Phantasy BLOOD二日目

場所 心 夢幻

 私は・・・
「あれ・・・」
 私の体は女でなく、男だった。でも、何故だろう。私は女のはずだ。
「ほら、起きなさい」
 私を姉が起す。
「えっ・・・」
 私には意味がわからなかった。なぜなら、死んだはずの姉がいる。
だって、私の家族は15歳の時に
「あっ・・・」
 目の前で大好きな姉が、弟が・・・お母さんとお父さんも殺されているんだもの。
「・・・」
 私は家族の流れた血の溜まりの上にいた。
 
 そして、私も私の胸を貫ぬかれた。



場所 フローの家 6時30分

 私は目を思い切って開け
「はぁはぁ」
と荒く呼吸をする。
 私はとても嫌な夢を見た。悪夢だった。しかし、その悪夢を見なければいい事だ。
だから、私は過去の悪夢を見る。

つまり、終わってないだ

だから、私はヴァンパイアと関わるために組織にいるんだ。だけど、それが終わった
ら私はどうなるんだろう。しかし、その答えをだすほど、私の思考は働く事はなかった。

場所 フローの家 7時00分
 俺は身なりを整えて、起きる。ご飯を食べる部屋へ行く。
「お、おはよう。フロー」
「おはよう、セシル兄さん」
 俺はセシル兄さんに朝の挨拶をして、席に付く。
「はぁ」
まだ、眠い。昨日は5時まで、歓迎会をして、寝たのは5時30で約1時間30分しか寝ていないが・・・
「おっはようー、フロー、セシル」
「おはようございます、おばさん」
 どうして、こんなに元気なんだ。俺には理解する事が出来なかった。しかし、気にしてもしかたがない。
「フロー」
母が俺を呼ぶ。
 何だろうかと思うと
「アヤちゃんを呼んできなさい」
と母さんは言う。
 正直、ため息をつきたいところだが、俺ははアヤさんを呼びに行く事にした。
とりあえず、アヤさんを起しに行くために、アヤさんが寝泊りする部屋へ行く。
こんこん
「アヤさん、起きてますか」
と礼儀を考えて、アヤさんが寝泊りする部屋の前でノックをする。
「・・・」
 しかし、反応はない。俺は何回か、ノックして
「アヤさん。入りますよ」
と部屋に入る。
「・・・」
 アヤさんは部屋にいなかった。俺は何処に行ったのか思案した。結果、遠くには行っ
てはないと思う。では、家の何処かにいるのだろう。とりあえず、俺はアヤさんを探す。
だが、いない。俺は、家の外にいるのだろうと思った。



 場所 フローの家の外 7時12分

 私は動きやすい格好で、体を動かしていた。朝早くに起きて、もう一度寝ようかと
思ったが、嫌な夢を見て寝る事ができなくて体を動かしていた。初めは準備体操をし
て、突き技の練習に蹴り技の練習に受け技の練習を行い。ナイフによる戦闘の練習をする。
「アヤちゃ〜ん」
「あ、フローさんのお母さん。おはようございます」
フローのお母さんが私を呼んでいたので私は挨拶をして、フローさんのお母さんも挨拶をする。
「で、アヤちゃん」
「はい、何ですか」
「ソフィーでいいわよ」
とウィンクをして言う。私はそれに対してうなずく事にした。
「・・・ソフィーさんと呼ばさせていただきます」
と答え、ソフィーさんは嬉しそうな顔をする。外見は妙齢だが、心は子供のようにも見えた。

 場所 フローの家の外 7時15分

 目の前にはかわいいアヤちゃんがいる。そして、息子は今頃、家の中を探している
だろう。ふむ、待っていれば、ご飯食べる部屋に来るわね。
「アヤちゃん。今、セシル君が朝食に作ってるから、ご飯を食べる部屋へ行きましょう」
 私はアヤちゃんに提案する。すると、アヤちゃんは
「はい」
と答えてくれた。



 場所 フローの家の外 7時32分

 俺はアヤさんを探していた。しかし、何処にもいない。アヤさん、どこにいるので
すか?俺はアヤさんを探すため、更なる探索をした。

 場所 フローの家 7時31分

 私はフローを待っていた。
「フロー、おそいな〜。こんな綺麗な方達をお待たせするなんて、失礼な奴だ」
とセシルは言い
「そうね、食べちゃいましょう」
とソフィーさんは言って
「そうですね、おばさん」
「じゃあ、いただきますをしちゃいましょうか」
「・・・」
結局、フローが来る事もなく、食事が始まった。
そして、フローが戻って来た時は私達が朝食終えて
「俺の分は?」
「それがね、アヤちゃんがお腹を空いていて、あなたのをあげちゃった」
「え・・・これって・・・フローの分なんですか」
 私はフローの分はあるので大丈夫だと言われていたので、動揺して、私はフローに謝る。フローは
「あ、気にしないでください」
と言ってくれた。少しだけ、私はフローに交換を持つ事ができた。
とりあえず、フローは朝の入れたてのコーヒーを自分で入れて、席に着き
「アヤさん、今日は何処へ行くんですか?」
と尋ねる。
 私は
「とりあえず、第3課のオフィスへ行きましょう。それで情報を集めましょう」
と答える。
「わかりました」
フローはそう言うと、コーヒーを角砂糖を沢山いれて、かき混ぜて、一気に飲み干した。



場所 第3課 Killer Queen 8時45分

 第3課 キラークィーンに着くと同僚が二人着ていて、部長は何時もの席に座って
いた。ちなみに、部長室は客室化している。
「おはようございます」
俺は挨拶をし、アヤさんも挨拶をする。同僚、部長とも挨拶を返して
「お〜い。アヤ君、フロー、こっち来い」
と部長に呼ばれる。俺はアヤさんと一緒に部長のところに行く。
「実は、昨日に手続きをとって警察からいろいろと聞けるようにした」
と言い出す。つまり、部長が言いたい事は
「警察と協力しろと」
「そう言う事だ。お前は外面いいかな。がんばれよ」
部長はそう言うと
「次はアヤ君だ」
と言って、机の引き出しを開ける。
「アヤ君はシガレットケースとか持っているか」
と部長はアヤに尋ねた。
「持っているが」
とアヤは答える。
「なら、大丈夫だな。一応、お前が来る前に知り合いから葉巻が好きで、税関を楽にパスするために持ってこなくて・・・お、あった」
部長は木製の箱を取り出した。
「こいつは・・・ヒュミドールじゃないか」
アヤさんの目はきらきらとしていた。なんとなく、理解できた。つまり、この箱に葉巻
が入っていると言う事だ。
「ほぉ、葉巻を吸う事だけはあるな」
と言って
「ほれ、12本。お前のための葉巻だ」
アヤさんに葉巻を12本渡す。
「な、何?いいのか」
アヤさんは遠慮をしながら、しっかりと葉巻を受け取った。
「しかし、誰から聞いた?私が葉巻を好きだなんて」
アヤさんは思った事を部長に投げかける。
 部長は
「モズからな」
と答えた。
すると、
「あ、百舌鳥さんね。」
と頷くように言ってから部長にお礼を言う。しかし、モズさんとは一体誰だろうか?
俺は後でアヤさんに尋ねる事にした。そして、俺達は警察署へ行く事にした。



場所 警察署 9時31分

 私は警察署へ行くと、警察署のカウンターはとても静かだった。フローがカウンタ
ーの人に話し掛けて、用がある刑事に会えるようにお願いする。すると、一人の刑事さ
んが来て、私達を2階の客室に案内される。
「・・・」
ブラックコーヒーが出される。
「なあ、こいうマナーとかわかる?」
とフローに尋ねるが・・・フローもわからない。とりあえず、コーヒーを飲むのは後
にして、用がある刑事が来るのを待り、3分後にその刑事さんが来た。私は立ち上が
り、フローも私を見て立ち上がり、私は挨拶し、フローも挨拶をする、もちろん、自
己紹介もして、私達が一通りいい終えると、刑事さんが朝津をする。名前はリーブ・
スヴェール。今回の事件を担当する事になった刑事だ。外見は50から60歳の男性
で茶色のズボンに白い長袖のシャツにネクタイをしていて、髪は白髪のおじさんで、
中肉中背だった。さりげなく、お腹が出てなくていいと思った。
「それで、何を聞きに?」
「事件で思った事」
私は面倒なので、正直に聞く。リーブ刑事は少し悩んで
「そうですね。一つだけ言える事は人が一人で行える事件ではない。では、複数で行
えば、目撃者の一人や二人が怪しい人物を見ていいはずです。けど、目撃者は一人も
いない。さらには身元がわからない。DNA鑑定をしても身元はわからなかった。」
と答える。
 どうやら、この刑事も薄々と人を超えた存在の仕業に気が付いているのだろう。
でも、この刑事は一人でも大丈夫だろう。なんとなくだが、この刑事は異常な状況に
追い込まれても冷静に対処できると思えたからだ。そして、これ以上は何も聞く事は
ない。私はこの場から去る事にした。
どん
客室にいきなり、刑事さんと思われる人が入ってきて
「大変です。また、起きました」
と言う。
 刑事は
「わかった。すぐに現場へ向かう」
と言って、私達はその現場を一緒に見ていいいか尋ねる。
すると、刑事は
「いいだろう」
と渋くハードボイルド風に答えてくれた。


場所 二つ目の殺人現場 10時12

 二つ目の殺人現場は街で唯一の美術館で、おぞましい美術品を見ているようだった。
死体の状態は男女が抱きあって、コンクリートの壁にめり込んでいる。だが、首から
下までは骨だけなのだ。そして、私は首元を確認してもらうと、男女とも首筋に4つ
の黒い点、そう、吸血した跡がしっかりとあった。
「こりゃあ、どうやって・・・運ぶんだよ」
明らかに、壁ごと死体を運ぶしかなかった。とりあえず、私とフローは警察の調査の
邪魔にならないように調査を眺め、遠目から死体を見るだけであった。
「アヤさん、どう思いますか」
フローが尋ねる。
 私は
「人技とは思えないよ」
と答え、フローはどうなのか尋ねる。
「そうですね。コンクリートで彼らを埋めるのにも、コンクリートは色あせています。つまり、コンクリートに自然にめり込んだと言う事になります」
フローはまじめで、私が思っている事を的確に言ってくれる。
「だよな」
と私は言って警察の調査を眺め、21分後に死体を壁ごと取り外すために機材が持っ
てこられた。そして、死体を壁ごと取り外す作業を始める。工事現場のような音を立
てながら作業は進み。無事に死体は壁ごと引き外され、壁には長方形の穴が開いた。
だが、それだけだったらよかった。
「あれは・・・」
長方形の穴を越えた先には、魔方陣が描かれていた。もし、言葉に表すならば円の中
に正三角形が納まり、私には理解できない言葉が円の中に書かれている。しかも、それ
を触ろうとする調査官がいた。私はすぐに叫んで止めに入る。
「え・・・あっうわあぁああああああああ」
 私の制止は間に合わず、目の前で人が一人消えた。私はすぐに
「その魔方陣に触れるな」
と叫んで、魔方陣に近づき
「フロー、この状況を説明しろ。たぶん、異界に繋がる魔方陣だ。私は鑑識官を助けに行く」
とフローに言う。
フローは
「わかりました。でも、武器はありますか」
と言う。
 私は
「安心しろ」
と答えて、魔方陣に触れた。その瞬間、私は光に包まれて、私を包む光が消えると闇
の中にいた。私は自分の体を見ると、体が粒子となり闇の彼方へと吸い込まれた。



場所 二つ目の殺人現場 10時47分

 俺はアヤさんに言われた通りに説明した。一応、誰でもわかるように説明をしなく
てはいけないのだが。
「異界に行ったなんて、信じられん」
リーブ刑事が言い、まわりにいる人も異界に行った事をあまり信じていない。一応、
目の前で人が消えている。しかし、それは人間の常識を超えている。俺はこれが専門
で常識を超えた事も対応できる。しかし、常識と言っても、それはこの人達の常識で
はない以上が常識で、俺にとって別に起きた異常が起きたら対応できないだろう。だ
からと言って、それに対応しなければいけない。そして、人は常識以上のものを対峙
すれば、ほとんどは回避を行う。だが、それが出来なくなれば、立ち向かう事になる。
つまり、その以上を受け入れる事ができるようになる。だから、俺がしなければ、い
けないのはこの異常事態を対応させる事である。
「とにかく、触れては危険です」
一応、注意もしとく。
だが、
「おい、人を集めろ」
リーブ刑事は異界に行くつもりである。俺は必死に異界に行かないように説得する。
「無理だ。仲間が異界に行った。なら、助けに行かないでどうする」
「・・・」
もしかしたら、リーブは誰よりもこの状況に対応していたのかもしれない。しかし、
その対応の早さがいけなかったのかもしれない。異常になれた事によって、リーブは
異界に誤って行ってしまった不幸な鑑識官を助けに行こうとしている。しかし、異界
は危険だった。異界にはこの現実世界で起きる事とは違う世界なのだ。しかも、そこ
に行って帰る事ができるかというと、わからない。つまり、未知の場所を探検するよ
うな事である。
「リーブ刑事」
私はリーブ刑事に話し掛ける。
「なんだ?」
「今すぐ、貴方の仲間を救い、誰も犠牲者を出したくないと思ったら、ここで待って
ください。アヤさんを信じてください」
俺は無力で言う事しかできなかった。だが、無力で、言う事で人が助かればいい。
リーブ刑事は俺の目を見た。俺もリーブ刑事を真剣な目で見る。
「わかった、15分だ。15分まって誰も帰ってこなければ、突撃だ。それぐらいで、
大体人が集まるからな」
リーブは15分待ってくれる事を約束してくれた。後はアヤさんを信じて待つだけだった。



 場所 異界で不快な美術館 49時89分

 私は粒子で、異界でその粒子は一つとなり、私は異界の上に立っていた。私はとり
あえず、辺りを見回しながら6つの指輪を両手の人差し指、中指、薬指にはめた。周
りの様子は美術館だった。だが、美術館に飾れている美術品は不快な美術品ばかりだ
った。女性が小さな幼女を食い殺す絵。腕をもぎ取られた叫ぶ少年の肖像。それから、
下半身を失って、自分の内臓を必死に探す絵などが飾られていた。壁に掛けられた電
子時計は49時79分と表示されて、あたりは暗くて、視界が悪かった。でも、私には
関係ない。なぜなら、私がヴァンパイアだからだ。
「・・・」
 さて、何処を探そうか。とりあえず、魔方陣を探す。しかし、魔方陣は私がいた世
界にあった場所に魔方陣はなかった。では、やる事は一つだった。鑑識官を探して異
界から出る出口を探すだけである。だが、調査員は何処行くだろうか?私は歩きなが
ら考えて、
「もし、この場所から早く抜け出したいと思うなら」
まずは私がい
た世界にある魔方陣の場所を探す。けど、それが見つからなかったら・・・異界
に来て、この異界に耐える事ができなかったら、鑑識官は美術館の出口へ向かう。私
はそうと判れば美術館の出口へ向かうだけだった。
「すぅうううううう」

「すぅうううううう」
人では何かの存在の音がした。私は歩みを止めて懐に隠していたナイフを鞘から抜く。
それと、指にはめた指輪を確認する。一応、この指輪はナックルダスターという格闘
武器で、私はケルベロスと呼んでいる。
「すぅううううう」
べたべたべた
確実に私に近づいてくる足音がした。私はその足音に対して、神経を研ぎ澄まして何
処から襲ってきてもいいように構えた。


場所 異界で不快な美術館 49時90分

 僕は仕事で使っていた懐中電灯で薄暗い廊下を照らしながら歩いていた。ここは何
処だ。僕はあの赤い文様に触って、こんなおぞましい場所へ来てしまった。そう、本
能でわかる、現実を超えた世界。そこで、精神が持つかというと、あまり持たない。
僕はここに着いた瞬間から、発狂しそうで、美術品を見た瞬間吐いてしまった。でも、
もうすぐここから抜け出せる。出口はもうすぐなのだ。僕はゆっくりでもいいから、
確実に出口へ歩く。本当は走りたい。だが、本能が恐怖で走る事すらできなかった。
とにかく、歩く事のみだった。もうすぐ、ホールに出る。そこに着けばすぐに出口だ。
「すぅうううう」
「ひっ」
ナニカイル
べたべた
コッチニクル
「すぅうううう」
アブナイ、シヌ、キケン、コロサレル
一体、なんだ
というのだろう。この世界に怪物は架空の世界だけで十分だった。だけど、俺は
ミテハイケナイ
照らしてしまった。その何かの足元を・・・
べたべた
それはこちらに近づいてくる。
シンジャウヨ
僕は懐中電灯の光を上へとゆっくりとあげる。
シヌ シヌ シヌ シヌ シヌ
「・・・あっあ・・・あああ」
何を言えばいい。今まで見たことない生物か、でも、おい、こっちに来ているじゃないか。
助けてくれよ。
べたべた
僕の足動けよ。
「すぅうううう」
誰か、助けて、助けて、助けて、助けて、助けて、助けて、助けて、助けて、助けて、
助けて、助けて、助けて、死ぬんだよ。助けて、助けて、助けて、助けて、助けて、
助けて、助けて、助けて、助けて、助けて、助けて、
助けて、助けて、
助けて、助けて、助けて、助けて、助けて、助けて、助けて
「・・・・・・・・・・・・」
それは・・・・・だった。


場所 異界で不快な美術館 49時90分

 それは異界の住人だった。外見は小学生低学年の子供ぐらいの身長で熊が2本足で立って
いるようだった。人の形をして、毛は見当たらないく、首は太くて顔はなく・・・そ
の顔は大きな口だった。
しゃきん
私が近くによると、異界の住人は鋭利な爪を出す。私はナイフを構えて、一撃で仕留め
る事が出来る距離まで近づいていく。すると、相手はなぜか、私に近づくのをやめた。
「・・・」
ちなみに、私はあと1歩で奴を仕留める間合いにいる。でも、むやみに近づく事はで
きない。なぜなら、私はこの異界の住人が何者かもわからない。それにどんな能力を
持っているのかなんてわからない。だから、気をつけなければいけない。
「すぅうううう」
しばらく、異界の住人とにらみ合った。
「!」
だが、異界の住人は私から背を向けて立ち去る。私はきょとんとした目になって、唖
然としていた。あの異界の住人は何をしたかったのだろうか?だが、それを確かめる
すべなんてない。私はナイフを鞘にしまって調査員を探しに行こうとする。
ざしゅ
「あっ・・・」
口から声が漏れて、私は両足に力が入らなくて前に倒れる。まさか・・・あれ
は囮か。だが、今は傷の確認だ。足の筋をやられていた。つまり、私は背後から足の
筋を切られて動けなくなってしまったのだ。
「すぅうううう」
異界の住人は私の背後に3人いて、先ほどの異界の住人がもう2人ほど、連れ来て合計
6人の異界の住人に囲まれた。



「・・・」
異界の住人は
べたべた
という足音をつたって歩いてくる。私は地面にお尻をついたまま、ナイフを構える。
べたべた
異界の住人は私がナイフを構えているのに、それも気にせずに向かってくる。
だが、私はそれを待つ。

あと3歩

あと2歩

あと1歩

ざしゅ
首に鋭利な刃が突き刺さり、血が噴出する。
どさ
と倒れる音がした。
「・・・」
ばこ
両足で蹴り、後ろへ思い切って吹き飛ばした。

そして、私は投擲したナイフを抜く
倒して倒れた異界の住人に刺さった首からナイフを引き抜く。
「すぅうううう」
一方、立ち上がった異界の住人は私を見て同様するどころか
べたべた
と確実に歩む。先ほど、私が起き上がるために両足で蹴った異界の住人は口から血を
だしながらも立ち上がる。私は、この程度ならまず負けない。だが、異界の住人を倒
している暇はない。なぜなら、異界に私とは別に迷い込んだ人がいるのだ。私は、異
界の住人を相手はせずに走り出した。異界の住人は走り出した私を走る事はなく、歩
いて追う。だが、それは私に追いつく事ができず、
「出口ハ無イヨ」
と言ってようにも思えた。


場所 異界で不快な美術館 49時94分

 僕の目の前には、怪物がいた。俺は尻餅をついて、腰が抜けて走る事も歩く事もで
きなかった。僕は目を見ひらいた。目の前には3匹の怪物で、こっちに迫っている。
僕は後ろへ引き差がる。
「すぅううう」
怖かった。だから、怖くて後ろを確認した。
「はっぁ・・・」
後ろにも3匹いた。しかもその距離は5歩で僕に触れる事ができる。僕は、前からも
後ろからも来た怪物から逃げるために横に逃げた。だけど、
「あ・・・まってくれ・・・助けてくれ」
壁が邪魔して、俺は逃げられない。
「助けて・・・ママ・・・ママ・・・助けてよ、ママ」
怪物たちは僕を殺すために歩みを止めなかった。
ざしゅ
大量の血が吹き出ていた。


場所 異界で不快な美術館 49時97分

 私は廊下で異界の住人に囲まれた鑑識官を救うために、手に持っているナイフを投げ
て走り出す。ナイフは異界の住人の首に刺さり、異界の住人はどさりと倒れ噴水のよ
うに血を出した。異界の住人は自分の仲間が倒れて、敵がいると判断したのか、私の
ほうを向いた。だが、遅い。
「はっ」
私は異界の住人を蹴り上げる。
べき
と骨が折れる音と感触がした。私は首にナイフが刺さった異界の住人からナイフを抜
き取り、4人・・・否、さきほど蹴った異界の住人が立ち上がって5人の異界の住人
と対峙する。私はナイフを構えて、すぐ近くの異界の住人からナイフで首を切り裂い
た。ただし、切り裂くのは私から見て右の首筋である。なぜなら、そこが弱点ですよ
と言わんばかりに、異界の住人の欠陥は浮かび上がっているのだ。だから、それを切
れば異界の住人は動かなるはずだ。実際、そこを先ほど切られた異界の住人は動いて
いない。私は異界の住人の首を確実に一人、また一人と切り裂いてゆく。そして、全て
の異界の住人を切り裂いた時は血まみれだった。
「・・・はぁ」
黒いスーツを着てきてよかった。血が目立たないから楽だ。でも、洗わなければいけ
ばいけないと思った。
「大丈夫か」
私は鑑識官に状態を確かめるために聞く。だが、相手は自分が助かった事についてこ
られていない。さて、どうしたものか。まだ、異界の住人はいるだろう。


だから、ここで立ち止まっているのは危険だろう。なので、やる事は一つだ。鑑識官が走れるようにする。
私は
ぺちぺち
と鑑識官の顔を叩いて
「あんたの名前は?」
と尋ね、言えるまで繰り返す。鑑識官は私が3回目に聞いて時にやっと
「ジャック・スピネスです」
ち答える。
 私は
「そうか、ジャックというのだ。よし、よく聞け、私と一緒に来い、それだけだ。いいな?」
と相手に言い聞かせるように言い
「私と・・・一緒に・・・来い」
と相手にやるべき事だけを言う。ジャックはそれに頷いて立ち上がる。後はここから
逃げるだけだ。だが、何処へ行くかなんてわからない。だか、片端から調べても、ジ
ャックが精神崩壊とか、錯乱されても困る。ここは、出口に向かおうと思っていたん
だ。だから、私達は出口へ向かう。途中、現れる異界の怪物は基本的に逃げる事に徹
底し、ジャック危害が及ぶ場合のみ倒す。それ以外は無視をして私とジャックは美術
館を走りぬける。そして、
ごーん
「!」
ごーんごーん
何か鐘が鳴る音がした。一体、何が起きているのか。私にはわからない。
「な、何が・・・」
ジャックはブルブルと震えている。私はジャックの様子を見て、一刻もこの異界から
抜け出さないといけないと思った。


場所 異界のホール 00時13分

 私達は必死に走りホールに到着した。ホールは吹き抜けで、壁に掛けられている絵
はとにかく不快な絵ばかりだった。しかし、それよりも、魔方陣があった。
「た、助かった」
ジャックはそう言うと魔方陣に向かって駆け出した。私も周りを見る限りには敵がい
ないのでジャックを制止させなかった。
「う、うわぁああああああ」
だが、それがいけなかった。いきなり、ホールにある一番大きな絵から出てきた大き
な顔が潰れた犬に襲われる。私は跳躍する。犬は潰れた顔が3つに顔が割れてジャッ
クを飲み込もうとする。私はどこでもいいから、犬の急所だと思うところにナイフを
突き刺す。だが、効かない。もう、ジャックが飲み込まれようとしている。私はナイ
フが効かないのかもしれないと思った。なら、次に持っている武器はナックルダスタ
ーのケルベロスしかない。私は犬の首と思われるところに狙いを定め、犬の背骨に当
たる部分を拳で突いた。
ばぎ
骨は固くて、とても痛かった。だが、骨が砕ける音がして、犬は叫び声をあげてジャッ
クを振りほどこうとする。ジャックはその間に逃げ、私は振りほどかれないようにす
るためにナイフを突き刺した。だが、犬は激しく暴れる。これでは、攻撃ができない。
私は、犬からナイフを抜き取って犬から離れる。犬は標的をジャックから変えて私に
移す。私と犬は魔方陣の上で対峙するような形になる。その瞬間、魔方陣が光りだした。


「!」
一体何が起きたのかと思った。だが、すぐにわかった。
「で、出られない。出してくれ、助けて」
魔方陣が壁になって、魔方陣の中に入る事も出る事もできなくなったのだ。さて、私
達が生き残るにはこの怪物を倒すしか無いようだ。
「・・・」
私はナイフを構えながら犬を観察する。犬は毛皮で覆われている。顔も潰れているが
厚い皮で覆われている。つまり、この犬の内側は柔らかいという事になる。しかし、
犬の中に入るのは少しばかり嫌だと思った。なぜなら、犬は顔が3つに割れて私を丸
呑みにしようとしている。そこまではいいが、丸呑みにされた瞬間に私の体はすっぽ
りと収まる。だが、沢山ある鋭利な牙で串刺しにされる。そう、鉄の処女という、拷
問器具なのか、処刑器具なのか、脅迫器具なのかわからない、あれに見えた。でも、
一つだけ判る事は、この犬を使えばどれもが当てはまるだろう。ただし、拷問器具はあ
の串刺しにされて助かる人だけだ。で、私は助かるほうだが・・・串刺しになるのは
嫌だ。ならば、あの犬に効くのは打撃しかない。奴の骨を粉々に粉砕したりするしか
ない。私はナイフを鞘にしまって、拳を構える。犬は私を見て、威嚇をするような事
はしない。もちろん、私もしない。なぜなら、犬も私も威嚇しても無意味だとわかっ
ているからだ。ならば、何を意味するか。それは勝負が長引かない事を意味した。
つまり、1激必殺で相手を殺すと言う事である。私は微動だしない。犬も微動だしな
い。ただ、少しでも動けば、この戦いは勝敗が決まる事を意味していた。
「・・・」
「・・・」
沈黙が続き、この戦いに邪魔する者はいない。私は犬と向き合う。犬は何を考えてい
るのかはわからない。でも、わかってしまう気がする。よくわからない、この一撃で私
を殺そうとしている気がする。それは私も同じだ。もしかしたら、相手も同じ事を考
えているのかもしれない。だからこそ、互いに、この一撃に集中するのだろう。だか
ら、この先は考えずに思うままに行動するのだろう。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

だっ すぅ ごっ

この戦いに引き分けなど存在しない。もし、存在するならば、相打ちのみだ。私は立
っている。相手も立っている。だから、見ている人は引き分けだと思う。だけど、引き
分けなんかじゃない。私と犬はわかっている。もうすでに決着はついている。だから、
倒れるのを待つだけだ。
ぽたぽた
血が出ている。私は膝をつく。私の右肩から腕までなくなっていた。沢山の血が私か
らあふれ出してくる。意識が消えてしまいそうだ。たとえ、ヴァンパイアといえども
・・・血が無くなれば終わりだ。だから、私は血が出ている部分を押さえる。
「あっああああっあああ」
熱い、腕が焼ける。痛みに気絶して倒れればどれだけいいだろう。だけど、それは許
されない。だって、私は勝ったのだから。
ずどん
犬が私の後ろで倒れた。


私は振り返ると、犬はだんだん溶けていき、赤くどろどろとした液体が魔
方陣に沿って染み渡ってゆく。そして、最後に残った骨は灰になってしまった。私の
右腕はなかった。その代わり、ナックルダスターと何かの1枚の紙があった。私は、
ナックルダスターのケルベロを拾ってポケットに入れて、一枚の紙を手に取る。それは古新聞だ
った。
「・・・」
今は読む気にはなれない。とりあえず、ジャックを呼んで密封できるビニール袋に入
れてもらい、私はその紙をポケットにしまう。そして、魔方陣はあの赤いどろどろの
液体が全て染み渡り、私達は光に包まれた。光が溶けると闇の中にいた。だけど、自分
の姿ははっきりと見えて、私は粒子となって、また何処かへ飛んで行った。


場所 二つ目の殺人現場 11時20分

 すでに、15分は超えていた。
「わるいが、行くからな」
一応、俺は説得してみるが、刑事を止める事はできない。
「準備がもう出来ています。ホールに待機させています」
もう、すでにホールに人を集めたようだ。こうなったら、
「刑事さん、俺も一緒に行ってもいいです?」
こうなったら、一緒に行くしかない。刑事は
「好きにしろ」
と言って許可してくれた。そして、俺達はホールへと向かう。

場所 美術館のホール 11時23分

 ホールに来ると約18人の武装した人達がいた。なんか、かっこよかった。映画や
テレビのドラマでしか警察は知らないけど、なんか、あこがれた。って、不謹慎だ。い
かん、アヤさんが異界に言ってがんばって・・・
「ぐへぇ」
あ、天罰か?それとも、一体?あれ、目の前で異界に行った人がいる。しかも、みん
ながその人に注目して駆け寄っている。あれ、と言う事は
「おい、お前のコートを貸せ、早く羽織らせろ」
アヤさんだ。俺の上に乗っているのはアヤさんだ。一応、アヤさんは俺の上からすぐ
にどいて、コートを脱いで・・・
「あ・・・その・・・」
「だからだ、貸せ」
「は、はい」
俺はアヤさんにコートを貸す。それと、着るのを手伝ってあげたが
「大丈夫ですか」
一応、心配だから聞く。何せ、肩から腕が
「はっきり言って、血が足りないね」
とアヤさんは不機嫌そうに答えて、
「あの鑑識官に私の腕がもぎ取られたのを見られているから、組織に連絡して後処理
をお願いして、他の人達は私の腕が無くなっている事に気がついていないから。明日
になって、私の腕が元通りになっていたら怖いでしょう」
俺にしか聞こえないように言う。だけど、俺の緑のコートが血で染まり始めている。
「アヤさん、とりあえず・・・後処理は組織にまかして、アヤさんの治療を」
今はそれしかなかった。今後、ジャックという鑑識官がどうなるかは俺が知る事では
ない。ただ、彼にとっては不幸な出来事で、今後は第4課 Guardia Emperor
(ガーディアンエンペラー)に保護されるだろう。ちなみに、俺達の組織は人を守る
事で殺す事ではない。だから、もしかしたら・・・ジャックという鑑識官が組織に入
ってもおかしくないだろうと俺は思った。だが、そんな事は結局どうでもよく、俺は
アヤさん車までつれて行く事だった。
「一人で歩ける」
アヤさんは俺の肩を借りずに車まで歩いて行き、俺はそれについて行くだけだった。


場所 美術館周辺 17時49分

 少女は過去をたどって来た。少女が来た時にはすでに事件が起きて、美術館は警察
が見張りをしていて入れない状況だった。少女は忍び込もうとも思ったが、捕まって
何をしていたかと答えても信じてはもらえないとわかり、しかたがなく、美術館のまわ
りにいた。そして、少女は美術館の建物の壁に触れる。少女は美術館の過去を見る。
美術館が建てられる映像。美術館に新しい絵が入って来る映像、美術館で絵に感動す
る人々の映像が見える。だが、それらはどうでもいい。必要なのは、この事件の映像
だった。なぜなら、兄を殺した犯人の映像を探す。だが、それは少女がまた悪夢を体
験する事を意味した。



この先はグロデクス、暴力シーンがあります あと、エッチなシーンもあります

 一組の男女がいた。二人は美術館の職場で出会った。初めは美術のお話をしてから、
付き合いはじめ、友達から・・・時間を掛けて・・・互いを知り始める。だが、二人は
恋人同士なのかわからず、未だに曖昧な状態だった。しかし、二人の心は強く結ばれ
ていた。例え、お互いの体を交えなくても、結ばれていた。それは白く美しい愛なの
かもしれない。

だけど、白は染まりやすく、黒とは違う。

 異変はすでに起きていた。ただ、二人に最後の白き愛を味わわすために時間を与え
て待ってくれたようにも思えた。だけど、それを自分の好きなように染めるのはどれ
だけ楽しいだろうか。
「ねえ、あれ・・・」
二人の前に人が現れた。それは、見た瞬間は人だった。だけど、すぐに人じゃなくなる。
では、その存在はなんなのか?だけど、確かめる方法なんてない。人からその存在に
なったものは壁にめり込み、体を変化させてゆき、植物なものになった。まるで、花が
壁に咲いているようにも見えた。しかし、綺麗なものには棘があるバラのように、触
手が二人を襲う。二人はわれ先と逃げ出し、人間の醜さを見せる。だが、二人は簡単に
触手に捕まえられて、壁へめり込む。まるで、壁が底なし沼のようにずぶずぶと入っ
ていく。それと、同時に体の変化が起きている。わからない、痛みはない。何も感じ
ない。まるで、体が麻痺をしたように壁に入りこんだ部分だけ何も感じない。その代
わり、壁に入り込んだ部分は強烈な苦痛が伴う。顔が焼けるような感じだった。二人
は叫ぶが、その叫び声は誰も聞こえない。
「ぐがぁがあ」
「があぁああ」
だけど、すぐ
に収まる。しかし、二人は未知の感覚に襲われ、二人の男女の性別が入れ替わってい
た。


そして、細い2本の触手は女の処女幕を破る事なく、女の中に侵入して、膣を通
り、子宮を通り、それぞれ一つずつ二つの卵管を通り卵巣まで到達して、
ぶす
卵管に髪の毛より細い針を突き刺して大量に卵を作り、排卵を促す液体を注入する。
それと同時に
「あっあああ」
お腹が熱くなった。それは体の一部が活性化して起きた熱さだった。でも、すぐにそ
の暑さは引き、未だに女の中にいる細い触手は全ての卵に一つ一つ液体を注入する。
だが、時間がかかるので、細い触手の束が女の中へ入る。しかも処女幕を破られない
ように入って行く。男からなった女になった女は普通の女でも味わう事ができない体
験をした。さらには何本の触手が膣内や子宮を刺激した。
「くぁ・・・あっ・・・いぃ・・・」
たださえ、女と言う体に馴れていないのに馴れない刺激に襲われる。しかも、それが
男よりも気持ちいい。なんどか、自分を慰めた事はあるが、それ以上である。一方、
女から男になった男は女と同じように未知な感覚を味わっていたが、何もされていな
かった。その代わり、目の前で喘ぐ元男の女から目がなぜか離す事ができなかった。
一方、女は自分が見られている事にわかっていても、それを拒む事を言えなかった。
なぜか、自分の全てが見てもらいたくて言う事ができなかった。
「くっ・・・はぁ・・・うぅうああああ」
少しだけイってしまった。


男はその姿がとてもいやらしく美しく見えた。女は、くの字
になってお腹だけ壁にめり込むかたちになり、男は体全体が壁から出され、女の目の
前に男の肉棒が目に留まる。なぜか、自分が入れるはずのものが目の前にあって、な
ぜか、自分の中に入る事を想像してしまう。一方、男は目の前にいる女を犯したいと
思った。支配したいと思った。だから、そう願ったら、自分の肉棒を女にあてがっていた。
ずぶ
先の部分だけ入り、弾力性のあるものに邪魔される。だけど、全てを支配したいと思
う男は女がどう拒もうと入れるだけだった。
「あ・・・痛い、痛い、痛い」
みちみちお入るが構わない。どんなに言おうと構わない。だから、女は気がつく。女
は支配するのではなく支配される存在だと言う事に気がつく。女がそう思った瞬間
ずぶり
「・・・かはっ」
全ての肉棒が女の中に入る。膣内は先ほどの触手によって、塗らされて男が肉棒を入
れた後はスムーズに腰を動かす事が出来た。男は女の中を楽しむ。一方、女は処女を失
った痛みに苦しみながらも
「はっあ・・・あぁつあ・・・あっ」
いやらしい声を出す。しかし、痛みによって女は絶頂に達する事はなく。男は腰を振る
だけである。その間、その存在はこの光景を楽しんでいた。そこに愛はなく、歪んだ
欲望が渦巻いていた。男は男になって初めての絶頂を味わおうとした。
そう、己の欲望の塊を吐き出す絶頂を・・・
「出る・・・何か・・・出そう」
と男は言う。それを聞いて、女は絶望を味わう。それが何を意味するか、それは完全に
染められ、服従させられると言う事だ。だが、それを止める者はなく、
どくん
欲望の塊は吐き出され、女の子宮を満たす。女は女になって、満たされる快楽を覚え、
放心状態になっていた。男は触手によって女から引き離される。一方、女の股からは
先ほど出した欲望の塊が赤い血と一緒にどろりともれ出ていた。


だが、これで終わりではなかった。女は急に気持ち悪くなる。
「げふくぅあぁああ・・・うぉおええええ」
さらに女は吐いてしまう。さらには、食べ物を欲する。かわりに、触手が女の口に甘
くて美々なる液を飲ませる。女はごくごくと飲み干す。すると、女のお腹はどんどん
とふくらみ、妊娠したようになる。否、女は妊娠していた。だが、それは・・・
「あっ・・・つう・・・」
破水した。本当だったら、味わうはずもない事を女は味わい、苦しむ。男から女にな
った女はこの世に命を産む苦しさを味わっている事でもある。
「がぁあぁあつあぁはあぁはぁはぁ」
息がうまくできない、お腹が暴れ、何かが出てくる。
べしゃ、ばしゃ
しかも次から次へと出てくる。
「あ・・・1匹、2匹、3匹」
男は女が産んだ命を数える。そして、全てを女が産み終えると股からはへその緒が何
十本と垂れ下がっていて、そのへその緒につながれているのは顔がない赤子で代わり
に口がある。その口はぽっかりと穴が開いているようにも見える。でも、それは人型で
ありながら成長しても人にはならない存在だった。女は異界の住人を生んだ。一方、
男は見た。男は女を支配した。でも、逆に支配されている事にも気がつく。なぜなら、
女が存在しなければ、男は生まれない。ならば、女が女だけで、命を生み出す事が出
来るのならば、男は不要である。つまり、男は気がつく、女は男に体を支配され、男
は心を支配された。だから、男は何があっても女を放す事はない。だから、何時まで
も繋がっていたいと思う。だから、その願いが感じたのか。また、女と繋がるチャン
スが巡る。
女はすでにその存在によって後処理をされた後だった。
「良イ子ニハ、ゴ褒美を」
二人は繋がった、男は獣ように女の体を支配し、女は男の心を支配して
「あっあぁうああああああああああ」
男に与える肉の快楽に喜びを得る。二人は壁にめり込む。だが、二人は繋がることを
忘れない。二人は自分達の体が溶けている事にすら気が付かない。ただ、少しずつ二人
が体も心も一つとなっていた。二人は自分達の意識が消えるまで、心は狂喜の愛に満たされていた。



以上でエッチシーンは終わりです
 少女は過去を見るのをやめた。今回は失禁はしなかった。
少女は
「はぁはぁ」
と荒く呼吸して、今度は気持ち悪くて吐いてしまった。それでも、すぐにハンカチで口をふ
き取った。今日は、これ以上能力を使う事はできない。少女はとても疲れていて重た
い足を動かして家に帰る。だが、あの狂喜な体験を間接的に体験してもなお歩ける精
神を持つのは復讐からくるものなのか?それを答える者は未だ、誰もいなかった。


場所 第6課 Healing Lover(ヒーリングラバー) 15時2分

 私の腕の再生のために2階にある。医療に携わるヒーリングラバーの治療室で治療
を受けていて、私は医療器具に固定されて、肩から失った腕を再生していた。一応、
外見から見れば肩から腕は再生していて、あとは神経や間接のつながりの再生だけで
ある。本当なら、千切れた腕をくっ付ければ30秒で直る傷も1から腕を再生すると
なると時間は掛かる。一応、私の場合は自然治癒で1からの再生の場合は半日から1
日かかる。この部分は人それぞれだ。しかし、お腹が空いた。
「お〜い、誰かいないか。オレンジアイスでもいい、リゾットでもいい、釜飯でもいい、
ティラミスでもいい、ガトーショコラでもいい、とにかく何か食べさせてくれ」
私は叫んだ。何か食べたい。血が足りない。一応、お腹が膨れればいいけど、できれ
ば美味しいものがいい。とにかく、右腕にあるチューブに繋がれた点滴がご飯とか嫌だ。
「お〜い、葉巻でもいいよ」
葉巻もここに担ぎ込まれた時、吸っていた葉巻も持っていた葉巻も没収された。
「お〜い、頼む。なんでもいいから」
私は叫ぶが、誰一人として治療室に食べ物も葉巻もお菓子を持ってくる人はいない。
「うぅ〜」
私はうなるが、誰も・・・
がちゃ
来た。
誰だ、何か持ってきたか?お菓子か、葉巻か食べ物か?それは美味しいものか?
「アヤさ〜ん、お見舞いに来ました」
フローは手ぶらだった。
「・・・」
私は落ち込んだ。
「すみません、アヤさん。車に乗っている間、葉巻を吸いながら、お腹空いていたと
言っていたので、お菓子を持って行こうとしたのですが、来る途中で没収されてしまいました」
「そうか」
つくづく、こいつは正直でいい奴だと思った。フローは適当に椅子を見つけて座り
「何があったのですか?」
と尋ねる。私は異界の出来事を全て話した。
「で、開いた口に骨で覆われた部分が弱点だと思ってそれを破壊するために肩から右腕を・・・」
「あ、うん」
「アヤさん、無理をしないでください」
「あ、うん」
「怪我をしたら、したらで心配なんですからね」
「あ、うん」
なんか、フローが親に見えてきた。でも、こういうのもいいと思った。
それに、小夜を少し思い出す。


「そういえば、アヤさん」
「なんだ?」
「あの紙を調べた結果を」
フローはポケットから異界から拾った紙が入ったビニール袋を取り出した。
「おお、それで」
「結果は、かなり古い紙でして、新聞に記載された日にちのものだそうです。あと、その新聞に記載された事も本当でした」
フローはそう言いながら、私に紙を手渡す。
「ありがとう。ということは、この紙に書かれた事は真実か・・・」
私は考える。紙に書かれているのは、30年前に起きた集団殺人事件の内容だ。
だが、今回の事件の関連があるのかは謎だ。
「おい、フロー」
私はフローを呼んで、
「二つ目の事件の話し合いだ」
と言って今回の事件をフローと話し合いをする。
まず、今回の二つ目の殺人の発見は美術館の警備員である。警備員が9時30分の
巡回で発見した。だが、問題は美術館に来ていた人は誰も気が付いていなかった。
警備員の話だと、たまたま壁から浮かび上がってでてきたそうだ。はじめは、警備員
も疑われたが、監視カメラが証拠になってくれた。ちなみに、監視カメラには事件の
様子は写されてなかった。あと、今回も遺品は見つからず、死亡したと思われる時間
は顔だけの部分から判断して23時から1時の間の深夜だと言う事だ。あと、今回も
身元は不明だった。だが、異界に行けた事でわかった事もある。あくまでも、推測だ
が、二人は異界に行っているだろう。だから、警備員もそれまで気がつかなかったん
だ。しかも運よく魔方陣を見つけなくてよかったと思う。フローの話によると、警察
が厳重に見張っているそうだ。


24時間体制で、しかも警察は魔方陣を街中を探し回っている。
「で、魔方陣の事はどう思う。フロー」
私はフローに問う。
「そうですね。俺が思うには、まずこの地図を見てください」
フロー1枚の地図を私に見せて、
「ここが一つ目の事件で、ここが二つ目の事件です」
と説明する。
「それで、3つ目はここで起きるのではないかと思うのです」
と地図のある場所を示した。
「つまり、正三角形を描こうとしているというわけだな」
「はい、そういう事です」
この殺人は儀式的なものが含まれている。
「と、いうことは・・・」
私は地図を見て顔をあげる。
フローはそれに対して
「はい、アヤさんが思っているとおり、もしかしたらですが、この街を異界化させようとしているのかもしれないです。」
と真剣な顔で言う。
「はぁ〜」
正直、やっかいな事に巻き込まれてしまったと思う。もし、魔方陣が完成して異界化したら大変だ。
「でも、アヤさん。あの魔方陣はどう思いますか」
「ん?」
「だって、あの魔方陣には何一つとして情報がないんです」
「はっ」
私は目が点になる。えっと、フローの説明によると、本にも情報庫を見ても、専門家
などに聞いても見た事がない魔方陣だという事だ。つまり、どういう意味の魔方陣か
は不明だという事だ。
「これは、魔方陣を書いたやつを探すしかないな」
「そうですね。すでに第1課が動いて調べているそうです」
正直、これは大変だと思った。もし、異界化すれば
「集団失踪で新聞記事になるな」
「な、なんか嫌ですね」
「それほどめずらしい事ではない」


私は知る限りの情報を説明してやった。
「1590年にロアノーク島、アメリカ建国前の植民地でこの島に移住してきたイギ
リス人120名全員が失踪している事件がある。しかも家財道具を残して失踪だ」
「なんか、すごいですね」
私が話しを区切りフローは合図地をうつ。だが、まだある。
「あとはBermuda Triangle(バミューダトライアングル)を知っているか?」
私はフローに問う。
「ええ、知ってます。フロリダ半島の先端と、大西洋にあるプエルトリコ、バミュー
ダ諸島を結んだ約283平方kmの三角形の海域ですよね」
「そうだ。おもしろい事に昔から、昔から船や飛行機やらが行方不明になる地域で有
名だろ。一応、事故の部分も否定はできない。」
「そういえば、そういう話もありますね」
「あとは、ハールメンの笛吹き男の話を知っているか?」
「はい、知ってますが。あれはグリム童話のお話ですよね」
と首をかしげ言う。
「たしかに、そうだ。しかし、1284年6月26日、ドイツのハールメンでは約1
30人の子供が失踪している」
「それは知ってます。けど、事件とは関係があるとは思いません」
たしかに、あまり関係ないかもしれない。
「だが、集団失踪事件はめずらしいものじゃないと言う事さ」
「あ、なるほど。でも、似てますね」
なんか、フローが妙な事を言いはじめた。
「だって、バビューダトライアングルって、三角形で、今回の事件にでてくる魔方陣
も三角形じゃないですか」
「あ・・・」
と口を開けて目が点になってた。
「お前、地図を見ていて説明した時に気が付いたか?」
「いえ、なんとなくです」
こいつ、考えるのも勘もいいなと私は思った。


「とりあえず、第1課が、次の事件になる場所を調べているのだろう」
私はフローに確認をとる。
「はい、そうです」
とフローは答える。
それを聞いた私は
「なら、今日は休んでいい。どうで、明日もいい事が起きる気がしないからな」
 今の私達でできる事はこれだけだ。情報集めをしてもいい。あせっても仕方がない。
だけど、フローは
「わかりました。適当に情報集めをしとくので、アヤさんは体が直るまで休んでいてください」
なんて、いい奴だと思った。しかも、外見もそれなりに良い。だが、私にはフローと
恋人として付き合うつもりはない。理由は私は元男でしかも、恋人がいる。あ、そうだ。
「おい、フロー」
「はい、なんですか」
フローは地図を畳むをやめて、私のほうを見る。
「電話、国際電話使えるか?」
私はフローに尋ねる。
フローは
「わかりました」
と言って治療室を後にした。しばらくして、電話機の回線を延長しながら電話をもっ
て帰ってきた。
「・・・」
いい奴過ぎて、恋人がいない気がした。
「アヤさん、もって来ました」
「ありがとう」
一応、私はお礼を言う。
「いえいえ、それより誰に電話を?」
フローはそう言いながら小さな机に電話を置いて、延長コードを使って壁にあるコン
セントに差し込む。
「ん?まあ・・・知り合いにね」
なんとなく、どう言えばいいかわからなかった。フローは私の返答を聞いて、気をつ
かってこれ以上は何も聞かずに
「俺、邪魔してはいけないので出てますね」
と言って治療室から出て行く。私はそれを止めて
「そんなに長くないから、15分で戻ってきてもいいぞ」
と一応、言っとく。フローはそれに対して、私を見て
「じゃあ、何か飲み物を買ってきますね」
「よし、ジンジャーエールだ」
私はしっかりと、飲みたい飲み物をお願いして
「わかりました」
と言って治療室を後にした。私は右手で受話器を持って、番号を押そうとした。しか
し、プッシュ式ではなく、ダイヤル式だった。私は小さな机に受話器を置いて、小
夜に電話はするために・・・まて、時間を確認しなくてはいけない。今は15時47
分だ。つまり、日本は3時47分だ。私は電話できないじゃないかと思って、少しか
なしくなった。その後、フローがジンジャーエールを買ってきたが、それも治療室の
手前で没収された。


 場所 ある家 10時54分

 電話がなっていたので、電話にでた。
「もしもし」
声は知っている人物だった。
「百舌鳥さん?」
「おお、そうだ、元気にしているか綾」
「元気だと思うよ、それより小夜(さよ)は?」
こいつはいつも変わらない口調で言う。
「ああ、小夜ちゃん、今は一緒にお昼ご飯を作っているよ」
「そう」
「ああ、それと、お前を家に送った時に貰ったウィスキーありがとな、美味しかったぞ」
「あ、うん。こちらこそ、葉巻の事ありがとうね」
「いや、いんだよ。たまたま、お前、仕事で行く行き先アメリカで、たまたま、知り合いだっただけだよ」
「その嬉しそうな声を聞くと仲がよさそうだな」
あいつの顔は見えないが、少し微笑んでいる顔が浮かんだ。
「で、国際電話だろ。すぐに小夜ちゃんに変わってあげるよ」
「お願い、だけど、その前にお願いがある」
わしはなんだろうと思ってあいつの願いを聞いた。わしは断る事はしなかったが、あ
いつの願いを聞いて少し不安になった。だが、あいつは昔とは違う。わしは、あいつ
の願いを引き受けると、わしは電話の受話器を電話の横に置いて台所にいる小夜ちゃ
んを呼んだ。


 場所 ある家 10時58分

 台所で私はお昼ご飯を作っていた。そこに電話に出ていた百舌鳥さんが戻ってきた。
「小夜ちゃん、電話だよ」
百舌鳥さんはやさしい顔で言ってくれる。誰だろうと思って聞いたら綾だった。私は
嬉しくて、お昼ご飯を作るのを忘れて電話にでる。
「もしもし」
「あ、小夜」
「うん」
綾は何時もと変わらない。
「元気にしている?」
「うん、大丈夫。綾も大丈夫」
「私は大丈夫だよ」
「・・・そう」
私は綾と電話ができてとても嬉しかった。綾が仕事で行って私は寂しかった。だけど、
百舌鳥さんが来てくれて今は寂しくはない。
 だけど、
「綾、早く帰ってきて」
と言う。本当に、今すぐ仕事なんて放棄して帰ってきてほしかった。だけど、綾は仕
事を放棄して帰る事はないだろう。だって、綾の悪夢は終わっていないのだから。
 だから、私は
「無理しないでね」
と言う事しかできかった。だけど、綾は無理をするだろう。自分がヴァンパイアだか
らと言って、誰かの盾となり、剣にもなるだろう。だから、私は綾を守りたかった。
だけど、そんな私は無力で涙が出ていて泣いていた。
「あ、おい。小夜、どうかしたか?」
綾は慌てている。いけない、心配をかけてしまった。
「大丈夫、とにかく・・・無理しないでね」
これ以上は綾の声は聞けなくて、百舌鳥さんが心配そうに見ている。私は、泣きたい
のを堪えて百舌鳥さんに受話器を渡した。


場所 フローの家 23時02分

 国際電話の料金は高い。だが、フローの母ソフィーさんは
「いいの、いいの。あなたの家族に電話をするのでしょう。家族は大切にしていいわよ」
とか言って、電話を貸してくれた。
だけど・・・
「大丈夫・・・とにかく・・・無理しないでね」
と小夜は震えた声で言った後、小夜は電話にでず、百舌鳥さんがでる。ちなみに、百
舌鳥さんはここに来る前に自家用車で家に送ってくれた老人だ。
「まあ、あれだ。お前の事を心配して、小夜ちゃん泣いてしまったんだろ。お前も無理をするなよ」
私は百舌鳥さんの言う事に対して
「うん、ありがとう」
と返事をするしかなかった。そして、私は電話を切った。
「・・・」
背後には隠れて、私の会話を盗み聞きしていたフローの母ソフィーさんとその従兄弟がいた。
そこにフローが通りかかって、何か言って、
「しっ、フロー。ばれちゃうでしょう」
とフローの母ソフィーさんは言うが、
「もう、完全にわかってますよ」
と私は言ってやった。

管理人/副管理人のみ編集できます