大阪の公文書館問題を考える - 市・事業仕分け

大阪市の事業仕分け


大阪市の事業仕分けに関する情報はこちら
    • 2009/2/8 試行実施(含・公文書館運営事業)
      • 対象事業20件→こちら(公文書館運営事業は一番下2-10)
    • 2009/8/29 対象事業40件→こちら

仕分け対象事業の選定過程

  • 大阪市提案競争型民間活用監理委員会の議論
    • 公共サービスの事務事業について、民間活用のあり方を探るため、市政改革室が設置
    • 2008/8に第1回会合~
      • 事務事業の要不要について意見が述べられる仕組みについて考慮願いたい(第3回)
  • 市政改革基本方針に基づく今後の取組方針(PDF、市政策企画室2008/3)
    • マネジメント改革→身の丈に応じた市政改革のための市民目線の導入
公共サービスの実施にかかる官民の役割分担についての方向性を整理し、市民参画・市民協働を強く推進。平成20 年度に事業仕分け手法など、市民参加の仕組みを検討し、試行実施。
  • 1997設立、独立非営利の政策シンクタンク、代表加藤秀樹(1973大蔵省入省。証券局、主税局、国際金融局等に勤務)
      • 政策委員兼運営委員 上山信一(市大創造都市研究科特任教授、2006-08大阪市市政改革推進会議委員長、市政改革本部員、2008-大阪府特別顧問)
「地方分権」日本再生のカギは、地域の「創意工夫」、そこから生まれる「多様性」です。それには「地方の自律」(自ら考える/決める)が不可欠です。地方の活力が低下した構造的な要因は、国が地方の仕事を決め、金をつけるとともに注文もつけ、そして地方はそれに従うというものです。これを根本的に変えるには、国にもの申すと同時に、地方も痛みを避けず自ら脱皮することが必要ではないでしょうか。
  • 2010/1末段階で、46自治体(63回)と6省で実施、政令市は横浜・浜松に続く3例目
    • 予算項目毎に、事業の必要性と実施主体(官or民|地方or国)を外部の視点で公開の場で担当職員と議論して[不要|民間|国|都道府県|市町村]に仕分けをする作業
      • 事業の説明(5分)→質疑討論(20分)→評価(5分)→結果解説(1分)

公文書館運営の見直しへ

  • 2008市政改革の一環としての「情報公開室」新設(広報・内部通報・個人情報保護)
  • 総務局公文書館より現用文書の情報公開機能+行政資料センター(中之島)を移管
公文書館はアーカイブズ機能に特化。文書編制を担う行政部行政管理担当は総務局に残るが、局内で公文書館運営に関する位置づけ弱まる。
→「事業仕分け」の対象となるか?

事業仕分けの実施(2009/2/8)

「事業仕分け」でのやりとり

→発言内容はここの一番下
  • 仕分人=構想日本仕分けチーム(前志木市長、小笠原市職員、逗子市職員)、市民仕分け人(NPO代表理事、NPO関係者、市民) 
  • 市長も傍聴
    • 施設建設費も含めた事業コストの提示を(日本)
    • 運営を嘱託が担えば、行政職OBに全ての事務を行えるはず(日本)→本務5名は多いかも (市職員)
    • 指定管理者制度導入検討は(日本)→導入事例少ないesp.個人情報の塊∴指定管理にはなじまない(市職員)
    • 行政情報は市民の共有物、市民自治の点からも公文書管理は市民協業のモデルとなりうる(NPO)
    • 展示利用可能なものは博物館などに集約し、施設利用の最適化を図っては(日本)
    • 夜間開館など利用時間の拡大検討を(日本)
    • 個人情報取扱は守秘義務契約を課せば対応可能、官でなければ駄目というのは民間への不信(日本)
 →民間活用の拡大4、市実施(要改善)2の判定→総務局実施を確認

【感想】議論の時間は短く、事業に関する共通理解ができた上での判定ではない
 ∴コスト面に論点が収斂しがち、個人情報取扱の問題については平行線
→一方で公文書が市民との共有物であるとの認識、公文書館側ではなく仕分け人側から出てしまう

仕分け後の動向

  • 判定を踏まえた総務局の方針はこちらの一番下です(2009/12/18)
所管局の考え方
    • 市民のニーズに応え、まちづくり等の市民活動や学術研究のために、収蔵公文書・行政刊行物をご利用いただくことが、公文書館の役割の一つです。引き続き民間有識者からなる公文書館運営委員会の場などを通じて、館運営に関するご意見をいただき、利用促進等の工夫をしてまいります。なお、個人情報の取扱いについては、公文書の利用(閲覧)申請に対する承認・不承認の判断が伴う業務であることから、守秘義務を課すのみでは対応ができず、単純には民間へ移行することができないものと考えています。
    • 今後とも、本務職員の削減(OB 嘱託の活用拡大)など、考えられる限りのコスト削減に積極的に取り組み、効果的・効率的な館運営を図ってまいります。

他の自治体での事業仕分け


  • 2008/11 神奈川県寒川町 
文書館運営(2006設置)は不要と判定(要改善2、不要3)
    • 文書館は図書館業務とすればよい。空いたスペースは教育・文化等に活用すべき。
    • 基本理念に沿って担当者が魅力を見つけるべき。レファレンスの目標設定値が低い。情報公開の推進も含め、今後の役割は大きくなるかもしれない。
    • 公が行うのではなく、ボランティアを活用し、図書館に含めて実施すべき。
    • 館のあり方を町民合意の中で深めていくべき。その結果、図書館で足りるなら、そういう結果もある。
→文書館運営費(1974設置)=市実施(要改善5) 事業シートはこちら(PDF)。判定結果の一覧はこちら(PDF)。
    • 文書館の使命を果たすため、保存・公開を進めていく具体的な展望を明らかにすべき。
    • 保存対象文書の定義が不明。行政文書・資料のデジタル化が必要。
    • コストの割りに市民に開かれていないので総合図書館と同居などを検討すべき。
    • デジタルアーカイブ化、情報公開とレファレンス機能の必要性をうたうのなら、総量・期間・費用がどの程度必要なのか明らかにすべき。手段と計画が不透明なのは問題。