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AfteR Part-4-2

 ご飯に味噌汁、野菜炒めに目玉焼き。  ちゃぶ台の上に、俺と透矢で作った料理が並ぶ。 「いやぁ、まさかこんな日にみゆの作ったメシを食えるとは思わなかったな」 「別にそんなご大層なもんじゃねぇぞ」 「いいのいいの。みゆが作ってくれたってだけで、価値があるんだからさ」  その言葉に、思わず胸が熱くなってしまう。  今朝透矢と出くわしてから、何度となくこんな思いに悩まされてる気がする。  人の気も知らないでと、思わず目の前の彼を恨みたくなってくる。  でも、それとは逆に、もっとそんな言葉をかけて…

https://seesaawiki.jp/tsf/d/AfteR%a1%a1Part%2d4%2d... - 2012年08月21日更新

AfteR Part-4

   ―[1]― 「いっちにぃさんしぃ……」  日の出を迎え、街中が明るさに包まれ始めた頃。  あたしはジャージ姿で、ジョギングに精を出していた。  もうずっと前から、習慣みたくやってきた事だけど、最近は色々ゴタゴタしていてそんな暇も無かったのだ。  だからその分を取り戻そうと、今朝から再び始めているのだけれど……。 「ふへぇ……やっぱ久々に身体を動かすのは辛いかも……」  膝に手をつき、肩で息をしながらその場に立ち尽くす。  久々という事もあるかもしれないし、何よりこの身体になったの…

https://seesaawiki.jp/tsf/d/AfteR%a1%a1Part%2d4... - 2012年07月25日更新

AfteR Part-3

 人生で最悪な日。  それがいつかと聞かれたら、俺は自信を持って言ってやりたい。  今日、正にこの日であると。  そんな思いに浸りつつ、俺は今自室にいる。  まだ夕方には早く、外も明るいままだというのにカーテンは閉め切られ、 まるでここだけ夜であるかのように薄暗い。  そんな部屋の真ん中で俺はただ独り――泣き尽くしていた。  どれだけ、涙がこぼれただろう。  そしてどれだけ、嗚咽を上げただろう。  ここ数日の、いや一年分のそれらを合わせても足りないほどに、俺の悲しみは、 そして苦しみ…

https://seesaawiki.jp/tsf/d/AfteR%a1%a1Part%2d3... - 2012年01月28日更新

AfteR Part-2 3

「死ぬかと思った………」  鬼のような息苦しさに苛まれてから、どれ位経っただろう。  咳き込みも大分治まり、荒い息を吐きながら一人ごちる。  こんな事を今まで何の気なく麻里紗にさせていたんだと思うと、心がチクリと痛むものだ。  そんな思いに耽りつつ麻里紗の方を見遣ると、まるで糸の切れた人形のようにぐったりと、 そして力なくベッドに横たわっている彼女の姿があった。  顔は完全に緩みきり、呆けたような表情を浮かべたまま天を仰いでいる。 「おい……麻里紗?」 「ほぇ………?」  気の抜けたよう…

https://seesaawiki.jp/tsf/d/AfteR%a1%a1Part%2d2%20... - 2012年01月28日更新

AfteR Part-2 2

―[3]―  電話をもらってから、早四時間の後。  俺の姿は、麻里紗と共に駅前のイタリアンの店にあった。 「ったく……何でこんな日に出かける必要があるんだよ」  呆れた素振りを見せながら、皿の上のパスタをくるくるとまとめていく。  既に夕方に差し掛かっているせいか、店内の人影はまばらだ。 そんな中で俺達は、昼飯というには遅すぎる食事をとっている。 「つれないこと言わないの。こうやって一緒に出かけるのだって一ヶ月ぶりだし」 「そういや……期末とか色々あったからな」  軽く言葉を交わしつつ…

https://seesaawiki.jp/tsf/d/AfteR%a1%a1Part%2d2%20... - 2011年09月28日更新

AfteR Part-2

 朝もまだ早い時間だというのに、外は既にうだるような熱気に包まれている。  けたたましいセミの声が辺りに一面に響き渡り、 それが一層暑苦しい雰囲気を演出しているようでもある。 「あぁぢぃ〜……」  額には玉のような汗が浮かび、まるで地の底から湧いてきたかのような声が、口から漏れ出す。  そんな暑さの中、手にした扇子をはたはたと扇ぎつつ、俺は一軒の家の前に立っていた。  小洒落た二階建ての一軒家に、ローマ字でKANZAKIと記された、木製の表札。  そう、ここが俺の実家である。  実家と言っ…

https://seesaawiki.jp/tsf/d/AfteR%a1%a1Part%2d2... - 2011年09月25日更新

AfteR(仮) Part-1 2

―[3]―  あれから数十分。  居間のテーブルには、憔悴しきって突っ伏している俺の姿があった。  シャワーを浴び、普段着―水色のシャツに黒の短パン―に着替えてそれなりに小ざっぱりはしたものの、 肝心の中身の方は未だにさっぱりとしない。   それも仕方の無い事だ。半年前まで、現実離れした出来事に数多く出くわしてきた俺ではあったが、 まさかこんな、現実離れの最たるものを身をもって体験しようとは思ってもみなかったのだから。 ――なんでこんな事になっちまったんだ? ―――元に戻る方法はあるのか…

https://seesaawiki.jp/tsf/d/AfteR%a1%ca%b2%be%a1%c... - 2011年09月25日更新

AfteR(仮) Part-1

 教会の大聖堂を思わせる、広大な空間。  至るところに施された、禍々しいほどの装飾。  辺りを覆う、押し潰されそうなまでに重い空気。  その中に俺は立っていた。  正確には俺だけではない。俺のそばには気絶し、ぐったりとした様子で横たわっている少女―麻里紗の姿があった。  あちこちに受けた、大小の傷跡が痛ましい。  俺の方も例外ではなかった。アーマーに守られていた筈の身体は、度重なる攻撃によってボロボロの状態にあった。 中身がこんな状態なのだから、外側、つまり身に着けているアーマーはそれ以上…

https://seesaawiki.jp/tsf/d/AfteR%a1%ca%b2%be%a1%c... - 2011年09月25日更新

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