めた。
彼等は、私を見透かそうとしたのだろう。
動揺するようなら、私もまた、殺されていたはずだ。
今日のことを忘れるな。
絶対に、忘れるな。
この胸に秘めた憎悪がいつか、この島を焼き尽くすまで。
ヤツらを、根絶やしにするまで、絶対に。
あの蟲共に関して、だいぶ分かってきた。
ヤツらは頭に寄生しているようだ。
私の中にもいるはずだが、私の悪夢は早々に終りを告げた。
何らかの理由があって活動を停止したのだろうか。
構うことはないだろう。
蟲共の腸を食い破るには、これくらいが丁度いい。
今日、ツアー客たちがやって来る。
私の復讐は、今日から始まるんだ。
無関係の人間を手に掛けるのは恐ろしいが、仕方ない。
親を目の前で見殺しにした愚か者が、今更人道など解くに値しないだろう。
これで、12匹目。
この程度では駆除にもならないが、仕方ない。
明日には最後のツアー客が来る。
ツアー客は、必要な生贄よりも数名多い。
上手く接触して、仲間に引き入れなければ。
今日、ようやく必要な物が揃った。
ようやく、全ての準備が終わった。
明日が、私と、この島の命日になるだろう。
まずは、ヤツらの降臨祭をぶち壊そう。
魔水晶が、フォーマルハウトが、私に希望の力を与えてくれる。
ああ…せめて、彼等だけでも無事に帰さなければ。
明日は、星が綺麗だと良いな…
二つの太陽
この本は、遠きフォーマルハウトに存在するとされる炎の化身、偉大なる神格であるクトゥグアについて書かれている。
クトゥグアは、巨大な火の玉として描写されることが多く、その姿はまるでもう一つの太陽の様であるとされる。
クトゥグアは存在するだけで周囲を焼き払ってしまうほどの力を持ち、1度地球にその姿を現したのであれば絶大な影響力を持って世界を灰に変えてしまうだろうと語られている。
クトゥグアはその外見には見合わぬ高い知性を持っており、魔術を扱えるものであれば契約することも可能である。
この魔導書には、クトゥグアをフォーマルハウトより招来、契約する方法が書かれている。
魔術
クトゥグアの招来
夜間、フォーマルハウト星を望める高台にて松明に火を灯す。
松明の火を掲げ、炎を揺り動かし続けなければならない。
MP20を消費して祝詞を唱えることで、現世とフォーマルハウトをつなぐ道を造り出し、クトゥグアを呼び出すことができる。
クトゥグアとの契約
MPを任意の値消費して祝詞を唱えることで、クトゥグアと交信して契約を結ぶことができる。
成功率は1D100<=(MP消費量)となり、契約内容は簡略化したものでなければならず、また同時に複数の契約を結ぶことはできない。
契約によって縛られた神格は、契約を果たすことで元いた場所へ帰っていく。
ただしこの契約は従属ほどの強制力を持たず、神格の機嫌を損ねるような内容であれば一方的に破棄され、周囲に厄災を振りまく可能性がある。
夜間以外に美玖の部屋に入った場合
魔導書は金庫の中に納められており、調べることが出来ない。
美玖との対峙(イベント)
このイベントはKPの判断で削ってしまっても構わないだろう。
探索者が日記、本の2つを読み終わったタイミングで発生する。
美玖はいつの間にか部屋部屋に戻ってきて、探索者の存在に気付くと、本を読む探索者の後頭部に銃口を突き付ける。
美玖は、敵を見るかのような冷たい目で探索者に殺意を向けるだろう。
探索者の対応に左右されるが、概ね美玖は以下のように語る。
- 本当なら、口封じのためにここで撃ち殺すべきだ。
- けれど、あなたを殺したら他の探索者も協力してくれなくなるだろうから、出来ればしたくない。
- どうかこのことは誰にも言わないでほしい。
- あなた達が島を出るまで、私は協力する。
探索者が承諾したら美玖は銃口を下ろして、「また明日」と探索者を部屋から追い出す。
3日目
朝、探索者は特に宣言がない場合は9時頃に目を覚ますことになるだろう。
- 探索者が1階に降りるとテーブルの上にはおにぎりが置かれている。
- 美玖はエプロンをつけてキッチンで片付けをしている。
- テーブルの上には新聞が置かれており、天気予報のページが開かれている。
- 美玖は探索者に気づくと、「早くそれを食べて準備をして」と急かすように言う。
美玖は一晩が経ったことで変わったであろう探索者の立場と今日の降臨祭のことについて話す。
- 今日、儀式場に向かった村人が石が見当たらないことに気づけば、村中が大騒ぎになるだろう。
- 真っ先に疑われるのは、蟲の影響を受けていない探索者たちなので、可能な限り早く姿を隠す必要がある。
- 降臨祭が夕方であることを考えると、午後になる頃には石がないことに気づかれてしまうだろう。
以後の探索について
島の人間は皆降臨祭の準備に忙しなくなっており、また楽器の運搬などにより村の中ではほとんど姿を見かけない。
島民が魔水晶を回収しに儀式場へ向かうのは14時頃なためそれまでは自由に探索することが可能である。
しかし、その時間を回るとテレパシーによって魔水晶の紛失が知れ渡ってしまうため、それ以降に探索者が島民と接触すると襲われることになるだろう。
山道(神社)
基本的にこちらの山道に行くためには、ホールで神社の情報を得ている必要がある。
それ以外の場合では、KPから描写することはない。
探索者の判定結果次第では開示するというのも一考の余地があるだろう。
山道の入口には樹木が密集しており、一見しただけではそこに道があることには気づけない。
山道の途中には2回分岐点があり、分岐路はそれぞれ山道(儀式場)の左への分岐路と繋がり崖に通じている。
追跡
うちに探索者が交番の周辺を訪れると、交番のそばに大きな人だかりができている。
- 彼らは皆楽器ケースと思われるものを持っている。
- しばらく大きな動きはないが、しばらくすると全員が列を成して山道へと入っていく。
目視での追跡
目視で追跡する場合、隠れる、忍び歩きなどの隠密系技能が必要になる。
隠密系技能で追跡する場合、失敗すると発見される可能性もある。
痕跡を追跡
痕跡を追って追跡する場合、追跡、ナビゲートで集団の足跡を見つけて跡をつけることができる。
失敗した場合のデメリットは少ないが、手がかりを失ってしまう可能性がある。
神社
このシナリオのクライマックスの一つとなる降臨祭の舞台。
探索者がこの場所に向かうためには山道(神社)を通って来る以外に発見することは極めて難しいだろう。
村人は神社と呼んでいるが、建物自体は小さく、装飾の施された小屋程度である。
建物は儀式場の小屋と同様に木製で、ところどころ朽ちてボロボロになっている。
探索者による降臨祭への干渉
このシナリオ上において、この場所における探索者の行動に正解は用意しない。
探索者は様々な方法を駆使して降臨祭の妨害を行う必要がある。
事前に魔水晶の回収に成功している場合はこれも妨害の一部となるが、基本的に村人は何が起ころうとも降臨祭を中止、もしくは中断することはない。
探索者は、自身のアイデアを最大限に発揮してこの降臨祭を妨害し、招来の成功率を下げることを目的とすることになるだろう。
神社に探索者が訪れた際、彼らが何を行うべきか迷うようなら、美玖から探索者に「降臨祭の妨害のためにできることはないか」と具体的に質問させれば良いだろう。
KPは柔軟な思考と寛容さを以て探索者の行動を裁定してあげよう。
島民の様子
神社の周囲は開けており、島民はそこに荷物を運び込んで楽器の準備や楽譜の確認などを粛々と行っている。
彼らは基本的に、降臨祭の時間までこの場から動くことはなく一心不乱に作業に没入している。
そのため、降臨祭が始まるまでは彼らが探索者に気づく可能性は少なくなり、探索者はある程度自由に行動することができるだろう。
神社内部
村人の目を盗んで中に侵入するのは難しいが、鍵がかかっているわけではないので入ること自体は可能。
中は儀式場の小屋にあったものと同様の祭壇があるが、祀られている像は別のものである。
祀られているオブジェ
ここで祀られているものは儀式場にあったものと同様の形状をしている、アザトースのオブジェである。
しかしこちらに置かれているものは謂わばオリジナルであり、儀式場に置かれているものはこのオブジェを模倣して作られたものである。
このオブジェを見た者は、儀式場のものを見た後であっても重度のSANcを受けることになるだろう。
このオブジェから得られる情報は儀式場のものとほとんど変わらないが、以下の点が異なっている。
- 石ではなく、地球上には存在しない物体で作られており、どのような手段を用いても破壊できない。
- このオブジェ自体が異様な気配を纏っており、まるで生きているかのような錯覚を得る。
- アザトースへの賛美を捧げることで、アザトースが待つ夢の世界へ旅立つことができる(ロスト)
- このオブジェに対しての判定に成功した探索者は、1D3CoC神話技能を得ることができる。儀式場でも同様に得ていた場合は1D3ー(儀式場で取得した神話技能の値)+1の神話技能を得る。
- どちらのオブジェも目にしている探索者がいた場合、アイデア判定を行う。成功した場合は、このオブジェがオリジナルだろうと感じる。
時間経過に関して
探索者が何らかの行動を起こす際には、ある程度の時間経過を描写すると良い。
特に何かを取りに行く等でその場を離れ村に戻る場合は、片道で約1時間を消費する。
これは頻繁に往復するのを防ぐ処理ではあるが、場合によっては、探索者がまだ探索を終えていない場所を探索したがるかもしれない。
その場合は美玖から「そのような時間があるのか」と問いかけされてもいいだろう。
KPが良しとするのなら、探索者が急いで往復したとしてDEX*5で時間を短縮できるなどと処理を変更するのも良い。
降臨祭
午後6時が近付くと、島中の人間が神社の近くに集まってくる。
この時集まっている島民は全体の約7割程度である。
奏者たちは神社に向かい合うように、各々が楽器を手に整列する。
最後に指揮者が現れると、全員の前で一礼して指揮棒を掲げる。
- 探索者はこの際、魔力の活性化より周囲の気温が下がったように感じるかもしれない。
- 演奏が始まると、ホールでも聴いた美しくも背筋が凍るような旋律が流れる。
- 演奏は1時間に及ぶが、探索者が芸術(音楽系)の判定に成功した場合は曲が第3部から演奏されていることに気づく。
- 奏者たちは半トランス状態に陥っており、たとえ周囲で爆発が起こったりしても演奏を止めることは無い。
招来の成功率
招来の呪文の成功率は初期状態、つまり、全ての準備が整った状態で行われた場合は100%成功する。
この成功率は探索者によって減少させられていくことになるが、大体の目安は以下のようになる。
探索者の妨害 | 減少率 | 備考 |
魔水晶を奪う | 50% | |
奏者を排除する | 1% | 1人あたりの減少 |
指揮者を排除する | 5% | |
神社を損壊する | 10% | 被害次第 |
などなど
招来(成功)
招来に成功した場合こちらになる。
演奏が終わると、奏者、そして観客たちが見つめる先の空間が、軋む音を起ててひび割れる。
その向こうから、一対のサソリのような鉤爪が突き出され、亀裂を左右にこじ開けるようにして左右に力がかけられていく。
亀裂の向こうから身体をよじるようにして、バォト・ズーグァ・モグがその姿を現す。
探索者が近くで隠れてその様子を見ているのなら、バォト・ズーグァ・モグは探索者が隠れている方を振り向き、そちらへと鉤爪を向ける。
島民はその仕草で探索者に気づき、探索者を捕まえるように言うだろう。
招来(失敗)
招来に失敗するとこちらになる。
演奏が終わると、奏者、そして観客たちが見つめる先の空間が、軋む音を起ててひび割れる。
その向こうから、一対のサソリのような鉤爪が突き出され、亀裂を左右にこじ開けるようにして左右に力がかけられていく。
ひび割れは徐々に広がり、キチン質の巨大な何かが這い出そうとした瞬間光に包まれ、次の瞬間には亀裂とともにバケモノの姿は消えている。
島民たちは口々に「失敗だ」「失敗した」「なぜだ」というように呆然と呟く。
その内の一人が「そうだ、きっとあの逃したツアー客だ。アイツらが原因だ」と口に出した途端、周囲の島民立ちもそれに同調し、探索者達を探し始める。
また、美玖に対しても「アイツらを生かしておいた美玖にも責任がある」と、命を狙われるようになる。
逃走
島民に追われる立場となった探索者たちはその場から逃げ出す必要がある。
すでにこの島でできることはほとんどないため、美玖から「今なら港の警戒も薄いはずだから、船を奪って逃げて」と提案させて撤退を促そう。
山中
降臨祭の際、探索者はその近辺で様子をうかがっている可能性が高いだろう。
探索者がその場から逃げ出す場合は山道に沿って逃げていく必要がある。
その場合、村に着くまでに2回まで発見される危険性がある。
それを回避するためには、隠れる、隠すといった隠密系技能が必要になる。
山中であり、かつ森の中なので技能値に補正を与えてもいいだろう。
判定に失敗した場合、島民、およびシャッガイからの昆虫に発見されてしまう。
戦闘を回避する場合は島民、シャッガイからの昆虫それぞれと対抗判定をする。
失敗した場合は1D3人の島民、1D2体のシャッガイからの昆虫との戦闘になる。
もしも探索者が、山道に沿って移動せずに別ルートから村に向かう場合はナビゲートに成功することで村に着くことができる。
その際、島民に遭遇するかどうかは幸運により判定する。
村の中
山中から脱出できた場合、次は村の中を抜ける必要がある。
しかし、山中とは違い村の中は手薄なので1回の隠密系技能に成功することでやり過ごすことができる。
発見された場合は、上記の山中と同様にDEX対抗で逃走するか、もしくは戦闘になるだろう。
港へ
探索者が港への道に差し掛かると、追手はまだそちらまで追いかけては来ておらず、少し急げばすぐに港へ着くことができるだろう。
港には船がいくつも並んでいるが、どの船を動かすにしても鍵が必要である。
港に着くと美玖は探索者に「管理棟の受付に鍵がある」と伝え、探索者に鍵を取りに行かせようとする。
探索者が取りにいかないのであれば、美玖自身が管理棟に入ってもいいだろう。
管理棟
管理棟の内部は降臨祭のため無人であり、探索は基本的には容易である。
二階は休憩室になっているが特に有益な情報などはない。
管理棟の一階には受付があり、探索者は目星に成功することで壁に鍵がいくつもかかっているのを発見できる。
鍵にはそれぞれ番号が振ってあり、船着き場のどの船のものか判断しやすいようになっている。
戦闘
探索者たちが管理棟から鍵を入手した、もしくは美玖が鍵を回収しに行っている場合、外の探索者たちの前に3人の島民を連れた女将が現れる。
- そのような場所で何をしているのか
- この島から出すわけにはいかないので、ここで死ね
- 裏切りもの(美玖)も、この場で成敗してあげる
と彼女は笑顔で話すと、その手の薙刀を振るって戦闘に突入する。
脱出
女将たちの無力化に成功する、もしくは戦闘中に強引に船に乗り込んだ場合、美玖は探索者に以下のように話す。
- 私が一緒に行けるのはここまで。
- 私にはまだやらなきゃいけないことがある。
- あなた達がいてくれてよかった。
- さようなら。早く脱出してほしい。
というと、その身を翻して森の中へ消えていく。
探索者がこのまま島を出る場合はED-1に続く。
もしも島を出ずに美玖を追いかける場合は以下に続く。
美玖を追跡
美玖は姿を消した後、展望岩にてクトゥグアの招来を行う。
探索者が美玖を追うことを選択するのであれば、彼女がどこへ向かったのかを推理する必要があるだろう。
ここまでに提示されているヒントとしては
- クトゥグアの招来にはできるだけ高い場所で呪文の詠唱を行う必要がある。
- フォーマルハウトが目視できなければならない。
- 展望岩は美玖の好きな場所。
といったものが挙げられる。
もしもこれだけでは探索者が美玖のもとへだどりつけない場合は、追跡技能などによって美玖の向かった方向のヒントを出してもいいだろう。
展望岩に探索者が向かう場合、本来であれば島民と遭遇する可能性もあるが面倒であれば省略してしまっていい。
星空に望む終焉
探索者が展望岩にたどり着くと、そこには手製の松明を掲げた美玖が星空に視線を向けて静かに立っている。
美玖は、探索者に気づくと「来たんだ。どうして?」と呟くように問いかける。
探索者は、美玖を止めるために彼女を物理的手段で排除するか、もしくは説得して召喚を止める必要がある。
探索者の考え方によっては、クトゥグアの招来を完遂させるかもしれない。
物理的排除(殺害、気絶など)
探索者が説得に失敗したり、もしくは問答無用で彼女を止めようとした場合美玖はショットガンを手に抵抗することになる。
彼女にとって至上命題が目の前にあるため、探索者を殺害することに躊躇はしない。
説得
彼女を説得する場合、相応のRPを要求してよいだろう。
彼女は孤独に戦い続け、目的の成就が目前に迫っている。
探索者が彼女の意志を曲げることは非常に難しいだろう。
一応、ずっと孤独だった彼女は「人の愛」に飢えており、心の奥底で欲しているためその点を突けるのであれば交渉技能に+補正を与えることも考えられるだろう。
美玖の犯した殺害を、本人に罪として受け入れさせないというRPを選択した場合は、美玖の心情から最も外れたものであるため-補正がかかる。
探索者が美玖の心を動かしたいのであれば、彼女の罪を受け入れた上で、人の愛と彼女の未来の明るさを説く必要があるだろう。
※ここで言う人の愛とは、恋愛に限らず家族愛、友愛など多様性に富むものである
クトゥグアの招来
探索者が美玖のクトゥグアの招来を許諾した場合、彼女は喜んでその言葉に乗ってくる。
彼女は空のアルデバランを見つめると、クトゥグアの招来を始めるだろう。
魔水晶に封じられた魔力があれば、クトゥグアの招来は自動的に成功し、クトゥグアは空から降りてくることとなる。
なお、美玖はクトゥグアの招来に成功すると、クトゥグアの炎に焼かれて自らの生を終わらせることを望んでいるため逃げる選択肢を持っていない。
もしも彼女を逃がしたいのであれば招来を止める時と同様に彼女を説得する必要がある。
逃走(クトゥグア)
美玖がクトゥグアを招来した場合、探索者はその場に残ればクトゥグアによって灰に変えられてしまうため、即座に逃げ出す必要がある。
逃走には合計3回のDEX*5に成功する必要があり、失敗した場合はその度に回避に成功しなければ炎に焼かれて命を落とし、ロストしてしまう(ダメージでも良い)
3回のDEX*5に成功、または回避に成功すると港に戻ることができる。
港に着いたのなら、船に乗って海に出ればシナリオクリアとなる。
なお、船に乗って海に出ればシナリオクリアなのは他のパターンであっても同様。
ただし、ED分岐によって処理が変わる。
ENDING
BadEND
探索者の全滅。
ED_A
条件
- 美玖のクトゥグア招来が成される。
- 美玖は死亡する。
- 探索者は船に乗って脱出する。
- 降臨祭の成否はED分岐に影響しない。
探索者が海に出てしばらくすると、空が明るくなっていく。
探索者は東に進んでおり、視界に太陽が映らないにも関わらず。
探索者達を、島の方から吹き付ける強烈な熱波が襲う。
振り向くなら、島の頭上にもう一つの太陽が浮かんでいることが分かるだろう。
島は紅蓮の炎に包まれて焼け落ちていく。
探索者が目星に成功すると、見えるはずの無い距離の展望岩に美玖が立っている姿が見える。
彼女はどこか満ち足りた表情をして太陽を見つめており、やがてその姿は炎に包まれて消える。
ED_B
条件
- 美玖のクトゥグア招来を阻止する。
- 美玖は死亡する。
- 探索者は船に乗って脱出する。
- 降臨祭の成否はED分岐に影響しない。
美玖が命を落とし、辺りに静寂が訪れる。
探索者はやがて、島を出ていくだろう。
島に巣食うもの達は消えることなく、これからも犠牲を増やしていく。
もはや、彼らを止めるものはどこにも居ない。
ED_C
条件
- 美玖のクトゥグア招来が成されない。
- 美玖は生還する。
- 探索者は船に乗って脱出する。
- 降臨祭の成否はED分岐に影響しない。
美玖は、探索者と共に島を出る。
彼女の望んだ結末はそこにはない。
島に巣食うもの達は消えることなく、これからも犠牲を増やしていく。
けれど美玖は生き延び、己の罪と向き合って生きていく。
多くの罪が彼女を苛み、けれど目を逸らさずに。
ED_D
条件
- 美玖のクトゥグア招来が成される。
- 美玖は生還する。
- 探索者は船に乗って脱出する。
- 降臨祭の成否はED分岐に影響しない。
クトゥグア招来は成され、島は火の海に包まれる。
探索者は美玖を連れて船に乗り込み、島を離れた。
美玖は島を振り返り、長く望み続けた復讐の成就に涙する。
そして生き残った己を恥じると同時に、生き残った責任を胸に己の罪と向き合って生きていく。
多くの罪が彼女を苛み、けれど目を逸らさずに。
やがて彼女は前を向くことが出来るだろう。