PCより
終わりの終わりで救われた話
平松さんは退院後徐々に変わっていったと思う。
事件の最中に彼女を見かけ、それを気にして接触するが
結局の所彼女を救ったのはトーマス君であった。
私はそれで手を引く訳ではなく、私の出来る事を行う。
極自然に声をかけ、極自然に振舞う。
それに対する彼女の対応も自然なものに感じた。
其処に、当惑も拒否もなく。私は彼女の友達になれたのかなと思う。
けれど、その時から既に私の中での疑問は膨らみつつ在った。
最後の決戦を迎えた屋上で、平松さんはトーマス君の手により助かり、
馨ちゃんは心に怪我を負い、桃ちゃんがそれを介抱した。
私は、事件の首謀者を前に人として語り人として話を聞いた後に
彼の人生にピリオドを打った。その意味を深く考えずに。
その事実が私の心の中に、静かに広がり、毒のように蝕んでいく。
時を経て、私は次第に疑問を繰り返し心を病んでしまった。
相談できる相手は居らず、一人で抱え込み、次第に自分で自分を追い詰めていく。
表層は普段と変わらず、皆がそれに気づいたのは、銃を過去に送るハロウィンの日だった。
間違いを気付いたのはその時。
私は一人で抱え込んでいたのではなく他の3人に影ながら支えられていたのだ。
それが判った時に、私を蝕んでいた呪縛はようやく解けた。
そして、銃の送還の儀式に臨んだ際に思い知らされたことがあった。
それは…
長い夜を抜けた朝
鳥の声が聞こえる頃、目を覚ます。
自分がどこで寝ていたかを思い出すのに数分ほどを要す。
ベッドの傍らで座り込む馨を確認し、安堵する。
思い出す昨夜の光景。あれは、私から彼にお願いした事だ。
あの事件で受けた深夜の強襲からの夜眠る事への恐怖。
人間を殺したのではないかとの不安、悔恨。
抱え込んだ事で、相談できない事で次第に亀裂を生じた自分の心。
初夏から晩秋にかけて己が中に抱えていたものを吐露し、そこで初めて安らかに眠れた。
身体を起こし、そっとベッドより降りる。
軽く馨の身体が傾げるのを確認する。
この状態のまま意識を失うように眠りに着いたのだろう。
鴨居に掛けられた時計を確認、時計は4時50分を示していた。
極力音をさせないように気をつけながら馨の傍らに腰を下ろす。
そっと馨を横に倒し、楽な姿勢へ変えていく。
包まっていたのであろう掛け布団を改めて馨に掛ける。
枕までは手が届かなかった為、馨の頭を自分の膝に乗せた。
そっと馨の眼鏡を外し、折り畳んで積んであった本の山の山頂にそっと置く。
静かな寝息が膝の上から聞こえる。
気がつけば隣に居たこの従弟に私は頼り、甘えているのだろう。
今回の事件も、最後に手を引かれ、儀式を行う際に思い知らされた。
『一番大切なもの。』
最後の最後の寸前まで取り繕うように他の事を考えようとしていたが徒労に終わった。
多分…
多分、自分はこの人が居ないと駄目なのだと思う。
けれど、その逆はどうか。
彼は私が居なくても大丈夫?。
いつもの冷ややかな態度を考えるとそれも容易く想像できる。
それを考えて、口に出せず、先延ばしにしてた。
確認する事で、今こうしてる関係が壊れることを恐れていた。
眠りに落ちる直前に馨から聞いた言葉を反芻する様に思い出す。
膝の上にある、馨の寝顔を見下ろしながら
「これからも宜しくお願いします。」と囁く
信頼なのか、依存なのか、それとも別の感情かはわからない。
それでも、あの時頭に残った一番が膝の上で寝息を立てている。
私はただただ、静かにその顔を眺めている。
暫くそのまま時間が過ぎ…
不覚にも私の意識もまた泥濘に飲み込まれる。
結局その日の登校は、2人揃って全力疾走する羽目になった。
PLより
9日間お疲れ様でした。橘 響の中の人です。
色々な要素が絡み実質8日間という大型シナリオとなりました。
半分は引き起こした茶番の仕業と自負しております。ゴメンナサイ。
KP様シナリオの学園ものはこれで2本目の参加となりますが、
今回の規模は前回よりも派手かつ影響範囲も広く赤牟の存亡をかけた戦いと
とても一介の高校生が携えれる問題ではないのではとも戦慄しました。
ですが今回、仲間に恵まれ無事のHappyEndと相成りました。
この場お借りして3名の仲間に御礼申し上げたく思います。
トーマス君
しっかりとした独自の視点を持ち、皆(NPC含む)に対する気配り力は半端ありませんでした。
その演技力は今後見習う点多々ありました。またご一緒できる機会を楽しみにしております。
桃ちゃん
響が一寸あれな分PTの癒しと思われがちでしたが実の所重鎮キャラだったという意外性。
女だてらの武士プレイに痺れました。若干発言を遠慮頂いた感もあり、またの機会に期待です。
馨ちゃん
まあこの先宜しく願います。…ではなく、寡黙系キャラでは結構頑張られた感を受けました。
本編では賽の目で最後しまらない感じとなりましたが番外編ではその面目躍如と言った所でしょう。
KP
ええと?、シナリオ面白かったですよ?。
では、またの機会がありますよう。
その際は宜しくお願い申し上げます。