「あん・・・あぁん、はぁ、はぁん」
今度は孝のペースでアソコから全身に官能が回りだす。

「きもちいい、あぁん」
前かがみになって、胸をもまれて、腰を掴まれて・・・
自分でも、体が、顔が桜色に染まっていくのが分かる。

「あ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
目を丸くして見つめている真優と目が一瞬合った。
弟であるはずの孝とセックスして、本気で感じている僕を見て真優は何を思うのだろう。
僕は、禁断の行為を強制されながら、それを楽しむ自分を
真優に・・・親友であって憧れの女性だったその人にさらけ出している。
恥ずかしい・・・その恥ずかしさから逃れるには、そのことを忘れて
目の前の快楽に集中するしかない。

「ああん・・・すご、すごぉい!」
そして、いつしかあることに気づく。
ぜんぜん、全然勝負にならないほど前田くんよりも気持ちいい!

僕は、いつの間にか自分の大事な彼氏と目の前にいる禁断の男とを比較し
そして、比較にならないほどの大差で、孝に軍配を上げていた。

「あぁん、あぁん!」
「あぁ、いっちゃう、いっちゃうよ!」

孝がそう言った。
「大丈夫だからそのままだしなさい!」
明日香ちゃんがそう叫んだ。

「あぁ・・・あたしも・・・いっちゃうぅ!」
ひときわ、孝の腰使いが激しくなり、僕も、今まで味わったことの無い感覚を得る。

次の瞬間、動きが止まる
「はぁん・・・はぁ・・・」
僕の息も荒れていた。

「あゆこさん、とてもきもちよかった。」
僕の中で果てた孝は、ゆっくりと肉棒を抜く。



「あは・・・あん・・・」
何が起きたのか分からないほど、僕は朦朧としていた。

顔にかかっている髪を顔から払って、そして、天井を見上げる。
「きもちよかった・・・」

口をついて出た言葉が、全てを物語っていた。

「さすがだな。あゆこ。初めての相手にここまでさせるなんて。」
「そん・・・なぁ・・・」

僕は急に、恥ずかしさがよみがえってきて、何も答えることが出来ない。
「次はあたしがやりたい!」
立候補したのは、明日香ちゃんだった。

ベッドまでやってきた明日香ちゃんはすぐに孝のコンドームを取って、
精液にまみれた肉棒をつまんで、決定的な一言を放つ。
「君、なくなった梶原くんの弟さんだよね。」
心臓が止まりそうになった。
ベッドの上でまだ動けなかった僕と、真優の目が合った。

反応しちゃ、だめ。
真優の目がそう言っているのが分かった。
「はい、そうです・・・」

真優は、孝のことを知っている。でも、明日香ちゃんまで知っているとは・・・
「このまま、もう一回出来る?」
孝に抱きついて、股間に手を伸ばす。
孝の肉棒はまだ勃起したままだ。

「ねえ。孝くん。あたし、ぶっちゃけちゃうと、亮くんのことが好きだったんだよ。」
どきっ、と僕の胸に何かが突き刺さった。
「中学校の頃から、お兄さんのことが好きで、一中の友達に亮くんがどこの
高校に行くか探ってもらったの。」
明日香ちゃんは、中学校も違ったはず・・・そうか・・・
塾が一緒だった。
僕の記憶が激しく展開する。思いもよらない告白。
男だった僕の無念は突然高まる。真優と並ぶ学園のアイドルが・・・

「地元の高校に入るって聞いたから、あたしそれから猛勉強したの。
でも、結局あんまり仲良くなれなかったけどね。」
「明日香!もうやめなよ。」
真優の声がかかった。

「真優・・・」
僕はあまりのことに呆然とするばかりで、真優が涙を流していたことの意味を
考える余裕もなかった。



「ふふふ。真優・・・真優もあたしとおんなじ。サッカーに一途な亮に手が出せなかった。
それがいつの間にか・・・こうしてる。高校時代も、ずっと好きだった、
大学に入ってからも、忘れられなかった。
お兄さんを誘惑しようと思って、真優に勝とう思って女を磨いたのに、いつの間にか・・・」
そこまで言うと、彼女はしゃべりすぎたと思ったのか、問答無用で孝の肉棒をしゃぶり始めた。

「明日香・・・」
真優は涙を浮かべたまま、切なそうな表情のまま見つめている。
孝が何を考えていたかは分からない。
でも、切ない傷をえぐられるような思いは、その目を見れば分かる。
「う・・・うぅん・・・」
低くうなるような孝のあえぎ声を聞きながら、
僕は、自分のいくつも罪の、それぞれの大きさを心の奥底で感じた。
大きな罪と、自分の中の男を無神経に蹂躙される屈辱を感じていた。

しかし、同時に、感じてしまった。
孝のアソコをしゃぶっている、明日香ちゃんに向けて、嫉妬を感じてしまった。
彼氏のことなど、どこかへ消えてしまっていた。

孝とのセックスは、きっと、相性の問題で、最高の快楽を僕にもたらした。
「あたし・・・どうしよう・・・」
真優のところに戻った僕はぽつりとつぶやく。

真優は僕を抱きとめて、何も言わなかった。
「きもちよかった・・・」
その一言に真優は驚いたような表情に変わる。
次の・・・次のチャンスを僕は早くも狙っていた。

自分が男だったから、そんなに一晩で何度も出来ないことくらい知っているのに、
もう一度、孝くんとしたい・・・そんなことを考えてしまっていた。

ベッドの上では、明日香ちゃんが容赦なく孝の肉棒をしゃぶっていた。

「ねぇ・・・おねがい、入れて。」
デビューしていきなりレンタル店のランキングで軒並み上位に現れた
「清純派」が誘惑している。

「あぁん、あぁん」
孝は求められるまま、明日香ちゃんのアソコに挿入し、
バックから突きまくっていた。
何かを振り払うように、一心に腰を振っている。
兄、亮に対して孝がどんな感情を持っているかは僕には分からないし
知りたくも無い。
でも、容易に想像できる。いつも比較され、簡単に勝つことの出来ない兄の
同級生のアイドルと、思いっきりセックスしているその夢中さの意味が・・・

「すごい・・・初めてなのに。」
隣で真優も、いつの間にかモノほしそうな目をする。
その姿が切ない。この部屋には、いったいどんな魔法がかかっているのだろう。

僕も、ごくんと息を呑む。
息を止めて二人のセックスを見ていた。
弟と、学園のアイドルが、目の前でバックで、結合している。


そして、心のどこかでは、その行為をうらやましく見つめる。
孝が、ではない・・・明日香ちゃんが・・・
孝とセックスしている、明日香ちゃんがうらめしかった。

時間はあっという間に過ぎていく。
僕は舞台を降りたまま、孝の後でほかの男の子と
セックスを続ける明日香ちゃんをうらやましそうに見つめていた。

きもちよさそう・・・
僕の心は、初恋の男と何も考えずに毎日のようにエッチしまくっていた
ある意味純真な少女から、
目の前の快楽に負け、男を求め、本能のままに荒れ狂う
淫乱女・・・メスのそれに変貌していた。
明日香ちゃんへの羨望も、
孝とセックスしていたことのうらやましさから、
何人もの男の子と・・・気持ちよさそうにセックスしていることへの
うらやましさに僕の羨望は変化していく。
 
いつしか、みゆきちゃんや真優も舞台に上がり、
誰彼ともなく交わり始めていた。
孝も、休み休み何人もの女の子とセックスした。

そして、僕も舞台に再び呼ばれるときが来る。

「あゆこ。お前も参加しろ。」
先輩の命令で、僕は奥田くんとのセックスを始める。

「あん・・・きもちいい。」
きもちいい・・・でもなぜか集中できない。

人間の心なんて、勝手なもので、
今度は、孝の目が気になっていた

弟の目の前で、他の男に犯されて・・・感じるなんて
そんな・・・いやだ。

「あぁ・・・ん・・・いい・・・」
だが、そんな、快楽への躊躇も長くは続かない。
弟の目の前だろうがなんだろうが、
奥田くんというテクニシャンの前では僕のカラダは抵抗など出来なかった。


「あ・・・はぁん・・・だめぇ・・・」
羞恥心・・・突然思い出す彼氏の存在・・・感じてはだめだ・・・
そんな思いが何度も僕の頭をよぎる。
でも、次の瞬間には官能がそのためらいを消し去る。
「いやぁ・・・きもち・・・いい」
その繰り返しだった。僕は、アソコに顔をうずめて
弱い部分を集中的に攻める奥田くんの頭を
強引にどかそうとして、力が足りずにあきらめる。

「あはぁん・・・いい・・・よぉ」
次の瞬間には力の抜けた手が、奥田くんの頭を優しくなでている。
どうにもならない・・・この気持ちよさには・・・勝てない・・・

そこからの、主役は僕になった。
「奥田、ストップだ。」
「あ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
先輩の命令で奥田くんが行為をやめる。
僕は荒れた息を戻そうと懸命だった。

「孝に、女のカラダのことを、よく教えてやろう。」
えっ?それってどういうこと?
「まず、あゆこのアソコの毛をそるんだ。」

「えっ?なんですか!それ?」
僕は驚きのあまり大きな声を出す。
「わからないか?せっかくだからお前の卑猥なおまんこで、孝に女の扱い方を教えてやろうというんだ。お前の毛はけっこう薄いとは思う、でも、無い方が見えやすいだろう。いやか?」

「・・・そ・・・そんな・・・」
「いやなのか?」
先輩の冷たい目つきが僕をにらむ・・・反抗できない。

「いや、じゃ・・・ないです・・・でも・・・」
そんなことをされたら・・・あしたから彼氏に会って、
どう説明すればいいのだろう・・・
いや、説明など出来ない・・・

「それじゃ、いいんだな。その後もう一回、あゆこにぶち込んでやれ。」
今度は孝に向かってそう言った。

「・・・」
僕は、新しい誘惑に心を揺らされる。
誘惑にどう応えるかはともかくとして、先輩の命令を拒否することなど出来ないのだが
明日からのことを考えると・・・心が重い。



「さぁ、足を開くんだ。」
市川くんがかみそりをもって、現れた。

「い、いやぁ・・・」
せめてもの抵抗だった。でも、口だけだ。
それ以上の抵抗も出来ない僕は、心のどこかで戸惑い
泣き叫びながらも、カラダに走る快楽をいつも受け入れてしまっていた。

足を閉じようと、僕はしなかったし、彼氏よりも、
目の前の快楽を・・・むさぼったと言っていいと思う。

「はずか・・・しい」
羞恥すら、官能の種だった。
じょり、じょり、そんな音を立てて毛がそられていく。
「はぁ・・・ん」
それで感じてしまうのだから、僕は、ヘンタイといっていいかもしれない。
そして、アソコの毛を剃られながらはっきり確信した。
今日のパーティも、孝とのセックスも、先輩が僕に与えた罰なのだと。

前田くんと、あたしの仲を裂こうとして行われていることなのだと。
それが分かりながらも、目の前にある官能にもう心を奪われている僕は
反抗することも出来ず、じっと剃り終わるのを待ってしまう。

「さぁ、孝くん、ここを見て。」
明日香ちゃんが僕の後ろに回って、背中から僕を抱きとめ、
毛をそり終わったアソコに手を伸ばしてきた。

「あっ・・・」
しなやかな、細い指が僕の割れ目を襲う。
孝がその目を丸くしてこっちを見ている。

「あゆこちゃんは、エッチね。それもすごく。見られてるだけで感じちゃうのね。」
「だめぇ・・・」
明日香ちゃんの腕を軽く掴む。
「ああん・・・」
両手で僕のアソコをひらく明日香ちゃん。耳元から説明の声が聞こえる。
「分かったでしょ。ここにおちんちんをいれるの。
孝くんが初めて入ったのはここ・・・」
「ふぅ・・・ん」
指が、少し穴の中に入る。
「ここの大きなびらびらの中に、小さな穴があって、そこに入るの。
女の子も一人一人微妙に違うところにあるから気をつけてね。
あゆこちゃんは、ここね・・・」
「あ・・・だめぇ・・・」
軽くかき回される。
それでも、新しい汁がでる。それを見られてしまうのが恥ずかしい。

「でも、女の子が一番気持ちいいのは、もっと上にあるところ。」
「あぁん・・・ああん」
クリトリスに明日香ちゃんの指が伸びる。
僕への初恋を戸口博した清楚な少女は
同じ女の子とは思えないほど淫乱に変わり果てた。
そう・・・僕自身と同じように。


「そう、ここがクリトリス。エッチなあゆこちゃんでも、こんなに小さいの。
これでも、大きくなってるの。女の子は、ここが一番気持ちいいの。
優しく、優しく、気持ちよくしてあげてね。」
「あぁん・・・いやぁ・・・」
体から力が抜ける。朦朧とする意識。
細くて優しい指が僕の一番弱いところを攻め立てる。
明日香ちゃんのおっぱいが背中に当たって、柔らかく、温かい。
弟の前で陵辱される・・・ほとんどレズ行為で。

「さぁ、今度は孝くんが触ってみて。」

「いやあ・・・」
孝が、ぼくのアソコに手を伸ばす。
「そうそう、さぁ、ここに指を入れてみて。」

「あぁん・・・」
ぎこちない指が、明日香ちゃんよりもずっと太くて
大きな指が僕の大事なところに入ってくる。
その指を・・・締め付けるように迎える。
「あゆこさん、きもちいい?」
「きもち・・・いい」
孝の質問にそう答えてしまう。

「クリトリスにも、さわってごらん。」
「あぁん・・・だめぇ・・・」
そんな言葉におかまいなく、彼の指は僕の弱いところにも触れる。

「今度は、舐めてみるの。やさしく、やさしくね。」
そんな・・・まだ続けるの・・・?
心のどこかでそう思う僕。
ところが、目は潤んで、本能が孝の舌を悦んで迎える・・・

くちょ、くちょ・・・
いやらしい音が、目を閉じた僕の耳にも届く・・・
「うぅん・・・はぁ・・・」
そして、同じタイミングで官能が体を駆け巡る。
僕はあえぎ声でその官能を逃がすことしか出来ない。

「いい・・・きもちいぃ・・・の・・・」
「そう、うまいうまい。そして、女の子が十分に感じてきたら、聞くの。
次はどうしてほしいの?って」

「あゆこさん・・・次はどうしてほしいの?」

「おちんちん・・・おちんちん入れて・・・」
「あゆこちゃん、それじゃどこに入れるのか分からないでしょ。」



「あぁ・・・いやぁ・・・」
「あゆこさん、教えてよ。どこに入れるの。」

「あぁん・・・あゆこの・・・おまんこ・・・ぐちょぐちょの、おまんこ・・・
いれて・・・孝くんの、おちんちん・・・」
調子に乗って僕のアソコをかき回し続ける孝に、僕は心からお願いする。
もう、兄でも弟でもなかった・・・
一人の淫乱な女の子と、普通の男の子との本能のままの求め合いだった。
本当ならば・・・許されない・・・孝は知らないが、僕は知っている。
無垢な孝にも、罪を犯させてしまう・・・しかし、淫乱な僕には歯止めがかからない。

「それじゃあ・・・」
「あ、まだだめ。あゆこちゃんみたいなエッチな女の子には、
ちゃんとおしゃぶりもさせてあげるの。そうそう、こうやって・・・」

目の前に差し出された肉棒を明日香ちゃんが握って、僕の顔に近づける。
ふたたび、孝の肉棒をしゃぶることになる
切ない・・・まだエッチは先になる。

「あぁん、はぁん・・・」
そして、僕の前に仁王立ちになる孝のアソコを、口だけでしゃぶる。
「はぁん・・・いい・・・」
僕のアソコは、明日香ちゃんがもてあそんでいる。
されるがままの僕・・・追い討ちをかけるように明日香ちゃんが言う。

「孝くん、どう?あゆこちゃんはね、今こう思ってるの。この、立派な孝くんのおちんちんが、あゆこちゃんのおまんこの中で暴れまわるんだ、そしたら、どんなに気持ちいいだろう、って。」
「あぁん・・・あぁん・・・」
ごくん、と孝が息を呑んだのが分かった。
モニターに映るアソコはいやらしく湿り、眼下にはその女が目を潤ませ、上目遣いで
自分の顔を見上げながら肉棒をしゃぶり、湿ったアソコにぶち込まれることを待っている。
明日香ちゃんの言ったことは正しかった。

「あゆこちゃん、そろそろいいわよ。」
僕は、言われるがままにフェラチオをやめて、孝に懇願する。もう一度・・・

「孝くんの、おちんちん・・・あゆこのおまんこにいれて・・・そして、かき回して・・・」

そして、再び弟とつながってしまう。
「あぁん・・・あぁん・・・」
やっぱり、この肉棒はいい・・・病み付きになりそうだ・・・
「いい・・・きもちいい・・・」

孝の肉棒が、僕の中であばれまわる。子宮に届くほど、奥まで刺さり、
締め付ける僕のアソコの中の柔らかい壁とこすりあう。
「はぁ・・・ふぅ・・・ん」
僕は、縮んで、膨らんで・・・いつしか高いところへ向かっていく。
「あぁん・・・いい!」
バックで、騎乗位で、松葉崩しで・・・
何度か射精した後の孝の肉棒は、長持ちし、
そのうえ、体力はまだ有り余っているようだった。
女の子には・・・淫乱な女の子には、たまらない、きもちいい。



「あぁん、あぁん・・・」
このままいつまでも突かれていたい。そう思ってしまう。
カラダの相性・・・きっと、最高に合ってしまったのだ。
運命のいたずらだった。

「あん・・・いぃ・・・きもちいぃ・・」
頭の中では、片隅にある、彼氏が・・・前田くんが膨らみだしていた。
あたし・・・最低だ・・・どうしよう・・・
「あぁん・・・あぁん・・・」
その、悪いことをしている感覚・・・また官能を高めてしまう。

淫乱な自分・・・いやらしい自分・・・
弟だった孝に、それを存分に教え込まれてしまう・・・いやらしい僕。

そして、顔は桜色に染まり、瞳は官能にむせび泣き、
男を誘うようにカラダはうっすらと汗でにじんで、髪を振り乱して
軽く鼻にかかったあえぎ声が、ずぅっと色っぽく変わっていく

「はぁ・・・いや・・・だめぇ!」
僕は・・・自分が今まで知らなかった世界に足を踏み入れたことを知った。
美しく、かわいくて、エロい女。
極上の名器を持ち、極上のあえぎ声で男を誘う。
淫乱な運命に逆らえない・・・僕の造られたかカラダの持つ
淫乱女の才能が、花開いた。

「あ、あぁ、いっちゃうよ、あゆこさん!」
ようやく、といっていいほど長い時間をかけて、孝はようやく
果てた・・・

「はぁ・・・はぁ・・・いやぁ・・・ん」
罪悪感と快楽・・・僕の両目から涙が流れていた。
「くすくす、泣いちゃうほど気持ちよかったんだって。」
明日香ちゃんの言葉は、ほとんど正しい。

だが、僕のことを冷静に見ていられたのは女の子たちだけで
男の子たちは、みんな僕の乱れる姿を、あっけにとられるように見ていた。
全員が、股間を膨らませてみていた。

すこしだけ・・・明日からのことが心配だった。
そして、この2ヶ月間夢を見てきた自分が、
淫乱な・・・作られたAV女優・・・セックスするための女の子としての
現実を目の前に突きつけられた瞬間でもあった。

そして、次の瞬間、誰かが僕を次に抱こうとして、名乗り出たのが聞こえた。
盛り上がった感情・・・僕も早く次の肉棒を迎えたかった。
だが、一人だけではすまない。

次の瞬間、僕のカラダは三人の男にあっという間に陵辱されていく。

「あぁ・・・ん・・・いや・・・」
左手、口、そしてアソコ・・・
それから先はもう夢中だった。

僕のカラダは、まったく解放されることなく、この日の主役は完全に交代した。
男の子たちは、飽きることなく僕のカラダを味わう。



「あぁん・・・ふぅ・・・ん・・・きもち、いぃ」
誰かにまたがって上下に腰を振り、右手が誰かの肉棒をしごいて
あえぎ声を全開にして官能に浸る僕をみて、
「あのこ・・・まるで怪物・・・」
明日香ちゃんのそんな呟きが耳に入った。
怪物・・・そんな表現がはしいかもしれない。
僕がどうしてこんなに男の子たちを魅了し、飽きることなく次々と・・・
しかも、「パーティ」で明日香ちゃんや真優ともエッチできる彼らを・・・

6人の女の子とセックスした孝までも、
3度目を望んで、僕のカラダを奪う隙をうかがっていた。
どうして、性欲をみなぎらせた男たちが僕に群がるのか
どうして、この場にいる真優や、明日香ちゃんや、居並ぶ美女たちよりも
僕を選ぶのか、女の子に生まれ変わった僕自身にも分からない。

「せん・・・ぱい・・・」
そして、中野先輩が僕を抱く。
こんな汚れたカラダを・・・僕は先輩に抱かれることを少し躊躇した。

「いやぁ・・・ん・・・だめ・・・」
それでも、カラダは弱いところをいじられると、反応してしまう。
「やさしくして・・・もっと・・・」
切ない乙女の気持ちを、先輩にぶつける。
「あゆこ、四つんばいになるんだ。さぁ、バックから突いてやる。」
「はい・・・」
その気持ちはかなえられることなく踏みにじられる。
だが、肉棒が入ってくる。天国がまた始まる。
僕は道具でしかない・・・そのことが、心に突き刺さる。
突き刺さった切なさは、いつの間にか官能に変換され・・・あえぎ声に昇華する。
「あはぁ・・・いい、気持ちいいのぉ」

あっという間に時間は過ぎる。入れ替わり、他の男の子とも
何度も何度もセックスしながら。
自分の感じる気持ちよさだけではなくて、男の子たちを誘惑することについても
僕のカラダは・・・僕の意思に関係なく、目覚めてしまった。

男たちのおもちゃにされて、それを悦びながら、
新しい世界に足を踏み入れた僕は、明日からのことまで
考える余裕がなかった。



「あゆこ、疲れたでしょ。」

嵐のような夜が明け、パーティが終わると、参加者たちはそれぞれに帰るなり、その場で寝るなりする。
信じられない回数のセックスを楽しんだ僕は、
呆然とその快楽の余韻に浸り、裸のままベッドに座っていた。
そんな僕に真優が、コーヒーをもって話しかけてきた。

「あり・・・がとう。」
エアコンの効いた部屋で、裸の僕には、真優の入れてくれた熱くて、
ミルクたっぷりの、甘いコーヒーが染み渡るようだった。
「おいしい・・・」

まだ、処理できていなかった。
彼氏のこと、孝のこと・・・セックスが気持ちよかったこと・・・
じわっと、目に涙が浮かんでくる。
「あゆこ、どうしたの?」
男物のTシャツ一枚の真優が、隣に座る。

「なんでもない・・・なんでもないの・・・」
首を横に振って気丈に振舞おうとする僕。横に座った真優はそんな僕の
手を握ってくれた。

「う・・・真優ぅ・・・」
僕は真優の胸に顔をうずめた。
何もしゃべらず、音をたてずに泣いた。

彼氏がいる身なのに、一晩中たくさんの男の子とのセックスを楽しんだ。
弟だった男ともセックスした。
そのセックスを心から楽しんでしまった・・・

パーティにいる女の子はみんなAV女優・・・
セックスのプロの中で、ひときわ目立つような女になってしまった自分を
処理できずに泣いた。
コーヒーの温かさも、真優の温かさも、この切なさから僕を救い出してはくれない。
エアコンの効いた朝の部屋の冷えた空気は、生きる人間の持つ
ぬくもりを僕から奪っていくようだった。
真優の温かさが、ほんの少しだけそんな僕を暖める。


「あゆこ、実はね・・・」
ようやく泣き止んだ僕に真優が話しかける。

「みんなにあゆこのケータイを教えたから、覚悟しておいてね・・・」
「・・・どういうこと?」

今まで、パーティの参加者たちから、僕に直接連絡があることは無かった。
だが、男の子たちは、今日、中野先輩の指示で、
僕のケータイの番号と、メールアドレスを教えられたのだという。

「そんな・・・」
僕には、それがどういうことかすぐに分かった。

孝や、奥田くんや・・・他の男の子たちが、僕のカラダ目当てに「会いたい」と、いってきたら、
断る自信がない。

いや、断ることは出来る。でも、彼氏といるときに不自然に何人もの
男の子から連絡があったら・・・

改めて思い知った。今日の出来事が、「彼氏」を作って
普通の女の子としての生活を楽しんだ、僕に対する
中野先輩の「罰」だと。

なぜ、なにがいけなかったのかは分からない。でも、
「彼氏」との生活は・・・幸せな生活は、
もう、終わってしまいそうだった。

僕の生活は、今日を境に、永遠に変わってしまった。
弟との・・・そしてたくさんの男の子とのセックスで
今までとは違う快楽を知ってしまった僕が、彼氏とのセックスだけで
満足できるはずも無いことは、本能的に分かっていた。

甘い日々は終わったのだ。

でも、認めたくは無かった。

「そ、そう。わかった・・・」
真優の通知に、しばらくほうけるように考え込んで、僕は生返事を返した。

「あゆこ。おつかれさま。」
部屋の遠くでそんな声が聞こえた。
中野先輩が帰っていくところだった。



「は、はい・・・」
先輩と僕はしばらく見つめあった。その冷たいような、温かいような
包み込むような魔力を持った目が、僕に訴えかける。

彼氏と別れろ、そう言ってるように聞こえる。
たしかに、聞こえる。そして、昔から僕は先輩の目が語ることを
正しく読み取ることが得意だった。

今回も、間違いない・・・そう確信した。
彼氏と別れて・・・たった一人の男の子とではなく
もっと乱れた性生活に、身を投げろ、そう、命令しているように聞こえた。

はむかうことなど出来なかった。
そして、今から考えれば、僕自身、そんな生活を望んでいたのだと思う。

まじめに、男など作らずに女子大生として過ごしていれば、
先輩はこんなにはやく僕を、他の男の子たちに解禁しなかったかもしれない。

彼氏を作って、男遊びを覚えてしまった僕の目の前に
突然現れた新しい世界は、
女の子に生まれ変わったこととおなじくらい、
いや、ひょっとすればそれ以上に、僕にとって劇的な変化になった。

先輩の思ったよりも、ずっと早く女としての自分を受け入れ、
彼氏まで作って、カラダをつかって男の子を魅了することを覚えてしまった僕・・・
次のステップは、もっと、ずっと、刺激的だった。

このカラダ・・・明日香ちゃんが「怪物」と表現したこのカラダ。
僕はそのカラダが感じる官能を我慢できない女だ。
初めて女の子として目覚めたあの日から、いつも、
セックスの気持ちよさに負けて、女の子としての生活の楽しさに負けて
男だった自分を記憶の片隅に追いやってきた。

でも、まだ先があった。
一晩かけて僕が味わったものは、天国だった。
天国の快楽だった。

でも、この世にいながら天国を見ることが、同時に地獄を見ることだと
思い知らされていた。
そして、今自分がいる世界は、男だった自分が住んでいた自分とは
まるで別世界だと考えた。

僕は、亮、と呼ばれていた男の子じゃない。
孝の兄でも、真優の幼馴染でも、先輩とコンビを組んで活躍したサッカー選手でも
明日香ちゃんの初恋の男でも、なんでもない。

ただの女子大生だ。普通の女の子だ。亮とは関係ない。

眠ることの出来ない朝。僕の頭の中は、前田くんのことでいっぱいで、
どうしたら言い訳できるか、どうしたら別れずにすむか、
答えの出ない質問を自分の頭の中で繰り返していた。


口を半開きで、自分の部屋で呆けている僕に、真優が話しかけてきたのは、
もう午後二時過ぎのことだった。

「あゆこ、さっきからケータイがずっと光ってるんだけど・・・」
音を切っておいたケータイにどれだけ着信があるか、メールが来ているか
はっきり言って見たくも無かった。

彼氏からの連絡でも、他の男の子たちからの誘いでも
バイト先でも、友達でも・・・
とにかく、どうしたらいいか分からなかった。

「真優・・・どうしよう。あたし、どうしたらいいんだろう・・・」
「彼氏のこと?」
僕はこくんとうなずいた。

「あゆこの彼氏が・・・あゆこのことが本当に好きだったら、
別れることなんかないと思うよ。だって・・・」

真優の話は、僕の胸にそれなりに響いた。
でも、なにか話がずれていることに気がついた。

僕は、自分の気持ちに気がついていた。

「あゆこは、どうしたいの?」
真優に、そう聞かれて、自分の気持ちに気がついた。
「あ・・・あたしは・・・」

そこで口をつぐんだ。僕はその気持ちを真優に伝えることを躊躇した。
「あ・・・あたし」
一度うつむいた僕が真優の目を見て話そうとすると、
真優は人差し指を僕の唇に押し当てて話を止めた。

「あゆこ・・・あなたは普通の女の子だよ。」
・・・僕は、涙をにじませながらうなずく。
「でもね・・・あたしもおんなじ。あたしも・・・それから明日香も、
普通の女の子だった。
でも、でも・・・いつかあゆこが言ってたように、
神様に選ばれた・・・選ばれてしまった。」

「まゆ・・・ひっく・・・どういうこと?」
「いい?あなたもきっとあたしと同じ。あたしも、明日香も、亮のことが好きだったのに、
中野先輩には勝てなかった・・・
たまたま、中野先輩が近くにいて・・・たまたまちょっとかわいかったから、
セックスして全国の男にオナニーされる女になってしまった。
でも、それは、神様に選ばれたことだから、しかたないの。」


「真優・・・」
涙がとまった。真優の話はなおも続いた。
「先輩に、あの目で説得されると、あたしも明日香も反抗できない。
きっと、あゆこも一緒でしょ?だから、せめてあたしと一緒に、
この運命を生き抜いてほしい・・・の。」

「真優・・・」
僕は、いま、初めて気づいた。
真優の心の中では、あゆこは、いまだに「亮」のままだと。
男の体こそ持っていないが、どうしても近くにいてほしい、と
本気で願っているのだ、と。

「あゆこ・・・あなたは普通の女の子だから、彼氏と付き合っても、
普通の生活を楽しんでもいいんだよ。でも・・・
きっと、普通の女の子だから、それで、ちょっとかわいいから
先輩がそう求めたら、AV女優になることも拒否できない。
だから・・・」

そこまで聞いて、僕は反対に、真優の唇に人差し指を押し当てた。
「分かった・・・分かったよ。真優。
もう、これ以上言わなくてもいい。あたし、
自分の運命、受け入れる。そして・・・」
「そして・・・何?」

「真優と一緒に生きる。ずっと、真優の近くにいるから・・・
だから、安心して。」

真優の涙から大粒の涙があふれた。

「わぁ・・・ひっく・・・ごめん、ね・・・あたしのせいで・・・
こんなことに・・・ごめんね・・・」

全てを語る真優の涙・・・先輩の毒牙にかかり、
AV女優になりながらも、どうしても僕を求めた真優は、
先輩の提案・・・僕を女の子に変えて「理想のAV女優」として
プロデュースすることに賛成した。

今、僕は、真優の気持ちが全て理解できた。先輩の魔法のような・・・逆らえない力
そして、僕への思い・・・

悲劇をいくつも経て、僕と真優は始めて心の底から愛し合っていることを知った。
「きっと、ずっと、一緒だよ。」
僕が泣きじゃくる真優を抱きしめてそう言った言葉に嘘はなかった。
抱きしめた胸より、腕より、背中にまで流れてくる涙が、温かかった。


そして、自分が次にするべきことを知った。
彼氏とは・・・前田くんとは、別れなければいけない。

女の子・・・普通の女の子として、彼氏を作ることはとても楽しいことだったし
彼氏を心の底から愛しているつもりだった。
でも、決定的に・・・彼を裏切ってしまったことは
女として許されることではなかったし、

真優との愛を、心の中で誓った僕にとって、彼氏の存在は、矛盾するものでしかなかった。

夜、眠い目をしながら、でも少しも寝ることの出来ないまま
僕は前田くんに会いに行った。

「さ、うちにいこう。」
「待って、ちょっと。」

いつものように駅でまち合わせて、自分の部屋に向かおうとする彼を止めた。
「大事な話があるの。」

真顔で振り返った彼の不安そうな顔が、あたしは忘れられない。

公園で、別れ話をするはずだった。
でも、意を決したはずのあたしの口から出たのは思わぬ言葉だった。

「ねぇ、あたし・・・あの・・・」
彼は、あたしの不安そうな姿を見ても、決して動じず、温かい目で
話し始めようとするあたしを見つめていた。
これから、話すことを聞いたら・・・彼はどうなってしまうのだろう・・・
彼を失いたくない・・・この幸せを自ら捨てられない・・・

「あたし・・・あの・・・昨日・・・」
「どうしたの?なに?」
「ア、アソコの毛、そっちゃった。この前、見たいっていってたでしょ。
つるつるにして・・・その・・・おまんこを・・・」
「えっ?そんなことしたの?」

「・・・見られてる前で剃るのは、ちょっと恥ずかしいから・・・
でも、そってほしいっていうから・・・だから・・・」
罪作りな僕だった。
顔を赤くして、目を節目がちにして、昨日アソコの毛を剃られたことすら
彼の希望のせいにしてしまった。

このいじらしさに、彼の欲望に火がついた。
「ねぇ、それじゃ、早く帰ろうか」
彼があたしの耳元でささやく。
顔がますます赤くなる。
淫乱な女でも、彼とのセックスはその度に新しい。
胸をときめかせて、愛し合う。テクニックの問題ではない。
気持ちの通じ合いで、あたしは感じる。
そのことを思い出してしまったら、次の行動は止められない・・・

早く帰っていやらしいことをされたい、という淫乱な欲望と
彼の前ではかわいい女の子のまま、綺麗な女の子のままいたかったという勝手な思いが
次の悲劇の引き金になってしまうことは知るはずも無かった。


どこまでも自分勝手な僕は、家が近づくにつれて、心が弾みだしていることに、
彼から逃げるためではなくて、早くいやらしいことをされたくて走っていることには
気がついていた。
そして、彼との思い出が頭の中を駆け巡る。
あたしは、彼の前でだけ、本当に女の子でいることが出来た。
男としてではない、作られた女としてでもない、ただの女の子として
彼の前でだけは、そうなることが出来た。

それは、きっと、甘い夢だった。
僕は、自分が、セックスのために男から帰られた女だということ
そして、セックスにおぼれていく自分をどこかで嫌悪しながら
それを止めることは出来なかった。

体中を走り回る官能には決して勝てないことを
男に支配され、カラダをもてあそばれ、与えられる快楽には勝てないことを
はっきりと自覚していた。

「あぁん・・・あぁん・・・」
あたしは別れ話をしようと思っていた一時間後には
いつものように彼のベッドの上で腰を振っていた。

「この前、剃ってみたいって言ってたでしょ。でも、目の前で剃るのは恥ずかしいから・・・」
アソコの毛が剃られていることも、適当な言い訳でしのいだ。

「あぁ・・・いぃ・・・ふぅん、あぁん」
昨日の夜は孝や他の男の子とのセックスの気持ちよさで心の底から犯されていた。
でも、孝ほど気持ちよくなくても、気持ちが・・・
あたしの心は女の子として、この人に恋しているから
抱かれているだけで、肌が触れているだけで、心が温かくなる。

彼を裏切っていることをつらく思わないわけではなかった。
でも、彼をかなしませることがどうしても出来なかった。
それに・・・どうしても欲望を抑えることができなかった。

エッチな欲望を抑えられるような女じゃない。僕は彼の部屋で朝を迎える頃
自分の浅ましさを悲しく思い、一人で泣いていた。

淫乱な欲望を持つ女と、彼に恋する乙女。二人の自分がいた。
感情が整理できなかった。きっと、この涙は、
自分の中で二人のあゆこが戦っているしるしだとおもう。
誰も勝負を決めることが出来ない悲しい戦い。淫乱な自分と乙女の自分。


乙女のあたしは、とにかく大好きな彼氏を失いたくないから、嘘をついてでも
淫乱なあゆこを隠そうとしている。
それが彼を裏切っていることだということも分かっていた。
あゆこは、いったい、どうすればいいの?

そんな思いが駆け巡る。
そして、目の前にある愛をいつも受け入れてしまう自分を嫌悪する。
真優の涙を目の前にすれば真優を・・・
前田くんを目の前にすれば前田くんを・・・

しかも、その愛は、カラダの求める快楽とは、必ずしも関係ないことが厄介だった。
だから、涙が止まらない。
セックスが終わって・・・隣で幸せそうにすやすやと眠る彼を見ていると
自分の罪の大きさと、運命の残酷さを思い知る。

彼を、巻き込みたくない・・・この残酷な運命に・・・
そう思っても、なかなか踏み出せない。

そして、その日から、本物の淫乱女の生活が始まっていたのだった。

朝、家に帰った僕を待っていたのは、真優と2人の男の子だった。
「お帰りなさい。あゆこ。」
「真優、それに、市川くん・・・奥田・・・くん・・・どうしたの?」

「今日、暇だよね。出かけるから準備して。」
そして、僕は2対2のデートに連れ出された。

行き先は、映画館やら、ショッピングやらで、女の子の普通の一日を、
真優と一緒に楽しんだ。
そして、夜になると、ラブホテルに連れて行かれた。

「真優・・・あたし・・・」
「あゆこ、どうしたの?今日一日楽しんだでしょ?」
僕の中に残っている男に、昨日はあれほどすがっていた真優が、
女の子の僕の気持ちなんか何も考えていないことがショックだった。

「さぁ、今日もたっぷりかわいがってあげる。」
奥田くんが耳元でささやくと、僕の胸はきゅん、となる。
「あぁん・・・」
それだけのことで、軽いあえぎ声が漏れてしまう。ホテルの駐車場。
僕はパーティでの行為のうち、奥田くんとのセックスの記憶を
正しく頭の片隅から取り出して、反芻する。

「かわいがってあげるよ」という言葉は僕に魔法をかける。
望もうと望むまいと、男の子たちは僕のカラダを求め、
僕は求められるとそれに応じてしまう。
とろん、とした目つきにはや代わりした僕は、
真優と二人手をつないで、男の子たちに連れられ、エッチなことをするための
部屋へと向かう。


「あたしたち、シャワーに行ってるね。」
真優が僕の服を脱がせて手を引っ張って、バスルームへと誘う。

「あゆこ、今日はごめんね。」
「真優・・・」
さっきまで楽しそうだった真優の目が急に寂しそうに変わった。

「あたし・・・ごめん・・・でも、これも・・・」
しばらく見つめあったあと、真優は何かを言いかけて飲み込んだ。
「真優、どうしたの?あっ・・・」
真優は突然僕の前にひざまずいて、これから二人の男の子とのセックスを待ちわびる
僕のアソコを癒すように舐め始める。
「あぁ、ん・・・まゆぅ・・・」
温かいシャワーが僕の胸にかかっていた。あっという間に僕の肌はピンク色に染まる。
足に真優の柔らかい胸があたって、気持ちいい。
「あは・・・あぁん」
僕の気持ちいいところを分かっていて、丁寧に舐めてくる真優。
その下の動きは、しなやかで、男の子たちとは違う方法で
僕を天国へと連れて行くようだった。

「あぁん・・・まゆ・・・いい・・・」
僕の持つ女のカラダと目の前で奉仕する真優、
真優はきっと、レズ行為をしながらも僕の中に男を求めている。
でも、僕の口から漏れるあえぎ声は、美少女のそれでしかない。
「あぁん・・・あぁん・・・」
真優の頭を抱えて精一杯なでる。僕を天国に連れて行こうとする真優を
僕の中の男が、精一杯かわいがろうとする。

「あはぁん・・・あぁん・・・」
真優もそのことにきっと気づいている。
そして、二人の行為に、二人の男が乱入してくる。

「何二人で始めちゃってるの?」
この瞬間、僕は完全に女に変わる。
真優にとって、僕は、都合のいい存在だった。
二人でいるときには男のフリをしなければいけない。
男の子が入ってくると、二人で並んで犯される。

そのことに応えてしまっている僕が、彼氏を裏切っていることも
少しずつ気づき始めていた。
肉体的に、完全に裏切っていることに加えて、
真優との精神的な交わりは・・・彼氏との関係とは両立しない。

裏切りの・・・言い訳のできない4Pが始まる。
「入れて・・・ください・・・」
真優の見ている前で市川くんに懇願する僕の目はメスのそれだった。
鏡に映る自分の姿は、発情するメスそのものだった。
僕は、目の前にいる真優さえも裏切っていた。
男の子の手がふれると、その瞬間僕は、真優の前での
優しい男の目をどこかに忘れたように、メスへと変貌する。

「あぁ・・・ぁん・・・」
女の子に生まれ変わって4か月とちょっと、
女の子に生まれ変わったその日に初めて味わった快感と苦痛と屈辱と官能が
また、僕に繰り返される。

「はぁん・・・ふぅ」
目を閉じて、淫裂を割って僕のカラダへとねじ込まれる温かい肉棒を感じる
気持ちいい・・・感じる・・・


「ぃゃ・・・だめぇ・・・」
屈辱と均衡していたはずの官能が、いつしか僕の中で大勢となっていく
「あぁん・・・あぁん・・・」
覚えてしまったこの感覚・・・男に陵辱され、
感じてしまうこの感覚・・・セックスの度ごとに堕ちていくこの感覚
女として、男を失ったものとして、僕はたまらない感覚を得ていた。

「あぁん、あん、はん」
隣で真優も犯されている。いや、楽しんでいる。
真優もまた、僕を裏切っていた。

本当の、淫乱女の生活が始まっていた。

「ねえあゆこちゃん。どこかに旅行に行かない?」
「えっ?」
夏休みを直前に付き合い始めたあたしと前田くん。
お盆が終わる頃、突然こんなことを彼氏が言い出した。

「えっ・・・どこに?」
あたしは正直言って戸惑いながら、拒否することは無かった。
どこかへ逃げたい。一瞬でもいいからどこかへ連れ出してほしいという
気持ちがはたらいたのだろう。

「うん、どこがいいかなと思って。急だから海外はムリかな。」
「お金あんまり無いでしょ?」
「はは、そんなことは・・・でも、どこかいこうよ。」

あたしは、お金は何とかするから、どこかに彼が連れ出してくれることが
うれしくてたまらなくて、
「うん、いいよ。いつ?」

場所はどこでもよかった。この東京から、淫乱女の生活から逃げ出せるなら。
「それじゃ、来週の火曜日くらいにしようか。」
二泊三日の日常からの逃亡。
旅に出る。そんな、日常を抜け出すことのできる魔法のような言葉に
すっかり浮かれていた。

彼がバイトをしている昼間は毎日のように彼を裏切っていた。
僕のバイトは夕方からだから、朝から昼は、体が空く。
その隙間は、男の子たちが有無を言わさず埋めた。

「んふぅ・・・・あぁん」
そんな毎日から、三日間だけでも抜け出すことができる。
義務のように与えられる快楽にも、そう思うとおぼれずに済むような気がする。


明日から旅行ということは、真優以外には話していなかった。
そんな日、久しぶりに中野先輩が僕とセックスするために僕を呼び出した。

「あゆこ、お前は何をするために生まれてきたんだ?」
「えっ?なん・・・ですか?いきなり。」

「最近のお前は、毎日いろんな男とセックスしてるらしいが、
適当にこなしているようじゃないか。それでいいと思っているのか?」
「・・・」
僕は突然の問いかけに頭の中が真っ白になった。
初めて知った。毎日のように僕を犯しにやってくる男の子たちは、
そのことをいちいち先輩に報告していたのだ。

「セックスの気持ちよさに飽きたのか?」
「そ、そ、そんな・・・」
下を向いて僕は動けなくなる。答えられなかった。
「今日は、徹底的に再教育してやる。覚悟しろ。」
胸がきゅん、となる。答えられなくなったのは、この展開を予想していたからだ。
先輩が一対一のセックスで「徹底的に再教育」することを僕に宣告した。
何が始まるのか、想像もつかなかった。

「は・・・い・・・」
自分の知らない・・・いや、知っていたけれども久しぶりに現れた
もうひとりのあゆこが僕の心に生まれた。
「それじゃ、まずはオナニーしてみろ。」
「えっ?」

僕は、オナニーなんかしたことが無かった。いつ以来だろう。
男に飢えることも無く、いやらしい気持ちを溜め込むこともなかった僕には
オナニーする必要もなかった。
でも、先輩はいきなり、僕に目の前でのオナニーを要求した。

「聞こえなかったのか?ほら、ベッドにいけ。いやならそこのソファでもいいぞ。」
「は・・・はい。」
先輩に抱いてもらえることをせめてもの救いと思っていた僕は
自分の指で自分自身を慰めることに一種の屈辱を感じていた。
「せ・・・んぱい・・・みててください・・・」

それでも、ソファに座ると、スカートをたくし上げて、足をまげて、
先輩にパンティが見えるようにして、上からアソコを刺激し始める。
「ふぅ・・・あはぁ」
自分のしなやかな指がいきなりパンティの上からクリトリスに触れる。
僕の全てを支配するという不思議な輝きを持った先輩の目が見つめている
そのことが僕の興奮を高める。
「いやぁ・・・ん」

エッチな汁が少しずつにじみ出てくる割れ目をやさしく刺激する。
僕は、自分がどうすれば気持ちよくなるか、そのことに集中しようとする。
でも、いろんなことが頭をよぎる。
彼氏のこと、真優のこと、男の子たちのこと、
「あはぁ・・・ん」
いつの間にか、頭で考えることとは関係なく、指が勝手に動き出すような気がする、
パンティの上からいやらしい汁をにじませることに飽き足らなくなった僕は
自分でも気づかないうちに、パンティの中に手をいれ、クリトリスを直に
指で刺激しだした。



「はぁん・・・あぁん・・・いい・・・」
その僕に、先輩が近づいてくる。
いや、近づいてこないで・・・僕はそう願った。
いま、頭の中では彼氏のこと、真優のこと・・・いろんなことが駆け巡っていた。
先輩の手が僕にふれれば、その瞬間から、そんな全てが吹き飛んで
先輩の体とのふれあいで僕は天国へと導かれてしまう。
自分が望むと望むまいと。

だから、近づいてこないで、やめて。
「あぁん、いや・・・あぁん」
そう思うときほど、拒否の言葉はあえぎ声にすらでてこない。
すぐに先輩に口付けされ、全てを忘れて、先輩とのセックスが始まってしまう。

「だめ・・・だめぇ・・・」
僕の華奢な体に似合う小さなアソコの入り口が、
先輩を受け入れるために悦んで広がり始めると、ようやく拒否の言葉が口からでる。
「あぁん、だめぇ」
でも、かわいくうわずった、あえぎ声まじりの言葉では説得力などない。

「だめ?やめてもいいのか?」
先輩の冷たい目で見つめられると、僕の心がとろけてしまう。
「い、いや・・・ぁ・・・続けて・・・あはぁ」
その言葉をきくと、先輩はゆっくり動き始める。
「いい・・・あぁん、あぁん」
結局従順に従ってしまう淫乱な僕は、心の片隅に明日からの逃亡のこと
彼氏のことを抱えながらも、結局これ以上ないいやらしい声を出して
体中を桜色に染めて感じてしまう。

計算するようになっていた。
女の子になって、最初のうちは、女の子のカラダが生み出す快楽がいちいち
気持ちよくて、ただただ夢中でよがり声を上げていた。

先輩や、パーティの男の子たちとセックスしても、それはセックスするための
関係だったから、何も無邪気にあえいでいれば、相手も僕が感じているのが分かって
それで次の行為へと移っていったのだと思う。

あたしは、彼氏とセックスするようになってから少し変わった。
前田くんは・・・先輩たちほどセックスがうまくなかったから
胸をもむ手つきも、腰の振り方も、ぎこちなかったから、
先輩たちとするときほど、無邪気にあえぐことができなかった。

あたしは、彼氏を喜ばせたいとおもった。
「あ・・・あぁん・・・」



だから、そのために・・・そう言い訳していた。
そんなことを思い出していると、先輩の動きが急に止まる。
「ふぅ・・・ん・・・とめないで・・・」
僕はカラダ中を駆け巡る官能がストップしたことの不満を訴える。
先輩は体位を変えて、僕を四つんばいにする。
「いやぁん・・・」

焦点の合わない目で軽く息を乱して、先輩を誘う。
彼氏を喜ばせたいとはじめて思ったあの日から、計算することを覚えた。
最初は、ただ、先輩たちよりももっと大好きな前田くんとのセックスが
先輩たちとのセックスよりも気持ちよくないことが悔しくて
前田君とのセックスの方が気持ちいいと、自分に言い聞かせようとしていただけだった。

「あはぁ・・・ん、あん、あぁん」
先輩が後ろから僕をつき始める。立派な肉棒が僕の狭いアソコの中で暴れまわると
演技するまでも無く、勝手に声が出る。
「いやぁん・・・あぁん・・・・・・きもちいい!」
先輩とのセックスの方が、彼氏とするよりも気持ちいい。
そのことが今は悔しい僕は、なんとかしてその声を止めようとする。
でも、その思いは「いや」とか「だめ」という言葉にはなっても、
あえぎ声自体は止まってくれない。

「あぁん、あん、あん」
腕を掴まれてカラダが離れないようにされると、さらに激しさを増して先輩が動く
先輩相手でも、指でアソコをいじられたり、胸をもまれたりすると、感じている以上に
声を上げて演技しようとするじぶんと正反対の
このセックスで感じたくないのに、どうしても狂ったように感じてしまう自分が
止めようとしても止められない。

「あぁん・・・」
先輩は再び動きを止め、僕を転がすと、次の行動の準備をする。

「はぁ・・・いやぁん・・・」
理性は感じすぎることをあれほど嫌がっていたのに、一瞬でも解放されると
そのことを不満に感じてしまう正直な自分がいやだった。
成長し続ける女の子としての僕。彼氏を大切にしようとしていた。
でも、カラダは止められない。悔しくても、先輩は
太くて、先がぐるぐると動くバイブを握って僕に近づく。

「さあ、あゆこ、足を開け。」
言われるままに足を開く僕。屈辱と、快感への期待。
恐ろしいほど矛盾した二つの感情は、実は同じ方向を向いていることを知っていた。



「はい・・・あぁん・・・」
僕の秘裂を割って、ずぶずぶと侵入し始める大人のおもちゃ・・・
先輩との交わりで分泌された蜜が、おもちゃの横から湧き出る。
これ以上ないほど卑猥な光景は僕の目にもしっかりと映る。
先輩もしっかりとそれを見ている。

「いやぁ・・・だめ・・・」
抱き起こされた僕は目をそらすように、快感を逃がすように、上を向く。
知っていた。その動作がセクシーで、先輩の性欲を増してしまうことを。
屈辱と期待という二つの感情は矛盾し、心の中で敵対しながら
僕のカラダを、快楽の高みに上らせようと協力する。
理性は対抗することができない。彼氏の存在はその瞬間吹っ飛ぶ。

「うぐぅ・・・あぁん・・・」
上を向いていた僕の髪を掴んだ先輩は、正面に戻した僕の口へと
肉棒を突っ込む。
今まで自分の中に入っていた肉棒・・・自分の蜜と先輩の体液の混ざった
いやらしい汁の味が口いっぱいに広がる。

「あぁん・・・ふぅ・・・ん」
屈辱と期待は、また僕の感情の中で対立し、和解し、
先輩の腰が動きはじめるとともに外部からの侵入を受け入れ
舌を先輩の裏すじに這わせるように配置するように命令する。

「あぁん・・・あん」
アソコのなかにはおもちゃがぐるぐると動き回っている。先輩は僕の口に
肉棒を突っ込んだまま横になり、シックスナインの体勢になって
僕のアソコをバイブでかき回し始める。

「はぁ・・・ああん」
口の中を陵辱され、アソコをかき回され、僕は官能の絶頂にいた。
きもちいい。理性の吹っ飛んだ後の僕はいつも官能の奴隷になる。
バイブも、先輩の肉棒も、極上の世界を僕に見せてくれる。
抵抗などできない。受け入れるしかなかった。

先輩の調教は・・・パーティでの行為に比べれば普通のことしかしない。
でも、女の子としての僕に、いつも決定的な何かを教え込む。
僕は、快楽だけではない、逃げ出すことのできない大きな力に抑え込まれて
それでいながら抵抗することもできない、淫乱な自分を
結局はさらけ出してしまうだけだった。

先輩に抱かれたまま眠り、朝、早くに家に帰り旅行の準備を急いだ。
彼氏以外の男に抱かれた後は、いつも、ひどい自己嫌悪に陥る。
そのつらさから逃れたくて、何か仕事を始める。
そして、時間がたてば、いつの間にか彼氏と会う時間になる。

今日は、朝から旅行だから、彼氏と会う時間早くやってくるのが
救いだった。


「それじゃ、真優、いってきます。」
「・・・あゆこ。気をつけてね。」
「うん、お土産買ってくるから。」



「・・・」
真優が何かを言いかけて言葉を呑んだのが分かった。
「なに・・・?」
「あのね・・・これ、もって行って。」
差し出されたのは、一枚のキャッシュカードだった。

「なに?これ。いいの?」
「これ、お金は結構入ってるから。あたしの・・・暗証番号は、亮の・・・誕生日だから。」

「えっ?」
いまさらながら、真優が、僕の、亮としての誕生日を
暗証番号に使っていたことに驚いた。

「でも、いいの?」
「あゆこ・・・あのね。もう時間が無いから言うけど・・・」
「なに?どうしたの?」
僕は不安になる。どんな告白が待っているのか気になる。
「中野先輩が、あなたのデビューの時期を考え始めてるの。それでね、
デビューしちゃうと、なかなか彼氏との関係も厳しいと思うの。だから・・・」

真優はそこで言葉を止めた。
「あ、ありが・・・とう。うん。」
僕はとりあえずこのカードの意味を考えながら、お礼だけ言った。
「あたしにできるのは、これくらいなの・・・あゆこ、じゃあね。」

そういうと、真優は部屋の奥へと去っていった。
「・・・いって・・・きます・・・」
僕は意味深な真優の言葉に引きずられながらも、とりあえず彼との
待ち合わせ場所に向かった。

彼氏にとっては、あたしの心の中の悩みなどは関係ない。
付き合い始めて間もない彼女との、旅行
19歳の少年にそのことが何を意味するのか、分かりきったことだった。
無邪気な少年との旅行は、セックスのためのものに違いなかった。

そしえ、内心あたしも期待していた。
もし、これが最後になってしまうとしても、彼氏との愛のひと時を
女の子として生まれ変わって、女の子として成長している自分の
胸の奥底に、思い出として刻み付けたかった。

どこかで、ただの女の子ではなく、AV女優として生きることを宿命付けられた
セックスのための女であることを受け入れ始めていながらも
そのことをかたくなに拒否したがる自分もいたし
いつか淫乱な自分が純真な自分を完全に塗り替えてしまうなら
最後の抵抗を試みてみたいと思っていたのかもしれない。

「ねぇ・・・はやくぅ・・・」
観光を楽しんでいる間から、僕はこれ以上なくエロく、かわいく振舞った。



ずっと笑顔でいるようにつとめたし、
そうすることで彼氏の欲望を溜め込んで、夜になったら爆発させようと思っていた。

計算するようになった女の子は、成長した女の子は、
淫乱女の道のりに立っていることもどこかで気づいていたし
そのことはあきらめている部分もあった。

淫乱さをさらけ出してでも、この旅行を楽しめさえすればよかった。
あたしの、女の子としての欲望が、3日後、とんでもない結末に至ることを
まだ無邪気なあたしは知らなかった。

「きもちいーぃ」
お日様が沈みかける夕方の海。夏の暑い空気に海風が吹きぬける。
あたしはがけの上にある展望台で、女の子になって以来伸ばし続けていた髪と
黄色いストライプの入ったノースリーブのワンピースを風になびかせて
夏の夕方を楽しんでいた。

今日が、楽しい旅行の二日目。明日で終わる旅の最後の夜が近づく。
遠くまで来たかいがあった。海の向こうに沈む夕日を眺めながら、
あたしは最高の気分だった。
ずっと、手をつないで彼と観光地をめぐり、
暑くなったら休憩。アイスクリームのような甘い二日間だった。

「きゃっ。」
いきなり、後ろから抱きしめられた。
抱かれなれた、いとしい腕。彼氏の優しい腕。
首筋に彼の吐息を感じる。
しばらく、こうしていたい。そう思わせるような温かさだった。

「あゆこ・・・好きだ・・・」
そう、うわごとのように耳元でささやく彼氏の言葉が
単純にうれしい。

日常からの脱出。一人の女の子としてはじめての経験。
誰もあたしのことを知らない土地で、一人の女の子として
彼氏との一日を楽しむ。夢のような二日間だった。

夜は、ホテルでいつものようにセックスを楽しむ。

「あぁん・・・いい・・・きもちいい・・・」
少しずつ、あたしと彼氏のエッチはお互いのことを分かり始めて
前よりもずっと楽しくなっていた。
その中で新しい発見をお互いに重ねていく。

「あっ・・・も・・・もう・・・いっちゃう・・・」
あたしのアソコを扱う彼の指も、舌も、格段に技術が上がっていた。
なにより、彼の腕に抱かれているときがあたしは一番幸せだった。

その幸せに別れを告げ、明日からは現実に戻らなければいけない。
そう考えるのもいやだった。
だから、あたしは半分冗談のつもりで言った。


「ねぇ、もう一日帰るの伸ばさない?」

軽い気持ちの一言だったけれど、彼はその場で真剣に考え始めた。
「うーん。予定は無いから大丈夫だよ。でも・・・」
あたしはまさか、OKされるとは思わなくて、浮かれた。
「ほんと?じゃ、そうしよう!お金は、あるからさ。もう一日、そうしよう!」
あたしは出発のときに真優から渡されたキャッシュカードのことを思い出した。

積極的に彼氏を誘って、自分が主導で話を進めた。
もう一日だけ、現実から逃れていたい。この幸せを味わいたい。

それだけのことだった。たったその程度の幸せを味わいたい。
それだけのことだった。

一日伸ばした次の日は、あたしにとって最高の一日だった。
もう終わるはずの天国が、一日延びた。
自分が女の子であることを幸せに思った。

ずっと、二人でいて、二人で歩いて、
ちょっとしたことで機嫌を損ねてみたり、
「ごめん、あゆこ、ごめんってば。」
そんな言葉に笑顔で振り向いてキスして
「許してあげる。」
そんな言葉を言ってみたり、とにかく楽しくて仕方が無かった。

ただ、普通のホテルが見つからず、ラブホテルに泊まった。
彼氏とラブホテルを使うのは、これが最初で最後だった。

前田くんにしてみれば、ラブホテルを使うこと自体が冒険だったのだ。
あたしは、見るもの聞くもの全てを、「見たこと無い」様なフリをしながらも
最後の夜を楽しんだ。

一度セックスして、シャワーを浴びて、ベッドに戻ると、
前田くんはテレビでAVを見ていた。

「ねえ、なにみてんの?」
「えっ・・・?AV。みちゃだめ?」
「別にいいけど・・・あたしにも見せて。」

画面の中であえぐ女優は、明日香ちゃんだった。
知ってる人とは意識しなかった。まるで別世界の出来事のように
「いやらしい・・・」
そんな感想を口にしながら僕は画面に見入った。
彼氏の隣にちょこんと座って、画面の中の淫乱な女の子を見る。
本当に、別世界の出来事としか思えない。
そのくらい、僕は幸せの真っ只中にいた。

「あぁん・・・」
そんな画面に見入る僕に、彼氏が手を伸ばしてきた。
こっちも、心の準備はできている。
幸せな夜は、まだ続いていた。
若い体をお互いに何度も求め合う、幸せな夜が。

明日こそは帰ろう。そう心を決めていたあたしだったが、
この幸せな時間がまだ続いてほしいと思っていた。



もう一日・・・そんなことを頭の片隅で考え始めたそのときだった。

がちゃがちゃ、と入り口の方で物音がした。
「なに?」
「さぁ?なんだろう。」

次の瞬間だった。
「あゆこ、今日には戻るはずじゃなかったのか?」
ベッドのむこう、部屋の入り口から入ってきたのは中野先輩と
奥田くん、明日香ちゃん、そしてもう3人の男だった。

「せ、せんぱい、きゃあ!」
「うわ、なにをする!」

二人の男が力ずくであたしから前田君を引き剥がした。
「あれ、あたしのじゃない。」
画面に映るAVを見て、明日香ちゃんがそういった。

「前田くん!」
あたしは二人の男に押さえつけられ、奥田くんによって縛り上げられる彼氏に
叫ぶことしかできなかった。
体が動かなかった。

「せんぱい・・・」
憎しみをこめた目で中野先輩をみた。
先輩はニヒルな笑いを口元に浮かべた。
「あゆこ、お前は自分のことがまだ良くわかっていないようだな。」

「な、なにをする、はなせ、はなせ!」
前田くんはしばられて、なお抵抗する。
「うるさいぞ!」
その場にあったタオルを、一人の男が前田くんの口に突っ込んだ。

「んーーー!んーーー!」
「は、はなして!前田くんは関係ないの!」
僕は、後悔した。

一日旅行を延ばしたことを。
そして、どうして居場所を知られたのかも分からないまま、
先輩に向かって、裸のまま飛びついた。

「せんぱい、おねがい。前田くんは関係ないの。あたしが勝手に。」
「お前は黙ってろ!」
先輩の恫喝に、僕は黙ってしまった。

「お前が女として成長するのは、いいことだ、だから多少のことは見逃してきた。
でも、逃げ出すような真似は、許すことができない。」
「せんぱい、だから、それは・・・」
たった一日の油断が・・・とんでもない方向に動き始めていた。
「あゆこ、お前は自分の立場が分かっていないようだな。何度教えても
まだ分かっていないようだ。」


「せんぱい・・・ごめんなさい、でも・・・前田くんは・・・」
涙を目に浮かべて、懇願する僕に、先輩は冷たく言い放った。

「大事な彼氏をどうするか、それはお前にかかってるんだ。あゆこ。わかるな。」
「そ、そんな・・・」

大体の意味を理解した僕は、うつむいてどうすれば言いか分からない。

「んーーー!」
前田くんはまだ抵抗を続けている。
「うるさい。」
先輩が一言言って前田くんに近づいた。

「久しぶりだな。前田くん。こんな形で再会するとは思わなかったよ。」
「んー!」
「おや、前田くんは俺が誰か分からないようだ。あゆこ、教えてやれ。」

「・・・」
「さぁ、早く教えてやれ。お前の行動次第だぞ。」

卑怯な・・・なんて卑怯な振る舞いだろう。
でも、あたしに・・・前田くんを何とかして助けたい気持ちに、選択肢は無かった。
「その人は・・・○○高校でFWをやってた、中野駿・・・さんです。」
前田くんは驚いたように目を丸くした。

「君には試合では苦しめられたよ。なるほど、君ほどの男なら
あゆこが惹かれるのもわかる。でも、君はあゆこの正体をしってるのか?」

「せ・・・せんぱい・・・それは・・・」
あたしはもう、涙が止まらなかった。
全てが一気に崩れ去るような気がした。

「お前が自分で言うか?」」
「そ・・・そんな・・・」
知られてはいけない真実・・・それを言ったら彼氏の運命はどうなるの?

「まぁいい。それはとりあえず許してやる。」
「先輩・・・お願い、前田くんは関係ないの、許してあげて。」

「それは、お前次第だといっただろう。」
「そんな・・・」

先輩は奥田君に目配せをした。
「さぁ、お前がどんな女かを彼氏に見せてやれ。」
奥田くんがあたしを手招きする。

「どうした、あゆこ。お前次第だぞ。」
「は・・・い・・・」
裸のままの僕は、毛布でカラダを隠したまま、奥田くんのほうにむかう。

「何をしてる。そんなものはいらないだろう。」
「きゃっ!」
あたしの大事な部分を隠していた毛布は、奥田くんの近くに行く途中で剥ぎ取られた。

「さあ、分かるな。」
前田くんが見つめる中、奥田くんはあたしにひざまずくように促す。



前田くんの方を見ないようにして、僕は無言の要求に屈する。

「はい・・・」
ズボンを下げて、トランクスの上から、奥田くんの肉棒をさする。
全身をあらわにした僕の髪を、奥田くんがなでる。
こんなときでも、そうやって優しくされると、感じてしまう自分がいやで
涙がとまらなかった。

「さぁ、いつものようにしゃぶるんだ。」
少しずつ大きくなる奥田くん・・・そんな様子を見て
先輩が命令する。いちいち、いつものように、とか、
あたしの前田くんへの思いを踏みにじるようなことを付け加えながら。

「は・・・い」
まだ、彼氏の方を見ないようにして、僕は「いつものように」
奥田くんの肉棒を口に含む。

「あぁん・・・」
僕は、フェラチオがすきだった。男が自分の口の中で暴れるのが
うまく言葉で説明できないけど、好きだった。
口の中を犯されると、それだけで感じてしまう。
奥田くんはそれを知ってるから、自分で腰を動かす。

「あぁ・・・ふぅん・・・」
彼氏に見られている・・・そのことが頭にあるから涙が止まらない。
でも、「いつものように」奥田くんの腰の動きに従順に従って、
舌を使って彼に奉仕してしまう。

「いや・・・ぁん」
目を閉じて奥田くんをしゃぶっていると、太ももに手が伸びてきた。
他の男が、僕の下半身をもてあそび始めようとしている。

「あぁん・・・」
肉棒と唇の狭い間からあえぎ声が漏れる。僕の太ももに伸びた手が
アソコに近づくにつれて、処理できないほど深い羞恥心の中に期待が混ざり始める。

「いやぁ・・・ぁん」
きもちいい・・・声にも艶かしさが加わっているのがわかる。
そして、油断した。目を開いた。

「あぁん・・・」
大きく目を見開いて、血走った目で僕を見つめる前田くんが目に入った。
大粒の涙が瞬時にあふれた。目が合ったと同時に、
僕の視界は涙で遮られた。

「あぁん・・・いやぁ・・・」
僕の腰はいつの間にか浮かされ、男が下からアソコを舐め始めている。
口は相変わらず奥田くんが暴れている。
二人の男に同時にもてあそばれる・・・淫乱女としての幸せは
愛する彼氏に見守られながらでも変わることが無かった。



「いや・・・だめ・・・あぁん・・・」
奥田くんが腰の動きを早める。

「ごほっ、ごほっ・・・」
のどの奥に肉棒が当たって僕は咳き込む。

「わかったか?前田くん、君の彼女がどんな女かを。」
「んーーー!んーーー!」

「ごほっ、ごほっ」
アソコを嘗め回す男からも逃れて、僕はしばらく咳き込んでいた。
「先輩・・・おねがい・・・ゆるして・・・」
落ち着くと、声にならない声で先輩に再び懇願する。

「それはお前次第だといっただろう。」
「ひどい・・・そんな・・・」
僕はどうにもならない地獄にいることを悟った。
先輩に全てを握られていた。
裸のままなきながら・・・言葉にならない目線を彼氏と交し合った。

「ひどい?彼氏に見られながらもあんなに感じていたのにか?」
「・・・」
淫乱な僕を嘲笑する先輩の言葉を否定することもできない。
彼氏の目が「嘘だといってくれ」とかたっているように思えた。
それでも否定できない・・・それは真実だからだった。
「さぁ、もういいだろう。とってやれ。」
先輩が言うと、奥田くんが、前田くんの口に突っ込まれたタオルをとった。

「う・・・あゆこ・・・あゆこを放せ!」
僕の髪を掴んで前田くんの方を向けさせる先輩に向かって、彼はそう叫んだ。
「まだ、そんなことを言うか。しょうがないな。」
先輩はそういうと、また何か合図をした。

「まえだくん、だったね。あなたももう無理することなんか無いんだよ。」
明日香ちゃんがそう言って、前田くんの前にひざまずいた。
「あたしもね、あゆこちゃんの正体を知ったら驚いた。
あなたもおどろくわよ。きっと。でも・・・」
僕は、心臓が止まりそうだった。
いつの間にか、明日香ちゃんや奥田くんも、僕のことを知っているようだった。
「前田くんも意地をはりさえしなければ、あたしたちの仲間にしてあげる。」
「な・・・なにを・・・」
しばられたままの前田くんの肉棒を、明日香ちゃんはその白くしなやかな手で
もてあそび始めた。

「あなたも見てたんでしょ。あのビデオの中の私を。あなたさえ良ければ、
あゆこちゃんだけじゃなく、あたしとも、他のAV女優ともエッチできるんだよ。」
急速に彼の肉棒は大きくなる。
そして、明日香ちゃんはそれを口に含んだ。

「あぁ・・・やめろ・・・」
あたしは、眼を背けようとした、
「見てるんだ、あゆこ」
そんな僕に先輩が命令する。逆らうことができない・・・

「前田くん。このあゆこは、もともとは・・・」
「やめて・・・先輩!」


僕の最後の懇願にも先輩は一言も断ることなく続けた。
「もともとは、俺の後輩、梶原亮だった。知ってるだろう。君も。」
「そ・・・そんな・・・」

事態を飲み込めない前田くんは、それでも、大きくなったアソコを
AV女優の明日香ちゃんにしゃぶられ、快感に顔をゆがめ始める。

「あゆこは、AV女優として育てるために、女の子になってもらった。
君が惚れるのも無理はない。だが、そんな女に彼氏はいらないんだ。」
すべてを説明し終えた先輩・・・
僕はついに訪れた破滅の瞬間に・・・涙を流すことしかできない。
顔を上げればその目線の先には、明日香ちゃんのフェラチオを受ける
いとしい彼氏・・・目を背けるなというほうが無理だった。
目を合わせることなどできなかった。

「うぅ・・・ん・・・」
聞きなれた、彼氏の低いあえぎ声が耳に入ると、叫びたくなる気分だった・・・

「君さえ良ければ、僕らのグループに入れてやろう。そうすれば、あゆこだけじゃない。
他にもいい女がたくさんいる。セックスし放題だ。どうだ?悪い話じゃない。」

「!・・・」
僕は先輩の方を見上げた。それですむなら・・・
前田くんがその話を受け入れてくれることを祈った。
「な・・・なにを・・・」

「・・・あゆこ、彼はまだ良く分かっていないようだ。」
そして、先輩は彼の元へ向かえ、と僕に命じる。
「あゆこ、お前がどんな女か、彼氏に教えてやれ。」

「・・・」
「どうした、早くしろ!」
選択の余地は無かった。明日香ちゃんの隣に座った裸のままの
淫乱な少女は、自分のことを彼氏に話し始めた。

「ごめんなさい・・・あゆこは・・・淫乱女です・・・」
信じられないという風に、目を丸くする前田くんの視線が痛かった。
「さぁ、あゆこちゃん、どうぞ。」
明日香ちゃんはフェラチオをやめて、僕にしゃぶれ、と促す。
「手を使うな。二人で両側からなめてやれ。」

先輩が明日香ちゃんと僕に命令する。
「は・・・い・・・」
目を閉じて、舌を伸ばして、何度もしゃぶった彼の肉棒に触れる・・・
次の瞬間、明日香ちゃんも右側から同じことをする。


「んん・・・ぅ・・・」
低い彼のあえぎ声が耳に届く。
「どうだ、前田くん、夢のような光景だろう。君が、あゆこと別れてさえくれれば、
セックスには不自由することはもうなくなる。」

「だ・・・誰が・・・」
「受け入れないなら、君には消えてもらうぞ。」

僕は先輩の言葉に一瞬舌の動きを止めた。
「止めるな、あゆこ、続けるんだ。」

「だ・・・だれがそんなことを・・・あゆこ、お前は俺の彼女だ・・・
ずっと、大切にする・・・愛してる・・・だから、やめてくれ・・・」
「やめるな・・・あゆこ・・・」

彼氏の願いと先輩の命令・・・僕は彼氏の願いに答えることができなかった。
「おねがい・・・いいといって。でないと・・・」
あたしは初めて、顔を上げて、彼氏に逆にお願いした。
「だれが・・・そんなことを・・・」
信じられない、といった表情のままの彼氏・・・
僕は、何とか納得してもらおうと、再び気合を入れて舌を使い始める。

「どれ・・・」
先輩が近づいてくる。僕の体を持ち上げた。
「い・・・いや・・・」
「フェラチオは続けろ。腰だけ上げるんだ。」
いや、いや、といいながらも先輩の命令には従ってしまう自分・・・
いつの間にか明日香ちゃんは彼をしゃぶることをやめ、
あたしの口の中には、いとしい彼氏の肉棒が納まった。

「さあ、尻を上げろ」
先輩の要求にも従ってしまう。

「はい・・・」
「これが最後だ。君も僕らの仲間にならないか?」
「ふ・・・ふざけるな!」
前田くんは頑なに拒み続ける。
あたしは何とか受け入れてほしくて、一心不乱に彼をしゃぶる。

「そうか・・・それならしかたがないな」
「あぁん・・・」
そして、下半身は持ち上げられて、そこに、バックの体勢で、先輩が入ってくる・・・
「あぁ・・・ふぅ・・・ん」

あっという間にいつものように僕の肌はピンク色に染まる。
充分にぬれていた僕のアソコに先輩の肉棒は難なくおさまって、
した無を向きながらもぴん、と立っていた乳房が、
先輩の腰が動き始めるとともに揺れ始める・・・

「あぁん・・・はぁ・・・」
艶っぽいあえぎ声が、唇と前田くんの間から漏れる。
「いぃ・・・きもちいい・・・」

地獄の真っ只中のはずだった。
でも、あたしのいとしい彼氏と、僕を心の底からしばる支配者である先輩・・・
ふたりの男の肉棒にカラダを貫かれ・・・感じないはずが無かった。
「あぁん・・・あぁん・・・・あぁん・・・」


「あゆこ・・・そんな・・・」
本気で感じてくる・・・僕はもう、彼氏のことも、自分のことも、
羞恥心も全て吹っ飛んで、一心不乱に二つの動作・・・
前田くんの肉棒をしゃぶることと・・・先輩の腰の動きに合わせて
腰を振ること・・・二つの動作に集中していた。

「あは・・・ぁん・・・ぁん」
淫乱女・・・前田くんがフェラチオを受けながら見たものは、
ホンモノの淫乱女だった。
裏切り・・・彼氏を完全に裏切ったあたしは、それでも、
前田くんが、先輩の申し出に、うん、といってくれることを祈っていた。
そして、二つの動作に集中した。

「あぁん・・・いく・・・いくぅ!」
僕のカラダから、力が抜けた。

「あぁん・・・ふぅ・・・ん」
僕はその場に崩れ落ちて四つんばいの姿勢で息を荒らす。
その瞬間が彼氏のおちんちんと、最後の別れとなった。

「さぁ、前田くんはあたしがイかせてあげる。」
明日香ちゃんがあたしの彼氏の肉棒を再びしゃぶり始めた。
「あぁ・・・!やめろ・・・やめろ!」
彼氏は、一瞬にして果てた。勢いよく出たスペルマが
あたしの顔にもかかってきた。

「あ・・・あゆこ・・・ごめん・・・あゆこ・・・」
次の瞬間・・・先輩が再び腰をふりはじめた・・・
「あぁん・・・あぁん・・・」

先輩は床にあたしを転がして、いつの間にか正常位に体位を変える。
「あは・・・あぁん・・・あぁん・・・」
半開きの目にゆれながら彼氏が飛び込んでくる。
全身を突き抜ける快感と、それを彼氏に見られる屈辱・・・
すこしだけ、顔にかかった彼氏のあのにおいが・・・

「あぁん・・・あぁん・・・」
「いくぞ!あゆこ!」
「いや・・・だ・・・だめぇ!」


そして、先輩は僕の顔めがけて男の劣情を全て吐き出した。

「ぅ・・・あぁん・・」
イかされたところを見られて、感じているところを見られ、
先輩の白い液体を顔いっぱいに受けたところも見られてしまった。
彼氏に対して・・・これ以上ない屈辱・・・僕はどうすることもできない
感情を抱えたまま、涙をとめることができなかった。

「これが最後だ。前田くん、僕らの仲間にならないか?」

これ以上ない屈辱にまみれた彼女を目の前にして、この問いかけに、はい、と
いえるような男でないことはあたしが一番良く知っていた。
「ふ・・・ふざけるな!」
「おねがい!前田くん・・・うん、といって!」
スペルマにまみれたままの顔で、それでも真剣に訴えるあたし・・・
あたしの切ない願いは彼の意地を曲げることができなかった。

「ふざけるな・・・あゆこ・・・お前が好きだ・・・あゆ・・・こ・・・男だったとしてもかんけいない・・・今のお前が・・・すべ・・・て・・・」
一人の男が、前田くんの腕に何かを注射した。
そして、次の瞬間・・・前田くんは意識を失った。

「いや・・・いや・・・いやぁ!」
泣き叫ぶあたしを奥田くんと明日香ちゃんが抑える。
前田くんは3人の男に運び出され、その後に明日香ちゃんと奥田くんも服を着て
ついていった。

部屋には、僕と先輩だけがのこされた。

「これで、全てがすんだ。」
「せんぱい・・・」
憎しみの篭った視線を僕は先輩にぶつけた。
「おっと、忘れるなよ。全ては、お前次第だ。」

「・・・」
なんて、卑怯なんだろう・・・
先輩は今、あたしにもう一度、自分のアソコをしゃぶれと促している。
そう、前田くんの運命は「あゆこが決める」と、
彼の運命を人質にして・・・

「ん・・・んぐ・・・」
涙が止まらないまま、彼の無事を心から願って、
僕は先輩の目の前にひざまずいた。



「そうだ・・・いい子だ。あゆこ。自分のことが分かってきたな。」
「あぁん・・・はん・・・」
そう・・・僕は、そんな状態でも、今まで自分の中で暴れていた肉棒を
支配者である先輩の肉棒をしゃぶって、感じてしまっていた。
心の中では・・・早くもう一度犯してほしい・・・そう願い始めていた。

認めたくない・・・でも、確かに願っている・・・
作られた淫乱女・・・僕の運命・・・
せめて・・・命だけでも・・・
前田くんの運命を、変えられるのは自分だけ・・・そう信じてしゃぶりながらも
次の行為に期待を抱いてしまう、淫乱な僕。
こうやって、先輩に奉仕しても、前田くんが助かるかどうかなんてわからない。
でも、フェラチオを続けたのは・・・期待していたからだった。
気持ちいいからだった。

前田くんの悲劇を、生み出してしまった、いやらしい僕の欲望・・・
女の子としての欲望、
そして、普通の女の子ではない・・・
「お前はセックスするために生まれたんだ。わかるな。」
先輩の言葉に深くうなずいていた。
そんなこと・・・分かっているつもりだった。
でも、だからこそ、あたしの女の子としての・・・
普通の女の子としての心を支えてくれる彼氏に・・・いつの間にかおぼれていた。
そして、現実からの逃亡が、予想もつかない結果を生んでしまった。
逃げようの無い、僕の・・・セックスするために作られた女の子としての
淫乱な運命・・・
その淫乱な運命に、罪の無い一人の男の子を引きずりこんでしまったことを
まだ僕は知らなかった。
***



「あゆこ・・・ごめんね。」
東京の家に帰りつき、その日は疲れていつの間にか眠り込んだ。
丸一日ぼうっとして過ごして、次の日の夕方、
まだ呆けていた僕に、外出していた真優が帰ってきて、泣きながらそう話しかけてきた。
彼氏との2泊3日の旅行・・・現実からの逃亡は、
もう一日逃亡を続けたいという僕の欲望のせいで、とんでもない結果を生んでしまった。

「いいの・・・真優は、悪くないから・・・」
真優は、旅行に先立って、キャッシュカードを貸してくれた。
僕の逃亡を手助けするかのように。

でも・・・分からなかった。
「これ・・・返す。」
「あゆこ、ごめん、あたしのせいで。中途半端にやさしくしたせいで」
「言わないで!」

僕は、真優の言葉を遮った。
「いいの、あたし、わかった。あたしは、エッチなことするために作られた女の子だって。
そのことから逃げてただけ・・・もう、覚悟が決まったから。いいの。」
「あゆこ・・・ごめん。」

そう言って泣く真優を、守ることこそ、本当は僕がしなければいけないことのはずだった。
「真優・・・」
僕は精一杯、亮だったころの優しさを思い出しながら、
泣き続ける真優を抱きしめた。

「ごめん、彼氏との幸せを・・・あたしが奪っちゃった・・・ごめん。でも
知らなかったの、本当に。」
「えっ?」
真優は、僕が考えても分からなかったことを知っているようだった。

その疑問とは・・・どうして先輩は僕のいるラブホテルを突き止めて
あの部屋に踏み込めたのかということだった。

「どういうこと?何を知ってるの?真優!」
「・・・あなたは、中野先輩・・・駿から逃れられなかったの。」
「どういうこと?」

「あなたのその体には、GPSが埋め込まれていて、それで、
駿はあなたのいる場所がいつでも分かるんだって・・・だから、あなたは逃げられない・・・
そんなこと知らなかった。だから・・・ごめん・・・」


「・・・」
知らなかった。
僕の作られた淫乱な体は、心だけじゃなくて、物理的にも
中野先輩にしばられていたのだ。
「それじゃあ・・・でも、どこに?」

「それは、教えてやることはできないな。」
中野先輩が部屋に入ってきた。
「せん・・・ぱい・・・そんな・・・あたしの体は・・・」
「どこにいても分かるってことだ。だから、逃げようなんて考えるなよ。」

そんな・・・いったいどこに・・・
体中を触る僕を、先輩は笑った。
「分かるようなところには入れてないからな。探すだけ無駄だ。」
「そん・・・な・・・」

どこまで行ってもしばられる自分の運命・・・・しかし、不思議と嫌悪は感じなかった。
「じゃあ、いままでもずっと?」
「そうだよ。」
彼氏と会っているときも、学校に行っているときも、
先輩は知ろうと思えば僕がどこにいるかすぐに知ることができたのだ。

かぁっ、と顔が赤くなった。
先輩にも・・・彼氏の部屋に入り浸っていたことを知られていたのだ。
いまさらながら、そのことに恥ずかしくなった。

「真優、今日だそうだから呼びにきたんだ。あゆこもいくぞ。」
「もう?あゆこのときよりも、はやいのね・・・」

「なに?どこにいくんですか?」
僕は、まだ、彼氏の運命が「お前次第」といわれたことを忘れていなかった。
だから、先輩に反抗的な態度はこれっぽっちも取れなかったし、
おそるおそる「どこに行くのか」を聞いた。

「お前の彼氏の通夜だ。」
心臓が止まるかと思った。
結局、彼を・・・先輩は殺してしまったのだろう・・・か・・・
「そう・・・わかりました・・・」

それでも、泣き叫んだりしなかったのは、そう・・・
彼の命をつなぐ最後の可能性に賭けていたからだった。

「さぁ、出かけるぞ。着替えろ。」
亮の葬式・・・自分の葬式以来の喪服に着替えた僕は
先輩の車に乗り込んだ。

なぜか真優も一緒だった。

お通夜は、葬式とちがって、帰ろうと思えばすぐに済む。
あたしとの関係はまだ誰にも公になっていなかったから、
あたしも「交通事故」でなくなった彼の霊前に手を合わせて、
大学の友人たちと二言三言言葉を交わして
それですぐに帰路につくことになった。


先輩の車は、ちょっと離れたところで待っていた。
「さぁ、行くぞ。」
先輩がそういうと、ようやく僕は全てを察した。
「う・・・うぅ・・・」
涙があふれ出てきた。
「あゆこ、大丈夫?」
「大丈夫・・・あたし・・・」

真優の胸に飛び込んで、後部座席で泣いた。
そして、車は、いつも「パーティ」が行われるマンションへと向かった。
「さぁ、ご対面だ。あゆこ、いとしい彼氏の変わり果てた姿だ。」

僕の予想の通りだった。
「あゆこ・・・こんなことになって・・・ごめん。」
真優に手を引かれて、ベッドのある部屋に入った。
「まえだくん・・・」

目の前に、眠ったままの裸の美少女がいた。
「お前が名前をつけてやるんだ。お前の妹だ。」
確かに・・・確かに前田くんは死んでいなかった。
僕のときと同じだった。

男としての人生を奪われて・・・でも、これはこれで幸せなことを
知っていた僕は・・・一度はあきらめた前田くんが
女の子としてでも、目の前にいることに、うれしさを覚えた。
そして、自分と同じ世界に来たことを、不思議にうれしく思った。

「ほら、起こしてやれ。そのあとは、お前のときと同じように、
優しくしてやるからな。」

一人の淫乱女の誕生だった・・・
それでも、僕はやっぱりうれしかった。
僕を女の子に変えたときの、真優の気持ちが分かるような気がした・・・

「あ・・・あゆこ・・・」
口調は確かに前田くんのものだったが、ずっとかわいらしい声で、
目を覚ました「彼女」は目の前にいる僕を呼んだ。
その美少女を裸のまま、僕は抱きしめ、目に涙を浮かべて、こうかたりかけた。

「おはよう、まいちゃん。はじめまして。」
新しく生まれ変わった彼女に、僕はそう名づけたのだった。
淫乱な僕の、女の子としての生活は
彼氏がいる限り、裏切りを続けなければいけないようなものだった。
その生活は、彼氏を永遠に奪われることで終わりを告げた。
悲しい別れを経験することもなく。



そして、その彼氏はいま、淫乱女の仲間となるべく、目の前にいる。
もし、男のまま彼が中野先輩たちの仲間となっても、
あたしの気持ちは簡単には消えなかっただろうから、苦しみは続いただろう。

まいちゃんは、最初は戸惑っても、すぐに淫乱な体を持った女の子に
順応するであろうことは僕自身が一番良く知っていた。
中野先輩と、真優は、結局は、僕が一番悲しまなくていい形で
彼氏との関係と、セックスするために作られた自分の体のことで
悩み続けていた僕に応えてくれた。

次は、この「まい」ちゃんを僕と同じように育てなければならない。
悲劇ではあっても、受け入れるしかない、そんな生活が彼女にも待っている。
僕は、目の前に生まれ変わった前田くんの姿を見て、
心から安心したのだった。

広いベッド・・・数限りない大人のおもちゃに、
大きなプラズマにつながるカメラもある。
淫乱な女の子を育てるには最高の環境で、まいちゃんの
女の子としての最初の一日が始まったのだった。

管理人/副管理人のみ編集できます