Monte Of Ages - 映画 【 ゴーストライター 】
2023年8月17日








  プロ       



ジャンル
ドラマ / 社会派

製作国
フランス イギリス ドイツ

製作年
2010

公開年月日
2011/8/27

上映時間
128分

製作会社
R.P. Productions =France 2 Cinema=Elfte Babelsberg=Film Runteam

配給
日活

レイティング
一般映画

アスペクト比
シネマ・スコープ(1:2.35)

カラー/サイズ
カラー/シネスコ

メディアタイプ
フィルム

音声
ドルビーSRD/DTS

上映フォーマット
35mm








    STAFF    




監督
ロマン・ポランスキー

脚本
ロマン・ポランスキー
ロバート・ハリス

原作
ロバート・ハリス

製作
ロマン・ポランスキー
ロベール・ベンムッサ
アラン・サルド

撮影監督
パヴェル・エデルマン

プロダクション・デザイン
アルブレヒト・コンラート

音楽
アレクサンドル・デスプラ

編集
エルヴェ・ド・ルーズ





   CAST   



ユアン・マクレガー
The Ghost

ピアース・ブロスナン
Adam Lang

キム・キャトラル
Amelia Bly

オリヴィア・ウィリアムズ
Ruth Lang

トム・ウィルキンソン
Paul Emmett

ティモシー・ハットン
Sidney Kroll

ジョン・バーサル
Rick Ricardelli

ティム・プリース
Roy

ロバート・パフ
Richard Rycart

ジェームズ・ベルーシ
John Maddox

デヴィッド・リントゥール
Stranger

イーライ・ウォラック
Old Man







   解  説   



ロバート・ハリスの同名小説を
「戦場のピアニスト」のロマン・ポランスキー監督が映画化。

元イギリス首相のゴーストライターとして雇われた男が、
国家を揺るがすある秘密に触れてしまう様を描く。

出演は「アメリア 永遠の翼」のユアン・マクレガー、
「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」のピアース・ブロスナン、
「セックス・アンド・ザ・シティ」シリーズのキム・キャトラル。





   あ ら す じ   


元英国首相アダム・ラング(ピアース・ブロスナン)の自叙伝執筆を依頼された
ゴーストライター(ユアン・マクレガー)に
出版社が提示した条件は、
米国で講演中のラングが滞在する島に今夜中に発ち、
1ヶ月以内に原稿を仕上げるという厳しいもの。

だがそのハードな仕事と引換に得られるものは25万ドルという破格の報酬だった。

しかし、
政治に興味がなく、
前任者がフェリーから転落死、
その後任ということもあり、
彼は気乗りがしなかった。

代理人に説得されてラングの自叙伝を出版するラインハルト社に面接に行くと、
そこにはラインハルト社ニューヨーク支部のマドックス(ジェームズ・ベルーシ)、
ラングの弁護士クロール(ティモシー・ハットン)も顔を揃えていた。

言いたいことを率直に話すと、
かえって気に入られてしまい、
いつの間にか仕事を引き受ける羽目になる。

ヒースロー空港の待合室では、
ラングがイスラム過激派のテロ容疑者に対する不当な拷問に加担した疑いがある
というニュース速報が流れていた。

飛行機を降り、
ラングが滞在する東海岸の島へ向かうフェリーに乗り継ぐ。

そのフェリーは
前任者マカラが泥酔して落ちたフェリーそのものだった。

ラングの邸宅は厳重な警備が敷かれ、
中へ入るや否や、
女性の怒号が耳に飛び込んでくる。

ラングの妻ルース(オリヴィア・ウィリアムズ)は機嫌が悪いのだ、
と専属秘書のアメリア(キム・キャトラル)が説明する。

彼女は守秘契約書にサインするように求め、
自叙伝の草稿の屋外への持出しは厳禁だと言う。

やがて、
取材をしながら原稿を書き進めるうちに、
ラング自身の過去に違和感を覚えた彼は、
前任者の不可解な死を追いかけることで国家を揺るがす恐ろしい秘密に触れてしまう。

そして、
さらにルースとアメリアとともに巨大な渦にはまっていくのだった……。








7.その他




2012年2月上旬特別号
MOVIE at HOME お家でDVD & Blu-Layを:DVDコレクション 「ゴーストライター」

2011年9月下旬特別号
読む、映画:「ゴーストライター」

読む、映画:「ゴーストライター」

読む、映画:「ゴーストライター」

2011年9月上旬号
UPCOMING 新作紹介:「ゴーストライター」

ロマン・ポランスキー 世界で最もスキャンダラスな巨匠:

対談 小林信彦×芝山幹郎「ゴーストライター」とポランスキーを語る


REVIEW 日本映画&外国映画 公開作24作品、72本の批評:「ゴーストライター」




8. 


ラストシーン。原稿一枚、一枚が、闇の恐怖の残滓を散らしているようだ。


 異邦人ともいえる境遇を背負う監督ロマン・ポランスキーからみえる世界は、ファースト
シンのカーフェリーに残された1台の車、島の砂浜に打ち上げられた遺体、そして、ラスト
シーンの都市の街角に舞う原稿の散乱シーンに代表する映像なのだろう。アメリカながら晴
れわたる青空はなく、雨が降り、霧、靄の包む風景を舞台にしてスリルとサスペンスを醸し
出していく。

 主人公は元首相・ラングの自伝を書くゴーストライター。名乗ることなく最後までゴース
トであり、後半の出版記念パーティーでは、首相秘書アメリアの同伴者と紹介される。
出版社の面接後の使命は、元首相の自伝本を書くこと、しかし、概ね出来上がっている原稿
を再推敲するため、元首相に近づいていく。側近として、妻ルース、秘書アメリアの居住す
る館では、様々な警護者や使用人が見守る。

 最初のゴースト・マカラはラングの側近であったが。溺死となった。その謎。
そして残した原稿は機密情報なのか、出版社から帰宅途中で襲われる。その謎。
 そして、新たに元首相がCIAの協力者だったとマスコミ報道され、まさに諜
報機関の闇へと誘導され、国境を超え過去を遡り拡がっていく。その謎。

 これらのもやもやを抱えながら飛び込んでいく主人公は007ではない。関心は、ゴース
トの任務であり、自伝を書きこむための調査を遂行しようとする過程で、前任者マカラの遺
書というべき写真や証拠写真、そして伝言のトリックを解き明かしてゆき、それを阻止しよ
うとする側近たちがいる。しかし、マカラの車ナビを再現することで、マカラ殺害の追跡、
ラングの経歴、CIAとの関係の真実に突き当たることとなる。

 ロマン・ポランスキー監督は、サスペンス感を出しながら、一人一人人物を描く。主人公
とアメリヤや使用人とのユーモアや妻ルースとの苦悩吐露を癒し、1面ではない、人間性を探
った演出となり、単なるストーリーを追うのではなくワクワク・どきどきを高め、スピードを
持って進んで行く。

 そして、迎える結末は、元首相への狙撃、それに併せたような出版記念パーテイ、そして書
いたゴーストのみえないラストシーンとなっている。
単なる構造的なシナリオではなく、流れるような憂いをもち、饒舌にならない映像から想像を
膨らませて終焉する感情は、スケールの大きな世界の政治の輪郭をなぞり、社会の闇部分の世
界と、ありえないとは思えない恐怖を抱いてしまった。

確かに、ラストシーンの原稿一枚、一枚が恐怖の残滓を散らしているようだった。