クトゥルフ神話TRPGやろうずWiki - 白と暗黒

はじめに

自動車学校を舞台にしたシナリオですが、廃校だとか廃病院といった他の場所でもシナリオ進行は可能なので、別の舞台に改変しても構いません。その他、細かい場所の修正やら何やらを改変してもOKです。回すときはコメント欄に書きこんでくれたりすると執筆者が小躍りします。

推奨人数

2〜5名

推定プレイ時間

10〜14時間程度

PL難易度

☆3……最悪の事態にならない限りは生還できるでしょう

KP難易度

☆4……キーパリング自体は幅が効きますが、シナリオ説明がクソ長い&情報過多

推奨技能

優先度:高

優先度:低

PL向けあらすじ

あなた達探索者は西条自動車学校で同じ合宿免許コースを受けています。
ある日の夜、同じ合宿免許を受けているあなた達の友人並野宏(ナミノ ヒロシ)からこんなメールが届く。
「SOS 車校」
あなた達は並野を救うべく、夜の自動車学校へと足を踏み入れる……。

舞台設定

舞台となるのは郊外の山間にある西条自動車学校。まだ開校して3年と少しの、歴史の浅い自動車学校だ。

KP向けあらすじ

※長いです

主要NPC

並野宏(ナミノ ヒロシ) 

御子槻多摩(ミコツキ タマ) 

西条和久(サイジョウ カズヒサ) 

西条自動車学校と土地の歴史について

※長いです

シナリオ開始前に

探索者が西条自動車学校に一週間以上通っている前提でシナリオが開始されます。
そのため開始時に運転<自動車>の成長ロールを全員にさせます。成長値は成功1d3失敗0
このとき大型自動車の免許などを取得しに来ていた場合は操縦<大型自動車>の成長を行わせましょう。成長値は同じです。
成功した探索者は、出した値だけ技能値を成長してシナリオを開始できます。
また時間があれば、同じ合宿免許コースに通う並野や探索者間の具体的な交友関係を決めておくといいでしょう。

0.宿泊所

導入は何か突飛な提案がない限りは共通で行う。
探索者達は同じ西条自動車学校の合宿免許コースに通っている仲間。そして同じコースに通っている者がもう一人、並野宏という大学生。交友の度合いは探索者によりけりであるが、少なくとも険悪な仲ではないことが前提になる。

導入例

導入例にも書いたように、この後すぐ自動車学校前まで場面を転換するため、荷物などはここでチェックしたものをベースに進行していく。校舎内で獲得できるものもあるだろうが、特に、明りとなる光源がなくては探索に致命的な支障が生じる。KPはそれらの準備ができていないと思ったら助言をして光源を持っていかせてもいい。懐中電灯やランプは、宿泊所で獲得可能だ。細かいことを気にするPLは、宿泊所から抜け出すのにロールは必要ないのか等を確認しているが、心配はいらない、判定は不要だと明言してよい。この宿泊所を経営している老夫婦は非常にガサツな性格をしているので、並野が帰ってきていないことにも気付かず、戸の施錠を君たちに任せて隣の一軒家で既に就寝している。
荷物の最終確認を済ませた後、場面を西条自動車学校正門前に切り替える。

1.西条自動車学校-正門前-

西条自動車学校には、いわゆる裏口のようなものは存在しない。コースの方から大迂回でもしないかぎり、入れるのはこの正門からのみになるだろう。当然ながら正門には鍵がかかっており、開かない。しかしこの正門は高さがあまりないので、たとえSIZ8の人間であっても他の探索者と共に協力すれば判定なしで敷地内に侵入できるだろう。
また、正門外から目星や聞き耳等を判定しても特に情報はない。ここからでは遠すぎて、本校舎で何か起きていてもまず分からないからだ。KPは適当な情景描写を伝えてやればいい。唯一分かることがあるとすればこの周囲に自分達以外の人間はいないということくらいか。

描写例※ここで西条自動車学校の簡単な説明を行っている

2.西条自動車学校-正面玄関前-

まず入ると、正面玄関までの道沿いに教習車の車庫が並んでいるのが分かる。ナンバリングされており、非常に簡素なつくりの車庫だ。探索者が中に立ち寄るというのであれば、とにかく「真っ暗だ」ということを伝えてやればいい。特にどの車庫にも車内にも異常はない。
そして正面玄関前まで来ると、校舎の全貌がようやく明らかになる。この時点でPLに校舎のマップを渡してもよい。探索者的には一週間近く通っているということになっているので、校舎の構造を把握していない方が不自然だからだ。
マップ(1F)
マップ(2F)
校舎の全ての窓には鍵がかかっており、ほとんどの教室はカーテンがかかっていて中の様子を見ることはできない。これは外にある教室や食堂についても同様だ。唯一中の様子を確認できるのは正面玄関の自動ドア越しだろう。自動ドアはSTR40との対抗に勝利すれば何とかこじ開けれるが、最大人員が二人までなのを加味すると中々このSTR対抗に勝利できる探索者はいないであろう。よって下の描写例を参考にしていくつかの情報を与えるとよい。

描写例

シナリオ的にはこの食堂勝手口から入る方法が最もベターだが、他にも侵入方法はある。
まず、正面玄関や他の一階窓のガラスを叩き割って侵入する方法。これらは全て耐久10装甲2のため破壊すること自体は容易だろう。ただしこの方法で侵入した場合、多摩の好感度ポイントが1減少した状態からスタートする。外部からの恐ろしい侵入者、として認識されるからだ。
また、可能性こそ低いが外の教室の探索を優先する可能性もある。その場合、KPはなるべく本校舎内に入るのを優先した方がいいと伝えてやろう。それでも探索者が外教室の探索にこだわるのであれば、鍵開けなどで侵入した際、全ての教室について第5教室(後述)と同じ処理を加えてやればよい。それだけで探索者の正気は間違いなく減るだろう。そしてこの際、第5教室以外では御守りを獲得させずともよい。これは難易度にもつながるので、KP判断に委ねる。

本校舎内に侵入した場合、KPはブラフ判定を行ったりして、意気込んで探索を始めようとする探索者達の動きを一旦止めるとよい。ちょうど探索者が侵入したタイミングで、西条に協力する聖拝火教団の外部からの操作により、この自動車学校は第1教室を除き、鋼鉄シャッターによって完全に外界と遮断されてしまうからだ。これにより本校舎内では電波は完全に使えなくなる。描写例を参考に、探索者を適度に慌てさせ、危機感を持たせるとよいだろう。

描写例

イベントの直後は別の判定が入るため不可能だが、このシャッターに対して<目星>または<機械修理>などに成功すると以下の情報を得られる。

描写情報&目星成功情報

このシャッターの耐久30装甲20という対戦車ミサイルのような数値は好きに変更してくれて構わない。大事なのは、探索者が無理やりシャッターを壊して外に出るという手段を封じることにある。
そして校舎内に幽閉されてしまった探索者を出迎えるのは……。

3.目撃

閉じ込められてしまった探索者に対して、KPはPOW*4(動揺しているということで、POW*3に減らしてもいいだろう)を振らせる。
失敗した者には特に何も見えない。
成功した者は、幽霊状態の御子槻多摩の後ろ姿を目撃する。彼女は探索者達の方をちらりと振り返って気付き、怖がってそのまま逃走してしまう。
もし全員失敗していた場合は、誰もこのことに気付けない。

描写例

この時点で多摩の好感度は0である。(窓割って侵入など手荒な真似をしていた場合は-1スタート)
彼女は探索者が声をかけようと何をしようと、少女は怖がって逃げ出してしまうだろう。
また、少女に関しては光源の有無にかかわらず、みえる者には見える。ただそれでも、見える時間はせいぜい20〜40秒が限度だろう。
多摩や好感度システムに関する事項はこの次の項目で記載する。
一連の描写とSANCが終わった後、ようやく探索者は探索を開始できる。
その際、光源がないと目を使うすべての技能判定に-50の補正を付けることを伝える。
校舎内の電源は全て切られているので、光源がない状態での探索はとても難易度が高い。もし探索者が準備を忘れていたようなら、事務室など違和感のないところに懐中電灯やランプを設置し、判定なしで気付かせてもいい。KPはこまめに、今誰が光源を所持し、照らしているのかを確認するとよいだろう。

4.邂逅

以後、探索者が1F廊下に出るたびにPOW*4を振らせる。
成功した探索者は、目撃時と動揺、廊下の何処かに多摩の幽霊を一定時間視認することができる。

描写例

少女の好感度を上げるには、「優しく話しかけるRP」を行うしかない。
これを行えば、好感度が2上昇する。一度の遭遇につき上昇値は最高2まで
また、探索者は目星、聞き耳など様々な技能を振ることもできる。
だが技能を振った場合、少女はその人物のことを警戒する。これは信用や説得などの交渉系技能でも同じだ。
彼女は長年の実験や拷問の結果、そのような小手先で挑んでくる人間がどのような内面を秘めているか、マイナスの方向でしか考えることができない。よってこのような行動を行う探索者がいた場合、彼女の好感度は一人につき-1される。もし「優しく話しかけるRP」をしながら技能判定を行うのなら、その人一人による好感度の上昇は1減って1になる。
基本的に回数過多にならない限りは、探索者が廊下に出るたびにこの判定を行う。

好感度が0以下だと、多摩は探索者を怖がって逃げてしまう。
そして、好感度が1以上になると多摩は探索者達に「ここはあぶない、さいじょうがくる」「いますぐにげて」と警告を発するようになる。しかし探索者は<<魔女の刻印>>を刻んでいないかぎり、彼女の声を聴くことはできない。この際、好感度システム抜きで聞き耳を振らせてもいい。見えていない探索者も振ってかまわない。結果分かるのは、「そこに誰もいる気配がない。物音が一切聞こえない」ということだけだ。
同時に、彼女に振れることもできない。物越しでも触れることは叶わないだろう。
好感度が2以上になると、簡単な受け答え程度になら応じるようになる。ただし筆談などには彼女は絶対に応じない。筆談を取り入れた拷問を既に西条によって受けているため、そのトラウマが思い出されるからだ。
目星に成功した場合、彼女の右手の甲に<<魔女の烙印>>が刻まれているのに気が付くだろう。
この好感度によって、後に発生するイベント時の多摩の行動が大きく異なってくる。

5.1Fの探索

廊下以外は探索によって情報が手に入る。以下に部屋ごとに記述する。
なお、食堂・ロビー・事務室・指導員控室は同じ空間に存在しているため、いちいち廊下に出る必要はない。

食堂

ロビー

事務室

指導員控室

倉庫

1Fトイレ

応接室

階段

四輪シミュレーター室※鍵がかかっていない。

探索者達がこのPCの閲覧を済ませた段階、もしくは倉庫での探索を済ませて出ようとした段階で下記のイベントを発生させる。

6.主犯現る

探索者全員に聞き耳を振らせる。
成功した者は、二階から何か「ガラン」という重い金属が落とされるような音がしたのを聞き取る。
その音は一定間隔で鳴り響きながら、ゆっくりと階段を降りてくる。
探索者が廊下に出る場合、まだ階段のシャッターには異常がないことが分かる。
同時に、やはりPOW*4を振り多摩との遭遇判定を行う。
成功者は、階段からの物音にびくびくして、廊下で立ちすくんでいる多摩の幻影を確認できる。
その後の処理は通常遭遇時と同じである。
また、この時までに印を身体に書き写していた者は、多摩とコンタクトが取れるようになっている。触れることも可能だろう。
KPは適度に何者かの足音が降りてくる描写をしながら、探索者に行動を急かすとよい。あまり急かしすぎると良くないので、相談する時間は適度に与えるとよい。
少女は好感度が2以上なら君たちに何とかして逃げろと伝えようとしてくる。また3以上なら自分も探索者についてきていっしょに隠れたり、廊下で共に何者かと対峙する形になるだろう。
対峙した場合
廊下に残った探索者は、西条に協力するシアエガとその落とし子たちが一瞬のうちに強固なシャッターを破壊してしまうのを目撃するだろう。
これによるSANCは1/1d6だ。そしてシャッターに開けられた大穴から、鉄パイプを手に持った西条が現れる。多摩がおらず探索者のみだった場合、彼は探索者を一瞥した後すぐに引き返して行く。多摩が探索者と共にいた場合も同じである。
しかし多摩が単独で廊下に残っていた場合、西条はにやりと笑って彼女に鉄パイプで殴りかかる。多摩は西条に出会うと蛇に睨まれた蛙のようにすくみ上ってしまい、身動きが取れなくなってしまう。そのまま、およそ10秒ごとに1d6+1d4の鉄パイプによる殴打ダメージを受け続ける。
多摩が気絶、もしくは瀕死になると西条は彼女を担いでそのまま第1教室(儀式場)へ連れて行ってしまう。中途で探索者が一人でも駆け付ければ、西条は分が悪いと感じて二階へ退却する。
隠れた場合
廊下に誰もいなかった場合、西条は応接室以外の部屋を順番に確認していく。彼はマスターキーを持っているので、鍵をかけていてもいなくても同じことだろう。
彼は光源を持っていないので、隠れるに成功している人間を見つけることはできない。目星成功で、隠れるに失敗している人間を発見する。
多摩のみを見つけた場合、彼は多摩に襲い掛かる。探索者がそれを阻害した場合、または探索者を目撃した場合、彼は扉を閉めてすぐさま二階へ退却する。
その後破壊されたシャッターを目にした探索者は<アイデア>を振る。成功した場合、この大穴は人智を超えた存在によるものであると気付いてしまい、0/1d4のSANCが発生する。

西条を目撃した探索者は目星で判定を行う。成功した場合、彼の左手の甲に<<魔女の刻印>>が描かれてあるのに気付いてよい。

西条から多摩を守ることができれば、彼女の好感度は一気に10に到達する。(端的に言うと、よほどのことがない限りは探索者を信用し、行動を共にする)
同時に、印を描いていた場合彼女の知りうる範囲での状況説明などを行ってくれる。そして「自分は何故かこの校舎から出ることができない」ということを探索者に伝えた上で、もういらないからと言って非常扉の鍵を渡してくれる。これは印を描いた者でないと受け取れないので注意。
ここで探索者が多摩と並野を見捨てて逃げた場合、しばらく後にシアエガが招来される。そして、それを目撃して探索者はSANCを行い、神話技能を2獲得してセッションを終了する。このルートでセッションを終了した場合、SAN報酬はない。

7.外の探索

注意事項として、外の探索に多摩を連れて行くことはできない。
無理に外に連れ出した場合、シアエガの落とし子が顕現し、探索者を攻撃してくるだろう。

第4教室

第6教室

第5教室

託児所・職員食堂

車庫

外の探索中にシアエガの落とし子が顕現するような事態があれば、聞き耳成功でその物音を察することができる。

8.2Fの探索

あまり有益な情報はない。無為に探索者が考えもなく探索で時間を潰すようなら、KPは何かしらの方法で急かした方が良いだろう。
2階に上った段階で聞き耳を振らせる。成功すれば第1教室から物音が継続してしてくるのが分かる。これらは全て西条による儀式場の準備音だ。
また、目星に成功すればどこの教室も蛍光灯が壊されているのが確認できる。これは西条によるものだ。

第1教室(儀式場)

映写室

第2教室

第3教室

二輪シミュレーター室

9.儀式場、嗤う男

儀式場への侵入経路は4つある。うち二つは廊下側の扉だが、つっかえ棒とのSTR対抗に勝利する必要がある。
そして他の一つは、映写室の接続扉から侵入するというもの。ここにはつっかえ棒はない。
もう一つは、ベランダから侵入するというもの。この第1教室だけは、何故かシャッターが降りていないので窓を壊せば侵入可能だ。
またベランダからの場合は、カーテンの隙間から儀式場を目星することもできる。-50の暗闇ペナルティを耐えて成功した場合、突入時と同じ描写をした後SANCを行う。
突入した場合、忌まわしい烙印が床全体に刻まれている。並野および多摩が捕まっている場合は、気絶状態で寝かされている。西条は儀式場の中央でニタニタと微笑んでいる。その眼にはもはや狂気以外何の色も映っていない。儀式場を目撃した者は1/1d6のSANC

描写例

西条が多摩を確保している場合、彼は早速「呪い」を使って落とし子を顕現させる。そして儀式に協力してもらうのだ。
また儀式場に多摩が現れた場合、西条は攻撃することなく「呪い」を使う。しかし彼の声帯が既に死んでいるので、蚊のなくような声でしか喋れない。これを多摩が聞き耳に成功して聞き取ってしまった場合、やはり落とし子が顕現する。
落とし子は儀式場で顕現した場合、多摩の体を1d6の触手によって縛り、その精神を乗っ取って操り人形とする。
そして3d6R後に儀式が完了する旨を、PL情報として伝えて良い。
探索者が3d6R経過する前に多摩の体から触手を全て引き剥がさなければ、シアエガが招来されてしまうのだ。

多摩が儀式場にいない場合、西条は普通に襲い掛かってくる。まず西条が勝つようなことはないだろうが、西条が戦闘に勝利した場合、彼は再び多摩を探しに他の部屋を探し始める。今度は他の探索者がいようとお構いなしの行動をするであろう。
シアエガのステータスや弱点は後述。光を浴びせると嫌がる(判定が半減)&古き印の護符といった設定の存在を忘れないよう気を付けよう。可能なら戦闘中にこれらの情報を適切な判定と共に探索者に暗示できるとよい。

西条を倒すor落とし子が顕現している場合は、多摩からすべての触手を引き剥がした段階で戦闘が終了する。他に結末があるとすれば、それはシアエガ招来であろう。
西条を倒した場合
直接殺してしまった場合は、その者および罪の責任を感じる探索者は1/1d3のSANC。西条の所持物は鉄パイプとマスターキーのみ。マスターキーを使えば、鍵が紛失している応接室にも入れるだろう。
少女から触手を全て引き剥がした場合
儀式完了前にすべての触手を引き剥がせば、落とし子は憤慨した様子で西条の身体を触手で巻き取ってバキバキとボールのように団子状に押しつぶしてしまう。この時までにマスターキーを入手できていないと、応接室に入る方法は失われてしまう。これを目撃した者は1/1d4のSANC
その後、1d8分ほどの間、落とし子はひたすら西条の身体を押しつぶして弄んでいる。探索者はその間に何とか逃げおおせなくてはならない。それまでにまだ落とし子の手の届く範囲に留まっていた場合、攻撃対象になってしまうだろう。
シアエガが招来された場合※キパコンにある正規の召喚法「待てる暗黒の解放」とは大きく異なります。
5d6を振る。
多摩はその値分のMPを失う。超過分はSANを消費する。
そして、周囲にいる多摩以外の人間一名をランダムに選択し、その者に18d6のダメージを与える。その対象は"生贄"として捧げられ、その場で木端微塵になって絶命する。これによるSANCは1/1d4
そしてシアエガが召喚される。2d6のダメージを受けた上でまだ意識のある者はシアエガ目撃によるSANCを行う(1d10/1d100)

招来描写例

シアエガ/ステータス例

このルートでまず生還できる者はそうそう居ないと思われるが、道がないわけではない。
それは、ひたすら逃げることだ。
シアエガは召喚後しばらくはその場に留まり、死亡した探索者の死体だとか机や椅子や映写機などを興味のあるものから手当たり次第に触手で取って握りつぶして遊んでいる。そのためひたすら逃げていれば、シアエガの直接の歯牙にかけられることはない。
逃げていれば、いずれ朝がくる。探索者が幸運に成功すれば、シアエガの興味の対象となる前に朝日が昇るだろう。朝日を受けると、シアエガはするすると地面へと戻っていく。しかし封印は解かれてしまった。またこの地は、暗黒の支配する名状し難い場所へと戻ってしまったのだ。

10.解呪

シアエガを召喚されず、多摩も無事で、且つ西条を撃破すればマスターキーを使って応接室の探索が可能になる。
多摩は応接室のことを「ごうもんべや」と呼んで忌避し、近づきたがらない。外で待っていると言って中に入ろうとしない。
中に入れば、来客用のソファ周辺以外はもはや応接室の面影を一切残していないことが分かる。
床と机に散乱した膨大な量のコピーと、分厚いオカルト本や魔術本の類、夥しい量の資料が探索者を出迎える。
そして、「開かずの間」と揶揄されていたこの部屋が、西条の魔術研究所及び多摩の監禁部屋だったことが判明する。
目星成功
壁に打ち付けられた小さ目の手錠と、その下に落ちている<<魔女の刻印>>を象った焼き鏝を見つける。
図書館またはオカルトまたはCoC成功
散見される資料のほとんどが紛い物であることが分かる。
その中から唯一それらしい記述の用紙を見つける。倉庫に会った『黒い装丁の本』の破り取られたページだ。
<ドイツ語>成功で、以前の内容と合わせて「魔術:魔女の烙印の刻印/抹消」を修得できる。

魔術(オリジナル)

また、失敗or<ドイツ語>持ちがいない場合は、抹消の部分のみ日本語の要約メモがあったということにしてもよい。確実に探索者に解呪方法を伝えることが重要である。

焼き鏝と烙印抹消の魔術を得れば、多摩の烙印を解除できる。以後、身体に描いたマークを消しても多摩の姿が消えることはない。彼女は精神世界の牢獄から解き放たれ、現実世界に戻ってきたのだ。
(この時点で落とし子未顕現の場合)
探索者全員に目星を振らせる。成功者は、多摩の真っ白な体に、うっすらと黒い斑点が浮かび上がってきていることを伝える。
これは、烙印が解除されたことを悟った彼女の内部にいる落とし子が慌て、自力で顕現しようとしている兆候である。カメラなど電子機器で撮影しても、その斑点は映らない。また、多摩は黒い斑点を認識できない。そのため烙印の無くなったことに喜ぶのみで、早く外に出ようと探索者達を急かす。
この斑点に対してはCoC成功以外では一切情報は得られない。CoCに成功しても、現状打つ手がないことを伝える。学校中を調べ尽しても、この斑点の増殖を止めたり、取り除いたりする方法や記述は見つからないだろう。探索者が不安にかられる間も、斑点はじわじわ増殖していく。探索者は不安を抱えたまま、自動車学校を出る他ない。

11.最後の顕現

多摩が校舎から外に出た時点で、落とし子の顕現が始まる。
その際の描写例とステータス例を載せておく。

描写例

シアエガの落とし子/ステータス例

シアエガの落とし子は光を忌避する。誰か一人でも光を当てていれば、その判定は半減されるだろう。
また映写機の光や車のライトほど強力なものになれば、落とし子はたまらず何かの影にするすると逃げてしまう。
儀式中の場合は、これで強制中断も可能。
儀式場以外で顕現した場合は、探索者を襲ってくるのみで多摩に関してはすでに無関心である。光を当てて周囲の落とし子の肢体を退かし、救出するなどすればよいだろう。
落とし子から逃げる場合、徒歩だと落とし子の飛行21によって瞬く間に追いつかれてしまう探索者が出るだろう。自動車、特にキーを拾っていればD-12の教習車(五人乗り)で逃走を図るのが理想的だ。シアエガ招来時以外は落とし子を物理的に沈黙させないかぎりケチャップになるので、自動的に次の項目へ進む。

12.異形とのケチャップ

車または徒歩で逃げた場合、落とし子は飛行を開始する。この際の初期DEXは21。DEX判定に負ける度、1d10ずつ上昇していく。
もし車で逃げる場合は以下のケチャップルールを適用する。

ケチャップ特別ルール

落とし子の攻撃や運転制御判定失敗のダメージにより教習車の耐久が0以下になると、車は大破する。そしてその際、全員1d4+1の回避不可ダメージを追う。その後エンディングとなる。
逃げ切った場合も、エンディングとなる。

13.暗黒の終焉

逃げ切ったり、車が大破して万事休すとなった場合、落とし子は探索者を逃がすまいと体を傘のように広げ、自動車学校の敷地よりも大きな範囲、山間の一帯を覆おうと肢体を伸ばす。大破していた場合、探索者は逃げ場のなくなる絶望に叩き落されるだろうし、逃げ切ったと思っていた場合も、眼前に下ってくる大きな暗黒の歯牙を前に絶望を味わう。
だがその時、朝日が地平線の向こうから閃光となって差し込む。落とし子は強烈な光を受けて、そそくさと地面の底に退散していく。
そして、達成している条件により、異なるエンディングを迎える。なお、下記は朝日の描写例

描写例

エンディング

エンディングは4つ存在する。もしこの中のどの条件にも合致しないエンドを迎えた場合は、EXTRA ENDとして自由に描写してよい。
GOOD END
条件:多摩と並野の救出に成功&多摩の烙印を解除している

GOAST END
条件:多摩と並野の救出に成功&多摩の烙印を解除していない

NORMAL END
条件:どちらか一人しか救出していない

BAD END
条件:二人とも救出できていない

SAN報酬

シアエガの招来を防いだ:+1
並野を施設から救出した:+1d3
多摩を施設から救出した:+1d6 ※烙印を消していないと+1
シアエガを目撃した:+1d6
シアエガを退散した:+2d10
落とし子を目撃した:0
落とし子を退散した:+1d3
シアエガ(落とし子)とカーチェイスをした:+1
また狂気状態でない探索者は事件後別の教習所に通ったということで運転<自動車>または操縦<大型自動車>の成長を行ってよい。成長値は成功1d6失敗1である。

遭遇神話生物

シアエガの落とし子
※シアエガが招来され目撃した場合は、「シアエガ」を加える

獲得AF

・古き印の御守り(未使用)…古き印の入った御守り。一度だけ古き印を嫌う神話生物から持ち主への肉体的ダメージを0にする(強制発動)。最大3つ獲得可能(第4教室〜第6教室に各一つずつ)

・古き印の御守り(使用済)…シナリオ中に上のダメージ0効果を使ってしまった場合獲得できる。もう何の魔力も残っていない、ただの古き印が刻まれた厚紙の入った御守り。記念AF

・神聖なる焼き鏝…1d3を振り、その値だけ自由にMPを引き出せる時代物の焼き鏝。ただしMPの補充等はできず、使い切ってしまうと年数の経過が一気に進み、風化して消えてしまう。一つ獲得可能。

・黒い装丁の本…このセッション外では意味をなさない記念AF。一つ獲得可能。

・ノートPC…<コンピューター>に成功して管理垢に入ると、一通のメールを確認できる。SERa研究所から送られてきた無名祭祀書のpdfファイルだ。ドイツ語判定に成功すれば、指定した週数とSANを消費して魔術を獲得できるだろう。詳細は下記より。探索者が望まないなら、スクラップにして捨ててしまえばいい。それだけでこの忌まわしい記述は、少なくとも一つこの世から消滅する。

・無名祭祀書.pdf…『無名祭祀書』の複製の一部をコピーしたもの。
         だが、意図的に削除された記述や、劣化して読めない箇所もある。
         ドイツ語判定に成功した上で下記のSANCと経過時間を経れば、魔術を修得できる。
         正気度喪失は1d6/2d6 さらに<CoC>に+10% 
         研究し理解するために平均38週間かかる。
         『シアエガの招来(シアエガの招来/退散)』に加えて、 
         1d10で出した値に対応した魔術を修得できる。
         しかし習得には後述のSANを追加で消費する。リストは下記参照

魔術リスト対応表

後日談

探索者にまだ余力があるようであれば、第6教室で協力者と会話した探索者に対し後日談の描写をしてもよい。
あの事件から三週間ほど経ったということで後日談が始まる。西条自動車学校は局地的な豪雨によって崩壊の危険があるということで立ち入り禁止となり、取り壊された。西条は行方不明として報道されるが、その魔術的研究等が世間に公表されることは一切なかった。
そして、事件の記憶も薄れたある日、その探索者に知らない番号から電話の着信がある。
電話に出ると、あの時の声の主である。会話の内容はKPに任せるが、彼は協力してくれた御礼を伝えたいのだと言うだろう。何せ、今回の西条の事件は彼ら教団がけしかけ、自分たちの動きをバレないようカモフラージュするために仕掛けたものだったのだから。探索者はいい具合に西条を煽り、計画を面白い具合にかき乱してくれた。これによって自分達が非常に動きやすかったと、皮肉な口調で礼を言ってくれる。
その後、やはり電話は唐突に切られるだろう。胸に残るのはもやもやとしたやるせなさか、苛立ちか、はたまた……
何とも言えない後味の悪さを残して、シナリオは完全終了となる。

最後に

計5回のテストプレイを経て一応の完成を見たこのシナリオだが、まだまだ改善すべき点は多い。また、ダイス目や探索者の行動次第では想定していない事態に発展する可能性もある。
これを回そうという極めて意欲的なKPは、その都度自分のやりたいように判定や状況を改変して構わない。
例えば、下記のようなRPや行動を行った場合の制作者の対応例をいくつか挙げておく。
・本校舎侵入後、並野の名を大声で叫ぶなどした場合……並野が聞き取れたかシークレットダイスで判定し、成功すれば彼は声を返す。探索者はこれに聞き耳成功で気付いてよい。ただし並野の隠れている映写室がバレるので、そのまま並野は西条に捕まってしまう。
・落とし子を物理で退散させてしまった場合……落とし子は霧散して地底に退散する。その際、西条を巻き添えにする。西条の身体はずぶずぶと地底の中に一緒に消えてゆき、壊れた声帯を無理に鳴らして出た不気味な断末魔の悲鳴と共に地底の暗黒へと消えていく。SANC0/1d3
・全滅した場合……第三者視点で事件の概要が語られる。しかしその中には西条や多摩はもちろん、探索者達の名前や並野の名前すら出てこない。そう、彼らの記録は抹消されてしまったのだ。その存在を知るのは最早、暗黒の底に消えた彼ら自身の屍のみ……。

こんな粗雑なシナリオぺ―ジに目を通してくれて本当にありがとうございます。加えて、テストプレイに参加してくださった計21名の探索者様にも感謝を!
今後も改善点などが見つかった場合、不定期で更新していく予定です。コメント欄などにアドバイス等を書き込んで下されば、是非参考にさせていただきます。
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シナリオ制作者:ぬこ。
SkypeID:k_yashiro0510