強制女性化小説ない?スレ保管庫 - 蘇芳卓哉
朝起きたら胸があった。いや、何かが胸にあった。

うつろな意識のままとりあえずその「違和感」を確かめてみる。
ぐに。むにゅむにゅむにゅ。
………………うん。なかなか大きくて良い揉み心地だ。それに少し気持ち良いし。

「…………………………ぅん?」
はた、と揉むのを止め、たった今降ってわいた疑問の回答を得ようとする。

…………俺の体にこんなのあったか……………?


「……………………………………………………えぅ」

がばっ!!!!
ばっ!

一気に布団をはねのけ着ていた寝間着のティーシャツをガバッと一気に脱ぐ。
そして問題の個所に目を移す………………

「な、ななななななななななななななな!!!!!!」目が一気に覚める。
胸が大きく盛り上がっている!そんな馬鹿な!しかも乳の先の部分まで明らかに発達してて
男の授乳用ではないそれの形とは大きく違う!これではまるであのおっぱいじゃないか!いや、なんで!?
昨日寝たとき!昨日寝たときはこんなのはなかった!どーなってんだこれ!!


両手で放り出した胸をわしづかんだまま目を見開いて中空斜め下の一点を凝視して口をパクパク。
ぐるぐると頭で考えを張り巡らせる。他人から見たら何やってんだろうと思われるであろう。
パニック。いや、パニックにならない方がおかしい。こんなこと、ありえない。

………いや、それでも落ち着かなければならない。
騒いでも解決しない。うん。いつもの俺らしい考え方だ。

……………で、これは一体…………………全体………。
ふむ、おっぱいは女の子にしかないよな……………つまり俺は女の子?

…………クッ。
自分で考えて笑ってしまう。俺はまごうことなき男だ。馬鹿馬鹿しい、ありえない。
顔に手をあて首を振り、考え直す。

するってーと…………………は!そうか!病気!よく分からないけど胸が物凄い腫れる病気!
それなら納得出来る!そうだそうだ!そうとしか説明が付かない!
「………なーんだそうか、それなら…………」

…………………違う!!それはそれでやばいんじゃないか!?!?
「と、とにかく急いで病院に!き、着替えないと!」掛け布団を放り投げ、だばだっ!とベッドを降りる。

と。ずるっ。寝間着のトランクスがずり落ちる。「うぁ!」足がもつれドダッと無様に転ぶ。
「く、こんなことしてる場合では………!」立ち上がり、トランクスの前部分を右手でつかみ
無造作にぐいっと上げつつも、ヨタヨタ着替えの畳んでおいてある机に足を踏み出し………………………


はて。

おかしい。何か変だ。なんというか、足りない。感触が。前に手をやったのに。
こう、いつものむにゅ、がない。「……………………???」トランクスのゴムを引っ張り中をうかがう。

晴れあがった胸が邪魔だ。もう片方の手で視界を遮っている片方の胸をどける。………見えない。
いつものが見えない。隠れているのか?首を動かして角度を変えてしげしげと捜す。
無いはずが無い。いつもあって当たり前。ゆえに隠れてみえないという考えが自然にでる。違和感無く。
埒が明かない。手をやり、捜す。何か変な感触。小さな突起と、その下、左右にある弾力のある延びる皮。
おかしいな…………。ない?さらに探る。なんかでこぼこしてる。玉袋の筋が萎縮してんのかな?
と。「……っ!」しびれる。なにか触った。びくっと指を離す。そう、触られた方の感触でわかる。
これはオシッコの穴だ。しかし、そこで疑問が浮かぶ。「…………ぅん?」
オシッコの穴はいつもアレの先にある。股に直接ついてはいない。これはおかしい。
パンツ一丁。がに股で手を乳とパンツの中に突っ込んだままの姿勢で、
また中空の斜め下を凝視し今の情報を頭で張り巡らせ整理する。その姿は実に間抜けだ。

結論。股間がおかしい。いや、股間もおかしい。
…………………ど、どーなってるんだ!俺のチ○ポ!た、確かめなければ!
踵を返し風呂場に駆ける。風呂場でトランクスをバッと脱ぎ、洗い場の備え付けの大鏡の前に。
全裸で股を広げ股間を突き出し、伺う。しげしげと。体裁なんか考えてる場合じゃない。



…………………………違う。これは違うぞ。これは………………チン○というより………
それに。写っている人。顔が俺ではない。目がくりくりと大きい。輪郭が小さい。鼻がすっきりと高い。
髪も延びてる。おかしい。短髪だったはずだ。なぜ肩まである?しかしこの顔。俺というより、
俺に似ているって感じ。そう、双子の妹。いないけど。いたらこんな顔かも。実に可愛い。
いや、しかし、この腫れ上がった胸。病気のせいか知らんが可愛いくなった顔。男としては妙にくびれた腰。
足も少し細くなってる気がする。で、取れた(?)チ○ポ。そしてその代わりについてる…………これ。
「あ、うう、ううううう………」今更気付いたが声も高い。明らかに男のそれではない。

これ、これは、この姿はまごう事無き……………女の子!!!

「う、あ、あ、あ、ああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

「ななななな、何の騒ぎだ!?」
ルームメイトで友人の灰谷がこの騒ぎで起きたみたいだ。こっちに駆けてくる足音が聞こえる。
ダダダッ!「な、何だ!?なにやってんだ卓哉!」眼鏡の真ん中を中指で押し上げつつ、来た。
風呂場のドアは開いている。そこで、灰谷が見たもの。「…………………は、灰谷…………」
ここの部屋風呂は無駄に広い。この学園寮の特徴だ。風呂桶の面積も含めて6畳くらいか。
入り口の向かい奥にトイレもある。で、入り口から見て鏡は手前横の壁にある。
その鏡の前で全裸で股を突き出した状態で固まったまま出迎えてしまう。二人とも固まる。
「……卓哉……なのか?いや、似てるけど……?いやでも、それ……胸……と」灰谷の目が一点で止まる。
目線はもちろん「……………(ジーー)。」で、この体勢。いくら同性(?)でも急に恥ずかしくなった。
「み、見るんじゃねぇぇぇぇぇ!!」スバっと間合いを詰め即座にハイキックを顔に叩き込む。
「ぶべらっ!」物凄い勢いで飛んでいく灰谷。人は空を飛べる事を身を持って証明するかのようだ。

その時。入り口ドアの鍵が開いた。
「おまえら、朝から何をやっとるかぁ!」体育教師兼寮長の橋本先生。白いティーシャツにブレザー。
その下の筋肉。熊のようなその姿は思春期の粋がった青年たちに慎ましさを覚えさせるのに十分な迫力だ。

起床間も無いこの時間の非常識な騒ぎを注意しようと来た橋本先生が見たもの。
そう、全裸の少女と入り口で倒れている万年問題児の寮生、灰谷。
………………これをどう説明しろと。

とりあえず先生は橋口は服を着るようにいい、すぐに灰谷とルームメイトの俺、
そして謎の少女(それも俺)は、すぐに学園理事長室に来るように言い残し、どすどすと去っていった。
もちろん俺は誰で、なんでそこにいたのかである。先生の退室後すぐ自分の制服を着る。
いつも通りに。しかし、ズボンが緩くなってるし上も肩幅がガバガバだ。
どうやら体型ごと女らしくなっているようだ。今気付いたが身長も165くらいだろうか。
世界が低い。元は175だったのだが…………。

早朝。だれもいない廊下を灰谷と理事長室へ向かう。寮と学園校舎は隣り合っていて、渡り廊下で
繋がっている。理事長室は校舎内だ。面倒くさいが逃げるわけにもいかない。寮は入り口が
渡り廊下の一つしかないから逃げられないのだが。先生がその場で連れて行かなかったのも
そういった逃げられない事を見越してである。と、そのとき灰谷が恐る恐る話し掛けてくる。
「な、なあ、君………一体誰「蘇芳卓哉」」「い、いや、だってあんた女の子「女になったんだよ」」
「そ、そんな馬鹿「それは俺の台詞だ」」「な、だってそんなことありえない「ありえないよなあ…」」

………………自分でも無茶苦茶言ってるのが分かる。自分でも上の空である。
只一つだけ考えていたのは、コレはなにかしらの病気であるということ。人間の体に
成長以外の変化があるとすればそれは病気しかない。魔法であればどんなに話が楽か。
とにかく、見て触って確かめたんだ。俺は今間違いなく女になってしまっている。
それは受け入れるしかない。問題はそれでどうするかなのだ。何時だってそうだ。
問題は悩むのではなく解決するものだ。……自分でも前向きすぎると思うが。うん。それが俺だ。

「とにかく俺の体に何が起こったのか調べない事には…………」そう、俺の行動は決まっている。
まずは病院。そんな事を考えているうちに理事長室の前に着く。灰谷が俺をチラチラ見ながらノックする。
「………なんだよ?」「え、いや、別に………」中から声がした。「どうぞ」

「「失礼します」」綺麗にハモる。部屋の中には二人。理事長と橋口。俺達が入ってすぐに橋口が言った。
「蘇芳はどうした!?3人で来いといったはずだ!」「………………はい。」軽く挙手。
「………………………なんだね?」どういったものか迷ったが………生憎、巧い嘘が浮かばなかった。
「俺、です。蘇芳…卓哉。」「?な、何を馬鹿な…」「いやあ……でも。」やはり真実を言うのも、なあ。
「…君は確かに蘇芳君に似てるが、妹さんかね?」と、俺と灰谷の写真のついた何かの書類を見ながら理事長。
まあ、俺みたいな生徒一人一人覚えてるはずが無いな。「…俺に、妹はいませんよ。」「君じゃない!
蘇芳卓哉にだ!」橋口が激昂する。「いや、俺が蘇芳卓哉でして。」それを聞いて顔を赤くする橋口。
「おい、馬鹿にしているのか君は!」「いえその、なにかにバカされてるのはこっちでして………」甘かった。
やはり何処からも説明つきそうにない。理事長が「ふむ、確かに妹さんはいないようだ。だがしかし…
蘇芳卓哉は男で君は女。確かに良く似てるが……本気でなりすまそうとしてるならもっと巧い嘘を
ついたほうがいいな。」腕を組んでいう。「いえ、男が女になったんです…。」「大体、灰谷!
お前はこの女子禁制の学校で何をしとるのか!お前が連れ込んだのだな!」無視された(´・ω・`)
……そう、この学園は男子校。女っけ一切無しだ。エロ本の類ももちろん禁止。
「ち、ちが、朝起きたらこの子が風呂場にいて…」「いえ。だから俺は蘇芳…。」


う。周りの俺を見る目が段々頭の気の毒な人を見る目になっていってるような気がする。
「………大体君はどうやって部屋に入り込んだのかね?」「どうって…消灯のロックかかる前です。」
この学園の寮のセキュリティは非常に厳重である。消灯時間には全部屋に一斉に電子ロックがかけられ、
生徒が勝手に外に抜け出て遊ぶ事のないようにしている。窓も格子がついてるからどうしようもない。
しかも俺と灰谷の部屋は5階だ。窓から忍び込むのには梯子車でもない限り無理だ。
つまり監獄と一緒である。ま、それゆえこの学生寮に風呂とトイレ、冷蔵庫までが個別についてるわけだが。

「……ロックがかかる前。当たり前じゃないか……」理事長が腕組みをしてジト目でこちらを見る。
「この寮のセキュリティはそれなりに完璧のつもりだ。それを君は…。」「ええ、ですから俺は蘇…。」
「…………………………。」「…………………………。」「…………………………。」(´・ω・`)…………。

いっそ警察に突き出されたほうがいいかもしれない、と半ば自殺衝動に襲われるがそれまで黙っていた
灰谷が口を開いた。「…そんなにいうなら指紋照合するのは?」「………!」それがあった。
理事長に詰め寄る。「理事長!俺の指紋と蘇芳卓哉の指紋データを合わせて見てください!」

指紋。この学園特有のシステムである。図書の貸し借り。学園の出入り。ロッカーのロック。
そういったものは全て自分の指紋で照合する。なんともハイテクノロジーなことである。
まあ、便利ではあるが。しかしそれが吉と転じるはず。何とか二人の先生に強く訴え「ま、やってみるだけ
やるが。納得したら警察に行ってもらうからね…」と疑われまくりだがなんとか照合にこぎつけた。結果。


「ば、馬鹿な……。」やはり。体の変化は指紋までは及ばなかったらしい。蘇芳卓哉のセキュリティーは
俺の指先であっさりと解除される。当たり前だが。「こ、壊れてるんじゃないか?」橋口が試しに触る。
もちろん開くはずが無い。「そ、そんな……」「わかって、もらえましたか……?」
「な、なにかハッキングでもしたんじゃないのか!?」俺は首を振り「この学園のファイヤーウォールは
ハッキングは物理的に不可能のはずです。第一その部屋には守衛さんも。」胸を張ってフフン、と言ってやる。
「む、むむ……」

そのあと一気に捲し立てた。信じ込ませるために。俺の家族構成。学園での成績。日ごろの態度。
知っている事は全部話した。そして、この変化もありのまま話した。
漸く。
「にわかには信じ難いが………」「うむむ…………」「卓哉…お前一体……?」
戸惑いの声で満ちる。しかし一番戸惑ってるのは俺なんだが。
理事長が「と、とにかくそれは一体どういう現象かね?」「はい。病気かなにかかと」「病気……?」
「た、卓哉。それはいくらなんでも無理があるんじゃ…。」俺もそう思うのだが。
「じゃあ魔法です、とでもいうのか?」「うぅ…。」閉口する灰谷。「いいですか。この体に変化があった
のは事実。そしてその変化には必ずなにか原因があるはずです。何も無ければ何も起きるはずが無い」
理事長が「し、しかし。男が女になんて。」「えーと…………。そう。例えば、理事長。理事長は
地球が丸いという突拍子もない話信じてますか?」3人の顔色が変わる。「おい、卓哉。信じるもなにも」
「そう、事実になってる。何故か。証明がなされたからね。古きはマゼランの部下が西にひたすら進み
帰港し、地球が丸い事が証明されました。そして今は宇宙から見下ろして。だからみんな納得している。
この証明がなされてない時代では地球は平らという説が常識でした。それといっしょです。
そして俺が女になった事は事実です。俺自身すら今は半信半疑ですが、調べれば納得の行く答えがきっと
出てきます。納得はそのときしてください!だから、理事長!」机をバン!と叩き理事長の目を見据える。
沈黙。

「わ、わかった。君が蘇芳であると認めよう」「う、うーむ……しかし。」ぶつぶつ言う橋口。

われながら凄いハッタリ&ごり押しである。しかし、そうなった以上他に説明しようが無い。
と、とにかく警察につれてかれて若くして留置所に叩き込まれる道は回避出来た。
「で、早速ですが病院に…」「あ、ああ、そうだな。取りあえず見てもらったほうがいいな……」
力無く言う理事長。「うむむむ。女化なんて…。」胸元をじろじろと見る橋口。無礼なやつだ。

……さっきから気になってたんだが……どうも灰谷と橋口の視線が俺の腫れた胸に集中してる気がする……。
特に灰谷…………。灰谷と向き合う。「あ、う。」目を泳がせたあと。「お前、本当に?」「そうだよ。
さっきからいってるじゃないか…。」胸をじっと見て。ぐわし。「えぅ!」卓哉は思わず変な声を
上げてしまった。突然ブレザーの上から両手で揉まれたのだ。「ほ、本物………?」ぐにんぐにん。
「…………や、やめんかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」灰谷は二回目のフライトに成功した。


病院に行った。恐らく本当の事を話しても学園ではハッタリと指紋で何とかなったものの、
病院では通じまい……。むしろ精神病院に行かされるだけだろうからそれはよそう。
とりあえず本当の事は言えないから人間ドックにはいった。そこでなにかあったら儲け物。
そこで話を切り出して治療法を見つけてもらおう。何も見つからなければ、いっそ性転換手術を………。
いや、駄目元でいうべきか。色々考えた。そして結論は。とりあえず日常に戻ろう………そう決めた。
とにかく、検査結果は2週間後といわれた。「なんで男物のブレザーなんて着てるの?可愛いのに。」
ともいわれた。女はこれをセクハラというのか?まあよくわからんけど。とにかく。
それまでは現状維持かな。検査が終わった頃にはもう夕方5時を回っていた。とりあえず寮に戻ろう………。

少し離れた病院だったため帰るのが7時になってしまっていた。7時は消灯時間。というか隔離時間。
今時7時なんて小学生でも寝ないぞ……。とにかく事情を知っている橋口に話を通して開けてもらった。
部屋に入ると灰谷が風呂から出てきたところだった。「よう、どうだった?」
「どうも糞もないよ。結果は2週間後。」「む、そうか。」ほこほこ湯気を立てている。
「…………………………。」灰谷が黙る。「な、なんだよ?」「そんな格好で寒くないのか?」
そういえば冬の寒空。体が冷える。女の体は冷えやすいというのは本当か…。沸いてたら入りたい。
「あーと、風呂沸かしてたの?それともシャワーだけ?」「ん?ああ、湯を張って入ったよ」
「そうか、じゃあ入るかな……」ブレザーを脱ぎながら奥の部屋に行き、タオルと着替えを用意する。

そういえばこの時からすでに、だろうか。灰谷の目が男同士の親友を見る目ではなかったのは……。

風呂に入った。まずは体を洗う。鏡の前に立ったまま改めて自分の体を見る。胸がそこそこ大きい。
足もすらりとしてる。腰がくびれている。そして…むろん無修正のアソコ。パソコンでは海外サイトで
無修正が見られるらしいが生憎、パソコンは厳禁。最初に見たのはそう、学園に入る前。
灰谷のアニキが持ってた無修正の裏本。そういえばアソコだけでなく女の裸自体アレ以来見てない。
ここはさしずめ禅寺である。で、やっと見れた裸が自分の裸。皮肉な話だ。見ても興奮しない。
それもそうだ。自分の毒で機能障害起こす河豚が何処にいるのだ。そんな他愛の無い事を考えつつ
立ったまま洗う。…………………なんか冷える。窓が半開きなのか…………?
しかし、今はシャンプー中。目を開けられそうに無い。とりあえずお湯の温度を手探りで上げて調節する。
お湯が心地よい。気持ちいい。今日はゆっくり眠れそうだ―――― ふとそんな事を思った。


灰谷はそんな卓哉の一部始終をドアの隙間からじっと伺っていた。

思春期。最も性欲が昂ぶる時期の学園での禁欲生活。灰谷には耐えられなかった。以前それで数回脱走した。
そしてH本やアダルトビデオを買い込み何食わぬ顔で帰寮。それがせめてもの「女」だった。
しかし警備は厳重で、危険を冒して買ってきた本はすぐに没収となる。そして謹慎。
それが灰谷の問題児足る由縁であった。しかしこの常時牢獄寮で謹慎とは。何の意味があるのか。
笑ってしまう。そういって繰り返した。しかし、また御用。謹慎。それを何回も。
そんな中で彼のフラストレーションはどんどん溜まっていた。と、同時に女性は神格化されていった。
どんなに恋焦がれても手の届かない存在。それには彼のルックスへのコンプレックスも手伝った。
鏡を見るたび見えるぱっとしない顔。若干太った体型。親友の卓哉は違う。スポーツ万能。中性的な
整った顔。すらりとした体型。コンプレックスだった。俺では女性は振り向いてくれないに違いない……。
そうおもっていた。益々、女性は彼の手の届かないところへ行くようだった。

そんな灰谷に卓哉は唯一の理解者ようなものだった。小学校からの腐れ縁。なんだかんだ言って
いつも俺みたいなのに付き合ってくれた、と。こいつならなんでもわかってくれる。実際そうだった。
卓哉は灰谷を拒絶しなかった。ある意味灰谷にとって心の絶対的なポジションを占めていた。しかし、
それはやはり男同士である。正直もっと親しい関係になりたいがこれ以上どうしようもないし、
まさかゲイでもあるまいし、どうしたくも、どうしたいとも思いたく無い。
しかし、今日の出来事はそれらを全て吹き飛ばしてしまったのだ。
いま、卓哉は女だ。性転換手術とかの偽者ではない。本物である。
神格化された女性と自分の心の拠り所の両方を併せ持った存在が突如目の前に現れた。
そしてなによりそれは卓哉…………恐らく"俺を受け入れてくれる"。

いや、それでもまだ、やはり男同士だから、というためらいもあった。だからそう。せめて見るだけ。
屈折している。だがそれがわからないほど彼は激しく目の前の神秘的な存在に心打たれていた。
さすがにこれを目の前にしては灰谷は居ても立ってもいられなくなったのだ。じっと見る。
たわわな胸がシャンプーの泡を弾き返す。くびれた腰がシャワーの水を纏い、怪しくくねる。
丸く小さい尻は泡を纏い、まるでクリームを載せたプリンのようだ。すらりと伸びた足は肉付きがよく
一日中頬擦りしていたいほど扇情的だ。そして、大事なところは………まだ、まだ見えない。
ここでふと卓哉がこちらに背を向ける。「………?」見えない目で蛇口を手探りで探してるみたいだ。
卓哉が腰をかがめた。尻をこちらに突き出す格好。………その時見えた。丸い尻と太股の間に
この上なく淫靡に見える、"本来見てはいけないモノ"。この時、たった今、一線を超える決意をした。
「あいつなら頼めば絶対やらせてくれる………」灰谷の頭にその言葉がこだました。


「うー、さっぱりー」卓哉が風呂から出た。寝間着のタンクトップと半ズボン。
濡れた紙をふきながら部屋に行くと灰谷はみかんをもそもそ食べながら本を読んでる。
「お、みかんじゃないか。どっからそんなもの持ってきたんだ?」「んー?今日の夕食のデザートの
残りを持ってきたんだ。ああ、そういや飯食ってないんだっけ?」「いや、飯は…バリウムかな……。」
レントゲン撮ったときのあれくらいか。「……………アホか。ほれ、やるよ。他の寮生が食べてないのを
もらってきたから。」灰谷は3つのみかんを差し出した。「おおお、サンキュー。」卓哉が喜んで受け取る。
その無防備なしぐさ。タンクトップからピンク色の先端が灰谷にはチラチラと見えた。
ふわっ、と髪の匂いもする。甘い甘い匂い。ここまで甘美な香りが地球上にいくつあるだろうか?
思わず飛び掛かりたくなるのを灰谷は必死に押さえる。決行は深夜寝静まってから………
そんな灰谷の思惑を余所に卓哉は無邪気にみかんを剥いているのであった。

そして、深夜。
2人部屋の二段ベッド。卓哉は下。灰谷は上。
灰谷が備え付けの階段を足をかけすとんとおりてくる。目はこれ以上無いほど血走っている。
これからの未知の体験とその期待に股間は最大に膨れ上がったままだ。
その視線の先には卓哉が寝ている。ぐっすりと。掛け布団を抱き枕のように丸め込んで寝ている。
艶めかしい足が窓からの月明かりで浮かび上がる。最早たまらず灰谷は卓哉に覆い被さった。
布団を剥ぎとる。ごろっと肢体が投げ出される。まだ寝ている卓哉に馬乗りになり、柔らかそうな胸に
ぐにゅ、と顔を埋め数回深呼吸。すーはーすーはー。甘美な匂い。かつてこれほどの悦楽を
味わったことがあるだろうか。繰り返す。すーはーすーはー。深呼吸しつつ顔をもぞもぞと動かしてみる。
押し返す胸の弾力が心地よい。胸の部分が涎でべっとりとなる。でも気にしない。そのとき。
「ぅ、、ぅん??」さすがに…起きる。起きたら何かが上にいた。「…………………え?」
一気に目が覚める。灰谷が胸にむしゃぶりついてるから。「!!!!!おいおいおい!何の真似だ!?」
と、灰谷の顔をぐい、と胸から押しかえし大声を出す。「……………卓哉。」灰谷が我に帰る。
「く、狂ったか!?馬鹿な真似は止せ!馬鹿!」ズザッと後ずさる。でも後ろは壁。ドン、と当たる。
「……………卓哉。」目の色がいつもと違う。……ずい。身を乗り出してきた。「お前、いつも言ってたな。
いくらなんでもここは生活に女っ気がないって。」「え?え?う、あ。」異様な雰囲気と寝起きの頭で
巧く言葉が紡ぎだせない。「なあ、そういう気持ちわかるだろ?」「なな、なにが……………??」
あとずされない。壁がある。追いつめられた卓哉は手を彼方此方にさまよわせてなにか捕まるものを捜す。
本能的な行動。その動きは滑稽であるが、もはやだれも気にしてない。「なあ、お願いがあるんだ。」
灰谷が更に詰め寄る。「い、いいから顔を近づけるな。そ、その、男同士キモちわるい、しさ。」
卓哉の顔が引き攣る。迫り来る顔を押し返す。しかし非力。気にすらしてない。さらに灰谷は顔を寄せ、
言う。「裸を、見たい。見せてくれ。」「な、なそそんなこと!」と。ガシ!灰谷が肩をつかんだ。

「えぅ!」見を縮こまらせる。「ちょっとだけ。ちょっとだけだから。」肩におかれた手がタンクトップの
裾に延びる。「や、やめろって!変だよ!こんなの!」その手を制止し抵抗をする。「いいから!
ちょっとだけ!ちょっとだけでいいから!」手につい力が入る。そして。ビリビリビリィィィ!!!
飢えた灰谷の前に鮮やかなピンク色の飾りをつけた、たわわな胸が姿を見せる。しかし卓哉は本能的に
手で胸を隠した。「じょ、冗談、きついよ、灰谷ぃ…」声が裏返り顔が引き攣る。まずい。
オートロックの密室。暗がり。二人きりのこの空気。この状況の結末が頭を過ぎる。
しかし灰谷はそんな事にかまわず。「見せて。」と語気強く、両手首をつかみ万歳をさせる。
改めて胸が灰谷の前に晒される。「あ、ちょ、おい!」「しっ。大きい声出すなよ。皆来ちゃうだろ。」
「あ、う。」なぜか卓哉はその言葉に怯んだ。寮生から体裁を守るためか。それともこの自分に対し
発情しきった古き友人をかばうためか。自分でも理解出来ない。助けを呼べばいいのに。
灰谷は万歳させたまま、何もせずにずっと胸を凝視している。怖いくらいだ。「お、おい、はいた…!!」
その時。灰谷がその胸にむしゃぶりついた。ちゅーーーーーー。「ううぅっ!ちょっ!やめっ!」
腰をくねらせ抵抗する。しかしその動きも相手の劣情を掻き立てたにすぎなかった。なおも吸い続ける。
時折べろんべろんと乳房全体を舌で嘗め回した。舌の圧力で乳房が形を歪ませるくらい激しく。
「うんん!うん!!や、やめ…」そして甘美な感覚が卓哉を襲った。今迄経験したことがない、胸の快楽。
しびれる。「うんっ!うぅぅぅぅぅぅぅ!」声が漏れる。男に舐められて感じるなんて冗談じゃない。
でも、気持ちいい。灰谷はお構い無しに乳房を嬲り続ける。時折乳首を甘噛みしたり、嘗め回したり。
「ああぅぅぅ……っ!」万歳のポーズをさせられたままずっと胸を吸われ続ける卓哉。
姿勢はいつしか壁に押し付ける形から、横たわって上にのしかけられてる状態になっている。

「っ………はぁはぁっ……………レロ、チュっ………はぁ、甘くて、美味しいよ……………ッチュ」
「ば、ばかやろぉ〜〜ぉぉ」もはやなすがまま。ずっと嘗め回され、絞り取られる。やる事といえば
声を上げ腰をくねらす事だけ。それは只、この獣のスイッチを入れてるの過ぎないのだが。

…………………何分、何十分たっただろうか。
動きが落ち着いてきた。そして最後に。右の乳房を下からレロォ〜〜っと形を歪ませながら舐め上げた。
舌がようやく離れる……離れたその舌と乳首の間に一本の涎の糸が出来た…。それは粘着質に光り、
とても淫靡に思えた。行為の第一段落が終了し、舌を出したままの灰谷とふと、目が合い。
しばし、見詰め合う。「………っはぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、………。」卓哉は何もいえなかった。
熱っぽい呼吸と潤んだ視線以外に何も返す気にならない。絞り取られた。そういうのがふさわしい。
四肢から力が抜け、手足が放り出されている。体に力が入らない。目が閉じてしまう。

しかし、獣はまだ貪欲だった。警戒してない隙を突いて、下半身に手を伸ばした。

卓哉はもはや上は裸。下の半ズボンを脱げば一糸纏わぬ姿になる。卓哉の足が持ち上げられる。
「…………ぅんっ?」肩で息をしている卓哉が落ち着き、気付いたときには手後れであった。
すばやく半ズボンがパンツごと取り払われる。「あっ、ちょっ!」慌てて足を閉じようとする。
しかし、抵抗むなしく足首をつかまれ、左右に大きく開かれた。「わ、わぁぁぁぁぁ!!」
足は全開なものの、手で隠すべきところを隠そうとする。後ろと前を。その時灰谷は笑って
「ふふ、かーわいい…………」と。「お、お前に、可愛いなんて、言われる、覚えは………!!」
大開脚の姿勢ながら抗議の声をあげ隠そうとしたとき、ひっくり返された。まんぐり返しの体勢。
「わ、わ、おい、やめ」この格好。抵抗する気は萎えてくる。胸と同様、手がどけられる。
「こ、これが女の……………」「う、ぅぅぅぅ。」後ろの穴と、自分ですらろくに見てない前の穴を
凝視されている。凄い近くで見ている。はぁはぁ、と息が叩き付けられる。


手で顔を隠す。何にもならないけど。「いっそ、殺してくれぇ……。」
恥ずかしさの余り、なんとなく口からもれる。でも……聞こえちゃいないみたいだ。
ふと、思い出した。そういえば、裸がみたいって話だった気がする。そうだ、それなら。
「な、なあ、もう、いい、だろ?」まんぐり返しの姿勢のまま腰をくねらせ
手で頭をぺちぺちと叩き、精いっぱいの愛想で言った。…………それも、きこえちゃいないみたいだ。
卓哉の大事な部分を凝視したまま、ずっとはぁはぁ言っている。「………………??」
押さえつける手の力が緩んでいる。今なら起き上がれそうだ。この体勢、早くやめたい。

足を横に投げだそうとしたその時。グリグリグリッ!!灰谷の顔のある股間から電流が走った。
「あうっ!あああああああっぁ!!」大事なところに舌が押し付けられている。
あの突起のとこ。オシッコの穴。あと……膣口。「うぁぁぁああああん!!」凄い舌圧で嬲られる。
股が熱い。じんじん痺れる。その刺激に反射的に足を強く閉じてしまう。しかしそれは灰谷を
迎え入れていることになる。「うぁぁあああんんっん!!」さらに強く腿を閉じる。
灰谷が股に顔を埋め込んだまま横に倒れる。それでも突起と尿道と膣口を執拗に嬲り続ける。
「きゃふぅぅぅぅぅぅうううううっっうう!!」股に灰谷を迎え入れたまま腰をくねらせ、悶える。
そして、波が来た。
「あっ!?あっあぁあ!?あぁぁぁぁ!??」本能的に。アソコを灰谷にぐいぐい押し付けて腰を
艶めかしくくねらせ、手でも灰谷の頭を掴んでアソコに押し付けてる。気持ちいい!気持ちいい!
なにかを察知したのか灰谷も強く激しく嬲ってくる。ぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐり。
体の中の波はもっと激しくなってきている。腰の動きが激しくなる。灰谷の顔を窒息させそうなほど
強く腿で締めてしまう。きもちいい!!きもちいい!!きもちいい!!きもちいい!!
「ああああああああああああああああああああああんんんんんん!!!!」

「―――――――――――――――――!!!!!!!!!!」白目を剥いて舌を突きだし痙攣する。
ぐっと背をのけぞらせ、灰谷の顔に水飛沫を浴びせる。


数秒後。
「………………………………っっっっはぁ、っはぁっ、はぁっ、はぁっ」息も絶え絶えに呼吸する。
頭が回らない。体に力が入らない。俺は何をして、何があったんだろう。とすら思う。
ただ波が全身を駆け巡っている。ふと目をやる。アイツは…………?うつろな目で下を見る。
あいつは……………もう起き上がっている?まだなにかする気かなあ…………?もう、いい。

その時、足が持ち上げられる。「……………………ぅんっ?」もう、いいって…………。
しかし体に力が入らない。なすがまま。まだアソコとか見てるのか………?
仰向けにされ足を大きく開かされる。それでもこの脱力感が抵抗する気力を奪っていく。
「はぁっ………はぁっ………はぁっ………はぁっ…………はぁっ…………ううん?」
なにかがアソコにあてがわれた。何だろう?熱い指のような…………?いや、もっと大きな………?

はた、と思う。アソコにあてがう熱くて太いもの………………????
脳が高速で回り始める。凄い嫌な予感。このままではいけない。
目をやり、確かめる。それははっきり見えた。

アソコに、灰谷が、ペ○スを、いれようとしている。

体に力が入る。火事場の馬鹿力とはこの事。身を翻した。
「だっっっ!!!そ、それだけは駄目だって!!」四つんばいでベッドから這い出し逃げようとする。
しかし、灰谷は。「今更何言ってるんだよ!ホラ!」腰を両手でがしっと掴まれベッドに引き戻される。
いや、ベッドというより灰谷の腰に引き寄せられる。「や、止め…」腰をがっちり掴まれてるから
逃げられない。手が、足が空回りする。

「力抜けよ………………んっ!」その合図で。
ミシッ。体の奥に響いた。「っっっっっっっっっっっっっっぎっっっっっっっっっっっっ!!!!」
股が割られる。痛い!!痛い!!!痛い!!!!痛い!!!!!!
「んっ!!」「うぐぅぅぅぅっっっっ!!!!!!!」痛い!熱い!焼ける!
シーツをきつく、破れんばかりに握り締める。それで痛みは和らぐはずも無く。
「ぁぁぁぁぁぁ、これが女の……………………」「ぬ、抜いてぇぇ……………」やっと声を絞り出す。
でも聞こえていない。灰谷はがむしゃらに腰を振った。ぺース配分も何も無い。

パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン!!!!
「ぅぅぅぅぅぅぅうううううううううう!!!!!!!!!!」内臓をかき回されてるような。
「ああ、気持ちいい…………!凄いよ………卓哉……………!!」「いっっつっっあっ!!」
灰谷はなおも激しく腰を振る。初めての女体の味で心身共に高揚状態なのだろう。
そのストロークの速度は全くおとろえない。………卓哉にとっては苦痛以外の何者でもないが。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ!」「ううああああああああぅぅぅぅぅ!!!」
痛みから逃れようと、前にずれる。でも。灰谷は卓哉の腰をつかみすぐに自分の所に引き戻す。
それでも痛みから逃げようと前にずれる。灰谷に腰を掴まれてるから引き戻される。
この繰り返し。逃げては引き戻され逃げては引き戻され。
「はぁはぁはぁはぁはぁはぁ!!」「うぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
この繰り返しが何時まで続くんだろうと思ったその時。
「うぁ!!」灰谷が腰を卓哉の腰に思い切り叩き込んだ。「いぎっ!!!」その姿勢で押し付けたまま
プルプルと震えている。中だし、されている。随分長い間。しかし、卓哉は中だしされた事よりも
早く終わってくれた事が嬉しかった。しばらくして灰谷がペニ○を抜く。するとピンク色の液体がどろりと
こぼれる。「(はぁ、これでやっと…………)」
股から精液をダラダラとだらしなく垂らしながら四つんばいのままベッドを降りようとする。

しかし。
またも腰を掴まれ、引き戻される。「え?」振り向く卓哉。「俺、まだできるから。もうちょっと
やらせてよ。」股間を見ると、全く衰える気配の無いような剛直が天を向いている。
「そ、そんな、もう無理……………」「大丈夫だよ。たまに股間に力入れてくれればいいだけだから。」
有無を言わさず今度は仰向けにひっくり返し、卓哉のばたばた暴れる足を大きく広げて………挿入した。
「ぐぅっっっ!!」「ああああぁぁ…………最高だよ卓哉………………」両足首をつかみ大開脚させて
卓哉の腰をガンガン突き上げた。「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」ズッズッズッ!
「う!う!う!う!う!あ!う!あ!あ!」痛みは最初ほどではないものの、それでも脳髄まで痺れる
ような激痛が卓哉を襲う。掴んでいるシーツが痛々しい。「はぁ、はぁ、ほ、ほら、もっと締めて!!」
そういって右手で乳首をグニ、とつねる。「あああぅぅぅ!!」反射的に締めてしまう。
「く!お、そうそう、その調子……すっごい気持ちいいよ………」パンパンパンパン!!!
ズンズンと膣の奥が押し上げられる。「うう、ああぅぅぅぅくううう!!!」早く………終わって…!!
「あ、いきそ…………………くぅ!!」ズン!また最奥で止める。そして射精。「いっっっ!!!」
子宮を思い切り押し上げられた卓哉が悲鳴を上げる。「ふっ……くっ………。」長い放出時間。
漸く終わったのか、抜く。今度はピンクじゃなく殆ど白の体液がこぼれてきた。
その様子を灰谷は大開脚させて喜んで見ていたが、足を閉じて恥じらおうにも
もはや倦怠感と脱力感しかない。

そして。
「さてもっかいやろう。」「え………も、もう、無理……………」
「大丈夫だって。ほら、いくよー。……んっ」「くぅうううう!!!」

その夜、少なくとも卓哉が覚えていたのは5回までですたとさ。

ちゃんちゃん。




(読む前に注意。「"……"」となっているのは灰谷の抽象的な呼び名で、
 どんな場合でも灰谷を指します。例。"豚汁"=灰谷)

チュンチュンチュン………

鳥の声が聞こえる。うつぶせの状態。うつろな意識の中、卓哉は首を少し上げて目を開ける。
ベッドの向かいの窓から射す太陽の光が目に入り、眩しさに顔を再び枕に、ぼふ、と埋める。
そうしているうちにゆっくりと意識がはっきりとしてくる。
「………………!!」
昨日の出来事。朝、女になってて。呼び出されて。病院に行って。そして…………
鮮明に思い出した。望まぬ初体験。童貞だったのに、「破瓜」。しかも初相手は…男。
そしてその男は小学校からの腐れ縁、灰谷。灰谷に何回も子宮を突かれ。何回も精液を胎内に吐き出され。
その記憶が卓哉の心をノコギリで引っかいたように乱す。
枕に顔を埋めたまま顔を激しくしかめる。なんてこと………気分が重く沈む。
そういえば股間も、身をよじったりシーツとこすれる度ひりひり痛む。まだ何か挟まってる感じ。

………………は!俺の体!
そういえば昨日の病院帰り思った事。その時からずっと考えていた一つの可能性。
朝起きたら突然女になってたんだから、その逆もありうるかも、という事。

バッ!と掛けられた布団をはいで、体を見る。裸だ。昨日のまま。そして。
………………見下ろす形で見える大きな胸。がっくり。うなだれる。
このまま元に戻れないのかも………嫌な考えが頭を過ぎる。
おでこを手でペンペンと叩く。止めよう。何とかなる。何とかするさ…………。そう言い聞かせた。



掛けられた布団にふと気付く。昨日は………犯されている最中に気を失った………はず。
5回目の最中までしか良く覚えてないが。その時も自分で掛けてはいないし……灰谷が掛けてくれたのか。

そうだ………灰谷は?きょろきょろと部屋を見渡す。
部屋奥の大きめの窓。その横に並んだ2つの机。俺と灰谷の。さらに視点を横に動かす。
ドアの無い入り口の先の部屋。隣の部屋は居間と台所。

寮なのに居間と台所?と思うかもしれない。
他の部屋はもちろんそうだ。風呂と冷蔵庫なら他の部屋にもあるけども。豪華なのはお坊ちゃま学校ゆえ。
実はこの部屋、元宿直室。最上階の五階の隅に設けられた部屋で、ここで生徒を見張るわけだった。
でも一括して一方的にオートロックするシステムを導入してからその必要はなくなった。
で、空いたその部屋を生徒に使わせてると。さすがにガスは止められコンロも無いが。

まあいい。で、その横の廊下。先は死角で見えないが、脇に風呂場兼トイレがあり、その先は玄関がある。
ここまで見渡しても姿は見えない。上のベッドに要る気配も無いし……風呂かな?
まあ、顔を見てどうするというわけでもない。むしろ気まずいというか、今は見たくない。

……と、とりあえず何か着よう。タンクトップは破られたし……………。
ベッドの横に足を下ろし、立ち上がろうとした。そのとき。股間にドロリ、という感触。
「…………?」と立ち上がり股間を見やる。白い液体が膣口からドロドロと垂れてきている。
「……………ぅ。」生々しい。赤く腫れ上がったアソコの中心から白い液体が次々と溢れる。
ぽたっ。ぽたっ。すらりとした太股の内側を伝い、膝で雫となって床に点々とたれていく。
昨日の光景が頭に浮かぶ。腰を目いっぱい押し込んで胎内に精を吐き出す灰谷。…どす黒い感情が湧く。
……取り合えず拭こう。このままじゃ下着も捌けない。枕元のティッシュ箱から2、3枚抜き取り
足を開き、腰をかがめて精液の溢れるアソコを拭く。がさがさ。………実に惨めだ。
…………灰谷め。どうしてくれよう。がさがさ。ぐりぐり。ひりひり痛むが拭かないわけにもいかない。



と、ふと今迄寝ていたシーツに目を見やる。寝ていたところ、丁度股間のあった辺りが黒い赤の色で、
湿ってしわしわになっている。愛液と血と精液だろう。灰谷のよだれもあるかもしれない。
「………………。」何で俺のベッドがこんなに汚されてるんだ。もとはといえば奴が………。
恨みは募るばかりだ。…………がさがさ、くちゃくちゃ。垂れてくる精液の量が多い。ティッシュが
濡れきって拭ききれない。もう二、三枚ティッシュを抜き取り、拭く。がさがさ。ぐりぐり。がさがさ。
………ようやく精液が垂れてこなくなった。拭き終えたか。ティッシュを丸めくずかごにほうり込む。
しかしなんて量だ。こんなきったないもんをこんなに………。何処までも恨みが貯まる。
とりあえず風呂に入りたい。体を清めねば。ああ、でも多分風呂にはあの獣が………。どうしようか悩む。

と、そのとき浴室のドアを開く音、廊下を歩く足音がした。目をやる。と、灰谷が姿を見せた。
風呂あがりなのかトランクス一丁で頭にバスタオルをかぶり濡れた頭を拭きながら。
と、全裸で立っている俺に気付いた。目が合う。と、「お、起きたか卓哉。おはよう♪」
普通に。片手を上げて。風呂上がりも手伝って顔は赤く、昨日の行為で蓄積したフラストレーションが
ふきとんだのか、実につやつやとしている。いい顔だ。ニカっとナイススマイル。

それを見て、切れた。
「お、おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」さっきの悩みは何処へやら一直線に駆け寄り
顔面に跳びげりを叩き込む。奴に全部丸見えだろうが知った事ではない。この豚は今死ぬのだから。


……………俺は堅実な男だ。女か。いや、そんな言葉遊びはいいのだ。
殺しては元に戻る以前に刑務所行きだ。豚1匹の屠殺で人生が終わるのは避けたい。
鼻血の染みたティッシュを鼻の両穴に挿し込み、片目に青タンを作り正座した"豚骨"に、食堂に行って
飯を食ってくるように、それと俺の分の食事を取ってくるよう命じた。その間に風呂に入る。
命じると同時に"豚レバー"の首根っこをつかみ、起床時間が過ぎて鍵の解除されたドアを開け放ち
"ポーク"を蹴飛ばして追い出した。閉める前にティーシャツとズボンも投げつけてやった。
裸で行かせて寮内ストリーキングプレイもよかったのだが、俺もつくづく甘い。
あ、全裸でドアの外に乗り出してしまった。ま、五階の隅の部屋だし誰にもみえまい。

"家畜"を追い出したらさっさと風呂に入りボディーシャンプーを通常の3倍の速さ……量をスポンジに
ぶっ掛け、ぐわしぐわし!と体を磨く。まず胸。昨日、灰谷の唾液にまみれたままだ。ぐわしぐわし!
念入りに。形の良い胸が激しく歪む。少し痛いが清めるためだ。我慢しよう。がしがしがしがし!!

大体洗いおわっただろうか。次。ひりひりするアソコ。最もアレな所。「ぅーん……………ょし。」
ぐわし!「いでっ……つぅぅ……!!!」股間を押さえうずくまる。アホだ。

…………ここばかりは手洗いで。と、手にボディーシャンプーを出し数回手を擦り泡立てた後、
しゃがんだ姿勢でまず上下に手のひらで表面を洗う。無毛のそこを。ぬるぬるくちゃくちゃ。
そういえば………何で毛が生えてないんだろう?………まあ生えていてもしょうがないが。
「(うーん、第二次性徴とかすっ飛ばしたからなあ……。)」呑気な事を考える。


ぬるくちゃぬるくちゃ。少しひりひりするがそれほど痛いって程でもない。続ける。
ぬるぬるくちゃくちゃ。手と、突起部分が擦れる。その時。………じん。「…………………?」
くちゃ、ぬちゃくちゃ、ぬちゃ。少し強めに擦る。突起部分も。「……………………。」
ふと、その度に、じん、じん、と甘い痺れが股間に広がるのを感じる。「………む。」
くちゃくちゃくちゃ。じん、じん、じん。「んふ…………。」吐息がもれる。こ、これはなかなか……。
少し強く、早く擦る。くちゃくちゃくちゃくちゃにちゃ………………。じん、じん、じん、じん………
「ん…………ふぅ……くんぅ………。」恍惚とした表情で。くちゃくちゃにちゃにちゃ。
愛液がトロトロと流れ出て来る。膣についた精液を押し流しながら。くちゅくちゃくちゃくちゃ。
そうすると流れ出た精液も一緒にアソコに塗りたくるようになる。くちゃくちゃ。しかし、気付かない。
そうして愛液も手伝い、音はさらに淫靡になる。ぐちゃぐちゃにっちゃにっちゃ。「ふう、ふう…んは…。」
止まらない。昨日の激痛地獄の反動も手伝ってか、つい降って沸いた快楽に酔う。くちゃ…くちゃ…。
片方の手も自然に胸に行く。そして泡でヌルヌルのマシュマロのように柔らかい胸を揉みしだく。
整った胸がまた歪む。ヌルヌルほよほよ。今迄経験した事のない触りごこち。さらに揉む。
ぬるぬるぐにんぐにん。先端は次第に固くなっていく。くちゃくちゃぐにぐにコリコリ。甘い痺れが
股間と胸からやってくる。「んはぁ……………んふ………くぅ………。」目的を忘れ一心不乱に擦る。
くちゃにちゃくちゃ…むにむにこりこり…「ふう、ふぅ、………はぁっ………。」たまらない。
脳が痺れる。くっちゃくっちゃくっちゃくっちゃ………「はぁ、はあ、はぁ、はぁ、…んふ……」
次第に腰が突き出されていく。上半身は後ろにのけぞり、たわわな胸が自己主張するようだ。
手の動きに合わせて腰をくねくねと轟かせ、擦る。より強く。大きな音を立てて。


ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ!!!!股間が激しく泡立つ。それは新たに分泌された水分も
手伝っている。「はふ、はふ、はう、はぁ、んっ、はぁ、はぁ、んっ、くっ、ひはっ」ぐちゃびちゃにちゃ!
じんじんが強くなってくる。それしか考えられなくなる。突起が気持ちいい。そこに円を書くように
グリグリとつぶし、擦る。しびれる。腰が浮くよう。ぐっちゃぐっちゃぐっちゃぐっちゃぐっちゃ!
凄い水音。でももはや耳に入らない。もっと!もっと気持ち良く!そう願い、手に強く密着させようと
腰を目いっぱい突き出す。その時バランスが崩れ、尻餅をついてしまう。でも、止まらない。
楽な体勢になった、くらいにしか感じなかった。今はただ快楽を。びちゃびちゃびちゃびちゃ!!!
仰向けに横たわり、激しく身をよじりながら、片手はたわわな胸の先をぐりぐりぐりぐり。
片方の手は股間を強く強く擦る。びちゃびちゃびちゃびちゃ!もっと!もっと!もっと!
「はぁぁ、はぁぁぁぁ、ひぃ、はぁ、ぁはぁぁんぅ!」………そして、波が来る。
最後。
股間に伸びた手で思い切り突起を、思い切り、グリ、とつねる。胸にある片方の手は胸の突起をつねった。
その瞬間。

「ひぃぐぅっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

爆発した。足は大きく開かれ、股間は思い切り高く突き上げられ、体はアーチ状に反る。そして痙攣。
上を向いた、たわわな胸は痙攣に合わせてぷるぷると揺れた。股間からはオシッコのように潮がダラダラと
タイルに垂れる。滝のように大量に。初めての女体の自慰行為。それでも卓哉は激しくイってしまった。

数秒経過。
「――――――――――――――――――っっっ………………っはぁっはぁっはぁっはぁっ……」
全身の力を抜く。くたっ、と転がる。ぺたん、とお尻が落ちる。はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。
肩で息をする。腰がぴくぴく痙攣する、股間からは白く泡立ち濁ったような粘液がとろとろと湧いている。
「はふぅ、はふぅ、はふぅ、はふぅ、はふぅ…………すぅーー……はぁーー……」
深呼吸。体はまだあまり力が入らないものの、さっきよりましになる。
男のそれとは違う。体にめぐる波。今はそれにただ身を任せるのみ。


…………ふと寝たまま横の鏡を見やる。泡だらけでタイルに横たわり、恍惚とした表情の女の子。
一気に我に帰る。「っ………!な、なにを、俺、は……。」手をさっと股間から放す。
離れた手と泡まみれのアソコの間に粘性の糸が数本、つつー、と引く。体に鞭打ち、何とか上半身を起こす。
「い、いかん、こんなことしてる場合では………。」紅潮した顔をぶんぶんと振る。

とにかく灰谷が帰ってくる前に終えないと。裸で鉢合わせてうっかり発情させてしまっては、
また貞操の危機が。と、とにかく次を洗おう。今度は膣内を直接。頑張ってふら付く足でまたしゃがみ、
そっと指を入れはじめる。「いっっ!!」さすがに痛い。狭い穴。今の愛液もあるとは言え、指一本がやっと。
「(………あの野郎、こんな狭いとこにあんなふっといのを………。)」思い出し怒りをしつつ、
狭くきつい痛みが走る秘口にゆっくりゆっくり細い指をじわじわと侵入させる。きつい。
指をぎゅうぎゅう締め付けてしまう。指先に血がいかなくなるほど強く。締め付けたくないんだけど……。
しかし、そうするとより密着して、より強く擦れてしまう。痛い。傷口に塩を塗り込まれてる感じ。
ソープが染みるのもあるだろう。だがまさか洗わずにそのままというわけにもいかない。
我慢してようやく奥まで指を到達させる。そしてゆっくりゆっくり戻し、抜く。「……はぁっ」
その指にまたソープをつけ、入れる。それを数回。「んぐぅ………くぅぅ……っっ!!」じくじくと痛む。
くちゃ………にちゃ………先ほどの行為の愛液も手伝って音が浴室中に響く。しかし痛くて気に出来ない。
歯を食いしばり、端正な顔が歪められる。でも……数回が限界だ。指を抜く。「んく……いちち……ぅぅ。」
今の痛みでだいぶオーガズムの余韻も冷め、感覚も完全に戻ってきた。よし。急ごう。


後はシャワーの水で洗おう。シャワーをつっかけからとり、しゃがんだまま股間の下に持っていき、
蛇口を上向きに。そして、開いたもう片方の手で、こわごわ栓をひねる。
最初は弱く。きゅっ。しゃーーーーーーー。「!!!!……………あり?」水圧の痛みに覚悟して
身構えたものの、水は入り口をマッサージするくらいの勢いしかない。「……………むぅぅ」
シャワーの勢いを見て顔をしかめる。やはり………やるしかないか。最大。………栓を再度握る。
「………うし……。」気合いを入れ、覚悟を決める。泡だらけでしゃがんで、その股間の真下に
シャワーを持って気合いを入れるその姿は実に滑稽だ。………本人には解るはずが無いが。

「ん!」一気にひねる。しゃーーーーーーー!勢い良く赤く腫れたアソコを水が叩く。
「!!!!!…………く…んむ……ぅ。」殆ど痛くなかった。膣口の部分はちょっとは痛いけども。
栓を握っていた手を股間に移し、中指と人差し指でアソコを広げ、奥まで水を導く。
じゃーーーーーーーーーーー。「いちちちち…………。」ひりひり痛むが別段、耐えられないほどじゃない。
奥の子宮に暖かい湯が注ぐ。腰を少しくねくねとくねらせ、子宮の隅まで水を行き渡らせようとする。
まあ、子宮口は小さいからそう水は行かず、殆ど意味は無いが、本人には解るまい。
じゃーーー。逆流してきた水は少し濁っていた。子宮にはまだ相当精液がこびりついてたらしい。
「な、なんて量…………。」あきれた。さっき拭いた量、シーツに垂れた量。さっきの自慰で
押し流された分の量もだ………。…………想像したくない。止めよう。しかし、昨日何回やったのか……。
把握している5回よりももっと?気絶した後も犯られていたのだろうか。それぐらいの量。

想像する。
失神して体を投げ出してる自分の体にまだ張り付きガクガクと腰を振り、何回も射精を繰り返す灰谷を。
そして思う。…………ストリーキングさせるべきだった………。卓哉はうなだれて、深く深く後悔した。



しゃーーーーーー。1分程度くらい続けたら逆流する水が濁らなくなった。栓をひねり、止める。
シャワーを立てかけ、立ち上がる。と。ちょぽちょぽ…………。子宮の中に入った水が逆流してくる。
オシッコみたいだ。しかし、体の内側に水が直接入るなんて………なんとも女とは不思議なものである。
まあ、いい。とにかく、汚されたところは清まった。あとは残ったところを洗うだけ。

手早く髪を洗う。早くしないと帰ってきてしまう。ガシガシガシ!!
すすぐ。じゃーーーーーーー。長い髪は面倒だ。うーむ、リンスもするべきか……。
住んでる2人してろくに使ってないリンスのボトルを手に長考する。まあ、ぼさぼさは嫌だし……。
性別に関係無く格好はつけたい。そんなわけでリンスも使った。がしがしがし!「(泡立たない……?)」
………そういう物だというのをよく知らない卓哉であった。大体、髪を撫でるようにするべきだが
短髪、長くても軽い五分わけにしかしたことがなく、リンスなんて使ったことのない卓哉には知る由も無い。
じゃーーーーーー。泡を洗い流す。「うし。完了。」両腕で胸をかぽんと叩く。親父か。
しかし音はむにゅん、だが。「女って悲しい………」呑気な事をいいながら体を拭きつつ上がろうとする。
………そのときふと何の気無しに鏡を見やる。卓哉の全身が写っている。

………何か違う。昨日のと違う。「………………????」微妙に感じる違和感。じろじろ。
顔だろうか?いや、違う、なんかこう、全身の均一性というか………。はて………。
しげしげと鏡に映る自分を見る。「……………え?」……気付いた。「…………!!」
胸をぐわし、と掴む。明らかに大きい。気付かなかったが、なんか重い。「……………なんてこと………。」
卓哉は青ざめた。起きたら男に戻ってるどころか、女の道を突き進んでいた。一体どうなっているのか。
女として理想的な体型になろうとしているのだろうか?その内、生理とかはじまったりするんだろうか?
「……………………。」胸を掴んで鏡に映る自分を見つめ、しばし考え込む。


と。がちゃ。灰谷が帰ってきた。我に返り、現実に引き戻される。「……………!!まずい!!」
着替えを浴室内に持ってくるのを忘れてた。いかん、このまま出るわけにはいかない。
さっきは勢いでよかったが、むやみに裸を見せて奴を刺激するのは得策ではない………!!!

「………………。」…………ならば解決方法は一つ。

「はぁ、卓哉……持ってきたよ。居間に置いとくよ。」"ターゲット"の声だ。今は発情はしてないらしいが
油断は禁物だ。すざっ!ドアの脇にの壁に張り付く。ぶるん。動きに合わせて大きな乳がゆれる。
トン、トン、トン……足音が奥へ向かう。「(今だ……!)」バスタオルを体に巻き付け、
音を立てないように浴室のドアを開ける。首を出して様子を伺う。居間に入っていく。
「(……!よし!)」ここから先は一気に行く。
躊躇うと殺られる。いや、犯られる。さっ!と風呂場を飛び出し居間に向かって足音を立てずに、しかし
高速で足を進める。トトトトトトトト!!居間を覗く。"ターゲット"がテーブルにトレイを置いた瞬間だ。

「(好機!!)」 ドン! 一気に間合いを詰める! "ターゲット"が気配に気付き振り向こうとしてる!

「(甘い!)」 俺の方が早い! 一気に決めるぜ! しかしバスタオルがはだける!
 いや気にしてたら殺ら、犯られる! かまわず助走をつけ一気に!

「オォォラァァァァァァァァァァァ!!!!!!」思い切り"ターゲット"の横っ面に廻し蹴りを叩き込んだ!
ズドォォォォォン!! 「ぁびょ!!!」 奴の体がピンポン玉のように弾かれる。

会心の一撃。弾かれた"ターゲット"は、その勢いで台所のシンクにも頭をゴン!とぶつけた。

ずる……ぱたり。やつの巨体(180cm)が台所の床に沈んだ。「ふぅ…………。」落ちたバスタオルを掴み、
再び体に纏う。そっと近づき、バスタオルを胸の辺りで持ち、ずれないようにしつつ足を恐る恐る延ばしチョン、
とひっくり返す。………ごろり。……幸せそうな顔で伸びている。「……そうか…やはり見たのか…。」
死の間際ですらしっかりと発揮されるその人並み外れたスケベ根性。やはりこいつは危険だ………。


………もくもくもく。上下共にジャージという、わざと色気の無い服に着替えてから、
持ってきた食事を食べる。目の前には意識を取り戻した"家畜人ヤプー"が酷い顔をして座っている。
「…………また今日は一段と醜いな。」「だ、誰のせいか!」ドン! テーブルに手を突き、詰め寄る。
「……………………。」ぴし。ハンバーグの上のグリーンピースを指で掴み、顔に投げつける。
「近づくんじゃない。変態。ホモ。ゲイ。」「げ、ゲイとホモは一緒では………。」
………もくもくもく。無視して食べる事に集中する。いや、答えようにもゲイとホモの区別なんて知らんが。
「………………。」「………………。」もくもくもく。静寂。目の前の"丸い知的生命体"は居心地が
悪そうにチラチラと見やる。が、無視。「………………。」「………………。」もくもくもくもくもく。
卓哉の咀嚼音しかしない。続く無音状態。

…………耐え切れず"豚バラ肉"が口を開く。「な、なぁ、卓哉…………。」
「誰が発言権を与えたのだ。この歩く産業廃棄物め。」ぴし。またグリーンピースを顔に投げつける。
「うぅ…人ですらなくなった…………機嫌なおしてくれよぅ………。」ムカッ!その言葉で一気に
頭に血が上る。ドバン!机を叩き椅子をひっくり返し立ち上がる。ビクッ!灰谷が怯み脅えた目をよこす。
「お前は!どの面下げてそんな言葉を!」咀嚼中だったものを撒き散らしながら怒鳴る。
「だ、だって、卓哉が、卓哉が、そのぉ……あんまり……可愛いから我慢出来なくて………その………。」
「我慢出来なかったんだから許せと!?じゃあお前はゲイに思い切りケツ掘られても
我慢出来なかったんならしょうがないやあっはっはで済ますのかこの腐った豚足が!」箸を投げつけ
女特有の高い声で怒鳴り散らす。「ぅぅぅ……っご、ごめん………!」萎縮する灰谷。

ぜいぜい……………。肩で息をする。いかん、冷静にならねば。
はて…………外でざわざわ声がする。………そうか。ここは男子校の男子寮。
普段は女の金切り声が聞こえるはず無いしな……。騒ぐのはよそう。というか、
こいつにはまだまだいい足りないが、騒ぎになるのはマズイ。「…………………はぁ…ふぅ。」深呼吸。
それに合わせて大きな胸がプルンと揺れる。よし、落ち着いたぞ。しかし、それを見逃さない灰谷。
「卓哉………その、胸………。」一日のうちに見分けるか。「く………もういい。それ戻してきてくれ。」
まだ少し食事の残ったトレイを指して言う。「え、いや、コレはもう返せないし、そこのごみ箱に………」

実は寮の食堂から食事を持ち出すのは厳禁である。それを卓哉はわかっていて持ってこさせた。
それにこの姿で廊下に出られないし。というか、腹いせでやらせた意味合いが強いが………。それはまあ
いいとして。さて、もう少し苦労してもらわねば。「駄目だよ。もったいない。きちんと戻してこい。」
灰谷がうろたえる。「そ、無理だよ。今度規則破ったって問題起こしたら次は停学になっちゃうし……。」
「自業自得ではないか。」フン、と鼻で笑う。「うぅぅ。」苦虫を噛み潰した顔をする。
「まぁ………大丈夫だって。それも許してもらえるさ」俯いていた灰谷が顔を上げる。「え……………?」
なんで?と目で訴えてくる。ふふん。昔から、死ねばなんとやら、というじゃないか…………。

「その場で、腹切れ。」
「嫌だよ!」
「うるせえ!お前は少し削ぎ落とした方がいいんだよ!」
「削ぎ落としてないじゃん!内臓イっちゃってるじゃん!」
「俺が痛くないように介錯してやるから!いやむしろお前が腹を切る前に介錯してやるから!」
「駄目じゃん!それ腹切りじゃないじゃん!ただの断頭処刑じゃん!」
「うるせえ!喚いてないでさっさと………!」

馬鹿な口論してるその時、玄関の方で電子音が聞こえた。内線の呼び出し音。


「ち、命拾いしやがって………。」吐き捨てるようにいって居間の入り口壁にある電話を取りに行く。
「何も問題解決してないし…………。」泣き言が聞こえるが無視。レイプ魔にかける情はない。
ガチャ。「はい。554号室です。」この部屋の番号。「………あ……担任の斎藤だが、蘇芳か?」
………担任の斎藤先生。なんというか、普通のひと。七三分けでぱっとしないし、普通に真面目。
……他にいう事はないな…………。まあそういう人。

「はい。そうです。……先生は俺の事、聞いてます?」
少しの間の後「あ、ああ、理事長から聞かされて……。職員の間ではもう話題だよ……。
それより、その声、まさか、やっぱり?」……やはり、声を聞いて改めて面食らっているらしい。
「はい。…………残念ながら。それより、なにか用では?」「あ、ああ、これからのお前の生活だが…。
どうするんだ?」?漠然とどうすると言われても困る。眉間にしわを寄せる。
「どうする,といいますと?」「ああ、お前、その姿じゃあ学園生活送りづらいだろうし……。
生徒の人目につくのもまずかろうし…。男が女性化なんて大騒ぎになるだろうし……。」

そういえばそういうの考えてなかった。とりあえず昨日のドックの結果は2周間後ってことで
すっぱり考えるのを止めていたような……。「うーーーーーーーーーーん。」
受話器を耳に当てたまま考え込む。「す、蘇芳?どうした?」うーーーーーーーーーん。

2週間後結果を教えてもらうとする。そのあとは?
……もし、結果が「普通ありえないへんなのがありました」だったとする。
その後さっさと直るわけじゃない。色んな検査して。投薬して。時間がかかるはずだ。
………というか、軽く「病気だ」→「病院行って直してもらおう」って考えたが、
これ、投薬だの手術だのでどうこう出来るのか………?顔をしかめてもう片方の手で胸をぽよん、と叩く。
第一、こんな奇天烈な病気、さあ治しましょうといっても通院治療ですむとは思えない。
まあ、数年間入院したり、研究所行かされたり……。その時学園の勉強はどうするんだ?
留年はいやだし。しかも復数年の留年……冗談じゃない。

「あの、先生、もし病院行って入院したとしても出席くれます………?その、病院で勉強したり。」
こわごわ聞いてみる。
「あ、ああ、それはちょっと無理だし、この学園の規則でな…2留以上は文句無く退学になるってのが…。」
「……………………。」1留でも嫌なのに、退学か……。「…………蘇芳?」受話器から声が響く。
しかし、意識は別へ向いてる。「……………。」思考にふける。
治療となると結構な年月を費やすのは間違い無い。病気というのはまず仕組みを調べて、それから
治療法を模索する。とても1年2年じゃ効かないだろう。留年も退学も嫌だ。とすると。

……………じゃあ、これはどうだろう。
在学中は治療を受けずに女でいい。戻るのは社会人になってから。まあ、そうするしかない、かな?
俺としてもすぐ治したい。しかし現実問題としてそれは不可能っぽい。ここはよりベターな選択を……。
頭がぐるぐると回る。ぐるぐる。ぐるぐる。しばらく時間が過ぎる。そして………決まった。

なにも焦って戻す必要は無い。やる事やってから治そう。別にもうすぐ死ぬってわけじゃなかろうし。
よし……そう告げよう。「…先生、俺、授業受けます。生活、続けます。」電話先で息を飲む声が聞こえる。
「お、おい、大丈夫なのか?色々と問題があると思うし。騒ぎになったら居辛いだろう?
誰かが言いふらしてマスコミとか来ちゃったりとか…………?」

ふむ………誰かが園外に言いふらす図を思い浮かべる。
誰かA「おい!聞いてくれよ!うちの学校、男から女になった奴が居るんだ!」
誰かB「へー、性転換手術とか?最近あったよね、性同一性障害の競艇選手だったか……」
誰かA「違くて!朝起きたら女になってたんだって!実際女だったし!すげえだろ!」
誰かB「( ´_ゝ`)………………。」

うん。「先生。何も、問題は、ありません。」一語一句、はっきりと告げた。

「う、そ、そうか?で、でもそれにここは男子校だし、いっそ他の学校に移るとか………。」
もごもごと返答が返ってくる。しかしこの学園を辞めるわけにはいけない。
何故か。それには訳がある。実はここはエスカレーター式の超難関校。この先の大学も日本で1、2の大学。
せっかく苦労の末、合格を勝ち取り、将来が約束されたというに、こんな訳の解らん病気の所為で転落なんて
冗談じゃない。何とか説得して残らねば!

説得…………しかしどうやって………? …………いや、ここは得意のごり押ししか!

「先生。俺は、男です。」また一語一句はっきりと告げた。
「え、な、お前、だって、女になって」………混乱している様子。そりゃそうだ。女の声で男ですなんて。
でももはや一歩もひけない。この煮え切らない先生を無理矢理説き伏せるしか、ない。
「先生。ここに受かったのは、俺が男だからです。だから俺は、男です。」引けない。引いてはいけない。
「う、そう、なん、だが。…で、でも今は」「先生、俺は男です。戸籍もそれを証明してます。
何も、問題は、ありません」「う、まあ、そう、かもしれんがしかし……………。」

沈黙。でもこちらからは何も言わない。相手の出方をじっと待つ。俺は男として生まれた。それは事実だ。
しかしそれで充分。なにも問題はない………はず。

しばらく後…………「そ、そうだな。わかった。生活を続けなさい。」

ほっ。言ってみるものだ………。
「だ、だがいいか?くれぐれも目立つ行動は避けてくれよ。学園の風紀が乱れるような事になっては…。」
「承知してます。俺も目立つのは嫌ですし、影の方でこそこそやってますから心配しないで下さい。」
「う、うん。そうか、それならいいんだ。じゃあ………。」「……はい。何かありましたら後程。」

ガチャ。
話はまとまったし、今の電話でやる事は決まった。今迄通り、生活するしかない。
検査の結果がどうあろうとも、しばらく女で通すほかない。そうときまれば……。

日常に戻ろう。そう、学園へ。………時計を見やる。8時20分を回っていた。授業開始は30分から。
マズイ!そんなに話し込んでしまったか。急いで着替える。上のジャージを脱いで……っはっ!灰谷は!?
胸を隠し、スバッ!と振り向く。………いない。言いつけ通りトレイを持っていったようだ。
更に言いつけ通り腹を切ってくれたら…………。まあ、ありえんな。馬鹿な考えもそこそこに。
帰ってくる前に一気に着替よう。ガバッ! 一気に全部脱ぐ。トランクス以外。女だけどトランクス。
まあ当たり前だ。女ものの下着を持っていたら大変だ。靴下を履き、ワイシャツを着る。
肩幅、裾はガバガバだが、胸の部分はパツンパツンだ。でも今更、代えなんか無いし、時間も無いし。
気にしない事にする。ズボンをはいて。腰のとこがガバガバだ。ベルトを締めあげて調節する。
ネクタイを締める。ぽよぽよと胸が邪魔だ。くそ。そして最後にブレザーに袖を通し、ボタンを留め、
ピシッと襟を正す。完了。肩がガバガバだが、どうしようもない。まあいい。着替えは完了。

次!
ささっ!と台所兼洗面所に移動し、ざばざばと顔を洗い、髪形を整える。まっすぐ串を通すだけだが。
これだけでも髪質がいいのでまとまる。よし。できた。可愛い。……あんまりめでたくないけど。
まあいい。準備完了。所要時間1分以内。本物のには真似できまい。しらんけど。


そうした所で灰谷が帰ってきた。「………ちゃんと返したか?」ネクタイを締め直しつつ、
玄関で靴を脱いでる灰谷にジト目で言う。「ま、まあね。」怪しい。恐らく食堂まで行ったものの
トレイを入り口において逃げてきた、ってとこか。ちゃんと行って、ちゃんと腹を切れといったのに。
と、灰谷が気付いた。「………た、卓哉、まさか授業に?」「ああ、出ないわけにも行かないだろ。」
「ぅ………でも………。」複雑そうな顔をしている。…………俺が昨日の事をばらすとでも思ったのか。
でも、ばらせるはずが無い。なにが悲しくて自分の最大の汚点を公表しなければならないのだ。
そう思っても灰谷には言わない。とりあえず今後の平和のために灰谷にはアドバンテージをとっておこう。
灰谷はチラチラと俺を見ている。「………なにをジロジロ見とるか、ばか。」今日の教科を入れたバックを持ち
玄関で突っ立ってる灰谷の頬を手の甲で軽く叩く。パシ。「あぅ。」情けない声を上げる灰谷。
「先、行くぞ。」灰谷を横ぎり、ごそごそ靴を履きながら言う。「え、あ、待ってよ。」我に返り、
どたどたと用意をしに奥の部屋に行く。俺が電話してるときに既に着替えたのか、後は灰谷はバッグを
ぶら下げてくるだけだ。少し待てば来るだろう。しかし、俺は先に行くといった以上、
俺は絶対に先へ行かなければならない。うむ。

いざ! がちゃ。ドアノブを握り開け放つ。廊下の淡い光が差し込む。
卓哉は女としての人生の第一歩を踏み出した。
しかし、この先、卓哉は自分がどんな目に会うのか、全く知る由もなかった…………。




後ろ手にドアを閉める。ついでに鍵も閉めてやれ。……ガチャ。
ふん。いい気味だ。踵を返し、朝の賑わう寮の廊下を校舎に向かう。辺りを見渡す。
賑わうといっても、もうじき授業が始まる時間帯なので人影もそう伺えない。
でも、あんまり騒がれたくない卓哉にとっては好都合だった。
男子寮に女なんて相当目立つだろうし。「(………毎日、この時間帯にした方がいいかもな……。)」
なんてことを思いつつ、廊下奥の突き当たりに見えるエレベータに足を進める。
廊下はかなり長い。それもそのはず、この寮の収容人数はおよそ1100。それなりの大きさがある。
先に進んでいくうちに廊下先のエレベータの人ごみが見えてくる。人数を数える。
ひのふのみ…………悠々乗れそうだ。

そこで、はた、と気付く。
エレベータの狭い空間で女の存在は相当際立つのではないか、と。……うーむしかし乗らんことには…。
考えつつも足は止めない。乗り場付近まで近づいて来たとき、エレベータ待ちで談笑していた
一人の男子生徒と目が合う。にこやかだった表情が一瞬で変わり、口を半開きにして面食らっているようだ。
つい、目をそらす。……それでも歩みは止めない。止めたら何か言われる。

…………うーん、あの調子でじろじろ見られるのは嫌だし………ここは一つ、階段を使った方がいいか。
流石に五階から階段を使う奴はそうはいないからな……。そうしよう。

女という事を隠したいわけじゃない。いずればれる事だろうし。ただ単にじろじろ見られるのが嫌なだけ。
目を伏せてエレベータ前を横切り、いそいそと横の階段へ。……ふと声が聞こえる。
「……い、あの子……。」「……何でここに女の……。」「……わいくない?何でうちの制服……」
耳が痛い。人の多い校内ではもっと酷くなるのだろうか……?つい、眉間にしわが寄る。

そんな声を尻目に階段をとん、とん、と降りていく。案の定人影は見えない。
「(…多少疲れるけれど、毎日階段かな、こりゃ。)」
耳を澄まし、気配を探りつつもトントントンと降りていく。
人は全くいない。素晴らしい♪

しかし、2-3階の踊り場まで降りてきたとき、2階から続々と人が階段を降りていくのが見えた。
…………つい、ささっと隠れてしまう。
「…………うーん……人が居なくなるのを見計らうか………いや、そんな事やっていては……」
ぶつぶつと階段の内側の手すりの壁からかがんで顔を覗かせ、悩む。

その時、すぐ上の三階から足音が聞こえた。声も聞こえる。「……でさあ、そいつが……」
「ぬぅううう………。」唸る。……四面楚歌とはまさにこの事…………。このままでは……。
一瞬の躊躇のあと。「(……覚悟を決めるしかないか……。どうせいつかばれる事だし…………。)」
すっくと立ち、気合いを入れて階段を降り始める。後ろから追いつかれないように気持ち早めに。

2階の踊り場に降りる。人が見えない。「(よかった、丁度、人波の切れ目だったんだな……。)」
安堵したその時、2階の入り口から丁度人が出てきて、鉢合わせる。
相手の足が止まった。顔を見る。知らない顔。明らかにこの姿に面食らっている。
その視線の先は顔と、歩くたびゆさゆさと揺れる胸元を往復している……。
本当に女であるのか確認している。…………そんなとこだろうか。
……いや、そうとも言い切れない。卓哉の服装はノーブラでワイシャツ一枚。急ぎのため、シャツを
着るのを忘れたので、うっすらとピンク色の先端が透けてみえる。それは今はブレザーで隠れているが。
そして、ブラジャーなど上から押え込むものがない胸の揺れ様は上のブレザーがある程度隠しているにせよ、
結構激しい。これは禁欲されている青少年には目の毒だ。
それがどれだけ刺激的なものか、当の本人には気付くはずもないが。

…………とりあえず無視。何か言われても面倒だし。
足をとめずに、ぷい、と目をそらし、口を開けて止まっている誰かを横切り、とっとと1階に向かう。


さらに降りていくと、次第に下からざわざわと聞こえる声が大きくなっていく。下は一階。人が集まる所。
………何人いるのか?数人でもあんな思いしたのに、さらにあの中を突っ切らなきゃ行けないのか…。
とっとと引き返したい衝動にかられるが、そう言うわけにはいかない。後ろからも足音が聞こえるし。
「(ぅぅ……行きたくない………しかし行かねば……。)」心の中で葛藤しつつも足は止めない。
誰にも気付かれずに行けたらなぁ……。無理か………。表情が曇る。
なんだかんだで1階に降りる。階段の敷居を潜り、次は校舎へと続く渡り廊下へ足を向ける。回りを確認する。
廊下の彼方此方に、まばらに人がいる。皆、進行方向は一緒。歩調を合わせ、距離を縮めない様にする。
「(………うう……見るなぁ……見るなよぉ………?)」おっかなびっくり歩きながら、ちらちら見渡す。
ざっと数えて十数人見える………と、その内の卓哉の真横にいる二、三人のうち一人がその姿に気付く。
気付いた一人がポンポンポン!と隣の奴の肩を叩きこちらを指さし耳打ちする。

………連鎖的に広がっていく。酷い奴になると後ろを歩いている知り合いに知らせに行く。
「(………こ、これは嫌だ…………。)」次第に足も早くなる。歩調を合わせててはいけない。
前を歩く数人もこれに気付いたようで、こちらをちらちら見やる。もちろん歩みは遅れてくる。
早足の卓哉と、声を掛ける気かしらんが、ちらちら振り向き、何かこそこそ言い合いながら
足をゆるゆる動かしている数人。距離が狭まる。
「(とっとと通り過ぎよう………。)」つい伏し目がちに下を向き、避けるように離れて通り過ぎる。
「(……何でこんな事に……)」卓哉は自分の体を呪った。

………校舎の中を進む。ずっと渡り廊下と同じような事が起こっている。じろじろ。ひそひそ。
…無視無視無視!ズンズンズンと足が次第に早くなる。教室は2階。急ごう。階段を上る。

と、ふと上の踊り場を伺うと、ここにも一人こちらを見て固まっているのが居た。
………あの顔は知ってる。同じクラスの佐藤。ちびで気弱。真っ先にいぢめられそうなタイプ。
うちの学園はいじめがないけど。……その佐藤の目線は俺の顔と胸元を往復し、まじまじと卓哉をみている。
でも、いまさらそんなこと気にせず卓哉は早足で階段を登る。胸もゆさゆさと揺れる。
……それを見た佐藤の顔がポッ、と少し赤くなる。佐藤はこういうのに免疫が無い。
自慰行為にもどこか罪悪感を感じてすらいるという、今時珍しいほどの純情さ。ましてこの学園は女っ気が
全く無いわけで。佐藤君の心情は推して知るべしだ。だが佐藤のその微妙な心情に卓哉は気付くはずもない。

「(何か言われるかな……。……説明するのも面倒くさいけど………。)」
距離が詰まる。そして、すれ違う瞬間。
「………あ、あのぅ………。」………ほらきた。
でもさっきからのコレ。知り合いに挨拶する気力もないくらいウンザリしていた。
だからただ一言。「……遅れるよ。」
それだけ言い、佐藤の胸元をポン、と手の甲で叩いた。
……そして通り過ぎ、続けて階段を上っていく。
その時、ふわっ、とほのかに香る、女性だけが持つ髪の甘い匂いが佐藤の鼻をかすめた。

男子校に突然現れた極上の美女の甘い香りと自分にかけられた凛とした綺麗な声。彼にとって非現実的な
その出来事に佐藤は少し放心する。………が、遠ざかって行くその美女の背中を見てるうちに我に返る。
……彼女がその先の階段を上らずに角を曲がる。自分と同じ方向。「(あの人は一体……。)」
急いでその後を追った。……なんだか良く分からないが、とりあえず彼女のクラスを確かめたい。
つい好奇心が湧く。……佐藤も続いて角を曲がる。前に彼女の背中が見える。回りの注目を一身に受けて
ズンズンと早足で進んでいる。それをみて佐藤もつい早足になる。見失わないように。
謎の美女の背中についていく。良く見ると制服はだぼついて、ズボンも裾を少し引き摺っている。
「(制服が合ってないのかな………?いや、そもそもこの男子校に何故あんな人が……。)」
考えを張り巡らしつつ、後をつける。

…………と、彼女が教室に入った。「(一体何処の……?)」プレートを見る。
「(あの人のクラスは……………!?うちの組だ!?なんであんな人がうちの組に!?)」
自然と駆け足になり、佐藤も急いでクラスに入る。「(……あの人は?)」きょろきょろ。……いた。

異常に静まり返ったクラス。全員の視線は一点に注がれている。突然入ってきた美少女。
女特有の甘い匂いを振りまきながら真ん中を突っ切る。進路を塞いでいる男子が次々と道を開けていく。

今日日の有名アイドルでもそういないであろう、整った小さい顔。目はくりくりと大きく、まつげも長い。
鼻もすっきりと高く、凛としている。ブレザーを押し上げて、歩くたび揺れる大きい胸。ダボダボのズボンを
止めるため締め上げたベルトは、きつく締められていて相当くびれた腰なのがわかる。甘い匂いを振りまく、
さらさらして少し茶色がかった髪。男子用のブレザーもそのアンマッチさで逆に魅力を掻き立てるよう。
女っ気皆無の男子の中に突然現れた、極上の女神とすら言えるその存在。注目しない方がどうかしてる。

女神が窓際最後列の席で足を止める。窓際最後列。クラスで一番の特等席である。
かばんを掛け無造作にどかっと座る。ここでようやく女神が教室を見渡す。
もちろん静まり返ったクラスの全員の視線が自分に注がれている。……それを見て女神は顔をしかめ、
ばつが悪そうに、ぶぅ、と口を尖らせた後、それ以上の関与を拒絶するかのように机に突っ伏した。

クラス中がしばらく無音になる。……だが次第にざわざわとしはじめる。
もちろん話題はその女神様。「……い、声掛けてみ……」「……んであんな子がこ……」「…ジーザス…」
ざわざわ。ざわざわ。
喧騒の中、佐藤は気付いた。「(?………そういえばあの席は蘇芳君の………?)」
蘇芳君………蘇芳君………そういえば、あの顔。蘇芳君に似ているといえば似ている。じゃああれは………。
いやでも、違いすぎ。その……色んな……物が……。ちらちら伺いながら佐藤も自分の席に着く。

その時。がらっ!と再び引き戸が開き、担任の斎藤先生が姿を見せる。
「ほらー、席につけ席にー!」日誌で拍手するようにパンパン音を立てながら声を荒げる。がたがたがた。
生徒もチラチラ卓哉を見やりつつ釈然としない顔で座っていく。その声に卓哉も、もそっと起きる。
見ると喧騒に紛れて灰谷も入ってくる。……灰谷。同じクラス。………そして隣の席でもある。
席に付いた百貫デブがおずおずと声を掛けてくる。「……あの……随分、早いね。追いつけなかった。」
「…………………。」ぴし。顎に手を置き、支えながら机の中に置きっぱなしの消しゴムを千切って投げる。
そっちを向かず。「……ぅぅ。」情けない声を上げ、萎縮する腐ったテディベア。
ふと回りを見るとこちらを見ている連中がちらちらと自分と灰谷を見比べている。
どういう関係だ?と探るように。決まっている。山から下りてきた畜生と人間だ。

……そうだ……灰谷。奴の動向を考える。「(いくらなんでも衆人環視のなか襲って来ないだろうし…。
ここに居る限り警戒は解ける…な。いつも張り詰めてたら精神安定上、良くない。)」なんてことを思った。

一人の生徒が声を上げた。「せ、先生。あの窓際の子ですけど……」「え?……ああ、蘇芳、来てるな。」
先生が窓際の席を見て、確認する。………と。「蘇芳!?」「えぇ!?」
一斉に声が上がり、再び全員、がたがたと卓哉の方を向く。その視線の圧力で顔が引き攣り、
苦笑いを浮かべる。つい目を伏せてしまう。「だ、だってあれ!?」「双子のお姉さんとか!?」
声が上がる。「ま、まあ待ちなさい。説明するから……。」先生が恐慌状態の生徒をまあまあとなだめる。

そのあと先生から大まかに説明があった。それが一種の病気である事。
本人であるかは、記憶も指紋も一致してるし、間違い無いという事。
説明の最中もチラチラと視線が集まる。………勘弁して欲しい。
「………まあ、そういうわけだから、皆も変わらず接してやってほしい。………じゃ、授業始めるぞ。」
一時間目は担任の先生でもあり国語教師でもある斎藤先生の授業。偶然だが、良かった。
説明が下手でろくに事情を知らない先生だったら、俺が直接、質問責めに合うところだった……。
安堵のため息を漏らしつつ、教科書とノートを広げる。


…授業が始まった当初はまだチラチラと視線が集まるが、授業が進行していくと
次第に誰も見なくなってきた。でも灰谷や佐藤、他のいくらか数人は頻繁に視線をよこすが。
「(しばらくこの調子かなあ……。)」
灰谷に千切った消しゴムを投げつけつつ、卓哉はげんなりして授業を受けるのだった。

そして。キーンコーンカーンコーン……。授業の終わりを知らせる電子音が鳴り響く。
「………よしじゃあ、今日はここまで。………号令。」きりーつ。れーい。
先生が去っていく。………と。一斉にクラス全員の視線が卓哉に集まる。そして。
どかどかどかっっ!人波が卓哉の席に殺到する。「ぅぅっ!」手で胸を隠し、怯む卓哉。
「お前マジで女なの!?」「マジで可愛くない!?」「なんで女に!?」「結婚してくれ!」

「………………勘弁してくれ………。」………げっそりする。
耳をふさぎ、突っ伏す。きこえなーい。きこえなーい。喧騒が遠くで聞こえる。知った事か。
「(早く次の授業始まってくれないか……。ん?そういえばつぎの授業なんだっけか……?)」
………………そうだ、体育。移動出来る。というか、せねば。
がたっ。突然勢い良く立ち上がる。後ろにいた生徒が面食らう。喧騒が一気に静まる。
卓哉の放つであろう、第一声を期待して。しかし。卓哉は鞄をごそごそと漁り、ジャージの入った袋を
取り出し「………体育だから、行く。邪魔。」ぐい。ぶっきらぼうにそういって人を割って脱出する。
その言葉に気付いたのか、回りの生徒は時計をちらっと見て、あぁそういえば、とばかりに散っていった。

廊下を体育館へと進む。ここでも注目の的だ。すれ違う他の生徒が皆卓哉を見て面食らっている。
さらにその後ろからクラスの連中がついてきて声を掛けてくる。これは目立つわけだ………。


「なあ、本当に蘇芳なの!?」「…………そう。」
「ぜ、全然違うじゃん!」「………男と女、外見全く一緒なわけないだろ。」
「な、何でそうなったの!?」「………さっき聞いただろ。」
「………え?……実は全てドッキリ?」「…………むしろ、俺がな。」
「つーか、胸でけぇ……ちと、触らせて?」「………ぁあ、お前がどっかで巨根ゲイとハメ撮りして、
そのテープを体育館の巨大スクリーンでこう、俺に見せてくれれば考えんこともないが……。」
「……ハァハァハァハァ!!!」「…………とりあえず離れろ。」

ぴーちくぱーちくとうるさい連中の質問にヤケクソ気味に回答しつつ体育館の中へ。更衣室はその中だ。
がらっ。更衣室に入る。卓哉に続き、どやどやと後ろの連中も中になだれ込む。
さすがにここに来ると、各自が着替えようとようやく散らばっていく。………やれやれ。

一番奥の棚の前に進み、ジャージ袋の中身を棚にぶちまける。
そして入り口に背を向ける。目の前は壁。ネクタイをしゅるりと解き、上のブレザーを脱ぐ…と。
ふと気付く。……静かすぎる。手に持ったままのブレザーでなんとなく胸元を隠しつつ、振り向く。
全員と目が合う。
「……………おい。」その声でそそくさ、と目を逸らし全員着替えを再開しはじめる。
むぅぅぅ………釈然としない思いを抱きつつ、再び奥の方に向きかえりブレザーを畳んで、置く。
そしてワイシャツの上三つのボタンを外し、手を十字にして裾にかけ一気に脱ぐ…と見せかけて振り向く!
一瞬、再び全員と目が合う。またそそくさと着替えを再開する青少年たち。

……………っ!まどろっこしい!朝からのフラストレーションも手伝い、瞬時に頭に血が上る。
「何見てやがるっ!早く着替えてとっとと出て行きやがれこのホモ野郎どもが!」
甲高い声を上げ、凄い剣幕で手近な生徒二、三人のケツをゲシゲシと勢い良く蹴り上げる!
その動きに合わせ、一枚のワイシャツごしに薄くピンク色の先端が透けてみえる胸が大きく揺れ、
その柔らかな存在をアピールする。しかし、じっと見ることはかなわない。
「さっさと散れ!走れ!このグズども!」某国のGKのような台詞とその剣幕に全員が慌ただしく着替える。
それでもまだ怒りが収まらない卓哉。ふと、チラチラこっちを見てるトランクス一丁の灰谷に目をつける。
「お前は一番早く出てけ!いや、そのままで良いから出てけ!そして凍死しろ!死ね!いやむしろ殺す!」
ケツをゲシっと蹴り上げ怒鳴り散らす。「ん、んなアホな!?!」それはたまらんと、急いで着替える。
「着替えた奴からドンドン出てけゴルァ!」物凄い剣幕でケツを次々蹴ってまわる。
戦場のような慌ただしさで人が激しく動く。

そして次々と出ていき、最後にはモタモタやってる一人が残った。
ちびの佐藤だ。まだ下は制服。「……………。」腕を組み、ジト目で睨む。…佐藤がハッと気付く。
「ごっごめんなさい!そ、その、僕はいつもこんなもんで、その………。」縮こまり脅えた目で弁解する。
捨てられた小犬のようなその様子に頭に上った血も降りてくる。
「………ふぅ………。」ま、こいつのこの様子なら害はあるまいて……。
そろそろ着替えを再開しよう。時間も無いし。奥の棚へもどり、佐藤に背を向けてベルトに手を掛ける。
……きっ。振り向く。……見てない。背を向けている。………ふむ、問題無いみたいだ。
とりあえず「……こっち向くなよ。」と言っておく。う、うん、と小さく返事が聞こえた。
ベルトをゆるめ……ずる、とズボンを脱ぐ。下はトランクス。これほど期待を裏切る下着はない。
まあ、誰も見てないわけだが。脱いだズボンを畳み、さっさとジャージのズボンを履く。
次はワイシャツ。一気に脱ぐ。ぶるるん。たわわな胸が開放される。ジャージの上を手に取る……。

その様子を佐藤はつい、見てしまった。
棚においてあるジャージを取ろうと棚の方を向いたとき、ふと無意識に目が向いてしまったのである。
卓哉はこちらに背を向けている。しかし、完全にではない。油断したのか、少し斜め、横顔が少し覗く角度。
ぷるん、と揺れる大きな形の良い胸。その先のちらりとみえる鮮やかなピンクの突起。
神秘的なほど綺麗な曲線を描く背中。きゅっとくびれた扇情的な腰。ゴクッ………唾を飲み込む。
目が釘付けになる。本能が、逸らせない。同じ男だったとはとても思えない。
いや、それが男だった事は既に忘れてしまっていた。

しかし……ばさっ。卓哉が上のジャージを着る。それで目が覚めた。慌てて棚のジャージを取り背を向ける。
……ここでようやく卓哉が佐藤を見やる。ジャージの上をもぞもぞとかぶっている。
「(…………本当、トロいんだなぁ……。)」呆れるより同情してしまう。
ジャージのチャックを閉め直しつつ出て行く。通り過ぎる際、「先に行くぞ。」ポン、と肩を叩く。
……ビクッ!震える佐藤。「(本当、小動物みたいだな………)」卓哉は思った。

体育。体育館に足を踏み込むと、体育の先生を前に皆既に整列していた。
先生は寮長兼体育教師の橋口先生。教員最初の目撃者。事情は良く知っているはず。「……遅れました。」
「あ、ああ、早く並びなさい。」そう促され、回りの注目を浴びながら列に加わる。

静まり返った中、先生の点呼が始まる。秋本。伊勢。………五十音順に呼ばれていく。
その時静寂を切って声が聞こえる。「お、遅れました……」佐藤だ。更衣室からぽてぽてと駆けてくる。
「遅いぞ!なにをもたもたしてる!」先生の檄が飛ぶ。待遇が違うのが気の毒だが……。
佐藤はビクっと身を縮こまらせ、聞こえないほどのか細い声で……す、すいません……と返した。
可哀相に。縮こまるその姿は小犬そのものである。良くいじめられないもんだ。
佐藤が隣りに並ぶ。さとう。すおう。50音順だからまあ、そういうことだ。

あらかた点呼も終わり、準備体操が始まる。
適当に広がり、先生の号令で皆が動く。
「「…いっちにーさーんしー。」」「「…ごーおろーくしーちはーち。」」
皆が気だるい声でリズムを取る。いつもの事だ。「(ああ、帰ってきたんだなあ……1日だけだけど。)」
それでも卓哉はしみじみと思った。

………次第にそのリズムの声が小さく小さくなっていく。まだ終わりじゃないというのに。
「…………………………?」卓哉は眉をひそめながらも体操を続ける。
……………気付かぬのは本人だけである。屈伸するたびジャージの隙間から、細く白い腰がチラチラと覗く。
胸も動きに合わせ大きく揺れ動く。まあ、ブラなんざ無いししょうがないのだが。
その驚くほど綺麗な容姿もあるだろう。目の保養というやつだ。
ついつい、禁欲少年たちの目は、その無防備な美少女にむけて一点に集められてしまう。
先生が何故か静かな生徒達に声を出させるため、笛を鳴らし、声を掛けるが、余り効果が無かった…。

次。二人一組になって屈伸。「(俺は…………佐藤とだ。)」1学期からずっと一緒の組み合わせ。
卓哉は佐藤と向き合った。「す、すおう、くん…」見ると佐藤はしどろもどろとして落ち付きが無いようだ。
「おい、大丈夫か?」ぴし。おでこにデコピンをする。「えぅ、うん、うん…。」………だめだこりゃ。
「……まあ、いいや。背中押してくれ。」卓哉は座って足を目いっぱい開き、体を前に倒し始める。
自分の役割を察知した佐藤は慌てて背中に回り込み、押す時一瞬躊躇したものの、結局本人に促され、押す。
ぐにゃあ。相変らず卓哉の体は柔らかい。足が180度に限りなく近く開いていて、胴はぺたりと床に付く。

……ぐいぐい。前。左右。一通り卓哉の屈伸が終わる。
次は交代して佐藤の番。立ち上がり、役割を交代する。佐藤が座って足を開く。
目いっぱい広げてるようだが殆ど開かない。相変らず固い体だ……。
「いくぞー。」「う、うん……。」………ぐい。「……い、いたたた!」ろくに倒れもしない所で止まる。
……呆れた。「おい、本当に真面目にやってるんだろうな?」「う、うん…、これが精いっぱい……。」
予想通りのなまっちょろい答えだ。しかし、いくらなんでもコレは駄目すぎだろう……。

「(うむ……ここは一つ、整体してやらねば。)」……ニヤリ。小犬の腑抜けたような様子につい、
ふつふつと無邪気な悪戯心が湧く。「………そら。」どし。押すのではなく覆い被さり、圧し掛かった。
ぐにゅん。「んぅ!?」佐藤は後ろの衝撃に耐え切れず、限界を超えて前に曲がる。ゴリゴリッ!
大きな音だ。圧力に耐え切れず、体勢を崩して突っ伏す佐藤。「うぇ!?……わ、悪い、大丈夫か!?]]
卓哉が慌てて脇から手を廻し抱きかかえて起こし、至近距離で横から顔を覗き込む。……グッタリしてる。

……しかし当の佐藤は腰の痛みよりも、自分の周囲に立ち込める女性特有の甘い香りと、倒れるときと、
今、背中に感じる布2枚隔てただけの押し付けられた胸の心地良い弾力に、ポッ、と心を奪われていた。
その様子を羨ましそうに見る周りの男子……。イジメの火種は卓哉によって点けられそうだ……。

その後。今日はバレーだった。結局その授業の間じゅう、ずっと卓哉に周りの視線が集まっていた。
矢張り異様に視線を感じつつも、飛んでくるボールをトス、レシーブ、スパイクと、打ちまくる卓哉。
そのたび揺れる胸。覗くへそ。締まった腰。禁欲を強いられている男子はそればかり目で追い続けた。
そのため、それ目当てにやたらと卓哉にボールがまわるし、やたらとスパイクが決まる。
最初は感じる視線に薄気味悪さを感じていた卓哉も自分の大活躍に心が弾み、段々気に留めなくなっていく。
段々と無防備に走り、跳ね回る。ゆるゆるのズボンが、腰の少し下までずれるときもあった。
それで……さらに大活躍。……味方のミスも増えまくっているわけだが。
そして、卓哉の大活躍のうちに授業が終わる。朝からのストレスも吹き飛び、心は晴れやかであった。

意気揚々と更衣室に戻る。入ってから気付く。「(………あ、そうだった。まだこれがあった……。)」
この連中の直中で着替えなければ……。再び心が沈む。周りを見ると案の定、チラチラと視線が集まってる。

「………く……。」端正な顔を歪ませ、ゆっくりと自分の服の置いて有る棚の前に進む。
その前でくるりと踵を返し、腕を組んでジトっとした目で少年たちを見据える。
……全員着替え終わるのを待つことにしたようだ。
その、卓哉が自分たちが着替えるまで動かないような様子を見た青年たちは残念そうに「はぁ……」と、
ため息をした。それは全員のため息が揃い、ため息の大合唱となる。響き渡った。

ムキッ!「なにを期待していたんだこのオカマ野郎どもがぁ!!!」
体育館に甲高い声と肉を鋭く打つバンバンという快音が響き渡ったのであった……。

授業の後は20分の中休み。卓哉は窓際の席でウンザリした顔で窓の外を向き、突っ伏している。
それもそうだ。その間、色んなクラスから人が殺到していた。お目当てはもちろん、
学園に突然現れた美少女である。常識を超えた突然の性転換を遂げた人間という物珍しさもあるだろう。
ドアの付近と廊下と教室の間の窓は人で埋め尽くされていた。押すな押すなと大騒ぎである。
ふと起き上がり、ちら、とみやる。どよっと歓声が上がり、一瞬の間の後、全員一斉に鼻の下が伸びる。
……男が女に変わったという突拍子もない話は2時間足らずで一気に学園に知れ渡ったのである。
それがこのざまである。「(………ウンザリだ……。)」再び端正な顔をしかめ、突っ伏す。


伏せたまま足を延ばし、ちらちらこっちを見ながら隣りに座っている灰谷の椅子をゴスッと蹴る。

「……おい、お前ちょっと行って全部食べてこい。」
「な、何を!?」
「………………………。」
「……………………………。」
「………………………チッ、使えない奴め。飛べない豚は只の豚というだろうが。」
適当に貶し言葉を吐き掛けてまた、ゴスッと蹴り上げる。
「訳わかんないし………。」
「……いや、そうだ。お前が屋上から飛び降りて注意を他に引け。
この窓に一瞬見える空飛ぶデブ。これは目を引くだろ。そうしろ。さあ、テイクオフ。」
さらに力の無い声で適当に罵ってストレス解消しつつ、ゴスッ。また蹴る。
「それは飛ぶって言うか自由落下では……。」

しかし、本当に何とかならないものか…………。
がやがや。がやがや。相変らず視線は自分に集中している。最高に居辛い。

「………おい、何とかしろよ。」ゴスッ。まあ、こいつに頼んで解決するはずもないだろうが
この居心地の悪さについ、口から思い付いたまま声が出る。
「う、うーん、しょうがないんじゃない?その、卓哉、可愛いし………。」
「…………………。」ぴし。再び千切った消しゴムを投げつけた。「褒めてるつもりか。このブサイクめ。」
「ひ、酷い………。」「………女々しい言葉を吐くな。キモイぞ。」ぴし。もう一発。

…とにかく、もうやってられん。ここは一つ、ほとぼりが冷めるまで…そう、昼休みくらいまで姿を隠そう。
そう決めたその時、電子音が鳴り響いた。キーンコーンカーンコーン。授業開始のチャイム。
それを聞いて廊下に殺到していた生徒達はこちらを伺いつつも慌ただしく引き上げていった。

次は世界史の授業。チャイムが鳴ってしばらくすると、担当の先生が教室に帰ってくる。
……それを見て、席を立つ卓哉。教壇に立ち、日誌を広げて出席を取ろうとしている先生に
近づき、「先生、気分が悪いので保健室に………。」と告げた。教室中が「えぇ?」と、ざわめく。無視。
先生は「あ、ああ、そうだな。無理しない方がいい。」と気遣ってくれた。突然女になった生徒。
色々とあるのだろう。そう汲んでくれたかのようだ。……まあ、環境の問題で気分が悪いわけだが。
未練たらしい視線を背中に感じながらも、がらっと扉を開け、退室する。
廊下を保健室へ向かって歩く。授業中のため廊下にはだれもいない。登校からずっと感じてた視線から
ようやく開放されたのだった……。

保健室。「失礼しまーす…」がらっと扉を開ける。足を踏み入れ後ろ手に扉を閉めつつ、見渡す。
「(………だれもいない?)」保健室の先生が座っているはずの椅子はもぬけの殻だ。
その片方の空間は、今はカーテンで仕切られていてみえないが、ベッドが二つ並んでいる所。
卓哉の目当てはそれだ。「(………まあ、ベッドでごろ寝出来ればいいし……。)」
まあ、報告は後回し。とりあえずカーテンをしゃーーー、と開けた。

「………っ!!!」誰か、寝ていた。だれもいないと思っていたので意表をつかれ、ドキっとする。
近づいて良く見ると…………佐藤だった。ジャージのまま寝ている。
佐藤は体育のあのときの事で腰を痛めて保健室に来ていた。まあ、若いため大事には至らず、
軽い腰痛が残るだけだったが。そして、気を効かせた先生が佐藤を横にして休ませていたのであった。

「(うーん、悪い事をしたなあ、起きたら謝ろう……。)」
とりあえず開いている隣りのベッドに腰を下ろす。何をするでもなく、佐藤の顔を見る。
すやすやと気持ちよさそうに寝ているようだ。………それを見ていたら眠りたくなってしまった。
俺も寝よう…………。それが目的でここに来たんだし。

ネクタイを外し、上のブレザーを脱ぐ。しゅるり。衣擦れの音が静寂の教室に響く。
脱いだものをベッドの上に放り、その下の布団を捲り上げて潜り込む………と。
「……ぅ〜ん、だ、誰………?」
背後から寝ぼけた声が聞こえる。振り向くと、佐藤が目を覚ましていた。「…………佐藤。」
佐藤が寝ぼけ眼を擦りつつ、目の前の人物を確認する。卓哉は気付くのを待つ。
「…………す、蘇芳さ、君……!?」大きな声を出して勢い良く上半身を起こす。
「なんだよ………俺が居て不都合でも?」眉を吊り上げて抗議する。でも内心、別に怒ってない。
ただのポーズ。「そ、そんなことは………。」それでも佐藤はしどろもどろになって弁解する。
……その姿に卓哉は少し微笑ましく思えた。小犬を見る時に感じる感情に似ているかもしれない。
「さっきはふざけて悪かったな、佐藤。…腰、大丈夫か?」「う、うん、湿布貼っただけですんだから…。」
「そうか…………。まだ痛むのか?」「い、いや、そんなには………。」
……つまり痛いわけだ。自己嫌悪に苛まれる。これは悪い事をした。
「うッ………。腫れてるのか?」佐藤に顔を寄せる。「さ、さぁ、見てないからそれはわからないけど……
多分大丈夫だから、その、気にしないで下さい……。」目を伏せて少し俯き加減になる佐藤。

それは佐藤の女の免疫力の無さから来た恥じらいだった。物凄い美人と超至近距離で話している。
良い匂いもする。視線を顔から少し下げると大きな胸が見える。良く見るとノーブラのため胸の先端が
ワイシャツにくっきりと浮き出ている。とても上を見ていられない。
さらに視線を下げると、急いで着替えたのかワイシャツのボタンのはまっていないところから
ほんの少しだけ浮き出た腹筋の縦ラインとへそが無防備に覗いた。もはや何処を見ても目の毒であった。

下を向いて俯き加減になる佐藤。しかしお人好しの卓哉には、それは痛みを堪えているようにみえた。
「ぅ………と、とりあえず見せてみろ。見てやるから。」
佐藤に詰め寄り、肩に手を掛け背中を向けさせようとする。卓哉の肩が手に触れた瞬間、ビクッ!として
「だ、大丈夫ですから…!本当に!」と弱々しく抵抗をする。「良いから良いから……!」
卓哉は佐藤の布団をまくり、無理矢理うつ伏せに横たわらせた。「い、いいたたた……。」
「………言わんこっちゃない。ほら、おとなしくしてろよ………。」少し強引にうつ伏せにする。
卓哉がもがく佐藤の太腿の当たりで馬乗りになって背中をまくると……湿布が2枚張ってある。
そこはやはり少し腫れ上がっている。「あぁ……これ………。」痛々しい。
「も、もう良いですから……別に……。!い、いたたたた………」身を捩ろうとしたが、腰が痛んだようだ。
これは結構重症かも………。益々自己嫌悪。な、なにかしてやれる事は………。
「そ、そうだ、さすってやるから………。」何となしにそう提案する。
返事を待たずにスリスリ、とさする。自分でもこれで痛みが和らぐとは思わないが。
しかし、人の良い卓哉はなにかせずにはいられなかった。
スリスリスリスリ………。「す、少しはマシになった……?」自分でもマシになるとは到底思えないが……。
「う、うん………。」でもまさか心からの親切を無下にするわけに行かず、そう答える。間抜けな会話。
いや、むしろ背中よりも太股に感じる柔らかなお尻の弾力と、女体の心地よい重さの方が心地よかった。
スリスリスリスリスリスリスリスリスリ…………。静かな教室の中、かすかにその音だけが響き渡る。

その時。……ガチャ。カーテンの向こうからドアの開く音と数人が入ってくる足音。
「あれ?先生は留守?」「……いててて、参ったな……。」「ほら、そこ座れよ。」声が聞こえる。
マ、マズイ!卓哉はとっさにそう思った。別に見つかっても堂々として正直に事情を説明すればいいのだが。
でも今、卓哉は男から逃れてここに来たのもあって、とっさに逃げの選択をする。
しかし、どこに…………、いや、考えてる暇はない!「佐藤、俺は隠れるから適当に誤魔化してくれ!」
そう耳打ちし、佐藤をぐいっと仰向けにしてから上半身を起こさせる。「いっ!」佐藤の腰が痛み
つい声が出てしまう。「………何だ?誰かいるのか?」カーテンに足音が近づいてくる。
急がねば!卓哉は布団をガバッと頭からかぶり佐藤の腰に思い切り抱き着き、下半身と同化した。
しゃーーーーーー。カーテンが開く。
「あ、誰か居たのか。……先生は何処かしってる?捻挫したやつがいるんだけど。」
「あ、ああ、先生は午後まで留守にするって出てったと思ったけど……。」
「あ、そうなのか………じゃあ、勝手にやっちゃっていいのかな……。」
…ぶつぶつ言いながらその一人は今度は棚を漁りはじめる。カーテンは閉めて行かない。
「い、行った………?」卓哉がひそひそと聞いた。「ま、まだです………。」ひそひそ。
「ぅぅ………。」卓哉の腰を抱きしめる手に、ついきゅっと力が入る。

……佐藤はその、ある種背徳的なその行為に少しくらくらとしていた。
布団一枚の下では、女の子がばれないようにがしっと腰にしがみつき、密着している。ぎゅうぎゅうと
太股に柔らかい胸が押し付けられてる。綺麗な顔が自分の股間をぐにゅ、と押しつぶしている。
………つい、勃起してしまう。

「(…………ん?)」頬の辺りがなにかに押し上げられる。「…………?」気付くのに数秒要した。
「…………!!!!!!」佐藤のペ○スが頬にグリグリと押し付けられる。
思わず声を上げそうになるが、いまこの状況で出るわけにもいかないし、じっとそのまま耐える。
グリグリ。どんどん大きくなっていく。「(…………ぅぅ、佐藤の奴…。)」しかし、耐えるのみ。
佐藤もそれをどうしようもない。しかし、罪悪感よりも女の子の顔にペニスを押し付けている感触が
彼をこれ以上ないくらい激しく興奮させていた。柄にも無く。

「よし、これで良いな。」「よし、もう行こうぜ。」「失礼しましたー。」
治療を終えた生徒が社交辞令の言葉を上げて去っていく。ガッチャン。ドアが閉まる音。

「………………行った?」それを聞いて卓哉がもそもそと布団から這い出てくる。
佐藤の肩に手を掛け、後ろを向いたままずりずりと這い出す。図らずして殆ど座位の姿勢になる。
後ろの空間をじろじろと気にしている卓哉は全く無意識で、無防備だ。
大きな胸が佐藤の目の前でどアップで動く。至近距離で見ると透けてみえるのが良く分かる。
綺麗な胸の形が丸見えだ。心臓の鼓動が物凄く早くなる。くんくん。甘い匂い。恍惚となる。
……ここでようやく卓哉が前を向く。「………佐藤?」佐藤の返事が無い。
目線の先を良く見ると、胸をじっと凝視しているのが解った。「ぁっ………悪い!!」
つい、謝罪の言葉が口に出る。邪魔になってると思った。体を離そうとする……。

……佐藤は目の前でふるふる揺れる胸を凝視していた。「……………はぁ………はぁ………はぁ………。」
息が荒くなっていく……。と、卓哉が体を離そうとする。佐藤の目の前の胸が遠ざかろうとしている。
「(ぁ、離れていく……。)」そう思ったときにはつい手が伸びていた。無意識的に。



遠ざかる体に手を廻し、抱きしめ、ぼふっ、と顔をたわわな胸に埋める。
「!!……おい、ちょ…っ!!」その感触と声に、つい我に帰り、血の気が引く。
「(!……な……や、やってしまった………。)」やろうと思ってやったのではない。無意識に手が出た。
……しかし、今更どう弁解のしようが無い。体が硬直する。高鳴る心臓が今度は焦燥のリズムに変わる。
それでも頭は胸の間に。良い匂い。呼吸のたびに甘い香りがする。
…………卓哉の背中に廻した手がさらに強く絞められる。さらに顔がむにゅんと押し付けられる。
「お、おい、お前、何やって………!」卓哉が引き剥がそうとする。
しかし、きつく抱きしめられているため剥がす事はかなわない。
「…………ぅ…………!」佐藤はちびで弱虫だし、腰の件の負い目もあるため、卓哉は今一つ強く出れない。
これが灰谷だったら、耳を千切れんばかりに引っ張った後、目に指を突っ込んでやるのだが。
「お、おい、放せよ……」弱々しい声で言いつつ、頭をペンペンと叩く。
………しかし、佐藤は顔を胸に埋めたまま離れようとしない。本当は自分でも驚いて固まっているのだが。
佐藤の頭が葛藤する。「(ど、どうしよう……今更冗談でしたではすまされないし……!?)」
……きゅっ。そう思いつつも佐藤は抱きしめた手にさらに力を込め、顔を胸に埋める。
柔らかい。良い匂い。………出来ればずっとこのままで居たい。
………その誘惑で、一瞬、ある考えがよぎる。
「(もし、もし、最後まで行けるとしたら…………。)」

想像する。
この柔らかい胸をはだけてむしゃぶりついたらどんなに甘い味がするのだろうか。
あの綺麗な唇に舌を刺し込んで口中を嘗め回したらどんなに甘い味がするのだろうか。
この締まった腰、へそ、腹筋、柔らかい脚を心行くまで嘗め回すのはどんな気分だろうか。
この丸い尻を揉みしだくとその弾力はどんなに柔らかく手を押し返してくるのだろうか。
この極上の女体の裸を隅々まで眺め、まさぐるとどんな感触がするのだろうか。
この女性のアソコに自分のペ○スを入れるとどんなに気持ち良くなるのだろうか。
Hな本で言われている通り、温かく、柔らかく、ヌルヌルとして、きついのだろうか。
この女性の腰を掴み、激しく腰を尻に叩き付け性交しているときはどんな気分になっているのだろうか。

それを考えると佐藤の鼓動が早くなっていった。頭に血が上る。
………そして、もう、それしか考えられなくなる。

「す、蘇芳さぁんっ!!」がばっ!
「えっ…んむぅ!?」
飛び掛かり、突然のキス。ちゅうぅぅぅぅ、と卓哉の唇が吸われる。
「(甘い!女の子の唇ってこんなに甘いものなのか!)」佐藤は夢中になって吸う。
「んむっ、ん、んんっ………」唇を吸われつつも、卓哉が身を捩って離れようとする。
しかし、佐藤の腕は卓哉の首にがっちりと廻され、自分の唇にぐいぐい押し付けている。
ちゅぅぅぅぅぅぅぅ、ちゅっ、ちゅぅぅぅぅぅ。物凄い吸引。佐藤は夢中で貪る。
「ん、んんんんーーーっ!」佐藤の頭をかきむしりつつ、ただ吸われる事しか出来ない卓哉。
佐藤が卓哉の唾液を吸い取っていく。夢中で嚥下していく。ちゅぅぅぅぅぅっぅぅぅ。ごくっ。
しばらくして苦しくなったのか、一瞬唇が放される。その機に卓哉が口を開く。
「おい、ちょっと、止め…んぶっ!」

既に佐藤には聞く気はない。未知の体験への期待と欲望で頭がいっぱいである。
今度は口を開いたまま再び唇を合わせる。そして、卓哉の口に舌を差し入れようとする。
しかし卓哉は前歯をがっちりと閉じ、粘体動物の侵入を防ぐ………が、それも何時までも
耐え切れるものではない。無意識のうちに空気を求めて口を開く。
それまで前歯を嘗め回してただけだった舌が、一気に口腔内に潜り込んでくる。
「んむぅっ!」卓哉が身を捩る。
しかし、依然としてがっちりと卓哉の顔を抱え込んだ佐藤の腕に卓哉の動きは押え込まれる。
「」口の中を佐藤の舌が暴れまわる。強く吸われている。
唾液が流し込まれる。同時に唾液が味わわれる。「んっっ……んっっっ…!」
卓哉は舌を使って佐藤の舌を押し返そうとする。しかし、それに佐藤は悦んで応えた。
むちゅ………ちゅぅぅぅぅ………ぴちゃっぐちゅぅぅぅ………………じゅるっ
押し合い、絡み合うピンク色の二つの粘体動物。卓哉の抵抗はお互いの口腔内を貪り合っただけだった。
「んちゅっ………じゅるる………くちゃっ…ぴちゃっ…」
甘い甘い卓哉の鮮やかなピンク色の唇の味に、佐藤は夢中で貪った。
「(甘い!美味しい!もっと!もっと!)」
……くちゃっ…じゅるっ……ぴちゃ……じゅる…ちゅく…………
激しい水音が響き渡る。

その口腔内の柔らかく、激しい愛撫に卓哉の脳髄は次第にとろけていった。
………どさっ。卓哉が押し倒され、重なり合ったまま倒れ込んだ。………口も繋がったまま。

「はぁっ……れろっ………ぴちゃっ……ちゅくっ……ぶちゅ………。」
「んむっ……くちゃっ……ぶちゅっ……じゅるるるるるるる…………っはぁっ。」
いつしか卓哉の抵抗はとっくになくなり、目は潤んで、むしろ自ら口腔内を貪りにいく。
……じゅるるるる……んっ……ちゅくっ………くちゃ…………くちゃ……
……卓哉の手が佐藤の頭に回る。そして、自分の唇により強く押し付けていく。
ぐちゅっ…………ちゅぅぅぅぅぅぅぅ………ぴちゃ………くちゅ………
唾液を激しく、夢中で交換し合う。甘美な快感が二人を襲う。

卓哉がしがみついてきたのを見計らって、佐藤は口を貪りあいながら卓哉の頭に回した手を下に持っていく。
太股を掴み、閉じていた股を割る。そして、卓哉の脚の間に体を入れる。
くちゅっ………ぴちゅ………じゅるるる………くちゅっ………
卓哉からは抵抗らしい抵抗も無い。夢中で口腔内を貪り合う。
お互いの舌の弾力。ぬめり。絡み合うときの淫靡な音。二人は夢中だった。
………ぶちゃっ………れろっ………くちゃ……ぷちゃ……
口腔で繋がりあいながら、佐藤がズボンの上から尻を揉みしだく。ぐいぐいと。
「んふっ………ちゅっ………はぁっ………うふぅ………くちゃっ……」
卓哉は吐息を漏らし、佐藤の腰に足を絡めて、その行為を歓迎した。
そして佐藤はその心地よい弾力を存分に味わいつつ、さらに口腔を犯す。
「はむっ……ぷちゅっ………じゅるるるっ……ちゅくっ……ぴちゅ………。」
「じゅくっ……くちゃっ……ぶちゅっ……ちゅうぅぅぅぅぅ…………んふっ……。」
そのまましばらく二人は口腔性交を続けた。

そして、どちらからとも無く、体を離す。
「はふぅ…はふぅ…はふぅ…はふぅ…はふぅ…はふぅ……。」
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…。」
潤んだ目で見詰め合う。

佐藤が上半身を起こし、卓哉のワイシャツのボタンに手を伸ばす。
「!……っ…も、もうこれ以上は…。」卓哉が、はっ、と我に帰り、軽く上半身を起こし行動を制止する。
「蘇芳さん………んっ!」「んぅ!」
もう一度佐藤が唇を奪う。今度は激しいものじゃなく、舌を口に刺し込んで
口内をベロン、と一回舐め上げただけのもの。唇を放す。

卓哉の目が潤む。抵抗する気を奪った。
胸に手を伸ばし、ボタンを外していく。プチ、プチ、プチ。次第にあらわになる大きな胸。
ボタンを外すその手を止めようと卓哉の手が佐藤の手を弱々しく掴み、首を振る。
でも、それはポーズでしかない。男同士でそんな…と思いつつも、甘い愛撫で体は快楽を欲していた。
手をのけ、ボタンを全部外していった。ぽろん、と胸が開放される。
形の良い大きな胸が眼前に姿を現わした。更衣室でちらりとしか見れなかったもの。それが大きく目の前に。
凝視する。目が血走る。「はぁ………これが蘇芳さんの……………。」武者震いで震える手で触る。
「ぅ……お、おい、怖いよ………。」手は肩に置いたまま、胸を晒したまま非難する。
しかし、聞こえてない。
………ぎゅぅぅぅぅぅぅうううう!!!思い切り掴んできた。
「い、痛っ!」………はっ! その声で佐藤が我に帰る。「ご、ごめんなさい!、僕、夢中で、その…。」
ぱっと手を放ししどろもどろと弁解する。だがすぐに「じゃ、じゃあえと、コレは………どうですか?」
やわやわやわと揉んでくる。胸にじわっと快感が生まれる。
「き、気持ち良いですか……。」今度は円を描くようにぐにぐに揉みながら見上げて聞いてくる。
「え……そ、それは、その……ぅ。」返答に困る。
男に胸を揉まれるなんて。それに、この行為の最後にあるのはきっと…。今すぐ止めさせなければ、と思う。
……でも正直、気持ちいいのは止めたくない。……でも相手は同じ男……。卓哉の心が葛藤する。

そんな葛藤を余所に、佐藤は胸を揉み続ける。「ああ、女の人の胸ってこんなに柔らかいのか……。」
初めての感触に感激する。むにむにむにむに。息は荒く、大きく形を歪める胸を凝視しつつ、揉む。
「…………く…………」胸がじんじんする。気持ち良い。止めなきゃ。でも止められない。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…………んっ」「うんっ!」
佐藤が揉むだけでは我慢出来ず、胸を口に含んだ。いきなりピンク色の先端を舌でころころと転がす。
「んっ!」じんじんが強くなる。「す、凄い。ほんとに固くなった……。」今度は甘噛みしつつ言う。
「ば、馬鹿!そういう事を言うか………?」頭を小突く。「ご、ごめんなはい……んむっ。」
律義に返事を返し、また味わう。乳房全体を嘗め回す。れろんれろんと。
佐藤は口が小さいので大きく動かさないと乳房全体を舐めきれない。胸の上で激しく首を振る。
「うおうはん………っちゅ……あ、あまいれふ。おいひいれふぅ………ちゅっ。」
「ぅ、ううううう……。」卑猥な褒め言葉を言われるが、返す言葉も無くただ身を捩じらして唸る。
ちゅっ…ちゅばっ…じゅるるるっ………ちゅぱ……ちゅうぅぅぅぅ……
卑猥な水音が響く。「お、音立てるなよ……」卓哉が弱々しく言う。
そうじゃなく、もっと他にいう言葉があるだろうに……。そう思うけど。
「は、はい。……はむっ。」また律義に応え、ちゅうう……ちゅぅぅぅぅ。夢中でむしゃぶりつく。
先端を重点的に吸ってくる。たまに甘噛みして。「んんふぅ………っ!」身を捩り、激しく感じる。
でも次第に「………じゅうぅぅぅぅ……ちゅっ……れろっ……むちゅっ……。」
また大きい音になる。夢中で吸う。何も出てきはしないのだが。

…………数分後。心行くまで胸の感触と味を堪能した佐藤。残るは………最もいやらしいところ。
胸元から上半身を起こし、ズボンを脱がそうと、息荒くベルトに手を掛ける。
「っ!……だ、駄目だって……。」卓哉の理性がその手を制止する。腰をくねらせ、佐藤の手を掴む。
……だが、力が入らない。体は既に最後まで続ける事を渇望している。抗うのは俺は男、という理性。
それだけだった。

でももはや、佐藤の未知の経験への情熱は誰も消す事が出来まい。
制止する卓哉のその手を軽くいなし、卓哉のベルトをかちゃかちゃと外す。
「(もうすぐ……もうすぐ……。)」脱がせながら佐藤の息が荒くなる。心臓の鼓動がさらに早くなる。
卓哉がときおり体をぴくっ、ぴくっ、と震わせながらも、おとなしく脱がされていく。
その震えは、灰谷のときのあの初体験の痛みの記憶の恐怖。そして、男同士なのに、というまだ続く理性。
そして……先ほどからの行為でうずいて仕方が無いアソコを沈めてほしいという体の欲望。
脱がされている最中、これらが激しく卓哉の頭の中をぐるぐると回っているためだ。

かちゃ……ずるっ。
トランクスごとズボンを剥ぎ取る佐藤。
反射的にさっ、と佐藤の横に投げ出されていた足を閉じ、手で隠しつつ、腰をくねらせ、恥じらう。
「な、なぁ、やっぱり、変だよ……こんなの……。も、もう、やめよう……。」絞り出すような声で言う。
「そ、そんなことないです。蘇芳さん、とても綺麗です!」
閉じられた足のむちむちした太股の間に手を差し込み、開かせながら目を見て力説する。
そして、足はあっけなく開かれる。口で言うほど抗う気はないようだ。
しかし、卓哉の手はまだアソコを隠していて、待望のソレはまだ見る事が出来ない。
「で、でも、俺達男同士だしさ……その………。」さっきから心に突っかかっていた台詞が口に出る。
でも。「な……蘇芳さんは今は綺麗な女の子じゃないですか!」焦らされてつい、声が荒げられる。
……それは本当は自分でもわかっている。でも、でも……。
………そんな卓哉の葛藤を余所に佐藤の頭の中はまだ見ぬ秘所への、青い性の欲求で一杯だ。
「蘇芳さん、手をどけますよ……。」と火が点いた佐藤が最後の砦をどかす。……砦はあっけなく崩れる。

………ついに潤いきった秘所が佐藤の眼前にさらけ出された。
「こ、これが女の子の……こ、こんななってるんだ……。………き、綺麗です、蘇芳さん……!」
佐藤が初めて見る女の子の無毛のアソコ。全て丸見えだ。かなり興奮している。太股をぐい、と広げさせ、
顔を股間に埋めて限界まで接近する。そして、そこを凝視し、目を離さずに褒め称えた。鼻息がかかる。
……いや、匂いを嗅いでいる。「ああ、これが、これが………おま○こ………なんだ………!!!」
心臓の音が離れた卓哉の耳にまで聞こえる。はぁはぁという息使いが部屋中に響く。
「………す、凄い、凄いです………毛が生えてないから………丸見えで……………!」
まじまじとみながらうっとりと息を漏らす。凄い形相だ。「ぅぅ……。」
その感激ぶりと人が変わったような迫力に、卓哉の頭に初体験のあの恐怖が思い起こされる。
「……ぃ、ぃゃ………。」無意識に女のような声が出てしまう。しかし、誰も気にとめない。
それが当たり前であるといった風に。手で佐藤の頭を押し返し、腰をくねらせ、足を閉じようとする。
しかし、佐藤は内股をがっちり押さえつけていて足を閉じる事はかなわない。
「だ、大丈夫です、痛いこと、しませんから………」
顔をちらちら見てそういいつつも、意識は初めて見る女性器に釘付けだ。

……佐藤が初めて女性のアソコを見たのはそう、中学時代、道端で見かけたヘアヌード写真集。
拾えなかった。なんか自分が汚れてしまう気がしたし。純情な佐藤はそれが精いっぱいだった。
毛で隠れていたからどんな形か全然わからなかった。もちろん見て、すぐ逃げたのもある。
そしていま、数年間、想像して想像して、恋焦がれていたもの全てが目の前に見える。

「ああ、凄い……濡れてる……本当に濡れるんだ………。」はぁはぁと息が吹きかけられる。
内股を押さえつけながらスリスリとムッチリした太股を撫で回す。それだけでもどんどん濡れてしまう。
…卓哉はまだ葛藤している。このままでは最後までやられてしまう……。…でもこの疼きを……。

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ………はむっ!」それまで凝視するだけだった佐藤が
堪えきれずに勢い良くむしゃぶりついた。
卓哉の股間に甘ったるい電流が走る。
「っうきゃぁん!」思わず可愛い声が出る。
「………じゅるるるるる………はぁっ……レロッ…お、おいひい、おいひいれすすおうさぁん……!」
興奮しながら激しく穴を嘗め回す。目茶苦茶な舌使い。……それでも疼ききった股間には最高の愛撫だ。
「んぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんん!!」大きな声で鳴き、悶える。
「はふっっ……じゅるるる……はぁ…ど、どんどん溢れてくる……ぜ、全部飲んであげますからね…!」
「んぁん!!」そこにいるのは、ちびで弱虫の佐藤ではなく、雌への欲情に駈られた一匹の雄だった。
じゅるるるるるる……ちゅぅぅぅぅぅぅっぅう……れろっ……
凄い水音。前についている穴という穴を目茶苦茶に嘗め回す。そしてその愛撫で溢れてくる愛液を吸う。
「んっくぅぅぅぅぅん!!」
佐藤の頭を押さえつけ、腰を激しくくねらせ、悶える。
「ちゅっ……じゅるるるるるるるる……ああ、おいひい、さ、さいこうですぅ、すろうさんっ……!」
「んっふぅううん、くぅぅぅぅ!!」
突起を柔らかい舌でグリグリと潰される。腰がのけぞり、浮く。
執拗な愛撫は続く。膣口に浅く舌を差し入れ、敏感な入り口周辺を引っ掻き回す。
「うぁぁぁん!やはぁぁぁぁぁ!」
腰が踊るように跳ねる。つい、腰をぐいぐいと頭に押し付けてしまう。
「ああ、いやあひい、いやあひいれす、すおうはんん!!」股間に顔を埋めつつ興奮する佐藤。
大きな胸を震わせ、くびれた腰を艶めかしく、激しく躍らせて、大きく脚を開き、
男の顔を股に受入れ、喘ぐ。その姿は佐藤の言うとおり本当にいやらしい。
佐藤の舌がさらに跳ね回る。先を尖らせ、尿道をグリグリと強く刺激する。
「ぁぁぁあああああああん!そ、そこはぁっ!!」しかし、その叫びもむなしく、愛撫は執拗に続く。
………じゅるるるるるる………ちゅぅぅぅぅぅ……れろれろれろれろ………
「あっあっあっあっあっあっ………!!!!!」

いつしか、波がやってくる。
………腰ががくがく動く。佐藤の顔にアソコがぐりぐり擦り付けられる。
「はふっ、はふぅっ、ひんっ、ひぃっ、あはっ、んっ、んひぃっ…………!!」

……しかし。佐藤が突然愛撫をぴたっと止めて、股座から顔を上げた。
「………っ!えっ………あっ………。」……いけなかった。思わず切ない声を上げ、身を捩る。
「っはぁっ、はぁ、はぁっ、はぁ………???」肩で息をしながら呆然とした顔で、佐藤を見る。
佐藤は上半身を起こし、ずい、と圧し掛かり顔を寄せてくる。口の周りは愛液とよだれでべとべとだ。
「す、蘇芳さん、ぼ、僕もう我慢が………。」血走った目。荒い息。手はズボンに掛けられている。
卓哉の脚の間で、ベルトを慌ただしい手つきでカチャカチャと外そうとしている。
でも、武者震いに震えたその手は全く虚空を切るばかりだった。

………ちび佐藤が俺の体を激しく求めてきている。

……そうだ、ここで断ればきっと犯られずにすむ……。俺は男だし……こんなの、間違ってる。でも……。

ここに来て最後の決断を迫られる。卓哉は激しく葛藤する。……そしてギリギリの理性を搾りだす。

「っ、さ、佐藤、やっぱり、こんなの、やめよう……間違ってる………」弱々しい声で言う。
「そ、そんな、何も間違ってませんよ……!?」かちゃかちゃと外しながら言う。
本当に我慢出来ないらしい。「だ、だって俺は男だし………。」
「そ、そんな、蘇芳さんは何処からどう見ても可愛い女の子です!」
…………かちゃ。ベルトが外れる。尻ごむ卓哉を無視して、佐藤は一気にズボンとトランクスを脱ぐ。
プルン。控えめな剛直が弾けるように姿を見せる。さらにワイシャツも勢い良く脱ぎ散らかし、全裸になる。
…………目が釘付けになる。胸がきゅんとなる。男だったらありえない感情。

……女になって別に性欲がなくなったわけじゃない。気持ちいい事は嫌いじゃない。
でも、体を自ら許したら心まで女になってしまう気がする。それに……何よりあとで自己嫌悪に陥る。
それだけが不安だ。だから………。いや、でも、佐藤は知らず知らずやってたんだろうけど、
やっぱりぎりぎりで行きそこなって焦らされた体が疼く。身を捩じらせる。早くすっきりしたい………でも。
この一線を超えては………。

卓哉の葛藤は続く。
……だが。佐藤は圧し掛かってた上半身を戻し、改めて卓哉の股間に体を埋めた。
そして卓哉の腰を掴んで引き寄せ、自分の腰と密着させる。
「あっ………よせ………っ!!」弱々しく抗議し、身を捩じらせる。だがそれ以上の抗議はしない。
拒絶するまでもなく股を開き、股座に男を迎え入れたまま。今更何を言っているのかと自分でも思った。
………佐藤がペ○スを卓哉の股間にあてがう。……………入れられる!
「!!!!…………」その瞬間に身構える。

しかし。佐藤はペ○スの先でグリグリと秘口を弄りながらこちらの様子を伺うのみだった。
「え、ぁ………んふ………………??」………い、いれないのだろうか?卓哉は面食らった。
ぐりぐり。カウパーのドロドロと滲み出ている先っぽが秘口に宛がわれ、擦っている。くちゃくちゃと。
カウパーと愛液がヌルヌルと卓哉のマ○コで混ざり合う。とんでもなく卑猥なその光景と音、
そしてじわりと来る快感に、さっき行きそこなってそのままなのもあって、卓哉の激情は一気に燃え盛った。
「ぁ…………ああ…………あ………。」
切なげな声を出しながら、グリグリと秘所を擦るペ○スの動きに合わせて思わず腰をくねらせる。
「(……いれたい。いれたい。いれたい。いれたい。)」くちゃくちゃ。くちゃくちゃ。くねくね。
頭がその言葉で埋め尽くされた。何も考えられない。ポーーーーっとしてくる。
でも…でも。卓哉の理性はそれでもなお、強固だった。
………地獄だった。せめて無理矢理入れてくれればどんなによかったか。


「ふぅ…ふぅ…はぁ…んふぅ……。」卓哉の息が荒くなる。くちゃくちゃくちゃくちゃ。くねくねくね。
水音は止まらない。無意識に動く腰も。

もう少しで、折れる。そんな卓哉を見て佐藤が甘く囁いた。
「す、蘇芳さん、今時の女の子の間じゃあ、セックスってスポーツ感覚なんですって……。」
「…んふっ…ぅ………??」卓哉がボーっとした頭で話を汲み取ろうとする。
くねくね。くちゃくちゃくちゃ。その間も腰の動きとペニスの動きは止まらない。

「……それで、で、今、卓哉さんは女の子、じゃない、ですか。」「……うん……。んふ……っ。」
くちゃくちゃくちゃくちゃ。くねくねくね。
目を合わせない。二人とも目は擦り合わされるお互いの性器に釘付けだ。

「はぁはぁ、で、何、何でセックスしないんですか?」「だ、だって、俺は元々男だから………。
このからだは………んふっ………今だけの奴で………んぅ……。」くちゃくちゃくちゃくねくねくね。
カウパーと愛液の混合液がダラダラと流れ落ちる。すでに卓哉のお尻の下には物凄い大きな水溜まりが。

「はぁはぁはぁ……え、ええ、そう、今は女の子です。なんで、男の、考え方なんです……?ふはっ。
 セックスは……好きな異性、としか、やってはいけないってのは…ふっ…男の考え方じゃないですか?」
「う、うんんと………そ、それ、わ…んふっ……。」○ニスの動きを強く、早くする佐藤。
にっちゃにっちゃにっちゃにっちゃにっちゃにっちゃ。
「!あ……ぁぁああ………あ………!」切なく喘ぐ卓哉。腰の動きもそれに合わせて活発になる。
ぐりぐりぐりぐりぐり。気持ち良い。気持ちいい。きもちいい。

「はぁはぁ、す、おうさん、今は、間違いなく女の子なんだから、男の考え方なのは、間違って、ます。
女の子にとって…はぁ…スポーツ…なんですから…。…すおうさん、スポーツ、好き……んっ…ですよね?」
ぬっちゃぬっちゃぬっちゃぬっちゃ。
「うん、っふっ、うん……う、うん、すきぃ………あはっ……。」ぐりぐりくねくねぐりぐり。
のけぞり、だらしなく喘ぐ卓哉。歯を食いしばり、即時挿入の燃え上がる欲求を押さえつける佐藤の
おとした涎がダラダラと卓哉の綺麗な腹筋のラインとへそをつたってシーツに落ちる。二人とも限界寸前だ。



もう、卓哉はなにも考えられない。でも、納得した。別にセックスしていいらしい。
「はぁ……じゃあ……んふっ……これ…………。」くねくねくねにっちゃにっちゃにっちゃ。
………………最後の砦は崩れた。後に残ったのは性欲に満ち溢れる雌でった。

……佐藤もさっきから自分で何言ってるのかわからない。適当いってむりやり納得させた。
でも、何としてでも、合意の上やらなければ犯罪だ。そう、おもったから。……佐藤は気弱な男だった。
本当はすぐにでも入れなければ気が狂いそうだったが。

「はぁ、はぁ、はぁ………じゃ、じゃあ、入れますよ………」心臓が高鳴る。頭に血が上る。
息を荒げ、ぐい、と圧し掛かり膣口に狙いをつける。もうすぐ、もうすぐ女の味が………。
未知の快楽の体験への期待と焦りが手をがたがたと震えさせる。

「う、うん………うん…………うん…………うん………。」卓哉ももう、目がうつろである。
卓哉も柔らかい股関節をつかって挿入しやすいように手で太股を持って脚を180度近く大開脚させる。
お尻が腰を支えに宙に浮く。股間にはダラダラとはしたなく涎を垂らす口。
その流れは後ろの穴で雫となり、シーツに落ちる。

…………ぐっ。……するっ。「あ、あれ……?」ペニ○はアソコの陰核を擦っただけ。
「んふっ!」卓哉の喘ぎ声が聞こえる。でも、それは欲しかったものと違う。卓哉が非難の目で見てくる。

こ、今度こそ。………ぐっ。………するっ。「んっ!」また陰核と、○ニスがコリッと擦れる。
でも違う。欲しいのはこの刺激じゃない。「んぅぅ……」大開脚し、挿入を待っている卓哉が
腰をくねくねと動かし悶える。待ちきれなくなったのか、片手を太股から放し、佐藤のペニ○を握る。
焦らされたのもあって、つい強く握る。ぎゅむぅぅぅぅぅ。「あぁっ…………」切ない声を上げる佐藤。
思わず達してしまいそうになるが、こんな極上の女体を目の前に出す事など出来ない。踏ん張って耐える。
そんな佐藤の様子には目もくれないで、握ったペニ○を自分の入り口に誘導する。

「………いまのは、オシッコの穴でぇ………ホントは……んふぅ…ん………こぉこぉ……」
今迄聞いた事のない甘い声。卓哉の目はもはや快楽に染まりきっていて、虚ろだ。
入り口にペニ○を沿える。先っぽが膣口に入る。「あっ!」「んぅっ♪」同時に快楽の声が上がる。

佐藤の息が荒くなる。……先っぽがヌルヌルと温かい。もっと奥はどんな感じなんだろう?
………それは入れれば解る事。すこし腰を突き出せば入るだろう。……鼓動が早くなる。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……!」最早、我慢の限界。
佐藤が卓哉の胸に、ぐに、と両手をつき、一気に腰を進め、挿入する。

「ん!」
ジュプッ!大きな水音。「うあっ!!」「んあぁぁぁぁああ!」二人の声も同時に上がる。

卓哉の胎内は潤っているため、一気にペニスは奥の子宮口を叩く。ズン!
「んあぁっ!」子宮口を押し上げられた卓哉が大きく声を上げる。

「ああ、これ、これが女の子の……………。」
卓哉の秘口は狭く、きちきちと物凄い強さで締め付け、ヌルヌルして熱い。……恐ろしく気持ちいい。
入れたペニスが浮くようだ。オナニーなんて比較にならない。

「くぅぅぅぅぅ………はぁぁ………。」卓哉も疼きの元に蓋をされて、おもわず腰をくねらせ、よがる。
卓哉の経験の少ないアソコも今迄の愛撫ですっかりほぐれ、少しひりひりするがそれ以上の快楽が
全身を駆け巡る。すこし、佐藤のモノが小さいのもあるだろう。

…………快楽にしばらく恍惚とする二人。

しばらくして佐藤がいきなり激しく抽旋を開始する。胸が目の前で弾む。いや、それ以上に股間がヤバイ。
「うぁぁっ!」「うんんっ♪」ぬるぬるきつきつに加えて、でこぼこしている。脳髄が痺れる物凄い快楽。
思わず腰が浮く。……実は卓哉の性器はミミズ千匹という名器の一つだった。しかもキツイ。
気分の高揚しきった童貞ではとても耐えられるものではない。数回の抽旋で………。


「あ、で、でますぅぅっっっ!!!」
ずぐっ!腰を目一杯奥に突き込む。ペニスの先っぽがコリコリしたところを激しく押し上げる。子宮口だ。
「んくっ!♪」灰谷のときとは違い、子宮を押し上げられても顔が快楽に染まる卓哉。
どくっどくっどくっどくっ………子宮に大量の精液が流し込まれる。……その量は灰谷を上回る量。
ぎゅうぎゅうと締め付けられ、絞り出されるかのよう。

長い時間、放出する。卓哉の腰をがっちりと掴んだまま、自分の腰を力いっぱい密着させて精を吐く佐藤。
「……………ふぅぅぅ………はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……。」佐藤がペニ○を抜く。
………ゴポッ。とても一回で出したとは思えない量の精液が、無毛のそこをつたって、滝のように
シーツに垂れる。………垂れてきた分だけでも50ccはある。
「はふっ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ………。」精を吐き、どさっと尻餅をつき崩れ落ちる佐藤。
その下で、手で足を大きく開き、その中心から精液をダラダラと垂れ流している卓哉が身を捩り
「ん〜〜!」と不満そうな声を上げた。卓哉は最初のクンニからずっとイケないで昂ぶったままだ。
気が狂いそうな焦燥感に襲われている。腰をくねくね動かす。でも、どうにもならない。

……と。卓哉がガバッと起き上がり、どさっと佐藤に覆い被さった。
「うぁ!、ご、ごめんなさいぃぃぃぃ!!」何故か反射的に謝る佐藤。
しかし、そんな様子を気にもせず、身を縮こまらせる佐藤を組み敷いて腹の当たりに馬乗りになる。
「ううぅっ!!」しかし、佐藤は殴られると思っているのか、ばたばたと脚を動かし、暴れる。
「………いいから、じっとしてろっ!」後ろ手に手探りでペニ○をさがし、ぎゅっと握り締め、
つい甲高い声で戒める。ここは保健室で、誰かきたらどうしようなんて考えは最早、頭の片隅にすらない。
今は栓が欲しい。股間の疼きと洪水を止める、栓。硬い肉でできた、精液が先っぽから出る栓。
ぎゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ………。
「うはぁっ!」強制的に送り込まれた鈍い快楽に、萎えていっているペ○スに再び硬度が戻る。

卓哉はその硬度を保ちつつある栓を、にぎにぎと刺激を与えつつ、自分の股間をもっていく。
その股間からはダラダラと精液がまだこぼれていて、佐藤の腹に水溜まりが出来る。
……栓を、しなければ。高揚した頭でそう思う。まだ堅くなりきってない栓を、
これ以上我慢出来ないといった様子で入り口に宛がい……………一気に飲み込む。

ずるっ!!騎乗位で一気に最奥まで。子宮をズンと押し上げる。
「んぁはっぁっっ!!!♪」「くぅぅぅぅぅぅ!!!」喘ぎのデュエット。

「ん〜〜〜〜〜♪」佐藤の胸に手を置き、くりんくりんと結合した腰を回転させ、具合を確かめ、喘ぐ卓哉。
股間からはダラダラと愛液と精液の滝が、ペニスをつたって落ちているので、凄い水音がする。
ブシュッ…グシュッ…。その音にうっとりしつつ、胸を自分でぐにぐにと弄び、快楽に震える。

「ふぅぅぅっっっ!!」再びさっきのヌルヌルキツキツでこぼこが、佐藤のペニスをぐいぐい責める。
強制的に快楽が送り込まれる。吸い取られる。絞り取られる。しかし、ペニスは快楽に応え、
硬度を取り戻していく。

突然、卓哉が激しく腰を振り始める。ずしゅっ!じゅぴっ!ぴちゅっ!
ベッドが大きくきしむ。ぎしっぎしっぎしっぎしっ!しかし、今更どうでもいい事。
腰の動きは目茶苦茶である。前後にがくがく動かしたかと思えば、次の瞬間には円運動。
次は逆回転した後、上下に擦り立てる。その後も不確定にくびれた腰が動き続ける。
凄い水音が響く。じゃぴっ!じゅくっ!くちゃっ!
「あっ!んはっ!くはっ!んはっ!いはっ!んくっ!くふっ!んくっ!…ぁあああああぁぁぁぁっ!♪」
はしたない喘ぎ、はしたない水音。涎を垂らして快楽を貪る。股間からは未だ精液と愛液の滝が見える。
佐藤の手を取り、大きく弾む胸に押し付ける。愛撫を強要する。
……その柔らかな感触。股間から突き上げる快楽。ゆっくりと…佐藤は再び欲情に燃え上がった。
ずにっぐにっ!力を入れて握り潰す。しかし、快楽に染まった卓哉には快楽しか届いてない様子だ。



腰をさらに無茶苦茶に擦り立てる卓哉。ぐしゅっ!ぐしゅっ!ぷちゅっ!
「うぁん!あぅ!あぁ!あっ!あはっ!あっ!あくっ!んあっ!♪」大きな喘ぎ声。廊下に響いている。
「うぅぅ!!」きつきつが、ぬるぬるが、でこぼこが、全て絞り取ろうとしている。
ペニスがふわふわする。少しも立たないうちに、その魔性の肉壷に絞り取られようとしている。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ………。」佐藤がイキそうになる。
大きな胸を激しく揉みしだきながら、下から激しくガスガスと突き上げる。
「はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!」ズンズンズンズンズンズン!!!
「んはっ!んっ!くひっ!んあんっ!はひっ!くふぅ!」自分も派手に動くと抜けるので、卓哉は
腰をゆるゆるとくねらせながら、胸を弄ぶ佐藤の手を上から握り、下からの突きを甘んじて全て受け止める。
ズンズンズンズンズン!!色々な角度から子宮が押し上げられ、その振動で子宮の中に溜まっていた精液が
だらだらとペニスをつたって落ちてくる。激しい擦り合いで、愛液と精液の混合液が、接合部で泡立つ。

恍惚とした表情で、腰をくねらせつつ激しい突きを子宮で受け止めながらその様子を見る卓哉。
………妖絶な笑みを浮かべる。これがあの蘇芳さんだろうか。こみ上げる射精感の中、ふと思う。

「ぅぁ、で、またでますぅぅぅぅぅ!!!!!!」
ズン!佐藤が最後に思い切り突き上げる。上に載せた卓哉ごと腰が宙に浮く。そして吐精。
揉みしだいていた胸を強く握り締める。形の良い胸が大きく歪んだ。
卓哉はくねらせていた腰を止め、先っぽがうまく子宮口の入り口に来るよう、調節する。
「(…………ここだ♪)」お腹の奥の奥が温かくなるポイント。そこで腰を止める。
子宮の奥で精液を受け止めている。……………温かくて、気持ちいい。
ドクッドクッドクッドクッ……………。佐藤は脳細胞が死ぬんじゃないかと思う程の快楽を味わいつつ、
卓哉の腰を思い切り押し上げ、卓哉の胎内に精を吐き出す。それを卓哉は悦んで最奥で受け止める。


「――――――――――っっっっっっっっはぁっっ………っはぁっはぁっはぁっはぁっはぁっ…!!」
佐藤は長い長い射精が終わり、胸を揉んでいた手をどさっとベッドに投げ出し、大の字になる。
もう、これ以上はできないっぽい。全身に広がる疲労感の中、肩でぜいぜいと息をする。

………………???まだ、蘇芳さんが上から降りない。
目を開ける。まだ跨って………見下ろしてる。妖艶に微笑んで。カーテンごしの太陽の薄明かりの中、
全身に浮き出た卓哉の汗が怪しく光り、その妖艶さにさらに怪しい魅力を付け足す。
美しい……………美しすぎて、寒気がした。

ふと、結合部を見る。
……………ペニスの根元に精液の水溜まりが出来ている。………凄い量。
2回の射精だけでこんなに……自分でも目を疑う。これは先ほど流れ出てきた50ccより明らかに多い。
……ところで、蘇芳さんはこんなに、受け止めて妊娠とか大丈夫なのかな……?
性転換だから妊娠はしないのかな………大の字に寝そべって呑気にそんなことを思う。

その時。
……きゅぅっ………………!!!
萎えかけたペニスがまたきつく締め上げられる。
「(…ぅっ!!…………えっ………!?)」殆ど快感はなかった。まあ、すこしはあった……が、
その刺激にまたペニスがむくむくと反応する。生理的なもの……。驚いて蘇芳さんの顔を見る。
………妖艶な笑み。「(ひょ、ひょっとして…………。)」嫌な予感がする。

……が、しかし。
………にゅるっ……ぽてん。
蘇芳さんが僕を跨いだまま立ち上がった。硬度を取り戻しつつあったペニスが抜けて、
だらしなく体の上に倒れ込む。精液と、愛液まみれでべとべと。………我ながら凄いな、と思った。
…………ごぷっ………。上の方で水音がした。上を見る、と蘇芳さんが跨って立っている。
妖絶に微笑む綺麗な顔。汗ばんでつやつやと光る大きな胸。くびれた腰。肉付きの良いすらりとした足。
そして毛の生えていない丸見えのアソコ。後ろ手に手を組み、軽く股間を突き出した姿勢で立っている。
神秘的なまでに美しい体のラインが目の前にさらけ出される。

………いや、それよりも。立ち上がった蘇芳さんの股間。そこから音が発生していた。

…………ごぽっ…………。
ひとかたまりの精液がドロリ………と蘇芳さんの小さな、割れ目から生まれてくる。
ゆっくり…ゆっくり…糸を引き、落ちていく。つつーーーー………びちゃ。僕のペニスの上に落ちる。
さらに精液のトッピング。さらに酷い事になった僕のペニス。………でもまだ終わりじゃない。

「……んっ……ふぅっ……。」蘇芳さんの端正な顔がしかめられる。力んでいるようだ。
…………ごぽぽっ…………。
……するともうひとつの精液の塊が生まれてきた。今度のは水っぽい。愛液も混じっているんだろうか。
……だらだらっ……びちゃびちゃ……さらにトッピングされる僕のペニス。
今度はさっきよりも量が多い。まるでオシッコ浴びせ掛けられているみたい。
蘇芳さんのつるつるのおマン○から出る、精液と愛液のオシッコ。………最後の方は凄い水っぽい。
…………じゃーーーーー………。ペニスのみに関わらず、ぼくの骨盤の辺りが精液でドロドロになる。

「………んんん……くんっ………。」さらに力む蘇芳さん。
………ぽたぽたっ…………。
雫は出てくるけれども、もうストック切れみたい……。
………力むのを止め、ウフフッと髪を掻き揚げながら、無邪気に笑いかけてきた。

………アリーナ席で拝む、精液出産ショー。ベッドの上だけじゃなく部屋全体が栗の花の匂いで充満する。
その、僕の人生で恐らく1番淫靡だった蘇芳さんの行為に、股間が再び熱くなってしまった。
……汁まみれのペニスが再び硬度を持つ。2連発の疲れも何処へやら。
もう一度、蘇芳さんと繋がりたい。もう一回、蘇芳さんの子宮に精を吐き出したい。
そして、あわよくば……今のをもう一度やって欲しい……。性の欲求が一気に噴出する。

はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…。飢えた目で蘇芳さんの体を凝視する。
それを見て、全てを察してくれたのか、フフッと妖絶に笑い……………僕に背を向けた。
………そしてそのまま、今し方のショーの汁にまみれた僕の腰に躊躇い無く腰を下ろした。
背面座位。ビチャッ……。衝撃で汁が飛び散る。僕のペニスの上に、挿れずに座った。
大事なところが汚い汁まみれになってしまう。まあ、元はといえば彼女の中から出てきたんだけど……。
しかし、そんなのを気にせず蘇芳さんはそのままグリグリと僕の骨盤と自分の股間を擦りあわせる。
蘇芳さんのお尻、お尻の穴、お○ンコ、太股……精液と愛液と汗でべとべとになってしまう。
…………この極めて不潔で不浄な行為に………蘇芳さんは嬉しそうに腰をくねらせる。
それを見て、我慢が出来なくなってしまった。ガバッっと上半身を起こし、胸を両手でわしづかむ。
胸を目茶苦茶に揉みしだき、激しく形を歪ませる。それを見て、蘇芳さんは、フフッと笑って
僕のベタベタに汚れたペニスを手に取った。興奮でガチガチに硬質化している。
こっちは何時入れてもオーケーです……。

………「その時」に供えて胸を放し、再び横たわり、蘇芳さんの艶めかしい腰を掴んで、待つ。
それで、僕がさっさと挿れたいのを察してくれた蘇芳さんがペニスを掴み、腰を上げる。
…………阿吽の呼吸とはこの事だと思う。ぐちょぐちょに汁にまみれた二人の腰が離れる。
その際、何本もの粘質の糸を伴った。つつーーーーー。とてつもなく汚ならしく、淫靡だ。
そして、蘇芳さんは僕のペニスの先に腰を持っていき……くねくねと腰を動かしアソコに照準を合わせる。

そして………一息で、挿入。「んはっ!♪」「うぁっ!!」また、同時に声が上がる。
すんなりと奥に到達する……………そして「その時」を胸いっぱいに感じる。
ペニスをぎゅうぎゅうと包み込む熱いヌルヌル。腰を動かす度に感じるでこぼこ。
ああ…………これこれ……。最高だぁ…………。

卓哉の行為で劣情に燃えた佐藤は、最初から物凄い勢いで腰を突き上げる。
汁まみれの二人の股間から、びちゃっ!びちゃっ!びちゃっ!びちゃっ!と派手な音を立て、水が飛ぶ。
「はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!はぁ!」物凄い勢いで上に挿さっている卓哉を
突き上げていく。「あはぁ♪んふぅ♪くひん♪ふくっ♪きひっ♪」今度もまた自ら腰を激しく動かして、
抜けてしまうようなことはせずに、腰をゆるゆると動かして佐藤の突きをしっかりと奥で受け止める。
卓哉が激しく上下にゆすぶられる。胸も大きく揺れる。ゆさゆさゆさ。佐藤からは見えないのが口惜しい。
「っっくっっ!!」さっきにもまして凄い具合の良さに、佐藤は早くも射精感を覚えつつあった。
でも、さすがに2連発した直後、そう簡単に達する事はない。
「ふくっ、んっ♪」卓哉は腰をうねうね捩じらせつつ、気持ちよさそうに物凄い膣圧で締め付ける。
思い切り絞めるとより密着して擦れて気持ちいい。しかし、やりすぎると相手の暴発を招く諸刃の剣。
程よい感覚で締め上げる。…………結局、主導権は卓哉が握っていたみたいである。
ズンズンズンズンズンズンズンズン!!!びちゃびちゃびちゃびちゃびちゃびちゃびちゃ!!!
凄い音を立てて激しく交わる。ぎっしぎっしぎっしぎっしぎっし。派手にベッドの揺れる音もあわさる。
「はっ、はっ、はっ、はっ、はっ、はっ……!」気が遠くなりそうになりながらも、ガスガスと突き上げる。
「くひぃ♪あふんっ♪ふはぁ♪んきっ♪」卓哉は気持ちよさそうに腰を振り、身を捩る。
これではまるで佐藤は卓哉のオナニーに付き合っているかのようだが、本人の視点からはそうは見えまい。

…………しかし、変化が訪れる。
「ふっ!はっ!ふっ!くっ!ふはっ!ふぅっ!んあぁっ……!!」卓哉の声が高く、荒くなっていく。
佐藤はなおも激しく、ガスガスガス!と腰を突き上げる。佐藤がイク気配はない。
びちゃびちゃびちゃびちゃびちゃびちゃ!!!!さらに卓哉のからだが宙に舞う。
「あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!]]卓哉の声が更にせっぱ詰まっていく。

そして最後。
佐藤が一発一発を強く叩き込むように突き上げる。ズン!ズン!ズン!ズン!ズン!
子宮口が今迄に無い強さで思い切り押し上げられる。…………………その衝撃で。
「んぁぁぁぁあああああああああああああああぁぁーーーーーーーーーっっっっっ。」

絶叫して、達した。
体を反らし、白目を剥き、舌を出して派手に。
愛液がぷしゅっぷしゅっと結合部から吹き出す。ぴくぴくと痙攣する。

「――――――――――!!!!!!!!!っっっっ、く、はぁ……………。」

…………がく。
繋がったまま後ろに倒れ込んでくる。動かしていた腰を止め、慌てて受け止める。
顔を覗き込むと…………失神している。派手にイかせたみたい。……佐藤はすこし自分に自信がついた。

………でも……………これ、どうしよう。
蘇芳さんが失神したまま咥え込んでる、僕のペニス。………このままじゃ収まりつかない。
どうしよう………時折ぴくぴくと締まるアソコに挿れたまま考える。

そうしていたら……ふと気付く。失神してても結構締まるんだなあ、と。
………きゅっきゅっ。ほら。……結構気持ちいい。…………きゅっきゅっ。……うーん、良い。
これは、もしかしたら………いや、でも…………いやいや、もう、ここまでやったんだし………。

しばらく葛藤した後、すぐに決心する。

……少しおマ○コを貸してもらおう。先にイっちゃって、ずるいよね。
それくらいはしてもらわないと………。一人うんうんとうなずきながら、勝手に事を運ぶ。

くたっとした蘇芳さんから一回ペニスを抜く。………でろっ。白く濁った液体が流れてくる。
精液なのか、泡立った愛液なのか、詳細は定かではないが。
うわぁ、寝ていても蘇芳さんはエロイなあ………。(褒め言葉のつもりだが、褒め言葉になってない。)

ペニスを抜いたらその体をうつ伏せに横たえた。その上に覆い被さり、足を気持ち大きく広げさせ、
お尻に腰を密着させる。ごそごそごそ……………。あった。おマン○の穴。………では。

ずにゅっ。「んんっ!」
つい声が出る。蘇芳さんは無反応だけど。中はさっきと一緒。ぬるぬるきつきつでこぼこ。
早速抽旋を開始する。蘇芳さんがうつ伏せで膝は立てられないから、床にむけてペニス擦る感じで低く動く。
パンパンパンパン……。ずちゅずちゅずちゅずちゅ……。

グッタリしている蘇芳さんのおマン○に挿入して一方的にセックス。
がくがく体が揺れる。死姦みたい。やったことないけど。
腰をがくがく振りながら顔を覗く。………たまに唸って眉をひそめる。………なんか可愛い。
ちゅ。ついキスをする。さらに腰を振る。失神してもたまに異物感を感じるのか、たまにきゅっきゅっと
締めてくる。その不規則性がたまらない。パンパンパンパン……。ずちゅずちゅずちゅずちゅ…。
がくがく…。なんだか、いけない悪戯してるような背徳感があって、妙に興奮する。
息が荒くなる。「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……。」ずちゅずちゅずちゅずちゅ…。
射精感がこみ上げてきた。もちろん中山車しなきゃ。…………その方が燃えるし。
気絶してる女の子に中だし………。想像して興奮する。……さらに腰が早く動く。
ずちゅずちゅずちゅずちゅずちゅずちゅずちゅ……。「う……うんん……。」蘇芳さんの唸り声が聞こえる。
僕の腰に合わせてガクガクする蘇芳さん。なんだか、蘇芳さん、人形みたい。ダッチワイフ、だっけ?
ずちゅずちゅずちゅ!………来た。来た来た来た来た来た!蘇芳さんも僕の腰に合わせてがくがく揺れる。
「んくっ!!」ずん!最奥で止めて………吐精。ドクッ……ドクッ……ドクッ……ドクッ……。
子宮に吐き出されていく、精子。抵抗出来ない女の子に中山車。なんだか変態ちっくで興奮する。


「う、うぅぅぅん………。」蘇芳さんが起きたみたい。丁度吐きおわった。
……ずるっ。ペニスを抜く。…………どろっ…。蘇芳さんのつるつるのおマン○からあふれ出る精子。
うーん、やっぱり蘇芳さんはエロい。最高だ。

………むくっ。卓哉が起きる。「う、うーーーん…………?…………あれ?一体………。」
キョロキョロと見渡す卓哉。何故自分がここにいるのか思い出せない。
そんな卓哉に佐藤が近づく。「……蘇芳さん。」「え?」振り向く。……ドアップで唇を寄せる佐藤の顔。
「お、おわぁぁぁ!!!」ボコっ!つい拳が出る。「ぐふっ!」人中にヒット。
顔を押え、うずくまる裸の佐藤。「な、何をするのか!?……………んん!?」卓哉がようやく
自分の姿に気付く。「わ、な、何で裸!?…………うわ、何だこのべとべと!?」軽くパニックに陥る。
胸を隠し、恥じらいつつ周りを見渡す、というか、この周りの惨状は一体……。
ベッドは栗の花の匂いのする体液でドロドロのぐちゃぐちゃ。なぜか自分は汁まみれ………。
しかも股間から精液を垂れ流している…………。
うずくまっている佐藤を横目に、もうひとつのベッドの布団にスバッと入り込み、
佐藤から裸を隠しつつ何故こんな事になったのか、思い出してみる。

「(視線がうざくて………。保健室来たらこいつが寝てて………。さすって………隠れて………。
ぅ……そう、キスされて………うぅ……裸に剥かれて………あわや挿入……………。
………ん?あわや挿入…………あわや挿入………。……そ、そっから思い出せない…。」


(良い子の皆には説明しよう!
簡単に言うと、佐藤は計らずしも、卓哉に一種の催眠術を掛けてしまったのでありますた。
その間の記憶はもちろん無いと。ちゃんちゃん。)

とにかく、股間から溢れるこの白い体液……。そしてこの立ち込める匂い。
裸の俺と佐藤………。卓哉の頭の中で簡単な概要がまとまる。

……きっ!「……佐藤。」「ぅ、すおうさん、酷い…………。」「佐藤、コレは、お前のか?」
抗議を無視し精液の流れ出る股間を指差しそう聞いた。それを見て少し照れながら……。
「………ぅ、ぅん。すおうさん、最高だったよ。」とりあえず最高の褒め言葉を送る佐藤。

しかし。
「ぅ、うぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおお!!!!」ドガシャーーーーン!!!


後に少年は言った。女心は本当に複雑だぜベイベー、と