『教科書〜』第13話投下させてもらいます。
他のスレに移動しようかと思いましたが、ここを放っておくのもなんかもったいないな〜と、このスレで続けることにしました。よろしくお願いします。


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 抱きつく綾野。柔らかい胸。
 眠る綾野。健やかな寝顔。
 ねだる綾野。求める唇。
 甘い吐息。潤む瞳。赤く火照る頬。足が絡ませ、刺激してくる。
 一枚、また一枚と綾野の身を包むものが脱がされていき、あられも無い姿となる。
「綾野……」
 気付けば二人はベッドの上。相原も裸だ。
「相原先生……」
 綾野と相原の視線が重なる。二人の距離が自然と近付き、互いの息が口元をくすぐる。
「んっ……」
 二人の間を埋める距離がゼロになった時、唇は強く密着した。
 交わされる唾液、絡みつく舌、どれだけ嘗めあっても充足されない。もっと、もっとと貪欲に相手を求めあう。
「先生、『私』を見て下さい」
 一人称が『俺』のはずの綾野が、『私』と言った。何か妙な違和感を感じる。
 違和感を振り払うかのように、相原は綾野の胸に触れた。
 ペタン……。
 真っ平らな感触。本来触れる予定のふくよかな乳房はそこに無い。先の違和感が膨れ上がった相原は、体を起こし
綾野を見た。
 ベッドに横たわっていたのは、男の体の綾野。その綾野が不機嫌に言う。
「何見てるんですか。先生」
「うわぁ!」
 相原はベッドから跳ね起き、そのまま下に転げ落ちた。
「つぅ〜!……夢かぁ……」
 落ちた腰を押さえて、今しがた見た綾野の淫夢を思い出す。

「これで3日連続かよ」
 綾野の夢を見たのは今日が初めてではない。3日前に綾野の家に食事をしに行った日の夜、2日前の夜、そして今
日と実に3日連続で綾野の夢を見ていた。
「病気だな、俺」
 3日前、綾野の家に食事を招待されたのだが、その時相原は理性の枷が外れて、2回ほど綾野を襲いそうになって
しまった。自分の家に戻った後、相原は生徒に性欲を抱き理性を保てなかったことに、激しく反省し己を罵倒し続け
た。
 で、なんとか眠りについたと思えば、今度は綾野の淫夢。夢を見て起きてへこみ、翌日も夢を見て起きてへこみ、
そして今日も夢を見てしまった。
 まさか3日も続けて夢を見るとは思ってもいなかったので、相原は本気で自分が心配になってきた。
「今日、綾野にどんな顔して会えばいいんだよ」
 相原の気持ちとは裏腹に、股間の分身は一生懸命主人に対して自己アピールをしている。
「お前は無駄に元気だな……」
 相原は股間の分身に、ウンザリ気に呟いた。

「なんか今日の相原先生、様子がおかしかったよな」
 光太郎は香奈の机に乗って、綾野と香奈に言う。
「おかしいと言うより、上の空って感じが」
 香奈も続けて言う。
「授業にずっと身が入ってなかったし、何かあったのかな?さっちんは何か知ってるか?」
「えっ?いや、俺は窓の外見てたから気付かなかったよ」
 嘘である。確かに窓の外を見ていたが、それは相原の一挙一動に、敏感に反応してしまうのを必死に隠したかった
からで、相原が授業中様子が変だったのにはしっかり気付いていた。またその原因が自分ではないかとも綾野は思っ
ていた。
「そっか」
 綾野の返事を聞くと、香奈に話題をふって話を続ける光太郎。
 綾野は、しばらく考え事をしてから、
「ちょっとトイレ」
と二人に言い残して、相原の後を追うため教室から飛び出した。
 走る綾野。途中黒沢に注意されながらも急いだおかげか、綾野は職員室に入る寸前の相原を捕まえることが出来た。
「相原先生〜」
 呼び止められた相原は、まるで幽霊みたいに生気が無い。只漂うように歩いている。
「はい〜?」
「相原先生」
「………おわっ!綾野か。どうした?」
 ビックリして、背中を壁にぶつける。

「あの……先生、この前食事に誘った時、俺酔っ払って何か大変な事しちゃったんじゃないかって。記憶も無いし、
先生に色々と迷惑かけたっぽいし、それで謝りに来ました」
「へっ?……いやいや、気にするな。何も無かった。何も無かった。うん」
 相原の挙動不振な動きに、綾野は絶対何かしでかしたと確信した。
「先生、本当のこと言って下さい。お願いします」
「うっ………」
 真っ直ぐ見つめられ、相原は言葉が出なくなる。
「いや、本当に大したことは無かったって。その……酔っ払って抱きついてきたとか、足絡めてきたとか、それだけ
だよ、それだけ」
 言ってから相原は、しまった!と思った。だが時すでに遅し。
「だだだだだ、抱きついたぁ〜!?し、しかも足を絡めたって……」
 相原に言われて、消えていた記憶が徐々に甦ってきた。
 甘くねだるような声で相原を呼ぶ自分。体を擦りよせ足を絡ませ、女を主張する自分。トロンとした目で無意識に
キスを求める自分。
「うわぁ〜」
 綾野は熱で湯気が出そうな程赤くなり、その場で顔を手で隠ししゃがみ込む。
「俺、先生になんつーことを……」
 恥ずかしくてこの世からいなくなりたくなる。しかし綾野は、自分の恥ずかしい行為を思い出すと同時に、もう一
つの記憶も蘇ってきた。
 抱きついた自分を抱き締める相原。自分の腕を掴み、唇をなぞる相原。そして、

「俺だって、いつまでも『先生』でいられないんだぞ」

強い眼差しで綾野を見つめる相原。
 綾野はハッとして相原の顔を見る。
「先…生……?」
 相原は失言したことでビクついている。
「その…なんだ……状況が状況だったし、気にするな?なっ」
 自分の理性がはじけた行動を、綾野が覚えているとは夢にも思わない。
 綾野は黙って立ち上がり、相原に礼をすると、その場から走って立ち去った。
「あれ?綾野?おーい」
 相原が呼ぶが、綾野は振り返らず。途中またもや黒沢に注意されるが、それを無視。走り去った後ろから黒沢の怒
鳴り声が聞こえるも、気にせずそのまま綾野は走る。
 駆け込んだ先は男子トイレの個室。綾野は個室の鍵を掛け、壁にもたれかけた。
 記憶の中の自分。記憶の中の相原。思い出すだけで手足は震え、全身が加熱する。
「先生が……俺の……」
 相原がなぞった跡を、自分も同じようになぞる。




 「オンナ」へ体が変体したばかりの頃に立て続けに見たあの『淫夢』では、桂はいつも誰かに翻弄され
る側だった。キスされ、嘗められ、吸われ、揺らされて嬲られる。あらがうことも出来ず…いや、あらが
うこともせず、ただこの体に刻み込まれる快美感を甘受していた。
 あの時の感覚を、彼女は今、ハッキリと思い出している。
 けれど、声は出せない。
 夢の中のように、請い願い更なる快楽を求めるような、甘ったれた声を上げるわけにはいかなかった。
「声、出していいよ?」
 けれど、それを見透かしたように由香が“くすくす”と笑いながら言った。
「…なんで…オマエ…そんなに慣れて……くっうっーー……」
 首筋にキスされ、そのまま左の耳たぶを“はむっ”と唇で甘噛みされた。ちゅるちゅると啜られ、ちっ
ちゃい舌でぺろぺろと嘗められれば、熱い吐息に炙られて首筋を“ぽぽぽぽっ”と炎が走る。“ぞくぞく”
とした震えを生み出すその炎は、震える艶声と震える吐息となり、ちろちろとピンクの舌が覗く桂の唇を
割って流れた。
「ふぁっ……ふああぁあ〜〜……あっ…あっ…あっ…」
「慣れてなんか、ないよ?ただ一所懸命にしてるだけ」
「で…でも……でも…なんか、ボクの弱いとこばっかり……」
 抗議しようとしたその途端“するんっ”と、瑞々しい水密桃のような桂のお尻の狭間に、細くて小さい
由香の指が滑り込んできた。

「あっ!だめ……そこ…だめだって…」
 背中の筋肉が緊張し、桂の全身が硬直する。“きゅんっ”と可愛いお尻が引き締まり、指の動きが制限
された。
 それでも“ぶるるっ”と身震いする彼女を無視するように、由香は中指の腹で“ひくひく”と動く可愛
らしい蕾を“さわっ”と撫でてみせる。
「くうっんっ」
 くすぐったいような、気持ち悪いような不思議な感覚に、桂は“ぴくっ…ぴくっ…”と体を震わせた。
「それね、私も思った。不思議だよね」
 桂の『弱いとこばっかり』という言葉に、右手の指をくにくにと動かしながら由香は答える。
「けーちゃんがどんな風にされるとキモチイイか、どんなところがキモチイイか、自然に頭に浮かんでく
るの。
 まるで自分の体にしてるみたいに、指が勝手に動くの。
 …なんでかな?」
 そんな事があるのだろうか?
 そう思ったものの、確かめる術(すべ)は無い。それに、
『ボクに聞くな』
 桂はそう言いたかったけれど、おっぱいとお尻の蕾を触られながらでは、とても言葉に出来るような状
態では無かった。
「んっふっあ…」
 両手を握りしめて冷たいタイルについたまま、おでこも“こつん”と当てる。冷たい水に入った時のよ
うに首を竦め、全身を“ぶるぶる”と小刻みに震わせながら、それでも由香が左の乳房とお尻の狭間を同
時に嬲ることを止める事も出来ない。
 いや……止めたくなかったのだ。

「…ぁあ……」
 泣き出しそうな、苦しそうな、引き絞るように押し殺した悲鳴が、桂のぷっくりとした瑞々しい唇を割っ
て漏れる。
 時々、“もぞり”と腰が動くのは、もっと奥を触れて欲しいからだ…と、由香は感じていた。少し指を
動かせば、内腿まで垂れ落ちてきた粘性の高い『蜜』のぬめりを感じる事が出来るからだ。
「キモチイイ?」
 残酷な由香の甘い……けれど冷酷な確認の声が降る。
 答えられないのを知っていて、それでもわざわざ聞いてみせる…というのは、やっぱり“いぢわる”以
外の何ものでもない。
 “きゅむっきゅむっきゅむっ”とリズミカルに弾力に富む乳房を揉まれ、ソープの泡を絡めた指で後蕾
を撫で擦られると、熱い吐息が塊のようになって吐き出される。お尻の蕾を嬲られる事で気持ち良くなる
…というのは、何かとんでもない気がしないでもない。やはりそこは排泄器官であり、快楽を得るような
……いや、快楽を得てはいけないような気がしているのだ。
 それでも、
「ぅんはあぁああぁぁ〜〜〜…」
 …と、砂糖をまぶしたような甘い声が耳に響き、桂はそれが自分の発した声だ、にわかには信じられな
かった。
 それは、LL教室で行われる桑園京香の特別講義で見た、あのアダルトビデオの女優と同じ声だったか
らだ。快美に濡れて涙に震え、とろとろにあそこをとろかせながら淫らに白い体をくねらせていた、プロ
ジェクターが映し出す映像の中のAV女優と、全く同じ“色”をしていたからだ。

「んんっ…んっ…ふぅっ…」
 桂は震える膝を“がくり”と折ると、タイルに両手をついたままずるずると床に崩れ落ちた。左手を床
に落とし体を支え、それでも右手は壁に残されているが、タイルに左頬をつけたまま“ぶるっ”と震える
彼女は、すっかり四つん這いのような格好になっている。
 ただでさえ重たい乳房が重力に引かれて紡錘状に垂れ下がり、桂が身じろぎするたびにその白い柔肉が
ゆさゆさと揺れる。もちろん“垂れる”とは言っても、力を失ってだらしなく垂れるのではなく、肉の充
実を見せながらも自重でどうしようもなく下方に引かれてしまう…という感じだ。
 その、“うしちち”状になったおっぱいを、由香は右…左…と順番に揺らし、揉み、撫でる。もちろん、
すっかり勃起してぷっくりとふくれた乳首を摘んだり優しく捻ったりする事も忘れない。
「こうしてると、けーちゃん、牛みたい」
「…あっ…やっ……やらぁ……」
 桂はすっかり呂律が回らなくなり、“いやいや”と首を振る代わりに白くてつるりとしたお尻を“くね
くね”と振ってしまう。そんな彼女に、由香は“くすくす”と笑みをこぼしながら、爪がしっかりと短く
手入れされた左手の中指を口に含んだ。そうして、たっぷりと唾液をまぶすと、そのまま桂の尻肉の狭間
に在る造形から“どろとろ”と流れる粘液を絡める。
「あっ…い……いたっ……」
「けーちゃん…痛い?」
「いたっ…やっ…抜いて……ぬいてっ…」
 桂の狭くて“きゅんきゅん”と閉めつけるキツイ膣口へ、ぬぬぬ…と第一関節まで中へと指を押し進め
た由香は、泣き出しそうな桂の言葉にその動きを止める。

 抜いてくれるのだろうか?…と桂が思ったのも束の間、由香は右手で桂の背中を、脇を、そして乳房を
撫で、擦り、揺らしながら“ぬぬ…”とさらに押し進めてみせた。
「ひんっ…」
「…ん〜…指1本でもキツキツだね…。タンポンは入るのに…」
「やら……やらぁ…」
「ん……もう抜くからねぇ……痛くしてごめんねぇ……」
 予防接種で泣きじゃくる幼児をあやすように、由香は桂の頭をなでなでとなでる。そうして“ぬるっ…”
と指を抜くと、壁にほっぺたをつけたままぐすぐすと鼻を鳴らす桂に、由香は“ちゅっちゅっ”とキスを
した。
「由香は………由香は…いぢわるだっ…」
 涙目で睨み付けてくる桂が、たまらなく愛しい。
「そう?」
「らって……だ、だって…そうだろ?こんな…」
「こんな?」
 由香は“くすくす”笑いながら、包皮に隠された桂の陰核を“つんっ”と指の腹でつついてみせた。
「んひっ…」
 途端、“びくん”と桂の体が震え、もったりと豊かなおっぱいが“ぶるっ”と揺れる。
「だっ…あっ…も……らめぇ…」
 首筋にキスされ、すっかり充血して硬く勃起してしまった唇色の右乳首を“きゅきゅきゅ”とリズミカ
ルに中指と親指で摘まれながら、後から前へ股間を通って伸ばされた中指でクリトリスを包皮の上から
“くりくり”と嬲られる…。

「ふあぁっ……ふぅぁっ…っ…」
 目の前がチカチカする。
 全身の血が逆流してしまうみたいだ。
 血が、熱が、由香の触れたところに集中してしまう気がする。
 きゅううううぅぅ…とお腹の中の器官が切なそうに訴えかけてくる気がする。
 男だった頃にはこんな時「貪りたい」という感覚を抱いただろう桂は、今はかつて無いほどに受動的で
あり、むしろ「貪られたい」という気持ちを明確に自分の中に発見していた。男だった頃の記憶と女になっ
てからの記憶が、ぐずぐずに解(ほど)けて交じり合うのを感じてしまうのだ。

 かつて自分は男だった。

 陸上部でそこそこの記録を残し、男子制服を着てクラスメイトと馬鹿みたいな話でゲラゲラと笑い、中
学の運動会ではリレーのアンカーとして1年2年3年の混成B組を勝利に導いた事もある、背は小さいけ
れどちゃんと立派な男だった。

 でも、今は女だ。

 小用であっても便器の便座を下ろして用を足し、スポーティながらちょっと可愛いデザインの下着を胸
に着けて、化粧水で肌の手入れを欠かさず、10キロの米袋を持つ事さえも出来ず、真暗な夜道をビクビ
クしながら歩く、胸がものすごく重たい、ただの女だ。

 そして、今はそれを嫌悪もせずにすっかり受け止めてしまっている。

 「自分」は「自分」で、性別が変わっても“魂のありよう”は変わっていないはずなのに、そう思って
いたのに、そう信じていたのに、日々少しずつ全てが変化していく。

 『男だった頃の自分』と『女になった自分』が、ゆっくりと、でも確実にその比重を変えてゆく。
 交じりあい、溶けあい、後戻り出来ないほど結び付いてゆく。
 全身を駆け巡る、オンナとしての快美感。
 それは、男だった時には想像も出来ないほどの甘美な感覚だった。

 どんどん溺れてゆく。

 とろけてゆく。

 “女の悦び”に、ハッキリと目覚めてゆく。
 “肉の悦び”に、ハッキリと埋没してゆく。

 戻れない。

 もう、戻れない。
 “好きな人”に、『抱かれたい』と願う。
 『抱きたい』ではない。
 『包まれたい』と願うのだ。

 大きな背。
 広い肩。
 逞しい腕。
 厚い胸板。
 引き締まったお腹。
 全てを使って、自分を『包んで』欲しい。
 『護って』欲しい。
 力の無い自分を、泣き虫になってしまった自分を、そして、本当なら性的に好きになるはずのない人を
好きになってしまった自分を。

 桂の“好きな人”とは、それは……。

「ゆ…由香…ゆかぁ…」
 むずがり、名前を呼び、泣き出しながら、桂は体を捻って床にお尻を落とした。
 そうして幼馴染みの小柄な少女を“ぎゅっ”と引き寄せ、自分から切なげに抱き締めて、その可憐な唇
へと口付けた。
 “ちゅ…ちゅ…ちゅ…”と小鳥のキスは続き、やがてどちらからともなく“ぬるり”と舌が踊る。唇と
唇が合わさったその境目、互いの口内への境界線で、まるで『E.T.』の映画のワンシーンを再現したか
のように、ゆっくりとピンクの舌が接触を果たした。
 そしてから、その舌のやわらかさ、しなやかさに驚いたみたいに、不意に2人の唇が離れる。
「…どうしたの?けーちゃん」
「…ボ…ボクは…ボクは…………」

「たまらないの?どうしたいの?どうしようもないの?どうしてほしいの?」
 由香は、陶然としてうわ言のように呟く桂のおっぱいを、右手で“さわっ…”“たぷっ”“きゅっ”
“つんっ”…と散々弄びながら甘いキスを繰り返し、幼子に問い掛けるように何度も優しく囁いた。
「…んっ……んっ…んっ……」
 白くて大きくて重たくて“もったり”とした揺れ動くおっぱいを、由香は“もにゅ…もにゅ…”と優し
く優しく揉み立てる。マシュマロよりも“もっちり”としていて、お餅よりもしっかりとした張りがある。
同性の由香でさえ、ずっと触っていても飽きない心地だった。これが男ならば、きっと“狂う”かもしれ
ない。そう思わずにはいられない、桂のおっぱいだった。
“ちゅっ……ちゅっちゅっ…ちゅっ…”
 繰り返されるキスは、ずっと「小鳥のキス」だった。
 先ほどの接触がウソだったかのような、唾液の交換も舌の戯れさえもない、「子供のキス」だった。
「…ボクは、健司が好き…なのかなぁ…?……ずっと…ずっと友達だったのに…親友だと思ってたのに…
女の体になったら、どうして…女として好きになっちゃったのかなぁ…?」
 口付けを終えて桂がふと顔を伏せると、透明な涙がぽろぽろときらめきながらその目からこぼれる。
「…嫌なの?」
 おでことおでこをくっつけて、由香が幼子に問い掛けるようにして聞いた。
 桂は、ふるふると首を振る。水をたっぷりと吸ったセミロングの艶やかな黒髪から雫が散り、涙と共に
宙に舞った。
「…イヤじゃないから…だから…………だから……」

 だから、イヤなのだ。

「トモダチだから?親友だから?だから好きになっちゃいけないの?」
 由香は、さっきと一言一句まったく同じ言葉を囁いた。
「男だったのに、男の健司を好きになるなんて、そんなの…」
「ヘン?
 気持ち悪い?
 そんなの、誰が決めたの?
 言いたい人には言わせておけばいい。けーちゃんは間違ってない。
 誰にも恥じる事なんか、ない。
 けーちゃんはどうしたいの?
 ホントはどうしたいの?
 健司くんに『ぎゅっ』て欲しくないの?
 好きなのに押さえ込んで好きじゃないなんて思おうとしてる方が、どうかしてるよ。
 ヘンだよ」
 声を潜めながらも驚くほど強い調子で、由香はそう囁いた。そして、言い終わるかどうかというタイミ
ングで、由香の左手が“するっ”と桂の肉唇へと伸びる。
「あっ…!…」


「健二くんのこと考えるとこんなにとろとろに濡らしちゃうくせに、それでもまだそんなこと言うの?
 胸がドキドキするでしょ?“きゅうん”ってするでしょ?
 目がうるうるしちゃうでしょ?
 それはぜんぶ、けーちゃんの体が『素直になりたい』って言ってるんだよ?
 けーちゃんが素直じゃないから、体が一所懸命知らせようとしてるんだよ?」
「…あっ…はっ…やっ…んっんっんっんっ…んあっ…」
 ぬるぬるとした粘液を絡め、大陰唇を、小陰唇を、陰核を包んだ包皮を、そして“とろり”とした白濁
の『蜜』で潤う膣口を、由香のちっちゃ指が馴れた感じで、けれどこの上も無く繊細な指遣いで這い回る。
 桂は由香にすがりつき、その動きを止めたいのか、それともさらに促したいのか、自分でもわからない
ままに両手で由香の二の腕を掴んでいた。彼女の腕は細く、やわらかで、筋肉など無いのではないか?と
いうほど頼りない。けれど、桂を心細くさせ、ふるふると震えさせ、そしてぽろぽろと泣かせているのは、
他ならぬこの“ちっちゃな”少女なのだった。
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