「僕のどこが好き?」

外は静かな雪。
数年前二人で見た映画が流れるTV画面。
ソファーの座面を背もたれにラグに胡坐をかいて缶ビール片手の俺。
つまみは明日のための殻付落花生。
「・・・?」
90度の位置のソファに座ってこちらをじっと見ている薄茶の瞳。
「質感かな?」
口を吐いたのはいつか見たコラムの言葉。
確か・・・女に『どこが好き』か聞かれたときはそう答えろと書いてあった。

「何の?」
・・・あ、そう返されるって書いてあった・・・切り返しは・・・何だっけ?
「いろいろ。」
ジョーの顔が一瞬で紅潮する。
「はぐらかしてる。」
・・・違った・・・な。
「何が?」
・・・ったく、めんどくせぇぞ・・・

アルコールのせいじゃなく目の縁を赤くしたジョーが半眼で睨む。
「そうやって、いつも・・・」
気持ち尖った唇。
「いつも何?」
可愛いと思った感情が声に出た。
「ほら!聞いてるのは僕なのに。」

「じゃ、顔。」
・・・確か第2の答えが顔だった。
「んぁ?」
半開きになった唇。
「顔が好き。」
ぐいっとジョーの二の腕を掴んでソファから引きずり落とす。
「・・・顔って・・・」

唇がくっつく寸前まで顔を寄せる。
「この目も・・・」
ジョーの顔のパーツを確かめるように一つ一つ見つめて。
「・・・眉も・・・」
期待に柔らかく開いたままの唇。
ギリギリまで寄せた唇を外して鼻の頭にくちづける。
「・・・鼻も・・・」
「あ・・・」
金色の光を放って薄茶の瞳が大きく開く。
「・・・唇も・・・」
下唇を唇で甘噛みのように挟み込む。
一瞬唇を離して上唇を音を立てて吸った。

少し顔を傾けてぽってりした赤を味わうようにキスをする。
僅かに開いたところから、まるで誘うように出る舌先。
すぐに吸い込み舌を絡ませた。
熱い吐息が漏れ、身体が火照る。

頭が真っ白になって…
ただ静まりかえった部屋に二人の甘い吐息が満たされる。
甘えた仔猫のようなささやきが耳をくすぐる。
「・・・ん・・・馬鹿・・・っ」


fin.

:::::::::::::::::


ネットのコラムか何かで
「女の人にどこが好き?と聞かれたら質感と答えろ」と
あった(・・・かなりうろ覚えだけど。)
「全部」とか「別に・・・」とか答えちゃイカンのですって。
オブラートに包んだ感じで答えるのがいいって事なんだろうけど
なおざりに答えられたら確かに嫌だけど
これもどうだろう?

ってか「私のどこが好き?」
なんて砂吐きそうな言葉は絶対に言えないし。

一応。
ジェッ誕で。

メニューバーB

      

最近更新したページ
*2013.5.1 アドレス変更しています

フリーエリア

管理人/副管理人のみ編集できます