アマチュア衛星通信初心者のためのWiki - Step1:FM衛星を受信してみよう!
 使いやすくて人気があったAO-51は残念ながら2011年11月29日機能停止が発表されました。本Wikiで紹介されているテクニックはもちろん他の/将来のFM衛星でも応用できますので、参考にご覧下さい。 


何が聞こえてくるのか?


わずか1パスの時間が15分弱のFM1chのAO-51からの信号は、その1chを多くの局が効率よく手際よく交信している様子が聞こえてくる事でしょう。例えば

「CQサテライト JN1BPM」
「JN1BPM,JO1FEF 59 どうぞ!」
「JO1FEF,JN1BPM 同じく59 ありがとうございました」
「JN1BPM,JO1FEF QSL ありがとうございました」

衛星からの電波を受信する前に


■事前の準備

○FMハンディ機、FMモービル機では周波数ステップを最低ステップ(5KHz以下)にしておく。そして、どのような無線機でもスケルチは開放。
○プリアンプを使用しているのならONにする。
○同軸ケーブルは、極力、太く短くで結線する。
○時計は正確に!
AO-51の運用スケジュール を確認する
○ターゲットとなる衛星の通過時刻を把握する。Step0を参照

■衛星通過時刻の確認

ある日のAO-51の通過予報が以下の様であったとします。
  DATE      JST   Az     JST   MEL  Az     JST   Az
2005/0x/xx 19:56 136.5  20:02 27.0 070.2  20:09 001.4

上記中、Azとは方角を示し、MELとは最大仰角時の見上げる角度を示しています。
※ Azの表示角度:北0°東90°南180°西270°一周後の北360°となっています。

したがって、この場合、衛星は19:56に東南方向より顔を出し、東北東で最大仰角に達し、20:09に北へ沈んでいきます。
少し分かりにくいので、軌跡を上から見ると下図の様になります(この場合、下から上へ移動します)。また、それぞれの点は、およそ1分30秒ほどの移動事についています。



また実際の目線にたったイメージは以下の様になります。(この場合、右から左へ移動します)



さらに衛星の動きを実際に見てみたい方はISS(国際宇宙ステーション)を目視してみるのも良いでしょう。

JAXA:ISS・スペースシャトルを見よう
http://kibo.tksc.jaxa.jp/

実際に受信してみよう


使用するアンテナにより受信方法が異なります。

■ハンディ機と付属ホイップの場合

「え?ハンディ機で??」と思われるかもしれませんが、実際に受信は出来てしまうんです。但し、条件がいくつかあります。

1.近くに不法局、違法局の運用の無い事(これは、いかなる場合も同様)
2.なにより衛星からの電波をハンディ機ゴトキで聞こえた感動を味わえる(^o^)

 基本的に受信設備としては貧弱ですので、衛星との距離が近くなる(衛星からの信号が強くなる)最大仰角付近を狙います。すなわち上記サンプルパスの場合にはドップラー効果による周波数変化も無視し20:02前後に435.300MHzにセットした状態で北東方向上空が聞こえるようにハンディ機を少し南西側に傾けた状態で待ち構えるのです。

 聞こえましたか?。

 もし、聞こえなくても衛星はまた周回してきますので、比較的仰角の高いパスでチャレンジしてみてください。特に最大仰角90度のパスでは、ハンディ機を横に傾けていればビックリするくらいクリアーに聞こえてくると思います。

 慣れてきたら、徐々にドップラー効果による周波数偏移を楽しんでみてください。

また、こんな方法で楽しんでみるのもイイかも!

JAMSAT:500円八木アンテナ
http://www.jamsat.or.jp/features/cheapyagi/index.h...


■固定局 GPアンテナ使用の場合

 垂直に立てられたGPではアンテナの持つ指向特性から、距離の近くなる(信号の強い)仰角の高いパスでは、受信は苦手と思います。かと言ってAOSやLOS付近では、衛星との距離が遠く(信号が弱く)アンテナの持つ利得が少ないため、あまり向かないでしょう。

 それでも聞こえるタイミングはあるはずですので、比較的最大仰角の低いパス(30°未満)でMEL付近を狙ってチャレンジしてみてください。


■固定局・移動局 ブーム長1波長(435MHz帯で1m程度)の八木の場合

 この程度のアンテナを仰角20度〜30度程度で固定して設置してやれば、指向特性が緩やかで且つ利得もそれなりにありますので、AOS〜LOSまで最大仰角も90度付近のものまで受信可能と思われます。ローテーターも通常の方角制御1つで補う事が可能です。

 但し、初めから欲張らず、やはり最初はMEL付近で待ち構える事からお勧めします。

 その後、慣れてきたら435.300MHzを中心にAOS付近で+10kHzぐらい、LOS付近-10kHzぐらいまでのドップラー効果を体感してみてください。


■固定局 高利得指向性アンテナを使用の場合

 435MHz帯でブーム長が2mを超えるアンテナ(スタック含む)では、その指向特性の鋭さから、仰角制御が必要になってきます。

 しかし、仰角制御をしなくとも、その指向特性と高利得を生かした方法で受信は可能です。

 その方法とは、これまでとは逆にMEL付近を狙わずAOS,LOS付近を狙うのです。

 但し、この場合にはドップラー効果による周波数変動を見逃す事は出来ませんので、その時の最大仰角によりますが、AOS付近では435.310MHz±辺り、LOS付近では435.290MHz±辺りに周波数をセットしておきます。AOSの段階で衛星からの電波を受信できたのなら、その後、アンテナの向きを変えつつ、受信周波数も下げていってみてください。それで自分の設備が仰角何度まで受信可能なのか把握しておく事が、今後の交信時に役立つ事と思います。

 もし、アンテナ設置場所からの見晴らしが良い場合には、最大仰角の低いパス(5度未満)も狙ってみましょう。この場合はドップラー効果による周波数変動は少ないので(435.300MHz±3KHz程度)楽に行えるかもしれません。

 またAOS,LOS付近の南北方向や最大仰角の低い東西方向というのは、低軌道衛星で最大距離のDX交信を楽しめる場面ですので、思いもよらない国のコールサインが聞こえてくるかもしれませんよ!。