PCより
とある、探索者の話。
『ありがとう、会えてよかった……』
不思議な浮遊感。彼女の最後の言葉にも霞が掛かる……。
意識を失なう自覚。それなのに、不安も恐ろしさも無かった。
でも当然だろう? だって――
―― いつもと変わらぬ朝に、裾野 歩は目覚めた。
―― けれど彼の世界は変わっていたことだろう。
―― それを物語るのが、片時も肌身から離さない、小さな小さな銀の機関銃。
―― 魔力と思いが込められたそれは、幾年過ぎようと輝くのだった。
〜後日談〜
冒涜的な空間から脱した朝。
手早く身支度を済ませて、本日臨時休診の看板やスタッフ達への連絡に奔走する。
その時、誰も居ない受付の電話が鳴る――城野さんだ。
確信めいたそれは的中する。電話の向こうで、まだ耳に残っていた彼女のむせび泣く声が現実に聞こえてくる。
「やっぱりまだ泣いていましたね。目を冷やして、朝には暖かい飲み物がいいですよ」
苦笑と安堵がもれる。同時に、目頭が熱くなるのを感じた。
時を忘れて話し込み掛けたが、城野さんの声が枯れてきたので、携帯の番号やアドレスを伝え合っていったん切る。
そこからは忙しかった。
八尾さんや村崎君とも連絡がつき、彼らとは白椿さんの捜索で一致団結した。
僕は興信所や探偵では難しい、病院の連絡網でアプローチしよう。
もし国外だったら相当厳しいかもしれない。
使える情報は……容姿や背格好、うろ覚えの検診メモ程度。
もしかしたらこれも変わっているかも知れない。
「名前、聞いておけばよかったなぁ」
”絶対に彼女に会う”
そう決めて、あえて名前を尋ねなかった。それを後悔する。
一刻も早く再会の約束を果たしたい。この目で確かめたい。
そして週末。高校生である村崎君の住む町に、四丁の”銀の証”が揃うだろう。
彼女の足音は……きっとすぐ。
とある、探索者の手記。(アイデアロールに成功したので書き書き中。いつになるかは)
『死にたくはない』
今思えば、この一言で、僕のあの人に対する想いは既に決まっていたのだろう。
――彼女が何者であろうと、助ける、と。
PLより
じゅんびちゅー