真夜中。突然聞こえたフランソワーズの悲鳴。
ミッションを終了させてドルフィン号に辿り着いたのはついさっき。
後味の悪い事件で,とにかく一刻も早く防護服を脱いで全てを洗い流し忘れてしまいたかった。

『嫌!どうして・・・!?』
悲鳴とともに流れ込んできた脳波通信。
Tシャツとハーフパンツのままベッドに突っ伏していたジョーが跳ね起きた。
『どうした?』
全く答えず、聞こえるのは悲鳴だけ。
防護服を着直す間もなく、銃を掴んで部屋を飛び出す。
『003』のプレートのついたドアを叩いて中を確かめるが、微かに聞こえるのはシャワーの音。
「フランソワーズ!」
鍵は内側から掛っていたが、叩き壊すのは他愛も無い事。
ジョーは背にした皆を制止させる意味で、声を出さず軽く右手を上げ、
隣でマシンガンを構えた004に目で合図をするとドアを蹴破った。
≪フラン?≫
一緒に飛び込んだアルベルトを残しシャワー室に歩を進める。
『フラン?誰かいるのか?』
『イヤ!どう・・して・・・こんな・・・。』
彼女の声は狂気を含み、混乱していた。…がフラン以外の気配は無い。
ドアを振り返ると、アルベルトがシャワー室を顎で指し、部屋を出て行った。

そっとシャワー室のドアを開けると湯気の中、フランソワーズは床に座り込んでいた。
真っ白な裸体を叩きつける水音に混じってうめく様な泣き声。
「落ちないのよ。血が・・・黒い血が・・・。」
「大丈夫だよ。血なんか付いていない。落ち着いて。」
ジョーは震える彼女に手近なバスタオルを掛けて包み込む。
「僕がわかる?大丈夫だよ。大丈夫。」
胡坐をかいてフランソワーズを上に乗せ
後ろから彼女の震えを止める様にきつく抱きしめる。
しゃくり上げながら、震える細い手が顔の前に差し出された。
「落ちないのよ。手も顔も、胸も・・・血で汚れて・・・。」
ジョーはその手を取りくちづける。
「綺麗だよ。君の手も体も顔も、穢れていない。汚れてない。」
唇で挟むようにして、指に、手の甲に、掌に余す所無くキスをする。
抗うように首を大きく振って彼女が振り返った。
悲しみに覆われた暗い瞳を見て、ジョーは思わず唇を奪う。
「!」
フランソワーズの頭を逃げられないように押さえつけ、自分の唇で柔らかい口を塞ぐ。
「息は止めちゃダメだよ。」
固く結んだままだった唇を舌で割り、隙間を作ると少しずつ角度を変え
啄ばむようにキスを落す。
荒い息を付きフランは混乱したまま懸命にジョーを押し返そうとしていた。
ジョーは小さく首を振り少し苦笑すると、フランを抱き上げ対峙するように抱き直した。
「君は綺麗だよ。何処が汚れたと思ったの?」
≪此処?≫言いながら額、瞼、頬にキスを降らせる。
身を固くしたフランの顎から喉に唇を這わせ、噛み付くように首筋にキスをする。
「あっ!」
フランが小さな悲鳴をあげた。
それを合図にジョーの口づけは益々官能的になっていく。
鎖骨から二の腕、腕、手首・・・。嘗めるように唇が這う。
「あ・・・いや・・・!」
必死に抵抗する細い手首を掴み、胸の白いふくらみにくちづける
のけぞるフランソワーズの背中を支え、シャワーの水を舐め取るように舌を這わせた。
「本当に…きれいだ。」
執拗に唇で、舌で刺激され、肌がピンク色に染まる。
ジョーは自分の太腿に当たるものが、シャワーの水だけでなくフランソワーズから
あふれ出た秘水であると唐突に気づき理性を吹き飛ばしそうになった。
「・・・ほ…んとうに。」
「え?」
「本当に汚れてない?血の跡は、無い?」
一瞬、自分の邪な考えを読まれたのかと息を呑んだがそうではないとわかって
苦笑する。
「本当だよ。血の跡なんか何処にも無い。」
≪フランソワーズは自分の身体のこと気づいてない?≫
「綺麗だよ。これでも今僕はずい分と我慢してる。」
「?」
「このまま君を抱きたいと、1つになりたいと思っている。」
「えっ?」
驚愕と恐怖で身を固くしたフランソワーズに笑顔を向ける。
「本当。でもしないよ。君が大切だから。」
自分の胸に顔を押し付けるようにフランの体を抱きしめる。
「大事だから、大切だからこんな事で流されて結ばれたくは無い。
ちゃんと君に伝えて、それから…ね。」
フランソワーズが≪コクリ≫と小さく頷いた。




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すいません、終わりです。
元々別なお話 (こっちは陽の目を見ることは無いと思いますが) の裏話ですので
これだけだと無理があったかも…。
ミッションでスプラッタ並に「血」を被ったフランちゃんのお話でした。
恋人未満の二人ですが、一応メンバーからは93公認で。

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