マクロスFのキャラクター、早乙女アルトとランカ・リーのカップルに萌えた人たちのための二次創作投稿所です。

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こんばんは。
今回はスター・デイトの後くらいの話です。








「放課後」 BYアヤ





放課後。
それは、友情に恋にと、色んなモノが詰め込まれた時間。
学校の教室でも、授業が終わった瞬間賑わい出す。
クラブやバイト、どこに遊びに行く等、重要な時間らしい。
「らしい」と言うのは、俺が実感できなかっただけなんだが。
放課後は、直帰して歌舞伎の稽古に入り、友人と遊ぶなんて事考えられなかった。
それが今では、友人と呼べる彼らと放課後を過ごす様に。
まだ、何とも言えないような、くすぐったい気持ちになる。
フロンティアで話題のスポットと言えば、必ず誰かが口にする「フォルモ」。
アイランド3の農業プラントにある、巨人たちの街。
ゼントラーディー用のモールだ。
環境船であるフロンティアが特殊なのだが、巨大なゼントラーディー達が、当然の様に行き交っている。
勿論、人間にしてみれば桁違いな大きさの商品が並んで、おとぎの国に迷い込んだかの様だ。
巨人達は、人類と同じ様に会話を楽しみながらショッピングに夢中になっている。
そんな姿に、圧倒される。
100年前には、決して見られなかった姿。
人類である自分達がちっぽけな存在で、なんとなく場違いにも感じる。
だからと言って、マイクロンが楽しめないのかと言われれば、そうでもなく。
普通に人間サイズのカフェやお店も並んでいる。
若者、特に学生達の放課後スポットとして、賑わっているのだ。
そして此処にも、放課後を有意義に過ごそうとやってきた学生達が。




「ったく。何時来ても混み合ってて、嫌になるな。」
「そう言いなさんなって。アルト姫?」
「誰が姫だ!ミシェル!!」
お決まりの様に繰り返される会話に苦笑いするのは、ルカとランカとナナセだった。
SMSも非番で、何の予定も無い放課後。
アルトが早々に帰ろうと教室を出る寸前に、ミシェルによって捕獲され、強制的にやって来たフォルモ。
メンバーと言えば、お決まりになった何時もの面々。
人混みが苦手なアルトだが、放課後に友人と出掛けるという行為は、梨園の家に居た頃には無かったモノ。
このメンバーで過ごす時間も気に入っているとは、絶対に口にはしない。
が、黙って連れ立っている時点でミシェルあたりには、バレているのかもしれない。
そう思うと、恥ずかしいものでもある。
「あの〜、ごめんなさい。ちょっと画材を買いたくて。」
ナナセが申し訳なさそうに言った。
「俺も欲しいディスクがあってさ。」
「僕もちょっと。」
ミシェルもルカも目当ての品があるらしい。
じゃあ、何の為に俺を誘った。
「・・・・俺は、帰・・。」
「一時間後に集合な。その間、ランカちゃんと二人でヨロシク!」
「え?ええっ?」
「おい、ちょっと待てよ!」
ミシェルなんて、いい女が居たからって戻って来ないに決まってる。
本当に帰るぞ。
「帰るなよ?男だったらランカちゃん一人にする様なコト、するなよな。」
そう耳打ちして、ミシェルは行ってしまった。
後に残されたのは、俺と頬を染めながらも困った顔で見上げてくるランカだけ。
小さな溜息を吐いて、まあ仕方ないかと少し口角を上げた。
「ランカ。お前、どこ行きたい?」




「まあ、何時来ても面白いトコではあるよな。」
「うん。小さい頃お兄ちゃんに初めて連れてきてもらった時、本当にびっくりしたんだぁ。絵本で読んでくれた不思議の国に迷い込んだのかと思ったもん。」
取り敢えず、ゼントラン用の商品の間を縫うようにして二人で歩き始めた。
思いの外会話も弾んで、笑うランカを見て、アルトは内心ほっとしていた。
「シェリルも同じ事言ってたな。かなり、はしゃいでいたし、な。」
「・・・シェリルさんと、来たことあるんだ?」
その言葉に、アルトの片が跳ねて、見るからに焦っていた。
「えっ、い・・否。話に・・・そう、話に聞いただけだ。」
「・・・・そう、なんだ。」
見るからに落ち込んだ様なランカを見て、焦った。
別にランカは恋人でもないし、焦る必要なんか無いはずだ。
シェリルと言えども、知り合った女くらいの認識でやましい事など・・・。
直ぐに、頬に受けた感触を思い出して、やはりやましい気持ちがまったく無くもなく。
せっかく出来た女友達に、嫌われたくもなく。
舞台ではスラスラとセリフの出る口が、今は動かなかった。
一方、ランカの中では、「嘘吐き」。
そう、怒ってしまいたかったけれど、言ってしまえば楽しい二人の時間が終わってしまう。
初恋の入り口に立ったばかりのランカには、そんな勿体無い事出来るはずもなくて。
なんだか胸のあたりがモヤモヤするけど、ぐっと押さえつけた。
「ラ・・ランカ?」
「ううん。何でもないよ。」
ランカは、にっこり笑いながら、何かぴんっと一つ閃いた様で。
「そうだ、アルトくん。動物園行こうよ?」
「はぁ?動物園なんてどこにあるんだよ。」
貴重な地球生物は、ペット以外の大部分が遺伝子としてしかこの船団に存在していない。
けれど、初めて訪れた時から贔屓にしている場所があるのだと、ランカが言う。
「良いから、良いから!こっちだよ、アルトくん。」
ランカに腕を引かれながら、アルトは歩いた。




着いた先は、ポップな看板を掲げた店だった。
犬や猫のイラストが入ったそれ。
「ここって・・・。」
「えへっ!ペットッショップなんだ。」
普通のペットショップと違っていたのは、ゲージに並んでいるのが猫や犬だけではない事。
色んな種類の宇宙生物たちが、こちらを見上げていた。
「ここの子は、ゲージ内に放してあるんだ。気に入った子が居れば、触ってもOKなんだよ。」
ランカは、ゲージ内から一匹抱き上げた。
「アルトくん、動物苦手だった?」
「否、そんな事はないが・・・。こうやって触れ合う環境に無かったからな。」
梨園の家庭では、身体も立派な商売道具。
キズなどつけられないから、動物が家に居たことなど無い。
「じゃあ、ほら。抱いてみて!」
ランカが差し出してきたのは、大きな瞳の毛むくじゃらの生き物。
ファイアーボンバーのミレーヌ・ジーナスが、いつも連れ立っている事で人気が出た生物。
銀河毛長ネズミのギャララシ。
「お・・おいっ!どうすれば。」
「手の平でしっかり抱いてあげれば、大人しくしてるよ。」
「・・・・。」
おそらく、初めての感触。
暖かくて、毛足の長さがくすぐったく。
大きな瞳でじっと見上げてくるコイツは、本当に大人しかった。
「お前、いい子だね。」
ランカが頭を撫でれば、ギャララシがうっとりと目を細めた。
「私ね、・・・。」
「ん?」
「友達がいなくて、ここに来る度に入り浸ってたんだ。」
精神的に不安定だった子供の頃、友達なんて出来るはずもなく。
兄とSMSの大人達、そして動物達が話し相手。
なんとなく想像は出来たから、自然とランカの頭を撫でていた。
「でも今は、ナナちゃんやミシェル君やルカ君。それに、アルトくんも居るよ!」
だから寂しくない、楽しいのだと笑うランカが好ましかった。
柔らかい髪の感触と、仄かに香るランカの香り。
自分が演じてきた紛い物の女性ではなく、本物の女の子を感じてドキリと胸が鳴った。
だから、顔に熱が集まる前に、話題を変えた。
「あ〜、・・。そういやぁ、アイドルの卵がここでのんびりしてて、大丈夫なのか?」
「うん。今日はボイストレーニングの先生の都合で、夜からレッスンだから。まだ、大丈夫だよ!」
「そっか。頑張ってるんだな。」
「もちろん!・・・デビュー出来たら、私の歌・・・聞いてくれる?」
「ああ。必ず聞いてやる。嫌って程聞いてやるぞっ!」
「嫌って程って、何〜?イジワル〜!」
笑うランカの髪が膨らむ程、ぐりぐりと撫で回して。
俺も自然と笑っていた。
集合時間に戻らない俺達に、ミシェルからの電話が鳴るのは、もう少しだけ後。


END

このページへのコメント

やっぱりサイコーアヤさんの作品(^ム^)アルランの漫画描き上げたいな(笑)

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Posted by zion 2012年11月16日(金) 20:43:52 返信

やっぱりアヤさんの作品は楽しいですね

これはもしかしてTV版後の練習かな?(笑)

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Posted by YF-29 2012年11月14日(水) 22:52:30 返信

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