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長部日出雄「紙ヒコーキ通信」1980年12月


■二大監督そろいぶみ

 『オール讀物』に連載された映画評や書評をまとめた書籍。この記事は 1981年の1月となっているので、前年の12月に発売された『オール讀物』に掲載されたもの。当然だが、長部が見たのはコンチネンタルバージョンであろう。

 『2001年宇宙の旅』においてもっとも鮮烈であった現代の最先端をいく光学技術と、メカニズムを駆使して前人未踏のフォトジェニックな映像をつくり出す作風は、こんどの『シャイニング』にも共通しており、沢山の部屋が両側に並ぶホテルの長い無人の廊下、そこを足踏みの玩具自動車に乗って走り回る子供の後を、おそらく広角レンズをつけた軽量のアリフレックスで自在に追って、不安にみちた空間の独特な表現に成功している。

 恐怖映画といっても、この中に起きる出来事は、すべて合理的に説明できる。それでもなおかつ怖い。山間のリゾート・ホテルの管理を冬の間まかされて、雪の中に閉じ籠められた男の疎外感。不安と焦りが妄想を生む。人間の狂気の恐ろしさ。

 幾通りにも解釈できるラストの謎めいた写真は、『2001年宇宙の旅』に出てくる巨大な黒石板とおなじように、映画が発した問いかけを、いつまでも観客の胸の中で反芻させるための仕掛けでしょう。冷酒と親の説教とキューブリックの映画は、あとからだんだん利いてくる。いまわが映画史のベスト・スリーの一本に数えている『2001年宇宙の旅』も、最初に見たときは、何のことやらわからなかった。

 この『シャイニング』も、記録的な大雪に降りこめられているのに、戸外の迷園の中の道を子供の足で走れるのが、雪国育ちの当方には少少腑に落ちないが、やはりキューブリックのどの作品もそうであるように、現代への映像による黙示録なのだと思う。
 同じ本の中で、長部は 1981年度のベスト・テンを発表しているので、併せてご紹介する。

1カサノバ
2シャイニング
3ポパイ
4チェスをする人
5ブリキの太鼓
6アメリカの伯父さん
79時から5時まで
8グロリア
9天国の門
10-

 未見の作品がいくつかあるので、10位は空けておくことにした、ということだ。ついでに、ここでの長部の言葉を引用しておく。
 フェリーニは二十世紀最後の映画監督で、キューブリックは二十一世紀最初の映画監督、というのがぼくの考え。
 21世紀になる前にキューブリックは亡くなってしまったわけだが。
2006年02月14日(火) 12:16:41 Modified by badsboss

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cc9302e3.jpg (8.29KB)
Uploaded by badsboss 2006年02月14日(火) 12:15:22



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