例の一件がひとまず落ち着き、いつもの日常を取り戻した頃。僕は、文目に告白をした。もちろん愛の告白だ。
あの家で気づかされた想い。色恋に疎い僕でも、一度気づいてしまえばそこからは急加速だった。
まるで世界が急変したかのような感覚。恋をすると、こんなにも全てが変わって見えるものなのか。
「ほう・・・煌示。お前の歌、良くなったじゃねえか」
大学の実技試験で、先生がそんな事を言ってきた。
「・・・そうですか?」
「おう。なんつーか、声にツヤがでてきたっつーか、色っぽくなったっつーか・・・」
「・・・はぁ、そうなんですか」
「何だ、もしかして好きな女でも出来たのか?」
「・・・えぇ、まぁ、何と言うか、その通りです」
「「「「「ええええええ!?!?!?」」」」」
僕がその台詞を発した途端、教室が一気に喧騒に包まれる。そんなに驚く事かなぁ・・・?
何人かの女子から一瞬だが確実な殺気を感じたのは気のせいだろう。それも、恐らく「彼女」に向かって。
まぁ、気のせいではなかったとしても、僕が彼女を守れば良いだけの話だ。
ハッキリと言ってしまうと、告白をするにあたっての勝算はあった。
だって、あの一件以降、今まで以上に文目がやたらと僕に話しかけてくるし、何かを言いたそうに見つめてくるし・・・
かと思ったら、顔を赤くして露骨に話を逸らしてくるし・・・流石に僕でも気づくさ。
で、あとは告白をするきっかけだ。
・・・と言っても、こういうのって初めてだからなぁ・・・どうやって流れを作ればいいのか、全く分からない。
頭を悩ませていると、文目の誕生日が近づいている事に気づく。これだ、と思った。
文目の誕生日の放課後、誰もいない舞台に文目を呼び出して、オペラやミュージカルの名曲中でも屈指の告白ソングを披露した。
文字通り「愛を歌った」ということだ。やはり僕には歌しかないのだ。
「・・・これが、僕の気持ち。文目、貴女が好きです。もっと近くで僕を見て、もっと近くで僕の写真を撮ってくれませんか?」
そういって、彼女の名前にちなんでアヤメの花を送ってあげた。少しキザかもしれないが、そこは寛容に見てほしい。
もちろん文目は顔真っ赤。正直僕も真っ赤になりたいところだけど、ここは男としてリードしなければ・・・
今まで培ってきた役者のスキルを無駄に活用して、発狂したい心を抑えつつ、つとめて冷静に愛の告白を済ませました。
そして、めでたく僕らは付き合い始めることになったのです。
文目は美人だし、当然のようにこのカップルの噂はすぐに大学中に広まりました。正直、皆の視線が恥ずかしいです。
でも、いいんだ。文目と一緒にいられるんだもん。
それで・・・恋人同士ともなれば、当然、その、で、デートとかもするわけでありまして・・・
こういうのって、どこに連れて行けばいいんだろう?
文目は写真を撮るのが好きだから、やっぱり綺麗な景色とかを見に行ったりすればいいのかな?
で、二人で夜景を見たりして、それから・・・って、待て待て!僕は何を考えているんだ!?それは流石にハードルが高い!!
そんな事を考えながら、今は文目が出てくるのを玄関で待っている最中なのだ。
それにしても、遅いな、文目・・・。乙女のなんちゃらは長いって奴なのだろうか。などと思っていると、
「お待たせしました。煌示」
そういって彼女が出てきた。
「・・・まったく、遅いよ、文」
と、慣れてもいない憎まれ口を叩きつつも、自然と頬が緩んでしまう。やばいなぁ・・・デレデレじゃないか僕。
まぁ、いいか。とにかく、これからは文目と二人で夢を追いかけるんだ。
彼女と一緒なら、僕はもっともっと、いつまでも輝くことができるのだから。
もちろん、「笑顔」でね!
通りすがりの前回参加者より
今回の参加者様からすれば「誰だお前」とか「なんぞこの話」とかいろいろ言いたいこともあるでしょう。
我慢できずにひっそりと書かせていただきました。初めまして、前回主人公兼ヒロインの奈川 煌示ことオトダマと申します。
本来なら南レイさんと一緒に見学席でKPの染谷さんと皆様を見守りたかったのですがね・・・
忌々しいリアルの上司のせいでそれが叶わなかったのでこのような形でご挨拶をさせていただく形となりました。
いやーしかし、ログと皆様の後日談を見て、私感激しました!
今回こそはきちんとグッドエンドを迎えることができたようで、心より祝福を申し上げたいと思います!
おめでとうございました!(わーぱちぱち)
我々の時(前回)は、恋愛フラグは回収できないわ選択肢ミスってPT全滅するわで凄惨な結末でしたからね。
前回のセッションログを見ていただければ、思わず長文を書いてしまった私の気持ちも理解していただけるかと思います(ステマ)
我々にはできなかったありすちゃんの解放をしていただき、感謝感謝でございます!
そして染谷さん!無事に解放エンドにたどり着けて本当に良かったですね!
また今度ご一緒するときがあれば、その時はきっと私もベストエンドを見せて差し上げますよ!
あのBADエンドを経て一回り成長した私のプレイをお見せできる日を楽しみにしております!
それでは皆様、さらばでございます!