前スレで話題に出たフクロムシをネタにして書いてみました。

・寄生モノ
・若干洗脳要素あり




 体の異変に気づいたのは、海水浴から帰った翌朝。
 夢の中で綺麗なお姉さんと絡み合い――やばいと思って跳ね起きた時だった。
 股間に異物感。自分の物でない何かが貼り付いている感覚に、僕はパンツを下ろして中を見た。
「な、何だこれ……?」
 ペニスをすっぽりと、白く滑らかな表面をした物体が覆っていた。
 縦長の球体に近い形で、有機的な、生き物の気配を感じさせる物だった。
 それが肉棒の上半分ほどを咥え込むように貼り付いていて、朝勃ちのペニスに合わせてゆらゆらと揺れていた。
 得体の知れない現象にたちまちペニスが硬さを失って下を向く。
 僕の気味悪さを感じながら、とにかくペニスから引き剥がそうとしてそれを手でつまんだ。
「なんなんだよこれ……。ん? 取れない……。んん! うぁっ!」
 剥がそうと引っ張った瞬間。物体の中にあるペニスに鋭い刺激が走った。
 敏感な部分を激しく擦りたてられるような、思わず全身をビクつかせてしまうようなあの甘美な感触。
「うぁ……中、動いてる……?」
 ペニスの先端を飲み込んだそれの中で、柔らかで湿った何かがねっとりと動いているのがわかった。
 一番敏感な、亀頭の部分を揉み込み、擦り上げ、扱かれる。
 一度萎えかけたペニスはあっという間に硬さを取り戻し、僕は与えられた快感に体の自由を奪われるようにベッドに両手を着いて四つん這い状態になってしまう。
「う、あぁ……気持ち、いい……。あ、イク……」
 腰を震わせながら、先端をくわえ込まれたまま快楽の証を放つ。中で受け止めているのか、ベッドには一滴もこぼれなかった。
 すべて出し切り、脱力しながらも股間を確認してまた驚いた。
 白い物体が大きくなっている。
 大きくなった、というか、ペニスを覆っている範囲が広くなったのだ。さっきまで半分くらいだったのに、今ではペニスの根元まで呑み込まれている。
「……そうだ。病院に行こう。絶対おかしい、取ってもらわなきゃ……」


「フクロムシですね。こんな早い段階で見つかったのは幸運ですよ」
 総合病院の診察室で、僕の女医さんに聞き返した。
「フクロムシ、ですか?」
「本来カニに寄生するフジツボの仲間です。ですが、近年人間の男性に寄生する種が確認されまして。今回のケースはそれです」
 先生は静かな口調で続ける。
「フクロムシに寄生されたカニのオスは、徐々にハサミや脚が小さくなり、腹部が広くなって見た目が完全にメス化します。そして自分を卵のように抱かせて、カニも寄生したフクロムシを自分の産んだ卵として扱うんです」
「えーと、それで、僕の場合は……」
 正直カニについてはどうでもよかった。自分がどうなるのか不安で仕方がない僕は先生に肝心な所の説明をうながす。
「人間の場合もほとんど同じです。ただ、人間に寄生するフクロムシはすべてメスで、繁殖には宿主の……つまり男性の精液が必要なんです。
 男性のペニスに寄生したフクロムシは、ペニスを刺激して射精を促し、最初はそれを養分として成長と寄生の進行を行います。射精するごとに宿主を女性化させていき、男性器を完全に取り込んで体内に進行、擬似子宮を作ってそこで繁殖を開始します。
 一緒に体内に引き込んだ男性器を射精させ、受精した卵を子宮で育てる……カニと同じように宿主はフクロムシの繁殖の道具にされてしまうのです」
 あまりのことに言葉が出なかった。朝に一回射精しちゃったけど、まだ大丈夫だよな?
「ですが、今回はさっき言ったように幸運です。まだ寄生はペニスまででしかありません。これなら、寄生されたペニスを切除すれば、女性化を防ぐことができますよ」
「本当ですか? よかっ……えっ?」
 ペニスを、切除する?
「え、と。切除って、切っちゃうってことですか?」
「はい。寄生が進行して擬似子宮に潜られると、もうほとんど打つ手がなくなります。早い段階で見つかって本当によかった。おそらく昨日の海水浴で原因だと思いますので、あとで正確な場所を話して下さい。注意報を出さないといけないので」
「いや、そうじゃなくて、その、切らないで済む方法とか――」
 先生は残念そうに首を振り、
「すでにあなたのペニスは神経までフクロムシと融合し、取り込まれた状態です。正常な形で分離することは不可能なんです」
「そんな、せめて心の準備を――」
 その時だった。股間のフクロムシが今朝のように蠢きだしたのは。
 カリを、裏筋を、鈴口を激しく愛撫する――いや、融合した神経にそう感じる信号を送っているのだ。フクロムシ自体はそこまで動くことは出来ない。
 逆を言えば、神経に直接伝達される快楽信号に耐えることなど、とてもできることではないのだ。
「う、うわぁっ。あっ、あっ……」
「も、もう始まったんですか!? が、我慢してくださいっ。射精しちゃいけません」
 そんなことを言われても、ぬめった感触がペニスを揉み込み、扱きあげる感覚に、僕は瞬く間に限界を迎えてしまう。
「だ、だめ……! イ、クゥ……!」
 ビクビクと腰を痙攣させ、フクロムシの中に精液を放つ。すべてを搾り出すような快感に翻弄され、僕は椅子に座ったまま脱力した。
「射精、しちゃったんですね……。ちょっと失礼します」
 先生はそう言うと、ベルトをはずして僕の股間を露わにした。
「っ……。もう睾丸まで取り込まれてる。進行が早い……」
 見れば、白い物体が以前よりも広がり、袋と玉まで呑み込んでいた。しかしその反面、長さ自体は何だか短くなっているような……?
「寄生場所を体内に移しかけているんです。射精するたびに擬似子宮を作成して、どんどん潜っていきます。今の射精であなたも目に見えて女性化していますし……」
 先生に言われて気づいた。腕に生えていた毛がすっかり消えているし、腕自体が細くなっている。
 胸に手を当てると、柔らかなものが突き出ていた。乳房ができ始めている。
「すぐにでも手術を開始します。準備を行うので少し向こうの部屋で待っていてください」
 そして僕は先生にうながされて別の診察室のベッドに座らされ、先生は内線でどこかに連絡をしているらしい。扉越しにフクロムシとか手術とか、進行がどうとかの声が聞こえてくる。
 心臓の鼓動が激しくなる。
 ペニスを切られる? 冗談じゃない。
 そう思った瞬間、僕は立ち上がり、そっと診察室を抜け出した。
 この子を――自分のモノを取り上げられるなんて、絶対にいやだと心の中でつぶやきながら。


 家には戻らず、僕は落ち着ける場所を求めてネットカフェに入った。
 家に戻れば簡単に居場所がばれて病院に連れ戻されてしまう。
「はぁ……」
 リクライニングシートに身を沈め、僕は深く息をついた。
 町を歩いている最中から、股間にじわじわとした快感が送り込まれている。
 動いている間はちょっと気持ちいいくらいだったのが、こうしてリラックスするとたちまち送られる快感が強くなっていく。
「あ、う……」
 イ、イっちゃダメだ……。射精したら……。
『宿主はフクロムシの繁殖の道具にされてしまうのです』
 病院での先生の言葉が頭に浮かび、不安と恐怖に胸が押しつぶされそうになる。
 自分の体が作り変えられていく。こんな小さな寄生虫に。
 怖い。どうしたらいいのかわからない。
「うっ、ふあぁ……」
 フクロムシが僕のペニスを激しく揉みほぐし、締め付け、無数のヒダで扱きあげる――そんな快感の信号を取り込んだペニスの神経を通して送り込んでくる。
 気持ちいい。我慢できない。イっちゃいけないのに、自分ではどうしようもできない――。
「あ、あっ、あぁ……!」
 全身が震え、大量の粘液を放っている快感を味わう。
 右手を股間に、左手を胸にあてがい、射精の脈動のたびにフクロムシに包まれたペニスが体の内側に引き込まれ、対照的に胸の中から柔らかな肉の塊りが突き出てくる。
「はぁ、はぁ……」
 右手を見る。手首はすっかり細く、女性の手と遜色ない。指も繊細に、肌も綺麗になってる。
 胸の膨らみに左手を滑らせる。すでに平均的なサイズにまで膨らみ、男の胸ではなく女性の乳房となっていて、服の上からもはっきりとわかってしまう。
 鏡がないから確認のしようもないが、きっと顔や全体の体格も変わっているんだろう。
 どんどん変えられていく。止まらない。
「でも……」
 気持ちいい。
 胸にたまっていた不安を押し流すほどの快感だった。
 またアレが欲しい。でないと不安に押しつぶされそうになる。
「あぅ……」
 そんなことを思ったとき、半分以上体内に潜ったペニスにあの感触が走った。
 フクロムシに取り込まれていても、勃起する感覚はある。それを優しく包み込み、丁寧に愛撫するような感覚。
 肉ヒダが絡み、締め付け、上下し、抵抗など思いつかないまま、僕は射精に導かれた。
「あぁ……。気持ちいい……」
 身を沈めているリクライニングシートが一回り大きくなったような気がして、同時に胸にずっしりとした重みを感じた。
 射精が長く続く。
 そういえば先生が言っていた、『フクロムシはすべてメスで、繁殖には宿主の精液が必要なんです』と。
 つまりこれは、セックスだ。
 僕はいまこの子と交わって新しい命を生み出しているのだ。
 快楽に朦朧としながらもそんな考えが浮かび、僕はこのフクロムシが愛しく思い始めた。
 彼女がまた愛撫を再開する。心地いい求めに、僕は喜んで応え――
「あぁ、うわ、あ――」
 いつの間にか、声も女性のものになっていた。


 それから――私が発見されたのはそれから四時間ほど経ってから。
 その時はすでに『彼女』は私の胎内に入り、誰の手も届かなくなっていた。
 そして、あの日から今日でちょうど三年。
 私は大きくなったお腹を抱えて電車に乗り込んだ。
「あ、どうぞ座ってください」
 大きなお腹をした私に、青年が座席を譲ってくれる。私はお礼を言って座り、すると、胎内の『彼女』が私の男の部分に悪戯を仕掛ける。
「んん……」
 三年もの付き合いになれば馴れたもので、声を漏らしたり体を震わせたりすることもないけれど、味合わされる快感は変わらない。
 まったく……もう次の赤ちゃんが欲しいのかしら? お腹にいる子だってまだ産まれるまで間があるのに。
 視線を振り、ドアの近くに立っている男性に目を向ける。
 臨月が近い私には、勝手に海で子供を産まないように監視がついている。
 でも、研究所の飼育槽にこの子達を一生閉じ込めるなんてとんでもない。
 その時のために、私は監視をどうやって撒くのか、今から知恵を絞っているのだ。
 町を歩くと、『私と同じような妊婦』を時折見かけるようになった。彼女たちは無事にその生息域を広げている。
 さて、どうしたものか。いっそのこと、私を尾行している男も、私たちの仲間に引き込んでしまおうか――。
 そんなことを考えながら、私は愛しい恋人と我が子が宿ったお腹をそっと撫でた。

 おわり




無職の期間にでも何か作り出したいと思って、4月あたりからエロパロ板のあちこちにSSを書きだし、そしたら先月、就職が決まりました。
きっとエロパロ板の神様がご利益を下さったんです!

そんなわけで御礼参りも兼ねて今後もSSを作っていきたいな、と。
あまりハイペースにはいかないかもしれませんが。
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