リリカル某2-2話

第二話中篇


 浮遊感と落下感。
 急激な上昇と重力になされるがままの自由落下する感覚の中、ボクは眼を覚ました。
 ……魔法瓶のような太さの腕の中から外を眺めると、電柱の先っぽを足場にして、5〜6本先の電柱の狭い先っぽにジュンプして移動してるのが判って……怖くて……ま、また気を失いそうになる……。
 さっきのジェル・シード暴走体を魔力を使わず殴り倒した事といい、この世界の人ってこんなに身体能力に優れてましたっけ!?
 あっれ〜〜?管理局発行の資料には、惑星「地球」住民の平均的身体能力はミッドチルダの一般市民のそれと同じはずなんだけどなぁ〜。
 ま、まてよ……資料の隅っこに「"突然変異体"及び"その他の脅威"がやや多い」とかなんとか注意書きが小さく記されてあったような……。
 ……なんなんだよ「その他」とかって!!
 ああ!こんなことになるんだったら、ちゃんと管理局の人と一緒に来れば良かった……orz。

「ムッ!目覚めたかフェレット君!!」
「はい、おかげさまで……。助けてくれた御蔭で、残った魔力をケガの治療に当てる事ができて、このとおり傷もスッカリ治りました。……それより地面に降りて話をしませんか?」
(立ち止まったは良いんですが、電柱の小さな頭を片足で立ってるのは、見ていて結構怖いです……!)
「おお〜、高町さんとこの某じゃないけぇ。なしたぁ?ま〜た、どこぞの悪党退治でもしてたかあ?」

 突然下から声を掛けられたのでビックリしました。
 見ると、如何にも人の良さそうなおじいちゃんが、電柱下の歩道から見上げています。
 ボクの姿を見たら、丸眼鏡の中の目を細め、この土地の民族衣装だと思うゆったりとした服を震わせてカカカと笑っています。

「やっ!これは市長!!」

 え?この高さをゼロモーションで降りれるんですか!?
 足首は?膝関節は?
 それよりも市長って!

「失礼なところを見られてしまいました!申し訳ありません!!」
 
深く頭を下げたので、勢いボクも一緒に頭をペコツと下げてしまいました。
 それを見た市長と呼ばれたおじいちゃんは、見事なバーコード頭を掌でペシっと叩いてまた笑います。

「カカカッ!この町で人の目はばからず電柱の上に立っておれるのはおまいさんくらいじゃて。
だからわしらの国は、おまいさんのために『緊急時電柱間跳躍移動特別許可書』とかゆうのを発行したじゃないんか?
 おまいさんが世のため人助けのために東奔西走してるおのを知らんもんはこの町にはおらん!
 おったらこのワシが追い出しちょる!!」
「いやッ!市長、そんな事を大っぴらに言ってはまた非難が……」
「生きとるうちに一度やってみたかった「むらおさ」じゃ。いつでも辞める気概じゃなきゃぁ、町のぎょーせー改革なんざ出来ん。
もっとも、それもおまいさんがアクメツと一緒に任侠の「任」の字を忘れおったゴロツキどもや、その取り巻きで小金掠め取ろうとする輩を、ひとまとめに縛り上げてくれたから出来たんがね。
ワシが今こうして此処におって、おまいさんに会えたのも、おまいさんがやっておる……ほれ、修行の成果というやつや。誇ってええ!」
「ハッ、いえ!市長を前にすれば、まだまだ己の未熟さを痛感する次第であります!!」

 ビシッと直立するので、ボクも思わず背筋伸ばしちゃいました。

「そーかしこまるな、かしこまるな。おまいさんは馬鹿でっかい声で笑っておるのが一番よう似あう武士(もののふ)じゃ。……そう思うじゃろ?ちっこいの」
「キュ……キュウ……」

 いきなりボクの顔を覗き込んで言われたのでちょとドキドキ。
 さっきの会話、聞かれてないよね……。
 
「カカカッ!某、おまいさんが連れているちっこいのは、"今度"はしゃべらんのか?」
「まさか!あのネコは、"たまたま"人語を話せるネコであっただけであり、このフェレット君も"たまたま"出会っただけです!!」
「ふ〜ん"たまたま"かあ。"たまたま"で手投げ弾を破裂させたか……」

 ギクッ!
 動物形態なんですが、ボクの背筋に変な汗が流れるのがわかります。
 だってこのおじいちゃん、笑いながらすっごい冷たい目をしてボクのほう見てるんですもん!
 
「やッ、聴こえておりましたか………さすが高柳飛翔鳳凰十二宗家当主」
「前、じゃよ。前当主。もうワシには何の後ろ盾も無いただの耄碌じゃ。
 ワシをそうしたのは、おまいさんが修行と称し、男塾、大門、米軍、闇の一族、世界中の退魔機関を巻き込み統道で滅茶苦茶に大暴れしてくれたおかげじゃがの〜。
 ……おかげで"真の武"の計画も何もかも破綻させられた。
 白紙じゃ……十二宗家の歴史も何もかも白紙に戻しおった。
 この国の生まれでもなく、西洋思想にどっぷりつかった唯一人のドイツ人の男に、な……」

 し、市長さん……怒っていらっしゃいませんか?
 なんか頭に血管が浮き出てピクピク言ってるんですが!!
 (((((( ;゚Д゚)))))ガクガクブルブル

「のお、ちっこいの……おまいさんは運が良いぞ〜。
この男、日本では『武乱知得 某』というフザケタ名前を名乗る、本名はボー・ブランシェと言うネオ○チのお笑い芸人じゃ」
「しッ市長〜〜」

 あ、ちょっと泣きそうな声がボクの頭上から聞こえた。
 そっか、この人の名前はボー・ブランシェって言うのですね。
 それにしても……お笑い芸人?
 ……でも失礼と思っちゃったんですが、なんか当てはまりそうな気がする。

「この数年間、一度も勝った事がない男じゃ。
 敗北まみれの戦士じゃ。
 じゃが"慣れれば"頼りになる漢ということが、よ〜く判ってくるじゃろう……」
「ハイ。それはもう、さっきも魔法を使わずスゴク強くて……はっ!」

 しゃ、しゃべっちゃったあ!!

「カカカッ、悪霊の類いじゃないのはようわかっとるから安心せい。
 それに、いち市長であるワシはこれ以上個人の問題に"収まっているうち"は関われんからのう。
 そうじゃ、自己紹介をしておこう。ワシは高柳道元というただの市長じゃ」
「ボクの名前はユーノ・スクライアと言います。スクラアイアは部族名なので、ユーノと呼んでくださって結構です」
「うんうん。ようこそ日本国海鳴市へ」

 またさっきの温和な顔に戻り、市長はボクの小さな右手を取って握手してくれました。
 が……手を離した途端、口元の微笑みはそのままで、某さんに鋭い視線を向けて言いました。

「ということじゃ。某、どうせお主のことだから、闘いに余裕があっても己の名を名乗らず、ユーノ殿の名前も聞こうとせんじゃったろ?」
「〜〜ッ、面目ありません!」
 
ボーさんが持っていた、あの時の自信満々な空気が完全に消し飛んでしまっちゃいました。

「……そういう風に己の非を感じ取れれば、また一歩成長できるというものじゃ。が、本当ならワシが言う前に気付ければ良いんじゃがなあ」

 これがいわゆる毒舌というやつですか……。
 言葉以前にこの市長さんから発せられる空気がピリピリします。

「ふ〜む。それにしても、今度もまた町を留守にするようじゃの」
「必ず戻ってきます!御神流はまだまだ学ぶべき物がありますので!!そして弱者を守ることは私のッ、ネオ○チの責務でありますからッッッ!!!」
「よかよか、おまいさんは何処に行ってもおまいさんじゃ。「むらおさ」の椅子にのっかっておれば、嫌でも武勇伝は聞こえてくるものよ。
 よかったの〜ユーノ殿。コヤツ、勝負事には滅法弱いが人助けのためなら"世界の理論"を腕力で捻じ曲げるような輩じゃ。ビシバシこき使ってやってくれ」

 老人もとい市長はボクの頭を撫でながら、またカカカと笑っています。
 それにしてもしゃべる動物ってこの世界では珍しいらしいはずですが、二人とも思いっきり慣れているようですね。
 過去の話と言い、ちょっと興味が沸いてきちゃいました。
 そのあと市長は、某さんを少し哀しそうに見つめて話し始めます。
 
「……明朝にも発つんか?」
「フェレッ…ユーノ君の詳しい話はこれからなので、まだどうとも……。ですが、私とユーノ君が居続けると、町の皆さんに御迷惑をかけてしまう可能性がでてきましたので……」
「今回はワシらに手伝える事はないんかの?昔のツテで結構な数の者に声掛けられるんじゃがの〜。
ほれ、この前の"五月に降った雪"の時みたいに、アーカム財団や御坊財閥と協力してな……」
「その必要が出来たら、その時にまたお願いしようと思います!」
「ん……じゃあ老人のワシはもう退散するとしよう。そうじゃ。そこの公園にはだれもおらんかったからの。落ち着いて話をするには格好じゃ」
「お心遣い、感謝します!」

ボクも感謝したくなりましたのでおじぎしたら、またカカカと笑いながらグリグリ頭を撫でて去っていきます。
 カランコロンとゲタと言う靴を鳴らして去っていく市長さんの背に向け、改めて某さんは深く頭を下げました。
 よく判らない会話をだったんですが、助けてくれたこの人も市長さんもスゴイ人だということが良くわかりました!
 あと、思っていたより深い洞察力を持っていることも……。見た目で判断してゴメンナサイ!
 でも、こんな理解力がある方がいらっしゃるのに、どうして管理局は駐留部隊とかを送ったりしてないんだろう?



 静かな公園のベンチに座り、ボクが知っている限りの知識を教えました。
 異次元の存在、時空管理局のシステム、魔法の原理、その他イロイロなことについて。
 某さんは熱心にメモを取りながら色んなことを質問してきます。
 特に管理世界の教育福祉を重点的に聴きたがりました。
 でもボクは考古学が専門なんで、そんなに詳しく話せませんでしたが……。
 それでも質疑の繰り返しの中で、逆にボクもこの世界について様々なことを教えていただきました。
 ボクがこの世界について調べてあることを話させることで、かえってボクの持っていた知識のあやふやさが判明できました。

 聴くと某さんは、ネオ○チの大いなる理想の下、世界を股に駆けて活躍してたとのことで、ボクの話もすんなり受け入れてくれました。
 この世界には時空管理局の危険なロストロギア捜索封印する古代遺物管理部に取って代わるシステムとして、アーカム財団というのがあるのですが、世界中の国家は軍事バランスを崩しかねないテクノロジーを秘めた古代遺跡を巡り、争いを起こしている事も……。
 ……これじゃあ管理局が下手に介入したら火に油を注ぎこんじゃうかも。
 ボク達の世界は質量兵器禁止の上、一部の例外を除き原則不介入主義だし、それにこの地球には、へたなロストロギアよりも凶悪極まりない『存在』がうじゃうじゃ居るみたいです。
 これじゃロストロギア関係は、アーカムに任せて放置しようとする管理局も間違ってないかも……。
 時空管理局は慢性的な人手不足で、やっかいごとはあんまり関わりたくないという話を耳にした事もありました。

 それからどれくらい時間がかかったのかわかりません。
 ようやく最後にボクがこの世界に来た詳しい訳を言ったとたん、突然某さんが立ち上がりました!
「ということは、ジュエルシードを散らばらせた責任を感じ、たった一人で見ず知らずの世界で回収にあたろうとしたのかッッ!!」
「ヒィッ!す、すみま」
「なんという責任感!!!君は将来、多くの者を導く良き指導者となる素質があるッ!!クウウウッ……それに引き換え、我が世界の若者はたるんどる!!
 実力主義の管理世界の爪の垢を煎じて飲ましてやりたいわあッッッ!!!」
「あの〜」
「やはり教育改革の実行を……いや、その前に教師の意識改革をだな…そのためには少人数学級を増やし教師一人あたりにおける対処能力を上げ……予算編成……世界規模で実行…、
いち早く管理世界レベルに教育福祉を……むうう、やはり地球規模で考えると……だが各国GNP比率における……ブツブツ」
「もしもし?某さん?」
「ブツブツ……効率の妨げとなるのはやはり途上国の紛争が最大のネック……しかし………いや教育レベルと各国の産業育成……労働市場ではなくだな………そうかッ!!
 やはりッ、宇宙開発こそが人類に残された道となるか!!!それを最短距離で行くには世界を最高意思決定機関のみ統合し、各国を地方自治体にさせることで……管理世界と国交を結び、技術革新を起こさなければッッ!!
 つまり時空管理局と接点を結ぶことこそが急務!
 ユーノ君!今この時を持って君は、ネオ○チ公認の超時空特使に決定したァッッッ!!!!!」
「えええ〜〜!?」

 い、いきなり何を言い出すんですかこの人は!?

「ま、待ってください。まずは危険なジュエルシードを捜すのを最優先課題に!」
「うむ、狂戦士級…とはいかんが確かにあの力は厄介だ!まずは腰を沿え、休養をする必要があるな!それに我が"相棒"を呼ばなければ!!
そのためには高町家宅の道場に戻る事こそが目下の最優先課題!!
 フハハハハハッ!私の思考過程に一点の曇りがないことが証明されたッッ!!!」

 悪い人じゃないんだ……悪い人じゃないんですが……。
 ………どっかの世界で発掘しているでしょうスクライア一族のみなさん、やっぱりちょっと心配になってきてしまいしたorz。


★帰宅描写は省いて高町家リビングッッ!!!

「うわぁ〜〜かわいい〜〜〜!!」
「こらこら、なのは。某さんの客人なんですから、そんな無礼な事をしてはいけませんよ」
「あ、どうぞお構いなく。ボク慣れてますから」

 ボクと同い年の女の子にナデナデされるのには、もう半分諦めました。
 その前に桃子さんと美由希さんに、思いっきり抱きしめられたりしてて……でもちょっと幸せだったかも(ポッ)。
 某さんが下宿させて頂いてる高町家に着くや早々、庭で稽古をしていた高町家の人に会うや正々堂々と某さんが、いきなりボクの自己紹介をはじめたときは、正直どうなるかと冷や汗が流れました。
 その後は高町家の皆さんが、一家揃ってのお出迎えです。
 皆さんしゃべる動物にあっても、全然なんとも思わないことにむしろ驚かされました。
 むしろ驚いたのが、その後某さんと家主の士郎さんとの会話!

「師範、単刀直入に申します!世界的規模の危険性がある落し物を捜す間、お暇を下さい!」
「よっし分かった。見つかるまでゆっくりしていきなさい」

 ……なんか某さんに負けず劣らず色々と凄い方でした。

「どうだ!高町家の方々は良い人たちであったろう?」

 道場に到着した某さんは、道場の倉庫に置いてある自分の荷物から様々な機械を取り出し、配線を繋いで操作しながらボクに言いました。

「はい。みなさん優しい方でした。ボクが人間って知ってても抱っこされちゃっいましたが…ところで某さんはさっきから何をしているのですか?」
「無線機に盗聴防止用装置を取り付けて、それにさらにノートパソコンを接続する事で……ユーノ君、この単語は通用するか?」
「通信機に情報処理端末のことですね?同じような装置はボクの世界でもあります。それに魔法でもできますよ。こんな風に」

 ボクは空間に手を指して各種モニターを出現させると、某さんは便利な魔法もあるもんだと言いました。
 後で教えますと言えて、ちょっと鼻高々です。

「無線機を通じて無線LANに接続し、この捜索において最も信頼できる組織と人物……忌々しいが今の所はアーカム財団と情報屋をいくつか、そして我が生涯の"相棒"に直接連絡を取る!
 フンッ、アーカムの現会長ならば時空管理局と異次元魔法技術については知りたかろう!交換条件で捜索を手伝わせてやるわッ!!
それに、だ。正直言って、さっきの戦闘が各国の偵察衛星に察知されていないと考えられなくてな。特に日本の動向も知っておきたい!
政府お抱えの霊能力者なら、ジュエルシードのことも予知されていると考えるべきだろうしな……。
アーカムの情報網ならならすでに何かを掴んでいるやもしれん。
日米双方、素晴らしき指導者が首席になったとはいえ、哀しい事に国家に良心は期待出来んからなッッ!!
 ……ネット接続確認。ファイヤーウォール、暗号通信の準備はよし!
 アーカム本社接続パスワード……」

 某さんはカチャカチャとせわしなくキーボードを叩きます。
 これはもう某さんに任せた方が良いですね。
 それに……やっぱり疲労が溜まっちゃたんでしょうか。すごく眠たくなってきてしまいました……。

「ユーノ君。君は先に休みたまえ。君が疲れていればジェルシードの探知もおぼつかまい?
それに、優れた指導者という者は来るべき日に備え、己の体調を万全に管理するのも仕事だからな!
この家の守りは安心しろ!世界最高レベルのトラップの達人にして冒険者から学んだ技術を駆使し、敷地内外には赤外線探知機とブービートラップは設置済み!
しかも家長にして我が師範はスプリガンに匹敵する剣の達人だ!だから安心して休みたまえ」
「はい……それではお先に休ませていただきます。おやすみなさい……ファ」

 ああ、桃子さんが見繕ってくれたクッションが温かくて柔らかくて気持ちいい……。

 物音がして目が覚めると、窓から差し込む光が見えました。
 耳を澄ますと、昨日会ったこの家の長男、恭也さんと某さんの掛け声が聴こえます。

「セイッ!」
「ですから、その足運びの斬撃ですと飛天御剣流になっちゃうんですよ」
「むうぅ……」
「ほら、踏み込みすぎちゃうから二の手に入るまでに隙ができてしまうじゃないですか?
 某さんの持っている技術なら一撃で仕留めるのはわけないですが、相手が多人数であった場合には鋼線や手裏剣、周りにあるもの全て駆使して戦わなければならないんです」
「な、ならば、こう初撃で、天 翔 龍 閃 ッッッ!!!」
「隙あり」ポカ
「ぬううう……」

 ……何を言ってるのかサッパリです。眠いんでもう一回寝させて戴きます。



★八束神社

「は〜今日もいい天気です〜」

 私の名前は神咲那美。風芽丘高校三年生です。
 学校が終ったあとは、こうして八束神社の巫女兼管理代理人のアルバイトをしています。
 季節も秋になりましたので落ち葉集めが大変で……なんですか、この空気は!?
 神社の入り口鳥居の方から突然何とも言えない力が漂ってきました!
 妖気?でも違う感じです。

「久遠!急ごう!!」
「クウッ!」

 私は横にいた狐の久遠に声を掛け、鳥居の方に駆け出しました!
 そこで見たのは、信じられないくらいに巨大な犬のような魔物と、そして拳銃を撃っている外国人の男性です!!
 ブスッブスッと男の人が、円筒が先っぽにくっついた拳銃を撃つたびに魔物が襲い掛かります!
 それを鮮やかな身のこなしで男性。

「ガアアアア!」
「……やはり9ミリ程度では効果がありませんか。ギャラリーも集まりだしてきてしまったので、速攻でケリを着けさせていただきます!
 モード変換、戦闘モード起動!」

 男の人の身体が盛り上がり、ベリベリと外套を内側から破いていきます!
 露になったその姿を見てしまった私は、魔物よりも男の人の方が怖いと思ってしまいました!!
 だって、その身体は……。

「まずはコレくらいの出力のを喰らいなさい。100万ボルトです」

 バシッ!

「きゃッ!」
 
 男の人の、真っ黒な機械の腕から雷が出て、それが魔物に直撃するのを見た私は、恐怖で思わず叫んでしまいました。
 魔物は全身に火花を一瞬に噴出すと、痙攣して倒れてしまいました。
 ……本当に怖いくらい、とんでもない威力です!
 リスティさんの電撃よりも強そうでした!
 怯える私と、唸り声を挙げる久遠を他所に、男の人は携帯を取り出して何か言いはじめました。

「……サンダーボルトより横田ABへ。モルモットを一体捕獲しました。輸送ヘリと護送部隊の手配を頼にます。現在の場所は……そうです。この通信機の座標で……。
 ……はい。はい。日本側は全く気付いて……大統領が?なるほど……さすがあの方。は、いいえ。私は命令された通りに動くだけです。
はい……わかりました。目撃者は……ですので私に任せください」

 電話を切った男が、私の方へ向き直りました。拳銃はすでに収めていますが、とにかくこの人の目が怖いです〜!冷たすぎます!!
 変な気を起こさないように久遠を抱いています。

「そこのお嬢さんは、神咲一灯流の肩とお見受けしますが、このモンスターをどうお見受けしましょうか?あ、私はたまたま休日を満喫中の米国陸軍のサンダーボルト少佐と言います。
 あそこに倒れているご婦人なら大丈夫です。怪我もないですが、飼い犬突然変化して凶暴になった衝撃が強かったのでしょう。
 気を失ってしまいました」
「ホッよかった。あ、は、はじめまして!私は確かに"祓い"を専門にする神咲一族の神咲那美と申します。ですが……これは、いえあれは一体なんなのですか?
 物の怪…にしては、気が違いすぎます。妖気とは違い……その何と申すればいいか……そう"純粋な力"のように感じました」
「なるほど、なるほど。ということは貴方達の"祓い"では、この犬が飲み込んだものを吐き出させるのは無理ですかな?」
「へ?あの〜何かサンダーボルトさんが、何を飲み込んだか知ってるような口ぶりですね」
「一応我々はそれをジュエルシードと呼んでおり……来ましたね当事者が!」
「へ?」


< 後半に続く >

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2007年08月01日(水) 11:38:53 Modified by beast0916




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