心霊体験に参加した者であれば、目を閉じているにも拘わらず、自身の目の前に新しい世界が広がっていることにきがつく。
荒廃した地下都市のような空間で、それはともすればロンドンの街に似た建造物も散見される。
埃と霧の舞う非常に匂いのきつい場所で、なぜか頭がくらくらしてくる。
そしてレンガの壁の裏側から、ひょっこりと顔を出したのは子どもくらいの姿かたちをした裸で白熱したように明るい気味の悪い生き物だったのである。
赤ん坊のような甲高い声で鳴き、母にすがるように両手が宙を彷徨っている。
頭部に髪の毛はなく、脳がむき出しのようにも見える。
そのような姿の「神の使い」がそこらじゅうに、何人何十人とひしめいてるのである。
この心霊体験により、探索者は
1/1d4の正気度を失う。また
MPを1d6減らす。
心霊体験が終わると、参加していた者たちの中には「今日もダメだったか」などとの声も聞こえる。
実は今回の心霊体験でこの現象を目撃できたのは探索者だけなのである。
正気度を喪失するほどのショックを受けた探索者の様子をフードを被った女性はしっかりと見ていて、「どうやら成功したようですわね」と話しかけてくる。
「いかがでしょうか、心霊の世界は?
神の使いたる姿にさぞや興奮なされたのではないでしょうか」
彼女は自身の名前を教えてはくれない。彼女は自身を通りすがりの占い師であり、フランスの方から来ただとだけ伝える。彼女は探索者の持っている魔術的資質について示唆し、心霊に目を付けられぬようにと忠告する。探索者がジキル博士の名前を伝えれば、彼も探索者と同じように資質があったと語り、近頃は姿を見せないので心配していると答えるだろう。彼女の言うには目をつけられてしまった者は、少しずつその精神と器を裏側の住人と入れ替わるようになってしまう。
フードの女・会話例
「どうやら、あなたにもこうした類の素質がおありの様ですわね。おめでとうございます。
でも注意為さって。彼らはいつだってこのロンドンの表舞台に来ようとしているのです。
……裏通り、地下水道、月夜に浮かぶ影、あるいは光も届かぬ闇から
いつでもあなたの上質な器を狙っているのです。
そしてつけ入るスキがあれば、すぐにでも乗っ取るつもりなのでございましょう」
フードの女性は基本的に自身のことについてしゃべりたがらないが、探索者のことを気に入ることがあれば自信を「アン・シャトレーヌ」と名乗る。その他のいかなる脅しに屈することもなく、ただ静かにその場を去ってしまう。酒場を出たところを追いかけたところで、彼女の姿はまるで初めからいなかったかのように消えている。