漸く投下します。
前作の途中放棄陳謝。
今回の作品は痴話喧嘩や暗い話し、鬼畜は無し。
あまりひねってません。

天王寺蛮【15】
天王寺羽月【33】母
天王寺健太郎【45】父

天王寺家、次男〜八男
他、分家筋多数



◇◆僕の婿殿◇◆

==天王寺家の事情==

とある数寄屋造りの大豪邸の一室。
小柄な女性の前に15才の長男を筆頭に、九男までが緊張の面持ちで整然と座っている。
いや・・・一人長男の天王寺蛮だけが、くっつきそうな瞼と睡魔に必死に戦っていた。
肩までかかる艶々な黒髪、長い睫毛、目尻が少し上がった魅惑的な眼差し。
紅をさした様な唇。
そこらの美少女が裸足で逃げる顔立ちは、前に座る母と瓜二つだ。
不思議な事に、そんな顔立ちはその蛮一人。
他の弟達は皆巨体を誇っている。
舟を漕ぐ蛮を見た母の羽月は、妖艶さが加わった面差しを引きつらせた。
それを見た次男以下八男は恐怖に固まる。
子供達の横に居並ぶ分家達、いわゆる羽月の弟達は苦笑い。
羽月の横に控える父の健太郎がそれに気付き、蛮に声をかけた。
「おい、蛮っ!起きろって!母ちゃ」
そこまで言った時、羽月が健太郎を振り返りキッと睨んだ。
「あなた・・・」
瞬時に健太郎が、ぶるっと2メートル近い巨躯を震わせる。
「ご、ごめん!母ちゃ・・・じゃなくて当主!」
再び蛮に振り向いた羽月が叱りとばす。
「蛮っ!!」
「わひゃあ!!」
文字通り、蛮は真上に飛び上がった。
「聞いてたのか?じゃないと困るのはお前だぞ!」
その言動は、どう聞いても羽月の姿形と似付かわしくない。
真っ赤に燃える母の眼に射すくめられ、蛮は眠気が吹き飛んだ。
「はい!聞いてました!母ちゃん」
健太郎が狼狽。
「ば、馬鹿!母ちゃんは止めろって」
気付いた蛮は慌てて両手をふって訂正する。
「わわ、ごめんなさい!当主様っ」
怒りが通りすぎた羽月は、何故かストンと冷静になった。
冷めた時が一番怖いのを知っていたから、今度は分家達まで恐怖に固まる。
「ふん・・・なら儀式に異存は無いな?まぁ有っても聞く事は無いけど」
「はいは・・・え?」
お家存続の為の秘儀が天王寺家には有った


「儀式は明日吉日とする・・・良いね、蛮」
「でもでも!何で僕がそんな事に」
羽月は我が子をビシッと指差す。
「ぐだぐだぬかすな!聞かぬ!媚びぬ!顧みぬ!」
「そんな・・・ラオ○じゃあるまいし・・・」
他に助けを求めようとする蛮。
「ねぇ父ちゃぁん」
首をブンブン横に振る父健太郎。
「無理無理無理無理」
分家達は全員そっぽを向いている。
弟達はと振り返った。
「替わってやるって奴居ないのか?」
次男の二郎太が父に似たその巨躯を申し訳無さそうに屈ませた。
「蛮兄、俺にそっくりな女見たい?それに長男じゃ無いしさ」
三男の三吉も口を尖らせて文句をたれる。
「だからこそ蛮兄は何不自由無く特別優遇されてんだろ?一人だけ個人部屋だしさぁ」
四男も乗っかる。
「そうそう、飽きる程女の子も抱いたんだし、未練は無いでしょ」
蛮は自らの出生の運命を心底恨み、溜め息をつく。
「はあぁ・・・」
羽月がうなだれる蛮に語り掛けた。
「諦めなさい。我が天王寺家の長男はその儀式故に愛くるしい顔立ちで産まれてくるのだから」
蛮は納得いかない。
「なら、女性で産まれてくればこんな面倒な事しないで良いのになぁ」
「それは道祖神様を片っ端からぶち壊し、子々孫々の呪いを食らった馬鹿祖先に文句を言え」
昔戦国の世、戯れに領国の道祖神を壊しまくった天王寺家の当主が居た。
天王寺家は、子が全く産まないと言う厄介な呪いを受けてしまう。
流産死産を重ね、悩み大いに後悔した当主が流れの高野聖に泣き付いた。
祈祷を行ったが、呪いは完全に解けず、一人の運命を捧げる事によって血筋を繋ぐ許しを得たと言う。
それは長男が女体化し、婿を取る事だった。
長男としては全くもって理不尽な話だが、女体化すると何故か子を沢山産める身体に成った。
母で有り当主でも有る羽月もまた、元々天王寺家の長男として産まれた元男だったのだ


「はぁ・・・いっそ(何処かに逃げようか)」
「今から拘束するから逃げようなどと思うなよ」
蛮は深く凹んだ。
そんな落ち込む息子の嘆きを知ってか知らずか、羽月はキャピキャピ華やぐ。
「母ちゃんね、早く自由になってイチャつきたいのよ・・・ね?あなた」
羽月が健太郎の腕を細い指でツンツン突く。
益々美しさを増す妻に未だベタ惚れ中の健太郎が、思い切り鼻の下を伸ばす。
「うはぁ・・・はいぃ」
『馬鹿親父ぃ・・・』
がっくりうなだれながら、心の中で呟く蛮。

==開花の儀式==

羽月は天王寺家付きの女中集に矢継ぎ早に指示を出していく。
平素は閉じられている奥座敷。
身体を浄められた蛮は、井桁に組まれた香木の中に白い裸身を晒して正座している。
その周りを件の高野聖の末裔である高僧達が囲んでいた。
その他は、当主の羽月と先代先々代の当主、つまり祖母と曾祖母。
男達と女中集は奥座敷の隣の部屋で祝宴の準備中。

香木に火が付けられた。
チロチロと燃える香木からはえもいわれぬ薫りが立ち上ぼり、蛮の身体にまとわりついていく。
高僧達の深い呪文が、まるで一つの声の如く部屋の空気を凛と支配する。
シャン・・・シャン
振り上げる杓杖の鈴音。
呪文の音量が高まると共に、まとわりつく薫煙が真っ白に変化し、蛮の姿を覆い隠していく・・・。
蛮の意識は深い闇の中に落ち、その時を待つ。
羽月達は身動ぎもせず鎮座するだけ。

長い開花の儀式が、終わろうとしている。
呪文がパタリと止み、薫煙が急速に消失すると香木の灰の中に一人の少女が身を丸めて横たわっていた。
腰まで届く烏の濡羽色の黒髪が黒御影の床にサラサラと円を描いている。
青磁の様に光り輝く以前より白い肌。
細く括れた腰の下から続く豊かな尻。
そして横たわっているにも関わらず、桃色の乳首を頂いたその乳房は大きく前を向いて張り詰めていた


高僧達は静かに立ち上がり別扉から消えていった。
「ん・・・うぅん」
細い腕を支えにして、その裸身を起こす。
そして蛮がこちらを見た時、羽月と先代先々代は思わず息を呑んだ。
「あ・・・あ・・・」
少年だった時でさえ羽月と瓜二つだった美しさは、さらに凄みを増していた。
まだ意識がはっきりしていない蛮は、絡み付く様な視線を向けてくる。
後退りしたくなる様な奥深い美しさだった。

白装束を着せられた蛮は先程の別扉から出され、再び浄めの湯に入らされた。
女中集も全員その美麗さに緊張を高くしている。
薄化粧を施され、下着と色とりどりの花を散らした小袖を身に纏う。
そこには以前の蛮はもう居なかった。
顔かたちは似ていたが、最早別人と言っても良い。
羽月は溜め息をつく。
「この子凄い・・・何か嫉妬しちゃうね、母さん」
先代当主がそれに応え、蛮の尻をぽんぽん叩く。
「そうだねぇ・・・沢山子を産みそうだし」

まだぼーっとしている蛮を祝宴の場に連れていく。
金糸の襖から現れた次期当主に、その場がシンと静まり返った。
一様にポカンと口を開けた様に羽月は笑う。
「ほらほら、さっさと席に付きなさい」
祝いの宴が始まり、分家が祝辞を述べていく。
祝辞が終わり、一人の分家、いわゆる羽月の弟が前に座った。
「こりゃまた綺麗な仕上がりだね!天王寺家も安泰だな当主・・・って蛮君まだ惚けてるのか?」
羽月が蛮の後頭部を思い切りはたいた。
「こら蛮!いい加減に目を覚ませ!」

バシッ!!

「痛てぇ!つつつぅ、何だよっ母ちゃん・・・え?何何?ここ何処?」
思い切り後頭部を叩かれた蛮は頭を抱え、同時に自分の声の変化に気付く。
「やっと気付いたか、喜べ!超絶に可愛い女の子になったぞ」
羽月がニヤニヤと笑いながら手鏡を見せた


「そうだった・・・女にされちまったんだよなぁ・・・あ?誰さこの子は・・・え?んんっ?」
意識が戻ると共に、女の子にされた事を思い出し、蛮は欝に入ろうとした。
羽月に手渡された手鏡を覗き込み、いーっとしたり口をパクパクしたりと現実の確認に余念が無い。
「これ・・・僕?」
手鏡を指差し確認する蛮に、うんうん頷く母。
『何これ・・・全くもって女の子じゃんかよ』
確かに鏡の中の自分の顔は信じられないくらい可愛いとは思った。
しかし男の子からおさらばしてしまった欝の方が遥かに大きい。
何より小袖が苦しい。
胸がきゅうきゅう押さえ付けられ、息が詰まる。
「母ちゃん、胸が苦しいんだけど・・・って胸!?あ、そうか・・・はぁ」
乳房の存在に気付き、盛大に溜め息を吐いた。
「苦しい?我慢しろ!・・・え?どうしても無理?仕方ない、来なさい」
慣れない小袖に締め付けられ、息が詰まりそうな様子を見た羽月は別室に蛮を連れていった。
着いてこようとした健太郎を羽月が蹴飛ばし、蛮は漸く小袖の締め付けから解放された。
ほっとしたのも束の間、下から現れた自分の女体にどぎまぎする蛮。
「なーに真っ赤になってんの!その内慣れるって」
羽月はキョどる蛮を尻目に真っ赤なワンピースを差し出した。
「はい、これ着なさい」
「えー?何時ものトランクスとジャージの方が」

バシッ!!

「間抜け!そんなのを着る女の子が居ますか!」
再び頭をはたかれ、渋々ワンピースに着替え、裾を摘んでパタパタする。
「何か頼りないなぁ」
羽月が膨れっ面をする蛮の肩を掴み微笑み掛ける。
「蛮、綺麗よ・・・母ちゃん足元にも及ばないわ」
「そんな・・・」
「ごめんね?この家に産まれた限り仕方ないの」
「うん・・・何か言いくるめられてる気がしないでも無いけど」
急に優しくなった母にずるいと思う蛮だった


==女体研究==

「それと蛮?今二人きりだから言うが・・・今夜自分の身体を隅々まで色々試しなさい」
「試す?何を試すのさ」
訳が分からない蛮の耳元で羽月が囁く。
「初めて女の子になったんだから、する事決まってるだろ?でも徹夜でしちゃ駄目だぞ」
そこまで聞いて、漸く蛮にも母が何を言ってるのか分かった。
真っ赤になって俯く。
「蛮の部屋の完全防音・・・その為の防音だぞ?女の子になる為の大事な儀式なんだからな」
「う、うん」

祝宴の場に戻ったが、変な事を言われてしまったから何げに自分の身体が気になる蛮。
しかし気に病む間もなく弟達に取り囲まれる。
「蛮兄!いやはやすんげえ可愛いな!」
「やっぱり俺達じゃこうはならないだろうし」
口々に囃し立てる弟達に膨れる蛮。
「お前らは気楽で良いな!僕は憂鬱だってのに」
その後、二郎太が急に真面目な顔になった。
「蛮兄、いや次期当主・・・俺達は当主を守る為に産まれて来たんだよ?だから俺達を頼って欲しい」
「そんな他人行儀な事言うなよ、何か寂しいよ」
有り難かったが、そんな事を言う弟達に一抹の寂しさも感じた。
「兄弟には変わり無いんだからさ、そんな顔すんなよ蛮兄・・・蛮姉か?」
とにかくなってしまったのは戻らない。
弟達の態度が前と変わらないのには安心した。
でも敢えて考えない様にしていた大問題は有る。
そう、蛮は当主としてお婿さんを探さなければならないのだ。
そして、結婚して沢山子を産む事。
今は到底考えられないが、母によるとその内変化してくるらしい。
何が変化するのかはニヤリと笑って教えなかった羽月だった。
『何やら怖いから考えたくないよ・・・』

その晩・・・
風呂上がりの蛮は、自室で巨大なTシャツの様なパジャマを着てベッドに座っていた


自分の身体を見下ろす。
確かに凄く魅惑的な身体が存在している。
そっとパジャマ越しに胸を柔らかく揉んでみたが、何か硬い。
『あ、ブラジャーか・・・と、取るのかな』
ふと扉が気になった。
『鍵はかけてるな』
もう一つ、本当に完全防音か気になった。
コンポから大音量で曲を鳴らし、外に出て扉に耳を着けてみる。
完全防音は嘘では無く、何の音も聞こえない。
中に戻り、コンポを切って鍵をかけて考えた。
「何で完全防音なんだろ・・・何かまずいのか?」
ある事を思い出す。
「僕の声か?でも僕声なんか出さないけどなぁ」
そんな独り言を呟きながら、パジャマを脱ぎブラジャーのホックを外・・・
「ん?難しい・・・くっ、あれ?」
フロントホックなのに、いざ自分が外すとなるとうまく外れない。
パチッと音がして、漸くホックが外れた。
と同時に張り詰めた乳房が前方にまろび出た。
「うゎ!すご・・・」
乳首も少年の頃とは様変わりしている。
とっくに童貞とはおさらばしていたのに、思わず唾を飲み込んだ。
しなやかで細くなった右指先で、桃色の乳首をそっと弾いてみた。
「んっ・・・」
出してしまった自分の可愛い喘ぎ声と、走り抜けた刺激につい指を離す。
蛮はベッドに仰向けに寝て、感じる体勢を取る。
今度は、両乳首を指先でくりくり転がしてみた。
「あっ・・・うぅ」
瞬間もっと強い快感が身体中を駆け抜け、足先がピンと伸びる。
「あぁ、気持ち良いぃ」
そう言ってみると相乗効果が有る事が分かった。
未だ慣れない自分の可愛い声に強い興奮を覚える。
そして指が止まらない。
自然と乳首を摘んでコリコリ刺激していた。
乳首がピンと固く尖っているのが蛮にも分かる。
「んっ!あぁ、良いぃ」
まだまだ快楽の入り口なのに、既に男の子の時の快感を超えてしまっていた

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