目が醒めて早一時間、上で三木原 令(れい)はその事態を今だに把握できずにいた。
「どうなってるんだ一体……」
ベットの上で膝を抱えてうなだれる少女は、溜息をついた。
何か悩み事でもあるのか? 
彼女を知らぬ者が見たら、おそらくそんな想像を抱いただろう。
別段それは珍しくもなければ不思議でもない日常の風景。
だが、当の令にとっては生まれてこの方十数年、こんな朝を迎えた事はなかった。
そんな事が起こりうると考えた事すらなかった。
なにしろ令は、確かに昨日の夜ベットに入るまでは男だったはずなのだから。

令はクラスの男子の中では決して背が高い方ではなかった。
容姿は悪くなかったが、それは男らしいカッコ良さではなく
どちらかと言えば男子にはからかいのネタに、女子からは親近感を抱かれるタイプのものだ。
端的に言ってしまえば可愛いタイプの男という事になる。
令自身はそんな自分の容姿にある種のコンプレックスを持っていた。
だから必死に背を伸ばそうと様々な努力をしていた事もあるし、
せめて体格だけでもと運動に精を出していた時期もあった。
しかしそんな努力も空しく、令の評価はもうすぐ受験というこの時期にいたるまで
今だに「可愛い男の子」のままなのである。
とはいえ気の知れたクラスの友人と付き合っている上では、
それをそんなに意識する事はなかった。少なくとも令自身人はそう思っていた。
だが、それは令の心の深いところにずっと居続けたのも確かだ。
だからこそ、昨日の夜に令はあんな事を言ってしまったのだ。

「ふぅん……ようやく波長が合う子を見付けたと思ったら……。」
聞きなれない声に令の意識がゆっくりと覚醒する。
ベットに潜り込んでまだそんなに時間も立っていないころ、まどろみの中での奇妙な感覚だった。
ゆっくりと目を開けると、そこは延々と続く深闇の世界。
令はぼんやりと夢を見ているのだなと思った。
「でも300年ぶりの適合者……運が良いと言うべきかしら。」
またあの声が聞える。若い女性の声だ。
令は声のする方角に体を向けようとするが、思うように動かない。随分と緩慢な動作だ。
夢なのだから仕方がないと納得し、ゆっくりとそちらを向く。
そこには黒く長い髪を持つ、赤い瞳をした女性が一人。
歳のころは令より僅かに上ぐらいだろうか? 
黒い髪と対をなすような黒い服が、より彼女の美しさを際立たせているようにも思えた。
令と目が合うと、彼女はにっこりと笑う。
吸い込まれて目が離せなくなるような、そんな妖艶な笑みだった。
「……あなた、名前は?」
彼女が突然令に問いかけた。じっと見つめられ、令はしどろもどろになりながら口を動かす。
「れ……令、三木原・令……。」
「令ね。悪くないわね。」
うなずき、彼女はゆっくりと令の方に顔を近づける。
目の前までせまった顔に、令はどんどん鼓動が早くなるのを感じた。
「ねえ令、私と契約してくれないこと?」
「け……契約?」
「そう、契約。もちろん古(いにしえ)の慣し通り、一方通行という事は無いわ。」
突然の提案。令にはもちろん彼女が何を言っているのかは理解できなかった。
しかし所詮は夢だという緊張感の無さゆえか、深く考える気も起きない。
まさか夢の中で新聞の契約でもせまられてるのか? などと呑気な考えすらしながら、
令は気ままに状況を楽しむ事にした。


「べつに僕はかまわないけど、いったい何の契約? それに一方通行って?」
「貴方の願いを私が聞くという事。私が一方的に要求を押し付けるのではないという事よ。」
彼女の言う事は至極単純な事だ。つまり令の言う事を聞くから彼女の言う事を聞けと。
だがこれはよくファンタジーSFなんかで出てくるお決まりのパターンだ。
つまり物語の悪人なんかがよく”そういう存在”と契約して、最後は……という。
「それって、そっちの願いは死んでくれとか魂をよこせとか、そういう類?」
令は思わず意地悪くその辺をつっこんでみた……が、彼女はそんな令に苦笑するだけだった。
「よりにもよって300年振りの適合者に、そんなもったいないマネなんて。
少なくともその種の提示はしないわ。」
「300年振りっていうのは?」
「それはこちらの都合よ。さあどうするの? 契約する? しない?」
いつのまにか彼女は令の目と鼻の先にまで来ていた。その瞳が令を鋭く居抜く。
「け、契約したら、こっちの願い事も聞いてくれるの?」
「不可能な範囲じゃなかったらよ。最も世界征服でも人類滅亡でもOKだけど。」
その二つ以上という願い事なんて何なんだという疑問が浮かぶが、
そんな事よりも令は目の前に迫って見つめるその目が落ち付かなかった。
思わず目を逸らしそうになって、ふと思う。
― これは夢なんだよな ―
となると楽しい展開にもっていった方が面白いのではないか、そう考えると答えは一つだ。
「いいよ。契約してあげる。」
軽い口調で返答する。令の言葉に彼女は満足げに頷いた。そして半歩ほど後ろに下がってくれたので、
令はようやく動悸がおさまりそうだと安堵する。
「じゃあ……令、あなたの願いは?」
あらためて問われ令は思わず考え込む。面白さならば先ほど彼女が言った事だろう。
だが先に言われてしまった上に月並みなお願いゆえ、令はそれが気に食わなかった。
となるともっと自分の得に……と考え、令は一つの事を思い出した。


「僕さ、普段からあんまり男らしくないって言われてるんだ。」
「私から見ても、正直そう思うわ。」
初対面の相手に令はずけずけと痛い事を言われたと思ったが、所詮夢だと気にせず続ける。
「で、ものは相談。これを何とかしてくれないかな?」
例え夢の中一晩限りとわかっていても、令にとってはとりあえずやってみたいIFだった。
世界征服や人類滅亡なんて結果がわかっているから夢でも面白く無い。
だったら……というわけである。
「……その程度、御安いご用ね。」
「出来るの!?」
思わず令は声を張り上げてしまったが、彼女は簡単だと笑って流した。
そしてまた令の目の前に歩いてくる。
「じゃぁ……契約成立。」
突然彼女は令の顎を指で掴んで唇を重ねた。
思わぬ事態に令はあわてて……そして意識が少しずつ薄くなってゆく。

― そんな……こんな美味しいタイミングで夢から覚めるなんて…… ―

漠然とそんな事を考えながら、令の意識はゆっくりと現実に引き戻されていった。



それがいったい何だったのか? 結局今の令には皆目見当もつかない。
だが、どうやらあれがただの夢などではなかった事は確かだ。
そうでなければ、今現在自分の身に起きている事の説明がつかないからである。
あるいは今だに夢の続きを見ているのか? 自分はただ寝ぼけているだけなのか?
そんな自問も、今の令には何の慰めにもならなかった。
妙にパジャマに圧迫されて絞めつけられるような感覚のある胸、
そして何より毎朝いつも若さゆえの怒張を示す部位の奇妙な沈黙。
起きてすぐ、その奇妙な感覚に思わず触れた手の感覚が今だに手のひらに残っている。
目が冴えてきてからパニックになり、落ち付くまで随分と時間がかかった。
その後何度となく事態を確認しようと手を動かしかけ、そして止めた。
理由は簡単、それを行うとほぼ間違いなく令の希望を裏切るからだ。
だけどずっとそんな事ばかりを考えていては、さすがに令も疲れてきていた。
既に日は高く登校時間はとっくにまわっている。無論欠席連絡などしていないが、
早朝の令にはそんな事に気を回す余裕はなかった。
令の両親は父親の転勤の都合で1年も前から家を出ており、気ままな一人暮しの彼に
学校をさぼった事を咎める者はこの家にいない。
だが、このまま一生ベットの上でうずくまっているわけにもいかなかった。
結局朝食も取らずにいた令は、漠然と空腹感をともない始めた頃に覚悟を決めた。
「しっかり見て、確かめてみなくちゃ……。」
誰に言うでもなく呟き、令はベットから足を下ろして立ち上がった。
立ち上がった時に感じた胸の揺れを気のせいだと強引に否定し、
部屋の隅に置いてある古い立て鏡の前に立つ。元々母親が使用していたものなのだが、
使わなくなって場所取りだからと令の部屋に置いていったものだ。
全身を写せるほどの大きなものゆえ令も場所を取るだけの邪魔な置物としか認識して
いなかったが、よもや役に立つ日が来るなどと予想もしなかった。
一瞬の迷いの後、覚悟を決めて令は鏡の前に立ち全身を写す。


「ほら!普段……どお……り……」
あくまで自身にとって最良の結果を想像して強気に鏡の前に立ってみた令の声は、
みるみるうちにトーンダウンしていった。
160cm無いぐらいの身長は確かに変わったところはなかったし、
その顔立ちも対して何かが変わったわけではないと思えなくもない。
だが……首より下は、あきらかに数十年慣れ親しんできたものと、明らかに違っていた。
パジャマの上からとはいえ明らかに豊かな脹らみがある胸、
ラフな布地の上からでもわかるくびれた腰と張った尻。
だが令はそんな鏡に映った姿すら必死に否定しようとする。
「ち、違う! そう、そうだ! これは偶々そう見えてるだけで……」
自分自身の心に必死の言い訳をする。全ての可能性を消さないように必死に努力をした。
苦しい言い訳だと頭のどこかで理解していても、否定しないわけにはいかなかった。
―そんなバカな事はありえない! 服を脱げば……全部わかる―
そして最後の可能性に賭けて、令は上着のボタンを上から外しにかかる。
だがそれは3つめのボタンに差しかかった時に、得てはいけない解答を突き付けた。
見えたのは、あきらかに女性のものである胸の谷間。
令は慌てて手を離し、首を振ってそのイメージを目から振り放そうとする。
「む、胸じゃなくて……大切なのは…そう……そうだ……」
令はゆっくりとパジャマのズボンに手をかけた。
だがこれは最後の砦だ。令の手が自然と震える。どうしても躊躇してしまう。
結局令はまずゆっくりとズボンだけを下ろした。まだトランクスは履いたままだ。
だがその行動すら令にとっての希望の可能性をまた一つ奪った。
妙にほっそりとして、すらりと伸びた足。
元々毛深くはなかったとはいえ、肌はスネ毛すらなくつるりとしていた。
「こんな、こんな事は……」
それでも令はなんとか最後の望みにすがり付く。それはもちろん今彼が履いている
トランクスである。泣いても笑ってもこれが最後だ。
目をつぶって、令はその最後の望みを足から抜き取った。


そしてゆっくりと目を開け、正面の鏡を見る。
手に持っていたトランクスがパサリと床に落ちた。
鏡に映っていた人物に、令の望んだものは写っていなかったのだ。
始めから何か無駄な抵抗をしているとは思っていたが、それでも確認せずにはいられなかった。
そしてその結果が今目の前にある。もう全ての可能性は否定された。
そう、令の体は紛れもなく女性のものになっていた。
「そんな……僕は、僕は……」
”男なんだ” そう言おうとして、令は言葉に詰った。
誰がどう見ようと、鏡に写っているのは紛れも無く少女だ。
もはや否定は無意味だった。それを自分の言いかけた言葉で確信してしまった。
そしてそれを認めてしまった令にできる事は、呆然と立ち尽くす事だけだった……。

どれほどの時間が立ったか立たぬかのうち、ふと令は鏡の中の少女を意識する。
自分を見つめるこの少女は、紛れもなく今の令自身なのである。
儚げな瞳でこちらを見つめている。そしてその姿は……
「あ……!」
ここまで来て、令はようやく自分が随分と扇情的な格好で立ち尽くしている事に気が付いた。
胸元をはだけたパジャマを上だけ着ており、下半身は裸。
大きなパジャマなので、その秘部が微妙に隠れるか否かという絶妙な長さだ。
胸からくびれた腰のラインが美しく、綺麗な足は足首でキュっとしまっていた。
そんな美しい肢体を持ったショートカットの可愛らしい目をした少女、
その瞳が真っ直ぐに自分を見ているのだ。そしてそれは紛れもなく自分自身。
令はどんどん心臓が高まっていくのを感じた。



それに同期するように、鏡の中の少女の頬が赤く染まっていく。
令は無意識にその少女に触れようと手を伸ばすが、無論その手は鏡に遮られる。
越える事は決して適わぬ鏡の向こうの世界。だがそれは反転したこちらの世界だ。
−触れたい、今すぐ彼女を抱きしめてみたい。そのためには……−
令はゆっくりと鏡から手を戻し、そしておそるおそる自分に近づける。
鏡の中の少女が、期待と不安が入り混じった目で同じ動作をトレースしていた。
そしてそれは紛れもなく今の自分。
一瞬の迷いを置いて、思い切って手を胸に当てる。が……
触れた、ただそれだけの感覚だった。葛藤の割にはあっけない結果。
それじゃあと試しに指に力を入れてみる。
弾力のある、明らかに男のものではない感覚。だけどそれだけだった。
色々と力の加減を変えて揉みしだいてみてもそれは変わらない。
何か期待が外れた感覚で、あっさりと興が冷めてしまった。
「はぁ……ま、そりゃそうか。普通に考えたらなぁ。」
落胆の溜息をつき、鏡を見たままベットに腰をかける。
なんとなく悔しかったので、そのまま胸片手で胸を揉み続けた。
結果的にとはいえ取りあえず冷静になった令は、現状を整理してみる事にした。
はっきりしているのは”自分は女になってしまった”という事。
考えられる原因は一つ、昨晩の夢だ。最も令が現実にこうなってしまった以上、
夢の一言では片付けられない。何が目的だったのか、どういう意味があったのかは
今の令に確認する術はない。あの女性の正体だってわからない。
だがそれが何であったのかは今現在は優先度の低い問題だ。
それよりももっと重大な問題がある。
自分は男に戻れるのか? 仮にそうだったとしても、それまでいったいどう過ごすべきか?
なにしろ昨日まで十数年ずっと男として生活してきたのだ。
いきなり女になりましたなんて、そんな事は自分が死ぬことよりも想像しなかった。
家族にはどう説明するのか? 学校だってどうするのか? 友人関係だってある。


それにもしも……
一番考えたくない可能性が頭をよぎった時、令はその思考を無理矢理中断した。
だがそれは無駄な抵抗だ。なにしろそれは令自身が一番最初に思った事だから。
−もしも元に戻る事ができなかったら?−
今一番恐れている事は正にそれだった。しかも可能性は決して低くない。
漠然とした不安が令の頭をよぎる。その不安に心が押し潰されそうになった。
そのまま令がどうしようと頭で答えのない思案を繰り返していた時だった。
「はぁ……あ、あぁ……」
聞きなれない声に気が付く。甘い女の声、だがこれは誰かが発した声ではない。
そのまま頭に響く声……そう、これは令自身で発している声だった。
それに気がついて令は唐突に我に返る。いつのまにか呼吸が苦しくなっていたのだ。
「あ……な、なんで…」
自分の異変に視線を下げ、令はようやく自分自身の手が行っていた事に気が付いた。
令は今悩んでいた間中ずっと自分の胸を無意識に揉み続けていたのだ。
−ああそうか、これはマッサージを受けた時と同じ事で……−
理屈立って考えてはみたものの、令はあきらかにそれとは違う事を理解していた。
胸を揉んでいただけなのに、胸だけでなく全身が熱い。
いつのまにか全身の肌がねっとりと汗ばんでいる。呼吸もいつになく荒い。
ただのマッサージ効果とは明らかに違う何かが、体の芯から熱を発している感じだ。
目の前に視線を移すと、ベットに腰掛けた少女が鏡の向こうで
頬を赤く染め、潤んだ瞳で自分の胸を揉みしだいていた。
「う、うわぁ……」
思わず感嘆の声を漏らす。これがAVだったなら令は間違いなくこの場で自慰を開始していただろう。
だが悲しいかなその少女は紛れもなく令自身であり、慰めるべき男性自身が存在しなかった。
それでも無意識に手はそれを求め、令は自分の秘部に手を触れた。
ぴちゃりと、何か濡れたものに触れた音がする。


お漏らしをしたように令の秘部は濡れていた。もちろん令だって今時の(元)男だ。
性的知識は人並みにある。それが尿などではない事は容易に想像がついた。
「はあぁ…あ……こ、これって……」
指がその液体の僅かな粘りを感じ取る。間違いない。
それを意識した令は、体が急に熱くなるような感覚を覚えた。
いつのまにか胸を揉む手の動きも激しくなっている。荒々しく、そして力強く。
だけど体が何かを訴えていた。胸を揉むごとにそれは増幅する。
−これだけじゃ足りない−
頭の中にぼんやりとそんな言葉が浮かぶ。令自身の意識がそう言ったのか、
本能がそう命じたのかはわからない。令の理性はそれを判断できなかった。
その言葉に従うように、令は秘部に当てた手を少しずつ上になぞる。
そしてその指は秘部の頂点のわずか手前で動きを止めた。その先にあるものは……
僅かな迷いの後、本能に押されるように令はその頂、クリトリ○に触れた。
「はひゃうぅっ!!」
突然全身に電気が走ったかのような感覚。
令はびくん!と体を仰け反らせて背中からベットに倒れこんだ。
はあはあと荒い息を吐き、その豊かな胸が上下する。何が起こったのか令の意識は理解できなかった。
だが体は確かにそれを求めていた。また無意識に手がクリトリ○に向う。
「あ……あああぁあ! こん…な……のああぁ!」
指がクリトリ○の頭を擦るたびに令は卑猥な声を上げた。
いや、上げさせられていた。
−お、男なのに……こんな声を出しちゃ……いけない−
必死に声を止めようとする。だけど体は令の意に反してどんどん甘い声を上げ続けた。
胸を揉んでる手やクリトリ○を責めている手がさらに激しくなる。
手や腰の動きを止めようとするのだが、何故か体が言う事を聞かない。
いや、正確にはそれを止めようとする動きにだけ抑制がかかるのだ。


アクセルが戻らない自動車のように令の手は激しさだけを増してゆく。
「あ、あ、あああぁあ! あふっ……は、はああああぁぁ!」
ベットの上で腰が激しくバンプし、大声で甘い叫びを上げる。
令の理性がいくらそれを止めようとしても、本能がその命令を否定した。
快楽が頭の上から指の先まで令の体を支配する。そして理性すら薄らぐ。
だけど体はまだ満足していなかった。求めても求めても足りなかった。
−指を……あそこに……−
それは、一番神聖な場所。令にとっては禁忌に触れるにも等しい行為だった。
10分前の彼ならすぐさまそんな考えを否定しただろう。
だが今の令にはそれこそが唯一の救いのように思えた。それしか考えらなくなっていたと言っても良い。
クリトリ○を責めていた指が、愛液にまみれたその場所を探り当てる。
令はそのまま迷う事なく中指を第一関節ぐらいまで押しこんだ。
「は、はああああああぁぁぁーッ!!」
指が入る感覚と同時に新たな快楽が全身を流れ、令は大声で叫んだ。
それだけで男なら射精を免れない凄まじい快楽。だが令の本能はそこがまだ頂ではないと知っている。
「ああぁあ……は、はああぁ……ああああ!」
あえぎながら令はゆっくりと指を差しこんでいく。肉壁が指を絞め付けるように動くのがわかる。
そしてゆっくりと抜き、抜き切る直前でまた差しこむ。
最初は緩慢な動作だった抽挿も、時間が立つごとに少しずつ速度が上がってく。
いつのまにかその指の動きに合わせるように腰も上下していた。
「ふああッ!あ…はぁ、あ……あああああぁッ!」
令はいつのまにか羞恥心も理性もかなぐり捨てて大声で喘いでいた。
今令の頭の中にあるのは、ただひたすら快楽を追い求める事だけ。
そしてその頂が少しずつ近づいてきた。頭の中に白い光が生まれ、少しずつ脹らんでいる。


「やああぁ! 来る……きちゃううぅぅ!!」
無意識に出た言葉に、僅かに残った令の理性が奇妙な納得をする。
その圧倒的快楽の頂が迫ってくる時、恐怖にも似た感情が心にできるからだ。
自分自身の手で招いているにもかかわらず、それが来た時の事が想像もつかない。
だから女の体はその頂点が来る事に脅えるのだ。
だけどその一方で何よりもそれが来ることを望んでいる。
そんな複雑な感情が入り混じった時の嬌声が、この言葉なのだ。
そしてその事を思うか思わないかのタイミングで、その光が令の頭の中で爆発した。
「あああああああああぁぁぁぁぁ!!!!」
腰を浮かせ、体を大きく弓なりにして令は絶叫する。
足は引きつるように伸び、圧倒的快楽が令の全身を駆け巡った。
そしてどさり、と腰からベットく崩れる。
胸を大きく上下させて、令は荒い息を吐き続けた。
「こ……こんなに……すご…い…」
信じられない快楽だった。男の自慰では想像すらつかない凄まじい快楽だ。
股間だけ、しかもイク直前ぐらいしか気持ちいい部分のない男のそれとは違い、
男の絶頂レベルの快楽が増幅しながら全身を駆け巡るのだ。
まだ快楽の余韻さめやらぬ体をベットに預けながら、
令の心は奇妙な達成感と満足感に包まれていた。




その荒い呼吸が段々と落ち付いてくると、令の心も少しずつ冷静さを取り戻してくる。
すると浮かんでくるのは猛烈な自己嫌悪と羞恥だった。
−男なのに、あんなに大声をあげてよがり狂って……−
次々と先ほどまでの自身の痴態が脳裏を過る。あの瞬間、令は完全に色に狂っていた。
どんな言い訳を並べ立てようと、あれは令自身の意思で行った事なのだ。
男の体で自慰をした時には、こんな気持ちにはならない。
何故なら自分を納得させれるから。それはただの性欲処理なのだからと強がれる。
万が一知人に見られても、場合によっては男だからと開き直れるだろう。
”やりたいからやった”のだと。
だが先ほどまでの令はあきらかに違っていた。快楽に肉体も、そして精神も支配されて溺れた。
我を忘れて快楽の虜になったのだ。それが例え様もなく恥かしかった。
「だけど……」
そこまで考えて令は、先ほどの未知の快楽を思い出した。
こんな快楽があるとは予想もしなかった。終わった後ですら信じる事ができないほどの圧倒的快楽。
男の肉体ではおそらくどんな強力な麻薬を使おうと、ここに踏み込むことは適わないだろう。
だが女の体は、何かに頼る事もなくその快楽を享受する事が可能なのだ。
そして今の令には、その女の肉体がある……。
手が無意識に動く。そしてそれが再び胸と秘部に触れるかと言う時……
「あらあら、女になっていきなり連続でオナニーなんて、令って随分と淫乱だこと。」
突然の第三者の声。令は心臓が飛び上がるほと驚いてベットの上で跳ね上がった。
慌ててベットの上で体を起こし、部屋を見まわす。
するとそこには、令が今最も会いたかった人物が立っていた。
そう、夢に出てきたあの女だ。令を女の体にした張本人。
いつのまに部屋に入ってきたのかはわからないが、確かに夢や幻などではなくその女はそこに立っている。
見事な漆黒の長い髪と、それに合わせたような黒い服。そして赤い瞳。
間違いなく彼女だった。


「お…お前は!」
怒りと恐れが交差し、令は突然の来訪者を全力で睨みつけた。僅かに拳が震える。
だが彼女はそんな令を見て微笑するだけだった。
「可愛い女の子に、そんな恐い顔は似合わなくてよ。」
「な……だ、誰が可愛い女の子だよ!」
「あら? 私にはその刺激的な今の貴方の姿は、どう見ても女の子にしか見えないわよ?」
指摘され、令はようやく今の自分の状態を思い出す。
今、令が身につけているのは前のはだけたパジャマの上着のみ。
それすら先ほどの痴態で前が大きくはだけ、そのボリュームのある胸があらわになっている。
膝を合わせるようにベットに座っていたため大事な場所は隠れていたが、
場合によっては全裸よりも刺激的な格好をしていた。
「うわああぁ!」
令は慌ててかけ布団を引き寄せて体を隠し、思わずベットの端まで後退する。
彼女は何をするでもなく、そんな令を可笑しそうに見ていた。
僅かな沈黙。時間にして数秒だったのかもしれないが、令には随分と長い時間に感じられた。
だが彼女は令を見つめて微笑むだけ。令にとってはあまりにもどかしい時間が経過する。
結局先に口を開いたのは令だった。
「な、なぜ……何故僕を女にした! 何が目的だ!」
「何故、ですって? それは愚問じゃありませんの?」
彼女は心底怪訝であると言わんばかりの顔をする。見ようによっては人を馬鹿にしたとも思えるほどだ。
「何が愚問だ! 僕は自分を女にしろなんて頼んだ覚えはないぞ!」
「あら? 頼んだとか頼まないとか言う言葉が出る自体、自覚があるんじゃありませんの?」
確かに彼女の言葉は令の質問を否定しただけだ。だが令にも言い分はあるし、
そもそもここで言い負けるわけにはいかない。
「そ、そんな事はない! あれは夢だし、僕は男らしくない点をなんとかしてくれと言っただけじゃないか!」
「だから、なんとかしましたわ。」
まくし立てる令の言葉を、彼女は確信の言葉と冷たい笑みで返す。


「そう、なんとかしろと言われたのだから、一番良いと思われる方法を取りましたわ。」
「一番って……違う! 僕は自分をもっと男らしくしてくれと言ったんだ! 女にしろなんて……」
「ならばそう言えば宜しかったのではなくて? 貴方の言葉の契約は、少なくともそうではなかったわ。」
「そ……そうかもしれないけど……でも夢の中での約束なんて……!」
「場所や時間なんて、関係ないわ。この世の果てであろうと、まどろみの中だろうと。」
彼女はゆっくり令の座るベットに向って歩き出した。
「私の契約は同意があって初めて成立するもの。貴方が拒否すれば執行する事はかなわなかったし、
強制執行も出来ない。けど貴方は間違いなく応じたわ……自身の望みと共に、自身の言葉で。」
彼女はベット脇に立ち、令を見下ろすように言葉を口にする。
いつのまにか彼女と令の間に主従関係が生じてしまったかのごとく、
令の心を圧迫する。いつのまにか彼女の顔から笑みが消えていた。
本能的に令は、もはや彼女には逆らえない事を理解する。
多分一度応じてしまった”契約”を取り消す事は不可能だ。ならば……
「じゃあ、僕を男に戻す事はできるの?」
「私がそれをできる力があるのかという問いならば、答えはYES。ただそれを無償で行う事は出来ないし、
契約を多重に結ぶ事も出来ないわ。」
つまり、一度契約内容を成立させなくてはならないという事だ。
そうすれば次の契約の望みを”男にする”事でそれが適う。
だが……そこまで考えて令はようやくその夢で行われた契約の続きを思い出した。
双方の望みを適える事がこの契約。それならば……
「そういえばまだ聞いてなかったけど、その……え〜っと……」
「何?」
「その……名前。」
「ああ…セネア。 セネア・ベイオーグ・クトゥーリア・ハロウェイよ。」
早口で言われては覚える事はできない長いフルネーム。令は一瞬聞き返そうとして止めた。
それよりも早く確認したい事があったからだ。


「えっと、契約はつまり相互の望む事だったよね? じゃあセネア……さんが望む事は?」
「まだ時が来てないわ。そんなに時間はかからないと思うけど、その時までは語らない。」
「………。」
つまり、今はまだ内緒だと言う事。しかしそう言われては話が止まってしまう。
令はしばし考え、代わりにまだ解決していない疑問をぶつける事にした。
「質問……していい? 答えるのに契約しなきゃならないなんて事はないよね?」
「それも面白いわね。しかし残念ながらさっき言ったように多重契約は不可。そして今契約は執行中。」
やりたくとも彼女のルールで不可という事だ。それならば遠慮はいらない。
令はまず本来なら名前や目的以前に聞くべきだった質問を問う事にした。
「そもそも、セネアさんって何者?」
「ヾヤグ〆〜ェ§∴…ア。」
「はぃ?」
理解不能な解答に令は思わず間抜けな反応をしてしまった。そんな令をセネアは冷めた目で笑う。
「貴方達の言葉で言うならばDEVIL。令には”悪魔”とでも言った方がわかりやすいのかしら?」
「あ……悪…魔?」
令は一瞬からかわれているのかと思ったが……すぐにそんな考えは消えてしまう。
ジョークとしても何かの言い訳にしても、その解答は最悪の部類のものだろう。
もちろんそれが”嘘”であればなのだが。
だが今の令はそれが最も信憑性のある解答の一つだという確かな証拠を持っていた。
そう、それは自身の体。逆に今はありきたりの常識的解答こそが嘘になる価値の反転した状態。
それに問い返したところで同じ答えしか返ってこないと令は考えた。しかし令も一般的な悪魔という存在の
イメージを持っている。その所行を考えた時に生まれるのは、やはりある種の不安と恐怖だ。
「じゃあ契約ってやっぱり……その……魂とか、命……とか?」
「それは言ったはずではなくて? 確かにそういう契約をする同族もいるけど、私のは違うわ。」
その言葉に令はわずかながら安堵する。少なくとも命を取られる事はなさそうであった。
「じゃあ……今ここに来たのは何故? 契約の施行はまだ時間がかかるんでしょ?」


何気ない疑問の問いだったが、それを問うた途端にセネアの顔に僅かな変化があった。
微笑んでいる事には変わりがないのだが、令にはなにかその笑みが妖艶な色を含んだように思えたのだ。
「そうね……本当はその時まで貴方の前に姿を現す気も、その必要もなかったわ。」
「じゃあ……どうして?」
「それは…ね。」
と、そこまで言うが早いかセネアは突然令の布団を剥ぎ取った。
驚く間もなく令はまた脱ぎかけのパジャマ一枚にさせられたかと思うと、そのままベットに組し掛けられた。
あっという間にベットに仰向けに寝かされ、上からセネアにのしかかられる。
「せ…セネアさん! な、何を!」
「それはね……令の悶えている顔があまりに可愛かったからよ。」
セネアはうっとりとした顔で令を見下ろす。しかしその目は獲物を狙う肉食獣のように爛々と光っていた。
「淫魔だもの……長い年月の中で色々な者の相手をしてきたわ。男も、そして女も。年齢だって…ね。
その中には貴方みたいに性を変えた者達だってもちろん居たわ。」
セネアの顔が目前までせまってくる。まさに”目と鼻の先”だ。
「けど貴方はその誰とも違うわ。餌としてではなく、人間相手に欲情したのはおそらく初めて。
貴方のよがり悶える顔、声、汗で光る体全てに欲情したわ。最初から最後まで……」
それは令の自慰を全て見ていたという宣言だった。羞恥で令の顔がみるみる赤く染まっていく。
「もう耐えられなかったわ。契約執行の時にと思っていたけど、もう我慢できない。
貴方の初めてを奪いたくて全身が興奮してるわ。貴方を陵辱したいという気持ちが押さえられないわ!」
「せ、セネアさ……むぐぅ!」
令は興奮するセネアに何かの言葉を発する前に、強引に唇を塞がれた。



抗う間もなく令の口内にセネアの舌が入り込んで来る。
令にとって人生初めてのキスだったのだが、それはあまりに暴力的な接吻だった。
セネアの舌は貪るような荒々しさで令の口内を蹂躙し、舌同士を絡み付かせる。
経験のない令には抵抗することが一切できなかった。されるがままにその行いを許した。
しばしの長い時間接吻に興じたセネアだったが、ようやく唇を離したかと思うと
令の顔を両手で押さえてじっと見入った。
「可愛いわ。令の顔……」
セネアはうっとりと呟き、そしてまた蹂躙を再開する。
しかしもう令には逆らおうという意思は僅かにも残っていなかった。
まるで魔法にでもかけられたかのように頭がぼんやりとし、なすがままにされる。
なにしろ令にはこれまで自慰以外の性的経験がなかったのだ。
今目の前で展開されている光景は、そんな令にとってはあまりに強い刺激だった。
そして随分と長く感じられた時間の後、セネアようやく満足げに顔を上げた。
「はぁ……はぁ……」
ようやくその接吻から解放され、令は荒い息で呼吸を整える。
そんな令の仕草を艶のある笑みで見下ろしながら、セネアは自分の服に手をかけた。
「あ……。」
令は自分の腰の上に座りこんだセネアが一枚、また一枚服を脱いでゆくのを
瞬きもせずに見つめていた。魅入られたかのように視線を外にずらす事ができない。
そしてその下から現れたのは、もう完璧とも言える肢体だった。
美しい顔から豊満な胸に、細くくびれた腰、流れるようなラインの手足。
肝心なところが嫌味にならない絶妙な大きさで脹らみ、それでいて要所はきちんと引き締まっている。
もし美の女神がこの世に存在するなら、それはこんな感じなんじゃないかと令は漠然と思う。
だが皮肉にも彼女は女神ではなく、それどころか相反する存在だった。
しかし彼女の正体が何であれ、この肢体を見て思わない者はいないのではなかろうか?
そう、”抱きたい、犯したい”と。


「あらあら、随分と物欲しそうな目で見るのね。」
突然セネアに言われ、令ははっと我に返る。
「私を……抱きたい?」
妖艶な笑みでセネアは令に問いかける。セネアの問いは明らかに令の考えていた事への指摘だった。
そう、令はセネアの体が少しずつ露わになるたびに自身の男としての感情が脹らむのを感じていた。
今すぐセネアに襲いかかりたい、自身の男根を彼女の秘部に入れたいと。
セネアはおそらく令がそんな思いでいる事を知っていながら、確信犯で質問したのだ。
何故なら今彼女は悪戯を考えている少女のような笑みでこちらを見ているから。
その意味する事は簡単だ。当然の事だが今の令には決してそれを行う事ができないのだ。
「そう……今の令は女の子ですもの。可愛い可愛い女の子。だから……」
「せ…セネアさん!?」
「だから私に抱かれるの……女としてね!」
セネアは令の胸に手を伸ばし、その豊かな双球の丘を揉み始める。
それに合わせるように舌で乳の乳首に愛撫を開始した。
「はひぃッ! セネアさん止め……っつああああぁ! ひぃああああぁ!」
初めての他人からの性的刺激を受け、令は激しく叫び悶える。
まだ自慰の余韻が残っている胸を撫でられ揉まれるだけでも耐えがたいのに、
舌による愛撫という未知の刺激が令の体に未体験の快楽を送りこんできた。
「令ったら胸だけでこんなに可愛い声出して……やっぱり淫乱なのね。」
「そ…そんな事……なぁ、ひゃうッ! や、やめ…ああああああぁ!」
自慰の時と同じように令は必死に声を押さえ快楽を否定しようとする。
しかしセネアの絶妙な愛撫の前にそれは自慰の時以上に無駄な抵抗だった。
−こ、これじゃ本当に女じゃないか! ぼ、僕は……僕は違う!−
「やあああぁ! あ、あああ――――ッ!」
令は必死に心で抵抗する。だが体はそんな令の心をあざ笑うかのように甘い声を出す。
体を動かして愛撫から逃れようとしても、どうしても力が入らない。
なんとかしないとと思えば思うほど、令の男としての心は追い詰められて行った。


しかもまだ攻められているのは胸だけだ。つまりこの先は……
びくんっ!
次の瞬間令の体に電気が走り腰が大きく跳ねた。
令の思った正に”その先”、セネアは令の秘部に手を伸ばしたのだ。
セネアは左手と舌で胸を愛撫しながら、右手で令の秘部をなぞるように刺激する。
秘部からはぴちゃぴちゃと令自身の愛液と手の触れる卑猥な音が聞えた。
「やっ……だ、駄目! そ、こ…はぁあああああッ!」
秘部への攻めが追加された途端、令の快楽のカーブが大きく跳ね上がった。
愛液がとめどなく出て尻の方まで流れているのがわかる。いくら心で否定しても止まらない。
しかもそれは白くて匂いも強い”本気の証”だった。
令は自身の体をもって、今自分が女としての喜びを受けている事を宣言したようなものだ。
−違う! 違ううぅぅ!! 僕はそんなんじゃない! これは違うんだ!−
もはや何の確証もないただの強がりが、令の唯一の心の拠り所になっていた。
だが肉体はどんどんその快楽に蝕ばまれてゆく。限界がいつかは訪れる。
が、突然それが中断された。令の意識はまた静かに引き戻される。
「……?」
いつのまにか涙の溜まった眼で令はセネアの方を見る。当のセネアは令の上から腰を上げ、
再びベットの上に腰を下ろしたところだった。そして……
「……!? せ、セネアさん!」
セネアは令の両足を手で押さえて開脚させると、顔を令の秘部に近づけた。
それは、先ほど令の胸を執拗に攻めていた刺激が令の1番敏感な場所に向けられるという事。
令はある種の恐怖で足を閉じようとしたものの、セネアの両腕でしっかりと止められてしまった。
そして抵抗できない令を尻目に、セネアの舌がぴちゃりと令のクリトリスに触れる。
「はふッ! ひゃあああああ―――ッ!」
舌の刺激は予想を遥かに上回る快楽を令の肉体に刻み込んだ。たまらず令は絶叫する。
指では決して再現する事ができない甘い甘い刺激だった。


ともかく受身の立場で一方的に攻められるというのが男の心を持つ令にはどうしようもなく恥かしかった。
しかも今も無理矢理恥かしい姿勢を強要され、秘部を見られ、攻められているのだ。
さらにそれに抗うこともできずに一方的によがり狂う自分。これ以上ないぐらいの羞恥だった。
だがその羞恥が快楽のカーブをさらに加速させる事を令は知らなかった。
ゆっくりと絶頂に向っていたはずのそれは、セネアの舌でのクリトリスへの攻めと令の羞恥で急速に加速する。
「ああああぁッ! イク! もう駄目…止め……て下さああぁぁ! あああーッ!」
「令ったらもうイクのね。いいわよ、遠慮せずにイってしまいなさい!」
「やあああぁあ! そんな、いきなり激しくしな……あッ! ひゃあああッ!」
それまでやんわりとした刺激を令に与えていたセネアの下が突然激しく令を攻めたてる。
唯ですら快楽に対する経験のない令には、それに抗う手段はもう何も残されていなかった。
「やあッ!イク! あ……あああああああぁぁぁ―――――ッ!!!」
自慰の時と同じように頭の中で光が爆発し、全身を駆け巡る快楽に令は絶叫する。
そして波が引くように静かにそれがおさまってくると、体がドサリとベットに沈み込んだ。
消え去りそうになる意識を必死に押さえながら、令は肩で呼吸をして息を整える。
「ずいぶんと良かったみたいね。やはり令には淫乱の気もあるのかしら?」
セネアの言葉に反論する気力もないほど、令は脱力していた。
自慰で経験済みだったとはいえやはり女の絶頂は令にとって予想を上回るものだったからだ。
信じられない快楽の余韻に浸りながら、令は漠然とこのまま寝られたら幸せだと思った。しかし……
「じゃあ、前座は終わり。当たり前だけどセックスはここからが本番……令だってわかっているでしょう?」
セネアの言葉を令はすぐに理解できなかった。ぼんやりとした頭をなんとか彼女の方に向ける。
−本番って……確かに男と女ならセックスは……でも今は…−
女同士であれば、それを繰り返す事は可能でもこの先は無いはずだ。そういう道具が無くもないが……。
疑問をうつろな頭で考える令を余所に、セネアが自らの秘部に手を当て何かを呟く。
そしてその手をゆっくりと上に上げると、そこには先ほどまで確かに存在しなかったものがあった。



「な……なに…それ…!」
「魔の秘術よ……クリトリスを肥大化し擬似的な男根を作り上げるもの。」
確かにそれは本来の男のものではなかったが、その形はあきらかに男根を模していた。
だがそれ以上に、令はそれの意味する所を予感し戦慄する。
「ま、まさか! それで僕を……!?」
愚問だった。この状況下でそれ以外の意味があろうはずがない。
咄嗟に見を引こうとしたもののイッたばかりの体では力が入らず、その上セネアにがっちりと腰を掴まれる。
足の間に体を割り込まれ、令は足を閉じて抵抗する事すらできなくなった。
「いやだ……いやだあぁぁぁ! お願い、それだけは! それだけは止めてえぇ!!」
「嫌よ。言ったでしょう? 貴方は私に抱かれるの。女としてね。」
セネアは叫び懇願する令の言葉を冷たく否定し、その肉棒を令の秘部の入り口にあてがう。
「大丈夫、痛いのは破瓜の時だけ。貴方には抱え切れないほどの女の喜びを上げるわ。」
「そ……そんなのいらない! やめ…止めて下さい!!」
「一度これを知ればもうそんな気は起きないわ。自慰の絶頂なんて子供騙しだという事を、
真の女の喜びというものを教えてあげる……!」



セネアのそれが令の秘部を押し広げるようにゆっくりと侵入してきた。
快楽に翻弄されていた令の体にじわりと未知の痛みが流れ込む。
「やめ…ああッ! そ、それ以上入れな……」
セネアの男根が進む度に、令はビクビクと体を震わせて痛みに耐えた。
が……何かに遮られるようにその歩が止まる。
「さあ令……これで貴方も生娘から本当の女になるのよ。貴方の初めて……私がいただくわ!」
その言葉に令はそれが何であったのかを理解したが……思うが早いか、
セネアはその腰を一気に突き入れた。
「うああああああああぁぁぁぁ―――――――ッ!」
ぶつりとなにかが切り裂かれたような感覚とともに、令は秘部からの痛みに絶叫する。
令の体に侵入しているのは15センチそこらの擬似男根のはずなのだが、
令自身にとっては、まるで巨大な杭で全身を貫かれたかのような衝撃があった。
そしてその亀頭が令の深奥にコツリとぶつかった時、令の脳にズンッ!と新たな衝撃が加わる。
それは令にとって未知の器官の衝撃だった。そして令は無意識にそれが何であるかを理解する。
−そんな…子宮が……−
それはもう令の体が見た目だけでなく機能まで完全に女のものである証明だった。
「はあぁッ…令の膣(なか)すごくキツいわ。しかもキュって絞めつけてくる……。」
セネアが感極まった声で令を見下ろす。彼女は痛みで顔を歪める令とは反対に、
令から与えられる快楽と令を支配した喜びで恍惚の笑みを浮かべていた。
「お、お願い……ぬい…」
「動くわよ、令。」
「ま、待っ……!! あ、うああああぁぁッ!」
令の懇願を無視してセネアは腰の律動を開始する。その途端に令の体を新たな痛みが貫いた。
ゆっくりとしていたのは最初の2,3回だけで、すぐにその腰は激しく令を攻め立てる。
無意識にシーツを掴んだ手に力が入り、痛みで目に涙を浮かべて叫ぶ。
それでもセネアの腰は止まることなく、むしろ少しずつ勢いが増していった。


だが、しばらくしてその光景に変化が訪れる。令の声に明らかに痛み以外のものが混じり始めたのだ。
これにはセネアも意外だった。なにしろ令はまごう事なき処女である。
さらに言えば普通の処女よりも遥かに純潔度が高いともいえる”生まれたて”の処女だ。
だが腰を突けば突くほど、令はあきらかに嬌声と取れる喘ぎを発し始めた。
「……ッ! はあぁ……あ、あああ……や、ああああぁッ!」
「すごい……令ったら初めてなのに感じてきたの? やっぱり令って常識知らずの淫乱なのかしら。」
「そ…そんなことな、あぁッ!ひゃふッ! お願い!そんなに激しくしな…ああああ!」
令の懇願を無視し、セネアの腰はますます激しくなる。
いや、無視せざるえなかったと言った方がよかったのかもしれない。
驚いた事にセネア自身が令を攻め立てる快楽に酔っていた。それを引き出したくてどんどん暴走する。
淫魔である自分が逆に快楽に飲まれるなど、信じられない事だった。
当の令はもう痛みなど微塵も見せずにセネアの責めに喘いでいる。
そのピンクに染まった肌に汗を滲ませ泣き叫ぶ令を見るとセネアの心はますます興奮した。
「可愛いわ令……もう完全に女の子、全身で女を感じているのね……」
「ひゃうう! そ、そんなのちが…やあっ!だめ!ひゃあああああッ!」
「令ったら、初めてなのにすごくイヤらしい顔してるわ。これなら……」
初めてで令をオーガズムまで導ける。そんな考えがセネアの脳裏に浮かんだ。
そうなると意地でも令をイかせてみたくて堪らなくなる。しかし処女の激しい絞めつけには
淫魔たるセネアだっていつかは達してしまう故、悠長にもできなかった。
とはいえ淫術で強引にイかせるなど風情もなにもない。やはり自分自身で令をイかせたいのだ。
だからセネアは突き上げるだけだった腰のリズムを止め、
令の秘部の中のあらゆる部分を責め上げるように複雑な動きに変えた。
「なっ…ひうッ! なにこれ……きゃううっ!ひゃううううッ!!」
逆に巧みな技巧の責めを加えられた令はひとたまりもなかった。
セネアの男根がまるで別の生き物のように令の中を跳ね回って責め始めたのだ。


秘部の入り口を責めていたかと思うと、突然深奥まで突き上げられる。
それがまた引いたかと思った瞬間にまた子宮口まで突かれ、その動きは予測をまったく許さない。
「あふっ……だめ! こんな…の……信じられなあああああぁぁ! ひゃあうっ!」
もう令の心は何かを思考することすら困難になっていた。
だが自慰の時にも最後の最後以外僅かに自分自身が存在していたように、令は必死に意識を保とうとする。
−こんなの……ダメだ! 僕は男なのに…!!−
「あら? 令ったらこの後に及んでまだ認めないの……?」
責め続けるセネアから、まるで令の心を見透かしたような問いが投げ掛けられる。
「そうね……本当に男の子なら女の絶頂なんて迎えるはずないわよね。そうでしょう?」
「と…ああっ…当然だろ! ああああうぅ! やああっ!」
令は僅かな意識で必死に強がる。だがこの瞬間にも令の口は途切れる事なく嬌声を発していた。
「不思議……令のそういう強情なところも何もかも愛しいわ。でも無駄よ……」
「そ、そんあああぁっ! そんな事な……ひゃう! ああああッ! ひうッ!」
「じゃあ、証明してみせなさい! こっちも本気でいくわね。」
そんな!それじゃあ今までのは……という令の思考は最後まで行われる事はなかった。
腰だけでなく両手を使ってセネアは更に激しく複雑に令の体を責めを始めたからだ。
その瞬間、令には上り詰める以外の選択肢は否定されてしまった。
「ひゃああああああッ! やぁだめえぇぇ! お願い!もう……そんああああッ!」
「くッ…私ももう限界だわ。さあ令、本当の女の喜びを……味わいなさい!!!」
さらに力強くセネアの腰が律動し、そしてとどめとばかりに大きく突き上げた。
「あっあああああああああああぁぁぁぁ―――――――ッ!!!!」
令の頭の中で白い光が爆発し、その意識が一気に霧散した。
全身が大きく仰け反り、足から腰までが彫像のように美しくカーブする。
その体の中で男には存在しない器官がセネアの男根をきゅうと締め上げ収縮するのを感じながら、
令の意識はゆっくりとフェードアウトしていった。


どれほどの時間が経過したのか、令はようやくまどろみの中から目を覚ました。
意識が少しずつはっきりとしてゆくにつれ、令は自分が寝る直前までの状況を思い出す。
そして事の重大さに気が付いた時、まるでバネ仕掛けの人形のように跳ね起きた。
「あ……あれは! ゆ、夢……?」
それは意識の混濁が言わしめた言葉なのか、令自身の希望だったのかはわからない。
だが、令はすぐにそれが夢ではなかった事を理解する。
前に起きた時に自分自身を確かめた鏡に写っているのは、まぎれもなく女のそれだったからだ。
それに、股間に痺れるような痛みがあった。これは朝立ちなどでは決してない。
−童貞を返上する前に、僕は処女を失ったのか……−
なにか複雑な喪失感が令の頭をかすめる。そこまで考え令はようやくその自身の純潔を奪った張本人
の事を思い出した。が、そのまま慌てて部屋を見渡すものの、セネアの姿はどこにもなかった。
「やるだけやって……か。」
結局今の令に残されたのは女としての体を持った自分の存在だけである。
セネアの話によれば元に戻る事も不可能ではなさそうだが、当のセネアを呼び出す事は適わないし、
そのためには今はまだ施行できないという契約を成立させる必要があった。しかもその内容すらわからない。
令は暗澹たる気持ちで時計を見た。時間は五時半で、空は朝日が眩しくなりつつある状況だ。
つまり女になって丸一日が経過した事になる。
「学校……行かなきゃなぁ……」
すでに一日無断欠席、さらにこんな体と問題は山済みだが、令は自身の日常を取り戻すため
ベットから静かに立ち上がった。



虚ろな瞳で部屋を出て階段を下りる。足を下の段に下ろす度に、令は股間からジワリとした痛みを感じた。
一日ぶりに訪れた居間は、当たり前だが何も変わるところはない。
だが令はこの光景を見るのが随分の久しぶりのような感覚に捕らわれた。
「そういえば、女になって初めて部屋を出たんだった……。」
奇妙な感慨は令の心ではなく、その肉体が感じているのだろうか?
漠然とそんな事を考えながら、令はいつもと変わらぬ食事の準備を始める。
とはいえ大抵自炊は面倒なので夜以外はあまりしない。普段はレトルトか買い置きで済ませる簡単な食事だ。
しかも精神的にも食欲が沸かない今の状況もあり、結局令はトースト2枚を準備するだけで事を済ませた。
テーブルにつき、手製のトーストをかじりながら令は今後の事を考える。
「やっぱり学校には行かないと……でもこの体はなぁ……。」
取りあえず考える事はやはり自分が女になった事に対する他人の影響である。
当たり前だが公然と女になったなどと言えるわけもないし、誰かに相談できる類のものでもない。
当面は誤魔化し通すしかないわけだが、はたしてそれがいつまで成功するのかわからない。
とりあえず両親が当分帰ってこない今の状況は幸いだったが、それだっていつかは終わる。
僅かな希望はセネアが男に戻してくれる可能性がなくもないという事だったが、
それもいつになるのか見当も付かない。それにセネアがそれを出来る力があるからといっても、
男に戻してくれるとは限らない。
取りあえず今の令にできる事は、契約の成立まで時を待つ事だけだ。
そしてそれまでは、とりあえず騙し騙し学校に行くしかないという事になる。
トーストの最後の一切れを飲み込むと、令は覚悟を決めて椅子から立ち上がった。

……が、いきなり大問題に令は突き当たった。当たり前だが男と女は体が違う。
「どうしようこの胸……」
とりあえず昨日の行為で汗ばんだ体を洗うためシャワーを浴びようと、脱衣所に入って鏡を見た時に令は
自身の双球が服を着たぐらいでは誤魔化しようもないぐらい大きく自己主張している事に気が付いた。
ましてやこのままだと、歩くだけでさらにその存在をアピールするのは必然だ。


「となるとやっぱりサラシ……なんて無いよな、普通の家には。」
まず思い付くのは女性が男装する時の定番だったが、生憎令の家にはそれに必要なものが無かった。
「でもとりあえず胸は押さえておかなきゃならないし、女の人って……」
当然だが女性は胸にも下着を着ける。もちろん令もそれを知らないはずはない。
無論それを着けて事が解決するはずもないのだが、この時令は何故かそれを試してみようという気になった。
脱衣所を出て階段を上り、自身の部屋の廊下を挟んで向かい側の扉を開ける。
そこは一年半前に隣りの県の医大に入学し、家を出ていった姉の部屋だった。
令の姉「三木原 静奈(しずな)」は弟の自分が言うのも恥かしいが、どこに出しても恥ずかしくないぐらいの美人だった。
少々キツイ性格だが顔もスタイルも良く、同じ学校にいた時には女だてらに生徒会長もやっていたほどだ。
当時を思い返せば、眼鏡をかけた知的な感じの風貌がえらくはまっていたという印象がある。
ところが面白かったのは、そんな姉には浮いた話がまったくと言って良いぐらい存在しなかった事だ。
当然ながら声を掛ける男も多かったのだが、基本的に姉はそういう話にまったく取り合わなかった。
今考えれば姉はある種、過度の潔癖症だったのではと令は思う。
現在はすでに一人で生活をしている姉だったが稀に帰宅する事もあり、そのため部屋は出た当時のままである。
昔は姉弟仲良くこの部屋で遊んだりもしたが、令が中学に入るころにはもうこの部屋に入る事はなかった。
そんな令が久しぶりの姉の部屋にノスタルジーを感じたのは、それだけでが原因ではないだろう。
あまりそういう事に拘りがないのか、姉の部屋はあの当時とまったく変わっていなかったのだ。
本棚の上のコンポやベットの布団ガラなど些細な部分で変わりはあれど、ものの配置はまったく同じだった。
そしてそれは令の記憶がそのまま引用できるという事を意味する。
令は迷う事なく机の横にあるタンスの前に立ち、その引出しを引き開けた。
「うわ……。」
想像していたとは言え、予想通りのものがズラリと並ぶ光景に令は思わず息を呑んだ。
几帳面な姉らしくきちんと整頓された下着、下着、下着……。
が、何故だろう?という疑問が令の脳裏を掠める。明らかにサイズの違うものが並んでいるからだ。


姉のサイズがどれかに合うとしても、明らかに同一人物のためのものではないサイズがある。
とはいえ今の令には皮肉な事にそれがかえって都合が良かった。自分に合うサイズを選べるからだ。
とりあえず目見当でサイズを計り、令は三番目ぐらいのブラを震える手でゆっくりと持ち上げる。
令は心臓がどくどくと高鳴るのを感じながら、それをそっと胸の前に重ねた。
−着けたら……どんな感じなんだろう?−
漠然とした心に期待と恐怖の相反する感情。その時令はふとタンスの上の鏡に映る自分に気がついた。
「あ……う、うわあああああぁぁ!!」
それを見た途端令はえもいわれぬ恐怖に駆られ、ブラを投げ捨て部屋から踊り出る。
それはまるで自分が心まで女になってしまうのではという恐れ。
自分の心が一つずつ女の心に染まり、侵食される恐怖だった。
”今の貴方の姿はどう見ても女の子にしか見えないわよ?”
無意識にセネアの言葉が頭に浮かぶ。令はそれを振り払うように首を振った。
−負けちゃ駄目だ……僕は、僕は男に戻るんだ!−
必死に自分自身を叱咤し、荒い息をゆっくりと収めようとする。
そのまま廊下で立ち尽くしていた令だったが、時間の経過とともにようやく気持ちも落ち着いてきた。
「と、とりあえずシャワーだけでも浴びないと……。」
まだ僅かに動悸が残る心臓を気にしながら、令は再び脱衣所に戻る。
先ほどの恐怖が抜け切らないせいか、令は鏡を一切見る事無く服を作業的に脱いだ。
とは言えあまり意味のない行為だった。その視界には当然ながら自分の肢体が入るからだ。
それを振り払うように洗濯物の籠に衣服を乱暴に投げ捨てるように放り込み、令は風呂場に入った。
無言で椅子に座って蛇口を捻る。シャワーからお湯が出始めると、
なるべく何も考えないようにして体にお湯を当てようとした。しかしそれは無理な事だ。
足に湯を当てようとすれば、やはり自然と視線を自分の足に走らせる。
そこにあるのは明らかに男のものではない足。毛一つない、すらりと伸びた綺麗な肌の足。
手に湯を移せば、やはりそこには指先まで細くなった綺麗な女の手がある。
そしてその先……いつまでも手足だけを洗うわけにはいかない。ゆっくりと湯を体に向ける。
「ふぁ……あ、あぁ……」


湯が胸に当たる感覚に思わず声が出る。男ではありえない、湯が胸を揺らす感覚……。
自然と手が胸に伸びた。湯に合わせるように胸の上を滑らす。
「ん……む、ふぅ……」
言い訳の出来ない女としての感覚。それを汗を流しているだけだと心に言い聞かせ、
男としての感情を強引に納得させる。そして湯をゆっくりと胸から腹、そしてその下に移してゆく。
僅かな躊躇のあと、令は思い切って秘部に湯を当てた。
「く……! はぁ……あ……」
男根や袋に湯を当てているのとはまるで違う感覚。なまじ女としての経験が無いがゆえに、
令の心はその感覚をただ湯が当たっているだけと片付ける事が出来ない。
−ちょ、ちょっと……汗を流しているだけなのに……−
じりじりと体を巡る痺れる感覚に、令はなんとか声を押さえていた。
そして手早く流してしまおうと手を秘部に当てようとして……偶然指がクリトリスの頭を擦った。
「はひゃううッ!!」
電気が走り、おもわず大声を上げシャワーを落す。
慌てて口を押さえるが、その自分の行動に令は思わず失笑した。
「……って、誰かに聞かれるわけじゃないしな。」
何か馬鹿らしくなった令は洗うのを再開しようとシャワーを拾おうとした……が、
脱衣所の外からの奇妙な物音に気が付いた。考える間もなく脱衣所に誰かが入ってくるドアの音がする。
「誰か……いるの?」
「……!!」
−姉さん!? なんで今日に限ってこんな朝から……−
聞き間違えるはずもない。脱衣所に入ってきたであろう人物の声は間違いなく姉のものだ。
めったに帰らないはずの姉がよりにもよって最悪のタイミングで帰ってきた。
慌てて何とかしようとするも、風呂場には体を隠すものも場所もあるはずがない。
そんなパニックになっている令を無視し、風呂の扉が容赦なく開かれた。
「「あ……」」
見事に二人の声がハモる。そして時が止まったように硬直した。


「……ね、姉さん!見ないで!!」
思わず見詰め合ったのもつかの間、令は姉にその体を見られた事に気が付き慌ててその場に膝を付き
手で大切な所を隠す。しかしそれで完全に隠し通せるほど今の令が持っているものは貧相ではないし、
すでに隠しても無駄な時間は経っていただろう。
「姉さんって……令? もしかしてあなた、令なの?」
「あ……そ、その……」
しどろもどろな口調で慌てる令をよそに静奈はしばしその目で令を観察した後、
いきなり浴場に入ってきた。肩を掴み令の顔を上に向かせる。
「この顔、やっぱり令なの?……じゃあ、これはどういう事?」
「ね、姉さん……その……あの……」
静奈は真っ直ぐに令を見据え、当然の疑問をストレートに聞いてくる。予想外の事態でも決して冷静さを
失わないのは静奈の昔からの美点だった。とはいえ令への質問は簡潔に答えられるような代物ではない。
言葉あぐねている令をしばし見ていた静奈だったが、しばらくして諦め肩から手を離した。
「わかったわ。待ってるから、とっとと済ませてしまいなさい。」
静奈は令にそう言い聞かせると普段通りの足取りで風呂場から出ていった。浴場には令が一人取り残される。
「バレ……ちゃった。あぁ……どうしよう……」
思わず令は頭を抱えるが、それでどうなるものでもない。しばし悩んだ後、とりあえず言われた通りに
シャワーを済ませてしまう事にした。蛇口をひねり、雑念を消して汗を流す事に集中する。
「令、着替えは置いておくから。」
「え!? あ……うん…。」
途中一度だけ姉から声がかかったが、曖昧な返事を返す事しかできなかった。
まるで死刑を待つ囚人の気持ちで令はシャワーの音を聞いていた。
−姉さん……なんか怒ってるような感じだけど……それとも内心では混乱してるのかな?−
漠然とした不安と混乱、しかしいつまでもそうしている訳にもいかず令は蛇口を捻ってお湯を止めた。
浴場を出て脱衣所で体を拭く。できるだけ女の感覚を引き出さないように静かに体を拭いた。
そして一通り拭き終わった後、籠に入れてある着替えを手に取り……令は絶句した。


「ね、姉さん!! ななな……なんだよコレは!」
静奈がわざわざ令の着替えを準備するなどという事事態に本来なら疑問を持つべきだったのだ。
一番上のシャツはともかく、その下には何故かスパッツ、そして明らかに女性用の下着……。
「それを着たら私の部屋に来なさい。わかったわね。」
「な……!」
令の叫びに静奈は冷徹に答える。その声にふざけやからかいの色は感じられない。
「言っておくけど、下着を着けないでなんて事は許さないわ。早くなさい。」
また明らかに命令するような声。そんな姉の態度に令は言葉を失う。
−怒ってる……風でもないけど、でもいったい……?−
静奈の態度は令にとっても不可解なものだった。過去にああいう姉を見た事がなかったからだ。
しかもそんな姉の”命令”とも取れる言葉は……令はもう一度籠の中を見る。
高そうな白いブラとショーツ、誰がどう見ようと女性の下着だ。
−姉さん、どうして……?−
それはともかく、令には姉の心意がどうしても理解できない。
令が女になったという非現実的事件はともかく、何故その令にそれを強要するのか?
考えても答えは出てこなかった。姉の言った通り下着を着けないという選択肢もあったが、
言われたばかりの事を無視できるほど令は静奈に強く出る事ができない性格だった。
令はとりあえずショーツを手に取る。そちらの方がまだパンツとして自分を納得させれると思ったからだ。
男の下着と違い明らかに手触りの違うそれに少々驚きながらも、ゆっくりと体を屈める。
「同じ下着だよ……同じ下着……」
自分に言い聞かせるように呟きながら、令はゆっくりと両足を通してショーツを引き上げる。
手が股を越え腰の横まで来た後、一息呼吸置いて令はゆっくりと手を離した。
「うわぁ……な、なんかこれ、すごくぴったり…着いてる……」
ブリーフのようなものを想像していた令は、そのあまりの感覚の差に驚く。
滑らかな絹の布地が体のラインに合わせてぴったりとフィットしたそれは、
曖昧な男性下着には決して存在しえない感覚だった。


「次は……やっぱりコレか……」
令はおそるおそる、その”次”を手に取った。それとはもちろんブラである。
令はシャワー前の事を思い出したが、すでにショーツを身に着けてしまったためか、
あの時のような恐怖心は感じなくなっていた。同じようにゆっくりと手を通し、胸に合わせる。
ショーツと同じように、胸に吸い付くような感覚があった。僅かに手が汗ばむ。
そしてゆっくりと背中に手を回して両側のホックを指で掴み、一瞬の躊躇の後はめ込む。
「あ……」
ぱちり、という音とともに胸に収まるブラ。だが令にはその音とブラの胸を絞める感覚が、
まるで女としての体にロックがかかってしまった合図のように感じられた。
そして漠然とした不安で鏡を見ると、そこには下着姿で不安げにこちらを見る少女……。
令はそれを振り切るように顔を振り、まるでその姿を隠さんとばかりに急いでシャツとスパッツを着る。
それが終わるとそのまま鏡を見る事なく脱衣所から飛び出した。
居間に出るとすでに姉の姿は見当たらない。令は無言で二階への階段を上った。
静奈の部屋の前に来て扉をノックする。入りなさいという言葉が中から聞え、令は扉を開いた。
「きちんと着てきた……みたいね。やっぱり良い子だわ、令。」
「あ、あの……姉さん……」
静奈は勉強机の椅子に座り、入ってきた令を満足げに見ていた。
先ほどのような刺のあるような口調はどこにも感じられないし、怒っているような節もない。
とはいえ令はそれがかえって不安だった。姉の思考がまるでわからないからだ。
「とりあえず令、何があったか話しなさい。嘘は駄目だからね。」
静奈の目が眼鏡越しに令を正面から見据える。拒否を許さない無言の圧迫感があった。
令は覚悟を決め、信じてもらえるかどうかわからない真実を話す事にした……。



「……で、朝起きたら女になっていた、という事?」
結局令は、夢であった事とその朝までの経緯を包み隠さず静奈に話した。
とはいえ当然ながらその後に行われたセネアとの情事については触れなかったが……。
「まぁ……そう言う事なんだけど……その……やっぱり信じられない?」
令は恐る恐る静奈の顔を見上げるように質問する。話をしている間、
静奈はずっと令を睨み続けていたので令は気が気でなかったのだ。
話が終わってもこんな調子なので、やはり真面目な姉には嘘しか聞えなかったのではと思う。
「当然ね。そんな三流映画の出来そこないのような話、まともな頭なら取り合わないわ。」
やはりかと令は落胆しかけたが……そこで静奈がさらに目を細めたのに気が付いた。
「ただし……その物証がある場合は別だわ。」
静奈は椅子から立ち上がり、ベットに座っていた令の肩に手をかけた。
「その話は本当か、確かめる必要があるわ。」
「……姉さん?」
物証というのは令の体の事だというのはわかるが、それなら静奈は風呂場で令の体を見たはずである。
これ以上何があるのかと考える令に、静奈は突然令の着ているシャツに下から手を入れ
ブラ越しに令の胸に触れた。
「うわぁあ! ちょ、ね、姉さん!!」
「動かないで。邪魔もしちゃ駄目よ。」
思わず手で払いのけようとした令に静奈がピシャリと言い放つ。
昔からこのようにすごまれると、令は静奈に対して逆らう事は出来なかった。
そういう不文律のようなものは幾つになっても変わらないのだろう。今回も例外ではなかった。
そして令が抵抗しないのを見て、静奈はそれを再開した。
「あふっ……ねぇさん…やめ、そ、そんな……」
「ふぅん…少なくとも作り物ではないか。それじゃあ……」
「ひゃうっ!や、あああっ!」
撫でるような動作だった手が突然揉む動作に変わった。思わず声を上げてから、令は強烈な羞恥に捕らわれる。


「シリコン入ってる手応えは無いわね。それどころか……抜群の弾力。」
まるで医者が触診をするように、静奈は令の胸をまさぐる。
確かに静奈は今医大生、医者のたまごなのでそういう感情で令を見ているとも取れる。
だが令には、それでも姉の行動が何か自分の知らないものであるように感じた。
そしてその手が今度は秘部に伸びた……が、令はその恐怖に耐えられなかった。
「う、うわああぁぁぁ!!」
思わず立ち上がって逃げ出そうとする……が、静奈に腕を掴まれたかと思うと、
無理矢理ベットに倒された。暴れる令に対し静奈はベット脇から何かを手際よく取り出すと、
がしゃり、という音とともに令の両手は手首のところでベットの端に固定されてしまった。
「な……手錠!? 姉さん、ちょっとこれは……」
「令、動いちゃ駄目だと言ったでしょう? 言う事を聞かない子には容赦はしないわ。」
静奈が威圧するように令を見下ろす。その迫力に令は結局萎縮して抵抗を止めてしまう。
だが令には妙な疑問も生まれた。静奈はこういう事態も予測して手錠なんてものまで用意していたのか?
さらに言えばやけに手際がよかった。慣れているとしか思えなかった。
令が身動きを取れなくなったのを確認すると、静奈はゆっくりと自分の服、そして下着を脱ぎ捨てた。
小学校以来に見る姉の裸……が、今の令にはそれを見続けるほどの余裕が無かった。
静奈の手がゆっくりとスパッツの中に侵入してきたからだ。
「あ、ああっ!姉さん、そこは……そこは止めてえぇ!!」
「何を言ってるの。胸以上にここが大事でしょう?とりあえずは……」
「ひうっ!!ひゃあっ!……や、やああああぁぁッ!」
ショーツの上から押したり撫でたり、静奈の指が縦横無尽に令の秘部を刺激する。
それは明らかに手馴れた動きだった。令は抵抗することすら適わず嬲られ続ける。
「こっちも……この感度は偽物じゃあ有り得ないか。後は……」
突然静奈の指がショーツの中に侵入してきた。あっと思う間もなく、刺激が秘部に直接加えられる。
「ひああああッ! そん……そんなの…あふっ!あ、ああああっー!」
「令ったらもうこんなに濡れてる……本当に、女の子……。」
喘ぎ悶える令を見ながら、静奈もさすがに事を納得せざる得なかった。


今目の前で喘いでいる者は、紛れもなく女だった。手術による性転換などでは説明出来ない、
純然たる少女。が、その真実は静奈にとってもう一つ別な意味を有していた。
静奈は令の着ているシャツをたくし上げ、嬲るようにゆっくりスパッツを下ろして脱がせる。
その顔は恍惚、そして歓喜に満ちていた。
「ここでこういうのは、久しぶりだわ。まして相手は……まさに夢ね。」
「ねえ……さん?」
荒れる息をなんとか押さえ令は静奈を見る。そしてその目を見て、令は全てを理解した。
令は半日前にそれと同じ目を見た……そう、それは令を見たセネアと同じ目。
かつて姉の部屋にはよく女の後輩が泊まりに来る事があった。
当時はそんな事をあまり気にもしなかったし、真面目な姉を怪訝に思うなどありえなかった。
だがそれは全て令の予想通りだとしたら? そしてそれはその目が真実を語っていた。
あまりに衝撃的な真実、真面目な事が取り柄だと思っていた姉の信じられない現実だ。
どうりで男の浮いた話が存在しないはずである。そう、静奈は……
「昔はね……ここで何人もの子と肌を重ねたわ。その手錠もそういう時の準備ね。
男なんて大嫌だったし、私になら例え女同士でも進んで体を預ける子も多かったわ。でも……」
ゆっくりと静奈は令の方に体を倒してくる。
「同じ男でも、令は可愛かったから嫌いじゃなかったわ。でも逆に、すごくもったいないって思ってた。
もしも令が……ってね。でも今朝、奇跡が起きたわ。」
ぷちっとブラのホックが外れる音がした。ゆっくりとその手が胸に添えられる。
そして静奈の目は……令は確信した。それはセネアと同じ狩猟者の目。
”相手を抱こうとする”意思を持つ者の目だ。
「令……可愛がって上げるわ!声を上げて鳴きなさい!!」
「ね、姉さ……やっ!ひゃあああああぁッ!」
宣言と同時に静奈は令の胸に激しい愛撫を加え始めた。
それは明らかに慣れた手つき……自慰などではなく女同士での情事を知っている動きだった。
令は堪らず体を起こして逃れようとするが、手錠で固定された体ではそれは適わない。


「こんなの……姉さんお願いやめ…ひううッ!やっ、あ、んんんんんッ!!」
静奈の巧みな責めに、令の体にまた電流のような快楽が流れ、蹂躙を始める。
それは体の奥底から自分の”女”を引き出される感覚、体を自分以外のものに支配される感覚だ。
令は心で自分の男としての部分が次々と塗り潰されるような、そんな恐怖を感じた。
しかし静奈から責め与えられる快楽は、それに抵抗しようとする心すら塗り潰さん勢いだ。
「令ったら……何を我慢してるの? 感じているんでしょう? 声を我慢しなくてもいいんだから。」
「そ、そんなの…できるわ……け、ないだろ……僕は……」
男だから。途切れた言葉がそう続くはずだった事は静奈にも理解できた。
が、そんな令の態度に静奈は責めるのを中断し、目を細めて令を見下ろす。
「ふぅん……じゃあ令、見なさい。」
静奈はそのまま令のショーツに手を掛ける。そして令をじらすようにゆっくりとそれを下げた。
「あ……そんな、そんなのって……」
ショーツが令の秘部から微かに離れると、べとりとした愛液がショーツと秘部の間に糸を引いているのが見えた。
静奈はそれを令の足から抜き取ると、裏側の愛液が作った染みを見せつけるようにひらひらと振る。
「こんなに濡らして、体は正直なのにね。」
それは令が女として感じていた証明だった。だが令はそれでもなお必死にそれを心で否定する。
そうしないと本当に全てが女になってしまいそうな恐怖があったからだ。認めるわけにはいかなかった。
「そ、そんなんじゃない!!僕は…そんな……そんな事は!!」
「そう……じゃあ、体で理解してもらうしかなさそうね。」
だが静奈は、まるで令がそう言う事を望んでいたかのように、うっすらと笑みを浮かべた。
そのままベット側面の令も存在を知らなかった引出しを開け、”それ”を取り出す。
「最後の診察よ。これで令の中を確かめてあげるわ。」
静奈が”それ”を頬に当てたあと、淫靡に舌を出して舐める。
しかし令はそれを見て絶句していた。姉の仕草にではない、その取り出したモノにだ。
それは黒い擬似男根、ベルト付きのペニスバンドだった。
女が男として女を責めるための道具。令はその存在を知ってはいたが、当然現物を見るのは初めてだ。


そして当たり前だが、そんなものは自分の性行為の中では一生縁の無いものだと思っていたが……
そんな思案をよそに静奈は、慣れた手つきでそれを自身の股に装着する。
尻を締め上げるように食いこむベルトが妙にいやらしく、眼鏡をかけた知的な風貌に対して
その股間の反り上がるグロテスクな存在のアンバランスさが淫靡なイメージをより増幅させていた。
想像だにしなかった姉の姿に令はしばらく言葉を失ってた……が、当然の事に気が付き戦慄する。
そして令の顔が青ざめるのを見て静奈は、自身の中に打ち震える加虐心が歓喜するのを感じた。
「ね、姉さん!ダメだ、僕たち姉弟なんだよ!! そんな……そんなこと止めてよ!!」
「何を言っているの令? 今は”姉妹”でしょう? 咎められる事なんか何も無いわ。
子を孕むわけでもないんだから、安心して体を委ねてかまわないの。」
「違う!それでも……ダメ!お願いだから止めてよ!こんなの絶対に変だ!!」
「問題ないわ。これは診察なんだから……令の体が中まで女の子なのかを確かめるの。
それなら世間の倫理でも大丈夫でしょう?」
聞く耳持たずという感じで静奈は強引に令の足の間に体を割り込ませ、擬似ペニスを令の秘部にあてがう。
「さあ令……いくわよ!!」
「姉さんまっ……ああああああああぁーッ!!」
静奈はいきなり令の深奥まで突き上げる。再び訪れた体を貫く感覚に令は声を押さえられなかった。
びくびくと体が震え、その感覚に心が焼き切れそうになる。
が、その先がなかなか訪れなかった。何故か静奈は令の深奥に侵入したまま動きを止めている。
微かな意識で令は姉を見上げると、静奈は怒りとも失望とも取れない奇妙な顔で令を見下ろしていた。
「令……あなた……!?」
「ね、姉さ…ん……?」
静奈は何故だと言わんばかりの顔で令を見下ろし続けた。だが令にはその意図が理解できない。
それに秘部からのじりじりとくる感覚に今にも意識が弾けそうだった。それを深く考える余裕もない。
そのまましばらく時間が流れたが、静奈は唐突に吹っ切れたように笑うといきなり抽挿を開始した。
「やあああああぁっ! ひゃううううぅ! そんな、激し……あううぅッ!!」
「いいわ、とりあえず女の子の令ですものね! 存分に味見させてもらうわ!!」


診察という建前はどこへやら、静奈は激しく腰を使って令を責め立てる。
しかも女でありながら明らかにそれは慣れた動き、セネアにも負けず劣らない技巧を有していた。
女を責める事に卓越した者と、女に生(な)りたての自分自身すら理解していない者。
その勝敗は火を見るより明らかだった。いや、始まる前に勝敗は決していたのだ。
ましてこれは男女の性交ではない。静奈は自身の快楽にはほとんど重きを置いていなかった。
とにかく令を責め、鳴かせ、感じさせる事に集中した。いや、それこそが静奈にとっての快楽だった。
「ひゃうん! はあああっ! 姉さんダメ……僕こんな…ひうっ!ひゃうッ!」
「ああ令ったら可愛い……こんな可愛い声で鳴かれるとゾクソクしちゃうわ。」
「やぁっ…そん、そんなこと……んんっ、ん……ひゃあ!ああああああぁぁーッ!」
「あら、声を押さえようなんて無駄よ。私の責めを甘く見ないで。」
静奈の言う通り、令の体は暴走を始めたように声が押さえられなくなっていた。
体が勝手に動いて、無意識に静奈の腰の動きに自身の腰が連動する。体が勝手に静奈を受け入れる。
そしてそのまま責めつづけられ、いよいよ令の頭の中にに白い光が射し始めた。
「だ、ダメえぇぇー!! 姉さん、それ以上は……それ以上はああッ! やあああッ!」
「イきそうなのね? いいわ、令のイく顔をしっかりと見せてもらうわ! 
絶頂の鳴き声をしっかりと聞かせなさい!! 女の喜びに打ち震えなさい!!!」
−ダメだ……それだけは、それだけは嫌だぁ!!−
令の最後の”男”が力をふりしぼってそれに抵抗する。だがそんなものは象に蚊が刺すようなものだ。
その感情も肉体からの感覚にあっさりと陥落する。光がまた、令の頭の中で爆発した。
「ふぁっ……ああああああああああああぁぁぁ―――――ッ!!!!」
全身を貫く快楽に令は絶叫する。それはその瞬間、肉体も精神も全てか快楽に支配された事を意味した。
きゅうと収縮する膣や子宮の感覚が、令にはまるで体が心に自身の”女”を訴えているように思えた。
口から一筋の涎を流し、ベットの上に脱力する令。もう三度目の女の絶頂だった。
このあまりに強烈な快楽には、多分一生慣れる事は無いのではないか?
令は漠然とそんな事を考える。


そしてゆっくりと意識が戻ってくると、そんな令を静奈が笑みを浮かべ見下ろしていた。
「令のイった顔……本当に可愛いかったわ。」
「あ……。」
令はそこでようやく一連の全てを姉に見られていた事を思い出した。顔がみるみる赤くなる。
だが、体を隠そうにも今だ令はベットに固定され、身動きが出来ない。
が、そんな静奈の顔が静かに曇り令を見据える。意図がわからない令を余所に、
静奈は無言で令との繋がりを抜いた。
「あふうぅぅッ!」
イったばかりの敏感な秘部を擦られて思わず声を上げる令。だが静奈は令の方を見る事無く、
抜いたばかりの擬似ペニスを見ていた。
「……やっぱりそうなのね。」
「ね、姉さん?」
静奈が再び令を見据える。その顔は令を抱く前のあの顔……怒りとも失望とも取れる顔をしていた。
いや、今は僅かに怒りの色の方が濃いかもしれない。
「令……あなたは……」
「な……何?」
明らかに怒りを含んだ声。理由もわからず令はおもわず萎縮した返事を返す。
「あなた、私に隠していたわね? 誰なの?……言いなさい!」
「な、な……隠すって……何を?」
「とぼけないで!!……そうか……その女ね。それ以外は考えられないわね……」
静奈は唐突に問いかけたかと思うと一人で納得する。だが令にはまだその意味がわからなかった。
「姉さん、何の事? 僕は別に姉さんに隠し事なんて……。」
「令、そのセネアとかいう女に抱かれたのね!? 私に抱かれる前に処女ではなくなっていたのでしょう!?」
「……!!!」
突然の指摘に令は絶句した。隠しておこうと思っていた真実は、
令の体が女であったがゆえにあっさりと伝わってしまったのである。



「そ、その……」
「やっぱりそうなのね。なんて事かしら!! 令の初めては私が……」
その言葉を聞いて令もようやく事の次第を理解した。つまり、そういう事である。
静奈は令の"初めての人になりたかった"のだ。
令にとっては極めて複雑な気分だった。なりゆき上でセネアに抱かれたとはいえ、
多分あれが無ければ静奈は容赦なく令の純潔を奪っただろう。
どちらにせよ女になった令には”処女を失う”という運命が確定していたようだ。
その二つの選択肢が両方とも女性というのが、運が良いのか悪いのか……実に微妙だ。
まだぶつぶつと文句を口にする姉を見ながら、令は何故か笑い出したい気分だった。
が……静奈が唐突に何かを思い付いたかのように令の方を見る。そしてその顔が静かに笑った。
「ね、姉さん…?」
「そうよね……多分そっちは……」
「な…何?」
令の質問に静奈は答える事なく、突然令の足を掴んでうつぶせに転がした。
相変わらず手錠がベットの端に繋がれたままなので、令は両手を前に伸ばして
尻を突き上げるようなポーズをとらされる。
「ちょ、ちょっと……姉さん何を…!?」
「ああ……令ったらお尻も可愛いわ。ボリュームがあるのにキュって引き締まって……。」
いつのまにか静奈の顔は先ほど令を責め立てていた時の顔に戻っていた。そして両手で令の尻を
掴むと、その顔がゆっくりと令の尻に近づく。
ぴちゃ。と、静奈の舌が令の菊門に触れた。まさかそんな所を刺激されると思わなかった令は、
思わぬ姉の行動に一瞬にしてパニックになる。
「ねね、姉さん!そ、そこは……やめ…そんなところ、きたな……ひううっ!」
「令のここ……可愛いわよ。汚くなんてないわ……」
令の拒絶を無視し、静奈は舌で令の菊門を容赦なく責め始めた。
始めは戸惑う令だったが、その巧みな責めにじわじわと息が荒くなってくる。


「これだけじゃ足りないかな……もう少し潤滑油が必要ね。」
突然令の秘部にするりと静奈の手が滑りこんだ。そこは先ほどの情事のせいで濡れたままの状態だ。
「ひあっ!な、何!姉さんいったい何を……」
令の愛液を指に絡み付かせるように手を動かし、静奈はその手再び令の尻にそえる。
そしてそのまま手にからんだ愛液を菊門の入り口に塗りこんだ。
「はうううぅぅっ!姉さ…ん、どうしてそんな事……」
「……。令って案外に鈍感なのね。私は令の初めてが欲しいのよ?」
かしゃり、と何かを刺し込む機械音がする。見ると静奈がペニスバンドの擬似ペニスを
先ほどよりも細くて奇妙なイボのあるものに差し替えていた。
「な……!まさか姉さん!!」
「いまごろ気がついたの? でもそういう初々しさが余計に可愛いわね。」
思わず逃げようとする令の尻を静奈の手ががっしりと掴む。手錠がある事を別にすれば、
男の令であれば強引に姉を力で振り切れたかもしれない。しかし今は背丈からして負けている女同士だった。
尻を振って抵抗する事すらかなわず、菊門にピタリとアナル用に替えられた擬似ペニスを添えられる。
「姉さんお願いやめて!そんな……お尻なんて……!」
「そんな事言ったって令が悪いのよ。せっかくの初めてを他人に上げてしまったんだから。」
「そ、そんなぁ! 僕だって無理矢理……」
「理由なんて関係ない! せめてこっちだけでも私のものにしないと納得できないわ!!」
めりっ……静かに菊門に侵入してくる異物の感覚に令の尻がいっきに熱を持ち始める。
「いけそうね……じゃあ令、いくわよ!!」
「やあぁっ!だ、だめ……や、ああああああああああぁぁーッ!!」
静奈の股に固定された擬似ペニスが容赦なく令の排泄器官に侵入してきた。
秘部に挿入されるのとはまったく違う感覚……じわりとした熱が全身に広がるようなイメージだった。
だが、それ以上に令の後ろはまだそういう事慣れてはいない現実。痛みが全身を貫いた。
「痛ッ……痛ああぁぁ!!…姉さんやめ……やめてえぇ!!やぁっああああぁ!!」
「これよ……ああ私は今、令の初めてを奪っているのね。素敵……」


静奈は令を背中から抱きしめ、ぴったりと体を密着させて腰を静かにグラインドさせていた。
令の必死の懇願も、今の静奈には歓喜を引出す呪文にしかならない。
「ごめんね令、痛いんでしょう? 初めてだものね……でも……」
静奈の手がゆっくりと令の胸と秘部に移動する。
「でも大丈夫。喜びで満たしてあげる……きちんと最後の喜びまで導いてあげる!」
「そ…そんなのいらないからぁ…やあっ!! やぁああぁ! や、やめ……」
「身を任せて……あとはあなたの新しい体が導いてくれるわ。」
「やっ……あ、ああああああぁぁッ! 姉さん!!や、あああッ!」
その手が腰に合わせてゆっくりと刺激を開始した。令はたまらず声を張り上げる。
まだ尻からの痛みは続いているのだろうが、それを相殺するように胸と秘部から快楽を引出される。
令の口からは交互に甘い声と苦痛の声が発せられるが、もはや令自身がその声をどちらの
感覚に対して発したのかを自覚できないでいた。
苦痛と快楽が交じり合い、その境が少しずつ崩壊する。
そしてその判断を下せなくなった意識は、その全てを快楽であると判断し始めた。
「ひゃあああうううぅぅ!!あつ……熱い!お尻が……体が溶けちゃううぅぅ!!」
「いいのよ……感じて令!快楽に身を任せて、よがり狂って!!」
いつのまにか静奈は令の尻に容赦なく腰を打ち付けていた。
すでに令は加減などしなくとも、口から発する声がすべて歓喜の嬌声になっていたからだ。
しかしそれでもなお静奈の心は乾きを覚えた。何かにとりつかれたかのように令を責める。
とにかく令をもっと鳴かせたかった。快楽でよがり狂わせたかった。
かつて幾人もの少女の花を散らせてきた静奈だったが、
過去に相手をこんな風に思った覚えはない。令は奇妙なぐらい人を引き付けた。
逆に令は、信じられないほどの快楽の本流に嬲られ続けていた。
男の時ならとっくに射精の限界を超えている快楽、全身を貫く女ならではの快楽だ。
女を責める事に長けた姉が全力をもって令の肢体を嬲っているのだから、
令の体はこれ以上ないというぐらいのスピードで快楽を増幅してゆく。


「ひゃあううああぁ!! やだぁ!!お尻でなんて……あああぁあぁッ!」
「クスッ……令ったらお尻でイくのが恥かしいの?」
後ろから令を抱きしめたまま、静奈が令の耳元に口を近づけ囁く。
「安心しなさい令……私も鬼じゃないんだから。」
「ああうッ! ね、姉さん……? ひああっ! あああっ!」
静かな口調をもって静奈が令の耳元で囁く。そしてゆっくりとその動きを止めた。
「ふぁ……あ、ぁ……ねえ…さん……?」
「可愛い令の、初めてを貰ったんですものね。だから……」
動きが止まった事で、令はようやく呼吸を整える事ができた。
そして荒い息を吐きながらようやく解放された事に安堵した……その途端、
「だから……令には新しい快楽を教えてあげる! 女の絶頂を体に刻み込んであげるわ!!」
再び、そして先ほどよりもさらに激しい責めが再開される。
ある種意表を突かれてしまった令の肉体は、信じられないほど素直に快楽を受け入れ始めた。
「ああああああぁぁーッ! だめ…ひゃうッ!だめ、壊れる! こんな…こんあああああぁ!!」
理解を超えたスピードで快楽が体を支配してゆく。
いくら心でそれを否定しても、もはやその侵食を止めることは不可能だ。
肉体が快楽に陥落し、そしていよいよそれは心を蝕み始めた。
「ダメぇえ!姉さん僕壊れちゃう…こんなの……やあぁっ!やああああああぁぁ!!」
「大丈夫よ令……私がしっかり抱きしめててあげるから、安心してイっちゃいなさい!!」
「だめ…だめ……や、あああっ……あああああああああああああぁぁぁ―――――ッ!!!!」
抗うことすらできず、令は再び女の絶頂とともに体を反り上げて叫んだ。
そして後ろから抱きしめている静奈とともにゆっくりとベットに崩れ落ちる。
−お尻で……しかも姉さんに…女の人に責められて……−
羞恥と葛藤……思わず目に涙が浮かんだが、ふと、その涙を静奈が指ですくい上げた。
「泣かないで令……本当に、本当に令は可愛かったんだから。」
静奈が優しく令の髪を撫でる。そしてもう一方の手で令をぎゅっと抱きしめた。


見ると静奈は令を責めていた時とは正反対の優しい顔で微笑んでいた。
「あ……ね、姉さん……」
「大丈夫、令が落ち付くまでずっとこうしていてあげる……」
多分それは、女の子を責めた後の姉のいつもの相手に対する態度だったのだろう。
だが今の令には、そんな静奈の体の温もりがやけに暖かかった。
そして二人はしばらくの間、ベットの上で抱き合っていた……。

「で……とりあえず学校に行こうとは思ったんだけど……。」
結局昼近くになって二人はようやく落ち付き、静奈の部屋で机の椅子とベットの上で、
向かい合って座っていた。とりあえず当面の令の生活をどうするかを話し合うためだ。
「正直言って浅はかね。服着たって裸見られたらお終いなんだし……」
令は朝までの経緯を静奈に話し、体を隠して登校する事を提案したがあっさり却下される。
「だいたい体育どうするのよ?まして今の時期ならあの学校、水泳でしょう?」
「あ……。」
令は姉に指摘されようやく事の欠陥を思い出した。確かに誤魔化しようのない部分がある。
「何回も欠席してたら当然怪しまれるし……やっぱり三木原・令としてはダメね。」
「ダメって……じゃあどうするのさ?それに令としてダメって何?」
「男がダメなら女ってね……うん、良い考えがあるわ。それでいきましょう!」
「そ、それって……?」
質問を返すが静奈はそれに答える事なく動き始める。昔から静奈は考えがまとまると、
とにかく行動を優先させてしまうタイプだった。こうなっては令の質問にも答えないだろう。
そうこうしているうちに静奈はクローゼットを開けて何かを取り出した。
「ちょっと今の令には大きいかもれないけど……うん、十分許容範囲内ね。」
それは令にも見覚えがあるもの……いや、今でも結構身近なものだとも言えた。だが……
「姉さん、僕には大きいって……まさかそれを? ちょ、ちょっと待ってよ……」
それは静奈が現役だった頃の制服……つまり令の学校の女生徒用の制服だった。



有名なデザイナーにデザインを委託した令の学校の女子の制服は、薄い青紫を基調とした
独特のデザインと短いスカートが特徴だ。この制服を着たいという動機でのこの学校を受験する
者が居るぐらい評判が良い服なのだが……よりにもよって自分が、である。
「あとは……下ね。令、ここに座りなさい。」
「ね、姉さんまさか本気で……それに座れって言われても……」
姉の言動、そして示すものに令は困惑する。静奈は自分の膝の上を手で示していた。
「だからこ・こ! いいから後ろ向きに、言われた通りに座りなさい。」
譲る気がまるで感じられない姉に、令はしかたなく静奈に背を向けるようにして彼女の
膝の上に腰掛けた。背中に静奈の胸が当たり、一瞬令はどきりとする。
が、そんなものをまるで意識していないとばかりに静奈は令を自身の方に引き寄せたかと思うと、
唐突に令のシャツとスパッツに手を入れた。そしてその手を撫でるように動かす。
「ひゃうううッ! ねね姉さん、ななな何をを!!…はうんッ!」
「暴れないで!……う〜ん、C…いや、Dかな? お尻も案外大きいわねぇ。」
どうやら静奈は令の胸や尻回りのサイズを測っているようだったが、
令は当然落ち付いてそれを受ける事など出来なかった。撫でられ、揉まれ、
令にとっては先ほどまでの責めと区別がつかないような状況だからだ。
「はあぅ……あっ! ね、姉さん……もういいでしょ! そんなにされると……はあっ!」
「だから暴れちゃだめだったら……む〜……まあ、こんなものかしらね。じゃ…お・ま・け!」
「ひゃあぁん!!」
手を抜き取る時に静奈は行きかけの駄賃とばかりに令のクリトリスを指で弾いた。
荒い息で脱力する令を再びベットに座らせると、静奈は今朝令があさったあのタンスに向う。
「令のサイズは……っと、問題ないわね。どっちもあるわ。」
「……そういえば姉さん、そのタンスってやっぱり…?」
「やっぱりって?……ああ、そうね。その通りよ。」
令の言葉に一瞬首を傾げる静奈だったが、すぐに令の意図に気が付き答える。


「ちょっと強引に抱いちゃう事もあるから、そういう事も稀にあるのよ。
あと折角魅力的な体を持ってるのに下着に無頓着な子もいるから、そういう子に自分の
本当の魅力に気が付いてもらうため……っていうのもあるわね。」
幾つかの同一サイズの下着を比較しながら静奈は淡々と説明を続ける。
この歳、しかも女になって初めて知った姉の隠された姿は、令の静奈へのイメージを根本から破壊して
しまうほどの威力があった。事実は小説より奇なり、とはよく言ったものだ。。
「とりあえず令には……やっぱり清楚な白よね。じゃあ令、服を脱ぎなさい。」
「ね、姉さん。別に姉さんの前で着替えなくても……それに女ものの下着なんて!」
「私の前じゃないと……令は着たふりする気でしょう? ダメよ。」
令はあっさりと図星を指摘され絶句する。それを見て静奈は呆れた顔をした。
「ブラ着けないと胸の形が崩れるのよ? 大体一人で着替えてしまったら……」
「……しまったら?」
「私が見れないでしょう? 私は令が女の子の下着を着るところを見たいの。
せっかく可愛い令の下着姿が見れるのに、それを逃すなんて愚の骨頂よ。」
あまりにストレートな欲望の発露に、令は絶句する。
令は昨日まで自分の中にいた姉は、自身の夢幻だったのではないかと勘ぐりたくなる気分だった。
しかし、などと思う間に静奈はいつのまにか令の後ろに回り込み、その服を脱がせにかかった。
「わあぁ!姉さん、だから脱ぐのは自分で……」
「何を今更恥かしがっているの? いいから私に任せなさい。」
拒む間も与えられず令はシャツを脱がされスパッツを取られて、裸にされてしまった。
事の後、さすがに女モノの下着を着けるのは躊躇ったのだが、どうやらそれは無駄な抵抗だったようだ。
「さあ令……足を通して……」
静奈が令の足に抱きつくように屈み、その足元にショーツを促す。
令がゆっくりと片足ずつ、両足を通すと静奈はゆっくりとそれを引き上げ始める。
ショーツが足を擦る微かなむず痒さに息を吐いて我慢すると、それがぴたりと令の股におさまった。
静奈の見立てが確かなのか、それはまるで令の為に作られたかのごとくフィットする。


それに男物とは肌触りが桁違いに違う。脱衣所で静奈に渡された朝の下着よりも上ではなかろうか。
「今日着ける一式、令にあげるわ……シルクの高級品なんだから、大事にしてね。」
静奈が令の肩を後ろから抱きとめ耳元で囁く。そしてそのまま左手で令の秘部をショーツの上から撫でた。
「はうんッ!……やああぁっ……」
まるで直接秘部を撫でられたかのような感覚。下着が肌の一部になったような一体感だった。
「次はこれ……令、手を通して。」
今度は後ろからブラが回される。ショーツ同じピンクがかった綺麗な色をしていた。
ショーツを着けられた上に先ほどからの姉の微妙な刺激……多分令の意識は多少麻痺していたのだろう。
今朝のような嫌悪感を示す事もなく、令は言われるがまま手を通した。
「そう……そうやって前を……令、いい子ね。」
「あ……ひゃん! やっ……そんな、胸を……」
「こういう風にね、少し持ち上げるように優しく包むのよ。後は………これで……おしまい。」
ぱちり、と背中でホックを止める音がする。令の双球はすっぽりとその中に収まった。
途端に少し肩が軽くなったような感覚。そしてまた、これ以上ないというぐらいの一体感があった。
「じゃあ令、この前に立ってみましょう。」
静奈はそのまま令を背中から押し、鏡の前に促した。好奇か心配か、令もそれに素直に従う。
そして令はようやく、自分自身の姿を見た……
「可愛いでしょう……? 今の令、本当に可愛いわ……。」
見惚れるような声で静奈が令の耳元で囁く。そこには、目が大きく短い髪をした下着姿の、
誰がどう見ても”まぎれもない女の子”が不安げに立っていた。
「あぁ……ほ、本当に……」
令の心臓がどきりと鳴る。誰しも見惚れそうな、男ならば絶対目を奪われるような、そんな姿。
思わず見詰めると、その頬が微かに朱に染まった。それがまた可愛くて……。
しかしその鼓動と肌の同期が、令にとっては悪夢のような現実を思い出させた。
そう……その少女は紛れも無く自分。それは、今現在の三木原・令の姿なのだ。
一瞬の高揚感はどこへやら、今度は一気に精神が暗礁に乗り上げた。


「ね……姉さん、本当に着なきゃ……ダメ?」
げんなりとした顔で姉の方に向き直る令だったが、見ると静奈はすでに次の服、
制服のインナーを手にしてニコニコと笑っていた。
そしてその笑顔がただの嬉しさの表現ではない事を令は昔から知っている。
「これはシャツみたいな物だから分かるわよね。さ、こっちを向いて。」
静奈は令の質問を何事も聞えなかったかのように黙殺し、自分の方に向かせた。
この状況の姉に逆らったりだだをこねたりすると、その後がさらにややこしくなる事を
令は子供の頃に嫌というほど体験してきたので、素直に従うしかなかった。
−とはいえ……分かってるって言うなら自分で着させてよ……−
静奈は嬉々として令の手を袖に通させ、服のボタンを止め始める。
要は静奈はただ令に服を着させるのではなく、”自分の手で”令に服を着せたいのだろう。
それは静奈自身のある種の拘りなのだが、さすがの令もそこまではわからない。
思っている間に静奈の手は胸元の最後のボタンまで来ており、それも止められる。
着てみると、男物のシャツとは腰のあたりがぐっと締まっているあたりで違った感じで、
首から胸元が開いているのが少し違和感を覚える。
なるべく体の線が出るように意識されたデザインなのだろう。
とはいえ服としては違和感の少ないもの。が、その次は当然……
「次はこれだけど……もちろん令、これを着けるのは初めてよね?」
当たり前だと令は心の中で叫ぶか、あえて口には出さない。
女生徒用の制服だから当然と言えば当然なのだが……下がズボンのはずはない。
違う文化圏ならともかく、少なくとも今の日本で男が着けるものではないものが
静奈の手の中にあった。そう、あの短いスカートが……。
だが今の状態の静奈に対し拒否などという選択肢が存在しえない諦めか、
令はもうどうにでもなれという精神状態で素直にスカートに足を通した。
それを静奈が背中から腰の所で止める。令の悲壮感とは裏腹に、
あまりにあっけないただの衣服の着付けの感覚だった。しかし……


「うぅ……なんか何も履いて無いような感じだよ。」
奇妙に足のあたりがスースーとするのに、令は漠然と不安を覚える。
男の感覚に従うなら、この後上にズボンを履くところだ。
腰回りは布地に保護されているはずなのに、トランクス一丁より心もとない気がする。
「すぐに慣れるわ。さ、後は上とリボンでお終いね。」
静奈は初めて令に自分の持っていた服……上着を令に渡して袖を通させた後に、
上着を胸の前で閉じるための胸元に着けるリボンを取り付けた。
「これで終わり。さてと………ああぁ、もう令ったら!!」
リボンを着け終わった後、一歩下がって令を見た静奈の顔がみるみるとろける。
「思った通りじゃない。可愛い……このまま襲っちゃいたいぐらい。はぁ……」
さっき散々襲ったくせにという思考は声に出さず、令は抗議の目で姉を見た。
「姉さん……そうは言うけどこれじゃあオカマだよ。こんな恥かしい格好でどうやって
学校に行けって言うんだよ。まさかただ僕にこれを着せたかっただけなんじゃないよね……」
何か虚しくなった令は脱力の溜息をついた。が、静奈は何故? という目で令を見る。
そのまま令の後ろに回りこんでから、肩を掴んで令を押す。
「令、とりあえず見てみなさい。文句はそれから受け付けるわ。」
「見てって……ね、姉さん! 鏡はもうやめてよ、こんな格好の自分なんて……」
令は鏡の前に立たされそうになって、先ほどの下着姿の自分を思い出す。
あの妙な気持ちと嫌悪感がまた吹出しそうな気がして思わず抵抗した。
しかし静奈は問答無用とばかりに今は静奈より非力になった令を強引に鏡の前に立たせた。
「見てみなさい令……私、今のあなたを見てオカマだブスだと言う人間が居たら、
その人のセンスと常識を疑うわ。今の令が可愛くないなら今時の女の子の大半は失格ね。」
静奈に促されて令は恐る恐る鏡の中の自分を見る。
そこには……学園のアイドルにもなれそうな、紛れも無く”可愛い”と言い切れる容姿の
制服姿の少女が自分を見つめていた。
「どう? 容姿については言う事無しだと思うけど。令にはまだ不満があって?」


「いや、その……容姿のレベルがどうとか言うんじゃないけど……」
その言葉を肯定と受け取ったのか、静奈はうんうんと頷く。そもそもそれ以前の
”自分が女である”という状況が問題なのだが、静奈はそれをまったく問題に入れていないようだ。
「でも、この姿でどうやって学校へ行くの? 先生やみんなにはどう説明するのさ?
三木原・令は今日から女の子ですなんて、言える訳ないんだし……」
「その辺はまかせなさい。令の学校、まだあの八重野校長と巣鴨理事長が現役なんでしょう?
話は私がつけておいてあげるわ。」
静奈の上げた名前は令の通う学校の二大権力者である。確かに静奈なら現役時代の生徒会長だった
という肩書きである程度話もできようが……そこまで教師や経営陣に通じているとは令も知らなかった。
ただ静奈が生徒会を牛耳っていた頃というのは、やけに生徒会の権力が学校に対し強かったという覚えが
令にもある。まあ弱みの一つや二つ……などという話が出てきたところで、朝から散々これまで
知らなかった姉の一面を見せつけられた令には今更驚くにも値しない問題だ。
当の静奈は慣れた手つきで携帯電話を操作していた。
「令、今日は車で送ってあげるから準備してきなさい。………あ、八重野校長? 私、34期生徒会長を
務めていた三木原ですけど……あら、覚えていて頂けて光栄ですわね。実は少々……」
静奈に促されて令は自分の部屋に教科書の入った学校鞄を取りに戻る。
姉の電話をかけた先はどうやら校長だったようだが、微かに聞えた校長の声が、静奈が名乗った途端に
えらく引きつったように思えたのは気のせいだろうか? 多分それは……考えるまでもない。
大きな不安と何故か奇妙な期待感の中で令は、机の横にある学校鞄を手に取った。



結局あの後すぐ、令は静奈の運転する車で学校まで連れてこられた。
校門に入るあたりからクラスの知り合いに姿を見られるのではと内心ひどく緊張していた令だったが、
職員玄関からほとんど生徒の来ない職員区画を歩いたため、その心配は杞憂に終わった。
堂々と廊下を歩く姉の後ろを隠れるように令はついて行く。そしてその足は校舎1階の一番奥の部屋、
入学当初の学校案内以外では近寄ったこともない校長室の前で止まった。
静奈がノックをすると、中から慌てたようにどうぞという返事が返ってくる。
躊躇いもなく扉を開け中に入る静奈だったが、令は思わず躊躇ってしまう。
−だ、大丈夫なのかな……この姿で……−
とはいえ今すぐ踵を反して立ち去るわけにもいかない。令は結局恐る恐る部屋に入った。
「や、やぁ……三木原君、その…まあ元気そうで……なんだ、その…」
「お久しぶりですね校長。あら校長ったら、顔色があまり良くありませんわね。どうしました?」
部屋に入るなりまず目に入ったのは、露骨に姉に脅える校長がなんとか笑顔を必死に保ちつつ
額の汗をあくせくと拭く姿、そしてそれを確信犯で楽しんでいる姉の姿だった。
−やっぱり何かあるんだろうな…校長も可哀想に−
傍から見ても絶対に立場が逆な元生徒と教師、特に校長の慌てぶりは半端ではない。
何があるのかはわからないが、少なくとも今の静奈に校長が逆らえる立場にないのは確かなようだ。
「あ、あのぅ……で、そちらのお嬢さんが先ほど電話で言っていた……?」
突然自分の方に話が向けられ令はどきりとする。が、それは不信や怪訝の類ではない。
「ええ、私や弟の従姉妹にあたる三木原・”麗”ですわ。読みは同じ”レイ”なんですけどね。」
「あぁ、そうですか……それはまた喜ばしい事で、その、あの……」
いったい校長は何がどう喜ばしいのか理解できないが、令はようやく姉の企みを理解した。
つまり、今の令は架空の従姉妹「三木原・麗」という存在なのだ。確かに容姿が似た別性となると、
まず思い付くのは親族である。とはいえ姉妹というのは身近すぎて言い訳に都合が悪い。
「しかしこの時期に交換学生交流とは……あと先方の学校への報告は……?」


「校長、全て私の方で済ませているのですから余計な詮索は無用ですわ。それとも何ですか?
私のやった仕事が先方に対する不備や失礼があった可能性があるとでも?」
「い、いや!! 決してそのような事は……わ、わかった。えっと……麗さん、だったね?」
「は、はい。」
「3−Cの三木原君との交換交流の件、了承しました。書類などは後々揃えるので、今日は
このまま授業を受けて下さって結構ですよ。」
どうやらすんなりと話は”令と麗”の入れ替えで済んでしまったらしい。つまり令は交流学生、
期間限定の転校生的扱いというわけだ。当面の言い訳としては悪くないだろう。
しかし令との交換という事は、この姿を元々のクラスメイトに晒すという事である。
いくら建前上別人物だとはいえ、これは穏やかに済みそうにはない。
「じゃあ校長、私は帰りますけど、”レイ”の事よろしくお願いしますわね。」
「あ、ああ……了解した。」
事が済んだら静奈はもう必要ないと言わんばかりに早々と部屋から出ていった。
その扉が締まった途端、校長は露骨に安堵の溜息をつく。
「ああどうして三木原君はこう……いや、今回はまだ良いのかもしれんが……」
校長は露骨に姉の事で頭を抱えていた。見ていて雰囲気でこちらまで胃が痛くなりそうな感じだ。
「あの……校長先生?」
「……ああ、済まなかったね。ちょっと君の従姉妹の姉には色々……まあここで言う事ではない。
取りあえず今からなら午後一番の授業に間に合うから、担任に案内させよう。」
校長はインターホンで職員室と連絡を取り、聞き覚えのある先生の名前を呼んでいた。
歴史教師で定年直前のアダ名が「長老」と付けられた令の担任、蘇我部である。
年齢より遥かに見た目老けているその担任は、しばらくしてから校長室に入ってきた後、
何の疑問も持たずに令に挨拶をした。まあ確かに従姉妹という説明であれば容姿の似ている事
は疑いなどではなく逆に証明にすらなってしまう。ともすればその態度はもっともだ。
令はそのまま蘇我部に実はとっくに知っている自分の教室に案内され、入り口の前まで来た。
もう午後の授業の直前なので生徒は皆教室の中だったが、令の心臓はいまにもはち切れそう
なぐらい緊張している。先に蘇我部が入り、しばらくして……名前が呼ばれた。


扉に手をかけようとして、令は自身の手がえらく震えている事に気が付いた。
手のひらには汗まで滲んでいる。本当に大丈夫なのかと、あらゆる嫌な可能性が脳裏を掠める。
が、ずっとそうしている訳にはいかなかった。頭をぶんぶんと振って不安をかき消し、
思い切って扉を開け教室に入る。その瞬間、教室中から声が上がった。
−あわわわわゎ……も、もしかして−
バレた? と令はいよいよ心臓が破裂しそうな緊張を覚えた。だがすぐにその声がその主の
色を含んでいない事に気が付く。どちらかといえばそれは歓喜のだ。
「おぉ〜、結構可愛いじゃん!」
「わぁ、本当に三木原君にそっくり……って、失礼かなコレ?」
クラス中から好奇の眼差しで見られてはいるが、それは決して悪い意味を含んではいなかった。
それを知ってなんとか落ち付いてきた令は、ゆっくりと教壇上に上がる。
蘇我部が黒板に”最後の一文字だけ違う”令の名前をチョークで書いた。
「あ〜…という訳で、三木原君は急遽交換学生で御両親のいる北海道に行く事になり、
代わりに従姉妹の同じく三木原さんが来る事になったそうです。ま、短い間ですし、
同じ三木原さんなので皆さんも仲良くしてあげて下さい。」
では、と蘇我部が令に挨拶を促す。改めて教室を見まわすと、そこには当然ながら見知った
面々の顔があった。すでに認知済みの者への自己紹介という事実に、令は実に妙な違和感を感じる。
普段の自分には絶対向けられない好奇や興味の視線。だがそれゆえ令は覚悟がついた。
「えっと……初めまして、三木原と言います。名前が従兄弟の令と読みが同じ”レイ”で混乱
するかもしれませんけど……よろしくお願いします。」
想像以上にスラスラと言葉を並べる事ができ、令は内心で安堵する。皆から微かに歓声が上がった。
「席は元々三木原の座っていた席でいいか。じゃ、みんな授業の準備があるだろうからこれでいいぞ。」
が、そんな安堵も束の間、蘇我部の言葉に皆が慌しく動き始めた。
何事かと思い蘇我部に声をかけると、蘇我部はああそうかと言う感じでクラスに目を移し手招きをする。
「……杉島! 三木原さんは初めてで大変だろうから、色々教えてあげなさい。」
「あ……はい! わかりました。」


蘇我部が声をかけたのはクラスの誇る女子ソフトボール部のエース、杉島瑞稀(みづき)だ。
容姿も中身も人並み以上の彼女は実質クラスのまとめ役で、男女ともに慕われ人望も厚い。
まあ本来のまとめ役であるクラス委員長が立候補が誰も出ないため推薦で無理矢理決められた
やる気のない級友だったという事もあるのだが、それは結果論にすぎない。
綺麗な顔立ちでスタイルも良く、面倒見もいいので他のクラスや下級生にもファンは多かった。
長い髪をポニーテールでまとめたその姿に引かれる男子も多いのだが、彼女と友人以上の関係を
掴めたものがいたという話は聞かない。そんな中でも令は結構親しい部類の友人の一人だったと
言えたが、今は建前上”見知ったばかりの他人”である。が……
「三木原さん? 私、杉島瑞稀。わからない事があったら遠慮なく聞いて頂戴ね。」
瑞稀は”令”に対してとまったく変わらぬ笑顔で語りかけてきた。それは彼女の持った性格故
なのだろうが、今の令にはそれが何故かどうしようもないぐらい嬉しかった。
「あ、ありがとう杉島さん。こちらこそ……」
「瑞稀でいいわ。堅苦しいし。」
「え!? あ……その……」
唐突な瑞稀の提案に、令は悲しい男当時の心の葛藤で言葉に詰る。なにせこのクラスで彼女を
ファーストネームで呼べる男は存在せず、へたにそんな事をしようものなら他の男子に放課後
袋叩きにされかねなかった。しかし今は女だからそんな心配もないはずなのだが……やはり
ある種の気恥かしさと照れがあった。が、令はその嬉しい誤算を享受する事にする。
「えっと……瑞稀…さん。その、よろしく……」
「うん、よろしく! じゃ、とりあえず次の授業の支度をしないと遅れちゃうわ。急いで。」
「そう言えば……みんな、どうしたの? 教室から鞄を持って出て……ってこれ……!」
そこまできて令はようやくその行動が何の授業の前触れだったかを思い出した。
たった一日で今日の時間割を失念していた自身の迂闊さを呪う。皆が教室を出るのは着替えの為であり、
皆のスポーツ鞄には運動に必要な着替えが入っている。つまり次の授業は体育なのだ。
そしてこの時期の体育は男子が陸上、そして女子が……


「次は体育なのよ。更衣室まで案内してあげるから、急ぎましょう。」
「あ、あの、瑞稀さん? その……次の体育って何を?」
わかってはいても聞かずにおれない質問。とはいえこれがかえって”転校生の麗”を演出した事には
令自身何の意識もなかった。瑞稀は嫌な顔一つせず笑顔で答える。
「水泳よ。ウチのプールって結構新しいから楽しいわよ。」
わかっていたのに聞いた質問、当然答えも予想通り。令の頭に悪夢がよぎる。
「そ…その、ぼ…わ、私、水着持ってきてないから……えっと、その……」
「大丈夫よ、私の予備を貸してあげるから。ほら、みんなもう行っちゃたわ。」
「いやその……あぁ、ちょっと引っ張らないで!」
瑞稀は躊躇する令の手を掴むとそのまま走り出した。とんでもない不安と微かな期待を胸に、
令は引きずられるように瑞稀の後をついていった。
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