#某支援所がふたつとも壊滅した嘆きをバネに、ちょっとした小ネタを形成してみた。

『禁忌は破るためにある?』

 ウチの実家は神社で、当然ながら正月は(罰当たりな表現ながら)かきいれ時だ。
 普段は高校の寮に入っている俺も、年末年始には呼び戻されて色々裏方業務を手伝わされるんだが……。上の姉貴が昨年夏にお嫁に行っちまって人手不足の今年は、親戚筋から助っ人を借り出すコトとなった。
 「こんにちは、お兄ちゃん。お手伝いに来たよ」
 「拓美! もしかして助っ人って、お前かぁ!?」
 目の前でニコニコしているこの子の名前は四条拓美(しじょう・たくみ)。俺から見るとイトコにあたる。
 高3の俺と5歳違いだから、確かいま中学2年、つまり14歳のはずだが、平均より心待ち高い程度の俺の、喉元くらいまでの背丈しかないのは、とてもそうは見えない。
 まじめでいい子だし、俺にも懐いてくれてるかわいいヤツではあるのだが、こんなチビっ子がはたして戦力になるのかねぇ……と思ってたら、ウチの母さんが、とんでもないコトを言い出した。
 「拓美ちゃんには、朋絵の代わりに巫女さんをやってもらおうと思うの」


 ──言い忘れていたが、拓美は一応男の子だ。
 そりゃあ確かに、低い背丈と華奢な体つきと言い、初対面の人はまず女の子と間違える可愛らしい顔と言い、某ツンデレメイジを思わせる高い声と言い、家事全般が得意なことと言い……って、列挙するとますます男の子に思えんな。
 まぁ、いくら生まれてくる際に、神様が性別を間違えたとしか思えないスペックを備えているとは言え、一応生物学的には♂なんだから、巫女さんやらせるのはマズかろう。しかも、神社公認で。
 「倫太郎はアタマが堅いわねぇ。最近は「男の娘」ってのもブームだって聞くけど?」
 そういう問題ぢゃないっ!!

 ところが、母さんの提案をおもしろがった爺さんが倉の中から引っ張り出してきた怪しげなお神酒を無理やり飲ませた拓美は、何の冗談か身体的にはリッパに女の子になってしまった……らしい。
 いや、パッと見、髪の毛が腰まで伸びたくらいで、外見はほとんど変わってないから、本当かどうか俺にはよくわからんのだが、下の姉貴が一緒に風呂に入ったところ、「確かになくなってた」そうだ。
 うーむ、そう言われてみれば、胸元のあたりがほのかに膨らんでいるような……。


 「──兄様の、エッチ」
 巫女装束の胸元を押さえてポッと頬を赤らめる拓美に、不覚にも「ズキュン」と胸を撃ち抜かれたのは、ココだけの秘密だ!
 ま、対になる別のお神酒を飲めば、元に戻れるって言うし、こんな可愛らしい巫女さんがいれば男共(俺含む)の目の保養にもなるし、コレはコレでアリか。

 大晦日夜の年越し詣りから三が日にかけて、俺たち八十八神社の人間は、例年にもましててんてこ舞いだったが、なんとか無事にお勤めを終えることはできた。
 拓美も、多少のドジもあったが不慣れな巫女さんの仕事を頑張ってくれたしな。
 明くる4日の午後になって、ようやく俺と拓美は、他の家族と交替に半日の休みをもらえた。

 で。
 ふたりして俺の部屋にこもって何をしているかと言えば……。

 「あぁ……ダメだよぅ、兄様ぁ……こんなにいっぱい出したら、ボク、男に戻れなくなっちゃうよぅ」
 ──ご覧の通り、ナニに勤しんでいるワケだ。
 コレがホントの「姫始め」ってか? お姫さんは、無論、初めてだったしな。


 「ごめん、拓美。でも……ウチの神社で巫女さんしているお前を見たら、俺、どうにも我慢できなくなっちまったんだ」
 一応神社の息子だから、巫女装束なんて家族(母&ふたりの姉)で見慣れてるし、自分は巫女フェチなんてシュミはないと思ってたんだが……。
 いやぁ、着る女性(ひと)が違うと、あれほど新鮮で萌える代物だったとは。
 やっぱり、和服はウチの女どもみたく長身&グラマーな奴より、小柄で華奢な娘が似合うんだな。
 もちろん、ルックスだけに惹かれて、手を出したワケじゃないぞ(ルックスも一因であることは否定せんが)。

 「これまで色恋沙汰にはあんまし興味がなかったんだが……俺、こんな気持ちになったのは初めてなんだよ」
 肝っ玉母さんと、美人だが気の強い姉ふたりに囲まれて育てば、女というものに幻想が持てなくても無理ないだろ?
 そして、そういう女傑とは対照的な、淑やかで愛らしい美少女を目にした時も衝撃も、推して知るべし。
 「どうやら、俺、お前のことが好きみたいなんだ」
 告白というにはあまりに情けない俺のセリフだったが、拓美のヤツは少なからず喜んでくれたらしい。
 「ほ……ホント? う、嬉しいよぅ……ボクも兄様のコト、ずっと好きだったから。でも、兄様はモテるし、ボクは男のコだったからあきらめてたけど……ひぅンッッ!」


 何と! 前々から俺のことを兄同然に慕ってくれてるなぁ、と思ってたが、まさかそんなフラグが立っていたとは……。
 「そうか、俺達両想いなんだな。それなら、もう遠慮もセーブもしないぞ。
 いっぱいいっぱい、お前の中に注ぎ込んでやる!」
 例の女体化の術は仮に処女を喪っても解除は可能みたいだが、妊娠するとさすがに解除できなくなるらしい。
 「お前の身体の中も外も俺の精液塗れにして俺のモノだってマーキングしてやる!
 俺の子を孕ませて、俺の嫁にしてやる!!」

 ──ズボッ! ヌチャッ! ネチョ、ベチョッ!!

 「あぁン、激しい……でも、気持ちイイっ! ボクをボクを兄様のお嫁さんにしてッ!!」

 ──その後、夕飯時になって呼びに来た母さんに見つかるまで、俺たちは繋がり続けていた。
 まぁ、見つかっちまった時は、俺は往復ビンタをもらい、そのあと拓美と並んで正座させられたまま、こんこんとお説教を食らったワケだが。
(一応、拓美が「合意の上の行為」だと庇ってくれたんで、その程度で済んだ)
 で、すったもんだの挙句、四条家とも相談して、拓美は男に戻らず、正式に俺の許嫁になるコトが決定したんで、結果オーライってトコかね。
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