『悪魔の心臓』総長のハデスから命を受け、『妖精の尻尾』S級魔導師昇格試験会場である彼らの聖地・天狼島襲撃に参加。
『妖精の尻尾』試験参加者たちを勝手に格付けし、ギルドの為というよりもウルティアの邪魔となる『妖精の尻尾』の徹底排除を行う。
ヒロインの一人であるS級魔導師・エルザと、参加者(既に昇格試験からは脱落)の水の魔導師ジュビア
*1を襲撃し、エルザを「3位」、ジュビアを「13位のゴミ」と罵り、主要人物の一人・グレイ
*2を「ウルティアから全てを奪った『1位』」として血祭に上げる旨を宣告する。
が、これにより脳の99%がグレイで占められている色ボケ神・ジュビアの逆鱗に触れることとなり、エルザですら驚愕するほどの水圧攻撃で木に叩きつけられ、絶叫するほどのダメージを受ける。
しかしメルディはジュビアを罠にはめて彼女とグレイを生態リンクさせ、彼女を始末することで痛覚を共有したグレイをショック死させようとする。
なおも奮戦するジュビアに驚いたメルディは腹をくくり、あろうことか自分自身をリンクさせることで自害し三人纏めて死に追いやろうとするも、その感情がウルティアへの「愛」故のものであると知ったジュビアは、自ら左脚を殴り潰し、メルディの自害を阻止する。
鈍痛が押し寄せる左脚を抱えて苦しむメルディに向け、ジュビアは歩み寄る。
しかしその手がメルディを打つことは無かった。彼女の両腕は、メルディを優しく抱き寄せていたのだから。
ウルティアのことを愛しているのなら、彼女から愛されているのなら、如何なる愛や大義名分を叫ぼうが死を選んで喜んでくれるわけがないと、
ジュビアは大粒の涙を流しながら叫んだ。
生まれながら暗雲を呼び、太陽から嫌われ、雨の世界に生きてきたジュビアにとって、愛を与えてくれた人に死別で返すなど決して考えられない事だったから。
彼女と「感情」を共有したメルディはまたその涙雨を受けることとなり、自ら刃を手放すのだった。
果てさて生態リンクを解除したメルディであったが、ウルティアが黒魔導師ゼレフ
*3の拿捕に成功したことを知ると、彼女から託された気絶しているゼレフを託され、させじと(脚を折ってしまったせいで)怪奇逆エクソシストと化したジュビアから追い掛け回されることになる。
その最中、『七眷属』の一人である炎の滅神魔導師ザンクロウ
*4から、「旗艦にゼレフを呼び込む」とマスターハデスの命に背いたことを見透かされ、用済みと見なされて焼き殺されそうになる。
ハデスよりウルティアの意見を尊重したことに激怒するザンクロウに、メルディは「ウルティアとゼレフの力さえあれば失ったものは全部戻ってくる」と返すが、ザンクロウの告げた応えは、何よりも残酷なものだった。
「その町を焼いたのはウルティアさんだがな!」
絶望に打ちひしがれるメルディに、ザンクロウの神を滅する黒焔が迫るが…。
その後、ハデスは『妖精の尻尾』により捕らえられ、意識を取り戻したゼレフは逃走。首の皮一枚繋がったメルディはウルティアと再会し、小舟で天狼島から脱出を図る。
波間に揺れる船の上で、メルディはザンクロウから聞かされた真実をウルティアに問う。答えは、やはりYESだった。溢れ出す怒りを抑え込むことも忘れるメルディだったが、その眼前に海の青と対を成すが如き赤い雫が落ちた。
ウルティアは、既に影腹を切っていたのだ。
海へと身を投げるウルティアを、一片の躊躇も無くメルディは救い上げた。
ジュビアの伝えた命懸けのメッセージは、殺人マシンになっていた幼い天使の心を、本物の天の使いの如く慈愛に満ちた物へと変えたのだ。
本国に戻った二人は、自分たちにより人生を滅茶苦茶にされ、破壊の権化にされてしまったジェラールを牢から解き放ち、中立ギルド『魔女の罪』を結成することとなる。