Thinking about... Backyard Lab. - 発掘宇宙船
 古代の遺跡から発見された宇宙船?の総称。
 現代の刻印魔法は、古代の技術レベルにまで至っておらず、一般的に、発掘宇宙船の性能は、現代の宇宙船の性能を軽く凌駕する。
 世界で最初に宇宙船が発掘されたのは、帝暦前57年?のことで、ルティニア王国?(現在の帝国?ルティニア侯領?ナルヴァン?近郊の遺跡で、組合所属の探索者?ルミウス・ヴァリウスらによってであった。しかし、当時はそれが一体何のための刻印装置であるのか、誰にも分からなかった。宇宙船の推進装置であるエーテル・スラスターは、エーテルの存在する宇宙空間でしか正常に働かないため、誰もそれが人を乗せて空を飛ぶものだとは思わなかったのである。そのため、当時は、古代人の避難壕(こちらの世界的に言えば、核シェルター)ではないかという意見もあった。
 結局、この装置はフラヴィウス王家?に二束三文も同然に買い取られることとなったが、このことがこの後の世界を大きく変えることになる。
 この発掘された刻印装置が乗り物であることにを発見したのは、フラヴィウス王国?魔法学院(後の帝国魔法学院?)の研究生(当時)であった、ウェリウス・クラインであった。帝暦前43年?のことである。彼は学院の広大な倉庫で埃をかぶっていたその刻印装置を、再度綿密に調査した結果、その密閉性、風素?循環装置、操縦桿の動作等から、それが呼吸ができない場所を航行するための乗り物であると結論付けたのである。とはいえ、最初、クラインは、それが水中を航行するためのものであると考えていた。しかし、水中での実験の結果、この刻印装置では水中を航行できないことが明らかになったため、改めて宇宙を航行するものであると唱えたのである。当時既に風素による空中飛行は可能となっており、その結果、ある程度以上の上空は、風素では到達できないことが判明していた。クラインは、その風素では越えられない天井を越えるのが、この刻印装置であると考えたのである。
 かくして、翌帝暦前42年?、人間を乗せての航宙実験が行われた。地上から上空までは風素によって運搬し、その限界領域に至ったところで装置を起動したところ、推進装置が徐々に動き出し、ついには今まで誰も到達したことのない高みまで、瞬く間に到達したのである。
 こうして見事、人類は宇宙という新しいフロンティアを手に入れたのであった。
 この時の乗員の一人であった、若き王国軍士官アリアス・クロービス(後の初代宇宙軍?提督)は、地上に戻ったとき、宇宙での感想を聞かれてこう答えた。
 「宇宙は青かった。」
 ここからエーテル・ブルーの歴史が始まる。