PCより
報告書
前略
そして全てが終わり、デイリー氏の館で意識を失った私は暫く眠り込んでいたらしい。
連日の徹夜、立て続けに起こる事件、現れた怪異、これら全てが私を相当の疲労に追い込んでいた。
残された力を振り絞り、ドラウブロウの家で見つけた書類を整理し、法律的に必要な資料を整える。
完成と同時に、私の中で張り詰めていたものが全て切れ、同時に意識が泥濘の中に飲み込まれていく。
意識を失っている間に、資料はスミス所長により確認が済み、私が目覚めた時には、仕事の完了を告げられた。
今回の件で、万事が万事綺麗に解決は出来ていない。我々が村に来たことが起因で死んだ者も居たのだろう。
村を襲う怪異は確かに去り、今後、この地で子供の命が失われる事は無くなった。
だが、我々は命を落とした子供達の事を決して忘れてはならない。
書類を纏める手を止め、綴った内容に目を通す。私は今回の件を仕事の記録として取りまとめていた。
この先、同じ事件が起きるかも知れない。無駄に命が散るのを防ぐためにも、私はこれを後世に残そうと思う。
書き上げた書類を紙袋に収め、所長の文書箱に静かに収める。所長は不在の為、この資料は翌週に読まれる事となるだろう。
私は、荷物を手に取り事務所を後にする。向かう先はアーカム駅、クライシンギフォードに向かう汽車へと急ぐ。
あれより幾度か私はデイリー氏の家に伺っている。子供を亡くされた氏達同様に、私もまた早くに両親を亡くしている。
果たせることの無い”親孝行”を別の形で成し得る事が出来るのであるならば、失うことの多かったこの事件で、
私が得ることの出来た一つの貴重な縁かもしれない。コートの襟を直しながら、事務所の前に停車していた車に乗る。
私を乗せた車は夕暮れを迎えるアーカム市の中の光景に呑まれて行った。
1920年11月 William Ackroyd
PLより
お疲れ様でした、果たして英国紳士であれただろうかと悩むウィリアムの中の人です。
KP氏の初めての1920年代シナリオ、しかもアメリカでなくて英国と言う新機軸でしたが
面白かったと思います。従来の現代日本に比べて雰囲気が重く、臨場感をとても楽しめました。
同行のPL諸氏のキャラクターも個性的で掛け合い等も楽しかったです。
進行としては若干時間が食い込んだものの、こちらの都合に合わせて頂いた形もあり心苦しい所でした。
シナリオ内容としては館探索及びシティー(ビレッジ?)アドベンチャーの情報収集型で、オーソドックスかつ
鉄板な展開を楽しめました。
最後にこの様な楽しいシナリオにご招待頂き、まことに有難うございました。
またの機会を楽しみにしております。