様々な仙人たちの不思議な術と、それをトレーニングするために私が考え出した仙道魔術のテクニックを書いてきた。
思えば、いにしえの仙人たちの術も奇怪だが、私たちが体験した出来事も、それに輪をかけて奇怪だった。おそらく普通の人が普通に生きていては、絶対に出会わないことばかりだろう。
さて、こういう分野に対する、体系的テクニックの紹介はあまりないようだ。バラバラなものとしてはまま見受けられるが、体系として持っているのは、西洋魔術や密教を除けば、数えるほどである。
それらも、正直いって煩雑で難しい。もちろん、私の体系とてゴタゴタ書き出すと、大して変わりなくなる。実際、中国の魔術・符咒では、うんざりするほどの符の書き方、呪文の唱え方、さらには、儀式の作法などがあって、覚えるだけでも四苦八苦する。
でも私が仙道をやった経験からいうと、こんなにゴタゴタしたものは不要なのである。気のパワーと意識の集中法さえあれば、どんな術もそれほど苦労せずに出来てしまうようなのだ。
いずれにしろ、パワーの利用法については、すでに本文で様々な角度から説明している。しかし、紹介の仕方がバラバラだったため、読者の多くは、まだ完全に理解できていないかもしれない。そこで、最後にパワーのまとめをしておこうと思う。
まず、第1章で出てきた「剣仙の術」、つまり「護身・結界法」と「召神将の術」は、非常に単純にできている。あなた自身が持っている、気のパワーを利用すればいいからだ。むしろここでは、威力をつけるためのイメージ法のほうが重要なくらいである。
これに対し、第2章、第3章の様々な術、たとえば「隠形の術」「出神の術」「空中浮遊の術」は自分のパワーだけではまず成功しないだろう。方位が持っているパワーを利用するのである。
方位のパワーとは何かといわれると、答えるのが難しいのだが、8つの方位、つまり空間が作り出すパワーと理解したらよい。
第4章に出てきたもののうち、「気候制御」と「大地のパワーコントロール」は、大地のパワーを使ったものだ。中国の占術では「風水」という技法に、より詳細に述べられている。イメージ法のほか、大地から吹き出すこの強力なエネルギーを使うのである。
「風水」については、本書ではページの関係もあって、まったく取り上げなかった。いずれ機会をみて、そのテクニックを紹介したいと思う。
パワーの使い方は、自分でいろいろ研究して、よりよく使いこなせるようにしていってもらいたい。
見ていると、時代はどんどん混迷の度を深めているようだ。今までと違って、先はまったく見えない。人口爆発、環境破壊、世界的な政治と経済の混乱と、人類にとっては破滅的な問題ばかりが目の前にちらついている。主義主張も常識もみんなどこかにいってしまった。
こんな時代にこそ仙道魔術が必要なのではないか、と私には思えるのである。
実際、今の時代は、いにしえの仙人たちの生きていた時代に瓜二つのなのだ。彼らは戦乱と世の混迷の中から生まれ、その時代をおのが才覚と術で、渡っていったのである。
それゆえ、できれば、ひとりでも多くの皆さんが、仙道魔術のテクニックに興味を持ち、自分の行く末を自分自身で切り開いていってほしい。
たゆまない努力によって、術の奥義を究められんことを心から祈っている。