6-53 ラピンを愛でる会

情熱の赴くままに長くなった甘えっこSS透過します。

  • ファンタジー版権世界観注意
  • ロリペド注意
  • 獣人注意
  • エロじゃないかもしれない
  • 糖度が足りないかもしれない

以上を踏まえて大丈夫そうならぜひお読み下さい。
NGワードは「ラピンを愛でる会」




この街にはラピンと言う、草原に育ちの亜人種が多く住む。
魔術の素養に溢れ、優秀な魔術師を多く輩出する種族だ。
今自分の目の前に座っているルニもその一人。

いや、目の前、というか、腿の上か?
広場の片隅の芝生に腰を下ろしたその膝の上、銀髪の幼い少女が
背中を預けきって足を投げ出し座っている。
「ふぃー」
こうやって人にもたれて寛ぐのは、別に特別な事でもない、親愛の表現だとか…
あるいは癖の一種らしい。
膝の上と限った話でもなく、ちょっとでも座ったり休むときには必ず側の誰かにくっつく。
背中同士を合わせたり、隣にぴったりと寄り添ったりしてるラピンをこの街ではあちこちで見かけた。
故郷の街では見かけない種族だったので最初は多少戸惑ったが、どうやら懐かれたのか
、会うたびに「ユリウスさん、だっこ、して?」とかねだられ続け、さすがに慣れてきた。



ラピンの常で、成人しても外見はまるきり子供の姿のままなので
違和感も無く微笑ましいものだ。
「ユリウスさんはぬくいねぇ」

だいたい、そんな幸せそうな笑顔を向けられると
抵抗する気なんてものがあっても一瞬で失せてしまうし。
最近では断りもせずに乗っかってくる。軽くて、重くて、柔らかい。

この状態でもつむじが見下ろせるほどの背丈、
肩より長く伸ばした髪はまだ細く、
背のわりに頭や目は大きく、手足は短く丸みがあって、
体のラインはぽっこりとお腹の出た、まるでヒトの幼子そのもの。
…これに、半ズボンの尻からふさふさとした兎のしっぽが生えてさえなければ。
勿論、耳があるはずの場所の少し上からは、滑らかな短い毛に覆われた
兎の耳がへにょんと肩先まで垂れている。

これはあれだ。故郷の森にたしかロップイヤーとかなんとか言う兎が……
「へ?何か言った?」
心の声が口から漏れていたらしく、膝の上の少女がみじろいで振り帰り見上げた。
つられて垂れ耳も跳ねる。じっと見下ろしてたのがばれたらしい。
「いや、…あー、綺麗な髪だな、と」
慌ててもごもごと不明瞭に誤魔化す。


ラピンは基本的に大らかで人なつこいが、たまに妙な事で機嫌を悪くもする。
子供扱いを笑って受け入れたかと思ったら急に切れたりだとか。
異種族は全く違う価値観や風習や体構造を持つもので、逆鱗がどこにあるか容易には分からない。

とりあえず今の言い訳は悪くはなかったのか、嬉しそうに
はにかんで「えへへー」とか言って顎に髪を擦り寄せてきた。
髪も毛皮もすべすべとやわらかく、春のひなたのシーツの香りがしてあたたかい。
小動物を胸に抱えた反射で、頭に手を伸ばしかけて、しかし一瞬躊躇った。
……愛くるしい笑顔に釣られて、断りなく彼女を撫でまくったがために電撃魔法をくらった男を2人ほど見た事がある。
目の端で見上げたルニが、半背伸びをやめて頭を傾けた。ちょうどこの手に差し出すように。
「ね。なでて」
可愛らしい声でねだられると、自然と、手のひらが滑らかな耳の毛皮に落ちた。

指の腹でそろそろと撫でたのが擽ったかったのか、
目を閉じ首を竦めてくすくすと気恥ずかしそうに笑った。
手のひらに馴染む感触が心地よくて、髪との付け根を指でしゃくしゃくと軽く掻く、
と、膝の上でもぞりと身じろぐ。


いつもの膝の上でリラックスしきった時とは違う気配を警戒して
境目をなぞり耳の裏側の薄い皮膚へ進めかけてた指を止めた。

「あ、――」
幼い響きの小さな声。
「……ね、ユリウスさん」
手はそのままに見下ろす。
眉尻を下げた拗ねたような表情の、わずかに細めた濡れる瞳があった。
服の裾が引かれる。
「そこ。もっと、 して」

こんな風にされて断れるやつがいたらお目にかかりたい。否応もなく、仰せに従ってまた耳へ指を這わせる。
触れるか触れないかの距離で毛並みにそって指を滑らせ、
縁をなぞり、内側をつつくと、「ふぁ……ん、」と喉の奥に押し込めた甘い声がする。
手を止めれば、前へ回したときに抱き込まれてた左手を揺すって無言でねだられる。
もうそこからは躊躇いは捨てて、内側の付け根をなぞり、摘まみ、孔をいじくった。

さっきまで寄りかかっていたあたたかな体が、弄るうちに上体を反らし前へと屈んでいく。
心配になって左手を前に回し小さな体を支えると、彼女はそれにしがみついて、ぴくり、
びくり、と時折震えた。声の響きはどんどん甘やかになっていく。
手は止まらない。

胸があるわけでもないのに、左腕を締め付ける感触は妙に柔らかい。
身じろぐたびにこちらの太ももへ控え目に擦り付けられる内腿もだ。
背と腹のあいだには幾らか隙間が空いて、丸いしっぽが動きに合わせてぴょこぴょこと揺れる。
何故か立ち上がり始めているズボンの前を擽られて、
…その、あまり、よろしくない。


右手を空けるべく、耳元へ口づけを落とし、揺れるしっぽを掴んだ。
「ひゃん!」
上がった声は、耳に濡れた唇が触れたせいなのか、それともしっぽは駄目だったのか。湧いた躊躇いは声の甘さで掻き消えた。
もう一度声を聞きたくて、とりあえず歯を立て、右手でしっぽをまさぐる。
半ズボンの後ろにあいた穴から顔を出したしっぽは、握ると思いのほか小さくて
指先が隙間から、服にも毛にも覆われてない素肌に触れてしまった。
勢いで穴としっぽとの隙間に指をねじこみ

…かけたところでいい加減我に帰る。
しっぽ自体を触る程度ならまだしも、うん、まだしも?かどうかはともかく。
いくらなんでもその奥はまずいだろう常識的に考えて。

「ごめん、つい手が、止ま……」
息を詰めて小さな肩を震わせてるルニを見下ろすと、謝る言葉も尻切れになってしまう。
申し訳なさと何やら別の感情が浮かんで手のやりどころに困った。滑らかな頬には赤みが差し、潤んだ大きな瞳がこちらを見上げ何かを訴えかけてくる。しがみついた腕からは離れようとしない。



……このまま、


何かが切れかけた瞬間、広場に続く道から明るい声がした
「ルニー、ユーリーー、お待たせ!」
クランの仲間二人が芝生の坂を上がり始めたとこれだった。頭と、別のところに上りかけてた血が一瞬で引く。
そう言えば待ち合わせでしたねええ来てくれてありがとうちくしょう来るならもっと早く来るかいっそすっぽかせしかし来てくれて本当に助かった。

多少混乱してた気もするが、なんとか笑って緩く手を振り返す。気付けばルニはごく自然に膝の上で座りなおし、背を預けきるいつもの体制に戻っていた。おかげで前が隠れる。
……ルニのお尻にまずいものが当たってそうな気もするがきっと気のせいだ、ああ。

「…………てくれる?」
自分に言い聞かせ、二人がここへ来るまでに色々鎮めようとしてたせいで、ルニが何か言ったのを一度聞き逃してしまった。
目が合った時の瞬きと表情でそれを悟ったか、ルニは恥ずかしそうに首を縮めて、こちらを見上げ、もう一度口を開く。
「その、今度……」
囁くような声と共に、ちっちゃな手が、こちらの指先をきゅうと握った。
「……また、なでなで、……してくれる?」




おわり。
2009年10月28日(水) 19:39:53 Modified by amae_girl




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