最初の方はエロくないのでさくさくと投下します。
 ジャンルは
【強制】【和姦?】【精神陵辱】【爆乳】【孕ませ】
 です。

 NGワードは【閉じた】でお願いします。

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■■「閉じた世界で生きる意味」〜交配と繁殖〜■■

■■【1】■■

 ――真っ白な部屋だった。

 横を向いても、上を見上げても、どこもかしこも真っ白だった。
 およそ、影というものが無い。
 だが、「影が無い」ということは「明るい」ということであり、
それ光を生み出す“光源”が存在するということの筈なのだが、
部屋のどこにもどこにもそれらしいものが見当たらなかった。
 天井や壁、建材そのものが発光しているとしか思えなかった。
 手を宙に翳(かざ)してみても、その下に影が出来ないのだ。
 部屋の広さは5メートル四方ほどで、数十分前に入ってきた壁には、
その時はまだ入り口だった窪みがある。
 今はその窪みも壁と一体化し『目的』を果たさない限り、
この部屋からは出られないようになっていた。
 そして、部屋の中央にはベッドが1つ在るだけだ。
 しかも大きい。
 この部屋の調度品はそのベッドが1つきりで、まさしくこの部屋は、
このベッドのためだけに誂(あつら)えられたものだと思えた。
 ベッドの真っ白なマットレスに、シーツらしきものは敷かれていない。
柔らかく、それでいてしっとりとした肌触りのそれは、スプリングとも低反発素材とも違うもので、
更に言えば“あえてマットレスのように見せかけてはいるものの、実はマットレスではないもの”であった。
 だが、若干硬いハンペンとか、強度と柔軟性を得た汲み出し豆腐というか、
そんな素材を民間のベッドのような日用家具に転用出来る技術はまだ、
地球には存在していないのではないだろうか。
 そのベッドの端と端に、歳若い男女が素裸のまま、背中合わせに腰掛けていた。
 男は、年の頃18から20歳くらいだろうか?
 アジア系黄色人種の男は、まだ幼さが少し残るものの、
短く刈り上げた銅色の髪と鋭い眼光が、彼をただの少年とは思わせなかった。
 それなりに盛り上がった背中と腕の筋肉は、だが、よく日に焼けた皮膚と相俟(あいま)って、
肉体労働に日々従事している者のソレと同じだった。
 それに対し、女は不思議なほど、その年齢を窺い知ることが出来ない。
 顔付きは少年と同じ頃だろう…と推測出来るものの、
その肉体はそれを裏切るかのように、成熟した大人のソレだったからだ。
 肩で切り揃えられた黒い髪に覗く項(うなじ)は白く、
それに連なる細い肩や滑らかな背中は流れるような美しいラインを描いている。
腰から尻にかけては下品にならない程度に適度な肉が付き、健康的で脂ののった肌は、
まるで保湿クリームを塗った直後のように艶やかだった。


 充実した太腿や腰付きは、十分に男を知ったオンナのように妖艶ささえ感じさせる。
その匂い立つような色香は、ほっそりとした腕や首からは似つかわしくない、目を見張るほど発達し、
重力に負けず前方へと突出した重量感たっぷりな乳房にも纏い付いていた。
 男の手を大きく広げ、下から掬い上げたとしてもまだまだ余るほどの、
重たげで柔らかそうなその乳肉は、上質のレアクリームチーズケーキのような白さで、
うっすらと血管さえ透けて見えていたし、それに対して鮮やかなサーモンピンクの乳暈は、
ぷっくりと膨れてツヤツヤと光を弾いている。そして赤ん坊の小指ほどの乳首は、
今すぐ男に嘗めしゃぶり、千切るほど強く噛んで欲しそうに“ふるふる”と豊乳の上で震えていた。
 彼女の、全体的に見れば細身であるのに、出るところは思い切りよく出て、
引っ込むべきところは素晴らしく引っ込んだバランスの良い豊満な肉体は、
どう見ても十代の、まだ「青い」青年期の体ではない。むしろ、毎日のように夫に愛され、
可愛がられ、精をたっぷりと注がれて充実し磨かれた25〜30歳くらいの人妻の柔肉が、
丁度こんな感じではないだろうか?
 だが、妖しいほどの色香を放つ豊満な肉体の、
その首から上にあるのはどこか“可愛らしい”とさえ言える18〜20歳程の、少女のものなのだ。
 目はぱっちりとして睫(まつげ)が長く、瞳はあどけなささえ感じさせるほど大きい。
鼻筋は通っているものの、ちょっとだけ上を向いている鼻先のおかげで愛嬌を感じさせていた。
そして、リップクリームを塗っているわけでもないのに艶やかなピンクの唇は、
“ぷっくり”“ふっくら”として実に『美味しそう』だった。
 アジア系黄色人種…十数年前には「日本」と呼ばれていた島国の種族に、
北欧系コーカソイドの血が混じっているようにも思える。
が、その身体のしなやかさや手足のラインはニグロイドを思わせた。
その他にも、2〜3の多種族的特徴が感じられる顔と身体だった。
 まるで、地球人類の様々な種族の美的要素を混ぜ合わせ、
最もセックスアピールが得られる形に作り直したかのようだ。

 ―なんのために?

 それはおそらく、“相手”となる男のためなのだろう。
 “ここ”は、“そういう場所”なのだから。
「…じゃあ始めようぜ」
 男は頭をガリガリと掻くと深呼吸を1つしてベッドに上がり、女の細い肩を掴んだ。
 それだけで、女の胸元でたっぷりと重そうに実った乳肉が“ゆさり”と揺れる。
 が、女は硬く唇を引き結んだまま正面の壁を睨んでいた。
「おい」
 男は苛立ちを隠そうともせずに、女を強引に振り向かせた。


 “ぶるんっ”と乳房が派手に揺れ動き、
女は慌てて両手で胸を押さえて逃げるように視線を逸らせる。
「いつまでそうしてるつもりだよ」
「…いや、ちょっと待ってくれ。まだ心の準備が」
「そう言って、この部屋に入ってもう何十分も経ってるんだぜ?」
「時計も無いのにわかるもんか」
「そろそろ腹が減ってきたからわかるんだよ」
「…お前の腹時計なんか当てになるわけないだろ?」
「……あのな、オレたちはセックスしないとこの部屋から出られないんだぜ?
このままだと下手すりゃオレもオマエも昼飯が抜きになっちまうだろ?」
「…ッ…」
 男の言葉に女の白い背中が波打ち、薄い皮膚の下の筋肉がうねったと思う間もなく、
彼女は観念したように溜息を付き、不承不承でベッドに仰向けに転がった。ベッドの、
材質が不明の柔らかなマットレスが彼女の体を優しく受け止め、
豊満な乳房が飛び跳ねるようにして“ゆさゆさ”と揺れ動く。
 それだけで男の股間の男根が“ぴくり”と反応した。
「…手早く済ませてくれ」
 女の声がわずかに震えているように聞こえるのは、気のせいだろうか?
 だが男はそれを無視し、男性であれば誰であろうと奮いつきたくなるような
素晴らしく豊満で美しい女の体に覆い被さっていった。
 唇へのキスはしない。
 それが“ここ”での暗黙の了解になっていた。
 顔を近付け、吐息を感じ、至近距離で互いの目を見ると、どうしても思い出してしまうからだ。
 意識したくなくても意識せざるを得ない、決して忘れる事の出来ない事実…。
 それは…。

「あのよ…いい加減、慣れろよなオマエ…」
 女の首筋に舌を這わせて乳を揉み、肉体反射で勃起した乳首を指で捏ね回しながら、
もう片方の手で股間に開く、湿った肉の亀裂を撫でさする。
 男は自分を興奮させるため、そして“仕事”を円滑に進めるために、懸命に彼女を愛撫していた。
 だが、女は時折“ひくん”と体を反応させるだけで、目を瞑りただベッドに横たわるだけだ。
 いわゆる“マグロ状態”というヤツだった。
 河岸に水揚げされた、または船舶の冷凍庫から引き出された、
これから競に掛けられる直前のマグロのように、女は無反応に天井を見詰めるだけなのだ。
「どうせやるなら楽しもうぜ?」
「…慣れるかよ」
「慣れろよ」
「俺を妊娠させるだけの“作業”だろうが。だったら、俺がどうしていようが関係無いだろうに」
 女の、可愛らしい顔付きに似合わない蓮っ葉な言葉遣いを、男は特に気に留める様子は無い。


「あるさ、そんなつまんねー反応の女相手じゃ、チンポ起たねーんだよ」
 むしろ男の口調には、まるで同性に対するような遠慮の無さがあった。
「女じゃねぇだろ」
「“今は”女だ」
「子供を産んだら…すぐに男に戻るんだ」
「戻れるかよ」
「戻るんだ!」
「はいはい。でも、“今は”女だ」
 男の言葉に、女は悔しそうに唇を噛んだ。
 そう。
 意識したくなくても意識せざるを得ない、決して忘れる事の出来ない事実…。

 それは、男にとっての相手が、そして女にとっては自分自身が、元は“男”なのだという事実だった。

■■【2】■■
 女は、名を「神那岐優一(かんなぎゆういち)」と言う。

 名前からも窺い知る事が出来るが、社会的にも生物学的にも、れっきとした男だった人間である。
 ほんの、数日前――長い長い眠りから目覚めるその時までは。
 けれど今の彼は、特殊な趣味で無い限り男であれば大抵の者が「抱きたい」と渇望するような、
豊満でありながらバランスの取れた妖艶な肉体を持つ「女」であった。
 ただ、同時に彼には、およそ『人権』というものが無かった。
 そもそも『人権』というものは、
人類が文化的で平穏な社会生活を営む中で、初めて認められるものだ。
 そういう意味では、
今の地球上に『人権』を認められる人類はただの一人も存在していないと言えた。

「お、お前は嫌…じゃ、ないっのか?我慢…出来るの、か?
な、なんでこんな…状況で勃起出来るんだ?」
 優一は、自分の乳房を一心に嘗めしゃぶる男に、
身体を震わせながらしゃくりあげるような口調で聞いた。
 男は何時間吸っていても飽きない豊乳の乳首から口を離し、
唾液で濡れ光るそれをペロリと嘗めてから顔を上げる。
「いっぺんに聞くなよ。しかも昨日も聞いたろ?それ」
「こっ…答えろ…」
 自分の股間を“くちゃくちゃ”と嬲る男の左腕を掴み、
優一は上擦った声で懸命に男へと問い掛けた。
「後にしろよユウ。気分が削がれるだろ?」
 優一は、“ここ”では「ユウ」と名乗り、そして他者からはそう呼ばれている。
 “彼女”が「男に抱かれ、受胎するためだけに存在する」この部屋の中では、
二人ともそうする事が義務付けられていた。
「答えろよ!レッカ」
「わぁーった!わぁーったよ!!」
 降参したように、「レッカ」と呼ばれた男は両手を上げて身を起こす。
 彼の男根はこれ以上無いほどに勃起し、赤黒い先端は先走りの粘液でぬるぬるとしていた。
「昨日と同じ答えで期待外れかもしれんが…オレは別にイヤじゃねーよ。もうこの世界にゃ、
純粋な女は数百人しか存在してねーんだ。我慢するもなにもねーよ」


 レッカの言葉に、ユウは気色ばった表情で身を起こした。
重力に引かれて椰子の実ほどもあるたっぷりとした乳房が“ゆらり”と揺れ、
肩までの艶やかな黒髪が“さらり”と流れる。紅潮した頬や首筋、胸元などが、
例えようも無いほどに色っぽい。そして、彼の唾液がてらてらと光る首筋や乳房、
そしてサーモンピンクの硬く勃起した乳首が、
今が“男と女の”情事の最中だということを強烈に匂わせていた。
「そういう事じゃない!こんな…こんな虫篭か水槽みたいな部屋に入れられて、
それで我慢出来るのか?って聞いてるんだ」
「別に」
 レッカは濡れた左指をわざとユウに見えるようにして“べろり”と嘗めた。
 指を濡らすべとべとしたその粘液は、“彼女”の性器から染み出した甘露だった。
「こうしている一部始終を“ヤツら”に見られて…観察されてるってのにか?」
 ユウは椰子の実さながらにずしりと重たく“ゆさゆさ”揺れる乳房を両腕で抱くようにし、
そして汗とは明らかに違うぬめりを見せる股間の赤い亀裂を、
腰を捩(よじ)って『周囲』から隠した。その視線は、装飾や調度品が何一つ無い、
目が痛くなるほど真っ白な天井や壁を何度も何度も、探るように走る。
 彼女は今回のこの“役目”に入る前に、同じく何度目かの“役目”に就くのだという、
非常に美しい北欧系の女性と話す機会を得た。
 その時、翻訳機を通してその女性に聞かされた言葉が、ユウの脳裏に浮かんでいた。
 それは“ヤツら”が、ただ単に人類を増やすためだけに
こうした“役目”を自分達に課しているわけではないという、まだ想像の域を出ない噂話だった。
 そしてそのために、内側からはあらゆる電磁波が決して透過出来ない部屋が用意され、
人間が行う生殖行為を何体もの“ヤツら”が記録しながらリアルタイムに「観察」するのだと。

 ――性行為を大勢の他者に観察されながら行う。

 たとえ、男から強制的に女へと変異させられた体であっても、
快楽に溺れ身も世もなく喜びに咽び泣く姿を衆人環視(しゅじんかんし)の前に晒すというのは、
耐え難い羞恥をユウに感じさせた。“ヤツら”が人類と意思疎通が可能な知的生物であるという以上、
それが人類とは全く違う生態を持つというだけでは、簡単に羞恥が拭い去れるはずも無い。
「オレたちの生殖活動そのものが原種の『研究対象』として興味そそるってんだから
仕方ないだろう?それにもう慣れたよ」
「慣れた!?」
 ベッドの上で股間を隠すこともなく胡坐をかいた男の、
その天井に向けてそそり立った男根を、彼女は眉根を寄せて見た。


 元は同じ男である自分に対して、何の躊躇いも無く勃起してしまえる鈍感さが有る男だからこそ…
いや、そういう鈍感さが性機能に直結していると“ヤツら”が判断したからこそ、
この男はここにこうしているのだろう…と、妙に納得してしまった自分を発見してしまったのだ。
 それはつまり、
「この男は自分を確実に妊娠させるだろう」という予感めいたものと確実に直結していた。
「ああ。別に“ヤツら”が、セックスしてるとこに姿見せてジロジロ見るわけじゃねぇ。
こうして部屋の外から360度、あらゆる角度から観察されているとしても、
それをオレたちに感づかれるのを“ヤツら”自身が注意してる以上、いないのも同じだろう」
「だ、だからって…」
「オレたちが魚やカエルの交尾見て興奮するか?
魚やカエルが、オレたちが見てるからって恥ずかしがるか?
“ヤツら”にとっちゃ、オレたちのセックスなんてのは
生物学者が希少生物の交配を見てるのと同じなんだよ」
「…俺達は人間だ。知恵も知能もある。だから」
「“羞恥心が生まれる”…ってんだろ?昨日も聞いたぜ。それで?」
「え?」
「それで、どうする?どうしたいんだ?」
「ど…どうって…」
「もう一度昨日みてーに、いちいち噛んで含めるみたいに説明しねーとセックスしねーつもりか?」
「…お、俺は…」
「“薬”飲んでんだろ?だったらその時点で今の状況を受け入れてるってコトじゃねーか。
だったら今更グダグダ言うなよ」
「あっ…」
 レッカはユウをベッドに押し倒し、再びそのむっちりとした太腿の間へと強引に手を差し入れた。
「こんだけぐちゃぐちゃに濡らしてて、それでよくそんなセリフが言えるもんだ」
「…あっ!やめっ……ぅあっ!ああっ!…」
 ずっしりと重みを感じさせる乳を捏ねられ、熱くとろけたあそこを指で掻き回されるだけで、
“男の体では絶対に得る事は出来ないであろう感覚”に脳があっけないほど簡単に揺さぶられた。
 女性体へと変異させられた際、新たに創り出された器官が、
“自分とは生物学的に違う個体を求めろ”という、
意思とは全く関係の無い場所からの命令に“きゅうん”と啼いた。
その器官とはずっしりと重たい豊かな「乳房」であり、
ぬるぬるとした熱い粘液でとろけた「膣」であり、男の精を受け止め子供を授かる「子宮」であり、
男より何倍も敏感に反応してしまう全身の皮膚であった。
 しかも、この男とは昨日も肌を合わせているのだ。


 性感を高め、相手に対する嫌悪感などを和らげる効果を主にした“薬”によって、
急速にレッカの体に馴染んだユウの肉体感覚は、
彼女をたちまちのうちに彼との交歓でしか得られない、
効し難い激しい快楽の波へと容赦無く放り込んだ。

 “薬”は、この“役目”の期間を含めて5日間毎日、食事の度に配給されている。
 薄緑色をしたそのカプセルを「飲む」「飲まない」は女性の自由とされているが、
前者を選択する女性は数少ない。
 ここで『妊娠するために』毎日何度も男に抱かれる“女性”は、
全てが“ヤツら”に性別を変えられ変態した“男性”だ。
 バイではない男が、『男の男根を胎内に迎え入れて射精され
精液にまみれるおぞましさ』から逃れるには、生体粘膜に前立腺液
(前立腺から分泌される弱アルカリ性の液体)に含まれる「スペルミン」という
“直鎖脂肪族炭化水素の一種”を直接付着させる事で得られる
激しい性的快楽に埋没していくしかなかった。
 つまり簡単に言えば、
膣内に射精されることで得られるオルガスムスに狂うしかないということだ。

 ――昨日は、3回も膣内で射精された。

 膣内射精のたびに何度も何度も何度も絶頂へと導かれ、乱れに乱れて、
最後には自分から喜んでレッカの男根にむしゃぶりつき、
体の奥深くへと迎え入れて喜びにすすり泣いた記憶が、細部に渡って急速に蘇る。
 それは醜悪で、嫌悪に満ち、羞恥にまみれた…そしてこの世のものとは思えないほどに得難い、
『悦びの記憶』だった。
 受胎期間にある自分は、今日を合わせてあと2日間、この男に抱かれなければならない。
 それが自分に課せられた“義務”であり“責任”であり“役目”だからだ。
 でなければ代謝凍結(フリーズ)から目覚めさせられる事もなく、
今も地下80メートルの暗い凍結槽(シェルター)で、
この地区の残存人類13000人余りと共に眠りに付いていただろうから。

 “義務”の代償として“権利”が。
 “責任”の代償として“自由”が。

 現在の地球においては、この二つを得られるだけでも、かなり幸運だということを、
ユウ自身よくわかっている。

 その“権利”とは、“管理者(ヤツら)”の監視の元ではあるが、
人間らしい生を謳歌することの出来る権利。
 その“自由”とは、半径50キロという限定範囲とはいえ、
コロニー内を自分の意志で行動出来るという自由。

 数十年前のある暑い夏の日。
 突然訪れた“管理者”を名乗る者達から、
何の前触れも無く“第63島銀河の知的生命原種保護法による種族統治”という『侵略』を受けて、
地球人類は全人口の9割近く…およそ58億3千万人を失った。
 その時点で、本来であれば人類はこの二つどころか生存権さえ剥奪されて当然とも言えるのが、
今の地球の状況なのである。
 それを前提とするのであれば、定期的に冷凍睡眠から目覚めさせられ、
ランダムに選ばれた一定数の少年は性別を変えられ、
種族維持のために妊娠させられ出産することさえ、甘受してしかるべきなのかもしれない。

 …そう、ユウは自分に言い聞かせていた。



■■【3】■■
「んっ!んっ!んっ!んっ!んっ!んっ!」
 口元を手で覆い、艶声が漏れないように顔を背けているユウを、
レッカは面白半分に嬲り、揺らし、そして“いぢめる”。
 無理矢理四つん這いにされたことで、
そのどうしようもなく重たい自重によって体の下で砲弾状に垂れ下がった“椰子の実おっぱい”を、
レッカに片手で野卑に弄ばれながら、同時に彼に、
右手で後から尻肉を分けて股間のモノを好き勝手に弄くられた。
 尻の穴に親指を浅く潜らせたまま、膣内に…火傷しそうなほど熱く火照った身体の胎内に、
彼の節くれ立った太い指が二本も侵入し、粘膜に覆われたデリケートな内壁を、
何度も何度も擦り上げる。
「ひっ…いっ…ひんっ…」
 “じゅぶじゅぶ”と「男には無い器官」から、
まるで愛液を掻き出すかのようにして軽く曲げられ、ゆっくりと出入りを繰り返すレッカの指が、
泣き出しそうな声でひしりあげるユウを翻弄した。
「ぐちゃぐちゃに濡れてるじゃねーか。指がふやけちまうぜ」
「…くふぅんっ…ひっ…くぅ…」
 滑らかな額からふっくらと上気した頬へ滲んだ汗が伝い、木目の細かい背中の白い肌がうねる。
 太腿の内側は綺麗なピンク色に染まり、
その狭間からは濡れて捩れた陰毛を伝ってポタポタと熱い愛液がベッドへと滴っていた。
「んっ!あっ!…んっ!…んっ…!あっ!んっ!…」
 充血して熱を持ち、硬く勃起した乳首を捻り上げられて、
ユウはついに身体を支えていられず両肘を付いてしまう。
 が、ベッドに突っ伏す事は許されなかった。
 “ゆさゆさ”“ぶるぶる”と揺れて、震えて、跳ねて踊る熟れ切った椰子の実おっぱいを
掬い上げるようにして、レッカが彼女の身体を支えたからだ。
肩も、首も、手首も足首も腰も折れそうに細いのに、
こうして彼の大きな手からも零れ落ちてしまいそうになっている豊満な乳房は、
ユウの身体の横からすごいヴォリュームではみ出し、汗ばんだ肌でキラキラと光を弾いている。
 そのずっしりとした乳房をレッカは逞しい手で包み込み、
女性らしさの象徴のような珠肉のやわらかさ、あたたかさ、まろやかな丸みを心から楽しんだ。
「…んぅぁひっ!…」
 彼の指が、ユウの一番感じる部分を優しく優しく何度も撫でるようにして擦り上げる。
 決して乱暴にはしない。
 時に強くはしても痛くはしない。
 それがレッカの指使いだった。
 膣口から程近い、恥骨の裏側、コリコリとした膣壁の筋肉のうねりを、
彼は乳を嬲りながらゆっくりとゆっくりと指で刺激し続けた。
「あっ!っそ…そこだ…めぅあ…」
 自覚も無く腰がうねり、揺れる。
 それは彼の指を拒んでいるのか、それとも“もっともっと”とねだっているのか。

『ああ、こういうことなのか』

 レッカに身体を嬲られながら、ユウは熱く鈍くぼんやりとした意識の片隅で、唐突にそう思った。
 あの、とてもとても美しい北欧系の女性が言った言葉を思い出したのだ。
 彼女は言った。

 ――身体がね、馴染むんだ。

 馴染む。
 溶け合うように、混じり合うように、相手の男の息遣いや、愛撫のタイミングや、声さえもが、
身体の様々な部分を刺激し、撫で、嬲って、染み込んでくる。


「よいしょっ…っと」
 掛け声と共にひどく簡単に身を起こされ、
ユウはレッカにだっこされるようにベッドへと身を起こした。身を任せたくなんかないのに、
身体に力が全く入らず、彼女は彼のするがままに重く揺れ動く熟れた乳房を与え、
綺麗なピンク色に染まった太腿を大きく広げてしまう。
 レッカの右手が右乳を揉み立て、“じんじん”と硬く尖った乳首を捻り上げ、
そしてするりと太腿に間に滑り込んだ左手が、前からとろとろに濡れた陰核と膣口を
“くちゅくちゅ”と粘液性のいやらしい音を立てて弄んだ。
それと同時に後から首筋を“べろり”と野卑に嘗め上げられ、軽く甘噛みされ赤く歯跡を付けられる。
 脚の間に男の手がある。
 自分のものではない男の手がある。
 そしてその手が自分の、今まで有ったものが無く、
無かったものが存在している部分を丹念に弄られる。
 その感覚に、ユウは涙した。
「ぁ…ああっ!…ああっ〜ぁあ〜〜ぁ〜〜ぁ〜…!…」
 消え行くような、泣き咽ぶような声でユウは“いやいや”と首を振った。
 悦んでいる。
 身体が、悦びの声を上げている。
 悦びの涙を流している。
 相手は“自分と同じ”男なのに。
 自分は今、男に抱かれているというのに。
 “女の悦び”に、熱く火照った全身が涙を流して悦んでいる…。
「あっ…あっ…あっ…あひっ…あっ…ぅあっ…」
 コンドームの中に粘性の高いジェルをたっぷり詰めたような質感と、
やわらかくずしりとした量感を感じさせる椰子の実のようなおっぱいが、
レッカの思うままに自由に姿を変える。
 そして彼にはそれをひどく面白がっている節があった。
「ユウ、オマエ、孕むのは何度目だっけ?」
「…ぁっ…んっ…な、なに…?…」
「妊娠するの、何度目だって聞いたんだ」
「ばっ…ばか…まだ…一度も……きの…いった…だろ?…んぅううううううっ〜〜〜っ!!」
 “ぶじゅるっ”と、二本の指が根元まで蜜液にぬかるんだ膣内に挿し込まれ、
“ぐちゅぐちゅ”と湿った音を盛大に立ててバタ足のように交互に動かされると、
ユウは押し寄せる激しい快楽と羞恥に、頭が真っ白になった気がした。
 本当に意識が一瞬“跳んだ”のだ。
 “びくびく”と全身が震え、ほっそりとした足首に繋がる、長く美しい形の両脚が跳ねた。
「へぇ…初モノかよ」
「…ちょ…せぇい…はぁ…うけぇ…たぁ…」
「“調整”?…“調教”だろう?」
 レッカの口調は、明らかに面白がっていた。

 “男性”から“女性”へと変態させられた者は、
凍結解除される数日前から変態処理と同時に“管理者”の設定に添って脳に手が加えられる。


 特殊性癖で無い限り、本来ならば同性である男性に対して当然抱くであろう
“性的接触する事に対する精神抵抗”を減らし、
そして受胎への生理的嫌悪を封じて妊娠・出産をよりスムーズに行う事が出来るようにするのである。
 また、子供を出産するまで、
“彼女”達はパートナーとなった特定男性からの接触に対し過敏に反応し、
性的快感を過剰に受けるようにも“調整”される。
その感度は男性との接触を重ねる度に飛躍的に増してゆき、
性交の必要の無くなった妊娠中でさえ、
パートナーからの口付けや軽い愛撫――乳房や性器を撫でられたり、吸われたり、
嘗められたりは言うに及ばず、髪を軽く撫でられるだけでも
ゆるやかなエクスタシーを感じるようになり、やがてはパートナーの声や体臭、
視線を感じるだけで脳内麻薬が大量分泌され
オルガスムス(orgasumus)に達するようになるのである。
 しかもその進行は、あの“薬”によって急速に進んでゆく。
 いかに元男であっても、やがてほとんどの女性が“役目”たる3日間の最終日には、
自分から相手を求め、悦んで腰を振るようになるのが通例だった。
 それはきっと、ユウでさえ例外ではないに違いない。
 そして、やがて妊娠し3ヶ月を過ぎる頃には、いつでもどこでも、フェラチオや、
パートナーの肛門を嘗めるエイナリンガス(analingus)なども何の抵抗もなく…
むしろ深い満足感や充足感を伴った喜悦を持って行えるようになり、
彼から与えられるものであればそれが何であろうとも陶酔の中で甘受し、
簡単にオルガスムスへと登りつめるようになるのだ。
 彼の唾液や精液を口に含み舌に感じるだけで身体が震え、彼の愛撫だけで絶頂を迎える…。
 それは、遺伝的に優良とされたパートナーとの間に、より多くの子供を自然状態で自発的に、
積極的に、ストレス無く作る事が出来るように施される“生体改造”であった。

 “管理者”はそれを“調整”と呼ぶのだが、
一部の人類はそれを“調教”という言葉を自嘲気味に使用する。
 人類という、“第63島銀河の知的生命原種保護法”によって種族管理統治される種を、
適正文明を築けるくらいにまで増やすために創り出された“システムのための一環”
という題目はあるが、要約すれば“優良血統の『繁殖』のための交配に必要な調教”
というのとなんら変わりはしないからだ。
 レッカが口にしたのは、そういう意味なのである。


■■【4】■■
 すでに、人類には「人権」というものは存在しない。
 “管理者”によって生殺与奪権は握られ、減れば増やされ、増えれば間引きされる。

 ――かつて、人類が希少な野生動物たちに対してそうしたように。

 数十年前、あの夏の日の『侵略』の際、
“管理者”が全世界規模で使用した“ヒトゲノムの性染色体のみに影響を及ぼすウィルス”によって、
世界中のXX染色体を持つ個体―つまり「女性」が数百人を残し、悉(ことごと)く命を落とした。
 しかしその結果は“管理者”にとっても誤算であったらしく、
“ヤツら”は慌てて残存した人類を隔離された地下に“代謝凍結”し、
一部の人類を地球上に点在する10箇所の、
コロニーと呼ばれる無菌居住区(人類にとって害となるウィルス類が
極限まで減滅された保護ドーム)に集めた。
 そして現在、今度は広域銀河にとって有用な文明を築けるまで
『繁殖』させようとしているのである。

 “知的生命原種保護法”という、宇宙規模の『野生動物保護法』によって。

「さて…と、そろそろか」
「…ふぅえ…あ?…」
 再び四つん這いにされ、そのままバックで腰を両手でしっかりと掴まれて、
ユウはレッカに身体の奥深くまで一気に…だがゆっくりと男根を挿入された。
 彼女の尻肉の狭間にある濡れた唇が、ゴムのような感触の亀頭を感じてすぐの事だった。
 とろとろにとろけ、たっぷりといやらしい淫蜜を垂れ流した膣穴は、
彼の逞しい激情を根元まで“ぬるるるるっ…”と余すところなく呑み込んでゆく。
「ぅっんっ―ぅくぅふぁあ〜〜…」
 淫部に満ちた男根は、熱く、太く、“ビクビク”と脈動して、
括約筋の弛緩した膣口の入口をいっぱいに広げていた。
 あっけないほど簡単に男根の全てが尻肉の狭間に消えたものの、柔軟性に富んだ膣壁は、
その凶悪な肉棘の表面に浮かんだ血管の凹凸まで克明に捉えている。
「ふうっ……入ったぞ…」
 彼の陰毛がユウの尻肉の狭間を撫で、“ひくひく”と蠢く肛門を撫でる。
 膣内の、充血した壁面を海綿体のカタマリがみっちりと押し広げていた。
「……ぅふぇっ…えぇ…」
 その、気が遠くなるほどのあまりの気持ち良さに、
ユウはシミ1つ無い真っ白な背中を強張らせ、そしてすぐに全身を弛緩させた。
「んっうっ…はぁああ〜〜〜…」
 思わず声が漏れ、それが温かいお湯に全身を浸したときのような、
非常にリラックスした時の悦びの吐息に似ている事に気付き、
ユウは“ぼっ”と一気に可愛らしい耳たぶや汗の滲んだ首筋までを赤く染めた。
「なんだよ…もうチンポ突っ込まれただけでイったのか?」
「ち…ちがっ…」
 慌てて否定しようとするユウを、
レッカは腰を揺すりたて膣内を縦横に刺激しながらゲラゲラと笑った。
 そして、手を伸ばしてユウの身体の下にぶら下がり“ゆさゆさ”“たぷたぷ”と揺れ動く
ずっしりと重たいおっぱいを、まるで酪農の乳牛の乳房にするように“ぴしゃり”と叩き、
男根と女陰の接合部を親指でなぞる。


「いいさ。これからもっともっとどんどんオマエのここに“オレ”を覚え込ませてやるよ。
自分からオレを求めて泣くくらいな」
 そうニヤニヤと笑いながら
“きゅっ”と収縮を繰り返すココア色をした可愛らしい後の窄まりを眺めた。
「そんな…ことぅはっんっ!」
 レッカが“ずにゅっ”と、一旦カリの部分まで引き出した男根を再び根元まで挿し入れると、
ユウは美しい稜線を描く顎を反らせ、身を震わせた。言葉では否定していても、
彼のモノを咥え込んで“ぐにぐに”と蠕動し、奥へ奥へと誘う込むような動きをする膣穴が、
それを全て裏切っている。
「今日もたっぷり注いでやるよ。オマエの膣も子宮も、オレの精液でどろどろにしてやる」
「…あぁ…やだ…やだぁ…」

 ――身体の中を、男の精液が汚す。

 それは身の毛がよだつほどの嫌悪感と、それと相反する、それ以上の甘美感をユウに与えた。
 その全く異なる感情に彼女は混乱し、“いやいや”と首を振りながら腰をくねらせる。
 打ち付ける彼の腰が、豊かでありながら引き締まった柔尻にぶつかり
“ぺちぺち”と肉打つ音を立てるのが、たまらなく恥ずかしいのだ。
 身体の中でみっちりと詰まり、膣壁を擦り上げる肉棒を驚くほど鮮明に感じてしまうのが、
たまらなく恥ずかしいのだ。
 そして、恥ずかしいと思いながらも“もっと深く、もっと激しく”と
請うような腰の動きを止める事が出来ない自分が、一番恥ずかしかった。
 それは男だった頃の記憶から生まれる、男としてのプライドを削ぎ、砕き、
少しずつ少しずつ…だが確実に風化させてゆくようだった。
「おら『もっと』って言えよ。言えばもっとしてやる。ちゃんと孕ませてやる」
「ぁあっ!ああっ!!ああぁ〜〜〜…」
 豊満な尻肉の中を“ぬるぬる”と行き来する剛直な肉棒が、
凶悪な硬さで今にも熱いシロップを噴出しそうに猛っている。
 それがハッキリとわかるから、ユウはベッドのマットに爪を立てていやいやと首を振った。
 膣内にたっぷりと射精される喜びを、子宮をいっぱいに精子で満たされる悦びを、
ユウはいやがうえにも自覚させられてしまったからだ。
「妊娠させてやる。オレの子を。オレの精子で」
「いやっ…いやぁあだぁ〜…」
 悦びながら、悲しみながら、恐れながら、泣きながらレッカに責められ続けるユウの、
重力に引かれて下方に垂れる“ずしり”とした重さの椰子の実おっぱいが、
後から突かれる度に“ゆっさゆっさ”と面白いほど盛大に揺れる。
 その揺れの与える痛みさえもが、今のユウの全身には甘美な刺激となって走り抜けるのだ。

 ――満たされる。

 レッカの男根で、自分の身体の足りない部分が満たされる。
 それどころか、身体の中全部が彼の男根でいっぱいになってしまったような感じさえした。
 それはなんと魅力的で、そしておぞましい想像だろうか。
「いつも思うけどよ…オマエが前は男だったってこと、忘れちまいそうだぜ」
「あひんっ…ふうっ…ぁあっひっく…」
「もうオレの言うことも聞こえねーか?」
 “ぼぶっ”“ぶりゅっ”“ぶちゅっ”と、濡らした布を詰めた瓶に棒を突っ込んだ時のような、
湿った濁音が二人の繋がった部分から聞こえてくる。レッカはユウを貫きながら圧し掛かり、
右手で掌にとても収まりきらない“ずしり”と重たくやわらかいおっぱいを揉み立て、
左手を前から回して彼女の包皮に包まれたクリトリスを中指で“くにくに”と捏ねた。


「うあ〜…ぁあっ…ぁあ〜〜ぁ〜…
 強過ぎる刺激は痛みにも似た感覚をユウにもたらしたが、
それよりもその刺激によって自分の意思とは無関係に括約筋が収縮し、
そのために膣内を進退する太い肉幹の動きを膣口周辺でより鮮明に意識する事が出来た。
 狭い淫口を強引にくぐり、広げ、蹂躙する肉の槍が、身体の奥深くを何度も突き、責め立てる。
 それは今まで感じたことも無いほどの、強く、激しく、
たまらない充足感と幸福感をもたらす「女だけの快感」だった。
「ってゆーか、もう本物の女だよな。オマエ」
 乱れ、ベッドを掻き毟り、髪を振り乱しながら白い尻を振りたくるユウを、
レッカは満足げに見下ろした。
 首筋から肩甲骨、背骨の凹凸や腰から豊かな尻肉の線まで、
全てがユウを極上の「女」だと示している。
 そしてその『極上の女』は、今は『レッカだけの女』でもあるのだ。
『オレの女…か…』
 彼は、“本物の女性”など、もう何年も見ていない。
 生まれてからずっと、一度も実際にお目にかかった事など無い男がいる現在、
彼はまだマシな方かもしれないが、それでも代謝凍結される数十年前に数回だけ抱いた事のある
「本物の女性」がどうだったか、彼だとてもうハッキリと覚えていなかったから、
似たようなものかもしれない。
 それにしても…と、レッカは思う。
 ユウの肉体は、レッカにとって『最高』だった。
 何もかもが自分の好みであり、何もかもが自分のためだけに存在しているように感じた。
 その想いが、昨日よりもずっと強くなっている。
「オマエはオレのモノだ」
 耳元でわざと声を低くして囁いてやると、
ユウの膣口は“きゅうううぅ”とレッカの男根をキツく締め付けた。

■■【5】■■
 変異者が男性から女性に変態される時、
その肉体は数十年前に『侵略』によって死亡した女性の肉体が(正しくは女性の組織と遺伝子が)
使用されると言われている。
 全世界から集められた生体サンプルと遺伝情報が“管理者”によって繋ぎ合わされ、
合成され、変異者の肉体が種族維持のための“役目”に選ばれた男性の「好みの女性」
となるよう反映される…というのだ。それは髪の色や長さ、肌の色や顔付き、
そして肉体的な特徴をはじめとした外観は言うに及ばず、声や体臭、
唾液の味や愛液の量などにおいてまで、徹底されているらしい。
 それも全て“パートナーの男性が抵抗無く勃起(性的興奮)出来るようにするため”だけに。
 そこに、在来の地球のテクノロジーが介在する隙は無い。
 どうやって男性を女性に変態させるのか?
 脳はどうしているのか?シナプスは?
 代謝機能は?
 免疫系は?
 ホルモンバランスは?


 それらは一切、開示される事無く、人類はただ“ヤツら”のテクノロジーで調整され、
繁殖させられるだけの存在なのである。

 だが、なぜ人類の『繁殖』方法に、“管理者”はこんな面倒で手間の掛かる方法を取るのか?

 そこには、およそ「効率」とは言い難い方法しか存在しない。
 だが、“管理者”によって行われるプログラムは、
人類の繁殖方法が確立されてから数十年、ほとんど変わることが無かった。
 それはまず、代謝凍結した現存する人類の大多数から、
肉体労働に従事するメンバー(ワーカー:worker【労働者】)と
種族維持に従事するメンバー(プロダクター:producer【生産者】)
――もちろん、この呼称も命名者も地球人だが、その人間は相当にセンスが無いか、
または相当に皮肉屋に違いないと言われていた――を、種族維持のために必要な数だけ選出し、
それぞれ“役目”に従事するための肉体改造を施して、
厳重な管理下に置かれた地表のコロニー(保護ドーム)で生活させる事から始まった。
 プロダクターに施される肉体改造は強制的な性別の転換を主として、
その変異させた“変異者”の中から定期的に『受胎者』が選ばれ、
代謝凍結が解除された後に子供を出産することを義務付けられる。
 プロダクターのパートナーには同じプロダクターから選ばれる事が多いが、
ワーカーの中で肉体的に頑丈で、健康で、そのうえ遺伝的にも問題の無い個体から選出され、
あてがわれる場合もある。

 女性に変態した男性は“管理者”の調整によって、
代謝凍結から目覚めて数日の内に受精可能な身体となる。
 受胎期間は、パートナーとなった相手と午前中と午後に一度ずつ、一日に2回、
専用に用意された個室でセックスを強制され、パートナーの男性は、
女性に“変態”した男性(変異者)の膣内に射精するまで、部屋を出る事を許されない。
 そして膣内射精された変異者は、受精確立を高めるため、パートナーの射精後、
完璧に温度・湿度・細菌管理された部屋内で30分以上ベッドで安静にする事が義務付けられていた。
 やがて、変異者の受胎が確認されると、
“彼女”は“管理者”によって調合された成長促進剤によって、
およそ半年という短期間で乳児を出産するのである。
 “役目”の間、パートナーと変異者は擬似的な『夫婦生活』を送り、
パートナーとなった男性との間におよそ4人程度の子供を出産するが、
出産した乳児はすぐに“管理者”の育成管理部によって引き離され、
育児に特化調整された別の擬似夫婦へと与えられる。
 出産を終えた変異者は、再び“管理者”による肉体調整を受けて全身の細胞がリフレッシュされ、
疲弊した子宮や産道も修復されて、すぐに次の子供を孕む“役目”へと移行することとなる。
 その際に、過剰に分泌された脳内麻薬により自家中毒を起こした
脳のホルモン機能も正常化されるのだが、「男に与えられた快楽の記憶」は残る。
そのため、男性とのセックスに対する抵抗は最初の“役目”とは比べ物にならないほど
無くなっているというのが通例だった。
 それどころか、役目を終えた変異者が再び男性に戻る事を希望するのはまれだった。

 以上の『繁殖方法』は、効率を重んじ、機能的に物事を推し進める“管理者”にしては、
ひどく非効率的で、無駄の多い方法と言えた。

 単純に『人類を繁殖させる』『女性を増やす』ためであれば、
男性を女性に変態させる事が出来るテクノロジーを用いることで事は足りるはずだからだ。
半年に渡りプロダクターを妊娠状態にしておく必要も無く、卵子を成熟させ、
排卵を促した時点で摘出し、人工授精の後に“管理者”自らの手で細胞分裂をコントロールして
赤ん坊を文字通り『生産』すれば良い事なのだ。


 だが実際は、こうして1つの部屋でプロダクターがパートナーと性行為を行い、
膣内射精され、妊娠する過程を観察し、克明に記録している。
 確かに、出産の度に肉体はリフレッシュされ、
プロダクターに選ばれた人間は何人子供を産んでも肉体の老化は無い。
 そして、子供を産んでいる限り代謝凍結される事も、実験素材として「潰される」事も無い。
 しかしそれは、繁殖のための“役目”を果たす事で得られる延命でしかない。

「いくぜ…」
「いやっ…あっ…いやぁ…くっうっ…くぅああぁぁ〜〜ん…――」
 身も世も無く、息も絶え絶えに喘ぎ狂ったように首を振りたくりながら悦びに咽び泣く
ユウの豊かな尻を掴みつつ、その“ぬるぬる”としてあたたかな膣内奥深くに思い切り、
そして気持ち良くたっぷりと射精する。
 昨日と合わせて、これで4回目の膣内射精だった。
 たった一回の射精でも、レッカはユウを孕ませる自信があった。
 それくらい彼の精液は精子密度が濃く、量が多いのだ。
「…ひっ…ぃ…」
 膣内粘膜が、内部で迸り拡がった精液を感知し、
「スペルミン」がユウの脳に快楽物質を大量に放出するよう速やかに命令を下すと、
彼女は“びくびく”と全身を痙攣するように震えさせ、
白痴のように白目を剥いたまま可愛らしい唇から涎を“てろり”と垂れ流した。
 男根を根元まで咥え込んだユウの膣が、
まるで精液を搾り取ろうとするかのように“きゅうう”と締め付ける。
 その括約筋の締め付けの中、レッカは愛液と精液とを潤滑液にして、
“ぬるぬる”と男根を前後させた。
 そうしながら、レッカはふと思い出していた。
 人類の、存在している意味。

 ――それは…繁殖のためだけに生かされている命。

 『そんな人生に意味はあるのか?』
 そういう問いが、プロダクターのパートナーを中心として蔓延しつつあることは知っている。
 だが、その問いに答えられる人間は、今の地球には存在しない。
「楽しめればそれでいいんだよ。なあ、ユウ」
 “びゅくっびゅくっ”と、尿道の中に残った精液を押し出すように男根を弾けさせ、
レッカはベッドに崩れ落ちたユウのシミ一つ無い白い身体を撫で回した。
背中から引き締まったウエスト、そしてそのために殊更豊かに見える
逆ハート型のお尻を優しく撫でると、ユウは溜息のような声を漏らして
繋がった女性自身を“ぬるぬる”と蠢かせた。それは、尿道に残った精液の、
最後の一滴まで搾り出そうとするかのような、淫猥で貪欲な動きだった。
 膣内の男根は、射精したというのにまだその硬さと太さを失っていない。
 この部屋に入る前に、レッカもユウと同様に“薬”を服用していた。
 それは勃起を維持し、精巣内の精子を残らずプロダクターの胎内に注ぐためのものであったが、
かつて人類が使用していた血管拡張を主とした興奮剤・勃起促進剤とは違い、
循環器系や脳にダメージを与えるような事は全く無かった。


「…ぁま…まだっぁあ…」
 精液のたっぷりと注がれた膣内で再びレッカが進退を繰り返すと、彼女の脇で、
身体の線から大きくはみ出した豊かな乳房がゆらゆらと揺れた。ユウが振り返り、
赤く紅潮した顔でレッカを見上げたのだ。
 その大きな美しい瞳は涙に濡れ、目元は赤く染まって、
すっかり“性的な満足感を十分得たオンナの顔”をしていた。
 筆で軽く刷いたような眉は優美な線を描き、抗議するように顰められている。
 昨日と今日、二日に渡って与えられた「女としてのオーガズム」は、
ユウの心を乱暴なまでに鷲掴みに捕らえ、彼女の心を急速に変えようとしている。
男という「奪う側」だった者が、女という「奪われる側」へと転落し、男に自由にされ、
男が好きな時に好きなだけ性的な戯れに応えなければならない自分を自覚することで、
過去の自分と自ら決別しようとしているのだ。
 その証拠に、感じ過ぎて“じんじん”と痛いくらいに勃起した乳首を、
レッカが手を伸ばして摘むのを、ユウは拒めなかった。
 “ひくひく”と痙攣するようにひくつく肛門を、右手の親指が浅く潜っても、
それを拒む事が出来なかった。
 どうしようもなく火照った体が、それを拒もうとする心を容易く捻じ伏せてしまったのだ。
 レッカはそれを十分に確かめると、
“ぬるり”と彼女の淫穴から男根を抜き出して彼女の身体をひっくり返し、脚を大きく開かせた。
 ユウの、腱の浮き立った白い太腿の内側が紅潮し、美しいピンク色をしている。
 その中心にレッカに激情を突き立てられ、滅茶苦茶に責め立てられて形の崩れた小陰唇が、
充血してぽってりとした厚みを見せたまま、“くぱぁ…”とほの暗い空洞を見せていた。
「…ぁ…」
 吐息を吐くような、すっかり観念してうなだれた子供のような声を漏らし、
ユウは荒い呼吸で上下する自分の豊満なおっぱいの間からレッカを見た。

――ぶっ…

 湿った音と共に、何かが尻の方…肛門の方へとゆっくりと垂れ落ちるのをユウは感じた。
 それは、膣内に注ぎ込まれたばかりの、
健康的に活動する精子がぎっしりと含まれた、レッカの精液だった。
 膣内にたっぷりと満ちていたそれが、
性交によって胎内に入り込んだ空気が外へと噴出すと共に流れ出したのだった。
 精液は時間が経つと粘性を無くし、さらさらとしたものへと変わってゆく。
ねっとりと粘性の高い、糊のような精液は、
それがまだ彼の尿道から射精されたばかりの新鮮なものだということを証明しているのだ。
「おっと…もったいねーよな」
「うっ…んっ!」
 ユウが何か言う前にレッカは彼女のやわらかくて豊満なおっぱいを右手で掴み、
左手を濡れた男性自身に添えて、ゆるく拡がり精液と愛液でぐちゃぐちゃになった彼女の女性自身を、
再びゆっくりと割り開いていった。
「あっ…ああぁ〜〜〜…」
 ユウは一瞬、息を詰まらせたように顎を引いたが、
すぐに大きく喘いで滑らかな腹を大きく上下させた。それはユウが過去の男だった自分を手放し、
記憶の奥へと封じ込めようとした最初の自発的な行為だった。


 彼女は自分の胸にぶら下がる、母性の象徴のような重たくずっしりとしたおっぱいを揉み立て、
愛撫し、揺らして、時に持ち上げる彼の手を、初めていとおしいと思った。
 その想いは、ユウが自分でレッカの二の腕を優しく撫でさすり愛撫する事が示していた。
 粘膜と粘膜が擦れ合い、膣の奥の奥まで何度も何度も突き立てられた事で、
自分が今は女であること、
女としての役目に甘んじてさえいればいつでもこの快楽に身を浸す事が出来るという事実を、
意識の底にハッキリと刷り込まれてしまったのだ。
「…ぅ…はぁあああぁん…」
 ユウは声を上げた。
 それは悦びの声だった。
 ベッドに仰向けに横たわり、男に両脚をいっぱいに開かれ、
その間にその彼が身体を割り入れている。
 レッカが、屹立した男性自身をぬかるんだ女性陰部に突き立てている。
 無防備に彼を迎え入れ、ユウは涙に咽(むせ)びながら、
上で前後する汗ばんだ彼の身体に揺らされ、翻弄されていた。

 ――身体の中を、蹂躙されながら満たされる。

 耐え切れずユウはレッカを自ら引き寄せて抱き締め、彼の汗に濡れ光る首筋にキスをした。
 彼の汗の匂い、味、肌の感触が、
彼に遠慮無く責め立てられている股間の臓器を、もっともっと熱くする。
 目に涙がいっぱいに溜まり、ただ泣きじゃくるしかない自分の無力を感じる。
 それが例えようも無いほどに心地良く、幸福だった。
 これがオンナなのか。
 これが『オンナである』ということなのか。

 これが、『男のモノになる』ということなのか。

 役目を終えたら…子供を産んだなら、もう一度男に戻る。
 その考えは、いつしかユウの頭から綺麗サッパリと消え去っていた。
 まるで、そんなものは最初から存在しなかったかのように。

         −おわり−

■■「閉じた世界で生きる意味」〜交配と繁殖〜■■


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 以上です。
 エロ無し部分が多いので一気に投下しました。
 お疲れ様でした。

 機会がありましたらまた御邪魔させて頂きたいと思います。
 失礼します。
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