ボーナスが出た最初の休日。俺はさっそく町へ遊びにくり出した。
 食欲と、そして性欲を満足させるために。何はともあれ、まずは性欲からだ。
 昼過ぎに家を出発し、いつもの店に来たのだが、予約でいっぱいだった。
 考えてみれば、今はみんな俺と同じく懐に余裕のある時期だ。うかつだった。
 すっきりした後に馴染みの居酒屋で好きに飲み食いする予定だったのだが、ここにきてあっさりと崩れてしまった。
 他の店を回ってみても、予約でいっぱいかイマイチな嬢ばかり。
 そうして俺は通りの奥へ奥へと進んでいったのだ。
『注文の多い風俗店』
 そんな看板を眼にしたのは、通りをずいぶん進み、見覚えのない景色に入った時だった。
 このあたりには初めて入る。こんな所にも店があったらしい。
「それにしても聞いたことない店だな」
 だいたい、店の名前が直球過ぎる割にどんな店なのか待ったくわからない。
 扉に何か書いていて、俺は近づいてみた。
『どなたでもご遠慮なくお入りください。特に胸の大きい女性が好きな方は大歓迎です』
 どうやら巨乳専門店のようだ。
 まさに俺のためにあるような店。俺は大の巨乳好きなのだ。
 大きければ大きいほどいい。もちろん太っていないほうがいいが、痩せた貧乳やロリなどはお呼びではない。
 俺は扉を押して中に入った。そこは廊下になっていて、ドアの裏側には表と同じように文字が書いてあった。
『当店は注文の多い風俗店ですので、どうぞご了承ください』
 どうやらデリバリーもやっているようだ。
 注文が多くて待たせることがあるかもしれないと言うことだな。この時期だ、仕方ない。
 廊下を進むと、すぐに扉があった。そしてそのわきに鏡がかけてあり、様々な色のブラシが置いてあった。
 扉には赤い文字で、
『好きな髪の色のブラシを選んでください。ここで髪をきちんとし、靴を脱いでください』

「これは……女の子の髪の色を指定できるのか? しかし、回りくどいやり方だな」
 いや、これはこれでおもしろい。それにしても客の身だしなみにまで気を配るとは。意外に高級店なのかもしれない。
 俺はブラシの色を選ぶことにした。黒、茶、赤、金、銀……ピンクや緑まである。
 無難に黒を選ぶことにした。やはり髪は黒に限る。
 それに、黒だけでもグラデーション違いだろうか? 三種類もある。
「どうせなら色と一緒に髪の長さも選べればいいのに……」
 ブラシをひとつ選んで鏡を見ながら髪をとかす。
 するとどうだ。とかした髪の色合いがブラシの色と同じになっていく。
「え……? あぁ、そうか。俺の髪を見ればどの色を選んだのか一目でわかる仕組みなんだな」
 なんて合理的なんだ。
 そのうえ、ブラシでとかした髪は選んだ色合いのイメージにぴったりのさらさらとした心地よい手触りに変化し、ブラシを動かすごとに少しずつ髪が伸びていく。
 なるほど。これで好みの髪型まで伝えることが出来るわけだ。
 俺はあまり長い髪は好みではない。ショートカットよりやや長めくらいがちょうどいい。
 それくらいの長さとバランスに調整し、じっくりと鏡を見る。
「うん。完璧だ。こんな髪をした女の子と遊べるのか。楽しみだな」
 そして俺は指示通りに靴を脱ぎ、扉を開けて進んだ。
 するとまた扉があり、
『服を脱ぎ、貴重品を金庫へ保管して下さい』
 おや、もう服を脱ぐのだろうか。まだ髪型の好みしか聞かれてないのに。
 しかし、この時期に髪型だけでも選べるだけ贅沢と言うものか。それに入り口の書いてあるとおりなら、巨乳なのは確実なのだ。
 それだけでも十分か。
「できれば、小柄で、スレンダーな巨乳っ娘がいいなぁ……」
 俺は財布や携帯を金庫にしまって鍵をかけ、服を脱いだ。
 扉を開けると、すぐ目の前にまた扉があり、そして近くにガラスの壷が置いてあった。
 扉には、
『壷の中のクリームを全身に塗ってください』
 これはどういうことだろう。
「あ、もしかしてローションプレイでもするのか。ローションが肌に合わないこともあるから、事前にクリームを塗っておけってことだな」
 俺はローションが肌に合わないということはないが、せっかくの好意だ。頂いておこう。

 クリームを塗りこむと、肌がつるりと滑らかになり、瑞々しい張りをたたえる。
 ぷるぷるする肌にそっと指を這わせると、思わぬ心地よさに体をビクつかせてしまった。
 どうやらこれは肌を敏感にするらしい。
「ちょっとこれは、股間には塗れないな」
 こんなものを塗ったら楽しむ間もなく達してしまう。
「いや、でも……」
 相手もプロだ。きっとそれを見越して楽しませてくれるだろう。それにこんな体験はなかなか出来るものじゃない。
 俺はクリームを全身くまなく塗ってから、俺は扉を開けた。
 すると扉の裏側に、
『顔や耳、足の裏にも塗りましたか?』
 そしてここにも小さな壷とクリーム。
「そうか、耳や足の裏までシテもらえるのか……これはイイ店だなぁ」
 俺はうっかり忘れていた顔や耳、そして足の裏までクリームを塗った。
 クリームを塗った全身は、すべすべしたきめ細かい白い肌になっていて、腕や脚に生えていた毛や顔の髭がいつの間にかなくなっていた。
「そのおかげで敏感になったんだな。これで奉仕してもらえるわけだ。きっと気持ちいいぞ」
 そして廊下を進み、次の扉に差し掛かった。
『好みのサイズをお選びください』
 そんな文字と、数種類のサイズの……コルセット? いや、ウエストニッパーか。女性用の補正下着があった。
 なるほど、ここで好みのウエストサイズを指定できると言うわけか。
 もちろん細い方がいい。が、細すぎて胸まで細くなっては困る。
 俺はウエスト60のニッパーを手に取った。スカートのSだって60なのだ。グラマー体型の女の子ならこれくらいで十分細い。
「でも、これを選んで、どうすればいいんだ? あ、そうか……」
 俺は手にしたウエストニッパーを自分の腹に巻き、そしてホックを止めた。
 かなり伸縮する素材だったらしく、自分のウエストよりもずっと小さいはずのニッパーにぴったりと収めることが出来た。
 髪と同じく、これを見れば俺がどれを選んだかわかるはずだ。
「ん……? それにしても締め付けが緩いような気が。これ、ウエストを締め付ける下着だよな」
 体をよじって腹や腰を見る。
 するとどうだ。俺の鳩尾から下腹、そして腰が、まるで女性のウエストのようにくびれていた。
 それだけではない。腰が広く、高くなり、尻には柔らかそうな肉がついている。
 ごくりと喉を鳴らした。まさに、俺の理想とするプロポーション。
 こんなスタイルの女性が相手をしてくれるのか。これなら、多少胸が小さくてもいいくらいだ。

 俺は期待に胸を高鳴らせ、そして自分の腰のラインに股間を固くしながら扉を開けた。
「え、また?」
 すぐ目の前に扉。
『瓶の香水を胸にふりかけ、お好きなだけ揉みこんでください』
 胸! ついに一番重要な注文だ。
 きっとこれで胸のサイズを指定できるのだ。
 俺は瓶の液体をたっぷりと掌に取ると、両胸に塗りたくり、じっくりと揉みこんだ。
 すると予想通り、少しずつ胸が膨らみ、女性の乳房のようになっていく。
 膨らんで揉み応えが増すと、どんどん大きくなっていく。
 まだ瓶の中はたっぷりと残っている。
「こ、これ、もしかしていくらでも大きくできるんじゃ……?」
 そう思ったら、さっきウエストを妥協したのが惜しくなってきた。
 俺は後ろの扉を開け、ウエストニッパーの一番小さいサイズを取って、交換した。
 俺のウエストがグイグイと細くくびれ、ヒップが丸く突き出る。
「え、あ、あれ?」
 胸を揉んでいた手が小さくなる。いや、体全体が、ウエストのサイズに合わせて小さくなったのか。
 小さくなった手で膨らんだ胸を揉む。みるみる胸が膨らんでいき、掌からあふれ出す。
「あぁ、そんな、これじゃ胸が揉めないよぉ……」
 完全に両腕からあふれ、持て余すほどの乳房。すごい大きさだ。こんな巨乳はAVでも見たことない。
 未体験の巨乳に股間の男がこれ以上ないほど興奮し、もう我慢が出来ないほどだった。
 もっと大きくしたい誘惑に駆られたが、このままではここで暴発してしまう。
 それはあまりにも惜しい。こんな巨乳に挟まれて放ちたい。
 俺は興奮で息を切らせ、扉を開けた。
 そしてその扉の裏側にはこう書いてあった。
『いろいろ注文が多くてうるさかったでしょう。お気の毒です。
 これで最後です。お客さまのペニスにそのローションをつけてたっぷり扱いてください』
 さすがに俺は首をかしげた。
 注文が多かったというのは、店が俺に注文していたということだ。
「ふ、風俗店というのは、客に女の子がサービスする店では、なな、なく……客が女の子になって、サービスさせ、られる店……?」
 ガタガタと震える。ひとりごちた声はいつの間にか女性の高い声。
 胸も手足も、腰、尻、髪も、すっかり俺の好みの女の子になっている。残るは、股間のみだ。
「に、逃げ……」
 しかし、背後の扉はまったく動かない。
 奥は鏡張りの壁に、また扉があって、豊満で華奢な体になった俺の姿を映している。

「あぁ……うぁぁ……」
 内股で太腿をすり合わせながら震え、むき出しの巨大な乳房ふるふると揺れる。
 股間の男はすっかり萎れてしまっていた。
 すると、扉の奥から声が聞こえた。
「ダメだよ。気づいた。ローションを使わないよ」
「当たり前だよ。親分の書きようがまずいんだ。あれじゃ気づかない方がどうかしてる」
「どっちでもいいよ、どうせもう逃げられやしないんだ」
「だけど、あんまり待たせるとそれは僕らの責任だぜ」
「呼ぼうか」
「呼ぼう。へい、お客さん。早くいらっしゃい。ベッドはふわふわですし、シーツはおろしたて。ぬるぬるローションもたっぷりご用意しております」
「さあ、いらっしゃい。それともいきなりベッドはお嫌いですか? でしたら各種コスチュームもご用意しております。好きな服を選んで結構です。とにかく早くいらっしゃい」
 俺は震え声を漏らしながらローションの容器を掴み、おろおろと周りを見回していた。
 扉は二つだけ。奥の扉へ進めばもう終わりだ。
 俺はドアノブを握ってひたすら扉を押していた。鍵のかかっている気配はない。何か重い物で押さえられているような。
 しかし、動かない。重すぎる。なにより、体が小さくなって手足が細く、女の力しかないのだ。
 いや、待てよ。
 ふと気づく。俺の体が細くなったのは、このウエストニッパーを着けてからだ。
 なら、これを外せば……
 ニッパーを外しと、たちまち腰のラインが男らしい直線になり、手足に筋肉が戻りだした。
 体当たりするように扉を押す。裏側に置かれたコンクリートブロックが床をずるずると滑り、通れる程度の隙間を開けて、俺は転がるように駆け出した。

 それからどうやって逃げてきたのか、よく覚えていない。
 出来るだけ服や財布は持ち帰ったと思うが、携帯はなくしたし、靴も片方ない。
 代わりに、ローションとウエストニッパーはなぜか手に持ったままだった。
 そして、あのときに大きく膨らんだ胸、白くなった肌、伸びた髪は、時間を置いても、お湯に浸かっても元に戻らなかった。
 しかたなく、俺は外に出るとき、持ち出したウエストニッパーを着けて、女性体型、女性の服装で女性として生活している。
 男でも女でもない体。だが、どちらかハッキリさせる方法は、俺の手に残っていた。
 俺はあの時持ち出したローションを手に取り、そして……

おわり



今回は以上です。
思いついたので作ってみた。
いろんな女性化アイテムを使って体の各部を女体化していくシチュエーションを使ってみたかった。
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