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■移動運用の勧め


みなさん、移動運用で衛星にQRVしてみませんか。移動運用はとても簡単で、かつ、効率よく衛星にQRVするのに非常に有効な手段です。自宅から全方角を水平線から天頂まですべて見渡すことができる人は非常に恵まれた環境ですが、そうでない人も多いことでしょう。パスの半分が建物の陰に入ったり、ある方角は山が衛星を遮ってしまう場合も珍しくありません。そんな人は、手軽な装備で、周囲の開けた場所(高台、堤防、公園など)へ移動してみましょう。今までは十分に追尾できなかった衛星を簡単に捕らえることができ、衛星通信の楽しみも大きく広がることでしょう。通常のVHF/UHFの移動運用と異なり、衛星の移動運用の場合は標高の高い場所へ移動する必要はありません。障害物がなく、少しだけ周囲が開けていればよいのです。

衛星通信のアクティブ局がいる地域は限られているので、衛星通信があまり行われていない地域で移動運用すれば、多くの局から呼ばれることでしょう。移動運用で多くの局から呼ばれる経験を積めば、運用技術も早く上達します。8エリアや離島は、地理的に交信が難しい(聞こえる時間が短い)こともあり、アワードを追いかけている局に特に人気があります。

衛星の移動運用では、手動でアンテナの方向を調整して衛星を追尾します。ローテーターなど必要ありません。また、予めAOS, MEL, LOSの時刻と方角だけチェックしておけば、おおよその衛星の軌道を天空上で予測することが可能です。

その方向へ手動でアンテナを向けてやれば簡単に衛星を追尾できます。つまり、軌道計算ソフトも持ち出し不要なのです。

以下、衛星の移動運用がいかに簡単かを、いくつか実例を挙げてご紹介します。

■手持ちアンテナでQRV


片手にアンテナを持つ手持ちアンテナスタイルは、FM衛星に最適の運用方法です。VHF/UHFの電波は、電離層を通過する際、偏波面が微妙に変化します。また、衛星自体の回転も偏波面に大きな影響を与えます。FM衛星を介したQSOの場合はこの偏波面の変化に非常に敏感で、偏波面固定のアンテナを使っていると強いQSBを感じます。しかし、手持ちアンテナならば、アンテナを持つ手首を回すだけでいつでも偏波面の変化に対応することができ、常に最良の状態で通信をすることができます。つまり、偏波面固定のアンテナで自宅からQRVするよりも、手持ちアンテナで移動運用した方が、はるかに効率がよいのです

手持ちアンテナですから、もちろん衛星の追尾も簡単です。先に述べたように、予めAOS, MEL, LOSの時刻と方角だけチェックしておいて、downlinkが最もよく聞こえる方向へアンテナを向けるだけでOKです。

このQRV方法の唯一の問題は、適当なアンテナが日本国内では市販されていないことでしょうか。MaldolからHF-FOX-727という145 MHz/435 MHzデュアル・バンドのアンテナが発売されていますが、元々は固定用のアンテナであり、手持ちスタイルで運用するには少々重く、使い勝手も今ひとつです。(頑張れば使えないことはない。)アメリカではArrow Antenna 146/437-10という、まさに手持ちスタイル専用のアンテナが発売されていますが、残念ながら日本国内では取り扱いがありません。しかし、ここで諦めないで下さい。手持ちアンテナの自作は非常に簡単です。自作方法を紹介したHPがありますので、それに従って作製すれば、短時間で簡単にできあがります。制作費用も高くありません。ぜひ、みなさんも自作に挑戦してみて下さい。きっと、その性能のよさに驚くことでしょう。

JAMSAT:500円八木アンテナ
http://www.jamsat.or.jp/features/cheapyagi/index.h...
http://www.jamsat.or.jp/features/cheapyagi/uhf.htm...

■簡易固定アンテナでQRV


これは、アンテナを三脚やマイクスタンド等に固定して、パスの途中で時々方向を調整する運用方法です。SSB/CW衛星では、ドップラー・シフトを補正するために、FM衛星の場合よりも頻回に送受信周波数の微調整が必要です。片手がふさがる手持ちアンテナ方式では、マイク、または電鍵とダイヤルを同時に操作することが難しいため、SSB/CW衛星では、簡易固定アンテナでQRVする局が多いようです。

この方法では偏波面は固定されたままですが、SSB/CW衛星では、偏波面の変化によるQSBがあっても、FM衛星ほど問題にはなりません。

手持ちアンテナの場合は、常に衛星の方向にアンテナをぴったりと向けることができますが、簡易固定アンテナでは、パスの途中で数分おきに方向を調整することになります。使用するアンテナは、5 ele程度のビーム・パターンがブロードなものがよいでしょう。あまりにビーム・パターンがシャープだと、頻回にアンテナの方向を調整しなくてはならず、かえって運用しづらくなります。VHF/UHFの3〜5エレ八木が各社から発売されていますので、アンテナはそれらの市販品を利用することができます。

■移動運用の実例

実例1:SM7XQZ ハンディー機でFM衛星にQRV
SM7XQZ (also JG2GSY) はハンディー機FT-51のフル・デュープレックス機能を使って、FT-51単体(最大5 W)+ Maldol HF-FOX-727の装備でAO-27とUO-14(現在は機能停止)にアクティブにQRVし、多くのQSOを成功させました。

QRMさえなければ、このような簡単な設備でも十分にFM衛星を楽しむことができるのです。しかし、問題は衛星の周波数に出没する違法局からのQRM。出力5 Wでは太刀打ちできないことが多く、それではフラストレーションが溜まるばかりです。現在の我が国の状況を考慮すると、このスタイルでQSOすることは難しく、初心者の方々は、次の実例2のケースを参考にして準備を進められる方が賢明と思われます。

実例2:JG2GSY 手持ちアンテナでFM衛星にQRV
アンテナは自作した500円八木アンテナ145 MHz 3 ele/435 MHz 6 eleです。アンテナのブーム(木材部分)にクリップでメモ用紙を取り付け、ログ代わりにしています。受信機は胸のポケットに入れたハンディー機FT-51です。周波数を5 kHzステップにして、聞こえにくくなったら受信周波数を5 kHz下げる方式で、ドップラー・シフトに対応しています。送信機は地面に置いたFT-90(20 W)です。バッテリー、または、シガーライター・ソケットから電源を取り、送信周波数は常に固定です。マイク・ケーブルを延長して、マイクを首からぶら下げる工夫をしています。


実例3:モービル・ホイップでSSB/CW衛星にQRV
高利得(全長1m以上)の144/430MHzデュアルバンドアンテナが最適です。軽くて短めのグラウンドプレーン(GP)アンテナや、ハンディー機用のロッドアンテナも同じように使えます。

モービル・ホイップは水平方向に指向性を持たせてあるため、高い仰角にある衛星からの電波は聞こえない場合があります。そこで、衛星の仰角に合わせて、アンテナを傾けて設置することが有効です。可倒式基台を使う方法もありますし、ノンラジアルアンテナであれば、三脚やマグネット基台を使って固定することもできます。

例えば、北東で最大仰角(MEL)になるパスでは、アンテナの先端を南西に少し傾けて設置します。アンテナの角度が適切であれば、パスの途中でアンテナを動かすことなく、AOSからLOSまで聞こえる場合があります。

アンテナの給電は1本の同軸ケーブルで行うため、144/430MHzに2分配するデュープレクサーが必要です。モービル・ホイップで運用する場合の問題点として、送受信を1本のアンテナで同時に行うため「カブリ」に弱い、すなわち送信(アップリンク)側の電波が受信機(ダウンリンク)側に回り込み、受信感度が低下しやすいことが挙げられます。この対策は、ダウンリンク周波数、およびダウンリンク信号の特徴を十分に把握しておき、受信状態が悪くても自局のループを確認できるように練習を積むことです。

実例4:JH3HGI 簡易固定アンテナでSSB/CW衛星にQRV
2005年8月、衛星通信にカムバックして、常置場所からFO-29、VO-52に出ていました。その内、HF帯CWによく出ていた多くの局が衛星に移動で出てくるようになったので、「これは私にもできるのでは」、と思ったのがSatellite移動のきっかけでした。リグは当初、FT-100DMとFT-857DMの2台体制でしたが、これはちょっと都合が悪かったです。と言うのは、私の移動車が軽四(ジムニー)なので、運転席に座ってドップラーシフトにあわせてダイヤルを回すのがやりにくかったのです。そこで、今は常置場所で使っていたFT-847Mを持ち出しています。


アンテナは、移動を始めた頃は2バンド・モービル・ホイップでした。しかし、これではVO-52でこそ何とか使えましたが、FO-29では厳しかったです。今はラディックス社のAY-207SATという八木アンテナを使っています。


AY-207SAT
http://www.radix-ant.jp/shopdetail/008003000004/or...

このアンテナは、一本のブームに145 MHz 3 eleと435 MHz 6 eleをクロスして取り付けてあります。ただ、私は435 MHzのエレメントを3本取り去って、3 eleとしています。6 eleだとビームが鋭すぎると考えた結果です。このアンテナを写真の通り、仰角を付けてルーフ・キャリアに突き刺して使っています。固定はしていません。FO-29もVO-52も南北の軌道です。VO-52は信号がとても強いので、運用中は真東(東を通るパスの時)か真西(西を通るパスの時)に向けたままでAOSからLOSまで対応できます。FO-29の時はさすがに一方向を向けたままでは弱くなるため、AOS直後、最大仰角時、LOS手前の3回、アンテナの向きを変えます

移動運用の場合、狭い車内でリグのダイヤルを操作し、パドルを操作するのはかなり厳しいものがあります。そこで、使えるものは有効に使おう、と言うことで、現在、以下のようなものを使っています。

◎USBIF4CW
http://www.nksg.net/usbif4cw/
これは衛星に限らず、常置場所でも移動でも、HF運用の時にも使っています。FT-847Mの上にのっているのがこれです。

◎EzLog
http://ww4.et.tiki.ne.jp/%7Enksg/ham/ezlog/
USBIF4CWと組み合わせて使っているコンテスト・ロギング・PCキーイング・ソフトです。これがあるので、パドルはほとんど使わずに運用しています。

◎CALSAT32
http://homepage1.nifty.com/aida/jr1huo_calsat32/in...
軌道計算・表示ソフトです。リグやアンテナのコントロールもできます。

◎CSATmate
http://homepage2.nifty.com/je4ivn/
CALSAT32でもリグコントロールができますが、このCSATmateはCALSAT32に乗っかって動作するもので、リグのコントロールに特化したソフトです。PC制御ができるシングルバンド・リグが2台あれば、ドップラー・シフトに対応してくれます。このソフトのお陰で、ループテストはいとも簡単にできています。このソフトを動かしてAOSを待っておけば、何もさわらなくても自分のダウンリンク信号を一発で見つけることができます。今はCALSAT32、CSATmateを使っているお陰で、移動先でもHF帯と全く同じように運用ができています。


夜間や休日には多くの移動局がSSB/CW衛星に出てきており、かなりのパイルアップになっています。初めは戸惑うこともありますが、Satellite移動もHF帯での移動運用と同じように気軽に楽しめます。皆さんもぜひチャレンジしてください。

実例5:徒歩移動でVO-52
VO-52はダウンリンク信号が強く、小さなアンテナでも運用できるので、カバン一つに移動機材を全て詰め込み、徒歩と公共交通機関で移動運用を楽しむことも可能です。無線機としてFT-817、V/UHFのオールモード・ポータブル機、SSB/CWの受信が可能なハンディ機TH-F7が使われています。アンテナは短く収納可能なロッドアンテナや、針金などで自作した小型の八木アンテナが考えられます。条件が良ければ、FO-29やAO-51なども運用できます。また、移動中の乗物、例えば新幹線、バス、フェリーから交信に成功した例もあります。設備を小さくすることで要求される技術レベルは高くなりますが、このような設備を自分で考え、製作するのも一つの楽しみです。

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uplink:437.80±0.01MHz(ISSが近づいてくる場合低く、遠ざかる場合は高く)
Worldwide downlink: 145.800MHz FM

注意!Up/Downが逆の周波数の時あり
uplink:145.99MHz(固定でOK)+67Hzのトーン
downlink: 437.80±0.01MHz (437.81→437.80→437.79)

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