(´・ω・`)「ウィルス・・・」 - 夢想
::夢想


好きな人に好きだと言われれば、それはとても幸せなことだと思うし
そうなればいいと願ってはいたけれど。

「オレはリタのこと好きだぜ?」

さらりと自然にいつもの笑顔で言われれば、まずは幻聴を疑って。
次の段階でからかわれているのだと気付く。

「はぁ?!…何、あたしをからかうのがそんなに楽しいの?」

からかわれているのだと分かっていても、頬は自然と熱くなる。
惚れた弱みなんて、思いたくないけど。
言っていい冗談と悪い冗談ってあると思う。

「からかってるわけじゃねーけど、そうやって真っ赤になるとことか可愛いから」

あぁ、そうやってまた、こいつはあたしの心を乱す。
向けられる視線が真っすぐすぎて、頭の中まで熱くなる。

「つい、いじめたくなって」

悪気の無い笑顔を向けるから、よけいに質が悪い。

「ぶっ飛べ!!」

「落ち着けリタ、暴力反対」

詠唱しようと身構えた腕を強い力で引き寄せられる。
ユーリはあたしに視線を合わせてまっすぐに見据えた。

「平和的解決、な」

見透かされた笑顔を向けられると、少したじろいだ。
その一瞬の隙で顎を掬われ口付けられる。

「……ん…っ」

何が起きたのか咄嗟にわからなくて、思考が止まる。
理解する頃にはきっと耳まで真っ赤で。

「御馳走様」

向けられるのは邪気の無い笑顔。
やっぱり何をしたってこいつには敵わない。

「……〜!」

なんで好きなのかなんて、あたしが知りたいくらいだけれど。
こればかりは自分でもどうしようもないのだから仕方がない。

ふわりと抱きしめられると、また頬が熱くなる。
けれどその腕の中は心地よくて。

「からかってるなら本気でぶっ飛ばすわよ」

触れる体温が熱い。伝わってくる心臓の音が少し早くて。
ユーリの表情に興味がわいた。

「だから、最初から言ってるだろ。からかってねーし、オレはリタが好きだって」

あたしにばかり都合のいい言葉。また幻聴でも聞いてる気になる。
いっそ夢なのだと思った方が現実味を帯びているかもしれない。

「…ぶっ飛べ、ばか」



夢でもいいから、今この瞬間だけはあんたを独占していたい。