古池や蛙飛こむ水のおと - 俳句を比較する意味
図3の句、漢字は一字「かれえだにからすのとまりけり秋のくれ」
うらぶれた感じで、一羽の烏が枝にとまって背を丸めているのです。
晩秋の風に木の葉は全て吹き飛ばされて、目ぼしい食べ物も少ない。

烏は安全な高枝にとまったまま、じっとしていて動こうともしない。
それにしても烏は何を考えているのでしょうか、芭蕉は気懸りです。
人生の何たるかを呻吟しておいでの哲学者クロー女史様でしょうか。

ただ単に、旦那の稼ぎを待ち侘びている奥さまの烏なのでしょうか。
うちの宿六、ご馳走を持って帰らなきゃ、もう家に入れてあげない。
枝には柿の実一つ残っているでなし、もうやってらんないでしょう。

晩秋ともなれば巣に温かい寝藁も欲しいのに、ほんとに厭になるわ。
樹の下を美味しそうな仔猫でも通らないかしら、お腹空いちゃった。
そんなこんなを考えながら、旦那の帰りを待っている烏でしょうか。

烏の目線を追ってみたり、尾羽の乱れを観察したりと、忙しい芭蕉。
これは掛け軸でしょうか。芭蕉の花押まで行儀よく正座して見える。
正に、図1,図2,図3、其々の絵を計算し・詠み・書いたのです。

これら三点の図柄を並べて観るのでなければ違いは判りにくいかも。
長谷川櫂氏ならこそ、私たちに判るように写真を載せてくださった。
そう考えて、私は長谷川櫂氏の功績が有り難くて、感謝するのです。