横浜ランドマークタワー48階オフィスフロア。
その一室に天堂博士はいる。
天堂博士のオフィスでは、十数台のパソコンがイントラネット
(パソコン同士を繋げて小さなネットワークを作っている状態)
によって接続され、各々が並列的にオラクルの処理を行っている。
オラクルの処理は八割がた終了しており、オフィスの電源を落としても招来を阻止することはできない。
また電源を落としてしまってはミクがプログラムに介入できない。すべてのパソコンを破壊するには
時間が足りないだろう。さらにムゥヴィイルは正気度を喪失させるような攻撃を行ってくる。
オフィスの中心には魔方陣が蒼白く煌めき、其処にはムゥヴィイルが招来されている。
その傍らでは天堂博士が狂気に歪んだ顔で高笑いしている。
〈描写〉
蛍光灯の消された、がらんとした広いオフィスの奥には十数台のパソコンが並んでいました。
空間に満ちる笛のような声は、人間の精神をそぎ落とすような、歌の様な詠唱を続けています。
そしてオフィスの中心には蒼白く光るプラズマが輝きながら、奇怪な姿を形づくっています。
イカのような頭に触手の髪の毛と異様に細長い腕を生やし、百足のような体に
翼が生えたような醜悪なフォルムを持ちながら、
それでいて神性を感じさせるような圧倒的な存在感。
それは異星の科学が作り出した、宇宙の深淵に触れるもの。
それは摂理そのものを冒涜するような悪夢の顕現。
傍らで響く狂人の高笑いは、そのまま矮小なる人間へのものか。
狂気渦巻く宇宙に存在する大いなるもの。
この強烈な神性に触れた探索者の皆様は、1/1d10の正気度を喪失します。
【ムゥヴィイル】ステータス
種族 ミーム
STR0 DEX20 INT60 アイデア99
CON0 APP1 POW50 幸運99
SIZ21 SAN0 EDU0 知識0
HP0 MP0 回避0 DB0
武器 鳴動攻撃 100% 1d6の正気度喪失
今回は天堂博士が謎のメールより手に入れたオラクルと呼ばれるプログラムを、
人工知能であるミクに処理させることによって招来される。
『早く!私をパソコンの中に!』
探索者達がムゥヴィイルを目撃した後、戦闘処理に移行する。
勝利条件は探索者達がパソコンにミクを読み込ませ、オラクルの破壊完了までパソコンを守ること。
パソコンへの接触するために1Rかけてフィールドを走り、ミクをパソコンにインストールする必要がある。
ケーブルなどはその辺のパソコンから引っこ抜くとよいだろう。
ムゥヴィイルは目撃時のSAN喪失の他、鳴動攻撃により1Rに1d3の正気度を探索差達に喪失させる。
ミクは驚いた様子で何かを考える。
『音を使った攻撃…!?これは…』
これによる一時的狂気の発症はないが、不定の狂気発症の可能性はある。
探索者の誰かがパソコンに取りつき、ミクをインストールするときに、ミクは言葉を発する。
『もし、これがうまく行ったら、褒めてくれますか……?』
これはミクが消滅する前に発する最後の言葉である。
インストールはすぐに完了するだろう。すると「ハジメテノオト」がスピーカーから流れ始め、
ムゥヴィイルの鳴動攻撃によるSAN値減少効果が無効化される。
(ゲーム中で3R経過後、又は天堂博士無力化後の戦闘はカットする)
天堂博士は探索者たちの行動を妨害しようとしてくるが戦闘は素人なので、探索者が2人もいれば
取り押さえることは容易だろう。
ミクがハジメテノオトを唄い終わる頃にオラクルの破壊が完了しムゥヴィイルに変化が訪れる。
<ハジメテノオト>
出典:初音ミクオリジナル曲 「ハジメテノオト(Fullバージョン)」
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1274898
〈描写〉
空間に満ちていた詠唱。まずその音階が奇妙にゆがみはじめます。
それと呼応するように、青白いプラズマで構成されていたムゥヴィイルの姿が揺らいでいきます。
不規則に、歪に。悶えるように震えた後、それは弾け、網膜への残像を残して空間に散っていきました。