現代中国の仙人
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中国の仙人について書かれた本は、日本では数えるくらいしか出ていない。実話を修めた本に至っては、まさに皆無に等しい。あっても伝説上の仙人か、今では二度とお目にかかれなくなってしまった過去の人の話ばかりである。おかげで、仙道も仙人も神秘のベールの向こうにあいも変わらず置かれたまま、我々とあまり関係なく存在している。
欧米では「禅」、「ヨーガ」に次いで、「タオ」がブームになっている。日本でも「ヨーガ」にそろそろ食傷気味の人が、このブームに乗っかり始めている。しかし、もう一度よく自分の足元を見直した方が良いのではないか、欧米人の「タオ」に対する目はあくまでも”東洋の神秘”、つまりオリエンタル・エキゾチック・ムード指向の一環に過ぎないのである。ヨーガ、禅に次ぐ東洋の神秘として「タオ」を見ているだけだ。欧米の翻訳物で「タオ」とタイトルしたものを見るとよい。単に精神の問題としてしかタオを捉えていない。あるいは科学などで観念的にタオを捉えようとしている。
正直言って、こんなものはタオとは何の関係もない。禅が禅を行わなければ禅でないように、タオも実践しなければ何の意味もない。タオとは外から覗くものではなく、自分の内側に具現するものである。老荘の哲学はタオの深いところを突いたものではあってもタオそのものではなく、いわば絵に描いた餅のようなものだ。タオとは、ひとつの肉体的状態なのである。
無為自然をタオと考えるのは良い。しかしそれは、ある種の計り知れない知恵や力によって裏付けされた、窮極の状態を指しているのである。無能無芸な凡人が、自由気ままに生きることとは訳が違うのである。ヨーガも禅も本来は全てそうした類いのものなのだ。これらはブームになることにより、美味しいところだけ取り出されて、いとも気軽なものとして体系づけられてしまった。おかげで広まりやすくなったが、残念なことに本質は見失われてしまった。
「ヨーガ」はともかく、「タオ」は我々中国文化圏に住むものにとって、本来は遙かに身近な題材なのだ。欧米人のように東洋の神秘としてだけ捉えるような安っぽいアプローチをしないでもすむ代物なのである。もう一度老荘の原典から始めて、仙道・道教を捉え直せば良いのである。その上で現実に生きている仙人たちを眺め、その実践法を追求していくと良い。
この本は、そうした要求に答えるため、知られざる中国のタオイストたちの現状を、なるべく親しみやすいタッチで描いたのである。前著『仙人入門』の初めの章の続編であり、それをさらに敷衍したものと考えてもらってもよい。おそらく、この本を読んでタオが単なる意識や精神の問題でなく、人間の持つ信じられないような英知とパワーの可能性を追求していく道であることが分かるはずだ。
なお、なるべく「タオ」のありのままの姿を掴んでいただくため、これに関係ありそうなものは全て取り上げてみた。そのため、全体を通じてややまとまりに欠けてみえる点があると思う。しかし、その混沌としたところも「タオ」の「タオ」たるゆえんなので、それはそれとして読み通して戴きたい。とにかく、頭でなく感覚でこの本を味わってもらえば幸いである。
文献に関しては、日本語のものがほとんどないので、もっぱら中国語の原書に頼ることになった。まことに日本のタオ・ブームの浅さを知らされた思いである。そんな訳なので、わざわざ出典を表示しなかったのであしからず願いたい。はっきりいって、かなり中国語と仙道をやった読者以外は、出典に当たる原書に向かわれても歯が立たないのである。
文の進め方は実話を中心にし、関連した事柄を付加するような書き方にしている。そして出版元の依頼により、多少科学的な解釈も入れてみた。最後に、この本を作るに当たって資料の収集その他の多大な助力をいただいた大陸書房の今井博氏に感謝したい。
第一章 内丹の法から科学気功法へ
第二章 人間のパワーのあくなき追究
第三章 出神の術と肉体からの離脱体験
第四章 中国の黒魔術
第五章 中国の超常現象
第六章 大地のエネルギーを活用する風水の術
第七章 気象を制御する生命のパワー
タオを学びたい人のために
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中国の仙人について書かれた本は、日本では数えるくらいしか出ていない。実話を修めた本に至っては、まさに皆無に等しい。あっても伝説上の仙人か、今では二度とお目にかかれなくなってしまった過去の人の話ばかりである。おかげで、仙道も仙人も神秘のベールの向こうにあいも変わらず置かれたまま、我々とあまり関係なく存在している。
欧米では「禅」、「ヨーガ」に次いで、「タオ」がブームになっている。日本でも「ヨーガ」にそろそろ食傷気味の人が、このブームに乗っかり始めている。しかし、もう一度よく自分の足元を見直した方が良いのではないか、欧米人の「タオ」に対する目はあくまでも”東洋の神秘”、つまりオリエンタル・エキゾチック・ムード指向の一環に過ぎないのである。ヨーガ、禅に次ぐ東洋の神秘として「タオ」を見ているだけだ。欧米の翻訳物で「タオ」とタイトルしたものを見るとよい。単に精神の問題としてしかタオを捉えていない。あるいは科学などで観念的にタオを捉えようとしている。
正直言って、こんなものはタオとは何の関係もない。禅が禅を行わなければ禅でないように、タオも実践しなければ何の意味もない。タオとは外から覗くものではなく、自分の内側に具現するものである。老荘の哲学はタオの深いところを突いたものではあってもタオそのものではなく、いわば絵に描いた餅のようなものだ。タオとは、ひとつの肉体的状態なのである。
無為自然をタオと考えるのは良い。しかしそれは、ある種の計り知れない知恵や力によって裏付けされた、窮極の状態を指しているのである。無能無芸な凡人が、自由気ままに生きることとは訳が違うのである。ヨーガも禅も本来は全てそうした類いのものなのだ。これらはブームになることにより、美味しいところだけ取り出されて、いとも気軽なものとして体系づけられてしまった。おかげで広まりやすくなったが、残念なことに本質は見失われてしまった。
「ヨーガ」はともかく、「タオ」は我々中国文化圏に住むものにとって、本来は遙かに身近な題材なのだ。欧米人のように東洋の神秘としてだけ捉えるような安っぽいアプローチをしないでもすむ代物なのである。もう一度老荘の原典から始めて、仙道・道教を捉え直せば良いのである。その上で現実に生きている仙人たちを眺め、その実践法を追求していくと良い。
この本は、そうした要求に答えるため、知られざる中国のタオイストたちの現状を、なるべく親しみやすいタッチで描いたのである。前著『仙人入門』の初めの章の続編であり、それをさらに敷衍したものと考えてもらってもよい。おそらく、この本を読んでタオが単なる意識や精神の問題でなく、人間の持つ信じられないような英知とパワーの可能性を追求していく道であることが分かるはずだ。
なお、なるべく「タオ」のありのままの姿を掴んでいただくため、これに関係ありそうなものは全て取り上げてみた。そのため、全体を通じてややまとまりに欠けてみえる点があると思う。しかし、その混沌としたところも「タオ」の「タオ」たるゆえんなので、それはそれとして読み通して戴きたい。とにかく、頭でなく感覚でこの本を味わってもらえば幸いである。
文献に関しては、日本語のものがほとんどないので、もっぱら中国語の原書に頼ることになった。まことに日本のタオ・ブームの浅さを知らされた思いである。そんな訳なので、わざわざ出典を表示しなかったのであしからず願いたい。はっきりいって、かなり中国語と仙道をやった読者以外は、出典に当たる原書に向かわれても歯が立たないのである。
文の進め方は実話を中心にし、関連した事柄を付加するような書き方にしている。そして出版元の依頼により、多少科学的な解釈も入れてみた。最後に、この本を作るに当たって資料の収集その他の多大な助力をいただいた大陸書房の今井博氏に感謝したい。
第一章 内丹の法から科学気功法へ
- 新中国の超能力少年少女と気功家
- 進む中国の超能力研究/中国大陸の超能力仙人
- 人民中国に貢献した仙人たち
- 始まった気功研究/劉貴珍の貢献/仙道を普及させた人々/最近の気功法研究
- 気功法の先駆者因是子とチベット密教
- 仙道の近代化/親しめる内容/具体的指標に富んだ書
- 科学気功家――胡耀貞
- 気功法の普及に貢献/站樁功から簡易動功へ/有意動功の手順/役に立つ具体的アドバイス
- 郭林女史の防治癌症気功法
- 重症患者を治す新気功療法/新気功療法入門/初級功/癌を治すための防治癌症功
- 古き伝統を残す台湾の仙道
- 今なお盛んな伝統的仙道の実践活動/仙学中心の活動/その他の団体/伝統的仙道の研究
- シンガポールの気功治療院
- 国際的仙道のメッカ/病気治療も活発
第二章 人間のパワーのあくなき追究
- 岩を砕き、鉄を曲げる硬気功のパワー
- 硬気功の実演/トリックではない技/内側から起こるパワー/漢方も使う硬気功
- 中国の神降ろし――童乩の術
- 自分の体を痛めつける/神がかりか自己催眠か
- パワーの仙道――韓国・国仙道
- すさまじい気功法借力/韓国・国仙道の実際/元気丹田行功/各丹田行功の呼吸/国仙道の極致・造理
- 気のパワーの秘密を追う
- 科学的探求に乗り出す/はかどらない気功科学
- 中国拳法のパワー・発勁の恐ろしい威力
- 太極拳にみる力と勁の違い
- 中国の忍術――通臂拳と酔鬼・張三
- 発勁の原理と鍛錬法
第三章 出神の術と肉体からの離脱体験
- 中国仙道の謎・出神の術
- 遠出をする陽神/陽神の成長/未研究の分野
- 幽体離脱の体験と幽体の重さ
- コードで繋がる幽体と肉体/幽体離脱体験にも色々ある/幽体離脱体験記/アメリカでの幽体離脱の例/幽体に科学のメスを入れる/霊媒によって物質化するエクトプラズム
- 出神と幽体離脱の差
- 著者による実験/出神の術には外からのエネルギーが必要/気は宇宙を司るエネルギーの総体
- 霊能者が見た出神のありさま
- 出神体験例/オカルトと仙道の相違(霊界に繋がるようなものは仙道とはいえない)
- インディアンの咒術師と仙道
- 仙道に通じる世界/力と知恵を使う/根源的世界に入る法
第四章 中国の黒魔術
- 符咒師になる条件
- 偉大なるオカルティスト・盧勝彦の誕生
- 無色界から来た老師
- 夢で見た老師との出会い
- 符咒師の戦い
- 死んだ子供の霊を使う占い師
- 数十名の美女を惑わせ、貢がせる邪術
- 撒いた米粒をもとの竹筒に戻す秘術
- 老婆に地獄めぐりをさせる符咒の秘法
第五章 中国の超常現象
- 空を飛んだ彫刻の竜
- 子供を咬んだ獅子の像
- 白衣神咒の威力
- 供物を運ぶ老婆の霊
- 一字違いの密咒が川底の石を振るわす怪
- 夜な夜な現れる陶器の弥勒仏
- 少女の前世の夢
第六章 大地のエネルギーを活用する風水の術
- 大地にひそむ竜のエネルギー
- 風水のしくみ
- 移り変わる竜穴の作用
- 竹南山上の風水仙人
- 蘇公の墓に食い込む木と老人の胃痛
- 竜穴の上にある大都会
- イギリスにもあった竜の道
- 日本の超古代文明と竜穴
- 生きている竜穴探しの技術
- 自然の電磁場と竜穴の関係
第七章 気象を制御する生命のパワー
- 雲をコントロールする建築家
- ライヒの気象制御装置
タオを学びたい人のために
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