基本的に彼女は何の行動も示さず、何の行動にも反応しない。
話しかけようと、怒鳴りかけようと、殴りかかろうと、椅子を破壊しようと彼女はそこに佇むまま何の反応も起こすことはない。
目星に成功すると、彼女の目線の先には本棚があることが分かる。
が、本棚を見ているというよりは、更にその奥にある「何か」を見ていると感じることだろう。
また、水晶の宝玉を彼女に見せた場合、魔女は一時的に正気を取り戻し、会話が可能となる。
正気を取り戻した彼女は、以下のような事を探索者達に話すだろう。
・この館の地下には怪物が住み着いていること
・その地下の怪物を目的として、狂信者がこの館を襲ってきたこと
・狂信者達への対策として、この館を隔離する為の結界を生前構築したこと
・結局狂信者達に殺され、今は自縛霊となってここに居付いている事。
・その狂信者達も結局怪物を律することが出来ず、食われて絶滅したこと
・今も黒い怪物は生贄を求め、この閉鎖された土地を利用して生贄を呼び集めていること
・ここから脱出するには、地下にある館の管理施設から庭の門を開くこと
・そこはこの館の唯一の、結界の外側への出入り口であること
これだけの事を話すと、研究室に地下室への鍵があることを伝えてくる。
加えて、そこには「狂信者の魂」が眠っているなどと述べ、訪問には危険が付きまとうことも教える。
その他にも、探索者が聞きたいことがあれば魔女は館の事に限ればKP情報すらも答えてくれるだろう。
この時、怪物を追い払う方法について尋ねた場合、彼女は非常に言い渋るだろう。
それを実行するには彼女の持つあの冒涜的な魔術書が必要となり、彼女はその知識を危険視しているためだ。
加えて、地下に住まう化け物は人間の手に敵うものではない事は、図らずも信者として扱われている魔女自身が一番知っていることだからだ。
どうしても探索者達が怪物を退散させたいと願うならば、彼女を説得・言い包め・信用などで納得させる必要がある。
しかし、RPを行わずに説得を試みる場合は-50の補正が付与されるだろう。
交渉を成功させるには、何とかして彼女を説得させるRPが必要となる事を、PL達には伝えること。
彼女を説得させるには、少しばかりコツが居る。
彼女は今ここでこうして自縛霊と成り果てているのは好奇心に溺れた己の自業自得と考えているため、感情に訴えた説得は効果が薄い。
このようなRPで交渉を行おうとした場合は、-30の補正が付与されるだろう。
逆に、理路整然とした、地下に館が潜む危険性、新しく現れるかもしれない犠牲者等について言及するような、理論的な説得は比較的効果が高め。
その内容によっては、マイナスの補正無しでロールを行わせてもいいだろう。
成功した場合、魔女は言い包めの場合は渋々と、信用・説得の場合はそれなりに探索者達を信じて屋根裏部屋への道を本棚を倒して開けてくれる。
ただし、ここでKPは必ず退散に挑む危険性について伝えること。最低でも『退散の失敗=PC全ロスト』である事はしっかりと伝えておかなくてはならない。
基本的にどれだけ無礼な態度を取っても怒ることは無いが、探索者達が無理やり魔道書を奪おうとしてきた場合のみは別である。
もしそのような行動を探索者達が取ろうとした時、魔女はまず威嚇射撃として本棚の上のぬいぐるみを、鎧がついてきている場合は判定無しで鎧を粉々に吹き飛ばすだろう。
その後、それでも探索者達が反抗するようなら、彼女は直接全PCに対して「ニョグタのわしづかみ」を試みてくる。
MP対MPの対抗ロールに敗北した場合、そのPCは心臓を握りつぶされたような感触を覚え、悶え苦しむことになる。1Rにつき1d3のダメージを受ける。
この状態は敵対的な行動をとった探索者以外が説得・信用を行い成功した上で、その敵対的な行動をとったPCが魔女の視界の範囲外に出れば解除される。
なお、一度この状態に陥った後は交渉系技能の成功値が-30から上昇することは決してなくなる。
KP情報:館の魔女
NPC情報:館の魔女(Frederica・Everheim)
○NPC:館に住まう魔女
INT:16 POW:30 APP:16
SAN:0
・精神の浸食
POW対抗ロール。対象がPOW対抗ロールに失敗した場合、対象は1d3のPOWを永久喪失する。
対象がPOW対抗ロールに成功した場合、魔女がPOWを1d3失う。その場合魔女はその場に蹲り、戦闘は強制終了される。
・ニョグダのわしづかみ
基本ルールブック276p参照。本来亡霊が覚えているはずのない呪文だが、生前魔術師であったということ、また疑似的にニョグタの信者であったという事実から、亡霊となった今でもこの呪文を習得している。
・魂の罠
戦闘中の使用は不可。『魂魄吸収の無銘羊皮紙』の仕組みの正体。
元々は狂信者達が魔女に対するトラップとして造ったもの。
羊皮紙の仕組みを解明し、逆に自身の呪文として習得することに成功している模様。
・領域を隔離する
オリジナル呪文。ある一定の領域を切り離し、独立した空間として固定する。
定めた出入り口以外からこの領域からは出ることは不可能であり、同時にこの領域に侵入することも不可能である。
・植物の活性化
オリジナル呪文。中庭の植木鉢に埋めた、食人植物を活性化させるための合言葉。明確には呪文ではない。
何を対象にそれを捕食するかは、主人である魔女自身が決定させることが出来る。
魔女から探索者への好感度が比較的高い場合、脱出時、骸骨達を退ける手助けとなってくれるだろう。
逆に魔女を羊皮紙に閉じ込めた場合など、敵対的な行動を積極的に取った場合には脱出を妨げようと植物が襲いかかってくる。
[プロフィール]
館に残された冒涜的な知識に図らずも手を出し、この館で朽ちた魔女の残照。本名はFrederica・Everheim。
所謂幽霊である。
彼女の持つ知識と魔道書、そして地下に住まうニョグタに目を付けた狂信者達に抵抗するが、最終的に狂信者が呼び寄せた星の精と狂信者の銃弾により死亡する。
倉庫に打ち捨てられた死体は彼女の物である。
彼女は霊体である故か、言葉を発して会話をする事が出来ない。
しかし、生前が魔術師であった故か、幽霊となった彼女は他の幽霊とは違う超常的な力を宿していた。シナリオ中ではデスクの白紙の紙とボールペンを扱って、筆談による対話を試みることだろう。
彼女は魔道書の知識を危険視しながらも、地下に住むあり得べからず神の存在を野放しにしておけず、霊体となった今も自分の私室で魔道書とニョグタの監視をしている。
因みに形見の水晶玉を魔女に渡すと、彼女の幽霊としての存在が水晶玉により更に確かなものになり、筆談ではなく、口頭での会話が可能となる。
彼女は地下に住まうニョグタを外へと解放させぬために、死後も己の自室で領域の維持を行っている。
館の地下に住まうニョグタが長い時間を得てなお館の外へ遊びに行こうとしないのは、この結界による妨害があるからである。
故に、その行動を邪魔しようとする探索者には魔女は非常に容赦がないのだ。
仮に魔女をなんらかの方法で消失させる、または羊皮紙の中に魔女を閉じ込める、等という方法を取った場合、この館に存在する領域の結界は消失。
ニョグタの目覚めの後、彼は外に出て、人間の住む覚醒の世界を思うままに荒らし回るだろう。
因みに彼女自身がニョグタの退散を試みないのは、自室から動けない上、一度失敗すれば二度と後がない、という事実からである。
退散の呪文を唱えるという事は、かの神をこの館から追い払うという行為である。
地球に自らやってきたがる神々は、そんな行為をすれば怒り狂うことは間違いない。
もし自らが退散の呪文に失敗すれば、呼び寄せたのが自分自身であるという事も加わり、誰かにかの神の退散をお願いするどころの話ではなくなるだろう。
彼女は探索者達がニョグタを館から追放しただけでは、あの館から解放されることはない。
彼女が完全に成仏するには、彼女自身が死に際に結界の動力として設定した彼女自身の亡きがらを、館の敷地内に埋葬する必要がある。
しかし、魔女がその死体の在処に着いて聞かれた時、魔女は咄嗟に「死体は存在しない」という嘘をつく。
更に突っ込まれて聞かれた場合、彼女は「狂信者には己の身体を生きたまま食べられた」などと最もらしい嘘をつく事だろう。
これは魔女の死体が怪物の住まう倉庫に存在する為に、探索者達を無駄な寄り道をさせず、そのまま返そうとする意思によるものであるからだ。
倉庫に関しても魔女は同様に「なにも行ってもいい事はない」「何も価値のある者は無い」などと法螺を吹く。
説得するには、探索者が魔女の嘘を何らかの方法で見破り、交渉技能で判定する必要がある。
成功した場合、魔女は非常に渋々といった様子で教えてくれるだろう。
特に過去とかの設定とは考えていないので、名前や過去の設定などはそれぞれKPの思うように改変して構わない。