3-244 「寒くて甘い夏」

「寒くて甘い夏」

夏。
外では蝉がやかましく鳴いている。
気温は40度を超え、うだるような暑さ。
―のはずなのだが。

「寒うぅっ!」

いつものようにダラダラしようと幼馴染のこいつの家にやってきたまでは良かった。
確かにクーラーの効いた部屋、というのが目的だったんだが、いくらなんでもこれは効きすぎだ。
南極にでも来たのかと思ったぞ。

「ち、千砂…お前寒くないのか?」
「…寒いよ」
「だったらなんで
「だって!雅くんぜんぜんベタベタさせてくれないんだもん!」

そうだった。
こいつには昔からやたらとスキンシップを取ろうとする癖があるのだ。
しかしこの猛暑。流石にこうベタベタされると暑くてたまらないわけで。
最近は自粛してもらっていたのだった。

「だからね、こうすればまたくっついてもらえるかなって…
 ねえ寒いよ、あっためてよお・・・」

そう上目づかいで懇願されると、断らないわけにはいかない。
それに俺も正直寒さで限界だ。

「ったく、しょうがねーなー」
「ほんと!?ありがと!雅くんだいすきっ!
 すりすり〜。えへへ、あったかあい…」

思いっきり甘えた顔で体を擦りよせてくる。
氷点下とも思える部屋の中、人肌の暖かさと柔らかさが何とも心地よくて。
俺は理性が壊れそうになるのを必死でこらえる。

「ねえねえ、春も夏も秋も冬も…
 ずーっとくっついていようねっ♪」

俺は思わず苦笑した。ずーっとってことは、今年の夏の間中これが続くってことか?

―全く、地球に優しくないカップルだ。
2008年12月07日(日) 00:08:29 Modified by amae_girl




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