今年8月に閉店する米沢市の大沼米沢店で17日、閉店セールが始まった。衣料品を中心に幅広い品が格安販売され、買い物客でにぎわう一方、来店客から閉店を惜しむ声が上がった。
店内各所に「49年間のご愛顧ありがとうございました」「ご愛顧感謝 閉店セール開催中」と書かれたポスターが下がり、寂しさを際立たせた。午前10時の開店と同時に客約50人が一斉に店内に入り、足早にお目当ての売り場に急いだ。
3〜7割引きの商品が目立つ服飾雑貨、婦人服、紳士服の各売り場は多くの人が訪れ、6割引き均一の子供服も人気を集めた。普段は閉鎖している4階にも特設会場を増設。衣料品や靴、かばんなどを手にした人でレジに行列のできる時間帯もあった。
高畠町の女性(35)は「長女の新生児服や布団は大沼で買いそろえた。その店がなくなるのは寂しい」と話し、一緒に来た母親(69)も「良い品がそろい、重宝していた。閉店後はどこで買えばいいのか」。南陽市の女性(67)も「閉店はがっかり」と語った。
通常の平日より多くの買い物客が訪れ、顔なじみの店員と話し込む人の姿も。ある女性従業員は「寂しさとお客さまへの申し訳なさの両方の思いがある」と複雑な表情を浮かべた。西名浩子店長は「閉店の実感はまだない。49年間の感謝を込め、お客さまに良い品を提供したい」と話した。
米沢店は8月15日まで無休で営業し、閉店セールを第9弾まで続ける。最終売り尽くしセールは7月31日から始める予定という。
百貨店・大沼(山形市、永瀬孝社長)は親会社が東京の投資ファンドから地元の大沼投資組合に代わり、経営を巡る混乱が収束。米沢店は1970(昭和45)年に開店したが、売り上げ低迷と赤字が続き、再建策の一環で今月4日、8月15日での閉店を発表した。