えーとやはりWikiで作っています。Wikiだとみんなで自由に編集できるんでいいと思うんですが、いかんせん数式が…
というわけで量子力学第一のシケプリ（仮）です。
まあ、鹿野田先生の特徴としては、量子力学の歴史的発展に焦点を当てていることでしょう。
僕は去年清水明先生の量子論をとりましたが、熱力学がそうであったように、歴史的発展はあまり説明せず基本原理から入るやり方でした。その分古典論が思考を妨げることなく（つまり電磁気学とか統計力学とかの予備知識がいらずにということです）、新しいものとして理論を受け入れることができたのでそれはそれでよかったのですが、物足りなく思ったのも事実です。
そんなこんなで、とにかく量子力学の授業は歴史的発展を重視しているっぽいので予備知識（すなわち、量子力学より前に完成していたり、始まった学問、古典力学とか電磁気学、統計力学）がないと理解しにくいのでは、と思います。
特に統計力学は教養では必修ではないので、最初の黒体輻射の実験のところで不安を感じた人も多いのではないでしょうか。ですが、黒体輻射のところについては「古典論から出発した統計力学と実験事実が矛盾した」という事実、そしてこの事実を説明するには「光が（今まで考えられていた）波と思ってはいけない」ということだけわかっていればいいと思います。他の実験事実（電子の回折、光電効果等）も、単に古典論に「矛盾している」ということを理解していればいいのではないでしょうか。
ですから、シュレディンガーの方程式からしっかり勉強して、それまでの実験事実とかについては上のような理解ですませておく、というのがいいのではないでしょうか。
シュレディンガーの方程式についてはいろいろな理解方法（正しいかはともかく）があります。一つは、ニュートンの運動方程式みたいに、基本原理として割り切って、そっくり受け入れてしまう考える方です。いろいろ考えるのが面倒ならそれでいいと思います。それに飽き足りなければ（そっくり受け入れるのが嫌だという人）、シュレディンガー方程式には古典論の知識とか論理展開が援用されていることを念頭に置いとく、という理解方法（古典論からシュレディンガー方程式の導出、とかはこの典型例です。）があります。長くなりましたが本題に入ります。
（注）上の導出、というのは論理的帰結という意味ではなく、予想すると言う意味です。予想に置き換えてかまいません。
§1古典論と矛盾があった実験事実
さらりといくつもりです。詳しいことについてはシケ対がやってくれるに違いありません。
1.0古典物理学の対象
宇宙において古典物理学（力学、電磁気学、波動論等）は物質と輻射（電磁放射）の二つを対象にしています。
物質は質点と考えます。運動の法則に従うと考え、よって運動の法則によって物質の動きを予言します。
輻射は電磁波やら粒子線やらの放射を指します。電磁波はMaxwellの方程式によって記述できます。
1.1光の量子性
（a）黒体輻射
先ほど書いたとおり、統計力学をやらないと意味不明かもしれません。ですが、さらりとやってしまいます。
プランクが黒体輻射の実験をしました。黒体とは完全にエネルギーを外部から入射する放射（電磁波と思っていいです）を、あらゆる波長に渡って完全に吸収、また放出できる物体です。
（熱）平衡状態において、黒体は一定の吸収、放出をするようになります。このとき温度によって平衡状態で吸収されたり放出されたりする波長は異なるそうです。
プランクさんは黒体の中に作った空洞中でのそのデータ（温度と放出）を解析しました。すると実験結果と古典論での予想（レイリー･ジーンズの理論）がまったく異なったのです。
ところで平衡状態において黒体空洞中の電磁波は境界を持っているので、定在波となっています。波動論によると一つ一つの定在波（ただし1自由度分）は一直線上を単振動している質点（一次元調和振動子）と見なせます。（同等性は数学的に証明できます。振動波動論の教科書を見るとわかると思います。）
統計力学によれば、温度Tのこの系において、この一つ一つの調和振動子に平均してkT（kはボルツマン定数）のエネルギーが与えられます。ここでおかしいことに気付いてください。実際は3次元なので正確な物言いではないのですが（ただし1次元なら正確です）、どんな速く振動している波にも同じだけのエネルギーが与えられるのです。普通の可視光にも紫外線にもγ線にもX線にも同じエネルギーが含まれていることになります。はっきり言って、危ないです。実験どころではないです。
三次元だと正確には振動数の２乗に比例して一つの波長の波に与えられます。（これも統計力学的思考でわかります。一応授業でやってくれました。）もっと危ないですね。可視光より遥かに強いX線が実験中に出てくるのですから。
しかし、途中の振動数までは上の古典的考えはあっていたんです。レイリー・ジーンズの理論式の考えを援用すれば真の公式というものは得られるはずでした。
実際にプランクは、ある振動に与えられるエネルギーの関係式を得ました。プランクの公式というものです。
この式は覚えなくてもいいのです。覚えて欲しいのはνの振動数の光がエネルギーhνを持った粒子と考えるとこの公式を（統計力学的考察によって）得られるということです。
というわけでプランクの仮説は
「振動数がνの電磁放射の放出･吸収に際して、エネルギーはhνと言う単位としてその整数倍のやりとりしか許されない」 （ｈはプランク定数）
hνが大きすぎるとエネルギーの配分がしにくいというか、できなくなります。ですからX線が満ちるということが起きなくなって安心できるわけです。
（注1）一次元だとどの波長にも同じだけのエネルギー、二次元だと振動数に比例したエネルギーになります。二次元の場合は原点からの距離を振動数と考えてその際の円の長さをエネルギー、三次元の場合は球の面積をエネルギーと考えてください。イメージ的にはこういう理由で２乗に比例するのです。
（注2）エネルギーと言う言葉を使っていますが、正確的はエネルギー密度です。連続分布のとき確率ではなくて確率密度関数を使うのと同じノリです。理解しやすいのでエネルギーということにしました。
（注3）プランク分布関数について。初回の物理数学（量子力学分）において宿題の筆頭がプランク分布関数の導出でした。＜ｎ＞＝…っていうやつです。
コレは何かと言うと＜ｎ＞×hνで、エネルギーがnhνという値しかとれない（ｎは自然数）粒子のエネルギーの平均値をあらわすのです。
この式の導出にはある粒子がエネルギーEをとる相対確率密度が１／{exp(E/kT)-1｝で表わされることを利用します。もちろん統計力学的思考が必要です。
nhνのエネルギーしか取れないというのはまさに振動数hνの電磁波のことです。プランクの式でプランク分布関数は出てきます。
プランクの公式にνの2乗が出てきますが。これは注1と同じノリです。三次元だからです。
というわけで量子力学第一のシケプリ（仮）です。
まあ、鹿野田先生の特徴としては、量子力学の歴史的発展に焦点を当てていることでしょう。
僕は去年清水明先生の量子論をとりましたが、熱力学がそうであったように、歴史的発展はあまり説明せず基本原理から入るやり方でした。その分古典論が思考を妨げることなく（つまり電磁気学とか統計力学とかの予備知識がいらずにということです）、新しいものとして理論を受け入れることができたのでそれはそれでよかったのですが、物足りなく思ったのも事実です。
そんなこんなで、とにかく量子力学の授業は歴史的発展を重視しているっぽいので予備知識（すなわち、量子力学より前に完成していたり、始まった学問、古典力学とか電磁気学、統計力学）がないと理解しにくいのでは、と思います。
特に統計力学は教養では必修ではないので、最初の黒体輻射の実験のところで不安を感じた人も多いのではないでしょうか。ですが、黒体輻射のところについては「古典論から出発した統計力学と実験事実が矛盾した」という事実、そしてこの事実を説明するには「光が（今まで考えられていた）波と思ってはいけない」ということだけわかっていればいいと思います。他の実験事実（電子の回折、光電効果等）も、単に古典論に「矛盾している」ということを理解していればいいのではないでしょうか。
ですから、シュレディンガーの方程式からしっかり勉強して、それまでの実験事実とかについては上のような理解ですませておく、というのがいいのではないでしょうか。
シュレディンガーの方程式についてはいろいろな理解方法（正しいかはともかく）があります。一つは、ニュートンの運動方程式みたいに、基本原理として割り切って、そっくり受け入れてしまう考える方です。いろいろ考えるのが面倒ならそれでいいと思います。それに飽き足りなければ（そっくり受け入れるのが嫌だという人）、シュレディンガー方程式には古典論の知識とか論理展開が援用されていることを念頭に置いとく、という理解方法（古典論からシュレディンガー方程式の導出、とかはこの典型例です。）があります。長くなりましたが本題に入ります。
（注）上の導出、というのは論理的帰結という意味ではなく、予想すると言う意味です。予想に置き換えてかまいません。
§1古典論と矛盾があった実験事実
さらりといくつもりです。詳しいことについてはシケ対がやってくれるに違いありません。
1.0古典物理学の対象
宇宙において古典物理学（力学、電磁気学、波動論等）は物質と輻射（電磁放射）の二つを対象にしています。
物質は質点と考えます。運動の法則に従うと考え、よって運動の法則によって物質の動きを予言します。
輻射は電磁波やら粒子線やらの放射を指します。電磁波はMaxwellの方程式によって記述できます。
1.1光の量子性
（a）黒体輻射
先ほど書いたとおり、統計力学をやらないと意味不明かもしれません。ですが、さらりとやってしまいます。
プランクが黒体輻射の実験をしました。黒体とは完全にエネルギーを外部から入射する放射（電磁波と思っていいです）を、あらゆる波長に渡って完全に吸収、また放出できる物体です。
（熱）平衡状態において、黒体は一定の吸収、放出をするようになります。このとき温度によって平衡状態で吸収されたり放出されたりする波長は異なるそうです。
プランクさんは黒体の中に作った空洞中でのそのデータ（温度と放出）を解析しました。すると実験結果と古典論での予想（レイリー･ジーンズの理論）がまったく異なったのです。
ところで平衡状態において黒体空洞中の電磁波は境界を持っているので、定在波となっています。波動論によると一つ一つの定在波（ただし1自由度分）は一直線上を単振動している質点（一次元調和振動子）と見なせます。（同等性は数学的に証明できます。振動波動論の教科書を見るとわかると思います。）
統計力学によれば、温度Tのこの系において、この一つ一つの調和振動子に平均してkT（kはボルツマン定数）のエネルギーが与えられます。ここでおかしいことに気付いてください。実際は3次元なので正確な物言いではないのですが（ただし1次元なら正確です）、どんな速く振動している波にも同じだけのエネルギーが与えられるのです。普通の可視光にも紫外線にもγ線にもX線にも同じエネルギーが含まれていることになります。はっきり言って、危ないです。実験どころではないです。
三次元だと正確には振動数の２乗に比例して一つの波長の波に与えられます。（これも統計力学的思考でわかります。一応授業でやってくれました。）もっと危ないですね。可視光より遥かに強いX線が実験中に出てくるのですから。
しかし、途中の振動数までは上の古典的考えはあっていたんです。レイリー・ジーンズの理論式の考えを援用すれば真の公式というものは得られるはずでした。
実際にプランクは、ある振動に与えられるエネルギーの関係式を得ました。プランクの公式というものです。
この式は覚えなくてもいいのです。覚えて欲しいのはνの振動数の光がエネルギーhνを持った粒子と考えるとこの公式を（統計力学的考察によって）得られるということです。
というわけでプランクの仮説は
「振動数がνの電磁放射の放出･吸収に際して、エネルギーはhνと言う単位としてその整数倍のやりとりしか許されない」 （ｈはプランク定数）
hνが大きすぎるとエネルギーの配分がしにくいというか、できなくなります。ですからX線が満ちるということが起きなくなって安心できるわけです。
（注1）一次元だとどの波長にも同じだけのエネルギー、二次元だと振動数に比例したエネルギーになります。二次元の場合は原点からの距離を振動数と考えてその際の円の長さをエネルギー、三次元の場合は球の面積をエネルギーと考えてください。イメージ的にはこういう理由で２乗に比例するのです。
（注2）エネルギーと言う言葉を使っていますが、正確的はエネルギー密度です。連続分布のとき確率ではなくて確率密度関数を使うのと同じノリです。理解しやすいのでエネルギーということにしました。
（注3）プランク分布関数について。初回の物理数学（量子力学分）において宿題の筆頭がプランク分布関数の導出でした。＜ｎ＞＝…っていうやつです。
コレは何かと言うと＜ｎ＞×hνで、エネルギーがnhνという値しかとれない（ｎは自然数）粒子のエネルギーの平均値をあらわすのです。
この式の導出にはある粒子がエネルギーEをとる相対確率密度が１／{exp(E/kT)-1｝で表わされることを利用します。もちろん統計力学的思考が必要です。
nhνのエネルギーしか取れないというのはまさに振動数hνの電磁波のことです。プランクの式でプランク分布関数は出てきます。
プランクの公式にνの2乗が出てきますが。これは注1と同じノリです。三次元だからです。
このページへのコメント
とりあえずコメントはこちらで.
お疲れ様でした. 一応各科目そろって講義ページの方にリンクを貼っておきました.
今後の予定としては, 試験の時間割が発表され次第試験ページから時間割形式のリンクを貼る, という感じで考えています.
数式環境はごめんなさい.
自前サーバーならminetexを使えるのですが.
暫定的には, 「TeXを使ってみよう」とgoogleで出てくるところから
pdf作成
→printscreenで切り出し
→画像添付
という形で処理できるでしょう.
シケ長です。前置きがどれも大分長くなっております。読み飛ばしてもいいですが、勉強方法のヒントなんかがあったりするかも。
中途半端に作っておくので、あとは各シケ対が頑張ってください。（仮）なので気に入らなかったらこれを無視して作っちゃってください。