もしもランカがアルトの誕生日にクッキーを渡せたら
最終更新:ID:ywieInTQ+Q 2011年01月19日(水) 01:13:17履歴
突然なんだけど、アルトの誕生日、ランカが手作りクッキー渡せたバージョンを
妄想してみました↓
唐突に感じたのは、これ以上ないほどに、
息も出来ないくらい、鼓動が止まってしまいそうなくらい、
どこに向かっても思いを打ち込む出口が見えないほど、
アルトが好きになってしまっているようだということだった。
ぼんやりしているこの瞬間だって、いつアルトが誰かに奪われるか分からない。
ランカは突然に焦り始める。
とにかく誕生日にプレゼントを渡そうと決意した。
会って、もしかして良い雰囲気になったとしたら(なんだか甘い計算だけど)
この気持ちを打ち明けてみれば良いんだ!
極めて良いアイデアに思えたので、早速クッキーを作る。お菓子作りは得意では
ないが今日は思い切って人生を変えてみることにした。
焼きたてのクッキーを袋に詰めて、さて、何て言おう?
考え始めたら少し不安になって来たので、改札口から離れると、
少しくらいは案を練ってから出向くべきだと思い直した。
駅から続く一本道をぶらぶら歩きながら、考え始める。右手に持っている袋はまだ温かい。それにしても、良い天気だ。
好きだよ。愛してる。大好きです。死んじゃうくらい好き。
いっそ、四六時中一緒にいないと息も出来ない。なんてことをつらつら考える。
どれも冗談でも言えないようなせりふばかり。
せっかくクッキーを作った自分の気持ちを裏切りたくはなかった。
たかだか好きな人のために女子高生が手作りクッキーに挑戦した、どこにでも
ありふれてる日常に過ぎないけれど、アルトなしでは生きていけない、
そう思ったからこそここまでやったんだと。持ち金が寂しかったために
大したプレゼントにはならなかったけど、それでも、何もないよりはずっと良いはずだ。
通りの向こうに見える海は穏やかで静かだった。遠くで、犬がほえているのが聞こえる。ぶらつきながら、愛する人に気持ちを伝えたいのに勇気を出せない気持ちをくすぶらせているというシチュエーションも一つの青春のかたちのように思えないこともなかった。
周りの人は一緒にいる誰かと笑ったり、まじめに話し合ったりしているけれど、自分だけがぽつり。一人ぼっち。唯一求める存在であるはずの、アルトがここにいない。
今から会いに行くんだ。
そう思ってなんとか自分を奮い立たせようとする。
海に向かって叫びたくなるほどの衝動を何とか抑えなくてはならなかった。
「はあ、切ない」と呟いた瞬間だった。
「お、やっぱそうだ」
背後から声が聞こえて振り返ると、立っていたのは黒い髪の愛しい彼。
早乙女アルト。いつものSMSの制服に中身は薄紫のタンクトップ。
地味な恰好だけど見栄えが良いから数段目立つというのは愛するが故の贔屓目
かもしれないけど、とにかくびっくりした。
「おまえの髪型、目立つよな。後ろからでもすぐ分かった」とアルトは
びっくりしている相手など構うことなく言った。
髪形の件なら、アルトくんも人の事言えないのに。ともすぐに返せないほど
ランカはたじろぐ。
「な、何やってるの?」と思わず聞いてしまうと、
「おまえこそ、こんなところで油売っる暇あるのか?
銀河の妖精に置いてかれちまうぜ」少し笑いながらアルトは返し、ふと
「・・・ん?何か甘い匂いがする」鼻をひくつかせた。
「ああ、これは・・・」と言いかけながら、まじまじとアルトを見る。
本当に好きだと思った。何でこんなに好きなんだろうと。
胸がぎゅって絞りつけられるような、ナイフで何回も刺されて呼吸が出来なくなるような、
本人を前にしてどうしてこんなに好きだって思えるのか。
ああ、好きなんだ。それは満たされる喜びじゃなくて、好きでどうしようもない苦しみ。
「・・・あ、アルトくん!」と勢いに任せて叫ぶと、
アルトはぎょっとなり、身を引いた。
「な、何だよ」
「あのね、あの・・・、こ、これ!」
どうやってみても、やっぱり好きだと言えるだけの勇気がなかった。
むしろ、自分の思いを拒絶されたことで嘘になんかするのがたまらなくつらかったので、
気持ちだけを込めて持っていたクッキーの包みを差し出した。
だって、愛する人の誕生日をちゃんと祝うことが出来た、それだけでも
十分幸せなことではないだろうか?だから、好きだとか愛してるだとか、
あなたなしじゃ生きられないとか、拒絶されたら冗談でごまかしてしまおうと
思っていた言葉の代わりに一言。
「誕生日おめでとう、アルトくん!!」
ハッピーバースデー。その言葉には、今言える精一杯の思いが込められていた――
アルトくんが生まれて来てくれて、本当に良かった。とっておきの幸せをありがとう。
おわり
雑文、失礼しました
妄想してみました↓
唐突に感じたのは、これ以上ないほどに、
息も出来ないくらい、鼓動が止まってしまいそうなくらい、
どこに向かっても思いを打ち込む出口が見えないほど、
アルトが好きになってしまっているようだということだった。
ぼんやりしているこの瞬間だって、いつアルトが誰かに奪われるか分からない。
ランカは突然に焦り始める。
とにかく誕生日にプレゼントを渡そうと決意した。
会って、もしかして良い雰囲気になったとしたら(なんだか甘い計算だけど)
この気持ちを打ち明けてみれば良いんだ!
極めて良いアイデアに思えたので、早速クッキーを作る。お菓子作りは得意では
ないが今日は思い切って人生を変えてみることにした。
焼きたてのクッキーを袋に詰めて、さて、何て言おう?
考え始めたら少し不安になって来たので、改札口から離れると、
少しくらいは案を練ってから出向くべきだと思い直した。
駅から続く一本道をぶらぶら歩きながら、考え始める。右手に持っている袋はまだ温かい。それにしても、良い天気だ。
好きだよ。愛してる。大好きです。死んじゃうくらい好き。
いっそ、四六時中一緒にいないと息も出来ない。なんてことをつらつら考える。
どれも冗談でも言えないようなせりふばかり。
せっかくクッキーを作った自分の気持ちを裏切りたくはなかった。
たかだか好きな人のために女子高生が手作りクッキーに挑戦した、どこにでも
ありふれてる日常に過ぎないけれど、アルトなしでは生きていけない、
そう思ったからこそここまでやったんだと。持ち金が寂しかったために
大したプレゼントにはならなかったけど、それでも、何もないよりはずっと良いはずだ。
通りの向こうに見える海は穏やかで静かだった。遠くで、犬がほえているのが聞こえる。ぶらつきながら、愛する人に気持ちを伝えたいのに勇気を出せない気持ちをくすぶらせているというシチュエーションも一つの青春のかたちのように思えないこともなかった。
周りの人は一緒にいる誰かと笑ったり、まじめに話し合ったりしているけれど、自分だけがぽつり。一人ぼっち。唯一求める存在であるはずの、アルトがここにいない。
今から会いに行くんだ。
そう思ってなんとか自分を奮い立たせようとする。
海に向かって叫びたくなるほどの衝動を何とか抑えなくてはならなかった。
「はあ、切ない」と呟いた瞬間だった。
「お、やっぱそうだ」
背後から声が聞こえて振り返ると、立っていたのは黒い髪の愛しい彼。
早乙女アルト。いつものSMSの制服に中身は薄紫のタンクトップ。
地味な恰好だけど見栄えが良いから数段目立つというのは愛するが故の贔屓目
かもしれないけど、とにかくびっくりした。
「おまえの髪型、目立つよな。後ろからでもすぐ分かった」とアルトは
びっくりしている相手など構うことなく言った。
髪形の件なら、アルトくんも人の事言えないのに。ともすぐに返せないほど
ランカはたじろぐ。
「な、何やってるの?」と思わず聞いてしまうと、
「おまえこそ、こんなところで油売っる暇あるのか?
銀河の妖精に置いてかれちまうぜ」少し笑いながらアルトは返し、ふと
「・・・ん?何か甘い匂いがする」鼻をひくつかせた。
「ああ、これは・・・」と言いかけながら、まじまじとアルトを見る。
本当に好きだと思った。何でこんなに好きなんだろうと。
胸がぎゅって絞りつけられるような、ナイフで何回も刺されて呼吸が出来なくなるような、
本人を前にしてどうしてこんなに好きだって思えるのか。
ああ、好きなんだ。それは満たされる喜びじゃなくて、好きでどうしようもない苦しみ。
「・・・あ、アルトくん!」と勢いに任せて叫ぶと、
アルトはぎょっとなり、身を引いた。
「な、何だよ」
「あのね、あの・・・、こ、これ!」
どうやってみても、やっぱり好きだと言えるだけの勇気がなかった。
むしろ、自分の思いを拒絶されたことで嘘になんかするのがたまらなくつらかったので、
気持ちだけを込めて持っていたクッキーの包みを差し出した。
だって、愛する人の誕生日をちゃんと祝うことが出来た、それだけでも
十分幸せなことではないだろうか?だから、好きだとか愛してるだとか、
あなたなしじゃ生きられないとか、拒絶されたら冗談でごまかしてしまおうと
思っていた言葉の代わりに一言。
「誕生日おめでとう、アルトくん!!」
ハッピーバースデー。その言葉には、今言える精一杯の思いが込められていた――
アルトくんが生まれて来てくれて、本当に良かった。とっておきの幸せをありがとう。
おわり
雑文、失礼しました
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