マクロスFのキャラクター、早乙女アルトとランカ・リーのカップルに萌えた人たちのための二次創作投稿所です。

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新未来のアルト帰還後のお話です。
良かったら読んでみてください。




「小話「友」」 BYアヤ




大好きな人を失っても、夜は必ず明けて新しい一日がやってくる。
失恋したって、死んだりなんかしないのだ。
次から次へと舞い込む仕事に精一杯。
悲しくて苦しくても、いつかはまた誰かに恋をするんだろう。
失恋したって、友達でなくなるわけじゃない。
彼の幸せを祈り続けると決めたのだから。
二人が笑っていられたら、それで良い。
きっとこの恋心も小さくなって、思い出に変わっていく。
そう思っていた。
目覚めたシェリルさんと一年二年とアルトくんの帰りを待ちわびていた。
そして、三年四年と不安に押し潰されそうになりながら待ち続ける。
ふとした瞬間に過ぎる君。
何度も振り返っては、幻影の君に駆け寄って。
何度も悲しくなっては「泣くな、頑張れ私。」と自分に言い聞かせる。
そんな中で、シェリルさんは待つことを止めた。
私は、不確かな君のオトに縋って待つことを選んだ。
愛し続ける道を選んだ。
帰って来る事はないのだと分かっていても。
ちっとも小さくならない恋心。
一生この恋心を抱きしめたまま生きていく覚悟は、八年の間に固まってしまった。
そんな八年目に君は、変わらない温もりで帰ってきたね。




「何だよ、さっきから。」
隣には、馴染みの女友達。
さっきから、ちらちらと視線をアルトは感じていた。
変装した歌姫と二人で、休日の街を歩く。
他愛もない会話を楽しんではいるんだが、視線が気になってしまう。
「俺の顔に何か付いてるのか?」
「ん〜、目と鼻と口。」
「・・・おい。」
隣でくすくすと笑う彼女は、大層楽しげだ。
「ごめんね。ただ、夢みたいで。」
「夢?」
「こうしてまた他愛もないおしゃべりが出来て楽しいから。アルトくんが帰ってきたのが夢なんじゃないかって。」
「八年行方不明、だったしな。」
難しい顔になってしまった俺の様子を見て、ランカが慌て出す。
「もっもう。眉間にシワ寄せないの!せっかく遊びに行くんだから!」
俺を引きずる様に腕を引いて、ランカが走り出した。




着いた先は、数年前に出来たらしいアミューズメントパーク。
「ほら、ココって何か思い出さない?」
「・・・あ。マヤン島か?」
「正解!感じ出てるよね。近場ですぐ来れる、私のオススメスポットだよ!」
青い海に蒼い空。
SMSの慰安旅行で行ったマヤン島に良く似ている所だった。
ランカは忙しい合間を縫って、俺を連れ出す。
八年間のブランクを埋めようと、必死になっている俺の為に。
「今日は、ランチ食べてゲームコーナーでちょっと遊んで散歩しよ?」
ランカも久々の休暇らしい。
黒髪のウィッグを風に靡かせて、足取りも軽い。
海を眺めながら、カフェでオススメのバーガーに齧り付く。
充実のゲームコーナーで景品のマスコットを捕ることに夢中になり、ホロクラと呼ばれるホログラムの写真シールが出来る機械に連れ込まれた。




夕日に赤く染まった浜辺を歩きながら、撮ったばかりのホロクラを弾く。
お決まりのキラッのポーズをせがまれて、ウィッグを外したランカとのホログラムがきらきらと浮かび上がる。
そこには、恋人同士の様な甘い雰囲気は無い。
以前と同じ「友達」の姿があるだけだ。
それにほっとしている自分がいる。
俺の日常の大半を占めていたランカ・リーという存在。
変わらぬ関係で、壊れる事のない友情。
俺達はそれで良い。
それが良いんだ。
「気分転換出来た?」
「ああ。ありがとうな。」
「へへっ!ねえ見て。これも皆で撮ったんだよ。」
浮かび上がったホログラムには、ランカとシェリルとナナセが弾けんばかりの笑顔で写っていた。
平和になったんだ。
俺は、この笑顔を守れた。
まだ残るシェリルへの想い。
シェリルとの道は別れてしまったが、これで良かったのだと思えた。
「今度は泳ぎに来ようよ!・・・私のナイスバディ見せてあげるから、ね?」
ランカがニッと笑って、セクシーポーズ(?)を決める。
「・・っぷ。クハハッ!分かったよ。皆で来るか。」
「うんっ。」
少しだけ切なげな顔をした後、大人の顔で綺麗に笑った。
その笑顔に、何故かトクリと胸が高鳴った気がした。


END

このページへのコメント

立て続けにコメントする紫陽花です。小話、いいですね。ランカちゃんのまさに一生に一度の恋ですね。友人として、関係を続けていくなんて、ランカちゃん、大変でしょうね。アルトも徐々に惹かれていく感じがいいです。アルラン小説が読めて、嬉しいです!

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Posted by 紫陽花 2011年12月23日(金) 01:03:33 返信

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