強制女性化小説ない?スレ保管庫 - 海原祐樹2
「あら、似合うじゃない」
 姉が嬉しそうな声をあげる。
「………はぁ」
 僕は、鏡を見ながら今日何度目かの溜息をついた。
 不思議な安心感から、姉に身を任せてしまったのがマチガイだった。
 瞬く間に服を着せられて、今正面の鏡に映っているのは、生クリームのように真っ白でフリルでレースなロングのワンピースにデコレーションされた、自分の姿。
「ケーキのスポンジにでもなったみたいだ」
 思わず、呟く。
 というか、なんで普通のデパートに、こんな趣味的な服があるんだろう。
「そうね。柔らかくて、甘くて、美味しいし」
「ひゃぅっ」
 また、抱きすくめられた。
「姉さんっ、いい加減にっ」
 さすがに、試着室を占領しているのも限界だろう。あまり長いと、店員に変に思われる。と、思う。
 背後で揺れるカーテンの向こう側に、人の気配を感じるたびに、冷汗が出る。もし、何かの拍子にこんな所を見られたら、と思うと、気が気ではなかった。
「ま、それはそうね。祐ちゃんは、後でいくらでも食べられるしね」
 ………。
 姉の、背筋の凍るような発言を聞かなかった事にして、僕はカーテンを開けた。



「んまー! お似合いですわ、お客様っ!」
 少々歳のいった女性店員が、レジの向こう側から僕の頭の天辺から足先までをじっくりと吟味しながら、僕を褒めちぎる。
 姉以外の人に、今の僕をこんなにじっくりと見られるのは初めてだった。
 服装は、さっき試着したワンピースのままだ。姉がとても気にいったらしく、このまま着ていくことを強硬に主張したためだ。
 さっきまでのミニスカートよりは随分マシだと思って、妥協するしかない。
 それでも、恥かしさのあまり頬が熱くなって、つい俯いてしまった。
「あら、照れていらっしゃるんですね、可愛らしい」
 僕のそんな様子を、店員はプラスに受けたようだ。さっきよりは少し落ち着いて、そんなことを言った。ちなみに、さっきから紙袋に服をてきぱきと入れる手は止らない。器用だ。
「こんな可愛い妹さんが居て、羨ましいですわね」
 店員さんは、今度は姉に話を振る。
「ええ、可愛いでしょう? 自慢の恋人なの」
 姉は、柔らかに微笑んで、そう言った。
 ………。
 ………。
 ………。
 こいびと……?
 恋人ぉっ!?



「ね、祐ちゃん」
 姉は、不意打ちで動揺して何も言えない僕の肩に手を回すと、耳元でささやいた。
 姉の吐息が耳に入り込んで来る。自然と、体が小さく震えてしまう。
「っ…やぁ」
「ほぉら、可愛い」
 店員が、顔を真っ赤にして、けれども興味心身といった様子で見つめている。
 幸い、ほかの店員や客は、まだ気付いていない。
「ふぁ・んっ」
 舌がちろりと耳たぶを舐め上げ、そして、唇が甘噛みする。たったそれだけの事で、僕の体は言う事を聞かなくなっていた。
 震えが止らない。おなかの下のあたりが、熱い。
 じわりと、体の奥からなにかが滲み出てくる、感覚。
「ふふ、冗談よ」
 唐突にそう言って、姉は僕から体を離した。
「さ、行きましょ。ほかにも回る所はあるんだから」
 そして、服の入った袋幾つかを今だ呆然としている店員から受け取ると、レジに表示された金額ちょうどをカウンターにおいて、僕を促した。
「う、うん……」
 まだ体がじくじくと疼くけれども、このままここに居るわけには行かない。何とか我慢して、姉の後について行った。




 体にピッタリと張り付くこの衣装が、こんなにも恥かしい物だとは思わなかった。
「あ、あの…」
 僕は、羞恥に体を震わせながら声を上げた。
「なに?」
 分かっているくせに、姉はわざとらしく聞き返してくる。
「も、もうやめようよ、姉さんっ」
「あら、せっかく買ってきたんだし、それに、こんな格好できるのも女の子でいられる今のうちでしょ?」
「だ、だからって、何もこんな格好……っ!」
 僕は、身を包む“スクール水着・ゼッケン付き”の生地をつまんで、言い募った。
 

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 あのあと、結局姉は僕に対して手を出してこなかった。色々な服(というか、コスプレ衣装みたいなモノも多かった)を買い込むのに夢中になっていた。
 その表情は、鬼気迫るものがあって怖かった。
 それでさんざん買い込んで家に帰って、姉は言った。
「さ、着せ替えごっこしましょ」
 ………。
 こうなると分かっていたのに、抵抗できない自分が悲しい。
「い、いやだよっ!」
 それでも、一応の抵抗は試みた。すると、姉は意外な提案をして来た。
「そうねぇ……じゃあ、着せ替えごっこが終わったら“女の子から男の子へ戻れる薬”を作ってあげる。どう?」
 信じていいのかどうか迷ったけれども、結局僕はそれを信じる以外に道はなかった。
 

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 それで、今の状況になったという訳だった。
「そう? スク水は気にいらないのね。じゃあ、次はコレね」
 姉は、デジカメのシャッターを切りながら、次の衣装を取り出した。
 “体操着・もちろんブルマ・当然ゼッケン付き”だった。
「………ぁぅ」
 交換条件を明確に提示され、了承してしまった僕には、それを拒絶することは出来ない。
 姉は、それをカメラに収めていく。当然のように、着替えている最中の格好も、撮られた。
「んっ……」
 するりと、スクール水着が足元に落ちる。
 当然、その下は何も着ていない。
 体を隠しながら、急いで体操着を取って、下着をつけるのももどかしく、着替える。
 ぱしゃりぱしゃりと、連続してシャッター音が響き、そのたびごとに体が熱くなっていく。
「可愛いわぁ、祐ちゃん」
 姉に冷かされながら、白のオーバーニーソックス(姉のこだわりらしい)を履いて、着替え終わった。
 上着はまだマシだけど、下のブルマーはスク水と同様なレベルで恥かしい。急いで着替えた所為で下着を着けていないため、ほとんど下着を晒しているような気分だ。
 上着を下に引き伸ばして、少しでもそれを隠そうと試みる。
「ああ、いいわね、その羞恥に染まった表情に仕種」
 露骨な煽りだと分かっていても、頬が熱くなって、それが全身に伝染するのを止められない。
 その熱が、下腹部のあたりに集中してくるのを感じた時には、僕の頭はぼうっとしてきて、まともに思考できなくなっていた。
「体が燃えてきちゃったかしら? ふふ、今日一日さんざん可愛がってあげたものね」
 姉が、いつの間にか傍らに寄っていて、太ももに手を這わせてくる。
「ぁ………っ」
 それだけで、僕の体から力が抜けて、がくりと膝をついてしまった。
 同時に、じわりと、体の奥からにじみ出てくる何か。


「あらあら、ブルマにいやらしいシミがついちゃったわね。ホント、可愛いんだから」
 ブルマを撫でながら、姉が言う。
「い、言わないでよ……っ」
 自覚していただけになおさら恥かしかった。
「褒めてあげたんじゃない」
「ひゃ、ぁぁぁっ!」
 ブルマのすそをつまんで、一気に引き上げられた。
 股間に布地が食い込んで、背筋から頭まで電撃のような感覚が走る。
 背筋が反り返って、一瞬意識が跳んだ。
 気付いた時には姉の顔が目の前にあって、口をふさがれていた。
「ン……」
 姉の唇は、何故か、痺れるように甘かった。
 思考が快楽に流されていく。
「んむぅ……ん」
 上着が、胸の上まで捲り上げらる。
 もう、抵抗はしなかった。姉になら、されてもいいと思った。思って、しまった。
 その様子を感じ取ったらしい姉は、僕の胸をいじりながら、舌を侵入させてきた。
 その舌が口の中で蠢くたびに甘い痺れが走って、胸から生じる痺れと合わさって、体の奥を刺激する。
 太ももを、何かが伝っていく。
「っ……ふぅ」
 姉の唇が唾液の糸を引いて離れて行く。
「ふふふ、そんな残念そうな顔しないの。これからもっと気持ちよくしてあげるから」
「ぁ…っ」
 姉は一息置いて、首筋に舌を這わせる。
 ぬめりとした感触も心地良い痺れに変わって、体を流れていく。
「ぁっ…あぁ………ぃっ!」
 胸をいじっていた手が、いつの間にか下に移動してブルマの中に入り込んで蠢いていた。
「床までたらすほど感じちゃってるのね、祐ちゃん」
「ぁっ、だ、だって、それは姉さんが……っ」
 中に進入した指が動くたびに、僕はおかしくなっていく。


  こんな快楽を味わってしまって、男に戻れるんだろうか。一瞬だけ、疑問が頭をよぎったけれども、すぐに白濁した思考に飲み込まれてしまう。
「ダメよ、人のせいにしちゃ。祐ちゃんがこんないやらしいのが悪いんだから」
「ひぁぁぁっ!」
 胸の先端を歯で甘噛みされ、同時に秘芯を転がされ、体が反り返った。
「……そろそろいいかしら?」
 そう言って姉は、僕を床に寝かせると、服を脱いでいく。
 今の僕とは違って立派な胸を持ち、そして同時に、男のモノを備えた異形が現れる。
「凄いでしょ。祐ちゃんがいやらしいから、こんなになっちゃった」
 昨日まで僕が持っていたモノよりも、かなり大きい。
 姉はソレをつかんで、僕に擦りつける。
 熱い。ソレが触れただけで、痺れた。
「いいわよね、祐ちゃん」
 姉が、求めてくる。
「ぁ…く……ぅん」
 嫌だ。嫌だというのに、何故か、僕の首は立てに動いてしまった。
 怖いのに、体がソレを求めて、言う事を聞かなかった。
「じゃあ、いくわよ」
「………っ!!」
 股間の布地を脇ずらされ、そこにモノをあてがわれ、じっくりと侵入されて、一気に貫かれた。
「あ゛ぁぁぁぁっ!」
 ぶつんと、何かが切れるような感じがして、体が引き裂かれるような痛みが生じた。
 体の奥底が貫かれた痛みに、僕はただ叫ぶ事しか出来なかった。
「我慢しなさい、男の子…じゃないわね。まあいいわ、いやらしい祐ちゃんのことだから、すぐによくなるわよ」



 ………。
 ………。
 ………。
「ぁん…っ」
 痛みに翻弄されて、姉に蹂躙されて、どれほどの時間がたったんだろう。
 気がつくと、僕は甘い声を上げて姉を受け入れていた。
「ほら、良くなってきたでしょ? ひょっとしたら、初めてでいっちゃうかもしれないわね」
「ぁぁっ、ぁっ…っ、くぅんっ」
 姉の動きは、次第に激しくなっていく。
「ぁぁ、ぁぁっん、ぅん」
 その一突きごとに、大事な何かを失いながら、僕は、高みへ押し上げられていく。
「んっ。そろそろ、私もいくわよ……中に出してあげる」
 姉が、とんでもないことを言いながらさらに激しく僕を突き上げる。
 頭の中でちりちりと火花が散り、目の前が白濁していく。
「ひっ…あっ、ぁんっ」
「んんっ!」
 姉が硬直し、そして、僕の中に精が吐き出された。 
「んっ…っ!…ーっ!」
 同時に、僕の意識も真っ白になって、そこで途切れた。




「ねえっ……んっ! ぁんっ、ぁくぅ!」
 もう、声を抑える力もなく、僕は自分でも恥かしくなるようなはしたない喘ぎ声を上げた。
 1度中に出して、僕が絶頂に達しても、姉はその責め手を緩めてくれなかった。
 胸の上まで捲り上げられた汗まみれの体操着に、股間の部分だけずらされて愛液と精液で汚れたブルマが、動くたびに体を擦り上げて刺激するのが、酷くわずらわしい。
 僕は、全身が性感帯のようになってしまって、ただ姉の行為に翻弄されるだけの、快楽人形だった。
「これが終わったら、男の子に戻してあげるって言う約束でしょう? その前に、たっぷり楽しんでおかないと、もったいないわ」
 つまりは、そういうことらしい。
 僕は、ただひたすらに快楽の流れに身を任せた。そうするしか、なかった。
「ひぁっ、あはぁぁぁっ・くぅんっ!」


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 “太陽が黄色い”っていうのは、こういうことか……。
 僕は自室のベッドの上で、妙な感慨にふけった。
 結局、あれから何度絶頂に達したかすらもわからなくなるほどに、さんざん弄ばれた。
 太陽はもう中天に差し掛かっているけれど、全身にけだるさが残って、腰が痛くて、とても起きる気にはならない。
 服は、いつの間に着替えさせられたのか、ピンクのネグリジェだった。
 コンコン。
 しばらくぼーっとしていると、姉が部屋に入って来て、言った。
「さ、準備が出来たわよ」
「え?」
「何とぼけた声を出してるの。男の子に戻らなくていいの?」
 ………それは困る。僕は、姉の手を借りて、何とか起き上がった。
「くぅっ…」 
 僕の体の奥の“女の部分”がズキンと痛んで、どうしても蟹股のような格好になってしまう。
「あーもう、みっともないわね。ほら、もっとこっちに寄りなさい」
 強引に引き寄せられて、横抱きにされた。
 姉は、言葉の割には、顔は嬉しそうだった。
「ほんと、もったいないわね。こんなに可愛い祐ちゃんが、これで見納めなんて」
 すりすり。
「ひやっ!」
 ほお擦りまでされた。
 そうか……こんな風に姉に甘えられるのも、弄ばれるのも、これで最後なんだ。
 そう考えると、妙に寂しく感じる。僕の胸の中にいつの間にか生まれていた女の子部分が、じくじくと、古傷のように疼いた。
「あら、なに? ひょっとして、もっと可愛がって欲しかった?」
 姉は、僕の内心を読んだかのように耳元でささやいた。
「そ、そんなわけないってば!」
「そぉ? 残念」
 僕は反射的に否定して、姉は大げさに溜息をついた。


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「湯加減はどう?」
「丁度いいかんじー」
 ぽかぽかと、体の芯から温まるお湯に浸かりながら、僕は風呂場の外に返事した。
 男に戻る薬というのは、女になったときと同じように全身に浸かる必要があるらしい。
 それで僕は、姉の用意した薬入りの風呂に浸かっているのだった。
「ん………っ」
 しばらくして、何かが、体の中で蠢く感覚。それと同時に、体が燃える様に熱くなっていく。
 最初の時と同じ感覚が、僕の中に満ちて来る。
 次第に、のぼせたようなめまいとともに、気が遠くなってきた。
 これで、目が覚めた時には、元に戻っているはず……そう考えた時、唐突に、僕の脳裏を1人の少女の姿がよぎった。
 どことなく母の面影のあるそのか細い少女は、何故か、寂しそうな表情をしていた。
 女の子の僕だった。
「さようなら。また……ね」
 何故か、そう聞こえた途端、僕の意識は急速に深く落ちていった。