6-827 列車番外編

もう少し甘え成分注入してみた番外編

 彼女と付き合い始めた僕。そして、関係を深める度に分かってきたことがある。
 ――くっつきたがりだということ。
 暑い環境下では控えるけど、列車内や冷房の利いた部屋内では、人懐っこい動物のように擦り寄ってくる。
 僕の肩やら体にもたれかかるのが、とても気持ち良いらしい。そんな癖を曝け出すのは僕だけに、のようだけど。
 何故なら彼女は清楚で大人しい印象通りの子で、あまりべたべた出来る人付き合いをしていないから、らしい。

 部活が休みになった日、僕は彼女を部屋に呼んだ。課題を一通り片付けよう――と、一応そういう名目。
 しかし時間が経つにつれ、勉強会は彼女の家庭教師状態になった。優等生だと、つい最近知ったばかりだ。
 それなりに進んだところで、グラスのアイスコーヒーが底を付く。新しいのを作ろうと、僕は立ち上がった。
「少し、休もう?」
 彼女の顔を一目見て、兆候を感じた。これは遅からず、眠る。

 冷房で涼しい部屋の中、僕と彼女は背中合わせで漫画を読んで寛ぐ。
 まるで男友達のように馴染んでしまったことに、ふと可笑しくなる。
「……」
 だけど、彼女は女の子。僕が色を意識するような、存在。
 ノースリーブの服から触れる、素肌の肩や腕。背中に当たる、下着の感触。全てに無意識で、無防備な彼女。

 気持ちをぐっと抑え込んで、漫画を読み進める。やがて、背中から伝わる彼女の合図。
「眠たい?」
「大丈夫…」
 強がるけど、彼女が睡魔に勝ったことは一度もない。授業中とかは眠くならないというから、別に良いのだろうが。
 かく、かく、と体が振れだす。このまま寝させるのも、可哀想だ。

「背中退けるよ? 僕のベッドで良かったら、横になって」
「……」
 既にうとうととして、返事のない彼女。僕はそっと座布団を背中に挟むと、そのままゆっくり背中を退かし、彼女を倒した。
 束ねた髪を邪魔にならないように肩にかけ、膝を曲げたまま寝息を立てる彼女。膝丈のスカートが捲れて、太腿がちらりと見える。
 罪悪感を覚えない内に、僕は彼女の体をお姫様抱っこで持ち上げ、ベッドに寝かせる。

 手で触れた素肌の感覚が、気持ちを掻き乱していた。こんなこと知られたら、間違いなく嫌われる。
 僕は冷房を弱めて、静かに部屋を出ようとした。すると――。
「ん…うう…」
 彼女が手を伸ばし、徐に僕の手首を掴んできた。目が、薄く開いていた。
 言葉はない。だけど、その目と握る手の強さは、僕が部屋を出ることを認めないと、そう主張していた。

 彼女は寝惚け眼のまま、手、更には腕・体を使って、手首から僕の二の腕へと、侵食してくる。まるで、ベッドへ引きずり込もうとしているように。
 心臓が波打つのが普通に聞こえるくらい、僕は緊張していた。その先に何があるか――想像すら怖いと思ったこと。
 でもこのまま、逃げる訳にはいかない。彼女の求めることだけに応じれば良い。後は自制を最大限に働かせて……。
「一緒にいるから」
 彼女が聞いたかどうかはどうだって良い。その言葉で自分を、落ち着かせる。

 僕は彼女のくっつきを緩めると、少しだけその体を奥に押して、隣に自分が横になった。
 自然と巻きつくように、彼女の体が腕に触れてきた。まるで抱き枕にでもするように、絡む細い腕。
 押し当てられた胸の感触が、柔らかくも刺激的で、益々鼓動を強める。
 これ以上されたら本当に、どうにかなってしまうかもしれない。
「……」

 彼女はそれ以上を求めてくることはなかった。ただ、甘えるように僕の腕にくっついて、寝息を立てていた。
 その幸せそうな顔が、僕の心境とは対照的に、とても単純に見えた。羨ましいほどに。
 性的な警戒心がまるでない、擦れていない彼女は彼女。そんな彼女を、僕は守りたいと思った。
 純粋無垢なその心と体を、汚さないように。下心なく、いつまでも気軽にくっついてくれるように。
 一人でそんな可笑しなことを考えながら、僕は天井を眺めていた。


828 :名無しさん@ピンキー :2009/07/27(月) 21:34:13 ID:iz6lJhQ/
 僕もいつの間にか眠っていたらしい。目が覚めた時、見えたのは天井でなく彼女の顔だった。
 つんつん頬を突きながら、覗き込んでくる顔。それが笑顔に変わる瞬間が、とても可愛い。
「ごめんね」
 不意に抱き締めたい衝動。だけど今、それをしたら彼女はびっくりして、壊れてしまうかもしれない。
 彼女が次の扉を開けるまで、僕は今まで通りの僕でいる――。

 彼女はベッドの上でゴムを解いた。長い髪がぱさ、と花のように広がり、思わずどきりとするほどの色っぽさを見る。
「結び直すの、手伝ってくれたりする?」
 僕は喜んで応じた。慣れないことで何度かやり直しながらも、何とか元通りになった。
「また、一緒に勉強しようね」
 遠回しに都合の良い解釈かもしれないけど、また少しだけ、彼女と仲良くなれた気がした。

 すっかり暗くなった道。すぐ近くだけど、勿論家まで送って行く。
 家の前まで来ると、彼女はありがとう――と一言言って、帰りかけた。と、一旦戻って来た。
 何だろうと思っていると、彼女は僕の手を取って、頬にぴたりとくっつけた。
「…やっぱり、あなたに触れているのが一番落ち着く。お休みなさい、また明日」
 お休み――明日も僕が、君にとっての特別でありますように。


ストイックだか何だかよく分からない関係になってしまった
続いて、パラレル気味ですが>>815の続きも書いてみました


829 :名無しさん@ピンキー :2009/07/27(月) 21:34:51 ID:iz6lJhQ/
「まだ風邪治ってないの?」
「どうやら百日咳らしくてね」
「ふーん。ボクがまた何か作ろうか」
「薬局で咳止め買って来るよ」
「…媚薬作ったこと、まだ怒ってるんだね」
「……あんなのは、自分の意思じゃない。君はそれで嬉しかった?」
「そんなの嘘だ。嫌いだったら絶対しないよ。確かに少し、変だったかもしれないけど…ボクは…」
「…ごめん。買い物に行くから、留守番頼むよ」
「…うん」

「ただいま――って、わっ?」
「おかえり風邪引きさん」
「…ミニのワンピースなんて、珍しいね。普段はもっと…」
「似合う? ほらほら、もっとよく見てよ」
「いや、くるくるしないで。可愛いよ、可愛いから――」
「照れてるね。そんなに短いかな?」
「破廉恥はやめて」
「フフ、顔が真っ赤。…あ、結構汗掻いたんだね。お風呂、入る?」
「え……って、ちょっと。何で手を引っ張るの?」

「……」
「……」
「お風呂…入りたいんだけど」
「うん。洋服、脱ぎなよ」
「脱ぎたいのに、どうして君はここにいるの?」
「ボクも…入ろうかな、なんてね」
「ダメっ」
「何で?」
「……」

「君のこと、好きなのに。…ボクがまだ子どもだから、そうやって拒絶するの?」
「……」
「それともボクのこと、嫌い?」
「違うよ」
「良いや。じゃ、ボクは外で待ってる」
「そんなつもりじゃ…」
「どっちなの!?」
「……一緒に入って、良いから」
「それだけ?」

「ん…む、ふぅ…」
「…はぁ…こほ、こほ」
「大丈夫? ボクが、脱がせてあげるよ」
「…じ、自分で…やれるから」
「だったら、君はボクのを脱がせて?」
「――!?」
「はい、バンザイしてね」
「……」
「次は、君の番だよ」

「――上、何も付けて…」
「フフ…今度は、ボクの番。下ろすよ?」
「……っ!」
「わあ…こっちも、下ろすからね。えいっ」
「わっ…ご、ごめん!」
「謝らなくて良いのに。凄いよ、ほら」
「触ったらダメ――あくっ…!」
「おっと、次は君の番だったね。さあ、良いよ?」
「…どうして、こんなことに…」


830 :名無しさん@ピンキー :2009/07/27(月) 21:36:59 ID:iz6lJhQ/
「――! 君の下も、何だか…」
「う…ちょっと恥ずかしいけど、もっと…見て」
「もう、ダメ…!」
「ひゃっ? …あっといけない、風邪を拗らせちゃう」
「こほ…君の体、温かい」
「ストップ、お預け! まずはお風呂、入ろうよ」
「あ、そうだった…ごめん」
「…それと、一つ約束してよ。今度は、ボクたちの意思で――ってことを。好きだから、一緒になるんだよ?」
「好き…ああ、君が好きだ」

「小さな湯船で、二人は狭いね」
「でもこうやって包まれているだけで、逆上せてしまうよ」
「本当は、君とこうして…」
「…もう一度、キス――して」
「ああ……くちゅ…」
「ちゅ…う…んっ…」
「…れろ…」
「んっ…!? …ふぅっ…!」
『ぷはっ!』

「後ろから手を入れてくるなんて、卑怯だぞ」
「散々意地悪したお返しだよ」
「あっ…うっ…! …はぁ、だったら、中に出してよ」
「媚薬の件、まだ許してないんだからね。暫く中はダメ」
「フフ…ボクの方こそ、転んだってタダじゃ起きないんだから」
「うわっ…ちょ、無理矢理挿れたら…!」
「くっ…お風呂の中なら、多分大丈夫だよ。逃がさないから…ねっ!」
「う、気持ち…良いっ…」
「はぁっ…少しくらい…動いた方が…ああっ…!」

『――っ!!』
「……はぁ、はぁ…また、中に…」
「…はぁっ…しっかりと、覚えてるんだね」
「子どもが出来たって、知らないからね」
「…君と作るなら、構わないよ…この前も言ったでしょ? そしたら、責任取って結婚してくれれば良い」
「これだよ…君って子は…」
「ね、胸を揉んで」
「え…って、もう宛がっているし」
「はぁ…子どもを作るなら、もう少しここも、大きくならないとね」

「お風呂上りの咳止め、忘れずにね」
「君のせいで拗らせそうだよ」
「だったら休んでいないと。ボクも一緒に寝て良い?」
「いい加減にしようね」
「冗談だよ。お休みなさい、風邪引きさん」
「……エッチなことは一切禁止。それで良いなら…」
「ボクは良いけど、君が我慢出来る?」
「散々誘っておいて、そんなこと言うんだね。さあ、どうだろうね?」
「フフ…君に任せるよ。どんなにされたって、大好きだから」


どちらもこれで本当におしまいなので悪しからず
2009年10月28日(水) 21:24:24 Modified by amae_girl




スマートフォン版で見る

×

この広告は60日間更新がないwikiに表示されております。